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タイトル未設定 - Magic8:影と大地とJMと

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Magic8:影と大地とJMと

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ユグムの坑道。

数十年ほど前までは大量のレプリカJMや鉄といった資源が多く採れた場所であるが、近年の帝国の技術的発達やJM大量乱獲により総ての資源が狩り尽くされ、今ではモンスターの住処になっている。

しかしルピートは、ある情報筋からこんな情報を受け取っていた…

“ユグムの坑道には、まだ発見されていない珍しいJMがあるそうだ”

“帝国も最近はゴタついていてこの情報を持っていない可能性は高い”

あまりにも美味すぎる話で、ルピートも最初は信用していなかったし坑道が閉鎖されて月日が立っているせいか、モンスターが多く生息しているため決めあぐねていたが…

ちょうどそこに『ただならぬ雰囲気のJMハンター』が通りがかったため、彼に同行すれば確実だと思い、決行したのだそうだ。


「……で、それが俺ってわけ」

「まあ、そういうことだな」

「ったく…俺だからよかったものの、横取り目当てのハンターだったらどうする気だったんだよ」

「なーに、俺様の目利きを馬鹿にしちゃあいけないぜ。……おっと、そうだ、ほらよ」


ルピートはかっかと笑いながら、晴人にあるものを投げ渡す。

…彼をここまで連れてくるために利用した、ハリケーンリングだ。

今ここで指輪を返せば、それこそ約束を途中で放り出してトンズラする…と考えれば、『珍しいJM』を手に入れるまで持っていたほうが得策だろう。

晴人もそう思っていたが、ルピートは松明に火をつけながら、話を続ける。


「…返してくれるのはありがたいが、俺が約束を反故にして逃げ出すって考えなかったのか?」

「普通だったら、あの時俺が指輪を返さなかった時点で、力ずくでも取り返してるだろ。そこで思った。『こいつは途中で指輪を返しても、絶対ついてくる』『最後まで俺との約束を通す』ってな」

「根拠は?」

「JMハンターの勘だよ」


ルピートは先頭に立ち、自ら危険な道を進む。

…晴人は魔法使いとして、これまで何人もの絶望したゲートと“約束”し、“それを守ってきた”…

だからだろうか。

基本的に彼は他人との約束を破らない。

日常生活でも、どんな時でも、交わした約束は最後まで貫き通す。

例えそれで、自分が苦しむ結果になったとしても…

一目見ただけなのにそういった晴人の【癖】に近いものを読み取れたルピートに感心しつつも、晴人はその後をついて行った。



坑道の中は意外と長く、1時間かけてやっと道の半ばまで進んだ…と言ったところだろうか。

モンスターも出てくることはなく、このまま何事もなく終わってくれればいいと晴人は思っていた

…が、蛇のモンスター・アナコンダの群れが突然襲い掛かる。


「ギー!ギー!!」

「「ギッギー!!」」

「うおっと、モンスターか!」

「ルピートのおっさん、下がってろ!」

<コネクト、プリーズ>


晴人はルピートの前に出ると、コネクトの魔法でウィザーソードガンを呼び出す。

更にそのまま銃を構え、アナコンダの頭に1発ずつ、正確に銀の銃弾を打ち込んでいた。

取りこぼした何体かはルピートが持っていた剣で切り伏せ、晴人は一息つく。

…しかし…

突然何もない場所から銃を取り出した晴人に、ルピートからの質問攻めが来ないはずがなかった。


「――おい、お前、今のどうやったんだ!?」

「え、あー…これは…」

「手品か!そうか…最近の手品は進んでるな…」

「手品違うから!魔法、魔法だから!?」

「魔法っていうと……ははっ、兄ちゃん嘘はいけねぇな。魔法使いなんて、遠い大陸のお伽噺の存在じゃないか」

「いや…お伽噺とかじゃなくて、俺は現に」

「みなまで言うな!大丈夫、俺は性格は軽いが口は堅い男だ…どんなタネや仕掛けがあっても、バラしはしねぇよ」



……あ、こいつ、仁藤だ…仁藤を普通のオッサンにした奴だわー…!

晴人は今頃元の世界で、何処かにテントを張り、欠伸をしながらも今日の朝食にマヨネーズを掛けている攻介のことを一瞬思い出す。

と言うか、ルピートと攻介が完全にダブりつつある。

晴人は頭を抱えつつも、こんな質問をルピートに行っていた。


「……あんた、食べ物なら何にでもマヨネーズ掛けようとするだろ…?」

「は?」

「ドーナッツにもマヨネーズ…掛けようとするだろ…?」

「いや、マヨネーズ掛けて美味いのは目玉焼きやハンバーグだろ…」

「ハンバーグは…普通、ケチャップだろ…!」

「いやいや、マヨネーズ!そこはマヨネーズだから!!」

「……あんた、本当の名前は…仁藤攻介だろ……?」

「は?」

「…マヨネーズだろ…?」

「いや、ルピートだから」





そんな漫才を続けながらも、先を進む晴人とルピート。

ルピートの話では、今通っている道までは総て他のハンターや帝国の手が回っているそうで…『珍しいJM』があるとすれば、最奥地しかないとのこと。

しかし、奥に進むに連れて凶悪なモンスターが住み着いており、流石の帝国もリスクを犯してまで手に入れようとは思わなかっただろう…こういうのが下っ端の役目なら、尚更だ。

先程まではある程度舗装された道が、途中から石や岩がゴロゴロし始めた荒れた道になっている辺り…ここからは人の手が及んでいない、未踏の場所とも言える。


「……そういえばルピートのおっさん、あんた、何でこんな場所に来ようって思ったんだ?やっぱり、金とか」

「…驚いたな。まさか、JMを指輪にしてるような趣味を持つお前に言われるとは思わなかった」

「……いや、だから…あぁ、もうどうでもいいや」

「まあ、JMハンターは命がけで取ってきたJMを売り渡してナンボな商売だけどな。そうじゃねぇ。むしろ、お前なら分かると思ってたんだが」

「どういうことだ?」


晴人は眉を上げながら、ルピートに尋ねる。

ルピートは鼻を軽く人差し指で摩りながら、話を続けていた。


「俺には息子がいてな、18の時に突然飛び出して行ったんだが…」

「家出か?」

「さあな。でも、そいつにはJMハンターとしての技術を叩き込んだから、心配は要らないだろうが……餞別も渡せないままってのは親父としてどうかと思ってな」

「…それで、JMを探そうと?息子さんが戻ってくるかも分からないのに」

「戻ってくるさ。…あいつも何かやりたいことがあって飛び出したんだ、総て終わったら、帰ってくるだろ。その時に渡したいんだよ」



ルピートの話を聞いた晴人は、先程の言葉の意味について考えていた。

『お前なら分かると思ってた』

それはつまり、金儲けのためだけにJMを取るような人間ではないから、ということだろう。

…実際のところ晴人の指輪は、JMではなく魔宝石の指輪なのだが…

まあ、JM自体が宝石のような見た目である以上、誤解されても仕方がない……と晴人は自己解決していた。

表には出さないが、ルピートは息子のことが心配なのだろう。

それほど深い愛情を息子に注いでいる、それこそ、息子がルピートの“希望”とも言えるほど。


「成程、だったら尚更、珍しいJMを見つけないとな」

「だな。お、この通路、ここで二手に分かれてるぜ」

「分かれ道か…ちょうど二人だから、片方の道に進めばいいんだろうが……っておっさん勝手に行くな!しかもコート引っ張るなー!!」

「迷うな進め青年よ!…なあに、俺の勘は大体正しい!!」


ルピートはまたも晴人のコートの裾を引っ張りながら、先へ進む。

――こんなマヨネーズみたいな親父さんを持って、飛び出さない息子はいないよなぁ…!

晴人はそんなことを思いながらも、渋々とルピートの後についていく。

しかし、…そんな彼の影がゆらりと動くと、その中にいる何かが呟いていた。


『……成程、それが奴の希望か…』






〜〜〜






ルピートの選んだ道を暫く進んでいくと、壁が松明の明かりに照らされ、所々輝いている…

晴人が試しにウィザーソードガンで掘り出して見ると、中から宝石のようなものが出てくる。

恐らく、これがジェネスミグレイト…JMなのだろう。

確かにぱっと見では宝石に近く、魔宝石の指輪がそれと勘違いされてもおかしくないと晴人は納得していた。

しかしルピートはそのどれにも目がくれず、先を歩き続ける。


「たくさんJMがあるけど、いいのか?」

「ここにあるのはどれも普通のレプリカJMだ。お駄賃ぐらいにはなるが…俺の目的はそれじゃないからな」

「…よく見分けがつくな」

「そりゃあ、JMハンターをやって長いからな!……ん?おぉ!!」


ルピートが何かを発見し、走り出す。

晴人はその後を追いかけ、何とか追いついたその先にあったのは…

透き通った若葉色をした、綺麗な石だった。

周りにあるものとは輝きが違い、これがオリジナルJMなのかと晴人は思っていた。


「それがオリジナルJMか?」

「さあな。だが、この輝き…こいつが珍しいJMで間違いない」

「見つかって良かったな」

「お前も、付き合わせちまって悪かったな。ギルドに帰ったら、何か礼でもしてやるよ」

「…あんまり期待しないでおくよ」

「おいおい、そこはお世辞でもなぁ…」



ルピートは溜息混じりにそう言うが、突然、足を止める。

晴人も目の前が何か、歪んでいるように見え…目を凝らす。

すると、二人の目の前では晴人の影から何かがぐらぐらと出てくる光景が展開され、それは何かの形をしたかと思えば、ぎろりと赤い目を輝かせる。

どう見てもこれは、普通のモンスターではない。

オリジンによって送り込まれた、シャドゥ・ファントムだ。


「…ファントム!?」

「ファントム……って言うと、最近巷で噂の?」

『イエス…、しかし、指輪の魔法使いまでいるのは誤算だった…』

「ってことは…お前の狙いは、ルピートのおっさんか!」


晴人はすぐさま“ドライバーオン”の魔法でウィザードライバーを発生させ、変身しようと試みる。

だが…

突然足がガクンと地面に埋まるような感覚がしたかと思えば、…晴人の両足が闇に引きずり込まれていたのだ。


<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン!シャバドゥビ…>

「なっ…足が、地面に引きずりこまれる!?」

『ノー、お前は闇に引きずり込まれているのだ。……このまま、暫く闇の中に埋もれていろ…!』

<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン!シャバ…>

「…断るッ!変身!!」

<フレイム、プリーズ ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!>



晴人はすぐさまウィザードに変身すると、ここから脱出するべく“ライト”の魔法を使おうとする。

しかしその腕を何者かが掴み、指輪を変えられない。

…よく見れば、自分の影が実体化し、闇に引きずり落とす手伝いをしていたのだ。

これでは当然、身動きが取れない。

まずはどうにかして、自分の影を振り解かなければ…

ウィザーソードガンで攻撃をしようにも、影を相手に攻撃が効くはずもなく、それどころか自分の影がウィザーソードガンを奪い取り投げ捨てていた。


「くそっ、俺の影なら俺の言うことを聞けッ!?」

『無駄だ…影は私が支配している、……この薄暗い場所は、私の力が最も高まる空間でもある……』

「ぐ、うっ。だったら…!」


ウィザードFSは闇に引きずり込まれながらも、指輪を変えようとする。

既に胸の部分まで完全に埋まり、徐々に頭が引きずり込まれつつあった…

ルピートが「大丈夫か」と叫ぶが、シャドゥはウィザードFSの相手を彼自身の影に任せ、ルピートに近づいていた。

何とか応戦しようとするルピートであったが、剣を振るっても実体を持たないシャドゥを相手に斬れるはずがない。

シャドゥはルピートの首を掴み、近くにあった壁に叩きつける。

その部分だけ脆くなっていたのか…ルピートが叩きつけられた瞬間に壁は崩れ、ルピートの手からは先程手に入れたばかりのJMが転がり落ちる。

それを拾い上げたシャドゥは、ルピートの目の前でそれを握り潰し、彼の反応を伺っていた。


「な…!」

『これでお前の希望は崩れ去った…絶望しろ…!』

「俺の希望?」

『イエス…。お前の希望はあのJM、息子に渡すはずだったあのJM。それを壊されれば絶望するはずだ…』




「―――心配して損したぜ…この勘違い野郎ッ!!」

<ランド、プリーズ ドッドッドドドドン、ドッドッドドン!>

<エキサイト、プリーズ>


ウィザードFSは何とかランドスタイルに姿を変え、強引に抜け出すべくエキサイトの魔法を使う。

ライトを使おうにも、自分の影ならばその魔法がどんな効果なのかは分かるはず。

現に変身用の指輪をフレイムからランドに変える時は、抵抗が少なかった…

ランドスタイルは他のスタイルと違いパワーに優れる。だからこそ、力任せに影を振り切り…身体能力を高めるエキサイトで完全に影から脱出していた。

そして、再び闇の中に引きずり込まれそうになりつつも、今度はその前にライトの魔法を発動させていた。


「闇には…光だッ!」

<ライト、プリーズ>

『ぐっ、うぅぅ…おぉぉぉ…!?』


辺りはライトの魔法によって光り輝き、晴人の影はシャドゥの支配を逃れて元に戻る。

それだけではない。

今まで実体を持たず、こちらから攻撃しても斬れることのなかったシャドゥが…起き上がったルピートの、剣とウィザーソードガンの二刀流でダメージを負っていたのだ。

正確に言うと、ダメージを与えられたのは対ファントム用に作られているウィザーソードガンの一閃のみであったが…


「ルピートのオッサン、今の動き凄いな」

「これでも昔は、二刀流のルピートって恐れられてたんだぜ。今じゃ、無駄に体に負担が掛かるから…封印してたけどな!……つか、お前…晴人か?」

「ん?ああ、これで分かっただろ…俺のは本物の魔ほ」

「……いやぁ…凄い手品だな、どうすれば赤から黄色になったりするんだ?宴会芸によさそうだから、教えてくれよ」

「…だからっ…!」


相変わらず人の話を聞く気のないルピートに、ウィザードRSは頭を抱えていた。

しかし…

対するシャドゥは、何故ルピートが絶望しなかったのか、理解に苦しんでいる。

そんな彼に、ウィザードRSは指輪を付け替えながら…言い放っていた。



『何故だ…何故、絶望しない…!JMは壊したはずなのに…』

「お前らファントムって、ずっと思ってたけど…人の心の深い部分まで理解できないよな。だから人の心の傷を、簡単に抉り取るようなことをするんだろうけど」

『…何…?』

「要するに、ルピートのおっさんの心の支えは…あのJMじゃない。もっと大事な物だってことさ……それも、目に見えることはないけど、かけがえのない……大切なものが!」

<ランド、ドラゴン ダンデンドンズドゴン、ダンデンドゴン!>


ウィザードRSはそう言い放つと、ランドドラゴンへと姿を変える。

土の属性の力を、ドラゴンの力によって強化された形態…

ウィザードRDはルピートからウィザーソードガンを受け取ると、シャドゥに重い一撃を振り下ろす。

シャドゥは何とかそれを受け止めようにも、あまりの力に吹き飛ばされてしまう。

ライトの魔法がある程度収まってきたのか、徐々に辺りは暗くなりつつある…

――早めに決着をつけなければ!

そう思ったウィザードRDは、遠距離から連続で攻撃し、時間を稼ごうとするシャドゥの動きを封じるべく“グラビティ”リングを使う。


<チョーイイネ! グラビティ、サイコー!!>

『がっ、は…!?』

「これで止めだ!」

<チョーイイネ! スペシャル、サイコー!!>


ウィザードRDはスペシャルリングで巨大な爪を呼び出し、シャドゥに向かっていく…

相手は逃げ出そうにも、重力波で身動きの取れない状態。

そして…

巨大な爪はシャドゥの腹を的確に捉え、爆発が起こっていた。

その跡に、シャドゥの姿は何処にもない。




ウィザードRDは「ふぃー」と一息つきながら変身を解除し、ルピートを見る。

流石に絶望することはなかったものの、大事なJMを壊されたことに変わりはない…

何か気の利いた一言はないかと晴人が思っていると、壁の崩れた場所から何かを見つけたのか、ルピートが大声で彼を呼んでいた。


「おい、晴人!こっち来い!!」

「どうしたんだよ…って…」

「すげぇぞ!この輝き、さっきのJMの比じゃねぇ……こいつこそ、噂の珍しいJMだ!!」


そう言いながら晴人に見せたのは、深海のように深い青の光を放つ、JM。

どうやら先程の戦いで、隠されていたJMが二人の目に触れる結果になったのだろう。

なんっつー人騒がせな…

晴人が肩をがっくり落としていると、そんな彼の背中を突いている存在に気付き、振り返る。

そこにいたのは、プラモンスター・ユニコーンだ。

晴人がいなくなったことに気付いたコヨミが、放ったものだろう。晴人はちょうど持っていたメモ帳にペンで『心配かけて悪い、すぐ戻る』とメッセージを書き、ユニコーンに渡していた。


「何だ、さっきの青いの?あれも手品か」

「…もう手品でいいよ手品で…。それより、そろそろギルドに戻らないと……連れを待たせてるんだ」

「そうか。よし、ギルドに帰ったら約束どおりお前にも礼をするぜ!」

「いや…どうせ酒を奢るとかそんなのだろ、いいから早く帰ろう…」


それもそうか、と笑いながらルピートは晴人の背を叩く。

…なんか…すっごい疲れた……

そんなことを思いながらも、ギルドに帰るまでだと自分を勇気付け、ルピートと共にJMハンターズギルドに戻っていた。






〜〜〜






ユグム坑道での冒険(?)を終え、JMハンターズギルドに戻ってきた晴人。

その頃には既に辺りは真っ暗で、当然、待ち構えていたコヨミや凛子に叱られてしまう。

それは瞬平やユーテキ、ミカも同じだったが…

ただ一人、イーヴリンは別の人物に怒っていた。


「……ルピート!あんた、一体何処まで行ってたんだい!?」

「おぉ、イヴか。久し振りだな…いい女ぶりが増してきたんじゃないのか?」

「そいつはどうも。……ったく、晴人を連れ回して一体何処に行ってきたのか…」

「イヴ…ルピートのおっさんと知り合いなのか?」


晴人は心底疲れきったような顔で、イーヴリンに尋ねる。

ルピートの扱いに関してもそうだが、…ここ数日の連戦で魔力の消耗が激しいからだろう。

イーヴリンはとりあえず晴人を近くの椅子に座らせた後、話をしていた。


「知り合いも何も、…晴人、まさかあんた何も教えてもらってないのか?」

「何も…って、何も。チョココロネとパンツが泣いていて、神敬介マジ恐ろしいってことしか話してないよ…」

「こいつは…ルピート、JMハンターズギルドの長でもあるんだ。今はただの…引退した飲んだくれだけどね」

「能あるタジャドルは爪を隠す…じゃなかった、脳あるタトバは爪を隠すってやつだな!」

「「「はあ!!?」」」

「後ルピート、【能ある鷹は爪を隠す】だと思うんだが」

「そう、それ」



人のいい笑みを見せながら、ルピートはそう言っていたが…

――正直イーヴリン以外の全員は、二日酔いに近いユーテキを含め、全員が全員【こいつかよ】と言う顔をしていた。

イーヴリンも気持ちが分からなくはないのか、軽く失笑すると…ここに来た目的について、話していた。


「まあいい、ルピート…ジェネレーターを渡してくれないか。ちょっと、入り用でね」

「ジェネレーター?悪いが、帝国が今他の国と宗教戦争…みたいなもんをしているせいか、入ってきてないんだよ」

「旧型もないの?」

「この際旧型でも、って言うJMハンターも多くてな。全部渡しちまったよ」

「そんな…」


肝心のジェネレーターがないことに、特にミカが肩を落とす。

折角、ミカの持つオリジナルJMを制御できる方法が見つかったと思ったのに…

一方でルピートは、何か深い事情があると思ったか、晴人に尋ねていた。


「なんだ、お前らジェネレーターが欲しかったのか?」

「ああ、ちょっと複雑な理由があって…ええと……そうだ、さっきの俺の変身した姿、あんたも見たよな」

「おお。あの手品な」

「そう、それ…で、俺はこの指輪の力で色んな姿になれるんだ」

「確かにそうだったな。いやあ…人の姿を変えるJMなんて、珍しいもんだぜ」

「実はあそこにいるピンクの髪の女の子…ミカもそれに近いものができるんだけど、彼女のは俺と違って自分での制御が難しいんだ。だから、ジェネレーターを貰おうと思ってたんだが…」




暫く晴人の話を聞いていたルピートは、相変わらず【魔法=手品】、【魔宝石=JM】と言う勘違いをしたままでありながらも…

彼の変身を見ているからか、大体は理解してくれ、それならと晴人達を二階に通していた。

そして、そのまま自分の部屋に案内すると、ありとあらゆる棚の中を探し、古ぼけた一つの機械を取り出す。

それは旧式ではあったものの、少し調整すれば今でも使える……ジェネレーターだった。


「これが…ジェネレーター?」

「凄い!旧式だけど、まだ使えるよ!!」

「ルピート、これ、あんたが使っていた奴じゃないか。いいのか?」

「「「えっ!?」」」


ジェネレーターに目を輝かせるミカとユーテキであったが、イーヴリンの言葉に、全員が驚いてルピートを見る。

流石にルピート個人のものは貰えない、とミカは返そうとするが…

ルピート本人に未練はないようで、それどころか、こんなことを言っていた。


「いいんだよ。俺はもう使うことはないし…晴人と約束したんでな、『俺にできる範囲でお礼をする』って。それに、こんな可愛い嬢ちゃんに使ってもらえるなら……そいつも喜ぶだろ」

「それなら、ありがたく貰っておこうぜ。ミカ」

「うん、ありがとう…ルピートさん、絶対大事にする!」

「今日はもう遅いし、僕もこのジェネレーターを調整しないといけないから…ここで泊まろうよ」

「それだったら、宿屋の奴に話して…料金はタダにしておくぜ。ゆっくり休めよ」



何から何までよくしてくれるルピートに、ミカや凛子は頭が下がる思いだった。

お腹がすいた瞬平とユーテキは、すぐさま食堂に向かい…そんな彼らの後をコヨミとイーヴリンは呆れ気味に見ながら、その後を追いかけている。

ミカと凛子も同様に、女の子同士話をしながらゆっくり降りていく。

晴人もその後を追ってルピートの部屋を出ようとするが、その前にルピートに呼び止められていた。


「おい晴人、お前…旅のJMハンターだろ。だったら、俺の息子と会う機会があるかもしれないな」

「まあ、旅をしているのは確かだけど」

「もしかすると、旅の何処かで俺の息子に会うかもなぁ」

「…かもな。あんたに似たコブラカメワニじゃない事を祈りたいところだ」

「おいおい、晴人…少しの間とはいえ、一緒に冒険した仲だってのに……冷たいなぁ。パパンショック」

「誰が、誰のパパンだ!?」

「じゃあ……沖さんショーック」

「あんたルピートだろ!沖さん違うだろ!!」

「(/ー ̄;)」

「顔文字自重!!」




その夜。

ウェルテクス社の一室で、ぐらりと椅子の影が動く。

そこから現れたのは、…ウィザード・ランドドラゴンが倒したはずのシャドゥ。

どうやら完全にやられる瞬間、自らの体の一部を岩場の影に潜ませ、魔力をかなり消耗しつつも復活したのだろう。

シャドゥは体力をかなり消耗しているようで、すぐに人の姿になると、偶然現れたギリオンとシラスが声を掛ける。


「シャドゥ、…その様子では…失敗しましたか」

「……否定は…しない」

「まったく…まあよい、お主は影さえあれば何度でも復活できる。ウィザードもあのミカという娘も、お前の前には手も足も出ないのは確かでしょうなぁ」

「ですが、シャドゥが光に弱いのは事実。……まあ、奴らは攻撃用の光の術を持たないみたいですから…心配は要りませんが」

「当然でしょうとも。光の術は、ラディスに使える聖職者のみにこそ使える代物…天から放たれる光の槍に貫かれるのは、魔物と異教徒のみです」


くっくと怪しい笑みを見せながら、シラスはその場から過ぎ去っていく…

一方のギリオンは、他の研究員がシャドゥ人間体を見ていらぬ騒ぎを起こさぬうちにと、彼の肩を支えて開いている部屋まで運んでいった。

だが…

その様子を物陰から見ていたのは、聖海騎士団団長・バーガーだった。

彼はここ数日の帝国上層部に不信感を抱き、その中でも特に怪しいシラス宰相に目をつけていた。

もうじき聖地ラディウスに向かう前であったが、何としてもその不信感の理由を知りたいと、忍び込んでいたのだ。



(どういうことだ、あの怪物は…まさかウェルテクス社が、帝国があのような魔物と関わりがあるとは…)

(このことは、ルーク枢機卿や皇帝猊下も気付いているのだろうか…?)

(突然現れたウェルテクスの娘、アムニスフィールドの異変、抜け落ちたシンボルストーン、妙な姿になる異国の呪術者……一体、このルキナで何

が起こっている…?)






***




ダンデンドンズドゴン、ダンデンドゴン!

うん、覚えにくいよランドドラゴンさん!!←

「ダンデンドンズンドンゴーン、ダンデンドンゴーン!」だと思ってました。


基本的に今回は、振り回されっぱなしの晴人&振り回しっぱなしのルピート回。

原作でも掴みどころのないオッサンです、ルピート。

…流石に、かなりぶっ飛ばしすぎてむしろハリケーン(オーズ兄弟)になっちゃってますが!

いや、……ハリちゃんのほうが変人だった…←



名前だけだったランドドラゴンにも光を浴びせるべく、今回登場させました。

…結局、敵を倒せてなかったけどね!

でもシラスの爺ちゃん、あんた、何かフラグを立てちゃった気がするよ…?←

ちなみにシャドゥはフェニックスと違い、完全に倒すことさえできれば(=たった少しのシャドゥの欠片も逃さず、消滅)復活しません。

問題はライトリングじゃ攻撃用じゃないせいか倒すことは難しく、シアーズ以外にも光・雷属性の姿を持つミカも……それを登場させられるかどうかは、スペシャルラッシュより怪しく…

ライサを土・光にするなら出せますけど(ランド関係で)、回復担当だからなぁ……

これは…

光属性持ちが仲間になるフラグかー!?←


能あるタジャドルw

能あるタトバw

…そこは…能あるプトティラじゃないのかい……?←

爪って言うか、あの子の場合は尻尾(テイルディバイダー)or角(ワインドスティンガー)ですが。

能あるシャウタは「飯抜き」を隠すでも、能あるウォーターは「プロレス技」を隠すでもいいんですけど。

能あるX先生は「アイアンクロー」を………あ、駄目だこの発想←




ちなみに、皆さんが聖海騎士団団長・バーガーさんに期待することは?

1.多くを知りすぎたこと(特にファントムのこと)でオリジンに目をつけられ、死亡

2.何やかんやで味方になる

3.ミカ達と通じ合うが、彼女達を庇うために死亡

4.自分の信じていたものが間違いだったと知り絶望→ファントムを生み出す

5.リアよろしく最後まで敵のまま。自らの信念を貫き通し、死亡