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Magic31:自由の国

第4章 共和連合
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晴人達がダティーバ大陸に向け、ウェルスの町を発ち…

シャドゥに彼らの動向を探らせていたギリオンが、彼らの次なる目的地をシラスに告げていた。


「シラス様。奴ら、ダティーバ大陸にある…自由の国・グリュッグに向かうようです」

「グリュッグ…あぁ、あの多種多様な蛮族の寄せ集めの国ですか。そんなところに行って、何をするのやら……私としては、異国の呪術者やウェルテクスの娘の力さえ見られればそれで構わないですがねぇ」

「どうやら、ツァールハイトとグリュッグで同盟を結成するようですね。いかがいたしましょう」

「ふむ…どちらも我がウェルテクス社の兵器に掛かれば一網打尽ではあるが、猊下に頻繁に使ってはならぬと釘を刺されてしまいましたからなぁ」



「――どうやら、あなた方がウェルテクスの娘達を何らかの形で見張っている…という情報は、正しかったようですね」



物陰から現れた、一人の人物。

…審問官ユディーヌだ。

どうして奴がここに、とシラスは目を細めるが、ユディーヌは特に気にすることなく話を続けていた。


「猊下のご命令だ。暫くはグリュッグ・ツァールハイト両国の出方を覗うため、帝国軍は使えない…そこで我々特務機関がウェルテクスの娘を捕獲しろとのことだ」

「それで、ユディーヌ殿はどのような用件で、こちらに?」

「…ウェルテクスの娘や異国の呪術者以外にも、妙な力を使う男がいるというヤナ・イレナからの最期の連絡が入った。捕獲用の兵器の貸し出しと、――それから我々に奴らの居場所を教えてもらいたい」

「教える義理はないと言えば?」

「猊下への反逆となるだろう。あなたも、我々特務機関によるウェルテクス一族暗殺によってトップに登りつめた身…そして、前にグラントらに何か“余計な頼みごと”もしていたようで。……安心してください、こちらもウェルテクス社の秘密は守ります故」


きっぱりと、シラスに対しそう言い切るユディーヌ。

フード越しで顔を見ることはできないが、そのこともあってか、ただならぬ雰囲気を感じさせる…

内心、シラスはユディーヌのことをよく思ってはいないだろう。

だが脳筋で当てにすらならない帝国軍や、ファントムがどういった存在か知れば聖職者としての立場から敵対しかねない聖海騎士団と違って、特務機関Gはフットワークも軽くファントムについてもどうこう言わないのは確か。

…まあいい、ウェルテクスの娘らの力を観察する意味でも、使えるだろう…

シラスはそう考えながら、ユディーヌの指示に従っていた。




ユディーヌが戻った後…

ある部屋に訪れた一人の人物が姿を変え、オリジンファントムが現れる。

オリジンはふう、と溜息をつくと、自分の背後に聳えるウェルテクス社の兵器に目を向けていた。



『――これが放った一撃は、大いなる絶望のためのほんの一粒の種に過ぎない。だが…』


『この兵器によってアムニスフィールドが崩壊した、その時こそ…』




『――私の求めていた、絶望の化身が誕生するだろう』






〜〜〜






ツァールハイト国。

ウェルスの町の復興を続けながらも、帝国軍の動きに最低限の注意を向けている状況。

勇士を募り、生き残りやルーキスのメンバーを含めたツァールハイト軍を再編することで、来るべき時に備えている…と言ったところか。

ウェルスの町の復興支援もそうだが…彼らの装備も、ブリュンヒルド公爵の協力あってか充分に行き渡っている状態。

国に戻って定時連絡を取り合っていたカルラの下に、ある人物が現れていた。


「――あなたが、フライハウト団の…」

「ああ、フライハウト団のリーダー・ベックフォードだ。カルラ殿、あなたの話はソウセイから聞いている」

「こちらこそ、あなた方については主に彼から聞いています。お会いできて光栄です」


フライハウト団のリーダー・ベックフォードだ。

現在、リーリエリヒトにいるフライハウト団のメンバーの殆どは、レヴィーに任せている…

彼は案内人を一人だけつけ、リーリエリヒト帝国と戦う決断をしたルーキス…並びに、ツァールハイト軍の長でもあるカルラに会いに来たのだ。


「しかし、この状況でよく来れましたね。あなたのような立場の方では、船に乗るのも一苦労だったのでは」

「そこは、案内役に連れてきた彼が役立ってくれた。彼の知り合いには、船で働いている者がいるようだからな」

「そうですか。……ところで、ウェルスの町はご覧になりましたか」

「…こちらに来る前に、少し足を運びました。……なんとも惨いことを…」



ベックフォードは案内人…ソウセイと一緒に、ウェルスの町の惨状を見てきていた。

建物の殆どは半壊しており、怪我人だけで済んだのが奇跡と言えるほど。

タルボット博士のシールド装置があってこそなのだが、これが他の場所だったらと考えると…今でも寒気がする。

しかし、このような兵器を乱発させてはいけないのも事実。

あんなものを使い続けられては、アムニスフィールドは当然として…ルキナの大地も滅びかねない。


「――帝国を牽制する意味でも、現在、晴人さん達にグリュッグ国への手紙を託しました」

「グリュッグか…様々な部族から構成される国で、確かその責任者は…」

「ウォルフガングという、グリュッグ国一の武人です。彼の存在により、これまで頻発してきた部族間の争いも減り、連合国家として纏まっているとか」

「問題は、……まだ部族ごとに利害の対立などがあり、完全に纏まっているわけではないと言うところだな。これから帝国と戦っていく意味でも、殆どの部族の力を借りなければ難しいところだが…」


ベックフォードはそう呟きながら、ここに来る途中の船でソウセイが話していたことを思い出す。

『ガナドール族という部族は、17年前に帝国によって滅ぼされてしまったアンギュロス族と友好関係にあった』

『彼らと同じ徹を踏まないためにも、また自分達の部族を守るためにも、帝国との戦いには参加しない可能性が高い』

『説得さえ出来れば心強いことは確かだが、現状ではそれも難しいだろう』

この話を聞いたベックフォードは、やはりダティーバ大陸に住む総ての部族が協力をして帝国と戦う…というのには無理があるのだろうと、諦めている節がある。

だが、少しでもいい。共に戦ってくれる者達がいてくれれば。

カルラもそんな願いを、ミカ達に託したのだろう。小さく頷きながら、ベックフォードに尋ねていた。


「それで、ソウセイは?」

「フライハウト団の代表として…一足先に、ダティーバ大陸に向かわせた所だ。彼なら地理にも詳しいし、一部の部族が使う古代語をある程度は使えるらしく、交渉役としては一番適任かと」

「成程…うまい具合に晴人さん達と合流できれば、いいのですが」





その頃…

ダティーバ大陸に到着し、グリュッグ国に向けて進んでいた晴人達は、森で一夜を過ごしていた。

テントはバーガーやユーテキらが協力して建てており、料理はコヨミとザウバーに任せている。

瞬平は大きな魚を釣ってくると意気込んでいたようだが、誰もがあまり期待はしていない。

コヨミがシチューの準備をしていると、右腕のみ手袋を外し、コートの袖も上げているザウバーを見て首を傾げていた。

…思えば彼は、あまり手袋を外した姿を見たことがない

…それも、この間謎の光を放った、左の手袋を

一体左腕に何があるのだろうか。そんなことを思いつつも、聞いてもどうせ黙っているのは目に見えているので、別のことを訊ねていた。


「……ザウバー、ちょっといい?」

「なんだ」

「この間、昔のウェルテクス一族が使っていた研究所で…記憶装置が動いた時のこと、覚えてる?」

「…それがどうした」

「もしかしたら、――私が魔力切れで倒れた時…あなた、あの腕の光の力で私を一時的に動かしていたんじゃないの?」

「……」


コヨミの言葉に、予想通りザウバーは黙る。

何を聞いてもそうだが、彼は自分のことはとにかく黙る癖がある。

しかし…

周囲に誰も聞き耳を立てるものがいない――それどころか、凛子の建てたテントがユーテキの上に倒れ掛かり皆大騒ぎしている――せいか、話をしてくれる。


「…もし、そうだと言えば?」

「……驚いた。ずっと黙ったまま話さないんじゃないかって思ってたのに」

「おい」

「じゃあ、もう一つ聞かせて。あなた…」



「―――は、はははははははっ、はーるとさーん!!!」



コヨミが何か言いかけたところへ、瞬平が慌ててやってくる。

一体どうしたんだよ、と晴人が呆れた様子で瞬平に声を掛けたかと思えば

…そのすぐ横を何かが横切り、後ろにあったテントに突き刺さっている。

暗くてよく見えなかったが、あれは矢だ。

しかも、気付けば自分達の周囲には無数の殺気が感じられる…

闇夜に金色の目が光り、不気味にも思えてくる。

怯えてバーガーの後ろに隠れる瞬平に、晴人は一体何をしたとばかりに訊ねていた。


「おい瞬平、お前なんかしたのか?」

「し、してないですって!?…僕が魚を釣りに行ったら、とっ、突然襲われて…しかも変な言葉を話すんです!」

「…ゴラエザ、ワレワレンセギギキゾゴバギタ!」

「…ワレワレンバリゾ、キズズベヨグオギタ!」

「成程、こりゃあー………ここではリントの言葉で話せとしか言えないッ!」

「元ネタ的にもな!」


もはやどこかで見たというしかない言語で話し出す、謎の集団。

しかし、彼らが瞬平に怒りを向けているのは確か…

このままでは戦闘も致し方ない、というところだろう。

ミカ達はそれぞれ武器を構え、晴人も変身の構えを取っていた。




同時刻。

ダティーバ大陸に上陸していた、特務機関Gのノーマンとグリエルモもまた、森の中にいた。

ウェルテクスの娘達はグリュッグ国に向かっている。

その情報を頼りに、先回りする形でグリュッグ国に行くためのルートを取っていたのだ。

その途中に川を見つけ、日も完全に沈んでいたことから、今日はここで野宿をしようとする彼ら。

焚き火を炊き、光に集まってよって来た魚を剣で一突き…

腹が満たせるほどの量の魚を獲った彼らは、早速焼いて食べようとしていたが

――そんな彼らの周囲には、晴人達に向けられた以上の“何か”が、目を光らせていた。


「ゴラエタチ、ワレワレンゾボソギタ…【バリ】!」

「リーリエリヒオンジャズラバ!」

「ババレ!」

「なっ、何なんだこいつら…!?」

「いきなり何をっ」


ノーマンが尋ねる前に、誰かの投げた銛が彼の腹を一突きにしていた。

密偵としての仕事を得意とする、特務機関のメンバーであるノーマンが、相手の攻撃をかわしきれないなど…

グリエルモも応戦しようとするが、たった一人で“彼ら”を相手に、生きて帰れるはずがなかった。




<キャモナシューティング、シェイクハンズ! シューティングストライク…フーフーフー!フーフーフー!!>

「…はっ!」


ウィザード・ハリケーンスタイルが風の弾丸を放つ。

しかし、身軽な動きを得意とする相手なのか、風の力で弾速の速いハリケーンスタイルのシューティングストライクでも蹴散らせないのだ。

…尤も、人間が相手なのでかなり加減していたのは事実だが…

ここは守りを固めたほうがいいと判断したか、ウィザードHSはランドスタイルに変身。

一方で、瞬平を守りながら戦っているバーガーとイーヴリンに向かってくる相手のほうが多いことに気付き、ミカが援護にやってくる。


「…“央華乱舞(おうがらんぶ)”!」

「ミカ!悪いな、助かったぜ」

「しかし…瞬平!こいつら、どう考えてもあんたに怒ってるみたいだよ!!一体何したんだい!?」

「ぼ、僕だってよく分からないんですーっ!?」


しかし、このままでは長くもちそうにない。

ウィザードRSは“ディフェンド”で相手の動きを制限しながら、この場をどう脱するか考えていた。

…そうなると、一番有効なのはランドドラゴンの“グラビティ”で相手を押さえつけ、その隙に逃げること。

早速ランドドラゴンにスタイルチェンジしようとしていたウィザードRSだが、そんな彼らの元に、ピィーッ!と高い笛の音が響いた。

その瞬間、“彼ら”の動きが止まり、ウィザードRS達もそちらのほうを見る。

一体、誰が?

そう思っていると、夜の森の草陰から現れたのは、彼らの見知った顔だった。



「――晴人さん達じゃないですか!」

「「「ソウセイ!」」」

「ソウセイ君、どうしてここに?」

「俺はフライハウト団の代表として、グリュッグに向かう途中だったんです。……ゴチズギデ、グワギギザバギゾゴネガギギラグ(落ち着いて、詳しい話をお願いします)」


ソウセイは晴人達との再会の挨拶を簡潔に済ませると、“彼ら”に事情を尋ねていた。

「言葉が分かるのか」とバーガーが驚いていると、父親であるコハクの祖父が“彼ら”と同じ部族だったそうで、その流れで古代語についてある程度学んだそうだ。

彼曰く、晴人達を襲ってきた部族…“ガクー族”はダティーバ大陸に住む部族の仲で唯一、この現代においても古代の祖先が使っていた言葉を愛用しているらしく、その翻訳が出来るのもガクー族の人間だけなので他部族と話をする際の翻訳を任されるもの以外は現代語を使わないと言う。

先程の笛も、以前ダティーバ大陸に来た際に仲良くなったガクー族のダゴイという者がくれたそうで、遠くにいるガクー族との意思疎通ができる笛で、ソウセイが出した高い音は「止まれ」と言う意味らしい。

そして…

ガクー族から話を聞いていたソウセイは、瞬平が抱えていたバケツに目を落とし、「あぁー…」と頭を抑えていた。


「瞬平さん、彼らが怒っているのはそれです」

「えっ、魚!?」

「ガクー族にとって、魚は神聖な生き物…だから彼らは貝や海草を食べることはあっても、魚だけは食べないんです。彼らのテリトリー内にある魚を釣るようなことをしたら、怒るのも無理はないかと」

「「「瞬平〜!!」」」

「わーっ!ごめんなさい、全然知らなかったんですッ!!許してくださいー!!!」


皆に睨まれ、瞬平は土下座してガクー族に謝罪。

一応ルルが「ヒール」で魚が釣り針によって怪我をした口の部分を治し、ガクー族の一人にそれを返す。

その行為に関しては、ソウセイがルルの言葉を翻訳してくれたため、また瞬平が心から謝罪していることを伝えてくれたため、これ以上の抗争はなかった。




「バレ、ボンザディーバビグスンザザジレデバンデ、アバタタチンデリオリーオザギラババッタリタギデグ(彼、このダティーバに来るのは初めてなので、あなた達のテリトリーとは知らなかったみたいです)」

「ギボグンビンゲンバ(異国の人間か)」

「バラバ、ギバタガバギ(ならば、仕方がない)」

「バレモボボソバラアジャラッデギラグギ、ボンバギザユスギデアゲデグザガギ(彼も心から謝っていますし、今回は許してあげてください)」

「…ギギザソグ(いいだろう)」

「バリンズバギザワレワレンデデ、セギギキビバエグ(神の使いは我々の手で、聖域に帰す)」

「ゴゾッデグラババッタバ、オズタエデグレ(襲ってすまなかったな、と伝えてくれ)」

「ワバリラギタ(分かりました)。――瞬平さん、今回は何も知らなかったようなので許してくれるそうです。それから、襲ってすまなかったと言っていました」

「い、いえっ!僕のほうこそ、知らなかったとはいえ…申し訳ないというか…」

「っていうか…( )がなかったら、ホント分かんないな…」


瞬平が何度も頭を下げる横で、晴人がポツリと本音を漏らす。

相当のメタだったのか、それ以前にガクー族の愛用する古代語を侮辱しているのではと思った凛子が慌てて口を塞ぐが…

ガクー族の殆どの者は現代語をあまり理解していないので、メタな話をしてもあまり聞き取れないそうだ

……翻訳を担当する者以外は。

その時、ガクー族の一人が酒樽を持ってきて、晴人達に持ってくる。


「ガクー族は友好の印に酒を酌み交わす決まりがあるんです、更に、強い度数の酒を飲み比べすることでより強い友好を結ぶことが出来るとか」

「…なあソウセイ、お前も“それ”やったことあるのか?」

「あまりにも強い酒だと気を失うかもしれない、と正直に言ったら…まあそこそこの度数のものを。案外、こっちの都合には合わせてくれるみたいです」

「――4人は未成年だからお酒を飲めない、イヴ以外はソウセイと同じ度数ぐらいでいいと伝えといてくれないか…?イヴ、ガクー族との飲み比べはあんたに任せた!」

「任された!」



…いや、そんな楽しそうに任されても…

コヨミやルル、ユーテキにミカといった「飲めない組」は飲み比べと聞いて乗り気なイーヴリンを呆れたような目で見ていた。

ソウセイも正直に「この女の人は大丈夫らしいので、一緒に酒を飲み合ってください」と言ったようで、彼女は屈強な男達に囲まれながら強い酒を飲み始める。

一方で晴人達はガクー族と酒を飲みつつ、彼らと一緒にその日の夕飯を食べていたそうだ。


「「「ギッキ!ギッキ!!」」」

「――ぷはーっ、やっぱりダティーバの酒は体が温まるねぇ」

「ギギンリップリザバ、ゴラエ(いい飲みっぷりだな、お前)」

「キビギッタレ(気に入ったぜ)!」

「「「なんか今までで一番輝いているイヴ(さん/お姉ちゃん)を見ている気がする」」」

「…ちなみに、今の言葉の意味は?」

「大雑把に言って……イヴさんの飲みっぷりを褒め称えてます」






〜〜〜






翌朝。



ガクー族の面々と別れを告げ、晴人達はグリュッグ国へと足を進めていた。

国、と言うから立派な建物や町並みを想像していたのだが…

やはり文化の違いからか、様々なテントが立ち並ぶ町。

その中でも一際大きなテントに、グリュッグ国に所属する殆どの部族が集まり会合を開くことがあるらしい。

また、リーダーでもあるウォルフガングは基本的にこのテントにいるのだという。

そうしていると…

昨夜出会ったガクー族と同じ服装の者達の数名が現れ、ソウセイは彼らを紹介していた。


「ヒガギブリザバ、ゾグセギ(久しぶりだな、ソウセイ)!」

「晴人さん、こちらの一番立派な頭飾りをつけている方は…ガクー族の長・バダグさん。その横にいるのが、翻訳を勤めるケユウスさん。ちなみにさっき声を掛けたのは、俺の知り合いのダゴイさんです」

「あ、どうも…こんにちは」

「キリタチンボオザ、キングキギデギスヨ。リーリエリヒオオタタバッデギス、ユグキアスワバモンザゾグザネ」

「君達のことは昨日聞いている、リーリエリヒトと敵対している勇敢な若者達だとか…と、仰られています」


翻訳のケユウスを介した、バダグの話では…

ガクー族もリーリエリヒトのやり方には憤慨しており、国を挙げて立ち上がる日が来ればガクー族もまた、リーリエリヒトを倒すための力添えをするとのこと。

そのため、リーリエリヒト帝国と戦っていると言うミカ達には、非常に強い興味を持っているようだ。


「グォスフガングザアンデンオビギス、ギラザザレモギバギバラ、ザバギゾギデグスオギギ」

「今、ウォルフガング様は向こうのテントにいるので会いに行ってくるといい、と仰られています」

「そっか。じゃあ、行くぞ皆」

「うん!」




テントの中に入ると、大きなテーブルや椅子が立ち並ぶ。

そして、その一番奥に座っている屈強な男…彼こそが、グリュッグ国の部族達を取り纏める、ウォルフガングその人だ。

様々な種類の部族達を纏めるだけあって、風格のようなものがある。

ミカ達は早速カルラから渡された手紙を渡し、ソウセイもまた、ベックフォードから渡された手紙をウォルフガングに渡す。

その手紙の内容を読み…

ウォルフガングは大きく頷いた後、こう話していた。


「成程、双方の言いたいことは分かった。――つまり、リーリエリヒトと戦うために我々と手を組みたいと言うことでいいのかな?」

「はい!……リーリエリヒトのせいで、たくさんの人達が苦しんでいる…親と子供が離れ離れになって暮らしている……私達は、帝国の暴走を止めたいんです!」

「あなた方も知っているとおり、帝国はとてつもない破壊兵器を手に入れました…このまま放っておけば、アムニスフィールドやこのルキナはただでは済まされません」

「…それに乗じて、ファントムと言う怪物が暴れれば…本当に手遅れになるんだ。頼む、力を貸してくれ」


ミカやソウセイ、晴人が頭を下げる。

このまま、話し合いがうまく行ってくれれば…

そんな期待をユーテキが寄せていると、ウォルフガングは腕を組みながら、こんな話をしていた。


「…いいだろう、我々としても、共に戦う同志は多いほうがいい」

「「「やった!」」

「しかし、リーリエリヒトの破壊兵器を相手に、正攻法で勝てるとは思えない…奴らにはない“決定打”となる戦力がなければ、戦いに勝つことは不可能だろう…」

「決定打?」

「そうだ。――ただの人間の寄せ集めが戦ったとしても、勝てる可能性は少ない…町一つを半壊させた兵器は乱発できないとは言っても、それ以外にウェルテクス社は様々な武器を開発している」

「そっか…単純な武力だけじゃ、まだ帝国には敵わないってことか…」

「ファントムもいると考えると、そう考えるのが普通よね…」



『決定打がなければいずれにしても戦いに負けるだろう』

ウォルフガングの言葉に、ユーテキや凛子は納得したかのように何度も頷く。

…【神の剣】は威力が大きい、国一つ滅ぼせる破壊兵器だが…アムニスフィールドの負担が激しい。

しかし、それがなくともウェルテクス社にはレプリカJMを搭載した軍事兵器がいくつか存在している…前に晴人もそれで体の動きを封じられたことがあるため、よく覚えている。

瞬平は晴人の魔法ならどうにかなるのではと思うが、それを否定したのは晴人自身だ。


「そうだ!晴人さんの魔法なら、あいつらには絶対ない…すっごい力じゃないですか!!」

「それはそうだけどな、瞬平。俺はファントムと戦う必要があるし、何より、俺一人だけじゃいずれ魔力が切れておしまいだ。マヨネーズでもいればいいんだが、あいつファントム食べないとまずい体だしな…」

「――それならっ、ルルの住んでいるアウデンティア!あそこなら、魔法使いがたーっくさんいるよぉ!!」

「ポーポッ!」


はいはーい、と手を上げながら意見を出したのは…ルルとポポ。

確かに、魔法使いの数が集まれば…帝国がどんな兵器を出してきたとしても、充分に戦い抜ける。

ハイテク技術には、古来からある魔術…と言ったところか。

ウォルフガングもその考えを前から持っていたようだが、なにぶんアウデンティアへの行き道を知らないため会いに行くことすらできない…

しかし、アウデンティアはルルの故郷。

彼女ならば魔法の国への道順も知っているだろうし、交渉もしやすいだろう。


「……ならば、すまないが…我々の代わりにアウデンティアに交渉に行ってもらえないだろうか。私はこれから、他の部族達と今後について話し合わなくてはいけないんだ」

「俺も一応、グリュッグに残ります。フライハウト団、並びにツァールハイト国の代表として、帝国の現状について話をする人間も必要でしょうし」

「そうか…任せたぞ、ソウセイ」

「そうと決まれば…膳は急げ!皆を魔法の国に、招待するよ〜!!」

「魔法の国…!夢みたいです晴人さんっ、僕、魔法の国にいける日が来るなんて!!」




年中脳内お花畑なルルと、「魔法の国」に行くことになってテンションの高い瞬平。

そんな彼らに、誰もが苦笑いをしつつも…

晴人達はリーリエリヒトと戦うための戦力を確保するべく、ルルの故郷…アウデンティアへと向かおうとしていた。






***




前に、誰かが感想で「ウィザブレ結構詰め込んでるんですね」と言っていましたが…

はい、結構詰め込んでます。

戦闘がない回でも、妙に情報量があります。

まあ…伏線とかフラグとか、ギャグとか関係ない話とかで構成されているんでしょうがないですが……


便利な言い回し、「ソウセイから話を聞いています」w

そういや前回も、レヴィーが使ってたな…

ディケイドにおける「ユウスケから聞いた」的なものを感じます。結構マジで。

ちなみに…

今回の段階で、14か15話ぐらいのコヨミ倒れる→なんでか動けるの伏線をサラッと回収してます。

まさかの5番【その時不思議なことが起こった!】でした。



ガクー族w

ダゴイww

バダグwww

ケユウスwwww

ここではリントの言葉で話せwwwww

…はい、今回は自重しきれないほどのクウガネタです!

ちなみに今回のなんちゃって?グロンギ語、【グロンギ語翻訳所】と言うサイトを使って翻訳してます。

まあ、たぶん実際のものとは若干違うんでしょうけど…雰囲気を出していただければ、ということなのであまり気にしない方向で。

そして万能すぎるソウセイ。


「任された!」と言った時のイーヴリンの頼もしさwww

かつてないほど輝きましたね、彼女。

公式ネタ:酒豪はこういうところで生かさないと…ちなみに、「酒豪」と言う称号が手に入る町では、酒場の子供に言葉のフルボッコ食らうイーヴリンという珍しい構図がw

いや、ザウバーの「トレジャーハンター」や「眉間シワ星人」も大概ですが。

しかも後者なんて、闘技場に挑戦して…司会が眉間シワ星人言うわ、客も眉間シワ星人言うわのザウバーマジフルボッコw

ユーテキの「発明王」は全自動皮むき機関係、バーガーの「星占いマニア」は星占いの館関係、ルルの「シールコレクター」は次回に行くアウデンティア関係で手に入りますが…

とりあえず分かっていること:ザウバーとイーヴリンの称号習得イベントはスタッフ遊んでないかwww


いや、序盤の【大樹の森】を出た瞬間「オテンバムスメ」を得られるミカのほうが割とおかしいですが。

そこから次の称号手に入れるまで、――長いです…4章の最終ダンジョンで手に入るって、一回スルーしちゃったよ……




次回はきっと瞬平とルルが暴走してる。