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タイトル未設定 - Magic18:水の町の決戦

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Magic18:水の町の決戦

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突然現れたファントム・ウンディーネによって、水源JMを奪われた晴人達。

ラディウスの聖窟から逃げ出す彼らを助けたのは、聖海騎士団の隊長でもあったバーガー…

彼の気持ちを酌んだ晴人達は、急いでその場から逃げ出すと、そのまま聖地ラディウスを後にしていた。

聖地ラディウスからセラピアまで戻るまでの道のりに、水は流れていない…

もしも山脈から水が流れ出ていたとしても、セラピアは砂漠の町にあるため、どの道水を使っての高速移動はできないはず……

それにウンディーネも、ファントムの姿のままでセラピアに向かうわけにも行かないだろう。絶望させたいゲートがいるのなら、そのゲートの前で真の姿を見せて水源JMを破壊することで、効果は増す。

…よって、セラピアに到着するための時間は、晴人達と大体同じだろう。



その道中、ザウバーとイーヴリンは走りながらこんなことを話していた。


「水源JMがオリジナルJMではないと分かった以上、あいつらはミカの持つJMに目をつけるはずだ」

「それにあいつら、私達のことを必ず罪人として追いかけてくるだろうね」

「「「えっ!?」」」

「まあ、無理もないことだがな。……だから、何としても追っ手が来る前にあのファントムから水源JMを取り戻し…身を隠すしかない」

「そういうことだね。……だけどあのファントムも、休まず移動できるはずがない…晴人は先にセラピアに行って、あいつを待ち伏せしておくんだ!」

「OK…そういうことなら」

<ハリケーン、ドラゴン ビュー、ビュー、ビュービュービュビュー!>

<チョーイイネ! スペシャル、サイコー!!>


ウィザードWDはイーヴリンの案に乗り、ハリケーンスタイルに姿を変える。

そして、そのまま巨大なドラゴンの翼を広げると、セラピアの町まで向かおうとしていた。

だが、その前に「待って」と彼を止めたのはコヨミ。


「晴人、私もお願い!…私ならファントムを見分けられるから」

「そうか…セラピアにやってくる人間に、片っ端から『ファントムか』って声を掛けるわけにも行かないしな。……しっかり捕まってろよ!」

「…ええ!」




ウィザードHDはコヨミを抱え上げると、大きな翼でセラピアまでひとっ飛びする…

どうやら、ルルは転移の魔法をまだ習得していないらしく、彼らの同行は不可能のようだ。

とにかく自分達は、陸路を進むしかない以上…できるだけ早くセラピアに着くようにしないといけない。

ミカ達はそう思いながらも、心のどこかで、バーガーのことを心配していた。






〜〜〜






――2日後。

ルルの水の珠の効力が切れ掛かり、ジョージは大慌て。

一方で、町長は既に諦めたような顔で、小さくなりつつある水の珠を見ていることしかできなかった…

町の者達も、既に何人かはセラピアを出て行こうと準備している始末。

このまま水源JMが戻らなければ…セラピアの町は、本当に死んでしまう。

万事休すか、と町長が思っていた……その時だった。


「…町長、ジョージさんッ!」

「水源JMが…水源JMが、見つかったんだ!」


町の若い男達が、大慌てで吉報を持ってくる。

その知らせに、町長もジョージも目を見開いており、次に現れたのは…ジョージの婚約者である、エルレン。

彼女は、はぁはぁと息を切らせながらも…水源JMを町長達に見せていた。


「エルレン…!あぁ、それはまさしく、水源JM…!!」

「本当だよぉ〜!でも、どうしてエルレンが?それに君、今までどこに…」

「何とかして水源JMを返していただけないか、枢機卿様に掛け合ってみたところ…セラピアの町がそんなに困っているのならと、すぐに返していただけて…」

「そうか…我々の言葉は、あの方に通じていたのだな……」

「何はともあれ、よかったよぉ!ところでエルレン、君がいなくなる前に…水源JMを取り返しに行った子達がいるんだけど、彼女達とは会わなかった?」

「それは…」



「――聖窟で会ってるよな?ファントムさん」


そう言いながら、ゆっくりと祭壇の後ろから現れたのは…晴人。

その手にはウィザーソードガンが握られており、エルレンにそれを向ける。

「一体何を」と町長が叫ぶが、晴人は構わず言い放つ。


「君!…一体、何を」

「騙されるな。この人は…本物のエルレンって人じゃない、ファントムだ」

「ふぁ…ふぁんとむ?」

「何を馬鹿なことを…今すぐその武器を収めないか!……誰か、自警団をここに!!」

「そうですよ…何の根拠があって、私を疑うんですか…?」

「……だったら逆に聞くわ…ラディス教のためなら手段を選ばない、それこそこの町の大事なものを奪っていくような人が……一般人にそのJMを返してくれると思うの?」


晴人の後から現れたのは、コヨミ。

彼女を見たエルレンは一瞬だけ驚いたような顔をしていたが、自分がファントムだと言い切れる証拠はないと思ったか…シラを切り続けていた。


「あ、…あなたこそ何を…枢機卿様がそんな非情な人なはずがないわ。嘘をついているのは、あの二人よ!」

「オリジンっていうファントムから、私のことは聞いているんでしょ?……私はファントムを見分けることができるって」

「何を言っているの。……この二人は異教徒、異教徒だわ!」

「じゃあ聞くけど、…砂漠を越えて…往復で5日も掛かるような距離を、大した準備もなく行って帰ってこれる……しかも、そんな砂漠向きじゃない格好で。それはどう説明するんだ?」

「「「!」」」




晴人の言葉に、町長やジョージ…町の住人達は、驚いたようにエルレンを見る。

…確かに彼女は、聖地ラディウスに行ったという割には軽装すぎる。

晴人達も、行きはセラピア・帰りはラディウスで食料などを買い足していたとはいえ、それでも大きな荷物だったというのに。

それに砂漠の日差しは熱く、夜は一気に温度が下がる…そのため、砂漠を越えるには肌を出さないような服装が好ましいのだ。

だがエルレンの服装は…


「エルレン…まさか、本当に…?」

「えっ、でも…ファントムって何?どういうこと!?」

「―――あーあ!やっぱりあの時、聖海騎士団を利用してでも倒しておくべきだったかしら。せっかく大量のファントムが生まれてくれる、チャンスだったのに」

「エルレン!」

「…エルレンなんて、もうこの世にはいないわ……だって、私を生み出して死んじゃったんですもの」


そう言いながら、エルレンの姿をした者は姿を変えていく。

それはあの時、水源JMを奪い取ったファントム…ウンディーネそのもの。

突然姿が変わった彼女に、町中の人間が大パニック。

ジョージはオロオロと慌てふためき、町長はその場に膝を着いていた。


「「「うわああああ!?」」」

「ひえーっ、エルレンが怪物になったー!?」

「そんな、まさか…」

「やっと本性を現したな、ファントム」

『失礼ね。私には、ウンディーネという素敵な名前があるのよ。……それに、水源JMはまだ私の手にあるって事、分かってないでしょ?』



ウンディーネはそう言い、水源JMを見せる。

…そう、セラピア総てにとっての【希望】は、ウンディーネの手の中にあるまま。

もしもこのまま下手に動けば、水源JMは破壊され…この町にいるゲートは絶望してしまう。

しかし、何もしなくてもウンディーネは水源JMを壊すだろう。

「くそっ」と晴人が舌打ちしていると、ウンディーネは町長の下に歩き出し、水源JMを見せる。


『せっかくだから、ゲートの1人であるあなたの前で…壊してあげようかしら?』

「そ、それだけはっ…それだけはやめてくれっ!」

「ウンディーネ!」

『それじゃあ…皆仲良く、絶望しちゃいなさい!』


ウンディーネが水源JMを高く掲げ、床に叩きつけようとしていた

…その時だった。

水源JMを持っていた手を狙い、銃弾が放たれる。

その銃弾でウンディーネに深手を負わせることはできなかったが、その衝撃で水源JMを手から落としてしまう。

「危ない」とジョージが慌てていると、水源JMはぴたりと空中で止まり、そのままゆっくりと移動する…

その先にいたのは、銃を構えているユーテキと…水源JMを魔法の力で奪い返した、ルルの姿。

更には、ミカにイーヴリン…ザウバーに瞬平、凛子の姿も見える。


「お前ら…間に合ったんだな」

「当然だよ!……ちょっと、強行軍すぎたけど…」

「水源JMは、おばさんなんかにぜーったい壊させないんだからぁ!」

『おばっ…!?』

「よし、これで形勢逆転だな。……コヨミや瞬平、凛子ちゃんは町の人達の避難を頼む。変身!」

<sy…フレイム、プリーズ ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!>




ルルに「おばさん」と言われ憤るウンディーネを尻目に、水源JMを奪い返したことで優位に立った晴人は遠慮なく変身する。

ウィザード・フレイムスタイルはウィザーソードガンでウンディーネを狙撃するが、彼女は水路の中に飛び込み、水の中を高速で移動する…

流石に、水中を高速で動く相手に対して攻撃を当てるのは至難の業。

ユーテキやルルもストーンウォールやライトニングで攻撃するが、大岩も雷もウンディーネには当たらない。


「はっ、速すぎる!?」

「これじゃあ、全然狙いを定められないの〜!」

『あはははっ…この水の町で私に勝てると思っていたのなら、大間違いよ!』

「ザウバー、あんた“シャドゥエッジ”で狙えるか!?」

「無理だ。相手の進行方向を計算して詠唱しようにも、この町の水路が複雑すぎて予測が難しい…!」


事実、セラピアの町の水路は複雑で…その中を高速で移動するウンディーネを相手に、待ち伏せと言うのは難しい。

ならばやはり、相手の土俵で勝負するべきか。

ルルも魔法の力で水路に大波を起こすが、逆にそれは相手の攻撃を増強する結果になり、ユーテキと瞬平が流されてしまう。


「うわーっ!?」

「ひゃー!?」

「あっ、ユーテキ!瞬平!!」

「ごっ、ごめんなさいなの…」

「ポポ〜」


瞬平は何とか流された先にあった樹にしがみついたが、ユーテキはそのまま水路にボチャン。

結構深い場所だったらしく、イーヴリンとザウバーが協力して引き上げる。

この状況を見たミカは、自分の右指に填められた指輪型ジェネレーターを見る。

中に搭載されているオリジナルJMは蒼く輝き、ミカはそれを見て考えていた。

…私の力ならきっと、あいつを倒せる

…だけど、どうやって制御したらいいのか…

そうしていると、左手の指輪を変えたウィザードFSは、その指輪…ウォータードラゴンリングをミカに見せながら、声を掛けていた。



「――ミカ、俺のドラゴンの力で…お前の力を安定させる。そうすれば、怒り以外でも力を引き出せるし…暴走することもない」

「晴人!」

「あいつに対抗できるのは、ウォータードラゴンと…シアーズだけだ。一緒にやるぞ」

「…分かった…できるかどうかは分からないけど、やってみる!」

<ウォーター、ドラゴン ザバザババシャーン、ザブンザブーン!>

「――オールレクティオ、ディアトゥールスティーム…!」


ウィザードFDは直接ウォータードラゴンスタイルに変化し、ミカは、体が覚えていた“言葉”を発する。

すると…

ウィザードWDの横には水の聖獣・シアーズが並び立ち、更にミカとしての自我を残した状態。

それを見たユーテキやイーヴリンはほっとし、ルルは盛り上がり、ザウバーは考え事をする。


「やった!」

「…ようやく自分の意思で変身できるようになった、か…!」

「うわ〜!ミカちゃん凄い、すごぉい!!」

「……」

「――晴人ッ、行くよ!」

「任せろ!」


シアーズとウィザードWDは互いに別の水路から入ると、水中を移動するウンディーネを追い詰め始める。

ウンディーネは水の弾丸をシアーズに放つが、逆に両手に持っていた剣に斬り裂かれてしまう。

それどころかシアーズはウンディーネと同じ、いや、それ以上のスピードで接近すると、彼女の肩を袈裟斬りにする…

更にウンディーネの背後からウィザードWDがやってきたかと思えば、予めコピーで二つにしておいたウィザーソードガンで連続攻撃。



「はっ!」

『きゃあああっ!?こっ、この…』

「おっと、もう自由にはさせないぜ」

<チョーイイネ! ブリザード、サイコー!!>

『!?』


至近距離からウィザードWDのブリザードを浴び、ウンディーネは氷結…

それを見たシアーズは剣に力を込め、ウィザードWDもスペシャルリングでドラゴンの尾を呼び出す。

そして…

相手が氷を砕くよりも先に、ドラゴンの尻尾とシアーズの一閃が、ウンディーネの肉体ごと砕いていた。

ウンディーネを撃破し、瞬平と凛子は大喜び。

一方でコヨミは、ルルに水源JMを台座に戻すよう指示し…ルルも慌てて台座に向かう。


「「やったぁ!」」

「まだよ。…ルル、早く水源JMを!」

「あっ、そうだったぁ!――これで、セラピアも元通りなのっ!!」


ルルはそう言いながら、台座に水源JMをセットする。

すると…

その瞬間、町中にあった水の溢れ出し防止用の紋式が起動し、水源JMから水が湧き出る。

それは瞬く間にセラピア中の水路に行き渡り、2分もしないうちに水路いっぱいに水が潤っていた。




この様子は、避難した町の人間にも伝わっていた。

ある者は大喜びし。

ある者は、近くにいた人間と一緒に肩を組み。

ある者は元通りになったセラピアに涙し。

そして…

町長とジョージも、この光景にそれぞれ涙し、喜んでいた。


「おぉ…セラピアに、セラピアに水が…。これでこの町は、救われる…!」

「よかったなぁ、兄貴!……エルレンのことはちょっとショックだったけど、本当によかったよぉ!」

「そこのあなた方…本当に、ありがとうございます。それに…あなたがルルさんですか、弟のジョージから話は聞いております……これまでセラピアのために尽力していただいて、ありがとうございました」

「ルルは当たり前のこと、しただけだもん!ね、ポポ!!」

「ポポ〜!」

「…あの、町長さん。水源JMはウェルテクス一族から貰ったと聞きました…私、その時の話、詳しく聞きたいんです」


ミカは町長の前に出ると、ウェルテクスのことについて訊ねる。

しかし…

そんな彼女達に悪い知らせを持ってきたのは、武器屋の主人だった。

彼は慌てた様子で町長の元に向かうと、町長に自分が見たものを伝える。


「た、大変だ町長!……聖海騎士団が、聖海騎士団の旗が砂漠の向こうに見えたんだ!!」

「「「!」」」

「じ、実は…水源JMを取り返す際に色々あって、あの」

「……奴らは水源JMがオリジナルJMでないと知った以上、無理矢理奪うようなことはないだろう。そこは安心してもいいけど…」

「それだったら、暫くうちに隠れていなよぉ!恩人であるあんた達を聖海騎士団なんかに売り渡したら、それこそバチが当たるってもんだ!!」


ミカが視線を泳がし、晴人も頭を抱える。

しかし、そこへジョージが「彼らを家で匿う」と言ってくれ…

彼らを危険に遭わせるようなことに付き合わせるわけには、と思いながらも、逃げる時間が残っていないのも確か。

仕方なくジョージの好意に甘え、聖海騎士団のことは町長に任せていた。






〜〜〜






それから暫く時間が経って…

セラピア町長宅に、町長が戻ってきていた。

…追っ手はどうなったのか

…水源JMは

瞬平や凛子、ユーテキにミカが不安そうな顔をしていると、町長は穏やかな顔で話していた。


「大丈夫です、あなた方のことは…水源JMを捨てた後、西の方角に去ったと話しました。暫くは、砂漠の中を捜索することでしょう」

「あの、本当にありがとうございます」

「いえいえ。…それよりも、ウェルテクスについて聞きたいことがあると、仰っていましたね」

「はい。私達、ウェルテクス一族が作った水源JMのお陰で、この町が救われたと聞いて…ここに来たんです」


そうですか、とミカを見ながら呟く町長。

どこか彼女に、今は亡きウェルテクス一族の姿を重ねながらも…

ウェルテクス一族のことについて、話していた。


「本当に、ウェルテクス一族には感謝しても足りません。彼らの技術がなければ、この町は人の住めない…死の町になっていたことでしょう」

「水源JMを造ったり、水が溢れ出さないための制御用の紋様も町中に張り巡らしたり、……本当に…本当に凄いですよ。僕も実は、そういった人助けの発明をしたいって思って…ウェルテクス一族に憧れて、科学者になったんです」

「そうですか、それはいいことです。……しかし、ウェルテクスの皆さんが事故で亡くなって…ウェルテクス社は国営化されてしまい、リーリエリヒト帝国にしか提供されなくなってしまったのは、残念なことです」



“ウェルテクス一族が事故で亡くなって”

その言葉を聞いたミカは、真実を話そうと口を開くが…

それを静止したのは、横にいたザウバーだ。

「殺されたと言う事実を話せば、彼らが悲しむだけだ」

そう小声で話すとミカは口を噤み、首を傾げる町長とジョージには彼が代わりに話していた。


「…亡くなったことは残念だ。俺達JMハンターも、ウェルテクスの技術がなかったらこうしていられなかった」

「JMハンターだけではありません。ウェルテクスの技術は、世界中の至る場所で役立てられ…それこそ、中にはセラピアのような町も、ウェルテクスの技術のお陰で救われております」

「ウェルテクス一族って…そんなに凄かったんだ……」

「――ウェルテクスの力に助けられた私共としては、もっと他の国にも伝えてほしかった…そう思います」

「「「…」」」


町長の言葉には、異世界の人間である晴人達も思うところがあるようだ。

確かに、旱魃で苦しんでいた町が水の町に生まれ変わるほどの技術は…感謝している人間が、多いことだろう。

町長の話を聞き、ミカは思うところがあったのか…遠い目をしている。

そんな彼女達に、町長はにっこりとした笑みで提案していた。


「先程も言ったとおり、追っ手は砂漠の中を探すはず。宿は既に取ってありますので、ゆっくりお休みください」

「そんな、別にそこまでしなくても…」

「そうだよ!僕達だって、町長がいなかったら今頃捕まっていたのに」

「セラピアに住む総ての人間を救ってくれたあなた方の功績を考えれば…これでも足りないぐらいです」

「そうそう…それにラディウスからここまで、殆ど休みなしで往復したなら、今日はぐっすり眠るべきだよぉ!」


町長だけでなく、ジョージにも言われ…

申し訳ないとは思いつつも、ミカ達は彼らの行為に甘え、ここで一泊することになった。





宿屋。

この宿屋は二階建てで、ミカの部屋からは水源JMが安置されている台座と…綺麗に輝く紋様がよく見える。

セラピアに来て思ったのは、外灯がなかったこと…

しかし日が暮れてから、紋様の放つ光の輝きを見れば、それも納得できるとミカは思っていた。

するとコンコン、とノックが聞こえ…誰だろうと思って扉を開けると、部屋の前にいたのはザウバーだった。


「…お前の部屋が一番、水源JMのある広場が見えると聞いてな」

「そうなんだ。あ、1時間ほど前にはユーテキと瞬平も同じ理由で来たなぁ、そういえば」

「……暫く見ていてもいいだろうか」

「うん、いいよ。夕食後には凛子とコヨミも来るって約束してるし」


窓から見える噴水広場。

遠くからでも、水源JMの美しい輝きは見え…その光景を見ながら、ミカは町長宅での出来事を謝っていた。


「さっきは止めてくれてありがとう。私、感情で行動するから…いつも失敗するんだよね」

「それは別に悪いことじゃない、人である証拠だ」

「ザウバー」

「心が動くからこそ、人なのだ。他人のことを想い、助け合うことができる…獣にはない、人が人である証だ」


獣、と聞いて…

ミカは聖窟出の出来事や、先程の戦闘のことを、思い出す。

赤い姿はほんの一瞬で、ミカもあまり自覚していなかったが…

ウンディーネとの戦闘は違う。

ミカ自身の意識が残っていた状態での戦いだ、当然、自分が人でない姿になっていたことも自覚する。



「びっくりしたでしょ、私の姿が変わったこと。そういえばザウバーもルルも、直接見るのは初めてだっけ」

「…気にしているのか?」

「そりゃあ普通、女の子があんな獣の姿になったら驚くでしょ。…私も自分の体のことなのに、どうなっているのか全然分からないんだもん。困っちゃうよね」

「…」

「――お母さんも、あんな姿になったのかな。あんな、獣の姿に」


ミカは右手の指輪型ジェネレーターを見て、ポツリと呟く。

腕っ節が立つとはいえ、ミカはまだ16歳。どこにでもいる少女なのだ。

それが、自分の出生の秘密を知っただけでなく、獣の姿に変化して…自分を取り巻く環境に一番困っているのは、ミカ自身だ。

…自分は何者なのか

…人間では、ないのだろうか

そう思っただけで怖かった。そして、そんな彼女の気持ちを察したザウバーは、ミカに話していた。


「どんな姿に変わろうが、お前はミカだ」

「…」

「それに、そのJMは母親から託されたものだと聞いている…危険なものだったら、娘の手に渡るようなことはしないさ」

「そう…なのかな」

「そういうものだ、…親と言うものは」




その頃。

ミカの部屋の前では、残りの全員が聞き耳を立てていた。

…ユーテキと瞬平においては、扉の隙間から見ている始末。

晴人はコネクトで取り寄せた紙コップで話の内容を聞きながら、他の仲間と話していた。


「…結構いい雰囲気だな」

「一体どうなっているのかしら…私の勘だと、コヨミちゃんに矢印向けてるんじゃないかなぁって思ってたんだけど」

「ですよね、ですよね!?」

「でもいずれにしても、…ロリコン?」

「じゃあルルもいずれザウちゃんに!?」

「いや…ロリコン違うだろ。ロリコンって言うのは……そうだな、…一つ目の妖怪が…『幼女ハァハァ』と言っているような……」

「晴人、それ、どこのバックベアード?…それ以前に、盗み聞きって…」


凛子と瞬平は思わぬ事態に盛り上がり、イーヴリンとルルと晴人は安定の漫才。

…ツッコミは、コヨミしかいなかった。

それ以前にユーテキが何故か意気消沈しているのを見て、コヨミはあることを訊ねていた。


「…ユーテキ、天に召されてるの?」

「いや生きてます…」

「あなたもしかして、ミカのこと好きなんじゃ…」

「えっ!?そ、そんなことないよ!――だってミカってじゃじゃ馬だし、暴力振るうし、まあたまに可愛い時もあるけど人使い荒いし、笑顔を見せると可愛いなぁって思うけど!!」

「いや…待ったユーテキ。ほぼ自爆、自爆しているよ、それ」

「ユーちゃんはミカちゃんが好きなの?」



コヨミの質問に、ユーテキは必死で否定するも…

逆に、イーヴリンとルルにツッコまれていた。

特にイーヴリンの一言には顔を真っ赤にさせ、凛子は複雑化する関係をメモ帳に書き記し、晴人と瞬平もユーテキ弄りに入る。


「えっ、じゃあ…ミカちゃんを取り巻く三角関係!?」

「いやぁー、お前も隅には置けないな。ユーテキ」

「頑張ってユーテキ君!僕、応援してるから!!」

「あの、別に、そんなんじゃ…ああああああああああああああ!」


瞬平にすら弄られ(まあ彼の場合はほぼ行為なのだが)、わしゃわしゃと自分の頭を掻くユーテキ。

すると…

バン!と勢いよく扉が開き、扉の正面にいたユーテキと瞬平はそれに衝突してしまう。

そこにいたのは、――背後に魔神オーラを見せるザウバーの姿だった。


「……お前らは何をしている?」

「あ、その、えーっと…情報収集?」

「…私は止めたのよ。でも、晴人達が野次馬根性爆発させて」

「安心して!私は中立だから!!」

「い、痛い…」

「で…正直、あんたミカとコヨミのどっち狙いなのよ」

「ルルも狙ってるの!?」

「いや…そんなこと言ってる場合じゃ、……アタタ」


晴人・コヨミ・凛子・瞬平・イーヴリン・ルル・ユーテキの順で、言い訳を開始。

しかし…そんな言い訳で許してくれるほど、目の前の魔神は甘くはない。

それどころかミカも一緒になって、晴人達を追いかけていた。




「コヨミ以外全員…特にイヴ、絞め殺す!」

「ちょっと…なんでこんなに集まってんの!?――あっ、こら逃げるなー!!」

「「「無理でーす!」」」

「っていうか、ザウバーの抹消対称は私!?こういうのは普通、瞬平の役割じゃないか!」

「えーっ!?イヴさんの場合、ロリコンって言ったのが悪いんじゃないんですかっ!!?」

「とにかく…全力で逃げろぉぉぉぉぉ!!」

「「待てェェェェェ!」」


ドタドタと廊下を走り回る晴人達の姿に、コヨミは小さく溜息をつきながらも…

たまにはこんなドタバタもいいだろうと思い、静かに自室に戻っていた。






***




シアーズ制御回

…なのに…おい最後w最後ww

まるで、バーガーさんを忘れているような元気のよさだな!←


ウンディーネはセイレンでした。

まあ、セイレン自身、名前の由来が水に関係するセイレーンでしたからね…

でもセイレーンって、作品によっては鳥人間っぽいんですよねー。

それはさておき…

やっとシアーズの制御ですよ!奥さん!!



ミカの聖獣に関しては、原作基準で行くなら

水→風→雷+光→地→炎…の順で、それに対応するJMを手に入れるんですよね。

でもウィザブレではそのJMが形見のJMで複数変身するような形の上に、3番目の雷+光はやるかどうか分からないですw

第一…ウィザードの何属性で安定させるんだよ……←

ちなみに、個人的にはずっと4番目使ってましたね。

一番用途がはっきりしているし、攻撃がスカることがないので…


※ザウバーはロリコンではありません…ってかミカに対しての恋愛感情はないです

なのにお前らと来たらw

特にイヴww

晴人は…まだいいほうだ、うん。

でもバックベアード懐かしいな…ゲゲゲの鬼太郎思い出した。

そういえば5代目鬼太郎はピットだったなぁw




次回!

…ある人物が離脱します。