晴人達一行は、リーリエリヒト大陸を離れ、ツァールハイト大陸へと向かっていた。
リーリエリヒト大陸からツァールハイト大陸までは、船で3日。
船の旅は平穏で、自分達が今、どんな状況に置かれているのかを忘れさせてくれる…
イーヴリンのことは心配であったが、彼女なら大丈夫だろうと自分達に言い聞かせ、その先のことに目を向けていた。
「ソウセイって、ツァールハイトのことに詳しいんだよね?あそこって、何があるの??」
「そうですね…特に何が有名、というものはありませんが…前にも言ったようにこれから向かう港町パテオでは、祭りが行われている最中です」
「「「へぇ…」」」
「祭りというだけあって、異国の物をたくさん見られるかもしれませんね。ツァールハイトは現在、リーリエリヒト帝国・グリュッグ国とは中立の立場にいますから」
「お祭りかぁ…すっごい楽しみですね!晴人さん!!」
「だな。……ところでそのお祭りって、具体的にどういう…?」
具体的、と聞かされソーマは説明に困る。
そうしていると…
お祭りに行ったことのないミカが、こんな(希望的観測としか言えない)【お祭り】を告げていた。
「それは……お祭りなんだから、やっぱり、皆豪華な服を着て…『歌って踊ってベルリーナ!』って感じで、情熱のダンスを踊ったりクールなダンスを踊ったり、キュートとかセクシーとかとにかく色々」
「ミカ!なんかそれ違う、違うゲーム混じってるよ!?」
「違うの!アウデンティアでのお祭りはね〜…皆が魔法で色んなものを作って、星がいっぱい町中に輝いたり…花が降ってきたり、カエルが大量発生したり…とにかく、毎年違うからとっても面白いんだよぉ!!」
「カエルの大量発生って何!?そんなお祭り、ルルのところだけだからね!!?」
「祭りって言うからには…アレだろ、皆で動物を狩ったり果物を採ってきたりして持ち寄った食材を、部落ごとの神に祈りながら祝う収穫祭」
「バーガーさん、それ…むしろダティーバ大陸のお祭り!」
色々とずれているミカの意見に、ユーテキがツッコミを返す。
しかしルルやバーガーも悪乗りする形で混じってきたため、ユーテキの負担が半端ない。
更に…
晴人達も、思い思いに『この世界での』お祭りについて議論していた。
「……俺が思うに、港町なんだから…魚を使った祭りだと思うんだよ。皆が皆、『シャシャシャウター!』と叫びながら、海の神様に感謝する日」
「えー、でも、中立って事はラディス教を崇拝している人も多いんですよね?むしろラディスの神様に感謝する日なんじゃ」
「瞬平君。中立だからって、皆が皆ラディス教を崇拝しているとも限らないじゃない。……むしろ私は、空から魚が降ってくるようなのを、この世界のお祭りに期待しているのよね…」
「凛子…そんなお祭り、あったら怖いから。……いっそのこと、鶏を追いかけて誰が一番鶏を捕まえられるかとか」
「うーん……いっそ、マヨネーズを掛け捲るお祭りとか。……駄目だ、仁藤しか得しない」
「あ、でも、世界のどこかにはトマトをぶつけるお祭りもあるんですよね!……だったら、マヨネーズが乱舞するお祭りがあっても不思議じゃないかも…」
「…それ、掃除大変じゃない…?いっそのこと、魚の切り身をラップに包んだ状態で投げ合って…後で皆で食べたほうが、掃除の手間も省けていいと思うんだけど」
「それも…どうかと。……皆で海の中に飛び込んで、誰が一番海の幸を素潜りで取れるかとか…」
「―――なんで晴人さん達も悪乗りするの!!?そんなお祭りないから、そんなお祭りないからー!!」
暴走する晴人達の意見に、ユーテキが必死でツッコミを入れる。
ちなみにザウバー…部屋の隅で静かに失笑。何がツボだったんだお前。
だが…
暴走はむしろ留まる所を知らず、ソウセイもツッコミを放棄しつつあった。
「だったら、ドーナッツを祝うドーナッツ感謝祭とか!…町中にドーナッツがいっぱいあって、どのドーナッツが美味いか決めるんだ……まあ、俺はプレーンシュガー一筋だけどな!!」
「だから、町中に色んな羽が舞って…それを集めて変な鳥に渡して、一緒にサンバを踊るの!そして、羽を集めたお礼に色んな家具をくれるんだけど、雪だるママンと違って全種類揃うまでのダブり方が酷い上に期待していたほどハジけたデザインじゃなくてorzする……あれ?」
「だったら、皆で卵を投げ合って…誰が一番卵を投げたかを競うお祭りはどうですか!?」
「お祭りなんだから、もうちょっと楽しくないと駄目なの!ケーキを皆で作って、投げ合うとか楽しいと思うの!!」
「いっそのこと…40mぐらいのラディス神の像に攻撃を加えて、倒した人が勝ちとか」
「凛子…元ラディス教の教徒の前でそんな発想を口にする度胸、俺は好きだぜ…?……とにかく、40mほど長いナルトを皆で作って、後でラーメンと一緒に食うとかどうだ!?」
「それだったら…皆で納豆を持ち寄って、誰が納豆をたくさんかき混ぜるかとか…利き酒ならぬ利き納豆をするとか、納豆をぶつけて町を納豆まみれにするとか」
「小麦粉を大量に撒き散らすとか!」
「晴人…そんなお祭りやったら、ザウバー以外の被害が相当じゃない…!」
「いや、ミカちゃん、……ザウバーさんの服がいくら白いからって…被害がまったくないわけじゃないからね?むしろ多分、一番の被害を被ると思うよ??」
「…イヴお姉ちゃんがいたら、もっと酷かったね…」
「あ、…あー…黒髪に黒い服だからね…」
「むしろ、ユーテキが一番酷いんじゃないのか?不憫的な意味で」
「瞬平もね」
「だったら皆でパイを投げつけるとか?…そんな祭りがあったら、俺は真っ先に瞬平に投げるかもな」
「私ユーテキ」
「ちょっ、晴人さん!?だったら僕……………ユーテキ君に投げますからね!」
「はるとんじゃないんだ…」
「なんか、一昔前のコント見たいねー……そうだ!いっそのこと、漫才を出し合うとか!!」
「いいなそれ!俺らも何か出てみようぜ、チーム名は…【ビーフバーガー】」
「…ユーテキと出るつもりなの?バーガー…」
「―――梅干を投げつけまくる祭りとか」
「「「ザウバー混じった!!!」」」
「混じんなくていいよザウバー!何で混じっちゃったのザウバー!!黙っていてくれたほうが色々とよかったよザウバー!!!っていうか、何これツッコミ僕しかいないの…ソウセイ君、ソウセイくーん!!?」
(不可解…何だ、こいつらは……)
あまりの混沌。
あまりのカオス。
そんな状況に、シャドゥはただひたすら……頭痛がする思いだった。
数時間後に船は港町パテオに到着し、乗客は総て船から降りる。
晴人達も例外ではなく、彼らは船員に乗船券の半券を見せながら、ツァールハイト大陸への一歩を踏み出していた。
だが…
船を見た町の人々は、何やら怯えた様子で逃げていく。
「リーリエリヒトの船が来たぞー!」
「ひー、厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだ!」
「…な、何だあいつら?」
「さあ…?」
「――まったく、帝国から船が来た程度で失礼ね。あなた達もそう思わない?」
晴人達の後から降りてきて、不満げにそう言ったのは…身なりのよい女性。
赤いドレスが印象的で、ミカや凛子もつい目を奪われてしまうほど。
一方で、バーガーは顔見知りだったのか慌てて背を向け、それに気付いた晴人とザウバーはなるべく彼を隠すように立ち位置を変えていた。
「帝国から来た船ってだけで、乗客まで歓迎されないんですもの。…その上、キルベルトには変な他の見事までされて、せっかくの旅行が台無しだわ」
(((キルベルト公爵…!?)))
「…いくら皇帝へお近づきになれるチャンスだからって…なぜこの私が、小娘など捜さなければならないの……はあ」
「あ、あの、キルベルト公爵がお捜しの娘って…」
キルベルト、という聞き慣れた名前に、ルル以外の全員が反応。
バーガーもそれに含まれている辺り、やはり貴族とは何かしらの関わりがあったのだろう。
赤いドレスの女性はミカの問いに溜息をつきながらも、丁寧に答えていた。
「ウェルテクスの生き残りだって言う娘のことよ。まだ帝国にいるって話なのに、何故国外に出る私に頼んだりしたのかしら…あなた達、何か知らない?」
「い、いえっ、私達は…何も…」
「そうです、ウェルテクス一族は代々インテリなんでしょう!?ここにいるのは、すぐ暴力に出る荒っぽい女の子しか……あだーっ!」
「ユーテキ殴るわよ!」
「殴ってから言うことじゃないよ!?」
「面白い子達ね。――私はフィルギニア、これからツァールハイトに向かいますので、何かあったら教えて頂戴ね…それでは御機嫌よう」
ユーテキとミカの漫才を笑って流しながら、フィルギニアという女性は去っていく。
ちなみに…
ミッドノクスに所属するヴィルギニア元帥とは、まったくの無関係であることをこの場で注意しておこう。
とにかく彼女が去った後、ミカはもう一発ユーテキを殴り倒し、息を大きく吐いていた。
「何で私を捜してるの…?」
「奴にとっては、奪った研究報告書がそれほど大事だということだ。……ついでに、ペット屋敷のペットを粗方駆逐したことに関しても、怒っていることだろうな」
「「「それ全部ザウバーのしたことじゃん!!?」」」
「…無視して進むことは簡単だったが、コヨミがいたしな。非戦闘員を連れているなら、ある程度駆逐していたほうが背後から狙われる危険がなくて済む」
「――帝国、ミッドノクス、特務機関、聖海騎士団…それに加えて貴族にまで追われる身とは、お前ら大人気だな」
茶化すようにバーガーが告げる。
彼の話によると…先程の女性、フィルギニアは【赤の貴族】と呼ばれている。
他にも後4人はおり、そのうちの一人でもあるキルベルト公爵は【青の貴族】だそうだ。
1人1人の特色は違えど、5人揃った連合となった場合は…帝国に匹敵する可能性さえあるらしい。
『キルベルト公爵ってそんなに偉かったんですね』と瞬平と凛子、コヨミは互いに話をしていたが…晴人はむしろ、別のほうに目を向けていた。
「だけど、とりあえずはリーリエリヒト大陸を出て正解だったみたいだな。さっきの女公爵さんの話からすると、帝国も俺達がまだリーリエリヒトにいると思っているらしいし」
「…とりあえず、国外のほうが動きを取りやすいのは間違いないって事ね」
「はい。……問題は何らかの形で、俺達がリーリエリヒトを出たことを知られることですが…イヴさんが捕まったり、フライハウト団の誰かが口を割ったりしなければ問題はないはずです」
「なら、暫くは大丈夫ってことか……あれ、ルルは?」
「「「え?」」」
晴人がミカやソウセイと話をしている…その途中。
ルルとポポがいなくなっていることに気付き、全員慌てて周囲を見る。
そうしていると…
なにやら太鼓の音に惹かれるような形で、ルルが町のほうに向かっていることに気付く。
「ちょっと」とミカ達は、慌ててルルやポポの後を追いかけ始めていた…
〜〜〜
その頃…
リーリエリヒト帝国にある、道具屋
…と入れ替わりでこの世界に来てしまった、【面影堂】。
ここには、豪華な黄色い服を着た男が、「う〜ん」と壷を見ていた。
「いいねぇ、この壷。ちょっと古臭いけど、なかなか味があるよ」
「そう言ってくれるとありがたいですよ」
「ところで…噂で聞いたんだけどさ、あんた、指輪作りの名人なんだって?」
「いやぁ、私は別にそんな大したもんじゃ…ただ、魔宝石の声に耳を傾けて作っているだけですよ」
「俺が趣味で買い取ったJMがあるんだけど、指輪にしてくれないかな?JMを指輪にする酔狂な奴がいるって、噂になっているんだよなぁ」
快活な笑みを見せながら、男は輪島にJMを見せる。
魔宝石を加工したものとそうそう変わらない不思議な石に、輪島は「ほぅ…」と覗き込むようにして見ていた。
すると、カラン…とドアを開く音が鳴り、「今日はお客さんが多いなぁ」と輪島が応対に向かう。
……そこに現れたのは、イーヴリンだった。
「――アーヒバルド公爵。公爵邸にいないと思ったら、こんなところで油売ってたなんてね」
「おぉ?イヴちゃん!久しぶりだね〜」
「お知り合いですか?」
「お知り合いも何も、俺、彼女から色んな情報買ってるんだよね〜。情報屋は数多くあれど、彼女のような美人な情報屋っていないからさぁ」
「お褒めの言葉どうも。……ところで…面影堂、という店の名前でもしかしてと思いましたが……店主の輪島さんで?」
「はいはい、そうですが…一体何故、私の名前を?」
イーヴリンは軽く頷くと、現在の状況を話し始める。
アーヒバルド公爵は、5色の貴族の一人【黄の貴族】と呼ばれている男。
女好きで軽い性格ではあるが、物事の本質はしっかりと受け止められる上、口は意外と堅い。
イーヴリンのお得意様の一人でもあり、彼の前で晴人達の話をしても、帝国に情報を売ることはないだろうと信頼している。
彼女の話を聞いて、現在の晴人達の状況を聞いた輪島は…驚いたような顔で、果物の入った大きな箱を見ていた。
「成程…それで、いつの間にかあの箱が置かれていたのか……というのはさておき、とにかく晴人達は今、別の大陸にいると?」
「そうなります」
「で、イヴちゃんも今、帝国が追ってると噂のウェルテクスの娘や異国の呪術者…というか魔法使い?と一緒に行動していた……それが本当なら、何でイヴちゃんもここに?」
「その件で…アーヒバルド公爵。あなたから、現在の帝国の状況を詳しく聞きたいんだ」
「現在の状況ねぇ…イヴちゃんのことだから、シンボルストーンが抜け落ちたって情報も入手済みだろうし。何を話したもんだか」
イーヴリンの言葉に、アーヒバルドはううんと唸りながら座っていたソファに腕を掛ける。
そして…
暫くすると、「そうだ」と何かを思い出したかのように指を鳴らす。
「――そういえば最近、帝国は何やら物騒なものを作ってるらしいぜ」
「物騒なもの…例えば、軍事兵器とか…そういう?」
「そうそう。それも、相当ヤバいやつ。研究者の中に、仲良くしてる女の子がいて…その子から聞いたんだよねぇ」
「…相変わらず女好きだね。まあいい、それで、具体的にどんな兵器なんだ?」
「その子の話だと…アムニスフィールドのエネルギーを使うとか何とか。JMを搭載した兵器だったら、今使っている奴と大差ないんだろうけど……詳しいことはよく分からないんだってさ」
軍事兵器か、とイーヴリンは腕組みをしながら考える。
もしもその話が本当だとすれば、今起こっている宗教戦争に対して絶大な威力を誇ることだろう。
ウェルテクス社の技術はリーリエリヒトが独占している、現在戦争を起こしている相手…グリュッグ国の部族やラディス神を信仰しない国に対して使うのならば、尚更。
「それから、お城で侍女をやっている女の子にも聞いたんだけどね?」
「…ほ、本当にどれだけの女性と関係を持って…?」
「私だって知らないさ。……まあ、そのお陰で情報網はかなり広いし、アーヒバルド公爵とは情報を売り買いしている間柄だから…特に文句を言えないのも事実なんだけど」
「そんな褒めるなってマスター、イヴちゃん。――皇帝達は今、ラディスの予言にある【聖なるもの】に一定の目星をつけたらしい」
アーヒバルドの言葉によれば…
これまでのミカ達との戦いで、帝国側は自分達の求める【聖なるもの】が何なのか調べていた。
ミカの持つオリジナルJM……人の姿を獣に変えるという意味では不可思議な力を持っているが、オリジナルJMという範疇で片付けられる代物ではない。
続いて、晴人の持つ魔法の指輪……これは晴人しか使うことができないと分かった時点で、【聖なるもの】の候補から外していた。
そうして必然的に残ったのは、――ラディス教のシンボルストーン。
「今現在、シンボルストーンはウェルテクス社によって解析されている最中だ。……もしも予言にある【聖なるもの】と分かれば、熱狂的な信者達は湧き上がるだろうねぇ」
「…予言…とは、一体?」
「そうか、輪島さんはラディス教のことはあまり知らないんでしたね。…まあメタな話、読者との再確認もかねて説明すると…」
「イヴちゃん、それ、メタいってレベルじゃないよ?」
――アムニスフィールドから生まれしその力は、蒼き石に封じられるが如く消え去らん
――英姿を再び拝まんとするならば、古き世から伝わる【聖なるもの】をその手に持て
――ルキナに存在する総ての生き物が、真にラディスの神の子となり
――輝かしい蒼き光を放つ【聖なるもの】が紅き光へと変わる時、神の国への扉は開き、我らは再びラディスの神の御身へと辿り着かん
「……というのが、ラディスの予言。つまりあいつらは、シンボルストーンを神の国への扉を開くための鍵…【聖なるもの】と思っているのさ」
「はあはあ、成程…ですが、……こう言っちゃあアレなんだけど…“神の国への扉”って、何なんだろうね?」
「「と、言うと?」」
「うーん…これは私の直感なんだが、…“蒼き石”という言葉が予言の中にあるのなら、それがシンボルストーンの可能性がある。そして、古き世から伝わるものは…あの空に浮かぶ膜も、そうなんじゃないかと」
輪島の言葉を聞きながら、アーヒバルドとイーヴリンは窓の外を見る。
そこには、いつもと変わらない輝きで、アムニスフィールドが輝いている…
しかし、予言の中にある『【聖なるもの】をその手に持て』が不可能な代物でもあるのだ。
流石にそれは、とアーヒバルドが意見しようとしていたが、イーヴリンは輪島の解釈を元に考え始めていた。
「…確かにアムニスフィールドは、シンボルストーンと違って持つことができない。だけど、もしもシンボルストーンとアムニスフィールドに何らかの繋がりがあるとして…JMと同じように、アムニスフィールドの力を使うことができると解釈すれば」
「……アムニスフィールドの力をその手に持つことが可能、ってことかい?」
「まあ、これはあくまで輪島さんの解釈を元に考えた推測なんだけど。……だとしたら、アムニスフィールドが紅き光を放つ時、神の国への扉が開く…?」
「――いやいや、それでも、アムニスフィールドが紅く光るなんてことがあったら…それこそ一大事じゃないか?むしろ世界の終わりだって!」
アーヒバルドの言葉には、「それも確かに」とイーヴリンは納得する。
アムニスフィールドが紅く光るなど、異常現象にも近い。
ただでさえこの間、アムニスフィールドが蒼い輝きを放っただけでも民衆の騒ぎは凄まじかったというのに。
流石に考えすぎか、とイーヴリンは思いながらも…今度は輪島に、こんな話をしていた。
「予言の話はこれでお開きにして…輪島さん。晴人が使う魔法の指輪…それらは、火・水・土・風の4つだけですか?」
「まあ、大本の属性はそうかもしれないなぁ。それが?」
「いえ…少し、気になって。……ミカの話は、聞いていますよね」
「ああ…確か、水の力を持った獣になったと、晴人からの手紙で」
「この間ミカは、シアーズという水の獣の力を…ウォータードラゴンの持つ魔力で安定させることによって、自由に力を引き出すことができました。……しかもミカがシアーズの姿を現す前、晴人の持つ青い指輪も輝いていた」
「……それが、何か?」
「これは私の推測ですが…ミカの力は、オリジナルJMを解してアムニスフィールドの力を借りている」
「その影響を受けて、ウィザードの持つ魔法の指輪も輝き…更にミカの聖獣の力をコントロールしている。……実際、最初に暴走したミカを止めたのも…ウォータースタイル」
「――聖獣の力がウィザードの属性と対応していると考えれば、後3つ…ミカは違う聖獣の姿になる」
「しかし、自分の意思での制御が難しい以上、晴人がいなければ制御ができない…」
「輪島さん、――もしかしたらあなた方は…来るべくしてこの世界に来た、という可能性すらありえるわけです」
〜〜〜
「――すごーい!本当にお祭りだぁ!!」
「ねえねえ、ミカちゃん!あっちにも凄いのが!!」
「ホントだぁ!…ほらほら、コヨちゃんもいこっ」
「ちょ、ちょっと、引っ張らないで…」
ミカ達は、パテオの町のお祭りを堪能していた。
予想していたものとは違い、異国の物が並び…海の幸の収穫を祝うための祭りだったが、それでもミカにとっては目新しいものばかり。
ミカと凛子、ルルはコヨミの手を引いて色々な物を見て歩いている。
こんなに大はしゃぎで過ごすミカを見て、やはり年相応の女の子なのだとユーテキは実感していた。
…殴られたのは痛かったが。
「なんかミカ、楽しそうだよねぇ。…まあ、色々あったからしょうがないか」
「そうかも。あ、ユーテキ君、僕達もあっちに行こうよ!」
「え?…うわぁ!なんか凄く珍しいものがある!!」
「あ、晴人さーん!僕達、あっちのほうに向かってますねー!!」
ユーテキと瞬平もまた、祭りに浮かれて別行動。
暢気な奴らだとザウバーは思いつつも、…横で異国のお面を被って遊んでいるバーガーに冷たいツッコミを放つ。
「で、――あいつらはまだいいが…あんたは歳を考えろ」
「別にいいじゃねぇか。あ、ほら、珍しい土器発見」
「どうする気だそんなもの…」
「これをコヨミとかに持たせれば、いざという時の鈍器にも…」
「ならん!」
船に乗っている時といない時での、ノリの差がおかしい眉間シワ星人。
「もしかして船にいた時に船酔いでもしてたのか」と疑問に思う晴人であったが、
…船酔いは船酔いでも酒に酔った時のように普段とテンションがおかしくなる船酔いなど聞いたことはないので、単純にツッコミ防衛線としてやっと機能したのだろうと、解釈していた。
その横では、ソウセイがガイドとしての実力を遺憾なく発揮している。
「パテオの町では海の幸を使った料理が有名で、お刺身の専門店もあるぐらいです。この辺でよく採れるのは、イカ・エビ・マグロですね」
「へぇー…他には?」
「ツァールハイト王国が中立的立場なのもあってか、異国の珍しいものも店先に並んでいます。特に今日の祭りのように賑やかな時は、普段でも見ることのない掘り出し物に出会えるかもしれませんよ」
「それから、なんか可愛い装飾品が多いんだけど」
「浜辺で取れた貝殻を使ったアクセサリーですね。パテオだけではなく、ルトラ港やフリッシュという海辺の街でもよく見られます…腕のいい職人がいるのはフリッシュなので、恐らくそこから輸入してきたものでしょうね」
手当たり次第に珍しいものを見て回るミカ達とは違い、晴人はソウセイのガイドで効率的に祭りを見物していた。
その時…
彼の目に映ったのは、ラディス教のシンボルストーンを模したモニュメント。
「…あれは?」
「恐らく、ラディス教を信仰するよう建てられたものですね」
「まあ、中立国家って聞こえはいいけど…考えようによっては、どっちつかずで…やや帝国に傾倒しているってことでもあるんだろ」
「そうですね。…俺も帝国に父さんを奪われた身だから、シンボルストーンを見るだけで鬱に近い気持ちになります……なんかまるで、帝国の支配が及んでいるような感じで」
晴人とソウセイはしみじみとした顔で、モニュメントを見ている。
その更に向こうには、ラディス教の出張所…みたいな建物も見受けられ、それを象徴する旗も風に靡いている。
別の場所見に行くか、と晴人が提案しようとした…次の瞬間。
幼い子供達がやって来て、モニュメントに石を投げつけ始めていたのだ。
「――こんなもの、なくなっちゃえー!」
「そうだ、そうだー!」
「倒しちゃえー!」
「お、おいおい…そんな石っころで倒れるわけないだろ。お兄さんが今から、ランドってあげよう」
「晴人さんも何言ってるんですか!?俺達のことは知らないとはいえ、リーリエリヒトの…それもラディス教の関係者に目をつけられでもしたら!」
「――こらっ、お前達…何をしているんだッ!」
「今すぐやめないか!」
ランドスタイルになって破壊しようとする晴人を止めるように、ソウセイが慌てて抑え始めるが…
出張所から神父が2人飛び出してきて、
「ああ、これは逃げられようがないな」
……と、諦めたような顔でソウセイは溜息をついていた。
***
前半…ユーテキ苦労人
中盤…イーヴリン苦労人
後半…ソウセイ苦労人
苦労人が多すぎるぞ今回w
ちなみに、普段はザウバーのほうが結構苦労人。
そりゃそうだよ…
晴人→フリーダム
瞬平→不憫
凛子→正義感が強くて直情径行
コヨミ→低血圧の如く静か
ミカ→お転婆娘
ユーテキ→不憫
イーヴリン→ややツッコミ寄りだけど基本はその場の流れ任せ
ザウバー→もはやツッコミ生命線
ルル→フリーダム
ポポ→サル
バーガー→吹っ切れたせいでもはや自由すぎる
ソウセイ→真面目。ツッコミを放置することが多い
メインがいつの間にかイヴ側になっていた今回。
あれ…おかしいな…
お祭りメインの予定だったのに……
そして、今回出てきたアーヒバルド公爵。
女好きです。でも割とちゃんとしている人。性格はパパンかルピートかルパン。
輪島さんもちゃんとした出番が貰えてよかったね!
お祭り組は…
本当に何してんだお前らw
一番まともそうな晴人&ソウセイコンビも、晴人が途中でおかしくなってたしww
暫くは実質、戦闘がなさそうです。
原典も大体、3章開始直後は戦闘がなかったので…本気を出すのは、パテオを出た後?
でも逆に、ギャグを中心にどたばたできるってことでもあるんですよねw
するかしないかは、その時の気分次第ですが。