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タイトル未設定 - Magic57:最後の夜

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オリジンやその他のファントムたちを倒し、晴人達はねこにん達の村に戻る。

そこでは、既にベックフォードやウォルフガング・コハクによってねこにん達が救出されており、近くにキノコのような物体も見える。

恐らく、あのキノコのような生命体が“のこ族”なのだろう…

なお、のこ族は某アンパンのごとく食べると元気になれるらしいのだが、少なくともミカ達にのこを食す気はなかった。

…それどころか瞬平は、のこを見て「エイ○リアン!?なめこ!!?ドコ○ダケ!!??」と叫ぶ始末。

例えとしてはどれも正しいので、晴人も凛子も文句は言えない…

そうしていると、年老いたねこにん…長老が声を掛けてくる。


「おぉ…あなた方が、あの恐ろしい化け物を追い払ってくれたのですかニャ?」

「まあ、そんなところかな。ところであんたが…この村の長老?」

「いかにも。ワシはニャニャニャのニャンチューローですニャ」

「…凛子さん、なんか色んなネタが混じってます。混じってる気がします!」

「混じってない!ゲゲゲとかニャンチューとか、そんなの混じってない!!」

「いや、凛子さんも思ってますよね?僕と同じこと思ってますよね!?」

「瞬平君が余計なこと言ったからでしょ!?」


長老のせいで論争が起こってしまった二人。

まあ、その二人はさておいて…

ミカは先程手に入れた古代のJMを長老に見せ、更に自分達にこれを貸してくれないか頼んでいた。

最初は譲ってもらいたいと思っていたミカだが、ソウセイ曰く「この村にあったものだから、貰うよりは『ステイアを倒すまで』借りて返したほうがいい」とのことで、借りることにしたのだ。

だが、村長の反応は大変予想外のものが来る。


「あの…村長。この村に伝わる古代のJM……オリジンから奪い返したんです」

「おぉ!そりゃあ凄いの。あんなおっかない化け物をよく…」

「それで…もしよかったら、このJMを私達に貸してくれませんか!?全て終わったら、絶対返しますから!」

「ん?あぁ、あぁ、構わんよ。むしろそのまま、あんた達が持っていておくれ」

「「「…え?」」」



貰えることはありがたいのだが、一体どうして。

あまりにも呆気ないどころかあっさりしすぎている返事に、イーヴリンが即座に突っ込みを入れていた。


「…本当によろしいのですか?」

「うむ。そもそもそのJMは偶然この村にあったというだけで…何のためのものなのか、どうしてそんなものを狙ってあの怪物が襲ってきたのか分からんのじゃよ。あんな怖い思いをするぐらいなら、誰かにあげたほうがいいわい」

「あ、…ありがとうございます…」

「や…やったね、ミカ…?なんか、簡単すぎる気もするけど」

「うん…私、てっきりここから3000字以上引っ張るような事態になるかと思ったもの…」


イーヴリンは苦笑いでお礼を言い、ユーテキとミカは複雑そうな顔をしながら話をする。

確かに、彼らがそう思っても仕方ないほど今回は非常に呆気ない…

しかし、平和を愛するねこにんが突然ステイアやオリジンらに襲われ、その原因が古代のJMにあるとしたら…その辺の旅の人間にでも渡したくなるほどなのだろう。

ミカ達は少し休んだ後、すぐにねこにんの村から出て行く。

ねこにん達は「助けてくれたお礼に」と沢山の魚介類を力持ちのバーガー・ベックフォード・ウォルフガング・コハクに渡し、来た時より随分と荷物を多くしながらも…リーリエリヒトに戻る。

魚介類を持たされた4人はどうにか処理しようと頭を悩ませ、その一方でユーテキは【面影堂】に戻ってゲートブレイカーの様子を見に行くと同時に、この古代のJMについて調べようと提案する。

それに同意した晴人達はバーガー達を置いて先に【面影堂】に向かい、その扉を開けていた。

そして…




「――ゲートブレイカー?それならもう、8割はできとるで。後は起動テストと…JM削っとるワジマ次第っちゅーところやな」


マルグリットから出されたコーヒーを飲みながら、タルボットが話す。

機械は既に大半が完成されており、後は彼が言うように起動するかどうかのテストと…現在オリジナルJMを研磨している輪島を待つのみとなっていた。

魔宝石とは多少勝手が違うものの、何らかの力は感じ取れるらしく、その声に耳を傾けて丹念に削って行く輪島。

「おっちゃんが久々に仕事してる…!」と晴人は感激の声を上げ、その一方でユーテキは貰ったばかりの古代のJMを調べてもらえないかタルボットに依頼する。

タルボットは計測器に古代のJMをかけ、そして、――計測器が派手な音を上げて爆発していた。


「ぎゃっ!」

「「「うわっ!?」」」

「…ユーテキ、こんなもんどこで拾ってきたんや?ワシお手製の計測器が壊れるなんて、滅多なことやあらへんで!?」

「ね、ねこにんの村から…」

「これを狙って村を襲ったオリジンの話では、アムニスフィールドの力の一部を凝縮した、強力なエネルギーJM……だとか。……これを使ってステイアの界域に行くって事は」

「こんなドエライもん使ってみぃ!せっかく作り上げたゲートブレイカーが派手に壊れるに決まっとるわ!?」


ですよねー、と晴人は返す。

しかしタルボットの発明した機械も容量オーバーで破壊されてしまうほどの、強力なエネルギーJM…

こんなものをゲートブレイカーに使えば、よくて帝都リーリエリヒト一帯が消滅・悪くて……ということになりかねない。

問題は、これを使えるほどのジェネレーターは絶対に存在しないということ。

あったとしてもそれは、【ステイア】の技術でなくては不可能だろう…

タルボットは計測器を机からどかしながら、晴人達に言う。


「古代のJM、っちゅーことは…恐らくこれは【ステイア】がいた時代からあるものと見て間違いあらへん。つまり……これについて詳しく知りたければ、」

「もう一度エミルビス塔に登れ、ってことか…」

「それもあるがな。――ステイアの界域は未知の領域でもあるし、ゲートブレイカーは…今アムニスフィールドに残っとるエネルギーを大きく消費する。JMは単なる中継用の媒介でしかあらへんからな」

「…それで?本題にさっさと入ったらどうだ、……俺達のこれからの身の振り方に関わることなら尚更な」



茶を濁すような言い方をするタルボットに、ザウバーが何かを分かっているかのように言い放つ。

「分かっとるわい」と叫んだ後、タルボットは少し深呼吸をした後…

ゲートブレイカーによって突入した“後”について話していた。


「――簡単に言うとな、ヘタしたらこっちに戻って来れないかもしれへんのや」

「「「…え?」」」

「ちょっ、それ…どういうことなんですか!?ぼ、僕達が戻って来れないって…」

「ゲートブレイカーを使えば、ステイアの界域に行けるんですよね!?」

「行くことはできる。けどな、戻ることはできへんのや…アムニスフィールドを造るような集団の怨念なんや、恐らくすぐに黒い霧は元に戻るし…二度と同じ手は通じない。つまり、」

「……戻る方法が、ない…」


タルボットが最後の一言を言う前に、コヨミが肩を落としながら呟く。

その言葉は、ミカ達にとっては衝撃的なもの…

せっかくステイアの界域に行く方法が見つかったと言うのに、『戻れる保証がない』と聞いては決意も揺らぐだろう。

特に晴人・コヨミ・瞬平・凛子の4人は、ルキナとは違う世界の住人なのだ。

ステイアとの最終決戦のために、二度と戻れないリスクを犯してまで来る必要はない。

それどころか、ルルやユーテキのような家族が存在する者も、同行させることは難しいだろう…

ミカは暫く考えた後、こういうのは一度真剣に考えたほうがいいと提案する。


「……ステイアの界域に突入したら二度と戻れないかもしれない、だったら…真剣に考えないと、いけないよね」

「「「…」」」

「でも、ミカ…僕らは」

「いや、そいつの言うとおりや。ステイアを倒しても元の世界に戻れる保障はあらへん…こっちに残るにしても、ステイアの界域に行くにしても、やることやっておいたほうがええやろ」

「そうですね。他の場所に行きたい場合は私に相談してください、アウデンティアの魔法使い達の力で、行きたい場所にワープしてあげます」


ユーテキが何かを言いかけるが、その前にタルボットとパヴェルがミカに賛同する形で提案していた。

いずれにしても、何が起こるか分からないのだ…

だとしたら、最後に行っておきたい場所があるなら言っておいたほうがいい。

話したい相手がいるのなら、話をしても構わない。

とにかく、今は考える時間が必要なのだ…それから行くか行かないかの決断をしても、遅くはないのだ。

「だったら」と晴人はパヴェルに早速話をする。


「……ミカ達はこの世界の住人だ、やることは多いはずだろ。…エミルビス塔に行って古代のJMについて調べるのは、俺達がやっておくよ」

「そうね…そういうわけだから、パヴェル様。お願いします」

「ええ、分かりました。終わり次第、通信JMで連絡していただければ…私が回収しましょう」






〜〜〜






パヴェルの力によって、一瞬でエミルビス塔の前にやってきた晴人・瞬平・コヨミ・凛子。

内装はこの前ステイアに襲われた時と変わっておらず、情報のありそうな80階に行くためのエレベーターも故障している。

瞬平は凛子と一緒に他に上に上るための階段がないかどうか探し、コヨミはエレベーターが本当に動かないかどうか確かめていた。

古代のJMを預かっている晴人も、それを左手に握り締めながら捜索を開始しようとしていたが…

そこへ、一人の女性が声を掛けてくる。


「……人間ですか、久しぶりに見ました」

「あんたは…もしかして、アンドロイド?」

「はい。No.298…【鍵】様の2つ前に製作されたものです」

「【鍵】…」

「私と299はその生体構造自体は【鍵】様と変わりはなかったのですが、アムニスフィールドの力を受け止めることは出来ませんでした…つまりは失敗です」


そう話す彼女であったが、以前会ったプロトと比べると、声の抑揚のつけ方や表情の変化が見られる辺り…彼よりは人間に近い。

というか、プロトの時点で人間とも言える出来だったのだ。

完成した【鍵】とは『アムニスフィールドの力を受け止められたかどうか』と言う違いしかないのだ、彼女はその内臓器官も人間に近いのだろう。

だが、とりあえずNo.298では呼ぶのが面倒と思ったのか、晴人は彼女に名前をつけることにしていた。


「……うーん、なんて呼べばいいのかな。番号から連想する名前にしようとしたけど、…某スカイライダーになりそうな気がしてきた。かといって、『肉屋』も嫌だしなあ…よし、298を逆すると862だから、“ヤムニ”だ」

「私はそれでも構いません」

「それじゃあ…ヤムニ、上に昇る方法ってエレベーター以外にはないのか?俺達、これが何なのか調べに来たんだ」

「それは……懐かしいですね。確か、アムニスフィールドの製造過程で誕生した、“ワンネス・ジェネスミグレイト”」

「ワンネス…?」

「はい。それに関しては資料があります、こちらに」



ヤムニによって案内されたのは、資料室に続く隠し階段。

こんな場所があったなんて、と晴人が思いつつも、階段を降りた先には…

無数に連なる、研究資料の数々。

どれもこれも、【アムニスフィールド製造計画】の中で書かれた研究成果の数々だそうで、ここにユーテキがいたら卒倒していただろう。


「――【ステイア】の皆様は、この塔を隠したと同時に【鍵】様以外の私達アンドロイドをコールドスリープ状態にした…その意味が分かりますか?」

「それは…自分達の研究資料が、外部に漏れないためだろ?」

「その通りです。【ステイア】の技術はどれも超高度技術で…それを世界中に広めてしまえば、その技術を悪用するものが出てくる。だからこそ、【ステイア】の皆様は隠されました……ですが、」

「…【ステイア】の造ったアムニスフィールドを悪用する輩が、出てきた」


晴人の言葉に、ヤムニは頷く。

天災からルキナを守るために造られたシールド、アムニスフィールド…

それを悪用する人間が現れ、【ステイア】は怒り、ファントムとなってまで人類に制裁を与えようとしていた。

彼らの怒りもよく分かるのだが、しかしそれでは何の解決にもならないだろう。

だが、それを強行するほどの強い絶望ということは…それに比例するだけの希望を持って、アムニスフィールドを作り上げたと言うこと。

希望と絶望は表裏一体、コインに裏と表があるように…希望もひょっとした拍子で裏返って絶望になる可能性がある。

ヤムニは晴人にある資料を手渡し、彼はそれに目を通す。

そこに書かれていたのは…アムニスフィールドに関する資料だった。

殆どはこれまでに得た情報と変わりはなかったが、一つだけ見慣れない情報が晴人の目に入る。


「…『アムニスフィールドの完成は目の前だった。そんなある日だった、アムニスフィールドからある石が生まれ落ちたのは』」




――アムニスフィールドの完成は目の前だった。

そんなある日だった、アムニスフィールドからある石が生まれ落ちたのは。

最初はかなり巨大なものだったらしいが、このルキナに落ちるまでの間に削られて綺麗な石のような形になっていた。

すぐにその石を解析した我々は、これはアムニスフィールドから誕生した高濃度エネルギー物だということを知ることになる。

それは【鍵】の力を開放するのに必要なオリジナルJMと酷似しており…我々はこれを、“ワンネス・ジェネスミグレイト”と名付けた。

唯一アムニスフィールドから生まれた、特別なJM…

その力は圧倒的で、使い方を間違えればそれこそこのルキナが終わりかねない。

我々はワンネスJMの破壊を試みたが、100近い方法を試しても壊れることはなかった。


「…ああ、成程。だからねこにんの村に隠したのか…いや、むしろ、長老の話を鵜呑みにするなら……これが隠されていた場所にねこにん達が村を作った、ということになるのか」


古代のJMについて分かった情報といえば、『アムニスフィールドから誕生した石』

これを見る限り、他のJMはあくまで『アムニスフィールドから力を得られる』というだけであって、アムニスフィールドの力をそのまま持っているというわけではない。

それはミカの持つ、オリジナルJMも例外ではないだろう…

そこで晴人は以前ここでステイアと戦った時のことを思い出し、ヤムニに尋ねる。


「……なあ、ヤムニ。その【鍵】って…聖獣になる力を持っているんだよな?」

「はい。自己防衛手段として搭載されています。……私もNo.299も、その自己防衛システムが不完全…つまりアムニスフィールドの力を得ることはできないと言うことで、失敗作となりました」

「その聖獣ってさ、…水属性しか……いないのか?」

「そうですね…少なくとも、それ以外はなかったと思います。別名:聖なる海とも呼ばれるアムニスフィールドは水のエレメントと非常に相性がよく、アムニスフィールドの力を有効的に使えるものとして…自己防衛システムに水の聖獣・シアーズを採用したそうです」



『シアーズ以外の形態を、自力で生み出したとでも言うのか』

『その男の、水属性以外の形態』

『それらを取り入れることで、更なる進化を果たした』

…前にステイアが言っていた言葉。

彼らは明らかにシアーズ以外の聖獣を知らなかった。まるで、ミカ自身がウィザードに影響を受けて生み出したかのように。

ということは、ツァターン・ライサ・ヘルムートは『最初から想定して造られた聖獣ではない』ということになる。

ここで、――この話を思い出した晴人は……引っ掛かりを覚える。


「……待てよ…ちょっと待て、シアーズは【鍵】の……完成したアンドロイドの自己防衛機能なんだよな。…なんでそれを……ミカが…まさか……いや、そんなはず…」


否定の言葉を連ねようとする晴人だが、これまでに手に入れた情報がそうをさせてくれない。

アムニスフィールドは、それを制御する【石】と【鍵】が揃うことによって全てのエネルギーを開放できる上に自由に扱える…

【石】はシンボルストーン、【鍵】は【ステイア】が作り出した一人の女性…

【鍵】には学習機能と自己防衛機能が搭載されている…

更に彼女自身は学習能力が優秀なアンドロイドで、その見た目はもはや人間と言っても過言ではない…

ミカには聖獣になる力が秘められている…

そして、――【鍵】と呼ばれた女性はミカと非常に酷似した容姿…

信じたくはないが、信じるしかない。

恐らくこれは、勘のいいソウセイや“刑事の勘”を持つ凛子、更にサウルとの接触が多かったザウバーは分かっているだろう…

ヤムニは彼の様子で大体察したようで、ある話を晴人にしていた。


「……ワンネスJMはアムニスフィールドから産み落とされた唯一無二のJM、つまりは水のエレメントが凝縮されています。大抵の場合は、その強大な力をコントロールできないと思います…それは【鍵】も例外ではありません。ですが」

「ですが?」

「何らかの形でそのエネルギーを制御することが出来れば、恐らくは…使えると思います」

「制御ね…でも、制御装置を使ったところで壊れるんじゃ、どの道使い物にならないだろうな……」

「確かに機械的な物での制御は極めて難しいと思います。ですが…強いエネルギーでも引き受けられるほど強い制御媒介なら、或いは…」

「強いエネルギーでも大丈夫な制御媒介ね……仁藤の中にいるキマイラだったら、ワンネスJMの余剰エネルギーを魔力代わりに食ってもらうことも可能なんだろうが…」




とにかく、現状でワンネスJMを使える可能性は限りなく低い。

そう思った晴人は資料室を出て、凛子達と合流する。

その際ヤムニを紹介しようと思ったが、彼女もプロト同様いつの間にか姿を消していた…

一体どこに行ったのだろうと思いながらも、先程手に入れた情報を話し…「使う手段はないに等しい」と言う言葉を聞いた瞬平と凛子は肩を落とす。

となれば、この塔にい続ける理由はない。

通信JMで連絡を取ろうとした晴人だが、その前にコヨミが尋ねていた。


「……晴人はどうするの?ステイアのこと…」

「そりゃ、当然…倒しに行くよ。だけど、あいつはただ倒すだけじゃ駄目なんだと思う」

「ステイアは俺達の知っているファントムとは違う。アレは多分、思念の集合体…自分達の希望を壊された魂達の怒りや嘆きが集まって出来た、【ファントムのようでファントムじゃない何か】なんだ」

「ファントムのようで…」

「…ファントムじゃない?それってどういうことなの、晴人君」

「――悪意を持って誰かを絶望させようとしているんじゃない。ステイアはただ、アムニスフィールドを…自分達の希望を壊してしまった人間達に怒っているだけなんだ。ただ【人類の敵】として倒したら、絶望を抱いたまま倒したことになる…だからせめて、自分達の希望の意味を取り戻してやりたいんだ」


ステイアの、希望。

それは、ルキナに住む人々を守りたいと言う気持ち…だからこそアムニスフィールドを作った。

その力を悪用されないように、様々な方法を模索した。

そして起動システムを【石】と【鍵】に分けて、世界に隠した。自分達の研究成果をも、隠した…

結局、シラスによってその思いは壊されてしまったが…それでも今ステイアのしていることは、かつて守ろうとした“希望”を自分達の手で壊そうとしているのと同じ……

だからこそ、それを思い出させてやりたい。

そんな彼の言葉を聞いた瞬平達も、3人同時に頷くと…晴人にこう言っていた。


「…実は晴人さんがいなくなった間、僕達だけで考えていたんですけど…」

「私達も、ステイアの界域に行こうって決めたの」

「なっ…それは無茶だ!何があるか分からないし、瞬平達を守りきれるとも限らないんだぞ!?」

「それでも、ただ待っていることなんてできない。…ここまで来た以上、最後まで見届けたいの」

「そうですよ!今更、仲間外れにしたって駄目ですからね晴人さん!!」

「私達、何が何でもついて行くわよ。そりゃあ確かに、何も出来ないかもしれないけど…ただ無事を祈って待っているだけなのは耐え切れないの」

「……晴人、私達だって自分の身は自分で守れる。だから…最後までついて行きたいの、この旅の最後まで……!」

「瞬平、凛子ちゃん、…コヨミ………分かった。だけど、絶対無茶するなよ」


その言葉を聞いて「やった」、と大喜びする3人。

やれやれ、といった様子で晴人は苦笑いをしつつも…すぐ真剣な表情に戻り、パヴェルに通信をかけていた。






〜〜〜






――ウェルスの町。

【神の剣】の最初の犠牲となったこの町の復興も、だいぶ進んできている。

エルダの足の怪我も治り、ミディアとリィアは突然帰ってきたユーテキに「どうしたの」と詰め寄る。

ユーテキは『ステイアの界域に行けば二度と戻れる保障はない』ということを避けながら、全てを話していた。

ステイアによる黒い霧は、ウェルスの建物の一部にも及んでいた。

そんな恐ろしい相手に戦いを挑む弟に、リィアは溜息混じりに話す。


「…やめなさいって言っても、どうせ行くんでしょ?だったら行ってきなさいよ」

「リィア姉さん…本当に、いいの?」

「それがあんたのやりたいことなら、私達は止めやしないわよ。だけど…ステイアって奴を倒したら、ミカちゃん達と一緒にこっちに顔出しなさいよね!」

「そうよ!ヤバイと思ったら、逃げてもいい…でも戦うんなら、最後まで後悔ないように全力尽くしなさいよ。ここで男上げなくてどうすんの!!」

「本当は止めるべきなんだろうけど…でも、それがユーテキの決めたことなのよね。美味しいオムライスを作って待ってるから、無事に皆で帰ってきてね」

「姉さん達…」


肉親の勘、とでも言うのだろうか。

リィア・ミディア・エルダは、ユーテキが何かを隠しているのは分かっていた。

だがそれは、自分達のことを思って言わないでいるのだろう…

隠し事については請求せず、だがせめて無事で生きて帰ってきて欲しいとその背を押していたのだ。

彼女達の優しさにユーテキは目に涙を溜め、急いでそれを服の袖で拭くと、「行ってくる」と元気で家を出ていた。



バーガーはリノンの村にいるシルエラとエミィに会いに行き、遊んで欲しいとせがむエミィに彼は「ちょっと待ってな」とシルエラと一緒に家に戻っていた。

そして、バーガーは自分の置かれている現状を話し…

それを聞いたシルエラは、小さく呟く。


「……そう」

「というわけで、二度と戻って来れないかもしれないんだな。これが」

「…私達はもう別れた身だから、関係ない…と言いたいところだけど、あなたが戻らなかったり死んだりしたら……エミィが悲しむわ」

「シルエラ」

「だから、――絶対に生きて戻ってきて。死んだりしたら、絶対に許してやらないんだから」

「……シルエラ、おい」

「そうだわ、全てが終わったら…あなたは何がしたい?」

「間違った形で伝えられたラディス教を、本当の形で伝えなおす………って、おいシルエラ」

「あなたの無事を祈ってるわ。絶対に生きて帰ってくるって…だから…」

「――いやいや、だからなんで全力でフラグ建てに行くんだよ!お前は一級フラグ建築士の資格でも欲しいのか!?」

「前も言ったけど、フラグを大量に建てたら一周回って生存できるかもしれないじゃない。どうせ結局、ヤバい戦いになっても生存してきたんでしょ?」

「ああ生存できたよ!俺より死亡フラグ酷かった奴がいたからな!!」

「でも、…エミィが悲しむのと死んだら許さないのは本心だから。……行く前に、少しエミィと遊んであげたらどう?あの子、喜ぶから」

「つか、他は本心じゃなかったのかよ……まあいい。ありがとな、シルエラ」



リーリエリヒトにある酒場。

そこでは、ルピートがJMハンターズギルドの面々と一緒に……飲んでいた。

どうやらステイアの黒い霧によってギルドも燃えてしまったらしく、ここを仮のギルドとしてほぼ占拠しているようだ。

相変わらず某ブラカワニ親父並みに逞しいルピートに呆れながらも、ザウバーはその横に座って話をしていた。


「……親父から貰ったJM、役に立った」

「おう。なんと言っても、このルピート様が見つけ出したJMだからな!役に立たないわけないっての」

「親父。…7年間という短い間だったが、育ててくれて感謝している」

「おいおい。これからまるで、死にに行くような台詞じゃねぇか。縁起でもねぇな」

「…間違ってはいるまい。現に俺は」

「おーっと、辛気臭い話はナシナシ。酒を飲める年齢になったんだろ?じゃあ、一杯飲もうじゃねぇの」


…このコブラカメワニ親父、安定してるな…

そんなことを思いながらも、確かに無粋としか言いようのない話をしようとしていたのだ。

この生命力の強すぎるルピートより先に死ぬかもしれないというのは癪だが、そもそも普通の人間の体でもルピートより長生きできるとは思えない。

というか、ルピートの生命力だけはG級に恐ろしい。

ルピートによってグラスに注がれた酒を飲みながら、ザウバーは話をしていた。


「俺は…今回の戦いが終わっても、多分そっちには戻らないと思う」

「何かしたいことでもあるのか?」

「…色々と、見ておきたいんだ。この世界を……一度行った場所も、行ったことのない場所も含めて、見て回りたい」

「そうか。その旅の途中で、いい酒やJMを見つけたら送ってくれよな!」

「……酒は送らんぞ、イーヴリンじゃあるまいし」

「…ケチ」

「ケチで結構。……生命力がG以上の親父に限ってそれはないだろうが、酒の飲みすぎで倒れられても困るからな」




そして、ミカは…

大樹の森にある、家族の墓の前に来ていた。

――ウェルテクス一族のことについて知る旅

――ルキナで暗躍するファントムや、帝国の陰謀と立ち向かうための旅

――それが、明日で終わる

――明日で、終わるんだ


「…なんか不思議な感じだよね。キルベルト公爵の手紙をきっかけに、こんなにも自分の信じていたものが変わって…クラウスおじいちゃんもいなくなって…でもお兄ちゃんが生きているって分かって……そして、アムニスフィールドを作った人達と戦おうとしている」


…一通の手紙

アレがミカの運命を大きく揺るがし、それと同時にユーテキやイーヴリン・ルルにバーガーといった旅してきた仲間達の運命を変えていった

――いや、違う。

元々そうなる運命だったのだ。オリジンがいれば、そう断言していたことだろう。

そして運命に翻弄され続けてきたのは、ザウバーも…この世界にやってきた晴人達も同じ。


「お父さん、お母さん、おじいちゃん達…私、このルキナを救ってくる。だから、――行ってきます!」


そう力強く言い放つミカの目に、迷いはなかった。






***




Q.イーヴリンとルルはどうしたぁ!

A.イーヴリンは会話相手が思いつかない、ルルは家族と話したところでユーテキの二番煎じ

…つまり詰んでいるんだ!!←


ねこにんの村は突っ込みどころしかなかったw

でも、実際ブレイカーにあるんですよねー。

まあ、行くにはあんなゲゲゲの鬼太郎的な行き方じゃなく、ピンク色の怪しい魔法使いに話しかけるってだけなんですけど…

しかし、本当に突っ込みどころしかなかったw

魚を土産にするなww



ラストダンジョンの定番:一度入れば二度と戻って来れない

…まあ、ラスボス倒せば出てこれるんですけどね←

前準備とか、最終決戦前の定番会話をやるために時間を置いた感じです。

それが今回。

まあ、会話の大半がアレなんですけどねw

バーガーとザウバーがややギャグに比重を置いているという…ミカとユーテキはそれなりにシリアスなんだけどなーww


その一方で、晴人達は情報収集ですね。

さて、今回出てきたヤムニさん

…最初298という番号を見て、『ツクバ』と名付けようとしたor名付けられるんじゃないかと思った人、挙手w

というか、そういえばMOTHER3にそういう名前の人いましたよね…確か……

プレイしてないんで分かりませんけど。

とりあえず今回で分かった人もいるでしょう。いるでしょうが!

完全な謎解きは次回にします!!




そして次回…

【ステイア】の謎とミカの秘密が明らかに……

とは言いますけど、多分サウルさんの馴れ初め話かもしれない…