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タイトル未設定 - Magic37:決着、セルシウス

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Magic37:決着、セルシウス

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――俺が久しぶりに見た世界は、真っ暗だった。




気がついた時には、知らない場所で寝ていた。

起き上がり、周囲を見ても、自分の家でないことは明らか…

それどころか、自分のことが分からずにいた。

今思えば、一時的に記憶が錯乱していたせいで、なかなか自分のことが思い出せずにいたのだろう。

…どうして自分はここにいるのか

…何故家族は何処にもいないのか

そうしていると、一人の男がやってくる。

歳は30代後半、赤いカウボーイハットのような形状の羽根つき帽子に群青色の髪と髭は、すぐ目に付いた。


『――お?お前、目が覚めたのか!』


それが…

“親父”との、出会いだった。






手紙を括りつけたガルーダが、コヨミの部屋に入ってくる。

どうやら、ミカ達は無事にガナドールの宝珠を取り戻し、リノンの村に戻ってきているという。

セルシウスについて書かれていないのが気がかりだったが、それでも、全員無事なのはいいことだ。

そうしていると…

ふと、窓の外に誰かがいるような気配を感じ、覗き見る。

……そこには、目が見えないのに二本の刀を持って外を歩いている、ザウバーの姿だ。


「…ザウバー?」

「おいコヨミ、今のうちに魔力の補充でも…」

「晴人、その前にちょっと…」

「ん?」



刀を杖代わりにしての移動であったが、何の手がかりもないまま歩くよりは少しマシだ。

そうしていると…

急いで追いかけてきた晴人とコヨミが、声を掛けていた。


「こんな夜遅くに、一人で何処に行くんだ?」

「そうよ。それに、目が見えないのに…」

「……お前達か。少し、夜風に当たりたいと思ってな」

「だったら、刀なんて普通持っていかないだろ。……何をしに?」


ザウバーは諦めたように、溜息をつく。

適当にはぐらかしても、晴人とコヨミは簡単に納得しない。

…それ以前に、2人じゃなくても問い質して当然だ。


「目が見えないというだけで、お前達の足手まといになるわけには行かないからな」

「もしかして、…両目が見えない状態でも戦えるように…特訓を?」

「いくらなんでも、それは無茶だろ。一朝一夕でできることでもないし…何より、こんな夜に村を出るのは危険すぎる。……と同時に、お前そのまま先に進むと畑しかないぞ」


門は反対側ね、と言う晴人の顔は…どこか苦笑している。

それにはコヨミも失笑し、「笑うな」とザウバーが叫ぶ。

そして…




「――片目を隠して戦う程度なら、やったことはある。その応用と考えればできることだ…慣れるには、時間が掛かるのも事実だが」



話の方向性を変えようと、ザウバーが話す。

『俺の目は特徴的すぎるからだ。JMハンターの仕事もそうだが、あんまり顔を覚えてもらわれると後々面倒なんだ』

『流石に片目を隠したままで戦うのは、少し難しいところがある』

『一応、幼少期から訓練はしているが』

ソウセイ達ルトラ港に住む若者達が帝国軍に徴兵された際、彼らを助けるために帝国郡内に入り込む作戦を立てた際に言っていた言葉。

確かに、紅と蒼のオッドアイは色んな意味で悪目立ちする。そうなると、何かと面倒だったのだろう…

それと同時に、「幼少期から訓練していた」と言う言葉に、コヨミは尋ねる。


「子供の頃から訓練していたって聞いたけど、どういうこと?」

「…。……俺はちょっとした事情で、ある男に拾われたんだ。そいつは昔JMハンターをやっていて、剣の使い方やJMハンターとしての知識も、そいつから教わった」

「その際に、片目を隠しても…視界がハンデにならないよう、鍛えられたの?」

「それは俺が自分で言い出したことであって、親父は『やめとけ』って止めたがな。最終的には、あっちも渋々付き合っていた」


そう話すザウバーの横で、

――晴人は薄々嫌な予感を感じながらも、「絶対にそれはない」と思いつつ、尋ねていた。


「ところで、……そのJMハンターやってた親父って…」

「リーリエリヒトにJMハンターズギルドがあるだろう。そこの長をやっている……まあ、今は単なる酒好きだがな。まさかとは思うが、知り合いか?」

「「……」」




―――すいませんザウバーさん、そのクソ親父コブラカメワニパパン、物凄く心当たりあります…

晴人とコヨミは心の中でそう思い、空気で察したのか、「あぁ…」とザウバーは同情に満ち溢れた顔をしている。

義理の息子からして、あの親父は難癖があったのだろう。

その一方で晴人は両手を押さえて泣きながら、ザウバーに訴えていた。


「あの人…あのルピートさ、……人の話…全然聞かないよな…!」

「まっっったく聞かないな」

「だよな…!俺が何度説明しても、魔宝石の指輪をJMと一緒にするし…魔法を手品扱いするし…なんか色んな世界のライダーのネタぶちかますし…まんまどこかのコブラカメワニだし…神敬介マジヤバちゃけパネェだし…人を強引にユグム坑道に連れて行くし……」

「まあ、…ルピートだからな…かなり仕方がないな、それは……」

「もうね、もう…ザウバー。お前ぐらいの物分りのよさ…あの人に欲しかった……10話で言ったと思うけど、ルピートね……本当に、本当に物分り悪いって言うか…なんていうかさぁ…!!」

「――あんまり考えを曲げないからな、あのブラカワニ親父は…」


被害者と義理の息子による、ルピートへの愚痴に近い会話。

27話もの間隠されていた伏線の回収…なのだろうが、もはや晴人の愚痴でしかない。

その一方で…

ルピートの割といい加減な性格を思い出したコヨミは、晴人の苦労も分かったと同時に、ザウバーがあの人に似なくてよかったとも思っていた。

完全にアレと同じ性格だと、…このチームのツッコミは殆ど誰もいなくなるし…

(20話辺りで若干怪しかったが、コヨミはそれを“悪性の船酔い”で片付けた)

ツッコミの危険性を痛感しながらも、彼女は首を傾げながらザウバーに尋ねる。


「それでも、ザウバーにとってはいいお父さんだったんでしょ?」

「…まあ、な。家族を失った俺によくしてくれたし、JMハンターに役立つことを総て教えてくれた」



ジェネレーターの使い方。

二刀流での戦い方。

モンスターの知識。

いいJMの見分け方。

料理や掃除、洗濯に関しては…ルピートはからっきしなので、酒場のおばちゃんから色々と教わっていたらしい。


「じゃあ、片目を隠すのもルピートが?」

「いや…それは自分の意思でやっていた。何度も言うように、顔を覚えられると面倒なことをしていたからな」

「やっぱ、――キルベルトの屋敷のように…ウェルテクス一族の研究資料を盗んだりとか、そういう?」

「大雑把に言えば、そうだな」


ちなみに、顔を見られてもいいようにキルベルトの屋敷に盗みに入った時も、片目に眼帯をしていたそうだ。

コヨミと会った時にそれをしていなかったのは、ペット屋敷まで来れば眼帯をつけ続ける必要はないと思っていたのだろう。

が、その予想に反して彼女と出会ってしまい…

晴人達と旅をしている間は、必然的に眼帯を外している…というわけだ。

ザウバーの過去に触れ、何度か頷くコヨミだったが

――晴人はどうも、ザウバーの話している“過去”がほんの一部に過ぎないような気がしていた。

まだ、何か隠しているような…

例えば、あの左腕。あれには一体何が…

聞いてもはぐらかされるだろうが、コヨミがいるなら何とかなるかと思った晴人は、意を決して尋ねようとしていた。その時だ。





『―――やあ?』




…セルシウスが、晴人達の目の前に現れる。

彼の姿を見た晴人はウィザードライバーを呼び出しながら、セルシウスを睨みつけていた。

「一体どうして」

その言葉が顔に出ていたのだろう。

セルシウスはくすくすと笑いながら、晴人達に話していた。


『僕がウェルテクスの娘を追って、カロル火山に行く…そう考えていたんだよね?』

「知っていたのか…」

『誰が、わざわざ危険を犯してまであんな場所に行くと思う?だったら、この村に残った君達を捕まえて…交換条件にミカの持つ【僕の記憶】を貰ったほうが、よっぽどいいじゃない』

「残念だが、お前が欲しがっているのは…ミカの大事な、家族との思い出が詰まった記憶だ。お前が得られなかった、ゲートの記憶じゃない!変身!!」

<シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!!>

<ランド、プリーズ ドッドッドドドドン、ドッドッドドン!>


晴人はウィザード・ランドスタイルに変身し、更にコネクトリングを使ってウィザーソードガンを呼び出す。

…これまでどの形態で挑んでも、セルシウスには苦戦を強いられていた…

彼一人では撃退は難しい。だが、いざとなれば“ドリル”ウィザードリングで地面に穴を開け、ザウバーやコヨミと一緒に逃げることも出来る。

空を飛べば、聖地ラディウスの時のように風に冷気を乗せ、全員纏めて凍り付いてしまう恐れがあるので、今回の場合においてハリケーンは撤退向きではないのだ。

ウィザードRSはウィザーソードガンで遠距離射撃をするが、セルシウスはまるでスケートを踊るかのような華麗な動きでかわす。

やはり、視力を得られたのが大きく…「くそっ」とウィザードRSは舌打ちする。


「前より動きが早くなってる…何故だ!?」

『僕は今まで、【視界】を得ることはできず…君達の気配を感じることでしか戦えなかった。だけど、今は違う…僕は【視界】を手に入れた、だから君の動きなんて……簡単に見切れる』

「お前の目も、その動体視力すら、ザウバーから奪ったものだろ!」

『今は…僕のものだ!』



セルシウスは強力な吹雪を放ちながら、ウィザードRSに言い放つ。

ウィザードRSは“ディフェンド”で吹雪を食い止めることには成功するが、その直後に放たれた氷の刃に呆気なく破壊されてしまう。

ザウバーも刀を抜いて応戦しようとするが、それに気付いたコヨミが止める。


「駄目よ!目が見えないのに、どうやって戦うの!?」

「だが…あいつは俺の目を利用している、このまま放っておくわけには行かない!」

「でも」

「…何としてでも、あいつの動きを正確に把握する。そうすれば、……勝機はあるんだ…!」

「どういうこと?」

「ルピートは術にこそ精通はしていなかったが、術に精通しているJMハンターなら知っている。……そいつの元で暫く学んだ“あの術”なら…或いは!」


彼の話によると、教わったのは強力な炎の術技。

詠唱にこそ時間は掛かれど、発動すれば無類の強さを誇る…それこそ、ルルの【フレアンインフィニティ】と並ぶほど。

問題は、それをセルシウス相手にどう当てるか。

ザウバーもセルシウスの気配は察知できているのだが、相手の動きが素早すぎて正確な位置が分からないでいる。

コヨミが自分で教えようにも、ウィザードRSすら防戦一方になるほどのスピードだ…

ランドドラゴンになって“グラビティ”の魔法で押さえつけようにも、セルシウスの力なら重力を振り切ってしまいかねない。

ザウバーの言う術の詠唱に時間が掛かる以上、永続的に相手の場所が分からなければ意味がないのだ。




すると…

コヨミとザウバーは同時に閃き、ウィザードRSに叫ぶ。


「「…スメル!」」

「えっ、スメルがどうしたって!?」

「晴人、スメルの魔法をセルシウスに使って!そうしたら、ザウバーも戦える!!」

「…視覚は奪われど嗅覚までは奪われていないからな、あの悪臭なら嫌でも鼻につく!」

「――難しいこと言ってくれるな、まあ、どの道やらなければ…こっちがやられるだけか!」

<ランド、ドラゴン ダンデンドンズドゴン、ダンデンドンゴン!>


左手の指輪を付け替えたウィザードRSは姿を変え、ランドドラゴンへと変化。

そして、ウィザードRDはそのまま相手の動きを止めるべく、“バインド”ウィザードリングを使う。

岩石の鎖にセルシウスの足が捕まり、彼はそれを破壊しようとするが、その直後に“ビッグ”の魔法で巨大化した腕がセルシウスを握り潰そうとする。

セルシウスは何度ももがくも、地面にそのまま叩き潰され…

更にそのまま“グラビティ”を掛けられ、身動きが取れない。

しかし、セルシウスはすぐにでも重力を振り切り、自由の身になるだろう。

そうなる前にウィザードRDは接近し、彼の手に指輪を填めていた。


「ちょっとくすぐったいならぬ、ちょっと臭ったいぞ!」

『な…!?』

<スメル、プリーズ>

「『…くっさあああああああああああああああ!!』」


突然発生した、ドリアンのようなラフレシアのような…とにかく臭いニオイ。

ウィザードRDはローブの裾で鼻の部分を覆い、「くっさー!」と後退していく。

それは当然コヨミやザウバーにも届き、二人も鼻を軽く押さえながらも、チャンスだと思ったのだろう。

ザウバーは詠唱を始め、それに気付いたセルシウスが彼に接近しようとするが、ウィザードRDによって止められてしまう。

…主に、“コネクト”で相手の足を掴んで。



「――虚空より来たれ…“メテオスォーム”ッ!!」



夜だというのに、上空が何故か明るくなる。

どういうことだ、とウィザードRDが空を見上げると

…そこにあったのは、いくつかの隕石が降り注ぐ光景だった…

「何これ聞いてない」

「アムニスフィールドを作った人達は、“これ”からルキナを守ろうとしてたんだな」

色々なことを一瞬のうちに…まるで走馬灯のように思いながらも、正気に返ったウィザードRDは…叫んでいた。


「……隕石降らせるって…そんなのアリかーっ!!?」

「俺にしてみれば、コネクトのほうが『そんなのアリか』と言いたいんだが!」

『くっ…!?』


ウィザードRDは咄嗟の判断で“ドリル”で地中深くまで身を隠す。

セルシウスも燃え盛る隕石から逃れようとするが、1発目・2発目を何とか避け

…2回目に避けたその先に、これまでより一番大きい隕石が落とされていた。

何故あの一撃が決まったのか。

見たところメテオスウォームは、威力・範囲共に強力な技だが…その分落ちるスピードが若干低く当てにくいはずなのに。

コヨミがそう思っていると、ザウバーがもう一度詠唱の体勢に入りながら説明をする。


「最初はセルシウスの立っていた場所からすぐ右に落ちるよう、2発目は奴の瞬発力を計算に入れ、1発目の3m先に落ちるようにした。挟み込む形でな」

「そうして逃げ場を狭めて、そこに大きな隕石を落とせば…」

「確実に当たる」

『ぐ、うう、…小癪な真似を…!』

「他人の視界を奪っただけでなく、ミカを騙したどの口が言う!」




2回目のメテオスウォームが、降り注ぐ。

今度は狙いが甘く、セルシウスは難なくかわし、ザウバーとコヨミに接近する。

…さっきのはただの偶然か

そう思いながら氷の刃を突き立てようとすると、突然目の前にウィザードRDが現れる。

彼は地面の中へ逃げていただけでなく、更に先を読んでいた。

――ザウバーが「場所さえ分かれば確実に当てる」自信があったのは、間違いない

――冷静さを欠いたセルシウスは、ザウバーを狙うだろう

だとすれば、ウィザードRDがそれを待ち伏せることは容易い。


<チョーイイネ! スペシャル、サイコー!!>

「……せいっ…やあああああ!」

『があああっ!?』


セルシウスの顔面に、ドラゴンの爪が突き刺さる。

元々、顔の半分がヒビ割れているような状態だったのだ…そこに巨大なドラゴンの爪が当たれば、どうなるか。

顔の崩壊は激しくなり、砕けて小さな氷の破片として落ちている顔の先にあったのは……ただの空洞。

更に、“目”のあった部分を壊されたことでセルシウスから1つの光が漏れ、ザウバーの視力が回復していく。

一方のセルシウスは、再び視界を失い、気が動転…


「…!視力が…」

『あ、あぁぁ…ああああああああああああああああ……何も、何も見えない…僕の…僕の目があああああああああああああああッ!』

「だから、お前の目はザウバーから奪い取ったものに過ぎないんだって」

「…お前との因縁は、俺がつける。……晴人ッ!」

「ああ!」



ウィザードRDはウィザーソードガンにランドドラゴンリングを翳し、スラッシュストライクの準備に入る。

同時に2人接近し、セルシウスは両手から吹雪を放つが…

ザウバーは高く飛び上がり、ウィザードRDは“ディフェンド”で防御する。

更にウィザードRDは宙に向かってウィザーソードガンを投げ、ザウバーはそれを空中で受け取る。

セルシウスはその場から逃れようにも、…足に一本の刀が突き刺さって動けない。


「――蒼天散舞(そうてんざんぶ)!」


刀とウィザーソードガンの斬撃が、セルシウスを深く切り裂く。

更に、そのまま返す刀で一太刀浴びせ…

セルシウスの体は、次第に氷のようにボロボロと砕けていく。

足が崩れ、腕が折れ、胴体は割れ、急速的に【自分】が無くなっていくのが分かる。

遂には奪った声も失い、彼はどこかに手を伸ばしていた。

“ぼくが こわれていく  ぼくが なくなって”

最終的にはセルシウスの体は完全崩壊し、地面に溶けるように無くなっていく。

そんなセルシウスが倒れた場所を見ながらザウバーは静かに目を瞑り、踵を返して歩き出していた。

その際、ウィザードRDにウィザーソードガンを返しながら。


「…ありがとう」

「……」

「何だその意外そうな顔…いや、様子は」

「いや、…お前が素直に礼を言うのって初めてだなーって」

「…俺だって礼を言う時ぐらいはある。二度は言わん」

「はいはい」






〜〜〜






その数時間後に、日が昇り…




ミカ達と合流したのは、セルシウスとの戦いから4時間後。

晴人達は互いの状況を整理するため、一旦シルエラの家へ。

エミィは早速シルエラに抱きつき、更に自分を助けてくれた『おじちゃん』ことバーガーが遊びに来てくれたと大喜び。

バーガーやシルエラと遊びたいとエミィは言い出し、それにルルも混じる形で参加。

その際…

セルシウスを晴人とザウバーが倒したとコヨミ経由で知り、ミカはザウバーに謝っていた。


「ザウバー、その…ごめん。私が倒さないといけなかったのに、……私が迷ったから、ザウバーは」

「気にするな。……気に病む必要はない」

「だけど」

「もうこの話はいいと言っている。それよりも、ガナドールの宝珠をガナドール族に返すのが最優先ではないのか?」


相変わらず冷たい態度を取るザウバーに、ミカはむっとしながらも…

「あれでもミカのこと気遣ってるつもりみたい」とコヨミに耳打ちされ、笑みを見せていた。

そして…

セデギウスの奇行は晴人達も疑問に思い、腕組みをしている。


「――あの、いかにもお堅い聖海騎士団の隊長さんが…ソウセイの話を信じた、か」

「何故、ソウセイの話を信じたのか…それ以前に、どうして私達の仲間だと知っていながら聞く耳を持ったのか。……どこか気になるよ」

「セデギウスの正体がソウセイの親父さん、…なわけないよな」

「シャドゥのゲートであることが本当なら、ね。ソウセイの反応からして、シャドゥが自分の父親なのは間違いないみたいだけど…」



晴人とイーヴリンは互いに唸りながら、セデギウスについて考える。

…そもそも彼は、何者なのか。

生前フォスターの話していたことが本当ならば、彼はルーク枢機卿と深い繋がりがある。

これまで聖海騎士団に所属していなかったのに、いきなり隊長の座に抜擢されたのも…そこに関係があるのだろう。

バーガーもセデギウスについて詳しいことは知らないようで、謎が謎を呼ぶ。


「それよりも俺は、シャドゥが本当にソウセイの父親なのか…が気になるんだ」

「どういうことだい?」

「だって、コハクさんの記憶があるなら、それを利用してソウセイに近づいたほうがいいはずだ。上手くいけばフライハウト団に入って、俺達に同行して、堂々と密偵作業が出来ただろうに」

「影に入っていたほうが、効率がいいからでは?」

「確かに、私達だってパヴェル様に言われるまで分からなかったもの」

「……まあ、瞬平や凛子ちゃんの言うとおりなんだけど。…それでも、シャドゥがソウセイのことを知らなかったのが気になるんだ…」


…もしかすれば、セルシウスのように記憶のないパターンなのか

…それとも、もっと別の

晴人がそう考えていると、突然家の扉が開き、全員がそれに反応する。




――そこにいたのは、ガナドール族の族長・ベスティアだった。


「…邪魔をする」

「「「ベスティアさん!」」」

「お前達がもし宝珠を取り戻せなかった場合もあるのでな、こちらに足を運ばせてもらった」

「それだったら…ちゃんとここにあるわ!」


そう言って、凛子はガナドールの宝珠をベスティアに渡す。

紅く綺麗に煌く、古くから伝わる石…

それを見たベスティアは本物だと知り、彼女達は本当に自分達のために宝珠を取り戻してくれたのだと知る。

…と同時に、自分達の神すら蔑ろにする帝国に従っていたことを、恥じていた。


「……すまなかった。私は、ガナドール族を…仲間を守りたいあまり、本当にすべきことを見失っていた。彼らのことを思うのならば、帝国と戦うべきだったものを」

「それじゃあ…」

「…つまり、」

「我々ガナドール族も、帝国と戦おう。それが、亡きアンギュロス族の弔い合戦でもあるのならば…尚更」


ベスティアの言葉に、瞬平達は「やった」と喜んでいた。

ガナドール族が加われば、グリュッグ国総ての部族が打倒帝国に向けて動き出したことになる。

それだけではない…

ツァールハイト国・グリュッグ国・アウデンティア・そしてフライハウト団。

これらの組織を合併させ、【共和連合】として戦うことも夢でなくなるのだ。

これでようやく、リーリエリヒト帝国と戦う準備が出来た。

しかし…



「……気がかりなのは、イシュトヴァーン皇帝だ。あのユディーヌというものの話が本当ならば、奴は【世界を救う者】ということになる…」

「でも、それが皇帝だって限らないわけでしょ?」

「そうだよ!それに、蒼き光を放つもの、紅き光を〜って…それだったらまだ、晴人さんのほうが納得できるよ」

「俺?……いやまあ、確かにウィザードって宝石っぽいから輝きを放っているような感じはするけど。…ミカはどうなんだ?シアーズ・ツァターン・ライサと来たんだ…火の聖獣も、間違いなくいるはずだ」

「私!?それならザウバーだって…」

「……この議論を続ける理由はあるのか…?」


イシュトヴァーン皇帝が真に【世界を救う者】だとしたら、と不安を口にするベスティア。

それを否定するように、コヨミやユーテキが色々な意見を出し…

晴人やミカはそれに巻き込まれ、ザウバーは呆れ気味に呟いていた。

確かに、【世界を救う者】はアンギュロス族に伝わる言い伝え。

アンギュロス族でなければその意味は分からないだろうし、そもそも、アンギュロス族が生き残っていたとしても【世界を救う者】は誰なのか分かるはずもない。

言い伝えはあくまで言い伝えなのであって、本当にそれが起こり得るのかは定かではないのだから。

そうしていると…

イーヴリンはミカ達に、こんな提案を出していた。


「――いっそのこと、アンギュロス族の遺跡に行ってみるのがいいのかもしれないね」

「「「アンギュロスの遺跡に?」」」

「この村から北西に進んだところに、アンギュロス族の遺跡がある。カロル火山の更に先だから、それなりに長旅になるとは思うけど」

「でも、僕達も一度グリュッグに戻ったほうがいいんじゃあ…」

「……いや、君達はアンギュロスの遺跡に向かったほうがいい。情報では、ユディーヌ審問官もそこに向かったとのことだ」




審問官であるユディーヌが、アンギュロスの遺跡に向かった。

一体何故、そんな場所に向かったのか?

そもそも、何故ユディーヌはアンギュロス族について詳しいのか…

謎が謎を呼ぶ中、ベスティアはイーヴリンを見ながら

――彼女にこう、問いかけていた。


「……イヴ、と言ったか。もしかして、…君はアンギュロス族の生き残りではないのか?」

「「「えっ!?」」」

「…」


ベスティアの言葉に、驚く一同。

だが…

イーヴリンだけは静かに、一息ついていた。






***




まさかのザウバー過去話:その1。

ちなみに、ルピートとの過去はルピートが再登場した時に。

でも多分、晴人もコヨミも「ザウバーの育ての親がルピート」とはミカ達に言っていないはず。

言える暇がないし、言う必要もないし、それ以前に言ったら何が起きるかw

本編でも知っているっぽかったイヴさんが、5章になるまで言わなかったりしてましたしね。


そして今だから言えること。

――本編プレイ中、作者はザウバーをアンドロイド的なものだと思っていたようです。

いや、だって、紅い光とか出すしさぁ…!

しかもそれを目から発射したと思い込んでいたんだぜw散々腕だって言われてるのにww

殆ど人にしか見えないだろ当時のお前は何故ザウバーを人間扱いしていなかったんだバカ作者www



まさかのスメル大活躍。

…意外と便利ですね、スメルって…

しかし、セルシーまさかのスメルで逆転って…ランド系で勝つって……

いや、ほぼザウバーのお陰なんですがねw

でも

フレイムドラゴン→相性有利なのに押し負ける

ハリケーンドラゴン→むしろハリケーンのままのほうが勝機あっただろ

ウォータードラゴン→どうして氷洞で使ったのか…

ランドドラゴン→勝因:スメルとザウバー

…これは…うん、どのスタイルのほうがまともだったのか……

ところで「魔力で負けるなら物理で殴れ!」系だったんですね、セルシー。


むしろ、この世界でのファントム戦自体が

VSノーム→ランド(勝因:相手が極端にドジすぎた)

VSレム→ハリケーンドラゴン(この頃はまだ出番的にも問題なかった)

VSセルシウス1戦目→フレイムドラゴン(結果的に負けてウォドラ取られた根源)

VSシャドゥ1戦目→ランドドラゴン(ただし復活された)

VSセルシウス2戦目→ハリケーンドラゴン(ハリケーンは不意打ちとはいえ一発決めたのに)

VSヴォルト→ウォーター(ウォータードラゴンならば直接トドメを刺せたが、ミカとザウバーに任せた)

VSウンディーネ→ウォータードラゴン(シアーズと一緒)

VSイフリート1戦目→ウォーター(イフリートマジハイパーバカアホ押す)

VSシャドゥ1.5戦目→なし(バーガーが追い払って終わった)

VSシルフ→フレイム(ウィザードのアンダーワールドでの勝率は100%)

VSイフリート2戦目→ウォータードラゴン(ユーテキと一緒)

VSセルシウス3戦目→ウォータードラゴン(何故相手に有利な場所でウォーター系に…)

VSシャドゥ2戦目→ランド(ライサ持続のため致し方なく固定)

VSセルシウス4戦目→フレイム(元から援護目的)

VSセルシウス5戦目→ランドドラゴン(魔力で勝てなきゃ物理で殴れ!)

ウォーター率高すぎやwww

次点でランド系。




ハリケーン系の挽回はなるか!

…と言っても…

もう残っているファントムって、ねえ…?←