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タイトル未設定 - Magic3:希望の花

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ラディス大聖堂。

ウェルテクス社の侵入者騒ぎに加え、ミサで不敬を働いた少女、謎の怪物、突然現れた怪しげな術を使う男…

リーリエリヒト帝国が建国されて以来の大事件に、帝国の上層部はざわめき立っている。

その一方で、イシュトヴァーンはユディーヌ審問官・ヴィルギニア元帥・シラス宰相・ギリオン宰相補佐・ルーク枢機卿の5人を集め、話を始めていた。


「――輝かしい蒼き光を放つ【聖なるもの】が紅き光へと変わる時、神の国への扉は開き、我らは再びラディスの神の御身へと辿り着かん……」

「それは…ラディスの予言の一部ではありませぬか」

「そう。我々は、神の国への扉を開き、ラディス教を絶対とした平等なる世界を手に入れるべく動いている。そして、……予言の実現に必要なのは…【聖なるもの】」

「「「…」」」

「その【聖なるもの】を手中に収めることができれば、ラディスの予言は実現するも同然。お前達には…【聖なるもの】を探してもらう」


イシュトヴァーンの言葉に、その場に居合わせた誰もが目を見開く。

…【聖なるもの】

ラディスの予言の中に存在するそれは、誰もその姿を見たことがないらしく…それがどんなものなのかは、未だ解明されていない。

ラディス教のシンボルストーン…空に浮かぶアムニスフィールド…様々な説が飛び交うが、アムニスフィールドはどう足掻いても手に入れることは不可能に近く、シンボルストーンは別の予言の一文にある“蒼き石”ではないのかという見方も強い。

ギリオンは腕組みをしつつ、イシュトヴァーンに質問していた。



「……しかし、【聖なるもの】がどのようなものであるのか分からない以上…探すにしても、見当がつきません。物によっては、人が手にするものができない可能性もあります」

「確かに…だが、それは片っ端から蒼い物を奪ってくればいいんじゃないのか」

「ほっほ。流石、気性の荒く短気なヴィルギニア元帥…力任せだけならまだしも、【聖なるもの】を探すために片っ端から集めようとするなど…愚の骨頂ではありませんかな?」

「テメェ、シラス!」

「……お二方、ここでの争論は陛下に対する無礼と思うべきではございませんか?」


シラスに嫌味を言われ、ヴィルギニアは掴みかかろうとするが…

二人の仲裁にユディーヌが割って入り、皇帝猊下の目の前であることを弁えたか、二人は口を慎む。

だが…

ギリオンの意見も分からなくはないのか、ユディーヌはイシュトヴァーンに尋ねる。


「しかし、宰相補佐殿の意見も尤もです。もしも【聖なるもの】がアムニスフィールドだったとしたら…どうやって手に入れるおつもりでしょうか」

「ふむ…」

「アムニスフィールドが【聖なるもの】であることは、まずありえないでしょう。ラディスの予言を思い出してください」


イシュトヴァーンの代わりに回答したのは、ルーク枢機卿。

ラディスの神に仕える身である彼ならば、アムニスフィールドと【聖なるもの】が同じものではないと言うことが分かったのだろう。

…ここで、ラディスの予言についての文を紐解くことにしよう…

――アムニスフィールドから生まれしその力は、蒼き石に封じられるが如く消え去らん

――英姿を再び拝まんとするならば、古き世から伝わる【聖なるもの】をその手に持て

――ルキナに存在する総ての生き物が、真にラディスの神の子となり

――輝かしい蒼き光を放つ【聖なるもの】が紅き光へと変わる時、神の国への扉は開き、我らは再びラディスの神の御身へと辿り着かん




予言の内容を思い出したユディーヌやヴィルギニア、シラスにギリオンは納得した様子で頷く。

その一方で、ルーク枢機卿は気になっていたことをイシュトヴァーンに告げる。


「ところで猊下。――聖海騎士団の隊長を勤めているバーガーからの情報で、妙な異教徒の呪術者が…指輪のようなものを使い、姿が変わったと聞きます」

「何?それは本当か」

「はい。……【聖なるもの】との関係は不明ですが、一度、調べてみたほうがよろしいかと。聖海騎士団に向かわせても宜しいのですが…我々は別件があります故」

「ならばユディーヌ、その呪術者の件はお前達に任せよう。シラスは例の件を進め、ヴィルギニアはミッドノクスを率いて【聖なるもの】を捜索せよ」

「はっ」

「分かりました」

「お任せください!必ずや、我々ミッドノクスが【聖なるもの】を手中にしてご覧に入れましょう!」


謁見を終え、シラス達は大聖堂を後にする。

その際…

シラスとギリオンはウェルテクス社に向かうための道を少し反れ、丁度ウェルテクス社の陰になって見通しの悪い場所に向かう。

そこにいたのは、冷たい冷気を纏うファントムと…月のように神秘的で、神々しい光を放つファントム。

ギリオンはくすりと笑いながら、二つのファントムに命令を出す。



「セルシウス、レム。お前達には仕事をしてもらおう」

『…』

『分かりました。私にできることならば、なんなりと』

「レムはこれから、あるゲートを絶望させてもらう。お前なら、適任でもあるゲートだ」

『左様でございますか』

「セルシウスは、…これからウェルテクスの屋敷へ向かうであろうウィザード達の始末をしてもらいたい。特に、指輪の魔法使いのな」

「あやつは野放しにしておくと、面倒なことになりそうですしなぁ。…できれば指輪とやらの一つや二つ、奪ってきてもらったほうが私の研究も捗るというもの」


ギリオンの命令を聞いたレムは、早速動き出す。

一方のセルシウスは、口を一つも利くことなく、黙って頷き…何処かへと向かっていった。

シラスは不敵な笑みを浮かべ、ギリオンもそんな彼を見ながら話をしていた。


「それではシラス様、我々は【神の剣】を完成させましょう」

「そうですな。…あれさえ完成すれば、世界はリーリエリヒトに平伏すのみ。圧倒的な国力の前に人間どもは絶望し、ファントムもたくさん生み出してくれるかもしれませんな」






〜〜〜






――翌日…

晴人達は、ウェルテクスの屋敷に向かう途中にあるグラニッドの村で一夜を明かしていた。

流石に、リーリエリヒトから離れた場所にあるこの村には、昨日の騒ぎは伝わっていないようだ…

難なく宿屋に泊まることができ、晴人は欠伸をしながら階段を下りていた。

既に食事の席にはコヨミと凛子、ミカとイーヴリンがおり、「女の子の朝は早いねぇ」と感心しながら席についていた。

宿屋の今日の朝食は、焼きたてのパンにソーセージ付きの目玉焼き。テーブルには、ミルクの入ったグラスが並べられている。

ユーテキと瞬平が未だに起きて来ないことに首を傾げつつも、晴人はどうせ寝坊だろうと気にせずパンを頬張っていた。

その際、ミカの左耳につけられた青く綺麗なピアスを見ながら、凛子が話をしている。


「ねえミカちゃん、そのピアス…どうして片方しかないの?」

「これ?…うーん、お爺ちゃんに『母親の形見だから大事にしなさい』って言われて渡された時には、この1つだけだったから」

「お爺ちゃん?でも、ミカちゃんのお爺さんって…」

「あ、私を育ててくれたクラウスお爺ちゃんの方。血の繋がったほうの…タルムードお爺ちゃんの親友で、その縁からか私を引き取って育ててくれた、んだけど」


ミカはそう言いながら、視線をミルクに落とす。

…最初はそう聞いていた

…私の家族が事故で亡くなって、クラウスお爺ちゃんは私を引き取ってくれた

…だけど、私の家族が帝国に殺されたなら、お爺ちゃんは…

ミカが暗い考えをしていることに気付き、凛子は慌てて別の話題を振ろうとする。


「…あっ、えっと、……凄くいいお爺ちゃんなのね!ミカちゃんのこと、大事にしているみたいだし」

「まあ、最近は『女の子らしくしなさい』って煩いけどね。でも、厳しくても…私が寂しくて泣いている時、いつも励ましてくれた優しいお爺ちゃんなのは確かだな」

「ふうん。そういうの、なんか羨ましいな〜」

「えへへ」



ミカと凛子が仲良くしている横で…

晴人は少し、考えたような顔をしていた。

そんな彼の様子に気がついたコヨミは、心配そうな顔で声を掛ける。


「…晴人、どうかしたの?」

「あ、いや。……俺も家族を事故で亡くしているから、ミカの気持ちも分からなくはないんだよなって」

「……」

「事故と他殺じゃ、微妙に違うかもしれないけど。……それでもミカが希望を持って生きていられるのは、クラウスって爺さんのお陰なんだろうな」


晴人はそう話しながら、改めてパンを頬張る。

だが…

コヨミに話したことも本心ではあるが、頭は別のことを考えていた。

――教会から逃げるミカ達を捕まえると言う、絶妙なタイミングで出てきたノーム

――もしもリーリエリヒト内部にファントムが潜んでいるとしたら、帝国の中枢を担う人物の中にも、ファントムがいる可能性が高い

――そのファントムが、帝国の軍事力・技術力を利用し、何かを企んでいるとしたら…

――もしそうなった場合、11年前のウェルテクス一族暗殺にもファントムが絡んでいる可能性も少なくはないだろう

……しかし、せっかくの朝食の場に…特にミカを不安がらせるような発言は控えるべきだと考えたか、心のうちに隠しておく晴人。

そんな彼に、イーヴリンは興味深げに指のウィザードリングを見ながら尋ねていた。


「ところで晴人。…あなた、魔法使いって言っていたわよね」

「ん?ああ、そうだけど」

「もしもその指輪で魔法を使うとしたら、他にもあるんじゃないかな。例えば…赤い姿から緑の姿に変わった時のような、不思議なリングとか」

「流石情報屋、一体いつから俺達を見ていたんだか。……一応、あるにはあるよ」



晴人はそう言いながら、指に嵌めていたフレイムウィザードリングを含めた、スタイルチェンジを可能とする4つのリングをイーヴリンに見せる。

火の属性を持つ、フレイムウィザードリング…

これに加え、風属性のハリケーン・水属性のウォーター・土属性のランドがある。

ウィザードの基本スタイルは、“四元素”と呼ばれる世界を構成するのに必要な属性が宿っている…

火。人類の知能は、火を使うことによって得られたとされている。

風。所謂“空気”がなければ生き物は息をすることができない。今日では、その風の力を利用して発電を行う場所もある。

水。総ての生き物が生きるために必要なもので、総ての生命は海に住む生物の進化から始まったという説もあるほど。

土。謂わば“大地”に例えられるそれは、晴人達が立つ地面を構成している他…大地に根付く植物や自然があるからこそ、人は食べ物を得られ…机や椅子と言った身の回りの生活に役立つものにあふれている。


「成程、火・風・水・土の力を借りる…そう考えれば、納得できる。魔法ってのは、世界を構成する元素を利用して力にしているようなものだからね」

「まあね」

「それにしても、その魔法のリングは一体何処で?それに、ファントムって…大聖堂に現れた謎の怪物のことだろう。それを体の中に飼っているって」

「あーあーあー、それ以上はトップシークレット。長くなりそうだし、何も朝食の席でやるようなことじゃないっしょ」




「―――あーだああああああああああー!!?」

「―――あーれぇぇぇぇぇぇぇー!!」



ずってんゴロゴロどんどこガシャーン。

絶叫も含め、壮絶な音が階段から聞こえてくる。

どうやら、瞬平とユーテキは今目が覚めたようで、朝食を食べようと慌てて駆け出していったら…瞬平が階段の上で足を滑らせ、とっさに自分を支えるために掴んだのは……ユーテキのマフラー。

当然、ユーテキも首を絞められる形で巻き込まれ、二人仲良く階段から転がり落ちていったそうだ。

……

沈黙が続き、晴人もコヨミも凛子も、何も見ていないかのようにそそくさと席を立つ。

それはミカとイーヴリンも同様で、イーヴリンは「お代置いとくよ」とチェックアウトを済ます始末…

朝食を食べ終わっているからこそできる行為である。

宿屋から出た晴人は、イーヴリンが持っていた地図を見ながら、目的地を探す。


「えーっと…ウェルテクスのお屋敷は……この村から、更に南西でいいんだっけ?」

「そうだよ。鍵を開ける方法だけど、…実際…魔法でどうにかできるのか?」

「鍵穴の種類によるかな。“スモール”か“リキッド”を使えば、内側から入れるとは思うが」

「まさか、魔法を家宅侵入に使う日が来るなんて思わなかったわね…」

「でも、方法がないなら仕方ないし」


傍目から見れば、可愛い女の子達に囲まれている晴人は…まさしくハーレム状態。

残念な男が2人ほどいないからこその光景だ。

ユーテキと瞬平が食べ終わるまで待ってるか、と晴人が宿屋の壁に背をかけて待っていると…

丁度目の前にいた、村人二人の会話が聞こえてくる。



「…おい、知ってるか?ジェイクの奴、“アンベラの洞窟”に向かったって」

「本当かい?無茶するねぇ…あそこには、モンスターもたくさんいるんだよ?」

「確かに、あそこには薬の材料となるアンベラの花が咲いているけど…」

「恋人を助けたいからと言って、何も、一人で行かなくたって」


少し気になったのか、晴人は「ちょっと」と声を掛ける。

ミカと凛子も、『モンスターのいる洞窟』に不安を感じたのか、詳しい話を聞こうとしていた…


「何かあったのか?」

「あぁ、いや、…あんた達余所者だろ。聞いてどうするんだ?」

「ちょっと気になってね。モンスターもたくさんいる場所に、一人で行ったって…」

「それがさぁ…」


村人から聞いた話によれば…

この村に住むシェリーという女性が、突然重い病気に罹ったようで、恋人であるジェイクは彼女を救おうとアンベラの洞窟に向かったまま……昨日から帰って来ないそうだ。

アンベラの花の蜜から取れる【アムベニウム】という成分は薬の原料となり、アムベニウムを使った薬は万能薬として伝えられている。

昔はグラニッドの村でも咲いていたようだが、アンベラの花の乱獲が原因で数が非常に少なくなり、“アンベラの洞窟”という火山地帯に僅かに群生しているのみ。

イーヴリンも「まずいね」と苦い顔をしながら、話していた。


「アンベラの洞窟は強い魔物が生息している。それに、長いこと立ち寄った人間もいないようだから…当然、主とも言えるモンスターもいるだろう」

「だったら、早く助けに行かないと!」

「それって、ここから近い場所にあるのか?」

「ああ。急げば間に合うかもしれない」

「だったら急ごう!ねぇ、イヴ!晴人さん!!」

「そうだな。…コヨミと凛子ちゃんはこの村で待っていてくれ、どうせユーテキや瞬平を待たなくちゃいけないなら、人助けしてからでも遅くないだろ」




コヨミと凛子は頷き、晴人達を見送る。

晴人一人ならば、マシンウィンガーを使えばすぐ行ける距離。

しかし、ミカとイーヴリンまで一緒となると…時間は掛かるだろう。

だが、何かあった時にユーテキだけだと心もとないせいか、イーヴリンも村に残ると言ってくれたため…晴人とミカの二人でアンベラの洞窟に向かうことになった。

晴人はコネクトリングでマシンウィンガーと2つのヘルメットを取り出し、ミカは晴人の背に捕まると、二人を乗せたマシンウィンガーは洞窟に向け走り出していった…


「それじゃあ、宿に戻って晴人達を待ちましょう」

「そうだね。しかし、狙われている自覚がないのか…自覚ありきでやっているのか。晴人もミカも、困っている人がいると放っておけない性分みたいだな」

「そうだ!だったら私達も、シェリーさんの看病をしましょ。ただ待っているより、そっちのほうが断然いいもの」


凛子の意見にはコヨミもイーヴリンも賛成し、3人は村人からシェリーの家の場所を聞くと、彼女を看病するべく向かっていた。

そして…

それから少し遅れ、ユーテキと瞬平が宿屋を出ていた。


「――皆酷いよぉぉぉ!?僕達を置いて行くなんて…」

「そうですよ、てっきり皆まだ起きてないんだと思って、のんびり朝食食べて……あれ?晴人さん??」

「え…ちょっ、……今度は僕達を置いて勝手にウェルテクス屋敷に行ったとかじゃ…」

「ええーっ!?そんな、ちょっ、…皆どこーっ!!?」


状況を知らず、その上完全に入れ違いになってしまったユーテキと瞬平。

お前達の明日は何処に。






〜〜〜






“アンベラの洞窟”

火山地帯としても有名なこの場所は、奥に進めば進むほどマグマの流れる場所が多い。

ジェイクと呼ばれる青年は、アンベラの洞窟を一心不乱に走って逃げていた。

その腕には、ピンク色の小さく可憐な花の入ったケースが抱えられている…

彼の持っているその花こそ、アンベラの花そのもの。

モンスターとの戦いはできるだけ避け、洞窟中を探し、苦労の末にようやくアンベラの花を手に入れたのだ。

最初はこんなマグマの溢れる場所に花なんてあるものかと半信半疑ではあったが、危険を冒してまでやってきたかいがあったというもの。

…しかし…


「ギャアッ、ギャアッ!」

「くそぉぉぉ…後は村に戻るだけだったってのに……!」


これで恋人の病気が治ると、気を緩めたのが原因か。

自分達の住処に余所者が入り込んできたと察知したモンスター達が、彼を襲い始めたのだ。

殆どのモンスターは撒いたが、アンベラの洞窟の主でもあるクレイデーモンだけは彼を執拗に追い詰める。

何とか出口まで辿り着き、森の中に隠れてやり過ごそうとジェイクは希望を見出すが

……別のクレイデーモンが彼の前に現れ、唯一の出口で立ち塞がっているではないか。

――もう少しだったのに

――俺はここで終わるのか

ジェイクの心が折れそうになっていると、正面のクレイデーモンに銃弾のようなものが当たる。

クレイデーモンはそのまま地面に倒れ伏せ、その背後に見えたのは…マシンウィンガーに跨った状態でウィザーソードガンを構える晴人の姿。


「あんたが、ジェイクか?」

「…あ、あんた達は…?」

「旅のお節介焼きさ。あんたが恋人のために危険な場所に行ったって話を聞いてね、様子を見にきたんだ」

「こいつらは私達に任せて、ジェイクさんはシェリーさんの所に行ってあげて!」

「あっ、ああ…誰かは知らないが、恩に着る!」



ジェイクは晴人とミカに感謝しながら、グラニッドの村へと走っていく。

念のために周辺の魔物も弱らせておいた。きっと、安全に村に向かっているだろう…

彼の背中を見送っている間にも、クレイデーモンは翼で浮き上がり…もう一体と共に、晴人とミカへ怒りの咆哮を向ける。

晴人はウィザードライバーを呼び出しながら、獲物を奪われた怒りで憤っている2体のクレイデーモンを冷静に見ていた。

…空を飛べるモンスターみたいだが、『洞窟』という狭い場所じゃあ機動力は制限される

場所も場所だけあってか、選んだのは青のウィザードリング。


<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン! シャバドゥビタッチ、ヘンシーン!>

「変身!」

<ウォーター、プリーズ スィ〜スィ〜スィ〜スィ〜♪>


仮面ライダーウィザード・ウォータースタイル…

水の属性を持ち、魔力の高さを生かしたテクニカルな戦いを得意とする形態だ。

ウィザードWSはウィザーソードガンを構え、向かってくる1体目のクレイデーモンに斬りかかる。

クレイデーモンはその手に持っている槍でウィザードWSの心臓を貫こうとし、ミカは「危ない」と叫ぶが…

攻撃が当たる直前にウィザードWSが使った魔法リングによって、攻撃は無効化されてしまう。


<リキッド、プリーズ>

「ガッ…!?」

「それだけで終わりか?」

「グガァァァ!」


クレイデーモンは尚も連続で攻撃を続けるも、何度突いてもウィザードWSの体は水のようになって攻撃が貫通するのみ。

“リキッド”の魔法は、自分の体を液状化させ、相手の攻撃をある程度無力化する効果がある。

それを生かして液体がクレイデーモンの体に纏わりついたかと思えば、具現化し、そのまま空中のクレイデーモンの背に乗ったかと思えば、その状態で首を締め上げていた。

思うように動けずもがく仲間を助けようと、もう一体のクレイデーモンが向かってくるが…リキッドの魔法は未だ継続中で、ウィザードWSの背を突いたかと思えば…その攻撃は仲間のクレイデーモンを突き刺してしまう。




「…凄い…」


ミカがウィザードの戦いを、実際に見るのは…これがほぼ初めてだからだろうか。

凶悪なモンスターを、しかも二体同時に戦うなど、大変なことだ。

しかし、ウィザードWSは苦戦するどころか未だ余裕綽々といったところ…

ミカも負けていられないとばかりにダブルセイバーを構え、ウィザードWSにばかり気を取られているクレイデーモンの真下まで距離を詰め、そのまま高く跳躍。

狭い洞窟内では上空に逃げられることがなく、ミカでも追い討ちが容易。


「私のことも忘れないでよねっ!虎牙破斬ッ!!」

「ガガッ!?」

「お、結構やるじゃん。俺も負けてられないな」

「ガガガ…」


空中のクレイデーモンを切り伏せるミカを見ながら、ウィザードWSは空中卍の字固めで別の一体を締め上げる…

正直、魔法では片付けられないほどの凄い体勢である。

しかも空中パロスペシャルまでやり始め、ウィザードWSを相手にするクレイデーモンはもはや虫の息。

「そろそろ頃合か」と思ったウィザードはクレイデーモンの体を思いっきり蹴り付け、クレイデーモンは地面に叩きつけられる。

ミカももう一体を虎牙破斬で攻撃し、片翼を奪う。

更に魔神剣による追撃で体勢を崩すクレイデーモンを攻撃し、地面に倒れている仲間の上に落ちるようにしてクレイデーモンは叩きつけられる。


「よし、決めるぞミカッ!」

「OK!」

<キャモナスラッシュ、シェイクハンズ!>

<ウォーター、スラッシュストライク スィースィースィー!スィースィースィー!!>

「…スプラッシュ!!」



ウィザードWSはウィザーソードガンの握り手にある黒い手を握り締めながら、最大の必殺技の準備をする。

対するミカも、暫く精神を集中させたかと思えば…

水属性のスラッシュストライクに合わせる形で、地中から大きな波が巻き起こる。

水の大技を同時に二つも食らい、2体のクレイデーモンはそのまま消滅。

「やった」と喜ぶミカに、ウィザードWSは首を傾げながら、ミカに尋ねていた。


「え…あれ?それって、魔法じゃないのか…??」

「あ、さっきの?あれは“術”って呼ばれるもので…ううーん……晴人さんの言う魔法とは違うかな。いわゆる攻撃手段??」

「あー…例えば、その“術”ってので体の一部が大きくなったり…伸びたり…液体化したり…小さくなったりすることは」

「できるわけないよ!?それは完全に魔法の類だから!!?」

「成程、『とりあえず普通の人間にできないぐらいにありえないもの』は“魔法”で…『戦うためにある程度必要な攻撃』は“術”……でいいのか?」


いまいちピンとこないのか、ウィザードWSは人差し指で米神のある部分をぐりぐりと押している。

ミカも、術や魔法の違いはよく分かっていない部分があるのか…「大体そんな感じ」と適当に答えていた。

術とか魔法とかはさておき、ジェイクが村に戻ったのならここに長居をする必要はない。

晴人は変身を解除し、再びマシンウィンガーのハンドルを握ると…

ミカを連れ、グラニッドの村に戻っていった。






***




ウォータースタイル救済回。

次回は…

×××××救済回。

こうでもしないと、暫く×××××の出番ってなさそうなので…


自分も、2〜3年ぐらい前にやったきりなので、ラディスの予言に関する記憶とか結構曖昧なんですw

ストーリーの大筋もだけどね←

まあ一応、ニコニコ動画に途中までプレイ動画が上がっていますが…本当に途中まで。

ちなみにこのウィザブレを楽しむコツは…

【テイルズシリーズとのコラボ】というのを忘れてくださいw

“テイルズ”って思うと、多分乗り切れない人が多いと思うので。

そうでなくてもブレイカーって…ドマイナーなほうなんですよ……?

シンフォニアかグレイセスにしておけば分かったのだろうかと思い直すほど、ドマイナーなんですよ……??

【晴人一行が別の世界に行って、そこにいるファントムの陰謀に巻き込まれている】程度に思ってくださって構いません。



シラスとギリオンは相変わらず怪しい動きばっかりしてますねw

今回のファントムの元ネタは、

レム→光の精霊レム。Sのルナと迷った部分はありますけど、ルナって思いっきり女性に使う名前ですので…

セルシウス→氷の精霊セルシウス。喋れないというよりは、無口

ミカのピアスに関しては…ちょっとだけ覚えていてください。

凛子とミカの、女の子同士の会話っていいですね〜

そういえば晴人とミカの共通点って、両親を失っていることなんですよね…

これで、本編でも『晴人の両親の事故は、晴人を絶望させるべくファントムが仕組んだもの』ってなったら……共通点ありまくりってレベルじゃなくなりますねw


テイルズ関係と絶対コラボしたかった理由その1・四大元素があること。

炎、風、水、土の四つの属性に関する見解は、結構前から書いてみたかったことでもあります。

それから、どうしてウィザードの初期フォームはこの4つの属性なのかという個人的な見解も。

この4つの属性は世界を構成するのに必要なもので、これらのうち1つでも欠けていたら世界は成り立たないと思うんです。

だからこそ、魔法を使うものは…世界を構成するのに重要な要素となる火・風・水・土を扱う、という。

この辺って、多分ですけど…カードキャプターさくらとかも同じなんじゃないかと思ってます。

あれも、火・水・土・風の四大元素がありますし。

ちなみに…

この4つの元素に+される形で、光や闇というのも必要な要素の一つですよね。

光…太陽があるからこそ、植物は育つし暖かい日光の下で暮らすことができる。

闇…月があるからこそ、昼とは違う静寂が世界を包み、人が次の一日に向け体を休ませることができる。夜は基本的に生物が活動を止めるのに適した時間帯ですしね。



ユーテキと瞬平の扱いw

…ちなみに、男性陣のヒエラルキーですが…

多分女性陣の権力のほうが、すさまじく強いですw

今後加入してくるブレイカー側のキャラクターも、男性陣は一人だけしかその扱いを免れられませんし。

晴人? 彼は…はんぐり〜の店長がいなければ基本振り回されないでしょうし、瞬平の不憫にさえ巻き込まれなければ大丈夫w

ザウバー…

彼 は 公 式 で か な り 弄 ら れ て ま す 。

ルルは…少なくともザウバーを振り回す一人です。ユーテキより力関係が上になりそうな子です。

もう一人の人は………彼、絶対安全圏。


※今回出てきたジェイクという人は、JKとはまったく別の人です

ウォータースタイル、やっと出番がありましたね!

しかも何の因果か…3話で……

その発散をするかのごとく、リキッド→空中首絞め(腕で絞めてます)→空中卍固め→空中パロスペシャルの鬼畜コンボw

それハリケーンでやれよ。落ちる心配しなくていいから。

そしてお前の何処が【魔力の高さを生かしたテクニカルな戦いを得意とする形態】だ。

【力と守りの高さを生かして戦うパワースタイル】のランドさんに謝罪しろ。

【空中の移動も可能で、機動力に長けるスピードスタイル】のハリケーンに土下座しろ。

ちなみに…

術と魔法の違いって、あんまり気にしなくていいと思いますw

あれは世界の認識の違いでもあるので。

……それでも、小さくなったり別空間にあるものを取り出すのは【魔法】のカテゴリーで間違っていないと思うんだ。




次回は…

ウィザードといえば、やっぱりアレですよねー!