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タイトル未設定 - Magic12:悪臭炸裂ドリレシアン

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Magic12:悪臭炸裂ドリレシアン

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ウィザード一行と、ルキナで暗躍するファントム・オリジンがついに邂逅を果たした。

ウィザード・ランドスタイルも、目の前のファントムが得体の知れないものだと言うのは分かっているのだろう。

ごくりと息を飲み、オリジンを見据える…

一方のオリジンは、いかにも余裕に満ち溢れ…目の前の相手の顔を1つずつゆっくりと眺めている。


(こいつ……単純な魔力で言ったら、フェニックスやメデューサと同じぐらいか…?)

『どうやってこの世界に来たのか、そのことはどうでもいい。せっかくファントムを増やしている最中だと言うのに、邪魔をしないでもらおうか』

「ファントムを増やす、だって?」

『私がこの世界に来た目的はただ一つ、我らが同胞たるファントムを増やすため。まあ…謂わばファントム生産工場といった所か』


生産工場、と言う言葉にウィザードRSやコヨミは顔を顰める。

一方のミカも、自分の住んでいる世界を…そこで暮らす人々を利用するオリジンのやり方に、憤りを隠せない。

そうしていると、オリジンは瞬時にその場から消え、いつの間にかウィザードRSの背後を取っていた。

ウィザードRSはすぐに振り返ろうとするが、4本の腕の一つが彼の首元に剣を突き立て、身動きが取れなくなる。


「晴人!」

「…ッ」

『……ここで殺すのは簡単だが、それだと面白くない。それに、お前を絶望させて最強最悪のファントムを作り出すのも面白そうだ』

「…生憎と俺は、簡単に絶望なんてしないんでね」

『まさかまだ…いや、それはそれで面白くなる。ならば…ヴォルト、この軍事キャンプごと奴らを黒焦げにしてやるといい。お前も、そろそろ暴れたかったことだろう』

『ォオオォォウォォ!』



オリジンの言葉を待っていたかのように、ヴォルトは放電して暴れ始める。

「やべっ」とウィザードRSはディフェンドの魔法で防御しようとするが、あまりの威力にいとも簡単に粉砕されてしまう…

ヴォルトの放つ電撃は近くのテントをいくつも破壊し、落雷の影響で焼け始めたり、その火が飛び移ったりして大惨事になっていく。

ただならぬ様子に、軍事キャンプ場近くの森で待機していたイーヴリンと凛子・彼女たちと合流した瞬平とユーテキもやって来る。


「…一体何があった!?」

「って…ファントムが2体も!?」

「うわわわわわわわ!?」

「な…何なのこいつらっ!」

『…!……成程、面白い。ならば尚更、あの計画を進めるべきか…』

「計画?」

『じきに分かる、指輪の魔法使い。そしてその仲間達…【その日】が来るのを、怯えて待っているがいい』


オリジンはそう言うと、この場から完全に姿を消した。

ヴォルトまで置いていったと言うことは、自分たちをこの場で潰すか…それとも気性の荒さがフェニックス級のヴォルトは、自分の言うことを聞くはずがないと踏んだか。

後者の場合、オリジンはある程度自分にとって従順であるファントム以外は要らないのだろう。

面倒なことをしてくれたな、と思いつつも、ウィザードRSは凛子達にソウセイ達3人を連れて逃げるよう指示する。


「凛子ちゃん、ソウセイ達を連れて…瞬平やコヨミと一緒にルトラ港に戻るんだ!こいつ、かなり見境がないッ!!」

「分かったわ!…皆ついて来て、一緒に家族の元に帰りましょう!!」

「わ…分かりました」

「ああ!に、逃げるぞっ」

「ひーっ、帝国兵に連れて行かれたと思えば、デシンの奴が変な怪物になったり…何だってんだよー!」


ソウセイを始めとした、ルトラ港から連れて行かれた若者達は…自分達の身に起こっている状況を理解してはいなかった。

いきなり見たこともない魔物が襲い掛かってくれば、当然とも言うべきか。

だが、黄色い変な四角頭は自分達の味方であること…今が逃げ出すチャンスだと思ったこと。

ソウセイ達は凛子達の誘導を受けながら、その場から逃げ始める。

更に、凛子達の護衛も必要だと思ったか、遠距離からヴォルトを攻撃する術のないイーヴリンが彼女達に同行し、ルトラ港まで護衛を行う。




当然、帝国軍も突然の落雷や火事でてんてこ舞いになっている。

その上、せっかく捕まえた晴人やミカが脱走しただけでなく、押収されたはずの二人の持ち物が無くなっているなど…信じがたいこと。

ヴィルギニアはテントの消火活動を指示しながら、オフレッサーやマクシミリアンに言い放つ。


「――おいっ、どうなっていやがる!呪術者とウェルテクスの娘が脱走しただけでなく、テントが急に燃え始めているだぁ!?」

「それが俺達にもよく…ただ、一つだけ言えるのは、変な声が聞こえたかと思えば…その直後に地響きが聞こえて、テントの中を見たら穴しかなかったんだ!」

「いやー…流石呪術者と言うべきか。不可解で理不尽な魔術を使ってまあ…」


とにかく落雷の原因を探るべきだと、ヴィルギニアとオフレッサーは発生源とも思える場所に向かう。

すると…

そこでは意味不明な雷の怪物と、ウィザード・ランドドラゴンらが戦っている光景だった。

ウィザードRDは“グラビティ”でヴォルトの動きを押さえつけ、その間に身か・ユーテキ・ザウバーが遠距離攻撃を行う。

状況を上手く飲み込めないヴィルギニアらであったが、とにかく今は、ミカ達を改めて捕まえるべきだと思ったのだろう…ヴィルギニアはミカ、オフレッサーはユーテキに襲い掛かっていた。


「…おらぁ!」

「きゃっ!?」

「ちょ、ちょっと!何で僕達を攻撃するのさ!?」

「当たり前だ!お前らはお尋ね者なんだからな!!」

「ったく…おい、あいつらを黙らせられる魔法なんてないのか」

「あるにはあるけど…ザウバー、お前、このリングを指に嵌める気ある?」



そう言ってウィザードRDが取り出したのは、“スメル”の指輪。

その絵柄で、大体嫌な予感はしたのだろう…

ザウバーは断固拒否し、しょうがないと思った晴人は、ユーテキにこっちに来るよう叫ぶ。


「だろうな。――ユーテキ、何とかこっちまで逃げて来い!」

「って言われてもぉぉぉ!?」

「この、すばしっこいガキが!」

「ガキって馬鹿にしないでよねッ!“スプラッシュ”!!」


ミカは強い水流を放出するスプラッシュの術を使い、ヴィルギニアとオフレッサーの足を止める。

だが、あくまでもこれは足止めにしかならないだろう…

ユーテキは急いで逃げてくると、ウィザードRSは彼の指にスメルウィザードリングを嵌め、ウィザードライバーに強引にユーテキの手を翳していた。


「ユーテキ……悪いな!」

「え、ちょ、晴人さん何をs」

<スメル、プリーズ>





「「「―――くっさあああああああああああ!!!」」」

「…!」

『ガガグァァァ!?…サイク、ギサクルゥゥゥス!』

「うおっ、久々に臭ーッ!」


スメルリングの効果で、ユーテキからとてつもない臭いが放たれる。

当然、ミカやヴィルギニア、オフレッサーにザウバーといった生身の面々はあまりの臭さに悶絶したり、鼻を抓んだりしている。

その一方で、鼻の位置がよく分からないヴォルトも悶え始め、諸悪の根源であるウィザードRDなどローブの裾を鼻のある部分に持ってきて抑えている。

ユーテキ自身もあまりの臭さに混乱し、どうにかしてもらおうとミカの方に逃げるが…ミカと、ついでにヴィルギニアとオフレッサーはユーテキから逃げ出し始めていた。


「ちょ…臭ッ!?ミカ、ちょ、助けてー!!?」

「ちょっと来ないでよユーテキ!あんたなんでそんなに臭いの!?ドリアン+ユーテキでドリテキって呼ぶわよ!!?」

「ぎゃー!俺達のほうに来るんじゃない馬鹿野郎ーッッッ!?」

「鼻が!鼻がー!!」

「……よし、ユーテキが相手を引き付けている間に、あいつを倒すぞ!」

「『引き付ける』じゃなくて、『追い払う』が正しいと思うぞ…おいミカは戻れ、手が足りん!ユーテキはそのままヴィルギニア達を、ラフレシア的な腐臭で追いかけ続けろ!!」

「――ザウバーもここぞとばかりに僕で遊んでない!!?」

「いいからやりなさいよドリレシアン!」

「頑張れよ、ラフドリアン!」

「任せたラフレシドリアン!」

「もはや『ユーテキ』のどれとも被ってないーッ!?」


ドリレシアンとか言うミカ(主人公その2)と、諸悪の根源でありつつラフドリアンとか言うウィザードRD(主人公その1)と、ラフレシドリアンと真顔で叫ぶザウバー…

そんな彼らに叫びながらも、ヴォルトを倒すには足手纏いもいい所なのは痛感していたため、ヴィルギニアとオフレッサーを悪臭で追いかけ始めるユーテキ。

…お前の明日はどこだ。



帝国軍はスメルリングを装着したユーテキと、ヴォルト雷によって引き起こした火事によって大混乱に陥る。

邪魔者もいなくなったところで、ウィザードRD達はヴォルトに攻撃を続けていた。

ヴォルトの電撃は弱まるところを知らず、それどころか、ユーテキの悪臭が原因で凶暴さが増しているように見えなくもない…

「やっぱスリープにしとくべきだったかな」とウィザードRDは思いながらも、ウィザーソードガンでスラッシュストライクの態勢に入る。

土の属性を纏った一閃がヴォルトを捉えるが、効き目は薄いようだ。


「くそっ、電気は地面に弱いもんだろ!?」

「それどこの世界の常識なの…?」

「属性には有利・不利があると同時に…磁石の同じ極同士のように、対極となる属性が存在している」

「「対極?」」

「互いに反発しあう性質を持った力がぶつかれば、当然強いほうが勝つ。例えば…光と闇、炎と氷のようにな」

「……成程、それで前に戦ったセルシウスには手も足も出なかったのか…それで、雷の対極は?風…はハリケーンドラゴンが“サンダー”を使えるから、ないとは思うけど」


ザウバーの説明に、ウィザードRDはウェルテクス屋敷で戦ったセルシウスのことを思い出す。

普通に考えれば、氷のセルシウスに勝てるのは炎属性のウィザード・フレイムドラゴン…

しかし実際は、相反属性同士の戦いではセルシウスのパワーのほうが勝り、ウィザードFDは敗北する結果になった。

――この世界では相手の属性と相反する属性の攻撃で攻撃すれば有利に戦え、相手と同じ属性だと当然効き目は薄くなる…

となれば、当然ヴォルトにも対になる属性があるはず。

ウィザードRDはそう思っていたが、次のザウバーの一言に、ミカ共々パニックになる。




「……水だ、雷の対極は水。ただ、ミカのスプラッシュじゃ威力が足りなすぎる…もっと別に、強い水の攻撃はないのか?」

「「…」」

「おい」

「―――ウォータードラゴン、ウォータードラゴンがこんなに必要な存在なんだって、俺、今やっと分かったよ…!orz」

「私が…私がウェルテクスの力を、あの力をちゃんと制御できれば…!orz」

「……もしかしてお前ら、ピンポイントでなかったのか…?!」


攻撃用の術は闇属性しか持たないザウバーが、頭を抱える。

こうしている間にも、ヴォルトは手当たり次第に暴れ始め…このままでは森にまで火が燃え移ってしまい、大変なことになる。

くそ、とウィザードRDは左手のリングを付け替え、ザウバーとミカに言う。


「この方法使うと、魔力の消耗が激しいからやりたくなかったんだよな…。ミカ、ザウバー、俺が最大の攻撃を放った一瞬で、一気に片を付けてくれ。さっきの話が本当なら、互いの性質がぶつかりあって相殺することが可能なはずだ」

「確かに、相手と同じだけの力なら相殺され…ヴォルトも一瞬の間は帯電状態が解除されるだろうが、何をやるんだ」

「……ウォータードラゴンもできない上に、こっちも残りの魔力がやばいんでね。相殺するのもやっとなんだよ」

<ウォーター、プリーズ スィ〜スィ〜スィ〜スィ〜♪>

<コピー、プリーズ>

<<コピー、プリーズ>>

<<<コピー、プリーズ>>>


ウィザードRDはウォータースタイルに姿を変え、更にコピーリングを連続で使用し、8体に増える。

その状態でスラッシュストライクの態勢に入り、8体のウィザードWSは寸分狂わない動きで剣を構えていた。

それを見たミカとザウバーは瞬時に理解し、左右から回りこむ形でヴォルトと距離を詰める。



<<<キャモナスラッシュ、シェイクハンズ!>>>

<<<スラッシュストライク、スィースィースィー!スィースィースィー!!>>>

「「「―――はああああああッ!!」」」


次の瞬間、ウィザードWSはウィザーソードガンを同時に振り、水を纏った刃をヴォルトにぶつける。

残った総ての魔力をぶつけた一撃は、ヴォルトの持つ雷属性の魔力とぶつかり合って、一瞬ではあったがヴォルトの体を纏っていた電流が打ち消される。

…その【一瞬】だけで充分だった。

一瞬の隙を狙ってミカとザウバーが両側から攻め、ヴォルトに攻撃を放つ。


「…疾空狼焔衝!」

「霊鋼剣!」

『バ、ナバカ…ガッァァァグ!?』


8発のスラッシュストライクは相当効いていたのか、ヴォルトは抵抗するまもなく爆発…

「やった」と一息つくミカだが、一方のウィザードWSは魔力切れで変身解除となる。

…思えばこの世界に来てから、殆どゆっくりと休めてはいない。

当然魔力の回復も元の世界より鈍く、今回の戦いはかなりギリギリの状態だったのだろう。

それを見たミカは、心配して晴人に声をかける。


「大丈夫!?」

「ああ…魔力がなかなか回復しないから、意外とキツくて」

「うーん…TPみたいなものなのかな。だったら、オレンジグミで回復できるけど」

「いや、ちょっ待…」

「待てミカ。TPを高く回復させたいなら、グミよりは料理のほうがいいだろう。フルーツジュースとか」

「あのザウバーさん?」

「それなら、食べ応えのあるスイートパフェのほうがいいでしょ!後で作ってあげるね!!」

「待てミカ!お前の料理は常識を天元突破してるからグミでいい、グミでいいからー!?」

「…そんなに恐ろしいのか…?」


ミカの料理の恐ろしさを、旅の途中で充分に理解した晴人は全力で阻止しようとする。

一方でザウバーも、訝しげな顔をしながらミカを見る始末…

ちなみにミカの料理は、「箱入り娘」というレベルでは済ませられなかったりしている。

将来、旦那になる男が可哀想になるぐらいには。

とにかく、この場に長居することは危険だろう…そう思った晴人達は、何とか敵から逃げてきたユーテキを回収し、ルトラ港に戻っていった。






〜〜〜






ルトラ港。

日の昇っている時とは違い、活気のあった町もある程度静まっている。

明かりもぽつぽつとある程度で、殆どの店は閉まっている状態…

恐らくは酒場ぐらいしか、開いていないだろう。

その上、昼間に若者が何人か連れて行かれたのだ…今日のルトラ港の夜は、寂しそうにも見える。

それはヒスイやシンクの家も同様で、連れて行かれたソウセイのことを心配していた…


「ソウセイ兄ちゃん…」

「……」


そんな彼らの家のドアを、ノックする音が聞こえた。

一体誰だろう。

そう思ったシンクは扉を開き、扉の向こうにいた人物を見て、声を上げる。


「…!そ、ソウセイ兄ちゃん…」

「シンク!」

「うわあああーん!ソウセイ兄ちゃん、兄ちゃんが帰ってきたー!!」

「…ソウセイ…!無事で、無事でよかった…!!」



沈んでいたヒスイも、喜ぶシンクの声を聞いて慌ててやって来る。

そして、無事に戻ってきた息子の姿を見て、シンクと一緒になってソウセイと抱き合う。

――そんな一家の姿を、イーヴリンや凛子達は離れた場所で見ていた。

他の2人も家族の元へ、元気な姿を見せている。

…問題は…救出が間に合わず、ファントムを生み出して死んでしまったデシンという男。

彼の家族についてはどう説明をするべきか、瞬平と凛子は話し合っていた。


「…でも、ファントムを生み出して…死んでしまった人もいるんですよね。その人の家族には、どう説明したらいいんでしょう」

「難しい…わよね、やっぱり。そんな簡単に、『あなたの息子さんはファントムになって死にました』なんて、言えないし…」

「サトっちさんの時のようには、なかなか行かないだろうし…そうするにしても、一体どういう方法でやればいいのか…」

「それが問題、よね…」


うーん、と考える瞬平と凛子。

コヨミも何かいい案はないのか、思考を張り巡らせる…

そうしていると、そんな彼女達の前に、水色の髪をした長身の男が声を掛けてきた。


「――だったら、俺達レジスタンスの一員として行動していることにすればいい」

「「「え?」」」

「…あんたは?」




少し遅れてルトラ港に戻ってきた晴人達は、凛子達を探す。

シンク達を送り届けたあとは、船着場の前で合流するように取り決めていた…

ミカは海に停泊してある外国船を見て、目を丸くする。


「凄い、大きな船…」

「ミカってそういえば、船を見るのも初めてだっけ?」

「そういうお前は…確か、リーリエリヒト出身じゃなかったそうだが」

「ウェルスの街から来たんだ。僕、一応ウェルテクス社からスカウトされる形でここに来たんだから」

「………あれ、そうだっけ?」

「おいおい、ミカが覚えてないと誰も覚えてないだろ…」

「…お前、研究者だったのか…?」

「……ねぇ…知らなかったザウバーはまだいいよ?まだいいけど、……ミカと晴人さん酷くない…?」


がっくりと項垂れるユーテキに、ミカと晴人は「悪かった」と謝るが…顔は失笑。

まったくもう、とユーテキがぷんぷんと怒っていると、酒場の前に見慣れた顔が見える。

そこにいたのは、瞬平に凛子、コヨミにイーヴリン…

更に彼女達の後ろには、見慣れない男性も見える。

一体誰だろうとユーテキ達が思っていると、ミカは見覚えがあったのか、声を上げていた。


「……うそっ、レヴィー!?何でここにいるの!!?」

「よっ、ミカ。久し振りだな」

「久し振りって言うか…なんていうか…」

「ミカ、知り合いか?」

「うん。昔、ティエラの町に住んでいた…近所のお兄さん。でも、何でレヴィーがここに?」

「――ちょっとした事情があってな。それよりもミカ、お前…随分と帝国で派手にやったみたいだな。最初に話を聞いた時は、かなり驚いたぞ」


なんでそのことを、とミカが叫ぶ。

すると、間にイーヴリンが割って入り…ミカや晴人達に詳しい説明を始めていた。



「ミカ。彼は、フライハウト団という…反帝国組織に所属しているんだ」

「「「フライハウト団?」」」

「反帝国組織といっても、そんな大それたものでもないけどね。――ミカは知っているだろうけど、俺の親父は…数年前に亡くなった」

「うん、それは知ってる。でも、それと反帝国組織と、何の関係が?」

「……俺の親父は、家族と土地を守るために…帝国とラディス教に逆らって、異端者として処刑されたんだ。家族の生活を守ることが罪になるなんて、そんなのおかしい…だから俺は母さんと一緒に、フライハウト団に所属することにしたんだ」


家族を守るために帝国やラディス教に逆らい、処刑されたレヴィーの父親…

その話は初めてだったのか、ミカは信じられないような顔でレヴィーを見ていた。

その一方で、瞬平や凛子は「酷すぎる」と呟く。

確かに、家族を守ろうとするのは当然のことだ。しかし、それで処刑するなどおかしいとしか言えない。


「でも、そんなのおかしいですよ。…自分達も同じ立場で考えてみれば、いけない事だって分かるはずなのに…」

「そんなにラディス教が大事なの…?ミカちゃんの家族も奪って、彼の父親も奪って、そうまでして大事にしないといけないものなの!?」

「ありがとう。……とにかく、立ち話も何だろうから…俺達のアジトに行こう」

「「「アジト?」」」

「ああ。この近くの山脈にある廃坑道に、フライハウト団のアジトがある…そこでゆっくりと話をしよう。そこでなら、君達もゆっくり休めるだろうし」


レヴィーの誘いに、晴人はどうするべきかミカに訊ねていた。

…ファントムの事もある以上、あまり簡単に信用はできないのも事実…

だが、ミカによるとレヴィーはとても優しく、小さい頃は本当の兄のように一緒に遊んでくれたそうだ。

そんなレヴィーが嘘をつくはずもないし、帝国と戦う組織に所属しているのなら、ウェルテクス一族の死の真相も分かるだろうし…帝国の情報も、手に入れられるだろう。

セラピアの街からは遠回りになってしまうが、一時的に敵を撒くにもレヴィーに同行したほうがいいかもしれない。

全員の意見が一致し、晴人一行は進路を変え、フライハウト団のアジトに向かうことになった…






その頃…



「――今現在、我々の手の中にあるのは…セルシウス・イフリート・シャドゥ・ウンディーネ…思うように数が生まれませんなぁ」

「帝国内部にファントムがいるので、ラディス教統一戦争の最中で絶望して生まれてくれれば一気に数は増えるでしょうが……それでも、指輪の魔法使いが厄介ですね」


ウェルテクス社の一室では、シラスとギリオンが話をしていた。

これまで、ルキナ全体で誕生したファントムは7体…

そのうち3体は、ウィザードによって倒されてしまった。

ヴォルトはどの道、自分達でも扱いきれない代物だったので丁度よかったのだが…それでも、これ以上自由にさせるわけにもいかないのは事実。


「こうなれば、どうにかして指輪の魔法使いを倒さなくてはなりませんな。私としても、ファントムを失うのは実に惜しい」

「ええ…やはり、セラピアで迎え撃つ他ないでしょう。奴らの行き先は、そこしかありません」

「でしょうな。……それにしても、ミッドノクスの連中の情けないこと。まさかウェルテクスの娘に、見事してやられるとは」

「……えぇ、その通りです」




一方で、セラピアに向かう途中の砂漠では…

特務機関Gが、何かを捜索していた。

昼間はグラントを中心に砂漠の中を何かを探しつつ進んでいたが、夜は気温が一気に冷えることもあってか、キャンプを立てて体を休めていた。

ヤナは埃被った砂の地が嫌なのか、不機嫌そうな顔をしながらも、グラントに尋ねていた。


「グラント様、本当にこんな場所にいるんですか?魔法使いの少女が」

「間違いない。情報では、砂漠の蜃気楼の中に浮かび上がる不可思議な森の中にいる、とのことだ」

「その情報、どこまで信用できますかねー…?それで、シラス宰相から渡された指輪、本当にその少女に試すんですか?」

「魔法使いにしか使えない指輪なら、何かしらの反応はあるだろう。これもユディーヌ様のためだ」


そう言って、グラントが取り出したのは…

出発前にシラスから受け取っていた、ウォータードラゴンリングだった。






***




なんだ…この、戦闘での暴走するギャグはw

スメルって怖い。

そしてタイトルの暴走ww


オリジンとは直接戦闘なしで終わりましたねー。

まあ、オリジンの目的が晴人側にも知れた分だけ、動きはありましたね。

ちなみにオリジンの「まさかまだ…」のくだりには、本編で何があっても言いように色んな意味を含めるような感じにしております。

だって噂じゃ、仁藤マヨネーズが操真ドーナッツに指輪嵌めている撮影現場を見た、と言っている人もいるので。

本当かどうかは定かじゃないですが、マジならドーナッツお前、ファントム化フラグ凄まじいぞ。



晴人w

お前ランドスタイル関係でスメル使うなノームの二の舞だろww

しかもまたローブの裾で鼻隠しやがってwww

そしてユーテキの扱いェ。

とりあえずミカと晴人とザウバーはちゃんと名前を呼んであげて!

なあ、ドリラフアン!(違)

ちなみに相対属性と言うのは、テイルズでは火⇔氷、光⇔闇、水⇔雷、地⇔風のように、対になる属性同士がポケモンで言う「効果は抜群だ!」の関係。

…まあ、敵によっては弱点が水・氷だったりするんですが。


相対属性…の説明に関しては、シンフォニアやってくれている人がいると一番説明しやすいんですが…

多分ないので、オーズ兄弟で説明すると…

ランドラ(地)さんとハリドラ(風)さんの大喧嘩は、実は力量が互いに同じぐらいなので、相殺される場合が殆ど。

ウォドラ(今回はあえて氷とする)さんとフレドラ(炎)さんの喧嘩は、どう考えても片方(=ウォドラさん)の力が強すぎるからウォドラさんのほうが勝ちますよね。

……あれっ、ウィザード関係の両親って説明しやすいぞ…?←

そんだけウォドラさんが酷いと言うことか、そういうことか←

ちなみに一応兄弟関係でもできますけど、ランちゃんハリちゃんは兄妹仲はいいのでできませんでした。




本編で料理の酷さが言及される=ミカの料理の酷さが公式化(ぷとぷと的に)した瞬間。