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タイトル未設定 - Magic33:無限の炎

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パヴェルから与えられた試練を乗り越えるべく、晴人達は【ファルファラ氷洞】に向かう…

洞窟の中は一面氷ばかりで、地面の一部もつるつる滑る場所があって非常に歩きにくいことこの上ない。

しかし、それを含めての“試練”なのだろう。

奥に向かって小箱を取って帰らない限りは、協力してもらうことも不可能。


「とにかく、早くクリアして戻らないとね!」

「そうなの!行こっ、ミカちゃん!!」

「あ、ちょっと待って、こんな場所で走ったら」


急いで試練をクリアしようと走り出すミカとルル、そんな彼女達を追いかけようとするユーテキ。

だが…

つるり、と3人は足を滑らせ、前に向かって真っ直ぐ滑っていく。

そして正面の壁に激突するまで止まらず、先頭にいたミカにルルとユーテキがぶつかる。


「ちょッ、痛い!痛いから!?」

「ユーちゃん酷いよぉ〜」

「ぼ、僕のせいじゃないよ!?」

「……どうやら、正しいルートを通らないと先に進めないパターンだね」

「ああ、所謂、ポケモンにおける【氷の抜け道】や【浅瀬の洞穴】パターンか…」

「もっと言えば、チョウジジムやセッカジム、キッサキジムの仕掛けよね」



ミカ達3人の惨状を見て、冷静に話すイーヴリン・晴人・凛子。

…特に晴人と凛子の説明が、彼らの置かれている状況の説明としては、一番分かりやすい。

「雪玉や切り替え用のスイッチはないですけどね」と呟きながら、瞬平が周囲を見回していると…

氷の床の上にはいくつか岩が点在しており、アレを上手く利用すれば進めるだろう。


「晴人さん!あそこに、ポケモンでもありがちな方向転換用の岩がありますよ!!」

「じゃ、チョウジジムパターンで確定か。えーと……上から見れば、ルートの確認がしやすいんだけど」

「ハリケーンに変身して、空中からルートを確認すればいいんじゃないですか?」

「それだと、むしろハリケーンになった晴人に全員運んでもらえばいいんじゃないの!?」


なにやら、ズルをする寸前の魔法使いの弟子とウェルテクスの娘がいたが…

そんな彼らの頭に、何処からかホースを入れたタライが降ってくる。

しかも金色。アレか、黄金のタライとホースか。

どうやらルル経由でパヴェルが見ているのは間違いないらしく、原則として『空を飛んでルート確認』や『空を飛べる人間に運んでもらう』というのは許されないらしい。

…こうなると当然、フレイムスタイルの炎で氷を溶かして…や、ウォータードラゴンのブリザードで氷の橋を作る…も駄目だろう。

イーヴリンは瞬平に落ちた黄金のタライとホースを訝しげな目で見ながらも、提案を出す。


「まあ、幸い人数も多いし…様々なルートを全員で試して、出口に辿り着けた人間のルートで行くことにしよう。その代わり、自分の通ったルートはちゃんと覚えるんだよ、皆に指示しなきゃいけないからね」

「「「はーい」」」

「…タライが落ちてこない辺り、イヴの方法はセーフってことなのか…」

「まあ、原則はあくまでも原則であって規則じゃないんだから…そこら辺は臨機応変に、なんだろうな。バーガー」





その頃、アウデンティアに残った尺稼ぎ組は。



「イチゴショート2つとオレンジゼリー3つ、ウーロン茶を2つとやっぱイチゴショート1つキャンセルで!」

「コーヒー3つ、豆はキリマンジャロ2つとモカ1つ。キリマンジャロ1つはブラックでもう一つは砂糖3個とミルク1個、モカは砂糖2個とミルク2個ね」

「チョコブラウニー4つとイチゴショート2つ、キリマンジャロは砂糖2個とミルク2個を1つとブラック1つと砂糖3個ミルク1個を3つ…それから追加でチョコケーキ4つ!」

「イチゴショート5個とウーロン茶3つ、コーヒーはブレンドの砂糖3個ミルクなしを4つ、オレンジゼリー4つとやっぱりコーヒー1つキャンセルの1つは砂糖そのままミルク3個で」

「ドーナッツ3つとサンドイッチ4つ、オレンジジュースとココアを2つずつの追加でサンドイッチ4つ、ドーナッツ1つキャンセルのチョコブラウニー2個で!」

「フルーツタルト5個と、急ぎでメロンソーダ1個、ココア2つに持ち帰り用のチョコレートケーキ3つ!」



テイルズ恒例の鬼畜ウエイターのバイトを、させられていた。

しかし、これはまだ軽いほうなのかもしれない…

作品によっては、もっと酷い注文の嵐。同じ画面内に、複数の客が同時に注文を仕掛けてくると言う鬼レベルのミニゲーム。

正直、「ミニゲーム」の意味を年々逸脱しているような気がしなくもない。

ザウバーは「頼みすぎだろ」と心の中で叫ぶ一方、コヨミは「メモがいくらあっても足りない」と頭を抱えている。


「コヨミ…このチョコレートケーキを、客の顔に叩きつけてもいいと思うか…?」

「私もイチゴショートを1ホール、叩き付けたいわよ…でも、……絵に描いたようなメイド喫茶よりはマシだと思う……」

「…まあ確かに、ヘタすれば放送事故が起きかねないな……」

「奥仲さんとしての自分を出せば、出来なくはないと思う…でもそれはあくまで『奥仲さん』であって、『コヨミ』ではなくなる…」

「それを言い出したら、俺だって平川さんで行けば多少は楽だろうが…『平川さん』以外の何者でもなくなるどころか『平川さん』でしかなくなる…」

「ザウバーはいいじゃない…バトスピで執事やってたんだから…!」

「それはセルジュだ!俺じゃない、別の世界の平川さんだ!!」

「でも同じ平川さんでしょ!?」


奥仲さんとか平川さんとか、傍から聞けば何それ?な議論が飛び交うザウバーとコヨミ…

ここに晴人かバーガー辺りがいたら、こうツッコミを入れてくれただろう。

「中の人的メタすぎる」…と。






〜〜〜






正解のルートを凛子が発見し、彼女の指示で氷の抜け道をクリアした晴人達。

道中にはモンスターが仕掛けてくる(氷の床の上を滑っている間に攻撃されないのは、何処の世界でも【お約束】のようだ)が、それを倒すのは造作もないこと。

少しずつではあったが確実に進み、遂に洞窟の奥地に足を進める。

奥に進めば進むほど、寒さを増してくる…

瞬平はガタガタ震えながら、凛子に話す。


「り、凛子さん、ここ…かなり寒くないですか?」

「そうね…一気に温度が低くなった気がするわ…」

「どうやら、ここが一番奥みてぇだな。……ルル、準備は出来てるか?」

「だいじょーブイだよ!」


両手を擦り合わせながら、バーガーがルルに尋ねる。

だが…

ルルはピースをするが、やはりどこか緊張しているのだろう。

彼女一人でアクアドラゴンと戦えと言うのだから、無理もない話だが。

そうしていると、イーヴリンは“アウデンティアからずっと尾行してきた人間”に、声を掛ける。


「――君も、そろそろ出てきたら?」

「「「えっ?」」」

「…なんだ、ばれてたのか」



氷の柱の影から現れたのは、…ゾゾ。

凛子や瞬平らは驚いているが、晴人もある程度誰かがついて来ていることに気付いていたようで、大して驚いてはいない。

当然、一番驚いているであろうルルは「何でゾゾがここに」と叫ぶ。


「これはルル達の試練なんだよ?何でゾゾも来ちゃったの!?」

「だって…」

「……心配だったんだよな、ルルのこと」

「晴人、」

「小さい頃にルルの髪の毛を燃やしたこと、まだ気にしてるんだろ?だからルルの助けになってやろうとついて来た…違うか?」


晴人の質問に、ゾゾは小さく頷く。

…彼自身、小さい頃の大きな失態には深く反省している。

自分のせいでルルが炎を怖くなった以上、責任を感じてしまうのは無理もないだろう。ルルの前では、極力そういった素振りを見せないようにしていたらしいが。

恐らくパヴェルは、最初から彼もついて行くと分かっていただろう。だが、止めなかった。

『何人向かっても構わない』ということは、『必ずしも全員で行く必要はない』とも言えるが…『この場にいる人間以外の者も連れて行って構わない』ということなのだから。

ルルも難しそうな顔をしながらも、ゾゾが心配してきてくれたのは嬉しいのか、笑顔を見せていた。


「んー…でも、もう一番奥みたいだし…ルル一人で戦わないと駄目なんだよ?」

「そっ、それはそうだけど」

「冗談だよ!ゾゾも応援してくれると、ルルも嬉しいの」

「ポポー!」

「……おい、なんか聞こえてくるぞ!」




バーガーが叫んだ、次の瞬間。

ズシリ、ズシリと何かが歩いてくるような振動が起こる。

一体これは、と晴人達が驚いていると、目の前に現れたのは、巨大な体と強固な鱗を持つ…アクアドラゴン。

「アレがここの主か」とイーヴリンが呟き、ユーテキと瞬平はそれぞれミカと凛子の後ろに隠れる。

だが…


「グ、オォゥ…」

「「「!?」」」


まだ何もしていないのに、アクアドラゴンは突然その場に倒れる。

戦ってもいないのに、何故…

様子を確認するために晴人とバーガーが駆け寄るが、アクアドラゴンは既に息をしていない。

魔法使い達の試練のために、最後の試練として立ちはだかり続けたアクアドラゴン。

寿命と言えばそれまでだが、それでは強固な鱗につけられた大きな傷の説明がつかない。

…自分達以外の誰かが、ここにいる

その結論に至った瞬間、ゆっくりと静かに現れる、一つの影…

――ファントム・セルシウスだ。


『…』

「「「セルシウス!?」」」

「…ッ、」

「おい、あいつもファントムなのか!?」

「あいつがアクアドラゴンを!?」

「…ああ、しかも、……あいつを生み出したゲートは…ミカの兄だ」


セルシウスを見て驚く晴人達、動揺するミカ。

一方で、初対面となるバーガーとゾゾは近くにいた晴人に尋ねる。

しかし問題は、どうしてセルシウスがここにいるのか。

オリジンが追っ手として放ったとしても、アウデンティアまでの道のりは普通のファントムでは行けないはずだ。

「そういえば」とゾゾは、ファルファラ氷洞の構造について話し始める。



「…昔、じいちゃんから聞いたことがある。ここはグリュッグ国の外れにある洞窟と繋がっているって」

「成程…だとすると、オリジンはこの氷洞の構造を知っていた上で、俺達を待ち伏せするためにセルシウスを放ったんだ。――たぶん、パヴェルって人が俺達をここに行かせるのも、折込済みだったんだろう。だが…」

<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン!シャバドゥ…>

「……ルル、セルシウスがいる以上、試練とか言ってる場合じゃない!俺達全員で掛からないと、こいつには勝てないッ!!」

<ウォーター、プリーズ スィ〜スィ〜スィ〜スィ〜♪>


フレイム系もウェルテクス屋敷で敗北し。

ハリケーン系も、聖地ラディウスでの戦いで敗れた。

大きなダメージは見込めないだろうが、魔力に優れるウォータースタイル系でサポートに徹したほうが、幾分か勝機が見込めるだろう…

ルルも流石に相手のやばさは分かっているのか、バトンを構えながら大きく頷く。

まずはバーガーとイーヴリンが大きく踏み込み、セルシウスを攻撃しようとする。

…しかしセルシウスはそれをかわすと、氷の剣で二人を斬り払う。


「くうっ!?」

「…こんな滑る足場で、よく動けるな…あいつ!」

「セルシウスは氷のファントム…だから、氷の張った地面でも滑らないのよ!」

「そ、それじゃあ、僕達完全に不利じゃないですか!」

『……』


凛子と瞬平が戦いの邪魔にならない場所に退避しながら、叫ぶ。

だが、瞬平の言うとおり、ファルファラ氷洞で戦うのはセルシウスが圧倒的に有利すぎる…

炎が通用すればいいのだが、強力な炎でなければセルシウスにダメージを与えることは不可能。

しかしフレイムドラゴンの炎を耐え切ったセルシウスが相手なのだ、生半可な火の魔法では軽い傷すら負わせられないだろう。

現にユーテキの“ファイアボール”も、片手で受け止められてしまう始末。




逆転の糸口になるのはミカの聖獣の力だが、セルシウス相手に放つのを躊躇っているようだ。

…兄ではないと自分に言い聞かせても、すぐにそうすることは誰だって出来ない…

このままではやられる。

そう思ったウィザードWSは“バインド”を二重に掛けてセルシウスの動きを止めようとするが、水の鎖は相手を捕らえた瞬間に凍り付いてしまう。

ボロボロになった鎖を見たウィザードWSは、「くっ」と舌打ちをしながらウォータードラゴンのリングを構える。


「――ミカ、しっかりしろッ!あいつはお前の兄なんかじゃない!!」

「…分かってる!分かってるけど…」

『……』

「くそっ!」

<ウォーター、ドラゴン ザバザババシャーン、ザブンザブーン!>


ウォータースタイルからウォータードラゴンとなり、ウィザードWDはウィザーソードガンで相手の攻撃を受け止める。

セルシウスは大きく退くと、手の平から強力な吹雪を放つ。

ウィザードWDもまた、“ブリザード”の魔法で相手の冷気を抑えようとするが…相手の力が強すぎて、ウィザード側の冷気が押し負けてしまう。

ルルやゾゾも魔法の力で援護するが、彼らの協力があってもセルシウスの放つ吹雪の勢いに負けてしまう。

ウィザードWD達は氷の壁に叩きつけられ、特にセルシウスの攻撃を直撃したウィザードWDのダメージは大きい。


「……ぐああっ!?」

「きゃんっ!」

「うわーっ!」

「晴人、ルル、ゾゾ!……このままじゃ、皆…どうにかしないと……でも…!!」



何とか自分を奮い立たせようとするが、ミカはどうしてもセルシウスと刃を交えることが出来ずにいる。

セルシウスはゆっくりとミカのほうに向かい、彼女を守ろうとユーテキが立ち塞がるも軽く殴り飛ばされてしまう。

ルルも再び立ち上がって魔法で応戦するが、彼女の魔法も通用しない。

そしてセルシウスの刃がルルに振り下ろされようとした、次の瞬間。

――ゾゾがルルの前に立ち、炎の魔法を放ったのだ。


「ゾゾ!?」

「くっそぉ!“フレアトルネード”!!」

『……』

「――うわあああああーっ!?」

「…ゾゾーッ!」


炎の魔法でセルシウスの接近を阻止しようとするゾゾだが、次にセルシウスが放った吹雪の前に簡単に掻き消され…

セルシウスの回し蹴りが、ゾゾに浴びせられてしまう。

吹き飛ばされた彼をバーガーが受け止め、すぐさま“キュア”による回復を行う。

思ったより軽傷なのか、ゾゾの傷はすぐに治り、命に別状はない。

だが…

ルルはわなわなと肩を震わせながら、セルシウスとミカの前に立つ。


「ルル!危ない!!」

『…』

「許せない…いくらミカちゃんのお兄さんでも、――はるとん達やゾゾを傷つけて……ルル、もう怒ったんだからあっ!」

『……?』




「火なんか、…火なんか…怖くないもん!―――【フレアンインフィニティ】ーッ!!」




ルルの怒りが爆発し、母親から預かっていた家宝のJMの力が発動する。

強力な炎の奥義【フレアンインフィニティ】…

無数の炎の渦がセルシウスに襲い掛かり、氷のファントムであるセルシウスに大きなダメージを与える。

燃え盛る怒りの炎の威力は相当だったのか、セルシウスは膝をつき、ダメージが大きい。

…しかし殆どの者は立ち上がることが出来ず、ルルもフレアンインフィニティを使った反動が大きいせいか追撃は不可能。

そんな時、ミカの持つオリジナルJMが黄色の光を放ち、それに呼応する形でランド・ランドドラゴンの魔宝石も輝きを放ち始めていた。


「…これって、もしかして…」

「新しい聖獣の力、か……ミカ!」

<ランド、ドラゴン ダンデンドンズドゴン、ダンデンドゴン!>

「……分かった。――豊饒の大地に命よ芽吹け…【ライサ】ッ!!」


ウィザードWDとミカは同時に変身し、ランドドラゴンと聖獣ライサが立つ。

黒い髪に、天の衣を思わせるような衣装、6枚の白き翼…

ライサはその手に持った蒼い珠から光を放ち、それらは癒しの波動となってライサ自身やウィザードRD達の傷を癒し始める。

回復効果を持った聖獣の力、

――だが…セルシウスにダメージを与えている様子はなく、瞬平と凛子が叫ぶ。


「あっ…あれ?なんかセルシウス、ダメージ受けてませんよ!?」

「もしかして、あの聖獣…回復しか出来ないんじゃ」

「「「えっ!?」」」

「…それってつまり、―――ランドドラゴンで制御できる意味なああああああああいッ!?むしろランドで充分だったのか、ランドでも事足りるのかあの聖獣ーッッッ!!?」

『…、……!』



今がチャンスだと思ったか、セルシウスはゆっくりと退散していく。

「待って」とライサを解除したミカが叫ぶが、セルシウスの姿は既にない…

折角倒せるチャンスだったのに、とユーテキが言う横で、イーヴリンはミカに言い放つ。


「ミカ、…ファントムはミカの兄とは違う。まったくの別人だ。……厳しいこと言うようだけど、余計な感情は切り捨てないと…あんたがやられるんだよ」

「イヴさん…」

「…分かってる。分かってる……つもりだった、だけど…」

「――まあ、ルルのさっきの魔法が通用することは分かったし…ザウバーという戦力を欠いてる状態だったんだ。次に会った時は、私達だけでも勝機がある……ミカは、無理に戦う必要はない」

「「「…」」」


イーヴリンの言葉に、ミカは申し訳なく思う反面…

やはりこのままでは駄目だと、心のどこかで思い始めていた。

そして、彼女はソウセイもまた自分の父親がシャドゥを生み出していたということを思い出し、……すぐに割り切ることの出来た彼を、ある意味で尊敬していた。

その一方で…

ルルが炎を克服したことを一番喜んでいたのは、――パートナーのポポだった。


「……ルル、ルルがやっと炎の魔法が使えたポポ〜!」

「「「喋ったああああああああああああ!」」」

「ポポ!」

「ルルが炎を克服して、本当の意味で一人前になれたから…僕も喋れるようになったポポ!……これで僕も、積極的に会話に入ることが出来るポポ」

「「「おいそれメタァァァァァ!!!」」」



どこかでか「ポポ」しか会話表現がなかったせいで、出番が少なかったことを気にしていたのだろう…

吹っ切れたようなポポの発言に、晴人・ゾゾ・バーガーがツッコミを入れていた。

ここにザウバーがいたら、ツッコミ四重奏をしていた頃だろう。

そんなことはさておき、自分が炎をいつの間にか克服できるようになっていたことに、ルルは実感が湧かずにいたようだが…

バーガーによって治療されたゾゾのほうに向かうと、満面の笑みでゾゾにお礼を言っていた。


「ルルが炎を克服できたのは、ゾゾが必死でルルのこと守ってくれたお陰だね!」

「…だけど、炎が苦手になったのも俺のせいだろ」

「それは…もう時効だから許してあげる!ありがと、ゾゾ!!」

「……しょうがないなぁ、許されてやるよ!」

「ゾゾは相変わらず素直じゃないポポ〜。素直に、ありがとうって言えばいいのに」


ポポの発言に、「煩いな」と顔を真っ赤にしながら追い掛け回すゾゾ。

「ポポ苛めちゃ駄目」とルルもゾゾを追い掛け回し、元気な彼らにバーガーやイーヴリンらは大笑い。

一方で、ユーテキは凛子や瞬平と一緒に周囲を探し、パヴェルが送り飛ばした小箱を見つける。

何はともあれ、セルシウスも撃退し…試練もクリアできた。

そして何より、ルルも苦手な炎を克服することが出来たのだ。これで充分だろうと、晴人達はファルファラ氷洞を後にしていた……






〜〜〜






アウデンティア城。

そこでは、完全に疲労困憊状態の平川さんと奥仲さん

――ではなく…

ザウバーとコヨミがおり、「一体何があったんだ」と晴人は首を傾げていた。

一方でパヴェルは、ニコニコと笑みを浮かべたまま晴人達に告げる。


「それで…試練のほうは、クリアできたようですね」

「はい。あ、この箱お返しします」

「構いませんよ、その箱の中身はアウデンティアに伝わる通信JM…あなた方がお使いください。いずれ私達と連絡を取り合う時に、役立つでしょう」

「え、それじゃあ」

「――元々、私達アウデンティアの魔法使いも、近年のリーリエリヒト帝国の暴走は目に余ると思っていたのです。きっかけさえあれば、リーリエリヒトと戦うことも視野に入れていました」


パヴェルの話では…

そもそも【試練】は、これからのリーリエリヒト帝国の戦いに備え、ルルが炎を苦手なままでは戦い抜くことは出来ないだろうと思ってのこと。

だからこそアクアドラゴンと戦うのはルルだけと言ったり、起爆剤としてゾゾの同行を見逃していた。

想定外だったのは、ファントムが既にセルシウスを送り込んでいたことだが…

むしろ強大な力を持つファントムのほうが、ルルを本当の意味で一人前にするためにも役に立つと考え、セルシウスがファルファラ氷洞にいると知っていても“わざと”教えなかったのだ。

うむ、と何度も頷きながら、ポポキングはルルに言う。



「総ては、お前のことを思ってのことポポよ。ルル」

「パヴェル様…ポポキング…」

「それにしても、セルシウスのことを知っていたなら、教えてくれてもよかったのに…」

「申し訳ありません。ですが、ただのモンスターではあなた達の実力を測れないのも事実ですし…そのお陰であなた方は、自分達の力を間違った方向に使わない方々なのだと分かりましたから」


優しく微笑みながら、告げるパヴェル。

最初から最後まで彼女に振り回されっぱなしだったような…

そんなことを考えながら、イーヴリンと晴人は互いに頭を抱えている。

しかし、アウデンティアの魔法使い達が協力してくれるというのは、非常に大きい。

リーリエリヒトと戦う意味でも、これ以上にない戦力となってくれるだろう。

そうしていると、パヴェルは突然立ち上がり、笑顔で晴人達に言う。


「それでは、あなた方もそろそろ向かいましょうか?」

「「「え?」」」

「グリュッグ国の話し合いに、です。…どうやら議論が長引いているようで、ツァールハイトから到着したお二人も頭を抱えているようですし」


…一体何処まで状況を把握しているというのだろう。

底の見えないパヴェルに、晴人は頭の中で何故かスーパータトバコンボの変身音声が流れていたが…

パヴェルはそんな彼らに釘を刺すように、告げていた。


「――グリュッグ国に着いたら、あなた方はまず影を炙り出してください。どんな作戦を立てても、影を経由して敵側に伝えられれば…それまでですから」

「影って……もしかして、」

「「「…シャドゥ!?」」」




ええ、とパヴェルは大きく頷く。

アウデンティアの霧の結界は、シャドゥだけをピンポイントで弾き出していた…

これは晴人達の影に潜んでいたシャドゥを誘き出すだけではなく、それの次の行動を監視するためでもあったのだ。

シャドゥが自分達の影に潜んでいたと知らされ、驚く彼らであったが…同時に、今まで行動が殆ど筒抜けだったのにも納得がいく。


「だけど、ファントムの気配だったらコヨミちゃんが感じ取れるのに…どうして?」

「影に隠れていたから、じゃないかしら…流石に影の中にファントムがいるかどうかなんて、私も分からないわ」

「――それだけじゃない。恐らく、ミカの持つ聖獣の力がコヨミのファントムを察知する能力を狂わせていた可能性も、高いだろうな」

「…確かに、オフレッサーがイフリートだったとすると…前にソウセイ達を助けに行った時点で、コヨミがイフリートのことに気付いていないとおかしい。ザウバーの意見はほぼ合ってるだろうな」


ミカのウェルテクスの力…聖獣化する力は、かなり強大だ。

その力がコヨミの感知能力を遥かに上回り、結果として、ミカと行動している間はファントムの感知ができずにいた…

ミカと離れて行動していた時、ウンディーネの正体が正常に分かったり…ジャミング圏外からイフリートの気配をようやく察知できたのにも、納得が行く。



「――だが、過ぎたことを今更後悔したってしょうがねぇんだ。これから先のことは、ファントムに知られると厄介なのは間違いないんだ…ウォルフガング達の足を引っ張らないためにも、グリュッグに着いたらシャドゥを探して倒すしかねぇ」



バーガーのその言葉に、全員同意する。

そして…

一刻も早くウォルフガング達と合流するべく、ポポキングとゾゾを遺し、晴人達はパヴェルの魔法でグリュッグ国に向かっていた。

残されたゾゾは、同じく残されたポポキングに尋ねる。


「…ポポに何か言わなくてよかったのか?」

「ポポも自分のすべきことは分かっている、必要以上に話す必要はないポポ」

「やっぱ、父親だから息子のことはなんでも分かってる…ってことか?」

「……まあ、そういうことポポ」


今回のことは、ポポも逞しく成長するいい機会だろう。

ポポキングはパヴェルがいない間のアウデンティアを、守る役目がある。

…それと同時に、ポポが次にアウデンティアに戻ってくる日を…その時に話す土産話を、楽しみに待つことにしていた。






***




前回のインフィニティー関係の会話をパヴェルが出した理由は、これ。

ルルの秘奥義に相当する【フレアンインフィニティ】繋がりで、です。

…ウィザブレにおいて、時間軸の都合上、インフィニティーは登場できませんから…ドラゴタイマーもですけど!


チョウジジムw

まあ…説明としては、一番正しいです。

ちなみに、ルネジムも氷の仕掛けでしたが…あれはミスると氷の床が抜けて落下、ですので試練の説明としてはちょいと違います。

なお、――作者はキッサキジムで一番頭を抱えた模様…

ちなみにセッカジムはゆとり使用。



ザウバーとコヨミはさておこう…テイルズの定番だからw

ちなみに、……今回のオーダーはまだ楽なほうですよ…

時間があれば、テイルズのそういうウエイター関係のサブイベント動画を探して見てみるのをお勧めします。

…鬼畜ですから…

特にレイヴンのやつ…酷いですから……

今回の個数より総合個数+キャンセル率酷いですから…


セルシーキターw

そしてライサもキター!

…ライサは回復担当です。公式でそうなのであって、決してランド系カワイソスではありません。

地属性じゃないけどなくて出せない+ランドドラゴンと組ませられないよりまとも。

没られたガリナ(雷+光)がいい例です。

ちなみにライサには、全体の攻撃と防御を+30%してくれる効果もあるので、回復「だけ」ってわけではないんですよね。

アウデンティアの協力も得られるようになったみたいですが…

さて、まだひと悶着ありそうですね。




次回はシャドゥご臨終?