大聖堂から少し離れたところにある、建物の屋根の上…
そこでは、小型の双眼望遠鏡で大聖堂の様子を観察していた黒髪の女性がいた。
職業柄、リーリエリヒト帝国の動きを観察していたが…突然大聖堂の騒ぎが激しくなり、少年少女が騎士に追いかけられていると思えば、見たこともない魔物が出現。
挙句、一人の男がこれまた見たこともないような姿に変身し…
女性はくすりと笑いながら、呟いていた。
「おや、――なんだか面白そうなことになってるねぇ」
仮面ライダーウィザード・フレイムスタイルの登場。
まさか【指輪の魔法使い】がこの世界にいるとは思わなかったのか、ノームは激しく同様。
しかし…
それとは別の意味で、ミカやユーテキ、バーガー達聖海騎士団は戸惑っていた。
人の姿が、別のものに変化したというのは相当衝撃だったのだろう。
「あ、あの人は…?」
「な…何なの、一体…もう僕ワケが分からないよ……」
「あの男は…あの怪物と、何か関係が…?」
『――くうう!まさか指輪の魔法使いが、ここにいるなんて…オリジン様でもないのに、どうやって!!』
「そんなの、魔法で来たに決まってるだろ。ファントムがいるとは思わなかったけどな」
ウィザードFSはそう言い放ちながら、ウィザーソードガンを構える。
正直、異世界だけあってか、コネクトリングを使う際ちゃんと機能するか不安だったが…
彼の不安を知ってか知らずか、ウィザーソードガンは何事もなく召喚されている。
「コヨミ、凛子ちゃん、瞬平!…こいつの狙いはミカって少女だ、安全な場所に避難させろ!!」
「…?……うん、分かった。晴人が言うなら」
「行きましょう、こっちよ!」
「ここは晴人さんに任せて、早く!」
「だけど…」
「逃げよう、ミカ!いくら君が女の子にしては腕っ節が強くても、聖海騎士団やあの化け物相手に勝てるわけないよ!!」
ノームに狙われていた以上、ミカがゲートである可能性は高いだろう。
それなら、何故ゲートを感知できるコヨミが何の反応も示さなかったのか…それどころか、ミカを見て不思議そうな顔をしていたのかが分からない。
ウィザードFSも凛子もそう思っていたが、今は逃げることが先決。
特にミカは、厄介なことに帝国のミサで教皇でもある皇帝イシュトヴァーンに喧嘩を売るような発言をしたのだ。
ただでさえ帝国には、他にも【ミッドノクス】や【特務機関G】などが控えており、それらが皇帝の身を案じてか追ってこないのが救いだというのに…立ち止まっていては、逃げる機会を完全に失ってしまう。
凛子達はミカとユーテキを連れて面影堂に避難しようと走り出し、何人かの騎士が追いかける。
ウィザードFSは人間相手でもあるせいか、“バインド”の魔法で怪我をさせることなく動きを止めていた。
地面に浮かんだ魔方陣から鎖が飛び出し、兵士達の足に絡みつく…
怪しげな術を使う彼を見て、隊長でもあるバーガーが叫ぶ。
「あなたは…まさか、異教徒の呪術者とでも言うのかッ!?」
「いいや、これは立派な魔法だぜ。さてと、…ここだと大勢の人間を巻き込む危険性があるな……ん?」
ウィザードFSが、周囲の聖海騎士団からノームをどうやって遠ざけるか考えていると…
突然煙幕を放つ筒がいくつも投げられ、強烈な煙が大聖堂周辺を覆い始める。
――これは一体
――だけど、チャンスだ!
そう思ったウィザードFSは左手のリングを緑色の宝石のものに変え、更に姿を変える。
仮面ライダーウィザード・ハリケーンスタイル…機動力が高く、対空性能に長けるスタイルだ。
『な、なんだこれは、前が見えない…!』
「確かに、相当強烈な煙幕だな。……だけど…お前が近くにいてくれて、助かったぜッ!」
<ハリケーン、プリーズ フー、フー、フーフーフフー!!>
<エクステンド、プリーズ>
ウィザードHSはエクステンドリングを使用し、伸びる腕でノームのみを捕獲。
そのままノームを自分の所に引き寄せると、暴れる奴を捕まえた状態で周囲に風を巻き起こしつつ飛行する。
突風の影響か、煙は次第に晴れ…
聖海騎士団の面々が気付いた時には、ウィザードもノームも姿を消していた。
離脱と同時に解けたのか、バインドに捕まっていた他の騎士達も解放される。
…皇帝猊下に「親を殺された」と叫ぶ不敬な少女
…謎の化け物
…異教徒の呪術者らしき男
あまりの出来事にバーガーは頭を抱えるが、ミカの発言に少しの疑問を持つ。
『あんた達がその、ウェルテクス一族を殺したくせに』
『11年前、あんた達は事故に見せかけてお父さんやお母さん、お爺ちゃん、お兄ちゃんを』
11年前といえば、バーガーが29歳の頃。
突然のウェルテクス一族の事故死に、ひどく驚愕したものだ。
その当時のウェルテクス一族は…夫婦と子供が二人、そして年老いた父方の祖父。
皇帝イシュトヴァーンはこの事に心を痛め、国葬まで執り行ったことは覚えている。
…しかし…
奇妙だったのが、『研究中の事故死で、遺体も損傷が酷く目も当てられないほど』ということで、遺体を目にすることも適わなかった。特に、跡を継ぐかに思われた11歳の息子は…
バーガーはウェルテクス一族と親しいわけでもなく、有名な研究者一族としてしか認識していなかったため、今日まで事故死として扱ってきていた。
(陛下を疑うわけではないが、……確かに娘の年頃も…生きていればあのミカという少女と同じぐらいだろう)
(そもそも…研究中の事故だというのに、その現場に偶然子供が居合わせることなどあるのか?)
(いや、子供ならば親の研究に興味を持ち、遊びに来ても仕方がない…だが…)
バーガーがそう考えていると、宰相補佐のギリオンがやってくる。
煙幕を吸って咳き込んだり、ウィザードに腰を抜かす下っ端の騎士達に頭を抱えつつも…
バーガーや他の聖海騎士団に、即座に指示を出す。
「…何をやっているのです、早くあの異教徒達を捕まえるのです!」
「ギリオン様…しかし」
「このまま異教徒を野放しにしては置けません。皇帝陛下やシラス宰相、ルーク枢機卿も同じお考えです、一刻も早く捕らえるのです!」
ギリオンの命令に、バーガーは疑問と不満を募らせる…
そもそも、謎といえばこの男もだ。
ウェルテクス社にやってきた末端の研究者であったが、シラスがウェルテクス社の全権を握り宰相の身分までのし上がったと同時に、この男も宰相補佐としてその位を上げた。
噂では、シラス宰相に何らかの形で取り入り、それに気を良くした彼が右腕にしたとも聞く。
しかし宰相補佐に逆らえない上、皇帝や枢機卿の命令とあっては動かないわけには行かないだろう…
バーガーは聖海騎士団をいくつかに分け、リーリエリヒトの街をくまなく探していた。
…彼らがいなくなった後、ギリオンの元にやってきたのは…
シラス宰相だ。
イシュトヴァーンの警護や教徒達の混乱の収束を他の者達に任せ、やってきた理由。
「……よいのですか?聖海騎士団などに任せて」
「ええ、計画通りです」
「しかし…あの娘、もしも話が本当ならば…ウェルテクス一族の生き残りということに」
「なるでしょうね。……ですが、それよりも気になるのは…」
ギリオンはミカを見た瞬間から、“何か”引っかかるものがあった。
普通のゲートとはまったく違う、別の力の流れ。いや、あれはそもそもゲートなのか…
今までに感じたことのない力。
もしもあれを絶望することができれば、これ以上にない上質なファントムが作られるだろう。
強いファントムが生まれれば、シラスもギリオンも得をする。
「あの娘には、特務機関Gのグラントを追っ手に送るよう進言なさってください。そうすれば、あの娘から感じられる“何か”を引き出せるはず」
「成程。確かに…奴はあの娘にとっては、これ以上にない適任と言えましょうな。ところで、例のゲートは」
「あれはその内絶望してくれますよ。放って置いても、支障はありません」
〜〜〜
『は、離せぇぇぇ!』
「分かった、分かったよ。じゃあお望みどおり…離してやる!」
『って、――うおあぁあぁぁああぁああ!!?』
ウィザードHSは、暴れるノームを何とかリーリエリヒトの街の外に運ぶ。
そして、ぎゃあぎゃあと騒ぐノームを空中で離し、頭から勢いよく地面に突き刺さるかのように落ちていった。
ノームは何とか頭を引っこ抜こうとするが、ウィザードHSは上空から銃弾で執拗に攻撃。
…しかし、ここでノームは自分が『地面に潜れる』ことを思い出し、急いで地面に潜ろうとする。
『はっ!……そうだ、地面に潜れば…』
「と思ってるだろ?残念だったな、お前に似た奴とは元の世界で戦ってんだ!」
<ランド、プリーズ ドッドッドドドドン、ドッドッドドン!>
ウィザードHSはそう言いながら、上空でリングを交換する。
そしてそのまま、今度は黄色の魔宝石を使ったリングの力で別の姿に変わっていく…
ランドスタイルと呼ばれるこの形態は、力の強さと守りに長け、地中を得意とする敵や力の強い者相手に有効だ。
落下する勢いを利用し、ウィザードRSは最大の必殺技の体勢に入っていた。
<ルパッチマジック、タッチゴー! チョーイイネ、キックストライクサイコー!!>
<ドリル、プリーズ>
「――はああああああああああッ!」
『なっ、何だとぉっ!?』
地中に潜ったノームを追いかけるかのように、ドリルのように回転しながら突き進んでくるウィザードRS…
ノームは地面を掘るスピードを速めるが、それはあっちも同じ…それどころか、相手のほうが自分よりも速く向かってくるではないか。
――こんな所で
負けを確信したノームは、最後の一撃が放たれる間際、ウィザードRSにこんなことを言い放っていた。
『…だが、貴様が来たところで…オリジン様の計画の成功は揺るがない!この世界の空に広がる、アムニスフィールド……そしてウェルテクスの技術を使えば、…必ず…!!』
話の途中でウィザードRSの一撃が決まり、ノームは地中不覚で爆散…
地上に戻ってきたウィザードRSは、ノームの言い残した言葉が気になり、空を見上げる。
膨大なエネルギーを持つと言われる、アムニスフィールド。
そして、この世界で名を知らないものはいない、ウェルテクスの技術。
…それを使って何をしようとしている?
未だ分からないことばかりだが、ウィザードRSはミカとユーテキを連れて逃げたコヨミ達のことが気に掛かる。
無事に面影堂に身を隠せていればいいのだが…
――そう思っていると、携帯電話の着信音が鳴り響き、ウィザードRSは変身したままそれを取っていた。
「もしもし瞬平か?」
『はっ、ははははははは晴人さぁぁぁん…!』
「おいっ、大丈夫なのか!?今何処だ!」
『そ、それが、せ…セーカイ騎士団って人達に挟み撃ちにされて……うわー!?』
ガキン、と鈍い音が携帯の奥から聞こえてくる。
…まさか!
ウィザードRSはコネクトリングでマシンウィンガーを呼び出すと、帝都リーリエリヒトへと逆送して行った。
その頃、瞬平達は…
路地裏に逃げ込み、やり過ごそうとしたのはいいが…
やはり地の利はあちらにあるのか、聖海騎士団に追い詰められ、狭い通路の中で挟み撃ちになってしまう。
そして、ミカ達を捕まえようと一人の騎士が瞬平に襲い掛かってきた
――次の瞬間、ミカが女性でも扱いやすいよう、両先の剣の部分が光のエネルギー体として放出されている(ダー○ベイダーなどの使うライトニングセイバーが両側にあるといえば、分かりやすいだろうか)ダブルセイバーを振るって衝撃波を放ち、瞬平の窮地を救っていたのだ。
「――魔神剣!」
「…ぐあぁっ!?」
「女だからって、油断しないでよね!……私のセイバー裁きは、お祖父ちゃん仕込みなんだからッ!!」
「み、ミカちゃん…強い…!」
「晴人ほどじゃないけど、でも、瞬平やユーテキより頼りになるわね…」
「「うっぐぅ!!」」
基本的に役に立たないトラブルメーカー瞬平と、ミカの尻に敷かれまくっているユーテキにとって…コヨミの一言は、どんな鋭利な刃よりも強烈だっただろう。
しかし、まともな戦力がミカしかいないのは手痛いだろう…
晴人が来ても、彼の魔法は基本的にファントムを倒すためにある以上…人間相手には強硬手段を取れない。
ユーテキも一応二丁拳銃で戦えるが、銃弾を装填している間に騎士達に距離を詰められてしまうのが難点だろう。
「今だ、突撃しろーっ!」
「うわあっ!?」
「きゃあっ!」
銃弾を装填している隙を突かれ、騎士達の突撃を食らい、ユーテキと凛子が叫ぶ。
万事休すか。
コヨミがそう思っていた、その時だった…
「がっ…」
「…ぐはっ!?」
「「え…?」」
「――困るのよね、この子達をここで帝国なんかに捕まえられたら」
そう言いながら、ユーテキや凛子の前にいたのは…
黒く美しい長髪に、月を思わせるような銀の瞳を持つ女性だった。
歳は20代前半ぐらいだろうか。
男が黙っていないほど綺麗な顔立ちをしているが、その美貌にやや不釣合いな両手剣は…彼女の凛々しさも引き立てている。
瞬平やユーテキが見とれていると、女性は煙幕の筒を取り出しながらそれを聖海騎士団達に投げつける。
「げほっ、ごほっ!?」
「この煙、さっきの…うえっ!?」
「げほごほ…さ、さっきのと、違……へーっくしょん!」
「強烈だろう?催涙ガスに近い成分と一緒に、胡椒も混ぜ込んでるのさ。……逃げるよ!」
「ど、どうしようミカ…」
「このままついて行っていいんですか、凛子さん!?」
「どうしようも何も、ここから逃げるのが先決に決まってるでしょっ!」
「それぐらい自分で考えなさいよ!」
「…それに、あなた達二人よりは…あの女の人、信用できそうだし」
「「うぐっふ」」
またもコヨミに、しかも今度はミカや凛子にも言われ…瞬平とユーテキは心のHPが残り5。
だが、確かにこのままだと捕まるのは時間の問題…
面影堂に逃げ込もうにも、逃げようとしている方向とは真逆の位置にあり、女性にも「敵の多いほうに突っ込んで捕まりたいの」と止められてしまう。
仕方なくコヨミ達は女性の誘導に従い、リーリエリヒトの街から出ようとする。
――その際、バイクに跨りやってきた晴人とも合流し、彼もそれに巻き込まれる形で女性について行った。
逃げ込んだ先は、「隠れるならいい場所がある」と意見を出したミカの意向で…“大樹の森”と呼ばれる場所に来ていた。
この森は見通しが悪く、更には樹齢が100年を越える木々も鬱蒼と生い茂っているため、追っ手も撒けるだろう。
ミカの案内で、奥にある1本の古い大樹の洞の中に入り、その内装を見て晴人達は驚いていた。
木の洞の中にしては手入れが行き届いていて、小さな小箱や腰を掛けるための丸太の椅子、寿命が着て倒れた木を使って作られた簡易なテーブルが置かれている。
どうやらここはミカの秘密基地みたいな場所で、時折育ての祖父の家を飛び出してはここで遊んでいたらしい。その際、時々魔物にも出くわすせいか…腕っ節はそれなりに強いようだ。
「さて、それじゃあ自己紹介と行きましょうか。――私はイーヴリン、情報屋よ」
「情報屋!?…テレビの中の世界の人だと思っていたのに…!」
「…テレビ…?」
「いや、こっちの話。――俺は操真晴人、こいつは奈良瞬平」
「私は大門凛子。刑事…と言っても通用するとは思えないから、分かるように説明すると……晴人君の手伝いをしているの」
「……私はコヨミ」
「私はミカ。ここからすぐ近くにある、ティエラの街に住んでいたの」
「僕はユーテキ。…ウェルテクス社の研究者だったんだけど、……だけど…!orz」
ユーテキは何を思い出したか、ドンと机を力なく叩く。
…どうやら、ウェルテクス社の社員でありつつミカと行動していることに、理由がありそうだが…
イーヴリンと名を告げた女性は、ふふっと不敵な笑みを見せながら、晴人とミカに尋ねる。
「私があなた達を助けた理由は、率直に言うと…情報屋として興味があるからよ。特に、ミカと晴人にね」
「「興味?」」
「そう。…ミカは大胆にも皇帝の目の前で、『ウェルテクス一族を殺した』と言及した…恐らくはウェルテクス一族に関して何らかの秘密を知っている。晴人は…不可思議な力で、まったく別の姿に変わった」
「俺のは、魔法だよ。俺は自分の中にファントムって化け物を飼っていて、そのお陰で魔法が使えるんだ」
「魔法と言えば、この世界のどこかに魔法使い達の住む国があると聞いたことはあるけど…」
「えっ、この世界にも魔法使いがいるんですか!?」
「魔法使いの住む国がある」とユーテキから聞き、目を輝かせる瞬平。
しかし次の瞬間、両脇のコヨミとミカから肘打ちを食らい、悶絶。
…一気に沈黙する瞬平は無視して、晴人も気になってはいたのか、ミカに尋ねていた。
「そういえばミカ、お前さっき…皇帝が自分の家族を殺したって言っていたな。……それは本当なのか?」
「本当よ!…確かにそう聞いたんだから…シラス宰相の口から!!」
「シラス…さっきのミサにいた、老人か」
「よかったら…話してくれない?」
晴人と凛子に言われ、ミカは少し戸惑うも…
彼らは信用できると思ったのか、コクリと頷きながら話を始めていた。
〜〜〜
始まりは、昨日の昼頃…
その日はちょうど、ミカの家族の命日だった。
ミカの両親や祖父・兄は、11年前に事故で死んだ……と、祖父タルムードの親友であり彼女を育ててくれたクラウスが話してくれた。
ミカは今までその言葉を信じ、しかし、心のどこかで家族は今もどこかで生きている…という儚い希望を持っていた。
そして、彼女の運命を変えたのは、一通の手紙。
差出人が不明の手紙で、ミカは興味本位で封を開けた。
そこに書かれていたのは、祖父の知り合いらしき男性からの…思わず目を疑うような内容だった。
『親愛なるクラウスへ』
『お前に手紙を書くのは…随分と久しぶりだな、クラウス』
『あの事件からもう11年も経つとは、時が過ぎるのは早いものだ』
『クラウス、あの頃からお前の家で暮らし始めた娘…【ウェルテクス】の子供なんだろう?』
『ウェルテクス社を牛耳っているシラス宰相に言ったら、どんな反応をするかな?』
『アイツは随分ウェルテクスに恨みを持っているからな…』
『そこにいる娘が今後どうなるか…見物だな』
自分がウェルテクスの子供?
シラス宰相はウェルテクスに恨みを持っている?
一体どういうことなの?
――疑問は疑問を呼び、居ても立ってもいられなくなったミカは、夜中に家を飛び出し…リーリエリヒトに向かっていた。
そして深夜のウェルテクス社に、警備の目を掻い潜って侵入し…
たのは途中までで、偶然研究を続けていたユーテキに見つかってしまい、警備員や警備ロボを呼び出される前に得意の力ずくで捩じ伏せ。
……ユーテキがウェルテクス社の研究員だという証明書付きでもあるIDカードを見た瞬間、ミカは彼を使ってシラスのいる最上階の部屋に行くための認証システム付きのエレベーターを動かせるのではと考え、彼を連れてエレベーターに向かう。
目的の宰相の部屋に忍び込んだミカは、誰か来ないか内心はらはらとしているユーテキをよそに、棚の資料を静かに探していた。
だが…
その時、宰相の部屋にギリオンが現れ、シラスとこのような話をしていた。
「……もうじき、例の物が完成いたしますね」
「そうですな。――ウェルテクス一族の死から11年、長かったですなぁ」
「ええ。和平主義を訴え、帝国からの武力兵器製造の命を断り続けていたウェルテクス一族…その彼らを始末するためのシラス様の手腕には、敬服いたします」
「何、陛下も奴らの聞き分けの悪さには困っておられたようでしたからな。…しかし、まさかウェルテクス社トップの暗殺に特務機関Gを向かわせるとは思いませんでしたな」
「まったく。しかも、幼い子供まで容赦なく殺したそうですから。……まあ、そのお陰で私にも得るものはありましたが」
「彼らの死は、私にとっても帝国にとっても、新たな一歩を踏み出すために必要な礎。……しかし、そのことを知っているのは私とあなた、ユディーヌ審問官、特務機関G、そして…皇帝猊下のみ」
シラスとギリオンの話に耳を傾けていたミカは、持っていた資料をガタンと落とす。
その際、誰かがこの部屋に侵入し、話を聞いていたことを知ったシラスはウェルテクス社に居た全警備員・警備ロボに指示を出し、侵入者を捕らえようと動く。
しかし、その前に正気に返ったミカがその場から逃げ出し、ユーテキもあんな重要な話を聞いてしまった以上はあらぬ罪を着せられ収容所送りにされる可能性も出てくる。
…それ以前に、シラス宰相がウェルテクス一族暗殺に関わっていたことを聞いて、一緒の場所で働けるわけがない。
途中で襲ってくる警備ロボはミカが破壊し、その中にはユーテキが作ったものもあったのか、ユーテキは軽く「ごめん」と手を合わせながら…ミカについていく形で、ウェルテクス社から脱出していた。
「――そんな…じゃあ、ミカちゃんの家族は……帝国が兵器を得るために殺されたっていうの!?」
「そんなの酷いじゃないか!晴人さん、どうしましょう!?」
ミカの話を一部始終聞いていた凛子が憤り、机を激しく叩く。
瞬平も晴人に同意を求め、晴人も帝国やシラスのやり口は許せないと感じていた。
…だが、敵は強大な力を持つ帝国。
自分達がまともに戦おうとしても、敵うはずもないだろう…それに、ファントムの動向も気になる。
「まあ落ち着け、瞬平。…確かに許せない話だが、俺達に何ができる。相手は聖教国家だぞ。俺達が訴えたところで、皇帝を支持する奴らの耳には届かないさ」
「それはそうですけど…」
「とはいえ、このまま何もしないのもな。…どうせ何処に行っても、帝国の追っ手がやってくるなら…いっそウェルテクス一族について調べていくのはどうだ?何も分からないよりは、いいと思うぜ」
晴人の案に、ミカや凛子達は考える。
…確かに、あの騒ぎを起こした以上ミカとユーテキは帝国のお尋ね者として手配されてしまうだろう。
そしてそれは、ファントムを倒すためとはいえ…二人を保護する形で聖海騎士団に喧嘩を売ってしまった、晴人達も同罪。
何処に行っても帝国に追われると分かっている以上、気持ちを切り替え、ウェルテクス一族のことを調べていくべきではないのか。そうすれば、いずれ帝国の狙いやファントムがこの世界に居る理由も分かる。
他にすることがない以上、その場に居た全員が晴人の案に賛成。
その際、イーヴリンから「だったら」と言う提案が出された。
「南西の森に、ウェルテクス一族が使っていた屋敷があるって話がある。…そこに行けば、何か分かるんじゃないかしら?」
「「「それだ!」」」
「だけど、ウェルテクス一族は事故で亡くなったことになっているんでしょう?当然、中には入れないと思うんだけど…」
イーヴリンからの情報に、ユーテキ達は叫ぶも…
その後のコヨミからの冷静な突っ込みに、がっくりと肩を落とす。
だが、その一方でミカは真剣な顔で晴人を見ながら、こんなことを言っていた。
「確かに、11年も経っていればその可能性はあるかもしれないけど…そこは、“魔法”で何とかなるんじゃないかな?」
「おいおい…ミカ、魔法は家宅侵入に使うものじゃないんだぞ……」
――ってか、俺が居てもいなくても強引にドアを壊して入りそうだなー…
そんなことを思いながらも、他に侵入する手立てもない以上、晴人は仕方なくそれを了承していた。
***
ウォーターェw
ウィザード1話よろしく使われないスタイルって…
リア充だからですかそうですか。
やっぱり一度戦ったことのあるせいか、ノームは雑魚で終わりましたねw
ちなみに…
今回のファントムは、テイルズシリーズに出てくる精霊モチーフが主となります。
なので、
・ウンディーネ
・イフリート
・セルシウス
・ヴォルト
・シルフ
・シャドゥ
・ルナorレムorアスカ
・オリジン
は、登場がほぼ確定。ただし、場合と展開によっては忘れられる可能性も…
マクスウェル…は……どうしよう、かなぁ……
そしてバーガーさんのフラグ臭。
イーヴリン姉さんカッケーっす!
姉御肌って感じの人です。自分じゃ表現しきれてないけど…!
でも瞬平とユーテキの扱いw
本当に、悲しいほど似てるなこの二人…
そして何気にコヨミヒデェww
しかも、ユーテキから漂う沖さん臭………もうこの人、第2の沖さんにしていいですか…?←
ちなみに、ユーテキのIDナンバーは『No.0000765』のようです(公式設定)
※漫画版だと、シラスとウェルテクス一族の死について話しているのはグラント・本編では元帥ヴィルギニアです
ヴィルギニアのままでもよかったんですが、…なんか…その後の脱出→敗北イベントまでやらなきゃいけないので、それは流石に長くなりすぎると思ったので却下。
まあ、原作知ってる人って絶対居ないと思うんで、いいかなーと。
ところで輪島のおっちゃん、華麗に置いてけぼり確定w
次回は特に決めてないです。
いや、だって、1章の最後辺りの話(ウェルテクス屋敷での戦い)をすぐやるのも…
ちなみにブレイカーは6章構成で、1章は今回出てきた大樹の森でのモンスターとの戦闘〜ウェルテクス屋敷で戦うまでですね。
なお、このウィザブレでは
晴人→モンスターかファントムとの戦闘限定
ブレイカー組→リーリエリヒトの刺客(特務機関G、聖海騎士団と言った面々)との戦闘、余裕があればファントム戦でも共闘する可能性も?
…と言う感じで分けています。
流石に、晴人と人間を戦わせるわけにはいかないので。ここら辺、結構難しいです…