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タイトル未設定 - Magic14:砂漠の町と魔法少女

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Magic14:砂漠の町と魔法少女

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砂漠の町、セラピア。

かつてはオアシスが存在していたこの町は、突然の旱魃によってオアシスの水が枯れ果てたと言う…

そんなとき、話を聞いてセラピアに訪れたミカの両親は、【水源JM】という半永久的に水を湧き上がらせるレプリカJMを作り、町の中央にある噴水広場に設置したそうだ。

水源JMはたちまちその効果を見せ、枯れ果てた水路に水が戻り、人々はウェルテクス一族に感謝したと言う。

――しかしレヴィーからの情報では、セラピアの水源JMは突如奪われ、また昔のような旱魃が起こりうる状態だそうだ。

フライハウト団のメンバーから砂漠を渡るための物資を貰い受けた晴人達は、急いでセラピアに急行…

到着したのは、フライハウト団のアジトがあった山岳地帯から1日経った昼過ぎであった。


「でも、一体どうして急に水源JMがなくなったんでしょうね」

「やっぱりこれも、帝国が関係しているのかしら…?」


瞬平や凛子がそう話しながら、セラピアの町の門を潜る。

…人々に元気はなく、すれ違う町の人々は沈んだ顔をした者ばかり。

人々の活気が少ない理由が分からないのか、旅の聖職者やJMハンターはそんな様子を見て首を傾げている。

町中に張り巡らされた水路を見ると、ユーテキは「あ」と声を上げながら水路近くに彫られた不思議な文様に目を光らせていた。


「……凄いよ!これはきっと、水源JMの水が氾濫しすぎないように制御するためのものだよ!!」

「そうなの?」

「うん。水を多く溢れさせたら、下手をしたら町中水浸し…ってこともありえるからね。それにしても…凄い、凄いよ!ウェルテクス一族ってやっぱり凄いなぁ…!!」

「…なんだかよく分からないけど、お父さん達って…こんなに凄い研究をしてたんだ」



ユーテキとミカが話している横で、晴人とイーヴリンは二手に分かれて聞き込みをしたほうがいいのではないかと話す。

この町の人々に話を聞くチームと、町長の家で詳しい事情を聞くチームだ。


「どう分ける?街中でファントムや帝国の連中に会った時のために、戦力は均等に分けておきたいところなんだけど」

「そうだね。……だったら、晴人・コヨミ・ザウバー・瞬平が町の人達に話を聞くチーム。残った私達が、町長に話を聞くチームでいいだろう」

「その分け方の基準は?」

「瞬平とユーテキのお人よしコンビは分けたほうがいいだろうし、それに…瞬平でもいないと、コミュ障2人を抱えての聞き込みは無理だろう…?ザウバーの憎まれ口はある程度の緩和剤がないと危ないし」

「確かに。…それに、ミカにユーテキに凛子ちゃんは騙されやすいほうだし……イヴがいたほうが安全だな」


コミュ障、とイーヴリンにはっきり言われた二人は……必要以上の会話をしない人形と眉間シワ星人に他ならない。

その分、色々な意味で晴人が苦労するのだろうが…

とにかく凛子達にも詳しいチーム分けを発表し、各々のチームに分かれて聞き込みを開始していた。






〜〜〜






ミカ・イーヴリン・ユーテキ・凛子の4人は、早速この町の町長の家に向かう。

その途中、噴水広場の様子を遠くから眺めることができたが…

それまで水源JMがあったであろう台座には、何もない。

一体どうしてこんなことになったのだろうか?

そう思いながら、町の人の話を頼りに町長の家に向かい、イーヴリンがドアをノックする。

すると、そこに現れたのは水色の髪をした綺麗な女性であった。


「はい。…どなたですか?」

「いきなり申し訳ありません。私達は、旅のJMハンターですが…町長は」

「町長なら、部屋におりますが…今、少し立て込んでおりまして」

「水源JMのことですよね。私達、この町の水源JMが無くなったと聞いて…どうして突然なくなったのか、調べに来たんです」


イーヴリンの後ろから、ミカが顔を出しながら女性に言う。

女性…エルレンは彼女の顔を不思議そうに見た後、町長に彼女達のことを話しに行く。

暫くして、エルレンは再び町長の家から顔を出し、「入っても宜しいとの事です」とミカ達を家の中に招き入れた。

そのまま奥の部屋に通され、その先にいたのは、灰色の髪の男性…恐らく彼が、町長なのだろう。


「……君達かね、エルレンの言っていた…水源JMが無くなった原因を調べに来たJMハンターというのは」

「はい。…あの、一体何があったんですか?」

「…2週間ほど前だった。突然、聖海騎士団がやってきて…水源JMを奪っていったのは」

「「「聖海騎士団!?」」」



聖海騎士団、という名前にミカ達は驚きを隠せない。

――聖海騎士団といえば、ラディス教の親衛隊ともいえる聖教軍…

そんな彼らが何故、水源JMを?

ミカやユーテキが疑問に思っていると、イーヴリンが推測を口に出す。


「…恐らく奴らは、この町の水源JMをオリジナルJMと勘違いして奪い去っていった…ってところだろう」

「水源JMって…ウェルテクス一族の技術によって作られたレプリカJM、って報告書にもあったよね。それなのにどうして!」

「その内容が記されている報告書は私達の手にある。だから、あいつらはこのことを知らないはずだよ……まあ、無尽蔵に水を生み出すJMなんて、何も知らない人間が見たら…オリジナルJMと間違えるのも無理はない」


成程、とイーヴリンの話を聞きながら、凛子はメモ帳で簡潔にではあるが話を纏めている。

・水源JMはウェルテクス一族が作ったレプリカ

・聖海騎士団は、オリジナルJMと睨んで水源JMを奪い去っていった

・では、何のためにオリジナルJMを求めているのか?

3行目の文章を書いたところで、凛子はうーんと唸り…イーヴリンに訊ねる。


「……だったら、帝国はどうしてオリジナルJMが必要なのかしら?」

「さあね…でも、帝国の最終目標は、『ラディスの予言の実現』だ。となれば、予言の中にあった…【聖なるもの】を探しているのかもしれない」

「「「聖なるもの…?」」」

「聖なるものってのは、人によって解釈が異なっていてね…ラディス教のシンボルストーンだったり、オリジナルJMだったり、アムニスフィールドだったり。一番ぶっ飛んでるものでは……月なんてのもあったよ」

「つ、月は流石に…」

「まあ、確かに神秘的ではあるけど…」




ユーテキと凛子は苦い顔をしながら、イーヴリンの話を聞いていた。

だが、そんな話を聞きながら、ミカは自分の指にある指輪方のジェネレーターに填め込まれたオリジナルJMを見る。

――帝国の狙いはオリジナルJMだって言っていた

――じゃあ、もしかしたら私の持っているこれが…?

そうしていると、町長は頭を抱えながら溜息をつき始める。


「……今はまだ、この町の人間が暮らせるだけの水があるが…いずれ残りの水も枯れてしまう。このままでは、セラピアはおしまいだ…」

「町長…お気を確かに」

「すまない、エルレン。何とかして、君とジョージの結婚式を挙げさせてやりたかったのだが…」

「――絶望しちゃ駄目です!まだ、希望はありますから!!」

「そうだよ、凛子の言うとおり…絶望するには早いよ!……私達が、取り返してくる!!」

「「「えっ!?」」」


ミカの言葉に、イーヴリン達は驚いたような顔を見せる。

…が、ミカならきっとこう言うと心のどこかで思っていたのか、すぐに諦めていた。

それに、ユーテキ達もこのまま水源JMがないままではセラピアが人の住めない町になってしまうということは、分かっている。

敵地の中に飛び込むことにもなるだろうが、文句は言っていられないだろう。

このセラピアが、ウェルテクス一族と繋がりの深い町なら尚更。


「……ま、ミカならそう言うと思っていたしね」

「相変わらず、ミカって後先考えずに突っ走るよね。そこが困ったところでもあり…いいところでもあるんだけど」

「晴人君達にも話して、水源JMを絶対に取り返しましょう!」

「…うん!」





その頃…

晴人達も町のほうで、人々に色々な話を聞いていた。

こういう時、誰ともフレンドリーに話せる瞬平は便利だ。

時々おっかない顔のJMハンターに睨まれることもあったが、そこは晴人とザウバーがフォローに入っていた。

彼らの得た情報は、

『町から出て南西の方角に、砂漠の中だというのに森を見た』

『この町は水源JMのお陰で生活できていたのに、聖海騎士団のせいで明日すら危うい』

『あの少女が来てくれなかったら、この町は終わっていた』

…というもの。

晴人は“砂漠の中の森”に引っかかりを覚え、瞬平とコヨミは水源JM紛失の原因が聖海騎士団だと分かり憤りを隠せなかったが、むしろザウバーは“あの少女”という部分に着目していた。


「……どうやら水源JMを奪われた後に現れた少女とやらが、暫くこの町の水を何とかしていたようだな」

「えっ、そうなんですか?」

「でも…この町全体の人々が暮らせる量の水を賄うなんて、それこそ魔法でもないと…」

「少女、ねぇ。もしかしたら、自分で希望を作っておいて一気に絶望に叩き落すタイプのファントムかもしれないし…それとは無関係かもしれないし、とにかく話を聞いてみるしかないか」



「―――あああー!ルルちゃん、どこ行っちゃったんだよぉぉぉ〜!!」


突然、噴水広場から聞こえてくる男の声。

一体何なんだ、と晴人達がそこに向かうと、水源JMを設置していた台座の前で右往左往している男がいた。

灰色の髪で、見た感じ落ち着きがない…瞬平が大人になったみたいな人だな、と晴人は心のどこかで思っていたとか。

とにかく、晴人と瞬平は男性に必死で声を掛けていた。


「…あのー!ちょっといいかな!?」

「一体どうして、そんなところで慌てているんですかー!?」

「なんでって、ルルちゃんが来ないからだよぉ!ああ、どうしよう、あの子がいないと…セラピアの町の水が総て枯れちゃうのに!!」

「……ルルちゃん?」

「それってもしかして、ザウバーさんが言っていた少女のことですかね?」

「そう…だろうな、恐らく」


「ルルちゃん」という名前にコヨミは首を傾げ、瞬平とザウバーは互いに話している。

男性…ジョージは未だわたわたしており、見かねた晴人が落ち着けとばかりにクラーケンを投擲。

それで正気に返ったジョージは、深々と彼らに頭を下げると、詳しい話を始めていた。


「ご、ごめん。昔から落ち着きがなくてね…」

「で…『ルルちゃん』って、誰なんだ?」

「聖海騎士団から、水源JMを奪われてから……いつも砂漠から現れて、それこそ魔法のような不思議な力で…水源JMそっくりの水の珠を作ってくれていたんだ」

「「「魔法?」」」

「だけど、これは2日しか持たないみたいで…ルルちゃんは2日に1回、砂漠の中にある蜃気楼の森から、水の珠を作りに来てくれた。でも、昨日は水の珠を作りに来てくれる日だったんだけど……」

「…来なかった、というわけか」



ザウバーの言葉に、「そうなんだよぉ」とジョージは再びうろたえながら話す。

先程晴人が言ったように、『自分で希望を作って一気に絶望に叩き落すタイプ』のファントムならば、突然来なくなった理由も、絶望させたいゲートがいるからだろうが…

とにかく、調べてみないことには分からない。

それに、ジョージの言っていた「魔法のような不思議な力」というのも気になる。


「…分かった、俺達もその子を探してみるよ。ミカ達がここにいても、そう言うだろうし」

「本当かい!?」

「……相変わらずお人よしな奴らだな」

「でも気になるだろ?……俺としても、そのルルって子がファントムなのか、それとも本当に魔法を使うのか知りたいところだし…蜃気楼の森には、どの道行きたかったんでね」

「僕も!魔法を使う女の子って事は、魔法少女ってことですよね!?会ってみたいな〜!!」

「晴人と同じ魔法使いかもしれないのには、ちょっと興味があるかも」

「……晴人の理由のほうがまともなのはどういうことだ?」


ザウバーは「はあ」と溜息をつきつつも、3対1…これに凛子達が加わればもっと圧倒的な数の差になることを思い出し、諦めたかのように承諾する。

晴人達はジョージと別れ、予め合流場所として決めていた宿屋の前に集合する。

既にミカ達は宿屋の前に集合しており、町長に『水源JMを取り返す』約束をしたことを話す…

度重なる安請け合いにザウバーは頭を抱えるが、晴人とコヨミはそんな彼を宥めつつ、ミカ達と話をしていた。


「水源JMを取り返すのも大事だけど、今現在セラピアの町で起こっている危機を乗り越えないと…どの道この町は終わるだろうな」

「そうね。だったら、先にルルって子を探して…水の珠を作ってもらってから水源JMを取り返しても、遅くはないわ」

「そうね…それに私、その子の不思議な力には興味があるもの」


ミカも、ルルの“不思議な力”に何か惹かれるものがあったのか、先に晴人達の用事を済ませることを決める。

全員(一人怪しいが)の意見が一致したところで、ミカ達はセラピアを出て、南西にあるという蜃気楼の森を探していた…






〜〜〜






聖地ラディウス。

そこで待機させていたセルシウスに、オリジンが直接指示を出しに来た。

セルシウスは言葉を発せないが、従順だ。

実に扱いやすく、実力もオリジンが認めるほどだけあってか、信頼は今残っているファントムの中でも厚い。


『セルシウス。…いずれこの聖地ラディウスにも、奴らは来るだろう』

『……』

『ところでセルシウス、ゲートの記憶は戻ったか?』

『…』

『……だろうな』


オリジンの質問に、セルシウスは首を横に振る。

――セルシウスは、ゲートの記憶を持ち合わせていない。

どういった理由なのかは分からないが、目も口も持ち合わせていないその姿に関係しているのだろう…

まあいい、とオリジンは言うと、セルシウスを見ながら話す。


『お前はこの世界で生まれたファントムの中でも、とりわけ優秀だ…何せ、ゲート自体が特殊なのだから』

『……』

『任せたぞ、セルシウス』

『…』






その同時刻。

ミカ達は暫く砂漠を歩いていると、蜃気楼の向こう側に、不思議な森を見つけた。

恐らくあれが、ルルの住んでいる森だろう…

そう思ったミカ達は、早速森の中に足を踏み入れる。

そこにある草花はとても不思議で、ハートや星といった珍しい形の葉をしている。

更に目を引いたのは、虹色をした綺麗な花…

この光景に、晴人達は息を呑み……ユーテキは、晴人に訊ねていた。


「晴人さん。……魔法って…こんなこともできるものなの?」

「少なくとも、俺はこういうの専門外。それこそ、ユーテキが読んでいたっていう…『チチンプイ』って本の魔法使いによるものだろ」

「…ファントムでもできないわね、こんな芸当」

「ほ、本物の魔法の森…凄いッ!ルルちゃんって子は、本当に魔法使いなんだ!!いや、魔法少女!?」

「そして1人盛り上がっているのがいるし…」


魔法の森を間近に見た瞬平は、1人だけおかしなテンション。

そんな彼を見てミカは呆れながらも、ルルが住んでいそうな場所を探す。

すると…

目の前には、いつの間にかファンシーな装いの家。

窓はハートで、屋根も鮮やかなピンク色。森のセンスから言って、ここにルルが住んでいるのだろう。

「いつの間に家が」と思いながらも、ミカはドアをノックする。


「あのー、ルルちゃんいますかー?」

「ルールーちゃん、あーそびーましょー」

「ユーテキ何言ってんの!?」

「いや、何か、言わなくちゃいけないような気がして…」

「あんた…それ、大きな目玉を描いた袋を頭に被らないといけなくなるよ…?」

「どこの未来少年だ…」


ミカ・ユーテキ・イーヴリン・ザウバーによる漫才はさておき。

晴人は念のためにドアノブに手をかけるが、やはり鍵は掛かっている。

仕方がない、と思った彼は“コネクト”リングで扉の向こう側に手を伸ばし、鍵を開ける……家捜しに持ってこい過ぎる。コネクトリング。

鍵の開いたドアを晴人は思いっきり開き、そこで待っていたのは…

ロープで体を縛られている、桃色の髪の少女がそこにいた。

近くには彼女のペットらしきサルが「ポポー!」と鳴いており、ミカ達はどういうことだと慌てて家の中に入るが



「――まさか、本当に現れるとは…【不思議な力を持つ少女】様々だな」



そう言って、家具や壁の影から現れたのは、特務機関Gの隊長である…グラント。

更に彼の配下でもある、他の特務機関Gの面々も顔を出す。

彼らの登場に、晴人達は目を見開き…ミカは特にグラントを睨みつけるように見ながら、叫んでいた。


「…グラント!」

「お前達の能力との関連性を疑ったのは正解だったな」

「もしかして、ここで待ち伏せしてたの!?」

「……そうか。不思議な力を使う少女の話を聞けば、ミカも俺もその少女とコンタクトを取るに違いない…それを狙って、捕まえたってわけか」

「そんな!あんなに幼い子を、気絶させて拘束して…こんなの酷いじゃないか!!」


グラントの言葉に、凛子は叫び、晴人は舌打ちする。

そのすぐ近くでは、ルルの状態を見た瞬平が特務機関Gに文句を言うが、彼らは既に戦闘態勢を整えている。

どうやらこの場で、ミカ達を捕まえるつもりなのだろう…

晴人もウィザードライバーによる変身を行おうとするが、その前にグラントは彼にあるものを見せる。

――それは以前、奪われていたはずのウォータードラゴンリングだった。


「それは…俺の指輪!」

「不思議な力を使う娘ならばこの指輪のことが分かるだろうと、シラス宰相に頼まれて試したが…何の反応もなかった。恐らく、貴様以外には使えないということだろうな」

「…その結論に至るのに、ホント何話掛かってんだよお前ら…」

「と同時に、お前を連れ帰れば…お前の持つ指輪が【聖なるもの】かどうかが分かる。ユディーヌ様のためにも……協力してもらうぞ」

「それはどうかな。むしろ、とある世界では最強の一角と名高い氷結女帝のリングを…返してもらうぜ!変身!!」

<ウォーター、プリーズ スィ〜スィ〜スィ〜スィ〜♪>




晴人はすぐさま仮面ライダーウィザード・ウォータースタイルに変身すると、ウィザーソードガンでグラントに斬りかかる。

ノーマンはミカ、グリエルモはザウバー、ヤナはイーヴリン、イレナはユーテキが相手をし、激しい戦いが繰り広げられていた。

その間に、凛子・瞬平・コヨミはルルを助けるため、戦いに巻き込まれないよう気をつけながら彼女の元に接近。

ようやく辿り着くと、凛子は急いでルルを縛っていた縄を解き、瞬平とコヨミが声を掛けていた。


「ルルちゃん!しっかり!!」

「…大丈夫!?」

「……んー…ふあぁ……あれぇ?ルル、セラピアの町に行こうとしたら変なおじちゃん達に会って…って、何これぇ!?」

「あ、起きた!」

「ポポー!」

「あ、ポポ!よかったぁ元気で!!」


ようやくルルが目覚め、近くにいたサルも嬉しそうに声を上げる。

感動の再開を邪魔するのも悪いが、凛子と瞬平はルルに状況を簡単に説明する。

…自分達は町の人に頼まれて、ルルを探しに来た

…そうしたら、自分達をおびき出すためにルルを利用した特務機関Gとの戦闘になっている

「んー」と少しばかり考えた後、ルルは大きく頷き、凛子達に言う。


「分かった!だったらルルも、悪い人達にお仕置きしてあげるんだから!!」

「ルルちゃんも戦えるの!?」

「そうだよぉ!見ててね…“アイスニードル”!!」



ルルはそう唱えると、天井から氷の針を無数に降らせる。

氷の針は特務機関Gを襲い、…ついでにユーテキにも誤爆していた。

ユーテキは「僕は敵じゃないってばー!」と叫びながら逃げ続け、ウィザードWSも巻き込まれないよう回避しながらグラントを見据える。

…すると、攻撃の合間を縫ってミカがダブルセイバーを振るうが、簡単に受け止められてしまう。


「家族みんなの…おじいちゃんの仇…!」

「どうした、ウェルテクスの娘。あの姿にならないのか?」

「…ッ!」

「あの化け物のような姿にさえならなければ、貴様など容易い。……連れて帰るには、五体満足でなくても構わないだろう」

「「「ミカッ!」」」


グラントがミカに斬り返し、ミカは肩から血を流す。

ユーテキが拳銃を構えるも、目の前には他の特務機関Gのメンバーが邪魔をし、同じように邪魔をされたイーヴリンも舌打ちをする。

くっとウィザードWSもこの状況に頭を抱えるが…ミカにトドメを刺そうとするグラントを止めたのは、想定外の人物だった。

――ザウバーだ。

立ちはだかるノーマン達を飛び越え、グラントの懐に入り込むと、そのまま左に持った刀で相手の利き手を斬り付ける。


「ぐっ…!?」

「…」

「ザウバー!」

「こいつっ、よくもグラント様を…」

「おっと!余所見はしないで貰おうか!!」

<ビッグ、プリーズ>



グラントに深手を負わせたザウバーを殺そうと、グリエルモが剣を構えるが…

即座にウィザードWSがビッグリングを使って、デコピンでグリエルモを弾き飛ばす。

そんな晴人の魔法を見て、ルルは目を輝かせて大はしゃぎ。

一方で、ザウバーとグラントは激しい剣戟を繰り広げており、利き腕の自由が利かないグラントのほうが若干不利とも言える。

そして…

その援護を行うべく、ウィザードWSがウィザーソードガンの弾丸でグラントを射撃する。

グラントは何とかそれをかわすが、その際ウォータードラゴンリングを落としてしまい、すかさずコヨミがガルーダを使って回収させていた。


『ピィ、ピィ』

「ありがとう、ガルちゃん!」

「コヨミ、ナイス!」

「くっ…分はこちらのほうが悪いか。……撤退するぞ!」

「「「は、はいっ!」」」

「あ、待ちなさいよッ!」

「ミカ、あんたも怪我してるんだ。それに…ここに来た理由は、あいつらを倒すためじゃないだろう」


グラントの号令に、他の特務機関Gのメンバーも撤退を開始。

ミカは斬られた場所を押さえながら叫ぶが、イーヴリンの冷静な判断に、悔しそうな顔をしながらもそれを見送っていた。

一方で、自分を助けてくれたザウバーにお礼を言おうとするミカだが、彼の形相はどこか怖い。

…まるで、湧き上がる怒りを必死で抑えているかのような…

一体どうしたのだろうかとミカが思っていると、ルルはキラキラと目を輝かせながら……特に変身を解除し、コヨミからウォータードラゴンリングを受け取っていた晴人に声を掛けていた。




「すごーい!お姉ちゃん達、強いんだね!!……それにそこのお兄ちゃん!!」

「俺?」

「うん!ルルも色んな魔法を使うけど、お兄ちゃんみたいに手がいきなり大きくなったりなんてできないもん!!」

「ポポ、ポポー!」

「あ、自己紹介遅れたね。ルルはルルっていうの!それで、こっちはパートナーのポポ!!」

「俺は操真晴人。晴人でいいよ」

「晴人……はるとんだね!」

「はっ、はるとん?」


初対面でいきなりあだ名を付けられてしまった晴人は、素っ頓狂な声を上げてしまう。

ポポは人懐っこい性格なのか、ルルの肩に乗っていたかと思えば、コヨミやミカの頭の上にも乗ったりしている。

いいなぁ、と興味本位で触れたユーテキに対しては容赦なく噛み付き、何もしていない瞬平は…引っかかれていた。相変わらず可哀想な二人である。

それを見ていたザウバーも、先程の形相はどこへやら、鼻で笑いながら呟いていた。


「動物も相手を選ぶということか」

「えぇー…ザウバー酷いよー!」

「そうですよぉ!?」

「そういえば、どうしてお姉ちゃん達はここに来たの?」

「あ、そうそう。さっきも言ったけど、私達は町の人に頼まれて…ルルちゃんを探しに来たの。あなたなら、セラピアの水不足を一時的に何とかできるって聞いたけど…」

「あっ、そうだった!早くセラピアに行かないと!!」



凛子の言葉に、セラピアのことを思い出したのか、ルルは急いでいこうとする。

だが、彼女は今までグラント達に捕まっていた身でもある…

それに、いくら彼女が魔法を使えたとしても、道中にはモンスターがいて危険だ。

ミカはユーテキに“リザレクション”で回復してもらった後、慌ててルルを追いかける。


「待って!私達も一緒に行く!!」

「うん!えーと…」

「私はミカ」

「ミカちゃんだね!うん、皆で一緒にいこー!!」

「……なんというか、元気いっぱいだねぇ」

「確かに」


今の今まで捕まっていたはずなのに、元気に大はしゃぎするルル…

そんな彼女を見ていたイーヴリンと晴人は、互いに苦笑する。

とにかく、一行は魔法の森を後にし、セラピアの町へと戻っていった。






***




遂に出ました。

バレンタインでは、チョコでサルのモンスターを作り出し!

絵心大戦では、ザウバーのRXを見事別のものに下方修正し!!

その結果妖怪終末サゴーゾのデコピンを食らって3回転する結果になった、ルルが!!!

…遂に出ました。


今回は割と結構詰め込んだ感満載です。

というかコミュ障と言われたコヨミとザウバーw

…まあ、この二人のフォローができるのって、晴人と……二人のコミュ障を中和できるコミュニケーション能力を持った瞬平ぐらいですよね。

そして凛子ちゃん何気に刑事らしいこと(=メモ帳を取り出してメモする)してるなぁw



晴人とルルの魔法のベクトルって、実は別方向なんです。

んー、例えるなら…ビーストリング。

ドルフィンなら仁藤が使えば回復能力に優れる、テイルズで言う「リカバー」や「ヒール」のようなものですが…晴人が使えば、まるでピスケス(not神さん)のように地面を泳ぐように移動できるリキッド強化版

……みたいな感じで、同じ“魔法”でもその性質はまったく逆ってことです。

まあ…もっと分かりやすく言っちゃうと、魔法を料理と例えるなら、シャウタとナツミカンが同じオムライスを料理しても、出来上がるのはまったく違うものって感じです。


やっと出てきたな特務機関G!

そしてお帰りウォータードラゴン!

…ウォータードラゴンによるシアーズの制御は、あるファントムとの戦闘にとって起きたいので……今はやりません。

実はグラントと邂逅した際に、グラントから要らんとばかりに投げ返される予定でしたが…

それだと早くにミカがシアーズ制御できるようになってしまうんで、やめました。

そして、はるとん言われる晴人ェwww




セルシウスが盛大なフラグをぶっ立てた感満載ですね!

まあそれは、うまくいけば次回で。