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タイトル未設定 - Magic40:リーリエリヒトへ

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Magic40:リーリエリヒトへ

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リーリエリヒト帝国内にある、ラディス大聖堂の地下室。

いくつかの部屋で構成されるここに、コヨミは幽閉されていた。

…もしかすれば、あの人達は私を利用してザウバーを協力させるかもしれない

…そうなる前に、ここから抜け出さないと

運よく彼女はプラモンスター・ガルーダを持っていたため、食事を出すための勝手口を利用すれば鍵を持ってきて抜け出すことも可能。


「…ガルちゃん、この部屋の鍵を持ってきて欲しいの」

『ピィー』


早速彼女はガルーダを放ち、その間、一人で待ち続けていた。

…今頃、晴人達はどうしているんだろう

…それに、ザウバーは

いくつかの不安がありながらも、皆きっと大丈夫だと、コヨミは信じていた。




その頃…

同じく大聖堂の地下室では、グラントがザウバーの尋問に取り掛かっていた。

イシュトヴァーンに来てもらったほうが口を割るとは思ったのだが、最近イシュトヴァーンは城内におらず、何処にいるのかの見当がつかない。

ユディーヌは現在別の部屋で休ませており、ルーク枢機卿もなかなか姿を見せず、シラスも自分の研究で忙しいことから、グラントがこの役目を負わざるを得なかったのだ。


「さて…貴様の左腕だが、一体何処でそのような力を手に入れた?」

「…」

「その腕に一体何が隠されている。そもそも貴様は、人間なのか?」

「貴様に答える義理などない。…他でもない、貴様にはな!」


そう吐き捨てるように言いながら、ザウバーはグラントに左手を向ける。

武器はなかったものの、この場で紅い光の力を使われればグラントの命はない。

だが…

それを諌めるように言いながら、ギリオン宰相補佐がこの部屋に訪れていた。


「――いいのですか?その力を使えば、自分から我々に体を調べられるチャンスを作ると言うことですよ」

「貴様は…」

「ギリオン宰相補佐殿。何故こちらに…」

「あなたよりは私が尋問をしたほうが、効果的だと思いまして。ユディーヌ審問官の元へ向かわれてはいかがですか?」

「…いいだろう。どうせ期待はしていないがな」



グラントは冷たい目をギリオンに向けながら、静かに去っていく。

そして…

ギリオンはザウバーの左腕を掴みながら、詰め寄るようにして尋ねる。


「!…貴様ッ!!」

「紅い光の力を使えば、消耗が激しく、身体能力が著しく低下するのはシャドゥのお陰で知っている。蒼い光は…言うなれば、あなたの生命活動の維持」

「……」

「しかし、本当に興味深い。死んだ人間をまるで生きているかのように動かすだけならともかく、肉体の成長も可能とは」


その言葉に、ザウバーは目を見開く。

だが、ギリオンは余裕を崩さない。

それどころか彼はザウバーの両極の瞳を見ながら、話を続けていた。


「そのオッドアイ、恐らくは後天的なものなのでは?そして…その腕の力もまた、後天的に目覚めた」

「お前は…俺の何を知っていると、」

「一目見た時からずっとですよ。…一緒にいた娘も興味深い人形ではありますが、あなたはそれ以上に興味深かった」

「……」

「殆ど普通の人間と変わりなく生きている人形など、興味を持ち…調べようとするのは当然のはずですがね?」



――その直後にザウバーの左腕が紅い光を放ち、衝撃波を放っていた。

しかし…

目の前にいたはずのギリオンは、いつの間にか背後に回っている。

「なんだと」と背後を振り返るザウバーだが、その直後に衝撃波を使った反動が襲い、膝をつく。


「…だから注意したと言うのに」

「……貴、様…何故、今の攻撃を…」

「とりあえず、ここに留まり続けるのは得策ではない…別の場所でゆっくりと、あなたの腕について調べるとしましょうか」

「…ッ!」


抵抗を試みるザウバーであったが、反動が強すぎて満足に動けない。

…そうでなくとも、オリジンにやられたダメージがまだ残っていると言うのに。

ギリオンは歩くのもやっとな彼の腕を肩に掛けると、そのままどこかへと歩き出していった。




別の部屋では、謎の騒音に一人の男が周囲を見ている。

コヨミやザウバーが入れられているような、独房のような場所とは違い…ベッドや机と言った、ある程度の生活必需品が揃っている部屋。

「一体何が」と彼が戸惑っていると、部屋の中に一人の男が訪れる。

…ルーク枢機卿だ。


「あなたは確か…ルーク枢機卿」

「ジュリアス枢機卿の最期の言葉を遂行するために来た」

「…そうですか…ジュリアス枢機卿は、亡くなられたのですか……一体何故、あのようないい方が」

「…。……あなたはここで大人しく、待っていていただきたい。そうすれば、私のほうで必ず連れて来ましょう」


ルーク枢機卿は、ジュリアス枢機卿がイシュトヴァーン皇帝によって謀殺されたことを黙っていた。

真実を教えれば、心優しいこの男は悲しむと思ったからだ。

その際、パタパタと近くの廊下を走るような足音が聞こえ、ルーク枢機卿が扉を開ける。

すると…

その先にいたのは、ガルーダによって牢から抜け出せたコヨミの姿があった。


「お前は確か、反逆者の一味…!」

「あなた…ルーク枢機卿!それと、その人は…」

「…。……ちょうどいい、何故ここにいるのかは不問にする…この男の世話を頼みたい」

「だけど私、行かないと…」

「帝国に追われる立場の君が外に出れば、帝国軍に即刻捕まるのみだ。戦う力がないのなら、暫くは大人しくしているのだな……安心しろ、この部屋には私以外誰の命令でも通さないようになっている」



それだけ言うと、コヨミはガルーダごと部屋の中に入れられ…

ルーク枢機卿により、外側から鍵を掛けられてしまう。

「ちょっと」とコヨミは叫ぶが、ルーク枢機卿は既にいない。

仕方ないように思いつつも、確かに今すぐ晴人達と合流できる保障がない以上、大人しくしていたほうが賢明なのだ。

…流石にここにいることがグラントらにバレた時は、危ういだろうが。

そんなことを思いながらも、コヨミはベッドの上に座っている男性に、尋ねていた。


「あなた…どうしてこんなところに?」

「…私もよく、分からないんだ。……記憶がないせいかな」

「記憶が…ない?」

「ああ。――少しずつ、思い出してはきているのだが…完全にとは行かない。ジュリアス枢機卿やルーク枢機卿は、そんな私によくしてくれている……いい方々だ」


笑顔でそう話す男性。

しかしコヨミは、そんな彼の顔を見て…信じられないような表情をするのみだった。






〜〜〜






アンギュロス遺跡で晴人達と合流したソウセイとゾゾ。

パヴェルはルル達を迎えに行くようゾゾに頼み、そのついでにソウセイも連れて行くようにしたのだ。

転移魔法の原理は、【その場所をよく知っているかどうか】

遠くまで移動するには、やはり魔力や才能が重視されるが…一番重要なのは、行きたい場所のイメージをはっきりと持つこと。

現にゾゾはアンギュロス遺跡の場所までは知らなかったが、とにかく『今ルルがいる場所』とルルのイメージをはっきり持っていたお陰で、ここまで来れた。


「それで…あれ、あのオッドアイの兄ちゃんは?」

「それに、コヨミさんの姿も見当たらないですが…」

「――ゾゾ、移動の魔法が使えるよね!今すぐ私達を、リーリエリヒトに連れて行って!!」

「ああ…頼む!コヨミが…ザウバーが、あいつらに捕まったんだ!!」

「なんだって!?……あー、でも、俺の魔力じゃリーリエリヒトまですぐ行けないよ。とにかく、そういうのはパヴェル様に頼んでくれないと」

「「だけど!」」


ミカと晴人は相当焦っているのか、声を荒げる。

「落ち着いて」と凛子やイーヴリンが二人を宥め、ソウセイはその間に詳しい事情をユーテキや瞬平らから聞いている…

そして暫く考えた後、ソウセイはこんなことを話していた。



「…だったら尚更、今はグリュッグに戻りましょう。たった今、【共和連合軍】が結成され…全員戦う準備も万端です」

「だけど、そうしている間にザウバーは…」

「その力が未知数である以上、帝国もそう簡単にザウバーさんの力を使うことはないはずです。それに、帝国に攻め込むなら俺達【共和連合軍】の力も使わないと。何のための旗上げですか」

「彼の言うとおりだよ。……それに帝国も、私達がすぐにリーリエリヒトまで攻め入れるなんて思っちゃいない…まずはグリュッグに戻って、それから体勢を立て直すんだ」


ソウセイだけでなく、イーヴリンの言葉に…

晴人とミカは、落ち着きを取り戻していた。

それに共和連合軍と帝国軍がぶつかり合うことで、敵がそれに気を取られている間に救出作戦を決行することも可能。

総てが手遅れになる前に動かなければならないのも事実だが、冷静にならなければ総てを失う可能性も出てくる。

ゾゾも2人が落ち着いてくれてほっと一息つき、彼らを連れ、グリュッグ国に戻っていた。

その際、晴人は気になっていたことをソウセイに尋ねる。


「なあ、ソウセイ、お前の親父さん…兄弟がいたとか、そんな話は聞いてないか?」

「ええと…俺は会ったことはないですが、兄がいるらしいです。……それが?」

「いや、別に。…そうか、だったら…」

「……晴人さん?」

「ああ、気にしないでくれ。独り言だから」

「分かりました。……必ず、コヨミちゃんもザウバーさんも助け出しましょう。これ以上、大事な人を奪われるのは…たくさんだから」


そうだな、と晴人は頷きながらも…

先に歩くソウセイの背中を見て、少し考え事をしていた。




ゾゾの転移魔法でグリュッグ国に戻った晴人達。

そこでは戦の準備が順調に行われており、様々な部族達は自分達の武器の手入れを行っている。

その途中でベスティアやガクー族の面々とも会い、軽く挨拶した後、ベックフォードらのいるテントへ。

中にいたのはベックフォード・カルラ・パヴェル・ウォルフガングと言う、【共和連合軍】のリーダー格達のみ。

事前に人払いは済ませていたようで、まずは晴人達の身に起こった状況を耳に入れることにしたのだ。

ウォルフガングは何度も頷きながら、腕組みをする。


「成程、仲間が帝国に捕まったのか…」

「早く助けに行かないといけないんです!今すぐにでも、行かせてください!!」

「そうさせてあげたいのはやまやまですが、…リーリエリヒト帝国内に、特殊な空間の捻じれが生じているんです」

「「「空間の捻じれ?」」」

「はい。空間転移が可能なファントムが、何らかの仕掛けを施したのでしょう…ですから、どの道帝国の中にワープさせることは不可能なのです」

「オリジンか…」


パヴェルの説明に、晴人は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。

――オリジンは空間移動に長けるファントム。

そんな彼が、アウデンティアの魔法使いによる直接的な帝国攻めを予想しないはずがない。

恐らく帝国のどこかに、そういった装置があるのだろう。

その話を聞いていたミカは、パヴェルに尋ねていた。


「私の故郷…ティエラの町はどうなんですか?」

「ティエラか…レヴィーは一応そこで待機するように言ってあるが、そこが?」

「そこに飛ぶことが出来れば、帝国に攻め入ることが出来ると思うんです」

「だそうだが、どうなんだ?パヴェル殿」

「ティエラの町…は、可能ですね。ですが、同時に問題となってくるのは…共和連合軍を隠せるだけのスペースがないこと」



パヴェルの話によれば…

確かにミカの言うとおり、ティエラの町に飛ばすことは可能なのだ。

しかし、共和連合全員となると話は別。

武器などを含めた彼らを押し込めるだけのスペースが、ティエラの町にはないのだ。

いきなりそんな大人数が小さな町に現れれば、当然帝国も警戒し、下手すればティエラの町にウェルテクス社の兵器が発動しかねない…


「ですから、私達は装置を解除するギリギリまで帝都に攻め入ることはできません。突然の奇襲を仕掛けるなら、相手が部隊を編成する隙を与えないほど【突然】のほうがいいですし」

「そっか…この戦いは僕達だけの問題じゃない、皆の問題なんだ。皆で力を合わせて帝国に勝たないと、意味がないんだ…」

「…だったら、私達だけでもティエラの町に飛ばしてください。帝都には、自分達の力で何とかして入りますから!」

「確かに。俺達はお尋ね者でもあるけど…少数で自由に動ける立場にある。コヨミ達だけじゃない…今この瞬間にも苦しんでいる人達のためにも、行かせてくれ」


パヴェルの話にユーテキが納得したように頷く。

…この戦いにかける思いは、皆同じ

…皆で力を合わせて、帝国を倒さなければこれまでの頑張りが無駄になる

そこへミカと晴人が、「自分達に装置を切る役割を任せて欲しい」と提案。

その言葉に、共和連合のリーダー達は互いに話し合い…

最終的には全員、合意していた。


「……いいだろう。それから、念のためにソウセイを連れて行くといい…何かの役には立つだろう」

「あまり無茶はなさらないよう、お願いします。…皆で、帝国の支配を終わらせましょう」

「ベックフォードさん、カルラさん…」

「任せたぞ」

「準備が出来たら、いつでも話してくださいね。ティエラの町まで、私が直接送りますから」

「ウォルフガングさん、パヴェルさん…」

「――よし、皆、行こう!」


ミカの掛け声に、全員頷く。

そして…

彼らは早速パヴェルに声を掛け、ティエラの町へと送られていった。




……ゾゾを除いて。


「…あれー!?パヴェル様、俺、置いてけぼりかよ!」

「あら、ごめんなさいゾゾ。てっきり忘れてました」

「パーヴェールーさーまー!?」

「まあいいでしょう。あなたには他にもやってもらいたい仕事がありましたし…お願いできますね?」

「……へいへーい」


何あの少年不憫すぎる。

そんなことを思うベックフォードとウォルフガングであったが、

――彼よりももっと可哀想な人間を2人ほど知っているカルラは、黙って茶を啜っていた。






〜〜〜






――ティエラの町




彼らを送り届ける際、ミカの中にある「クラウスの家の記憶」を利用したのだろう。

晴人達は海のように青い屋根がついた、綺麗なお屋敷の前にいた。

花は少しばかり萎びていたが、間違いなくここは自分の家だとミカが叫ぶ。

一方でルルだけは、初めてティエラの町に来たのか首を傾げている。


「…間違いない、私の育った…クラウスおじいちゃんの家だ」

「じゃあ、ここがミカちゃんの町なの?」

「そういえば、ルルはここに来るのは初めてだっけ」

「――おーい、ミカーっ!」


遠くから、声を掛けてくる水色の髪の男。

…レヴィーだ。

久し振りにレヴィーと会え、嬉しく思うミカ達であったが、今は再会を喜んでいる場合ではない。

共和連合が無事に結成されたこと、自分達の仲間が帝国に捕まったこと、何としても帝国内に入らなければどうすることも出来ないことを話し…

レヴィーは難しそうな顔をしつつ、話していた。


「…そいつはちょっと問題だな。実は、4日ほど前からリーリエリヒト帝国は…出入り制限を更に強化しているんだ」

「「「出入り制限?」」」

「ああ。…シンボルストーンが抜け落ちてから、出入りを規制するようになったのはミカ達も知ってるだろ。それを更に強化して、かなりの厳戒態勢を強いているそうだ」



レヴィーの話では…

帝国内では、『反乱軍がもうじき攻めてくる』『帝都の中にも反乱分子がいるという噂』と言う話が民の間で飛び交い、不安を抱く彼らに対し皇帝イシュトヴァーンは、出入り制限を更に強化すると発表。

門の前には10人以上の兵士が並び、外壁周辺にも見張りが設けられ、蟻の子一匹通さないほどだという。

更に問題なのは、この出入り制限の強化は帝都内にいる人間にも適応される。

反乱軍を根絶やしにするまでは出てはならぬ、という皇帝の命令で、入り込めるのは帝国領内に入ることを許された商人や、貴族だけだという。


「更に、アーヒバルド公爵とブリュンヒルド公爵は、反乱軍に関与している疑いがあるということで帝都を出ることを許されていないらしいんだ」

「えっ、ブリュンヒルド公爵も帝都の中にいるんですか!?」

「はい。ちょうど、皆さんがガナドールの集落に向かった後で、アーヒバルド公爵との協力関係を結ぶために…単身で」

「だけど、逆にそれが仇となったな。……かといって、他の貴族もそうそう当てには出来ないし」


ソウセイとレヴィーが難しそうな顔をしながら、今の帝都に入り込むことの難しさを話す。

流石に、今回の規制ではJMハンターは当然入り込めないだろう。

世界各国を旅する彼らは、情報を色々と持っている…もしも反乱軍に関する話を帝都内でされれば、民の不安が一気に加速するからだ。

そうしていると…

凛子が「貴族」と言う言葉に何か思い当たる節があったのか、その人物の名前を挙げていた。




「――フィルギニア公爵!」

「「「フィルギニア?」」」

「ほら、前に港町パテオと…それからツァールハイト城で出会った!……あの人に協力してもらえば、きっと…」

「あの赤い女の人?」

「だと思うポポ」


フィルギニア公爵の名前が出され、ルルとポポは赤いドレスの女性の姿を思い浮かべる。

彼女はアーヒバルド・ブリュンヒルド・キルベルトらと同じ、【五色の貴族】の一人でもある。彼女の力を借りれば、帝国内に入れると思ったのだろう。

更にフィルギニア公爵は、リーリエリヒト帝国付近にある“サルビアの町”で暮らしているとのこと…

もはやそれしかない、と凛子の案にはその場にいる全員が頷く。

しかし…

それに難色を示すのは、バーガーとレヴィーだ。


「しっかし…フィルギニア公爵が力を貸してくれるか?一応、前にキルベルト公爵と一緒に俺達を捕まえようとしていたんだし」

「その危険性もないとは言い切れない。フィルギニア公爵は皇帝に取り入るためなら何でもするだろうし、残りのルシーラ公爵も…彼に好意を持っているという噂があるから、やはり当てにしないほうがいいんじゃ」

「だけど、話してみれば結構いい人だったし…とにかく、話だけでもしてみましょう。できることは何でも試していかないと!」

「凛子ちゃんの言うとおりだ。俺達に残された時間は殆どないのも事実なんだ、たった一握りほどの希望に縋ってみるのも悪くない」



凛子、更に、晴人の言葉で…

バーガーとレヴィーも、最終的に折れていた。

確かに、自分達に残された時間は残り少ない。

帝国側がもし、ウェルス上空のアムニスフィールドの亀裂をそのままに、グリュッグ国へ【神の剣】を放てば……大変なことになるのだ。

レヴィーとしては、フィルギニア公爵が素直に首を縦に振ってくれるのか不安だった。

だが、『出来ることは何でも試さないと』と言う凛子の言葉にも同意は出来るのか、ソウセイに尋ねていた。


「ソウセイ、サルビアの町は大体どの辺りに?」

「リーリエリヒト帝国から見て、南の方角に。…フィルギニア公爵の趣向で、町中に赤い花を植えているので、かなり分かりやすいのではないかと」

「そうか…よし。まずは何としてでも、帝都に入らないと…話はそれからだ」

「「「うん!」」」

「問題は、アムニスフィールドに亀裂が起こった影響なのか…リーリエリヒト大陸に生息していたモンスターの強さが高くなっている。体力には気をつけて、慎重に進んでいこう」


亀裂の影響、と聞いたユーテキは空を見上げる。

うっすらと空に残る、アムニスフィールドの亀裂…

こんなところでも波紋を広げているとは思っていなかったのか、ユーテキは辛そうな顔を見せる。

そんな彼の背中を、ミカが思いっきり叩く。


「しっかりしなさいよ!ユーテキ!!」

「あだっ!?…み、ミカ…痛いってばぁ……」

「これ以上アムニスフィールドを壊さないためにも、何としてでも帝国を止めないと。でしょ?」

「…そうだね。うん…ありがとう、ミカ」


もしかして、自分を励ましてくれているのだろうか?

そんなミカの思いやりには、ユーテキも嬉しくなるのを感じる。

そして…

晴人は凛子をマシンウィンガーに乗せ、いち早くサルビアの町に向かっていった。





その頃…



ある場所の一室で、ギリオンはザウバーの左腕を調べていた。

あの後で“この部屋”まで連れてきたのだが、激しく抵抗されてしまう。

だが、事前に紅い光の力を使って消耗していた彼を取り押さえるのは、容易かった。

ザウバーの顔には殴られた痕があり、その際に唇が少し切れたのか、軽く血を流している。


「普通に血も流せるんですね。ますます興味深い」

「……」

「さて、それよりも…まずはこの左腕ですか」

「…」

「何か喋ってもいいんですよ?そうでなければ、まるで、私が独り言を喋っているようではありませんか」

「……お前は…どういった目的で、動いている…。俺の力を使って、アムニスフィールドを掌握できると…本当に思っているのか……?」


今まで沈黙を貫いていたザウバーが、ギリオンに問いかける。

…思えば彼は、シラス以上に謎が多い。

シラスに付き従う形で宰相補佐となったらしいが、どうやってあのシラスに取り入ったのか。

それを聞いたギリオンは、ザウバーの左腕を軽く撫でるように右手を動かしながら、話していた。


「無理でしょうね」

「何…?」

「『知っているなら何故』と言う顔をしていますね。理由は簡単…ただ純粋に知りたいだけなのです。あなたの力の秘密を、どうしてその力をあなたが得たのかを」

「……」

「そして、――どうして“奴”を生み出したのに、肉体が壊れずそのまま残ったのか…それも、この左腕の……【紋章】のお陰なのでしょうかね?」



そう言って、次にギリオンが触れたのは…

ザウバーの左腕に刻まれた、蒼い紋章。

蹴り飛ばそうにも、両足には枷をつけられ…暴れてもいいように両手も拘束されている状態、つまり体の自由を奪われているのでどうにもならない。

シャドゥエッジの詠唱をしようにも、この部屋は特殊な力が働いているのか、術が一切使えないのだ。


「……さあな」

「まあいいでしょう。調べていけば、分かるものですから」

「…」

「さて、そういうわけですから、…暫く眠っていただけませんかね?」


ギリオンはそう言うと、麻酔入りの注射器を取り出し

――そこでザウバーの意識は、途絶えた。






***




ギリオンさん何してんですか。

それグラントさんの仕事ですよ(※原典の話)!

まあ、5章冒頭で個室でいきなりザウバー脱がせて左腕の紋章露見させるっつーことをやるのもどうなんだ、と。

(※一部の表現がかなり誇張されております)


コヨミの出会った人物は誰なんでしょうねー?

上手くいけば、次回辺り出てくれそうです。

まあ…

そこまでやる尺が…

あるかどうかに掛かってますがね!←

いや、どの道やんないといけないんですけどね。ルーク枢機卿の心変わりの理由とか、ジュリアス枢機卿がいきなり殺されてまで出てきた理由がゴニョゴニョ(ry



相変わらずパヴェル様マイペースw

エルダさんと天然対決したら、どっちが勝つんでしょうね。

それはさておき…

何だかんだでフィルギニア公爵、利用されることになりましたね(言い方悪い)。

まあ、【父と娘】の時点でフラグは立ってましたが。


そして…

何してんだギリオンさん(2回目)w

それはグラントのポジション!グラントのポジションだから!!←

しかも何でHeaven'sの時のソウジさんのようなことさせてんですか。

まあ、アレに比べたら…ザウバーは目を隠されてないし、まともに喋れる分いいんですが!

ソウジさんのは、例えるなら拘束された時の浅倉ですからね?




次回は…

とりあえずまっかっか。