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タイトル未設定 - Magic9:幽霊屋敷の啼く頃に

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Magic9:幽霊屋敷の啼く頃に

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JMハンターズギルドに一泊した、その翌日。

ユーテキは眠い目を擦りながら、ゆっくりと朝食の席に顔を出す。

既に彼以外の全員が席についており、ユーテキは「瞬平さん酷いよ!ここは空気を読んで一緒に遅刻しようよ!!」と叫びつつも…

晴人に投げ渡された濡れタオルが顔に直撃し、少しは目が覚めたか、ミカの隣に座っていた。

そして…彼は席に座った後、すぐにミカにジェネレーターを渡す。

が、その形には渡されたミカも…近くにいた瞬平も驚いていた。


「はいミカ、ルピートさんから貰ったジェネレーター…調整しておいたよ」

「ありがと……って、ちょっとこれ、元のと形違うんじゃない!?」

「あ…本当だ。昨日見たときは、腕に装着する感じの奴だったよね?」

「うん。流石に、女の子が使うにはゴツいし目立つから…あんまり目立たないように作り変えたんだ。だいぶコンパクトになってるけど、機能的には問題ないよ!」


ジェネレーターは通常、誰にでも簡単に装着できるよう…腕につけるようなデザインになっている。

しかしそれでは流石に悪目立ちするし、ミカが装着するのだから、もう少しコンパクトなほうがいいのかもしれない…

改良することは可能だったが、デザインの案が思い浮かばず、夜更けにルピートに相談したところ

『成程なぁ。だったら、晴人の奴が使っている指輪みたいな感じにしたらいいんじゃないか?』

……という名案を出してくれたので、指輪形のジェネレーターに改良することにしたのだ。勿論、参考までに晴人から“スメル”のリングを借りて。

ウィザードが魔法を使うときのリングに似た形となったジェネレーターは、中身は空洞。この空洞部分にミカの持つオリジナルJMを嵌めることによって、ジェネレーターは機能する。


「指輪を借りたいって言うから何のことかと思いきや、成程。そういうことだったのか」

「凄い…ユーテキ、これ一晩で作ったの?」

「まあ、僕はウェルテクス社の最年少研究員だしね!このぐらいは、簡単にできるよ」

「は〜……ユーテキって、腕は細いし身長は私と同じぐらいだし、ヘタレだし瞬平と漫才コンビでも組んで有名になったほうがいいんじゃないかって思ってたけど…ちゃんと研究員してたのねー……」

「……ミカ…酷いよ……orz」



ミカの言葉に、ユーテキだけでなく瞬平も軽くダメージを受けていたようだが…

「早速使ってみて」と凛子に言われ、ミカはジェネレーターの中にオリジナルJMを嵌め込む。

ユーテキの言うとおりジェネレーターとしては形は破天荒ではあるものの、ちゃんと機能はしているようで、『ピー…』と言う起動音が鳴る。

外れないようにバイザーをしっかりと閉め、ミカはこれでいいのかとばかりにイーヴリンを見る。


「…これで、使えるようになるの?」

「普通のJMはね。だけど、そのJMの力がちゃんと制御できるのかどうかは…まだ分からないよ」

「そっか…」

「だが…分かっているのは、ミカのあの姿…シアーズに反応して、晴人の持つリングも共鳴していた。同じ属性だから、というのもあるだろうが……そこにもしかしたら、何かのヒントがあるのかも」


イーヴリンの言葉に、晴人は手元に残っていたウォーターリングを見る。

これと、ウォータードラゴンのリングはミカがシアーズとなったと同時に、光り始めていた…

これまでまったくなかった現象であることから、イーヴリンの言うとおり、シアーズに共鳴していた可能性は高いだろう。

しかし、晴人には気になることが1つ…

ウィザードの属性リングは4つ。

その中のウォーター…シアーズと同じ【水属性】にだけ反応があったということは、もしかすれば、火・土・風の属性にも応じた姿があるのでは?

ウィザードが扱う魔法の属性は、世界を構成するのに必須な4属性。可能性としては、ありえる。


(問題はそれが、いつどうやって覚醒するか…。ミカ本人も無意識でシアーズになったことを考えると、法則性はないはず)

「……、」

(ミカの聖獣の姿とその属性をコントロールできれば…でもどうやって…。こういう時、白い魔法使いがいれば方法も分かったんだろうが……)

「…晴人!」

「えっ?あ、コヨミか…どうした?」

「晴人、何か考え事?」

「……ちょっとな。でも、何でいきなりそんなこと」


晴人はそう尋ねるが、むしろ気付いていなかった彼に、コヨミや凛子は驚きだった。

当然、ミカや瞬平と言った残りのメンバーも…

すると、代表して瞬平が……晴人の疑問に答えていた。

ちなみにその際、彼が指を刺したのは…ミルクが大量に注がれ、カップから溢れ出すコーヒー。



「それは……晴人さん、――カップから大量に溢れ出るほどミルクをかけていたら…誰だって疑問に思いますよ…」

「え?……おわっ!?ちょ、誰か気付いてたら早く声掛けてくれって!!?」

「掛けたわよ、私もミカちゃんもイヴさんも皆!」

「むしろ、ミルクを大量に注いでいることを忘れるほど…何を考えていたの…?」

「いや、今それどころじゃ……あーっ!ズボン、ズボンにまで零れ落ちてきたーッ!!」





――その頃、ウェルテクス社。

シラスがやけにイラついたような顔をしており、椅子の上で貧乏ゆすりをしている。

そんな彼にコーヒーをブラックで渡しながら、ギリオンが尋ねていた。


「どうかされましたか、シラス様」

「どうもこうも…先日受け取ったあの指輪、」

「魔法使いの指輪ですか。それが、いかがいたしましたか」

「――調べても何も分からないから、こうして苛立っているのですよ。まさか、このウェルテクス社の総力を挙げても分からないとは…」


ぎりり、と歯軋りしながら悔しがるシラス。

そんな彼を見て、ギリオンは「まあ無理もない」と思っていた。

ユディーヌから渡された、ウォータードラゴンのリングを研究していたシラスではあったが…

最初の頃は高いエネルギー反応で、もしかすればJMの一種なのではないかと期待を寄せていた。

だが、魔宝石とJMはあくまでも似て非なるもの。

どんなジェネレーターや、その技術を運用した装置に掛けても、その力を引き出すことはできなかったのだ。


「魔法使いにしか扱えない指輪ですからね。恐らくこれは、【聖なるもの】である可能性は低いように思われます」

「そんなこと分かっておるわ!……くぅ、しかし、『何も分かりませんでした』では陛下の期待を裏切ることにもなる。どうすれば…」

「そういえば先程、面白い話をヴィルギニア元帥からお聞きしたのですが」

「…何?」

「砂漠の町に魔法を使う少女がいるらしいとの噂があるようです。特務機関Gはその娘の不思議な力が、ミカと言う少女の力と何か関係があると踏んで捕らえに向かったようですが…」



ギリオンからの話に、シラスは思考を張り巡らせる。

――砂漠の町に現れた“魔法使い”

――もしかすれば、その魔法使いを利用すればこの指輪について分かるかもしれない…

――万が一失敗して指輪を奪い返されても、魔法の指輪との関連性がなかったとしても、それは特務機関Gのせいにできる

――自分に非はない。自分はただ、「魔法使いの少女にこの指輪を使わせてほしい」と頼んだだけなのだから


「それはよろしいですな。それでは早速、特務機関Gの方々にこの指輪を預けてきますかな」

「ええ。…シラス様にこの指輪を調べて欲しいと依頼したのはユディーヌ様、そのユディーヌ様のためならば我々の頼みも聞くでしょう」






〜〜〜






JMハンターズギルドを後にし、晴人達は次の目的地についてイーヴリンの持っていた地図で調べていた。

――次の目的地は、【ヴィオラの村】にある【アビエスの林】を越えた先の…キルベルト公爵家。

イーヴリンの話では、キルベルト公爵はクラウスの血の繋がった弟ではあるが、その関係は最悪で20年近く疎遠だったそうだ。

ミカの運命を変えたあの手紙も、キルベルト公爵が出したものらしい…

恐らく彼はウェルテクスについて何らかの情報を持っている。クラウスの訃報を伝える意味でも会いに行きたい、とミカは話していた。

道中、モンスターに襲われながらも何とかそれらを倒し、ヴィオラの村の近くまで差し掛かったところで、イーヴリンがこんな話をする。


「しかし…キルベルト公爵は、話によると相当の偏屈者でね。なんでも、自分の屋敷の裏には専用の建物があって…そこでモンスターを飼っているそうだよ」

「「「もっ、モンスターを!?」」」

「……偏屈者ってレベルじゃないわよ、それ」

「日本でも、ワニとか…あと外国の動物を飼っている人はよくいるけど、……流石にモンスターは…」

「ファントムを家で飼っているようなものだよな、もはや」


モンスターを買っているという話に驚く、ミカ・ユーテキ・瞬平…

眉を寄せるような顔をするコヨミ、難しそうな顔を互いにしながら話し合う凛子と晴人。

彼らの気持は分からなくはないのか、イーヴリンは難しそうな顔で頭を掻きながら「確かにね」と話していた。

普通に考えれば、人を襲うモンスターをペットにするなど、常軌を逸している。

ミカもあのクラウスの弟が、そんな変な趣味を持っていることに疑問を抱いていたが…

瞬平の次の一言で、その疑問を振り払うような事態になる。



「……あれ?」

「どうした、瞬平」

「晴人さん…あそこ、なんか大きな鳥みたいなものが……見えません?ほら、あの村」


瞬平が指を刺した、その先にあったのは…

空に見える、数体のモンスター。

どうやら村を襲っているようで、「まずい」と思った晴人はコネクトの魔法でマシンウィンガーを呼び出すと、ミカと一緒にそれに乗って村に急行する。

晴人とミカが着いた頃には、既に何人もの村人が怪我をしており、酷い者では処置が遅れれば危険な状態になるほどの深い傷を負っている…

空には、3体のワーヴァルチャー。

形は大鷲に近いが、その爪はかなり強力。

ミカは重傷の男の人に駆け寄りながら、獅髪候を掛ける。


「大丈夫ですか!?」

「ぐ、うう…くそぅ、キルベルト公爵め……」

「やっぱ、あれはキルベルト公爵のペットか。モンスターはファントムと違って、人里にはあまり近寄らないからな」

<シャバドゥb…ハリケーン、プリーズ フー、フー、フーフーフフー!>


晴人はそう言いながらも、怪我人の手当てをミカに任せ、自分はこれ以上被害を大きくさせないため変身を始める。

空中を自由に飛びまわる敵ならば、ハリケーンスタイルが妥当。

ウィザードHSは風を纏いながら移動すると、ウィザーソードガンでワーヴァルチャーを狙撃し始める。




彼らが戦闘を開始したと同時に凛子達も遅れてやって来て、ユーテキはミカの手伝いを、イーヴリンは地上にモンスターが降りてきた時のために待機し、凛子・瞬平・コヨミは外にいた村人を安全な場所まで避難させていた。

――その際コヨミは、この騒動に紛れてアビエスの林に向かう、白いコートを着た青髪の男を見かけたが…

彼を呼び止める前にワーヴァルチャーがコヨミを狙い、すかさずイーヴリンがその翼の片方を両手剣で叩き斬る。


「コヨミ!もう外に出ている村人はいない、あんたも避難しな!!」

「だけど…」

『…ギャアアアッ!』

「きゃっ!?」

「くっ…まだ息があったか!」


翼を片方もがれても尚、暴れ続けるワーヴァルチャー…

イーヴリンは舌打ちをしながらも、その腹に剣を突き刺し、今度こそ完全に止めを刺す。

コヨミは凛子と瞬平によって連れて行かれ、ミカとユーテキも怪我人の回復を終わらせた後、彼らを安全な場所に連れて行くため、避難を優先させる。

…最も、イーヴリンとウィザードがあのようなモンスターに後れを取るはずがないと信じ手いるからこそ、できる行動ではあるが。


『ギャアッ、ギャアッ!』

『ギャース!』

「悪いけど、一気に終わらせるぜ。――どうせだから、鳥の刺身にしてやるよ!」

<キャモナスラッシュ、シェイクハンズ!…ハリケーン、スラッシュストライク フーフーフー!フーフーフー!!>



ウィザードHSはそう言うと、ウィザーソードガンを構え、スラッシュストライクの体勢に入る。

ワーヴァルチャーは二体同時に向かってくるが、逆に格好の餌食…

その翼や肉体すら切り裂く風の刃の前に、あっけなく切り刻まれ、そのまま爆発していた。

ウィザードHSは地上に降りると、ふぃーと息をつく。

避難していた瞬平達も現れ、更には数人の村人も礼を言いに顔を出した。


「やりましたね、晴人さん!」

「…本当にありがとうございます…」

「あんた達が来なかったら、俺は死んでいた…この間“あいつ”のモンスターに殺された、親友のように……!」

「じゃあ、やっぱここは…ヴィオラの村か。で、さっきのモンスターはキルベルト公爵のペット……と」


ウィザードHSはそう言いながら、モンスターに幾度となく襲われた証明であろう…建物の至るところに残る傷跡を見ている。

村人の話によれば、時々キルベルト公爵のペット屋敷から抜け出してくるモンスターがいるらしく、その都度ヴィオラの村に住む村人達が被害に遭っているそうだ。

文句を言いに行こうにも、モンスターがいると分かっている場所にいける勇気がある者は、誰もいない。

ただでさえキルベルト公爵自体が、あまり係わり合いになりたくないほど偏屈で、傲慢な性格だというのに。

意を決して「この村から出て行くか、飼っているモンスターを管理してくれ」と意見をしに行った前の村長は、キルベルト公爵の屋敷に行ったきり帰ってこなかった…

その話を聞いたコヨミは、不安そうな顔で呟く。


「……さっきの人、大丈夫かしら…」

「――もういい加減にして欲しいよ!あんな不気味な爺さんのせいで、毎日生きた心地がしない!!」

「そうだそうだ!」

「今日はあんたらが来てくれたから助かったけど…明日は無事に生きられるかすら、分からないんだ…」

「この村を出ていこうにも、外にもモンスターがいるからどうしようもないの…私達は、この村から外にはあまり出られないし……」



文句や不満、悲しみに満ち溢れた声が次々と聞こえてくる。

晴人達はキルベルト公爵にウェルテクス一族について話を聞く予定だったのだが、このまま村人達を放っておけないのも事実だ…

変身を解いた晴人は、「どうする」とコヨミ達に尋ねる。

キルベルト公爵の屋敷に行くと言うことは、モンスターの蔓延る場所に行くのと同じ。そうなった場合、常に危険に晒されるのは…戦えないコヨミ達だ。


「俺達は行くけど…凛子ちゃん達は残るか?俺達も、3人を守りきれる余裕があるか分からないし」

「それでも、この村で困っている人達を見て…放っておけるわけないじゃない!」

「そうですよ!そ、それに、いざとなったら僕だって!!」

「…私も、キルベルト公爵の家に向かっていった人が気になるから…お願い晴人」

「――まったく……分かった分かった、だけど、はぐれないように気をつけてくれよ」


晴人は諦めたような顔をしつつも、3人の性格を理解しているからか、あまりきつく言うのはやめていた。

ちなみに瞬平は、念のために村人から鍋と鍋の蓋、金盥にフライパンを借りて謎の装備。

…正直、ギャグにしか見えない格好だ。

「まあ頑張れよ」と笑いを堪えながら、晴人はミカ達と一緒にキルベルト公爵の屋敷へ向かっていた…






〜〜〜






アビエスの林。

やはりここにもモンスターが生息しており、何処か不気味な佇まいだ。

太陽を隠すほど木が蔽い茂っていて、ぼうぼうと生えた草の中には、時々人かモンスターか分からない骨が転がっている。

ひいい、と凛子を盾にしながら歩く瞬平に呆れるコヨミであったが…

ふと、彼女は少し離れた場所にある獣道に、まだ真新しいモンスターの死骸を見つける。


「…?」


それが気になってコヨミは見に行くと、そのモンスターの死骸には2つの切り傷がつけられており、傷の状態からしてつい先程やられたようにも思える。

更に、その先にはまた別のモンスターの死骸があり、「もしかして」とコヨミはその後を辿るように歩き出す…

――ひょっとしたらさっきの男の人が、迷い込んだのかも

そんなことを考えながら進んでいると、目の前には不気味な屋敷が見えてくる。

ここがキルベルト公爵の屋敷か、とコヨミは思っていたが、公爵が住む屋敷にしては少しばかり小さい。

それどころか「ギャアギャア」という怪物の声が聞こえ、噂のモンスター屋敷だと理解する。

流石にここに来る人はいないと、コヨミが立ち去ろうとしていた……その時だった。


「…!あの人、さっきの」


モンスター屋敷の前に、先程見かけた男が立っているのを見かける。

しかもその男は、何かの鍵を使ってその扉を開くと、臆することなく中に入っていく…

どういうこと?

どうしてあの人が、鍵を?

年齢からしてキルベルト公爵でないのは分かる。では一体、誰なのか。

しかしいずれにしても、ここで放っておいたらモンスターに襲われるのは目に見えている。コヨミは念のためにガルーダ・ユニコーン・クラーケンを呼び出して、モンスター屋敷の中に進んでいった……





コヨミの単独行動に気付かないまま、ミカ達が到着した先にあったのは…

もはや幽霊屋敷というしかない、怪しさ満載の大きな屋敷だった。

【不気味】

それが誰もが感じた屋敷の第一印象で、とても人が住んでいるようには思えない。

本当にここに住んでいるのか、とミカは扉をノックするが…返事はない。


「――あの、すいません!キルベルト公爵はいますか!?」

「…本当に、ここに住んでいるのかしら…」

「うう、まるでホラー映画に出てくるお屋敷ですよ…ここ…」

「確かに、何か出そうだけど…」


凛子や瞬平、ユーテキは屋敷の異様な雰囲気に圧され気味になっている。

まあ無理もない、と晴人とイーヴリンが思っていると…

ゆっくりと扉が開き、現れたのは、一人の老いた老人だった。

――彼こそがキルベルト。

青の公爵と呼ばれ、服は貴族らしく立派なものであったが…髪の毛はぼさぼさに乱れ、目つきは悪い。

とてもではないが、クラウスと兄弟とは到底考えられない。

キルベルト公爵は不機嫌そうな顔をしながら、ミカ達を見下すような目で話す。


「何だお前達は。ああ分かったぞ、煩い村の連中が送り込んだJMハンターだろう。言っておくが、ここに貴様らが欲しがるようなものなど一切…」

「あの、そうじゃなくて…いやモンスターの件で文句を言いたいのも事実だけど。……私、クラウスおじいちゃんに育ててもらった…ミカです」

「何?お前、クラウスのところの娘か」

「はい、あの、実はクラウスお爺ちゃんは…」

「――フン、分かっておるわ。死んだんだろう…それも特務機関に」



クラウスの訃報を既に知っていた上に、彼を殺めた者まで知っているキルベルト公爵に、ミカ達は驚きを隠せない。

これは、後からイーヴリンから聞いた話だが…

キルベルト公爵はシラス宰相と関わりがあるとの噂で、それはクラウスに宛てられた手紙を見ても明らか。

恐らくはシラス経由で話を聞いたのだろう、という彼女の話に、ミカ達は納得していた。

しかし…

次に発せられたキルベルト公爵の発言には、誰もが驚きを隠せない。


「――あんな奴、死んで当然だ!あいつはいつも私を見下して…そうだ、やっといなくなったんだ!!」

「何言ってるの?クラウスお爺ちゃんは、あなたのお兄さんじゃない!」

「そうだよ!兄弟なら普通、死んだら悲しいって思うはずなのに…」

「煩い!あんな奴、兄なんかじゃない…私の兄弟は、マロンちゃんだけだ!!……ええい、とっとと失せろ!!」


キルベルトは狂いだしたかのように喋りながら、バタンと扉を閉める。

ちょっと、とミカはドアをノックし続けるが、鍵を掛けられてしまったのか扉が開くことはない。

…予想以上の変人である上に、実の兄であるクラウスへの物言いに誰もが憤るが…

晴人は少し困ったような顔をしながら、溜息をつく。


「……たぶんあの人は、事あるごとにクラウスさんと比べられて…それがコンプレックスで、クラウスさんを嫌ってるのかもな。それで、心を許せるのはモンスターや…その“マロンちゃん”だけ」

「晴人君?」

「それでも…あんな言い方、ミカだけじゃない…クラウスさんだって可哀想だよ…!」

「コンプレックスに苛まれているからこそ、人との付き合い方が分からないんだろ。そしてそれを正そうとする肉親の言葉を聞き入れず、捻じ曲がったままあの歳まで……そう考えると、なんか可哀想な生き方だなって」


そう思い、ふと晴人が周囲を見回すと…コヨミがいないことに気付く。

慌てて彼は他の皆にもコヨミを知らないか尋ねるが、全員首を横に振るだけ…

…一体何処ではぐれたのか。

…もしかしたら、モンスターに襲われている可能性が!

そう思い、来た道をすぐ逆走しようとする晴人達であったが……



「―――ひいいいいいいっ!な、なんだこれはッ!?」



屋敷の中からキルベルトの悲鳴が聞こえ、反射的に全員が振り返る。

一体何があったのか…?

コヨミの捜索は晴人とユーテキ、ミカが行い、イーヴリンと凛子・瞬平はキルベルト公爵の様子を確認するべく屋敷に進入する方法を探っていた。





モンスター屋敷に足を踏み入れたコヨミは、ガルーダ達と周囲を見回しながらゆっくりと進む。

中は異様な雰囲気で、モンスターの住処といっても過言ではない。

当然屋敷の内装はモンスターによって荒らされ、壁の穴は開きっぱなし。

…これならモンスターが逃げ出してヴィオラの村を襲うのも無理はない、とコヨミは思いながら歩くと…

目の前に突然手負いのワーヴァルチャーが飛び出し、「きゃあ」とコヨミは悲鳴を上げる。


『ギャアッ、ギャアッ!』

「さっき見たモンスターと同じ…!」

『ギャアーッ!』


ワーヴァルチャーはコヨミに襲い掛かり、彼女を守ろうと3体のプラモンスターが飛び出すが…その突進攻撃であっけなく蹴散らされてしまう。

コヨミは近くに落ちていた槍を拾うが、その手は震えている。

いいカモだ、と思ったワーヴァルチャーはそのままコヨミを食い殺そうとしていた…その時だった。


「――シャドウエッジ!」


地面から突然、闇の槍が伸びてきたかと思えば…真下にいたワーヴァルチャーの腹を突き刺す。

その一撃で完全に止めを刺されたワーヴァルチャーはそのまま地面に倒れ、その際コヨミは、そのワーヴァルチャーにも2つの切り傷があることに気付く。

…またさっきの

…もしかして、林にいたモンスター達を倒したのは

コヨミがそんなことを考えていると、彼女の目の前には、一人の男が現れていた。

青い髪に白いコート。

更に…2度見かけたときは顔がよく見えなかったこともあるが、目は赤と青のオッドアイ。

腰には二刀の刀があり、やはりこの男がアビエスの林や先程のワーヴァルチャーを倒したのだと、コヨミは理解する。



「…あなたは?」

「俺のことはどうでもいい。村の奴か、興味本位で遊びに来たなら今すぐ戻れ。ここは子供の遊び場じゃない」

「待って!……あなた一体誰なの?ここで、何をしようとしてるの??」

「お前には関係ない」


オッドアイの男はそう言って、モンスター屋敷の奥に向かう。

…一体ここに、何があるのだろう

コヨミとしては今すぐ戻りたいところだが、ここまで来てしまった以上、一人で戻るのはむしろ危険だ。

いつモンスターに襲われるか分からないことを考えれば、いくら怪しくても、実力は確かなこの男と行動したほうが危険は少ないはず。

そう思ってコヨミはオッドアイの男のほうに走り出し、引きとめようと手を掴むが

……互いに互いの手が異様に冷たかったせいか、二人してびくりと肩を弾ませる。

コヨミは手をすぐ離し…男を見て動揺していたが、男のほうはそれを表に出すことなく、コヨミに尋ねていた。


「!?」

「…なんだ」

「……あなたについて行く」

「何?」

「一人で戻るには危険だし、それならあなたといたほうが安全だもの。……ここで何をするかは…目を瞑っておくから」

「馬鹿なことを言うな。絶対邪魔になるのは目に見えている、今すぐ戻れ!」

「ただの人形だと思えば楽じゃない。それに…こんな不気味なところに女の子を一人で置いていくような教育でも受けたの?」

「……好きにしろ、だがお前の安全は保障しないぞ」


何を言っても無駄だと分かったか、オッドアイの男は諦めたかのように先に進む。

コヨミはモンスターのいる場所で一人残される不安もあったが、…何より男のことが気になっていた。

――何処か、自分と近いような気がする




「ねえ、あなた、名前は?」

「…答える気にもならん」

「私はコヨミよ。……あなたは?」

「――ザウバーだ」






***




今回のお話の大半はコヨミで構成されています。

…いや、瞬平はユーテキ・凛子ちゃんはミカ・晴人はイーヴリンとそれなりに親しいので…

なんか。

……ぼっちは駄目だなぁ、と…!←


ジェネレーターを指輪に改良するユーテキの謎技術ェ。

いや、それより、ミカの言い分が一番酷いw

とりあえずジェネレーターは結果的に指輪型にしよう…と考えたのは、やっぱりウィザードと言えば魔法の指輪だからですかね?

それに、なんかミカにごっつい物持たせてもあれですし…

ダブルセイバーの時点で、相当ごっついですが。



魔法の指輪は、やっぱり敵の手には負えなかったようですね〜

それでも…

何とかウォータードラゴンリングの戻ってくるフラグが、立ったと言いますかw

ちなみに、朝5時ぐらいに起きて食玩ウォドラさんを買いに行ったのはいい思い出。暗かったから怖かったけど!!←


なんか最近、ハリケーンが不憫な気がしたので今回はハリケーンで。

次回は…

たぶん、フレイムが。

フレイムの扱いが悪いので、フレイムに…したいですね…



キルベルト公爵は変人です。ハリちゃんより根性ひん曲がった変人です。

っていうか、モンスター飼うってどうよ…?

と思いましたが、

・ペットがトライドとプトティラ

・ペットがドラグレッダー他3種

・ペットがウィザードラゴン(※ウォドラさんのペット)

・ペットがミラーモンスター

・たぶんあの世界じゃゼクターもペット

・トライドがペットならきっとバイクもペットでいいはず

…な世界がありますしw

そもそもライ街なんて、魔化魍グリードグロンギファントムアンノウン…色んな怪人が魑魅魍魎跋扈する世界ですしね!


遂に出ましたザウバー。

スピンオフで弄られまくり、ツッコミまくるザウバー。

ちなみに…

アプリゲー本編でも弄られまくってます、彼。

そういえばルピートのせいで、最近晴人も弄られてるような………まあいっかw




次回はマロンちゃんも出るよ!