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タイトル未設定 - Magic34:相違

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パヴェルは魔法の力で、城にいたポポキングとゾゾ以外の者をグリュッグ国に一瞬のうちに移動させていた。

「所謂【パッと移動する?】か…」とバーガーが呟いていたようだが、そんな彼を無視し、パヴェルはテントに向かおうとする。

そんな彼女の後を追いかけようとする晴人達だが、困ったような顔でウォルフガング達が話しているであろうテントの外にいるソウセイに気がつき、声を掛ける。


「ソウセイ!」

「晴人さん、皆さん!…え、いつの間にこっちに…?」

「それは…まあ、魔法で。それより、話し合いはどうなってるんだ?」

「殆どの部族達はリーリエリヒトと戦う意向を示してくれました。ですが、“ガナドール族”だけが未だに首を縦に振らないようで…今、ベックフォードさんやカルラさんも含めて、ガナドール族の族長を説得しているんですが」



ソウセイの浮かない顔を見る限り、説得は難航しているのだろう。

一つぐらい欠けても問題ないんじゃ、とユーテキはぼやくが…それをすぐに否定したのは、ザウバーだ。

グリュッグは複数の部族が集まって作られた国家、たった一つの部族がリーリエリヒトに従っているのなら、その部族からの反乱もありえる。

だからこそガナドール族をなんとしても説得し、グリュッグが内部崩壊しないように一枚岩として団結することが必要なのだ。

協力する部族の数を考えれば、ガナドール族が反乱を起こしたところで問題はないだろう。

しかし、もしもガナドール族が帝国の者を送り込むようなことがあれば…成程、ウォルフガング達が必死で彼らを説得する理由も大体分かる。


「頑なに帝国を支持するのには、何か理由でもあるのかね」

「支持している…というよりは、仲間を守るためだと思います。彼らと親交の深かったと言われるアンギュロス一族は、ダティーバ大陸に住む部族の中でも特に戦闘能力に秀でていた……と、ダゴイさんが前に話していました」

「…アンギュロス…」

「そのアンギュロス族が17年前に帝国によって滅ぼされたと知り、彼らは慎重になっているんでしょう。帝国の破壊兵器もあることですし、正直、協力は難しいでしょうね…」


アンギュロスという言葉を聞き、眉を寄せるイーヴリン。

そんな彼女に気付いているのかいないのか、ソウセイは腕組みをしながらテントを見る。

先程、あの中にパヴェルが入っていった。

まもなくリーリエリヒトを倒すための協力を、ベックフォード達に告げている頃だろう…

魔法国家でもあるアウデンティアの後ろ盾を得られれば、リーリエリヒトとの戦いは一気に有利になる。

【神の剣】も乱発できない以上、帝国軍と聖海騎士団という戦力しかないも同然。

アウデンティアの魔法使いの参戦宣言で、ガナドール族が動いてくれれば…




そう願っている一方で、晴人達はここに戻ってくる前、パヴェルから言われていたこと…

『影の焙り出し』をしようとしていた。

しかし、一体何処にシャドゥは潜んでいるのか。それが分からなければ、どうしようもない。

“ライト”リングを使おうにも、国中の影総てにそれをやるわけには行かないだろう。

そこへ「そうだ」と凛子が提案を出す。


「ライサって聖獣の、癒しの光…あれを使えば」

「あ、そっか!」

「試してみる価値はあるな。……回復系なら暴走した時の危険も少ないし、ここはランドで行くか」

<シャバド…ランド、プリーズ ドッドッドドドドン、ドッドッドドン!>

「…はぁぁぁぁっ!」


晴人はウィザード・ランドスタイルに変身。

ミカもそれに合わせて聖獣ライサとなり、空に上り、上空から癒しの光を放つ。

強力な光で影が狭められただけでなく、聖なる癒しの波動は影に潜む者にとって有効だったのだろう…


『…ぐぅっ…!?』


直接的なダメージは与えられないまでも、影に潜んでいたシャドゥの焙り出しに成功する。

晴人達がグリュッグに戻ってきたことを察知したシャドゥは、ある木陰から瞬平の影に移動しようとしていた。

これまでもシャドゥは、瞬平の影の中で息を潜め、隠密行動をしていたのだろう。

突然自分の背後からシャドゥが現れ、瞬平は尻餅をつきながらも後ずさり。


「うっ、うわぁぁぁ!?」

『ぐっ、ぐうぅ…!』

「――やった!」

「ミカ、こいつは影の中に入り込んで逃げるのが得意なんだ…暫くライサのままでいるんだっ!」

「……ライサって…一応、地属性…なんですよね?」

「どう…なんだろう。ランドに相当する聖獣がいなかったから、ライサが地属性にされているだけであって……実際は属性の概念がないんじゃあ」

「はいそこ、それ言い出したら、最初は融合属性だったはずなのに何故か光属性になっているライダーも責めないといけないからな!?」



ライサと、ガンバライドにおけるインフィニティーへのメタ話が、ユーテキ・イーヴリン・バーガーから聞こえてくるが…

「いいから戦え」とザウバーに叱責され、全員戦闘の構えを取る。

シャドゥも、何故彼らに自分の存在が気付かれたのか戸惑いながらも、闇の槍を持ち応戦に出ていた。

ウィザードRSはユーテキと共にウィザーソードガンによる銃撃戦を行い、ザウバー・イーヴリン・バーガーは直接攻めに行く。

先頭のイーヴリンに闇の波動を放とうとするシャドゥだが、ルルが魔法の障壁でガードし、イーヴリンの持つ剣がシャドゥの肉体を袈裟切りにする

…かと思いきや、ゆっくりと切られた部分が塞がり、イーヴリンが舌打ちする。


「くっ、再生能力持ちか…!」

「だが、ライサの持つ珠の光で行動が制限されているのも事実だ。……このまま一気に、片をつけるぞ!」

「任せとけ!」

『…ッ!』


ザウバーの指示に従うように、バーガーがホーリーランスの詠唱に入る。

…アレを食らえば、ただでは済まされない

ツァールハイト王国で一度攻撃を受けたからこそ、分かる。奴の攻撃を食らえばただでは済まされない。

どうすればいいか、シャドゥは考える…

そして…

安全な場所で応援していた瞬平や凛子、コヨミやソウセイに気付き、腕を伸ばして彼らを捕まえようとしていた。

凛子やソウセイは何とか逃れるも、瞬平とコヨミはシャドゥに捕まってしまう。


「うわーっ!?」

「…きゃあ!」

「瞬平、コヨミッ!」

「人質なんて卑怯じゃないかっ!」

『…危害を加えさせたくないのなら、自分達で考えろ』




ウィザードRSやユーテキは、悔しそうな顔を見せる。

シャドゥの闇の槍は瞬平の喉元に向けられており、いつでも刺し殺せる状態…

コヨミ達の命には代えられない。

そう思ったウィザードRSはウィザーソードガンを地面に置き、ユーテキ達も大人しく武器を置く。

バーガーはホーリーランスの詠唱を中断…これで、シャドゥを阻むものはいなくなった。

コヨミと瞬平を連れたままグリュッグ国の出口まで向かい、ライサの光の範囲外まで逃れ、ほとぼりが冷めたところを再び影の中に入り込んで監視を続けるためだ。

――だが…


『ケーンッ!』

『ヒヒィン!』

『ビチビチ!』

『なっ…何だこれは……ッ!?』


ガルーダ・ユニコーン・クラーケンのプラモンスター3体が、シャドゥに襲い掛かる。

特にクラーケンは相手の顔面に張り付き、シャドゥはそれを引き剥がそうと必死になって、手を離してしまう…

その隙にコヨミと瞬平は安全な場所に逃げ込み、「やった」とユーテキが喜ぶ。

…シャドゥはミカや晴人の力を警戒するあまり、他のことに注意が疎かになっていた。

万が一コヨミ達が襲われた時にと、身を守る手段(逃げるか晴人達が間に合うまでの時間稼ぎとも言う)としてプラモンスターを放っていたのだ。

その隙にいち早く刀を取ったザウバーが一太刀浴びせ、それに続く形でウィザードRSもスラッシュストライクで斬りかかる。

そして…

バーガーのホーリーランスが、シャドゥに炸裂していた。


「あばよ……“ホーリーランス”!」

『!!』



天から降り注ぐ光の槍が直撃し、シャドゥは爆発…

「今度こそ倒せてるといいんだが」とウィザードRSはぼやきながらも、ソウセイのほうを見る…

ファントムだと分かっていたとはいえ、自分の父親を殺されたようなものだ。

内心はかなり複雑だろう。

変身を解除しながら、晴人はソウセイに尋ねていた。


「…大丈夫か?」

「はい。……完全に大丈夫とは言えませんけど、だけど、…良かったとも思っているんです」

「え?」

「これ以上あいつが暗躍していたら、父さんから生まれたかもしれないあいつが、リーリエリヒトの手駒として使われていたら……違うとは分かっているんですけど、父さんが帝国に利用されているような気がして。だから、…これで父さんも自由になったのかな、って」


そうか、と晴人は複雑そうな顔をしながらシャドゥがいた場所を見る。

しかし…

その一方で、ずっと気がかりなことがあった。

シャドゥがソウセイの父親…コハクだとしたら、ゲートであるコハクの記憶を当然持っているはず。

それなのに、ツァールハイト国でソウセイが「父さん」と呼んだ瞬間のシャドゥの反応は……

ずっと心のどこかで引っかかっていたのか、晴人はソウセイに、【ある可能性】を話そうとしていた




――その時だった。

ウォルフガング達のいるであろうテントから、一人の女性が出て行く。

「誰なんだろう」と地上に降りたミカが呟いていると、遅れてウォルフガングやベックフォードが出てくる。


「…ベスティアッ!待て!!」

「ソウセイから聞いてはたが、…成程、手こずるはずだ」

「ウォルフガングさん!」

「それと…ベックフォードさん!あの、さっきの女の人は…」

「……ガナドール族の族長、ベスティアだ。彼女を説得しようとしたんだが、頑なに拒絶してね…遂には怒って飛び出していったんだ」


ベックフォードの言葉に、ミカやユーテキは驚きを隠せない。

…それと同時に…

先程ソウセイから聞いた【ガナドール族が帝国に従っている理由】を思い出し、複雑そうな顔を見せる。

ベスティア達ガナドール族は、17年前に起きたアンギュロス族の悲劇を繰り返したくない。

帝国に逆らえば、一族総てが皆殺し…一部族を纏める長としては、彼らの生活を守るためにも仕方がないことなのだろう。

ウォルフガングも、ボリボリと頭を掻きながら溜息混じりに話す。


「パヴェル女王らアウデンティアの魔法使いの協力が、いい起爆剤になると思ったのだが…多少の不安は残るが、ガナドール族抜きで準備を進める他ない。帝国も、大人しく待っているとは思えないしな」

「「「…」」」

「だが、帝国に従っていても…どの道彼らの作る世界とガナドール族は、相容れないというのに」

「どういうことですか?」


ウォルフガングの言葉に、凛子が尋ねる。

すると…

それについて説明したのは、テントから出てきたカルラとパヴェルだった。



「――ガナドール族は、独自の神を崇め、奉っています…このルキナがもしも帝国の思い通り、ラディス教で支配された世界になれば…彼らの信仰する神は蔑ろにされ、ラディスの神を崇拝しなければならなくなります」

「グリュッグ国を形成する部族の殆どは、それぞれの神を崇めていますからね。…それに、帝国に事実上協力している立場にあっても、それは変わらないと思いますけど」

「えっ?」

「…帝国に協力する以上は、今信仰している宗教ではなく、ラディス教を信仰しろということだろう。……少し考えれば分かることだろうが…友好関係にあったアンギュロス族の皆殺しというのが、尾を引いているのだろうな」

「そっか…でも、自分達を滅ぼした帝国に従うよりも、自分達の無念を晴らしてくれたほうが…アンギュロスの人達も喜んでくれると思うのになぁ……」


パヴェルの後に続くように、ザウバーが肩を竦めながら話す。

その後で、ユーテキも複雑そうな顔をしながら、自分の思っていることを口にする…

ガナドール族も自分達の部族を守るために、必死で考えて決めた道なのだ。

しかし、帝国に従うことで得られる未来が、ガナドール族にとって幸せな未来だとは限らない。

自分達の信じていた神を裏切る結果にも、なるというのに。

ミカや凛子も、このままでは駄目だと思ったのか、自分達がガナドール族を説得しようと晴人達に話す。


「…でも、やっぱりこんなの間違ってるよ!」

「そうよね…ねぇ晴人君、私達でベスティアさん達を説得しましょう!このままじゃ、彼女達のためにもならないし…何より、帝国に滅ぼされたアンギュロス族が浮かばれないわ!!」

「……帝国に攻め入るのに、準備の時間が掛かるのも事実だろうし…俺達はその間に、自分達ができることをするか」

「「やったぁ!」」


晴人だけでなく、他のメンバーからの同意も得られ、ミカと凛子は互いに大はしゃぎ。

その際、問題となるのはガナドール族の集落だが…

ソウセイ曰く、グリュッグ国は例えるならリーリエリヒトにあるJMハンターズギルドと似たようなもので、それに所属する人間……つまりグリュッグ国の一員として名を連ねる部族は、グリュッグの周辺に集落を構えていることが多いという。

更に、グリュッグ国南西にある森を真っ直ぐ抜けた先にある山沿いのルートを北西に進めば、ガナドール族の集落があるとのこと。

出発前にいくらか準備を進めた後、晴人達はガナドール族を説得するべく、彼らの集落に向かって歩き出していた…






〜〜〜






グリュッグ国を出発して、2日。

出てくるモンスターを難なく倒しながら、晴人達はガナドール族の集落の近くまで差し掛かっていた。

一瞬、「パヴェル様に送ってもらえば楽だったような…」と瞬平が言ってはいけないようなことを言っていたが、気にしないでおく。

両側を険しい2つの山で挟まれているガナドール族の集落は、地形からして攻めにくいことこの上ない…

ようやく集落が目の前に現れ、急ごうとしていたところへ…

ユーテキが預かっていた通信用JMから、連絡が入っていた。


『皆さん、ガナドール族の集落には着きましたか?』

「「「パヴェル様!」」」

「本当に通信できるんですね、これ…」

「あ、えーっと…はい!もうすぐで到着します!!」


パヴェルからの通信に、ミカ達は驚いたかのように声を上げる。

瞬平は少しだけ通信用JMのことを疑っていたのか、実際に声が聞こえたのを見て考えを改めていた。

誰もが思い思いに考えている中、凛子は慌ててパヴェルに近況報告。

「よろしい」と満足そうな声で告げると、彼女は晴人達に情報を与えていた。


『そうですか。――それよりも、気になる情報が』

「「「情報?」」」

『ええ。晴人さん達が私の力でグリュッグ国に戻るより少し前…でしょうか、港で、帝国の審問官を見かけたということです』

「審問官…というと、」

「特務機関Gを率いる、ユディーヌ審問官だろうな」

『はい。紅のローブに身を包んでいたとのことなので、間違いないかと。それだけでなく、聖海騎士団も来たという話も聞きますし…注意してくださいね』


そう言うと、パヴェルからの通信は途絶え…

ユディーヌ審問官と聖海騎士団、二つの勢力の接近に不安を覚え始めていた。

一番最悪なのは、どういった形であれ彼らと鉢合わせることだが…

今更それを気にしても仕方がないというザウバーの言葉で、ガナドール族の集落へと足を進めていた。



しかし…

ガナドール族の集落からは不自然なほど煙が立ち上っており、「何かがおかしい」と思った晴人は“コネクト”でマシンウィンガーを呼び出す。

そして一人だけガナドール族の集落に先行すると、

――そこでは既に、ガナドール族が襲撃を受けていた後だった。

しかも、2日前に飛び出していった女性…ベスティアは大きなブーメランを構え、槍を持ったユディーヌ審問官と戦っている。


「嘘だろ、何でこんなことに…」

「……ぐああああっ!」

「!」


ベスティアの左脇腹にユディーヌの槍が深く入り、持っていたブーメランを落とす。

ユディーヌは槍を大きく振り回すと、ベスティアにトドメを刺そうとその矛先を向けるが

…そのフードのスレスレを銀の銃弾が横切り、攻撃が放たれた場所を見る。

そこにはウィザーソードガンを構えた晴人がおり、ユディーヌはフードの奥の銀の瞳を持った目を細めながら、晴人を見ていた。

一方の晴人は、その銀の瞳にうっすらと見覚えがあるように思いながらも、ユディーヌに尋ねていた。


「…喧嘩はそれぐらいにしてもらうぜ、審問官さん?」

「異国の呪術者か…ノーマンやグリエルモの定時連絡が途絶えたが、まさか貴様らに倒されていたということか」

「え、いや別にそいつらとは最近会ってないけど。――それよりも、ガナドール族を襲撃した理由は…やっぱり、ラディス教繋がりか?」

「ああ。……ラディス教を国境とする我々にしてみれば、協力してくれるガナドール族が未だにガナドール教を信仰しているのが気になったのでな。最初は穏便に交渉をしていたのだが…結果として、な」

「それだけじゃないだろ。…この状態は、あんた一人じゃ出来ないからな……まさか、聖海騎士団も?」




晴人の問いに、ユディーヌ審問官は大きく頷く。

ベスティア、並びにユディーヌが来た頃には、ガナドールの集落は既に聖海騎士団によって攻め込まれた後…

しかも、倒れていた者の話では、彼女達にとっての聖地であるガナドールの神殿に足を踏み入れ、その奥地に祀られている【ガナドールの宝珠】を奪おうとしているとのこと。

「約束が違う」とベスティアは憤り、ユディーヌも聖海騎士団の非礼を詫びるが、そもそもガナドール族が未だにラディス教を信仰しないことが原因でもあると話し…

信仰心の強いベスティアの堪忍袋の緒が切れ、今に至るということだ。


「聖海騎士団は、ガナドールの宝珠をオリジナルJMだと思っているのだろうな。古くから伝わるものだそうだ、眼の付け所はいいと思うがな」

「あんた達のしていることは、ただの侵略じゃないのか?そんなことを許す神様がいるとしたら、…許されたもんじゃないがな」

「ラディスの神も望まれていることだ。――イシュトヴァーン猊下は……他でもない、【世界を救う者】なのだから」


遅れてミカ達もガナドール族の集落に到着し、ユディーヌ審問官の姿に驚く。

一方でイーヴリンは、僅かに破けたフードからユディーヌの銀の瞳を見て、目を見開く…

晴人もミカ達に視線を移した際にイーヴリンの瞳に気付き、彼女のそれもまた、銀の瞳だと気付く。

…何かの偶然だろうか?

そんなことを思っていると、ユディーヌ審問官はこんな話を始めていた。



「『蒼き光に守護されし者、紅き光を受けて世界を救う者とならん』…私が知っている、古い言い伝えの言葉だ」

「!」

「それは…ラディスの言葉じゃ、ねぇな。……何なんだ、その言葉は?」

「私は【世界を救う者】が、イシュトヴァーン猊下ではないかと思っている。あの方の目指す、ラディス教で統一された世界…それこそが世界の平和のためなのだ」

「嘘だっ!――本当に世界を救う者なら、アムニスフィールドをあんなにしていいはずがないよ…ウェルス上空のアムニスフィールドの亀裂は、まだ直ってないんだから!!」


ユディーヌの言葉を、ユーテキが全力で否定する。

アムニスフィールドの亀裂は、他の場所は少しずつではあるが回復してきている…

しかし一番酷いウェルスの町上空、並びにツァールハイト大陸のほぼ全域に見えるアムニスフィールドの亀裂は未だに残っているままだ。

もしもこの状態で、ウェルテクス社の兵器をもう一度使えば…アムニスフィールドは崩壊し、その後のルキナがどうなるのかは誰にも分からないという。

「それに」と凛子とコヨミは、ユディーヌにアムニスフィールドの真実を話す。


「それにアムニスフィールドもシンボルストーンも、遥か昔に作られた…人工物だったの!それも、あなた達の古代の先祖が作り上げた…隕石からルキナを守るための、エネルギーシールドなのよ!!」

「ラディス教は、後から作られたものに過ぎない…あなた達の信じる予言だって、時が経って徐々に形を変えてきただけかもしれないのに…」

「例えそれが真実だとしても、このルキナに長きに渡り浸透していったラディス教の存在を疑うものはいない。あなた方が『異教徒』として責められるだけの話だ」

「本当なの!……ねえ、本当にこの世界のことを考えているんだったら、皇帝を止めて!!」

「このままじゃ、本当の幸せなんて訪れるはずない…あなた達は、自分達が予言のとおりに幸せになろうとして…他の誰かの幸せを奪っているに過ぎないのよ!」




凛子とコヨミが説得しようとするも、ユディーヌはそれを聞き入れない。

ユディーヌ自身、イシュトヴァーンに深い忠誠を誓っているのだ…

それをそう簡単に、覆せるはずがない。

それよりもユディーヌはザウバーのほうに視線を向け、彼に言い放つ。


「…話しても無駄のようだな。それよりも、そこのオッドアイの男……お前が放ったと言う紅き光と、蒼き光。それはラディスの予言とも…私の知る言い伝えとも関係があるはずだ」

「……どうだかな。俺から貴様に話すことは、何もない」

「そちらが口を割らないのならば、話す気にさせるまでの話だ」

「…」


まさに、一触即発。

「危ないから下がっていろ」とコヨミと凛子に言いながら、ザウバーが前に出る。

そんな彼を援護するかのように、晴人やミカも前に出るが

――そんな彼らの元へ、ガナドール神殿から出てきたルーク枢機卿と聖海騎士団副隊長のガルシアが来ていた。

しかし彼らの表情は険しく、ガルシアなどバーガーに気付くや否や、彼に言い放つ。


「…バーガー!貴様、どういうことだ!?」

「おいおい、いきなりやってきて何の言いがかりだ?隊長の件なら、セデギウスって奴に言えってんだ」

「そうじゃねぇ!…お前の仕業だろう、さっさとガナドールの宝珠を出せ!!」

「は?」

「……ちょ、ちょっと、僕達はここに来たばかりですよ?」

「そうよ!それに、ガナドールの宝珠を奪おうとしてるのはそっちでしょ!?」



的を射ないガルシアの話に、バーガーは首を傾げる。

瞬平とミカも、わあわあと騒ぎながらガルシアに意見するが…

互いに一度落ち着くべく、ユーテキが一度大声で「ストップ」をかけていた。

ルーク枢機卿も今回ばかりはユーテキに同意だったのか、詳しい話をバーガーにする。


「まさかとは思うが、本当に知らないのだな?」

「だから…何の話だ?ルーク枢機卿」

「ならば教えてやろう…ガナドール族に伝わる宝珠は、私達が来た頃には“ある人物”が盗んだ直後だった」

「「「宝珠を盗んだ!?」」」




「それが誰だか分かるか?――バーガー…お前の元妻・シルエラだ!」



かつての妻が、ガナドールの宝珠を盗んだ。

その言葉をバーガーは到底信じられず、晴人達もまた、疑いの目でルーク枢機卿を見ていた…






***




詰め込みすぎだw

とりあえず、1万超えないように途中で切りました。

しかしシャドゥ…

あんなに引っ張って、あんな終わり方って…


ライサに関しては突っ込んではいけないw

しかし、本当にランドでも制御できましたねー…

他の聖獣もこうだといいんですが。

お気付きの方もいればいいのですが、1〜2章・3章・4章とミカの使う聖獣の種類が若干違います。

1〜2章が水のシアーズ、3章が風のツァターン、4章が土(にされた)ライサ…という具合に。

となれば、当然5章の頃には…?



ソウセイぐらいの割り切り方がミカにあれば…

いや、ミカは自分で戦わないといけない(or戦える力がある)以上、非戦闘員のソウセイと訳が違うんですけどねw

本当はソウセイを人質にしてー…でも良かったんですが、そうなると、またソウセイ主人公的な発言が飛び交うと思ったんで。

安定の瞬平(+コヨミ)にしました。

しかしクラーケン…ビチビチ……


ガナドール族も、懸念されていた通りになってしまいましたねー。

でもまぁ、これで多少は打倒帝国のほうに動いてくれるかと思います。

ガナドールの宝珠を取り戻せるかどうか、に掛かっているのも事実ですが。

そして…

覚えている人は恐らくいないであろう、Magic6でのイシュトヴァーンが呟いていた言葉。

「蒼き光に守護されし者〜」とのことですが、これはラディス教と関わりがあるのでしょうかね?

言葉の意味をそのまま捉えてしまうならザウバーが怪しいとは思いますけど、予言とか言い伝えって大抵の場合…言い回しがややこしいのであって、直接そう捉えたらいけないような気もします。




そういえばセルシーに会ってないのって、ザウバーだけでしたっけ?