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タイトル未設定 - Magic55:ねこにん村の大バトル

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Magic55:ねこにん村の大バトル

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因果の狭間での戦いが始まった、同時刻…

【面影堂】に現れた珍客に、誰もが目を疑っていた。

ピンクの猫のような着ぐるみのようなものを着ている、人間だったのだ。

あまりの奇抜なスタイルに、一度は誰もが思考を停止しかけてしまうものの……その種族に詳しいパヴェルが、「あら」と声を掛けていた。


「あなたはもしかして…ねこにん族では?」

「「「ねこにん?」」」

「言ってしまえば、猫人間です。ほら、いるでしょう、猫娘やニャース…アレと似たようなものです」

「いやいやいやいや…猫娘って人間ベースの猫妖怪ですから!こんな猫の着ぐるみのようなものじゃないですから!!」

「ニャースもあれ、努力して人間の言葉を喋れるようになっただけで、れっきとしたポケモンですって!?」

「着ぐるみじゃなくて、ちゃんとしたものですニャ!こういう生き物なのニャー!!」


パヴェルの例えに出てきたものに、すかさず突っ込みを入れる瞬平と凛子。

ねこにん、と呼ばれた者もわんわん泣き喚きながら『生まれつきこうなのだ』と説明…

イーヴリンも情報屋家業の中で、『猫のような人のような、そんな不思議な種族の住む村が世界のどこかにある』というものを聞いたことはあったようだが、実際に目にすると思考を止めてしまう。

しかし、そんなねこにんが何の用なのか。

そう尋ねたのはウォルフガングが先で、ねこにんはその場に正座しながら頭を下げる。


「まあ、そういうのはどうでもいい。……一体、何があったんだ?我々にどうしてほしいんだ」

「はい。――お願いしますニャ、僕達の住む【ねこにんの村】を…助けてほしいのニャ!」

「「「ねこにんの村?」」」

「僕のようなねこにんと、食べるだけで元気になれる不思議な生物“のこ”が住む、至って平和な村だったのニャ…だけど……」



ねこにんの話によれば…

のこ族と共に平穏に暮らしていたねこにん達は、魚を三枚卸にしたものを干物にしたり、日向でお昼寝をしたり平和だった。

しかし、その平和はある時を境に崩壊してしまった。

アムニスフィールドの崩壊と同時に行われた、ステイアによる黒い霧の制裁は彼らの村も襲い、辛うじて村長の家が焼けた程度で済んだ。

…だが、今思えば不幸の始まりはここからだったのだ。

村長の家を消火し終え、一息ついている彼らの元に……4本の腕を持った怪物が村を襲ったと言うのだ。


「それってもしかして、……オリジン!?」

「でも、どうしてオリジンがねこにん達の村に?あいつが欲しがるような物なんて、絶対ないはずだけど」

「そうね。あったとしても、超高級またたびか…超高級の魚の干物ぐらいじゃない」

「僕達も分からないけど…とにかくあいつらの狙いは、えーと……『古代ジャム』とか…」

「ジャム…って、パンにつけて食べるアレだよな?イチゴとか、マーマレードとか」

「ルルはイチゴが好き!」

「あ、俺はジャムよりバターかな…」


『古代ジャム』と言う単語に、バーガーやルル、晴人が漫才を行う。

その会話にはレヴィーやミカも割って入り、最終的にはジャム派VSバター派VSとろけるチーズ派の不毛なパン戦争が始まっていた。

恐らくこれは、きのこVSたけのこや醤油VSソースVSケチャップVSマヨネーズVS塩コショウ、固めVS半熟の戦いに通じるものがあるだろう…

まあそれはさておき。

不毛なパン戦争を終わらせるべく、凛子が机を叩く。


「――パンにつける物はどうだっていいの!私ご飯派だし!!…第一、いくら日持ちの長いジャムとはいえ、古代からあるものなんて絶対食べられないでしょ!?」

「「「あ、はい、そうですね…」」」

「それより、オリジンの目的よ。確かあいつは、ファントムを増やして私達の世界に戻るのが目的なわけでしょ?それなのにどうして、ねこにんの村に行く必要があったのか…」

「…確かに。ファントムの数が集まっていないにしても、どうしてねこにんの村なんかに…」




うーん、と考え始める一同。

だが、ここでこうして考えていたところで、ねこにんの村にいるねこにん達・のこ達は危機に晒されている。

暫く考えた後、ミカはとにかく助けに行くべきだと主張していた。


「…ゲートブレイカーの完成には時間が掛かるんでしょ?だったら、ただ完成を待つより…ねこにん達を助けに行ったほうが絶対いいよ!」

「そうだね。ただ、相手がオリジンとなると慎重に動かないといけないし、今ある戦力で勝てるかどうか…」

「タルボット博士。悪いが、ユーテキを貸しちゃくれねぇか?」

「別に構わへん。っちゅーか、そもそもユーテキはいてもいなくても問題ないんや。ゲートブレイカーの設計図は既に完成しとるからな」


完成を急がせる程度の補充要因やし、と本人の目の前で言い放つタルボット。

その容赦のなさで、ねこにんの村に行く前にユーテキのハートは大ダメージを受ける…

晴人は何かを考えているようだが、それを確かめるためにも同行するべきと言う。

となれば、当然激しい戦いになるので、コヨミ達を置いていくことになる………のだが、やはり彼らはどうしても『行く』と主張して聞かない。

仕方なくコヨミ・瞬平・凛子の3人も同行させることになり、念のため戦える人数は多いほうがいいのではとレヴィーやコハクも同行しようとするが…

ねこにんは慌ててそれを止めていた。


「それなら、コハクさん。俺達も一緒に行くべきですね」

「ああ。よければ、ベックフォード殿やウォルフガング殿なども…」

「わー!…気持ちはありがたいけど、ねこにんの村は秘密の村だから…あまり多く外部の人間に来られても困るのニャ。のこ達に関しては人見知りが激しくて、大勢の見慣れない人間が来ると怯えてしまうし……」

「私達なら大丈夫。レヴィー達はここに残って、ステイアの動きに注意してて!」

「それなら、私達の魔法ですぐにでもねこにんの村へ…」

「――まっ、待つニャ。ねこにんの村へは、ねこにんしか知らない特別な行き方で…魔法じゃ絶対に行けない場所なのニャ」



レヴィーやコハク、パヴェルの協力について、慌てるようにして断るねこにん…

そんな彼の姿を見て、晴人は一層疑問を持っていた。

確かにねこにんの言い分も納得は出来るのだが、それでも胸に引っ掛かりを覚えてしまう。

しかし…

晴人は表向きねこにんを疑っていないような表情を見せ、言っていた。


「まあ、ここは俺達に任せてくれないか。敵もきっと、そのつもりなんだろうし」

「晴人…」

「…ソウセイ、」

「分かってる、父さん。……ねこにん、せめて俺までは連れて行ってくれないかな。村のねこにん達を安全な場所まで誘導するためには、コヨミちゃん達だけじゃ足りないだろうし」

「うーむむむ…10人はちょうどキリのいい数字だし、……分かったニャ。この10人をねこにん村まで、案内するニャ!」

「……よしっ、行こう皆!」


ミカを筆頭に、ねこにんの村へと急ぐ一行。

戻ってきてすぐ戦いに出る…

そんな彼らを心配しながらも、輪島は自分に今出来ること…サウルがコハクに託したオリジナルJMの研磨を始めていた。

一方でレヴィー達もステイアがどう動くか、また新しいファントムが生まれないかなど警戒することはたくさんあるため、それぞれに動き始める。

一方で…

カルラは唇を触るような仕草で、考えていた。


(古代のジャム…いや、もしかしたら本当はジャムなんかじゃなくて……)






〜〜〜






リーリエリヒトの狭い裏路地を歩き、最終的にはバーガーがギリギリ通れそうな通路を四つん這いになって進むと…

薄暗く狭い裏路地から一転して、ねこにんの村に辿り着いていた。

そこは閉鎖的な空間だったせいか、これまで見てきたどの村よりも建物の構造が古臭い。

言うなり言えば、藁葺き屋根の質素な家…とでもいうべきだろうか。

縁側では魚の干物が作られており、他にも干し柿を作っていたり竈があったりと、一昔前の日本のような光景。

当然、このような建物を見たことがないミカ達は唖然としており、瞬平や晴人、凛子は「あー…」と納得気味。


「「「…」」」

「なんか、…日本人としては親近感の沸く家ばかりですね…」

「ああ…ちょっと、……想定外だ…馴染み深いけど」

「そうね…アレを見て心が落ち着く辺り、私達は骨の髄まで日本人なのよね…」

「…見た記憶はないけど、でも……なんとなく、瞬平達の言いたいことは分かる気が…」

「ここがねこにんの村なのニャ!ちなみに、あそこの一番大きな家が、のこ達の住むのこハウスなのニャ」


ねこにんはそう言いながら、村の中央にある大きな家を指す。

しかし、…村は至って平和そのもの。

確かに彼の証言どおり、村長の家と思わしき焼け跡もあるが、彼らの様子からしても平和にしか思えない。

本当にこんな場所に、オリジン達が攻め入ったと言うのか…?

しかも、何のために…?

誰もがそう思っていると、イーヴリンはこの村の“不自然さ”について口に出す。


「…おかしい」

「どうしたの、イヴ?」

「こんな昼間だと言うのに、私達以外の気配がまったく感じられない。このねこにんの情報が正しければ、オリジン達がいてもおかしくないはず」

「……も、もしかして…皆どこかに連れて行かれちゃったのニャ!?」



イーヴリンの言葉に、ねこにんは一気に不安になったのか、急いで仲間達を探し始めていた。

瞬平にユーテキ、ミカやルルも近くの家の扉を空けるが、中には誰もいない…

バーガーと凛子はのこハウスを調べるも、やはりこちらも誰もいない状態。

なお、ところどころキノコのようなものが生えているどころか、入った瞬間からブナの丸太達が出迎えるといった部屋の内装に……凛子は『まるで椎茸の栽培所』と思っていた。

そして何故か納得していた、『のこって“キノコ”の種族なんだな』……と。


「…駄目だ。ここも猫一匹どころか、キノコ一つねぇな」

「なんか…のこ族って、食べたら一機増えそうな種類もいそうよね…」

「……あー…あっても巨大化ぐらいじゃねぇの?」


某赤い帽子の髭はともかく。

恐らくオリジンがどこかに連れて行ったのでは、というユーテキの仮定に誰もが納得する。

確かに、村の住人が誰もいなくなるなど…ファントムの仕業としか思えない。

しかし一体、どこに連れて行ったというのか?

コヨミは手がかりがないのかねこにんに尋ね、ねこにんも必死で記憶を辿りながら「もしかしたら」と呟く。


「ねえ、ねこにん…皆が集められそうな場所って、どこかない?」

「そう言われても…はっ、……ももももしかしたら…【ネコマタ森】…」

「「「ネコマタ森?」」」

「そうニャ。村長の家の裏にある森で、沢山のマタタビが採れるのニャ……あと奥のほうには、古臭い石碑があったはずだニャ」

「――もしかしたら、そこに古代のジャム?っていうのがあるのかも!」

「よしっ、行ってみよう!」


ミカとユーテキは同時に頷くと、ネコマタ森に先行。

ルルやバーガー、瞬平に凛子もその後を追いかけ…遅れてコヨミとイーヴリン、晴人にソウセイが続く。

ネコマタ森は複雑な構造ではなく、ほぼ一本道。

その道中、ソウセイはあるものを見つけ、もしかしたらと思い懐に忍ばせる。

そして…

ミカ達が到着すると、そこには………誰もいなかった。


「え?」

「ちょっと、誰もいないじゃないか!」

「どこに行っちゃったのかなぁ?」

「おい、ねこにん、これは一体――」




バーガーが振り返った次の瞬間、ねこにんが爪を立ててコヨミに襲い掛かろうとする。

だが、晴人が素早くウィザーソードガンで相手を攻撃し、コヨミは傷一つつかなかった…

反応速度の速い晴人に誰もが驚くが、彼とイーヴリン、更にソウセイは最初から分かっていたのかねこにんに言い放つ。


「…やっぱりな。最初から怪しいって思ってたんだよ」

「あんたの話が本当だとして、それでも腑に落ちなかったんだよね。――オリジンに襲われているのが本当だとして…どうして私達に頼んだのか。戦力が必要なら、どうして協和連合軍の同行を許さなかったのか」

「まだあるよ。――ねこにん…君はもしかしたら俺達を、ここまで誘導することが目的だったんじゃないのかな。そして、その誘導の目的は…」

「……バレちゃしょうがないのニャ…いや、しょうがねぇなぁ!」


ねこにんはそれまでの可愛らしい雰囲気とは一転し、荒々しい口調になる。

そんな彼の豹変振りにユーテキが驚いていると…

ねこにんの体は激しく燃え上がり、ファントム・イグニスへと変貌していった。

ファントム、とミカはすかさずセイバーを抜こうとするが、彼女の体を水のような膜が拘束する。

――ミカを捕まえたのは、水のファントム・アクア…

「ミカ」とユーテキは急いで彼女を助けようとしたものの、その前に立ちはだかったのは風のファントム・ウェントス…

更にテネブラエ・ルーメン・ソルム・グラキエス・トニトルスとファントムが勢揃いし、上空からはオリジンがゆっくりと降りてくる。



「「「オリジン!」」」

「やっぱり罠だったってわけか…一体何が目的なんだ!?」

『私の目的はただ一つ。……元の世界に戻り、ワイズマンに成り代わる』

「…何だって?」

『お前達は知らないのだ。ワイズマンはファントムを増やそうとしてゲートを絶望させているのではない…まあ、ゲートを絶望させる行為に関して私が答える義理はない。私には到底理解できない、陳腐なものだからな』


そう言いながら、オリジンはコヨミを見る。

――ワイズマンの真の目的は分かっているものの、それを口に出せば処分されるのは分かっている…だからこそ【真実の目】のことは明かさなかった。

ワイズマンが自分をこの異世界に送り込んだのも、魔法使いの素質を持ったゲートを見つけるため。魔法使いの資格を持っていれば、異世界の人間でも構わないといったところだろう。

カルラが魔法使いの資格を得ながらも接触できなかったのは、恐らく元の世界でメデューサにでも捕まっていたのか、または異世界にてレポートで飛ぶには魔力を相当消費するのかでルキナに来ることができず…

結果的に、彼女が魔法使いの資格を得たと知る前に、晴人によって中のファントムを潰されてしまった…と、オリジンは推測している。


『ワイズマンはいずれファントムを用済みとするだろう。だからこそ、その前にワイズマンを殺す。――生憎と私が直接手を下すことは出来ないが、圧倒的な力を持つ勢力を以ってすれば潰せるはずだ』

「…はず?」

「それで、ここで俺達を待ち構えていたのとどう関係しているんだ?」

『この世界はいずれ終わる。ステイアによって世界は滅びを迎え、人間は絶望する…そして、間接的にファントムの手が加わった形での復活によって……ステイアは世界中に絶望を振りまき、ゲートは絶望していく』

「「「…」」」

『そうして集まったファントム達でも、…やはりワイズマンに勝てる見込みは少ない。そこでこの考えに至ったのだ……ウェルテクスの娘の聖獣の力。いくら奴でも、強大な力を持つ聖獣に勝つことは難しいだろう…と』



オリジンの言いたいことは、晴人達も大体理解していた。

だが…腑に落ちないのだ。

ミカの聖獣の力は、アムニスフィールドの加護があってこそ成立する。

アムニスフィールドもない、晴人達の世界では…ミカは『腕っ節が強いだけの女の子』でしかないだろう。

しかし、それを解消する術が…既に、オリジンの手の中にあった。

その手にあったのは、少し古ぼけている青色の綺麗な宝石。それを見たユーテキは、一発でJMだと理解する。


『――この村に隠されていた、古代のJM…これはアムニスフィールドの力の一部を凝縮した、強力なエネルギーJMだ。ウェルテクスの娘の持つ、単なる中継用の媒介とは違う』

「それで…そのJMを、どうやって…」

『ウェルテクスの娘に直接埋め込む。アムニスフィールドの力を直接取り込むことで、聖獣化を可能にすると同時に…圧倒的な力でワイズマンを葬れる!』

「そんな、こと、させる…もん、です……くうっ!?」

「ミカッ!」

『無駄無駄無駄ァ!私の締め付けは…世界一ィ!!』

「……くっ!変身!!」

<フレイム、プリーズ ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!>


晴人はウィザード・フレイムスタイルに変身し、ウィザーソードガンでアクアを狙撃しようとしていた。

だが、その妨害に出たのはオリジン…

そのままオリジンとウィザードHSの鍔迫り合いが始まるも、4本の腕を持つ相手にウィザードHSは押されるばかり。

更に、他でも激しい戦いが繰り広げられていた。

イグニスは強力な炎でルルを狙い、ユーテキはミカを助けるためまずはウェントスと戦う。

イーヴリンはグラキエスとトニトルス・バーガーはテネブラエとルーメンを相手にしている。

しかし、――ここでソルムの相手をする者が誰もおらず、非戦闘員であるコヨミ達の元に突っ込んでいく。


『へへへ…僕はこっちを狙うよぉ!』

「きゃっ!?」

「こ、こっちに来たー!?」

「驚いてないで、急いで逃げるわよ!?」

「…ッ、しまった!コヨミ、皆!!」




ソルムは爪を突き立てようとするも、――それが届くことはなかった。

草陰から飛び込んできたレヴィーが、コヨミ達を守ったからだ。

それを見たイグニスは「何故ここに」と叫ぶが…

レヴィーは1枚のコインを見せながら、話していた。


「「「…レヴィー!」」」

『なっ…貴様、どうやってここまで来たッ!?』

「悪いな。俺達フライハウト団は、リーリエリヒトの動きについて調べるのが仕事の一つだったんでね。構成員には必ず、何かあったりした時のために他の仲間が追跡できるよう…こういったコインを渡してあるんだ」

「ってことは、もしかして…」

「俺が撒いておきました。罠とはいえ、一応場所が簡単に分からないところまで行くわけですし」

「今頃は、ベックフォードさんやウォルフガングさん達が、捕まったねこにん達を探している。……といっても、置物の下に隠されていたのこハウスの地下室への道を見つけたから、そう時間が掛からないと思うけどな」


その言葉に、ウィザードHS達は一安心する。

罠であったとはいえ、それでは村の住人達がどこにいるのか…もしかしたら……と不安だったのだ。

だが、レヴィー達のお陰でその心残りは解消され、一気に反撃に出る。

ルルはアイスニードルでイグニス相手に戦うが、相手の炎によって簡単に解かされてしまう。

炎自体の克服はこれまでの旅の経験によって出来ているのだが、相手の力はルルの想像以上…

そもそも、ルルの持つ最大奥義【フレアンインフィニティ】は炎の魔法。

同じ炎属性のイグニス相手には相性が悪く、他の強い魔法で応戦しようにも、詠唱時間が長く掛かってしまうのが弱点。


『おらぁ!』

「きゃんっ!?」

「ルル、大丈夫ポポか!?」

「だ、だいじょーブイだよ!……ルル、絶対負けないんだからぁ!!」

『はん。その余裕、どこまで続くかなぁ!』


イグニスはそう言い放つと、炎の拳でルルに殴りかかる。

体重の軽いルルは簡単に吹き飛ばされてしまい、近くの木に激突してしまう。

「ルル」とポポが心配して駆け寄るが、イグニスはルルとポポに最大の攻撃を浴びせるべく力を溜める。

イグニスよりも巨大な、炎の塊。

…アレが直撃してしまえば、命はない。

何とか起き上がろうにもなかなか立てず、「やられる」と思ったルルは思わず目を瞑ってしまった。




だが…

いくら待っても、イグニスの攻撃が放たれる様子はない。

ルルは恐る恐る目を開くと、…一体どうしたのか、イグニスはふらふらとしている。まるで、酒を飲んでよっているかのように。

そうしていると、ソウセイがあるものを見せながら…イグニスに言い放っていた。


「ソウちゃん?」

「――いくらファントムといっても、元はねこにん。猫としての本能は残ってるみたいだね」

『ま、まさか、…テメェ…っ!』

「【ネコマタ森には沢山のマタタビがある】…自分でそう言ったはずだ。効くかどうかは賭けだったけれど」


ソウセイが持っていたのは、…マタタビ。

猫にとってマタタビとは、晴人にとってのプレーンシュガー・仁藤にとってのマヨネーズと同義語。

ゲートであったねこにんとしての本能が残っていたのか、イグニスは軽く酔ってしまい、ルルにとって大きなチャンスが生まれる。

呪文の詠唱を完成させ、放たれたのは……地属性の最大術“グランドダッシャー”。

イグニスの周囲を大きな岩が取り囲み、押し潰しに掛かっていた。


「ありがと、ソウちゃん!――“グランドラッシャー”ッ!!」

『しまっ…ぎゃあああああっ!?』


イグニスは巨大な岩によって挟まれ、潰されてしまう。

辛勝ではあったものの、ルルは「やった」と喜ぶ。

しかし、喜んでいたのもつかの間…

まだ他のメンバーの戦いは続いており、まずはミカを助けるために術を放っていた。

“ライトニング”で相手を牽制し、アクアはミカから離れる。

ようやく自由になったミカは、他の仲間と少し遅れての反撃を行っていた。


『くぅッ!?』

「よくもやってくれたわね…!“央華乱舞”!!」



――どこも、激しい戦いが続く。

ウィザードHSも負けてはいられないとばかりに、ウォータースタイルにチェンジ。

相手の4方向からの攻撃を“リキッド”で往なし、オリジンにシューティングストライクを叩き込む。

…が、効き目は薄い。

続けてスラッシュストライクを行うも、腕でガードされてしまいこれも大したダメージは与えられないでいる。


「…やっぱ、そう簡単に勝たせてはくれないか…」

『お前も…こんな世界を守ってどうする?自分とは関係のない世界だろう』

「そうかもしれない…けど、無関係ってわけじゃない。――ファントムによって危機に晒されている世界を、見過ごしておくほど薄情に出来てないんだよ!」

『ファントムによって…か。そもそも、魔法使いなどワイズマンの……いや、これは教えないでいたほうが楽しそうだ。尤も、――ワイズマンが事を起こす前に気泡に帰すことになるだろうがな!』


オリジンはそう言い放ちながら、強大な波動を放つ。

ウィザードWSは“ディフェンド”による水流の盾で押し返そうとするも、いとも簡単に破られてしまう。

「くそ」と舌打ちしながらウォータードラゴンへとスタイルチェンジし、“スペシャル”でドラゴンの尾を生やし遠距離からの攻撃に出る。

だが、オリジンはそれを軽く受け止めると、ウィザードWDをそのまま振り回し、地面に叩きつけていた。

負けじと“ブリザード”で反撃するウィザードWDだが、オリジンは空間転移でかわし、ウィザードWDの背後から斬りつける。

――分かっていたことだが、今のウィザード1人では簡単に勝てそうにもない相手。

バーガーは龍虎明掌撃でルーメンを、イーヴリンは無頼刃でトニトルスをどうにか撃破するも、残ったグラキエスとテネブラエは強敵。

ルルの援護があったとしても、勝つのは厳しい相手だろう。



そうしていると…

レヴィーの持っていた剣が折れ、更にレヴィーは右腕に大きな傷を受けていた。

どうやらソルムの圧倒的な攻撃力を受け続けたことで、武器が壊れてしまったのだろう。

ソルムはそのままレヴィーを蹴り飛ばし、コヨミ達のほうに向かう。


『へへへ…弱そうな奴を甚振るって、楽しいよねぇ!』

「レヴィーさん!」

「あ、あわわわわ…!」

「ちょっと瞬平君、しっかりしなさいよ!?」

『それじゃあまずは、そこの可愛い女の子から…いただきまぁーす!』

「…!」

「……コヨミーッ!!」


ソルムはコヨミを手に掛けようと、一撃放とうとする。

ウィザードWDはオリジンを振り払おうにもそれを許す相手ではなく、叫ぶことしか出来ない。

だが…

そんなソルニの前に降り注いだのは、巨大な隕石群。

自分よりも大きな隕石が直撃し、当然、ソルムは一撃でやられてしまう。他にも、直撃とはいかなかったが巻き込まれたファントムは多い。

このような術を使える相手は、ウィザードWD達は1人しか知らない。

コヨミや凛子達がすかさず背後を振り返り、攻撃手を見る。




そこにいたのは…

死んだと思われていた、ザウバーの姿だった。






***




前回の「〜ニャ」の来訪者は、ねこにんでした。

そう、テイルズと言えば…ねこにんですよねw

ブレイカーの世界でもいるんです、ねこにん。 ただし、生き方はピンク色の魔法使いに話しかけて移動…みたいな感じですけど。

今回のはむしろ、妖怪横丁への行きかt…(ry


のこ…

まあ、ドコ○ダケとか某ナメコとか…古いほうで某英語教育番組のエイ○リアンを連想すれば早いです。

一番近いのはナメコですけど。

なお、食えるらしいです。体力回復します。キノコです!

しかし、ユーテキの扱いェw

まあ…どうでもいいんですけどね、実際…ユーテキいなくても造れるみたいですし……←

でも、JMとジャムって違うと思うんだww



ねこにんファントムでした

…でも、感の鋭い人にはバレバレだったみたいですねーw

しかし、ソウセイ本当に役立つわ…

ただ、ザウバー復帰するとなると、ここが最後の見せ場になるわけなんですけど。

一応解説しておきますと、ソウセイは『離脱メンバーの補充要因』として3章からたびたび出て来ています。

・2章19話でのイーヴリン離脱→3章26話で復帰したためソウセイ離脱

・4章39話でのザウバー離脱→5章44話で復帰したのでソウセイ離脱

・ミカ離脱に備えてゾゾ共々48話で同行→ミカ復帰後もザウバーが離脱したので同行続行

…という具合に。

なお、ゾゾがパーティーメンバーとして数えられていない理由は…ザウバー・コヨミが離脱した33話以外は殆ど移動用だったのと、平和そうな街での置いてけぼりが原因です。

ソウセイもパーティーメンバーかと言われれば…微妙ですが。


どこの炎ファントムもあっけない終わり方しやがってw

しかし現実世界でのタイムリミット3時間とはいえ、戻ってくるの早いよザウバーさん。

あ、いや、…死んで3〜4日ぐらい経っていると考えると、そうでもないのか…?

とりあえず分かったこと。

――あなたがウィザブレのテンション源でした…!




次回はオリジン決着。

そして、出そうか悩んでたユーテキの【ファントムスナイパー】は………気が向けば!