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タイトル未設定 - Magic24:乱れ局地的暴風

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Magic24:乱れ局地的暴風

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アキドゥム炭鉱で襲い掛かってきた、イフリート…

彼はどうやらウィザード達を激しく憎んでいるようで、「一体何のこっちゃ」とウィザード・ウォータースタイルは相手の攻撃をかわしている。

すると、ソウセイが酷く動揺しながら叫ぶ。


「火の怪物!?早くそれを止めてください、でないと、この鉱山が大変なことに!」

「何だって!?」

「アキドゥム炭鉱は石炭が多く出てくる…もしも発火すれば、硫黄酸化物が炭鉱の中に大量に充満し…ここにいる全員が呼吸器疾患や、最悪の場合、心臓発作などを引き起こしてしまいます!」

「…確かに、早く何とかしないとな。だが万が一のこともある、全員外に避難しろ!」

「「「わあああああああああ!」」」


ウィザードWSの言葉に、近くにいた労働者達はすぐさま逃げていく。

その混乱に乗じて、ミカやルル・ユーテキに瞬平・ソウセイにバーガーはババックを連れ、サブルムに戻り始める…

この場にはウィザードWSとザウバーが残り、ザウバーは彼にこう叫ぶ。


「…確か、すぐ近くにモンスターの巣があったはずだ。あそこにおびき出し、ランドスタイルで土の中に埋めれば!」

「被害は最小限で済む、か。問題は…」

『ぬおおおおおお!』

「この暴れん坊を、どうやって穴に叩き落すかだな!」



アキドゥム炭鉱のモンスターの巣は、地面の中にある。

そこからクイーンビーといった何種類かのモンスターが巣を作っており、雇われたJMハンター達がそれらを駆逐する。

その後は掘り進めた際に発生した土砂を利用し、穴を埋めるのに使う…

それを利用して巣の中に相手をおびき出し、地中に埋めて逃げ場をなくすと言う作戦だ。

…問題は2つ。

【イフリートを巣に誘い込む方法】と、【巣穴から脱出する方法】だ。

イフリートは口から火炎放射を吐きながら、ウィザードWS達を挑発する。


『どうした、逃げ回ってばかりだなぁ!』

「…あいつ、完全に周囲はお構いなしだな」

「それでこのまま、この炭鉱自体を使い物にならなくしてくれればいいんだが。……それは無理だろうな」

「どうして」

「ソウセイから聞いた。……アキドゥム炭鉱は、サブルムの町の人間にとっては貴重な生活源。そこが公害騒ぎで立ち入れないとなったら、死活問題だ」


更に、ザウバーの話によると…

サブルムの町からは少し離れるが、他にもここと似たような炭鉱はいくつかある。

アキドゥム炭鉱が使えなくなれば、今度はそこに連れて行かされ、そうなればタフィーのような家族を待つ者達は…働かされる者達と完全に離れ離れになってしまう。

タフィーやババックのためにも、何としてもそれは避けなくてはならない。

ウィザードWSがそう思っていると、いくつかの分かれ道に出る。


「えっと…どっちに巣があったっけ?」

「…左だ!」

「OK、左ね!」

『待ちやがれぇぇぇぇぇ!』




左の道を進み、暫くすると…開けた場所に出た。

そこにはギリギリイフリートが入れるだけの大きさの巣があり、土砂や石炭を運ぶためのトロッコ、今まで使われていたであろう作業用のつるはしなどが転がっている。

戦うスペースも充分あるため、多少暴れても問題ないだろう。

逃げ道は来た道しかなく、それを塞ぐようにイフリートが立っているが…

そもそも、巣の中に閉じ込めてしまえば問題はあるまい。


『もう逃げられねぇな!観念しやがれ…特に、そこのオッドアイの男!!』

「…?」

「ザウバー、チャンスだ…どういうわけか知らないが、あいつはお前に恨みを持っている。それを利用して、お前が巣の中に飛び込めば…」

「地面の中から俺を救助できる策があるということか。だが、問題はどこまであの火のファントムが大人しくしていてくれるか…だ」

「バインドでも、あの馬鹿力相手じゃそう長く持たないだろうな…でも、やらなきゃこっちがやられるだけだしな」

『何をごちゃごちゃ言ってやがる!』


イフリートはそう言うと、炎のパンチでウィザードWSに殴りかかる。

ウィザードWSは華麗にそれをかわすと、即座にザウバーが刀で一撃加える。

更にウィザードWSは水の弾丸で援護射撃を行い、イフリートは大きく後退していた。

だが、彼は力任せに突進攻撃を行い、タックルでウィザードWSを吹き飛ばす

…つもりだったのだが。



<リキッド、プリーズ>

「あらよっと!」

『ぐおおっ!?』


リキッドウィザードリングの力で液状化したウィザードWSによって、攻撃は空回り。

頭がよくないのはもしかすればゲート譲りかもな、とザウバーは失笑しながらそれを見ている。

だが…

イフリートはウィザードWSのほうに向き直りながら、吼えていた。


『…き、貴様、小ざかしい真似を!』

「悪いね、魔法使いは小ざかしいことしてナンボだろ、それにお前らファントムだって、ゲートを絶望させるためならどんな小細工だってするじゃないか」

「確かに、晴人に一理あるな」

『ぐうう…!口の減らない奴らめッ!!』


イフリートはそう言い放つと、口から火炎放射を放つ。

ウィザードWSはシューティングストライクで威力を相殺しようとするが、勢いは一向に減らない。

その間に、イフリートは火を吐き出しながら直接突進攻撃を繰り出し、「まずい」と思ったウィザードWSは指輪を付け替える。

火と水がぶつかり合い発生する水蒸気の間を突っ切り、イフリートが見た先には

――ウィザードWSの姿は消えてなくなっていた。

それどころか、自分の真下は…モンスターの巣。


『なっ!?』

「まさか、自分から巣穴に落ちようとしてくれるなんてな」




背後には、ウィザードWS。

…実は直前に、“スモール”ウィザードリングで体を小さくさせ、相手の攻撃を完璧に掠らせたのだ。

実際ウォータースタイルは、いつ相手が突進してもいいようにモンスターの巣穴を背に戦っていた…猛牛のように真っ直ぐ突進してくるのなら、ありえない話ではない。

更に、イフリートを挑発するような彼の行動に…ザウバーは察しが着いたのだろう。

イフリートを巣穴に誘い込み、土砂の勢いで一気に穴の中に押し込む算段だということが。

ウィザードWSとイフリートがぶつかり合っている間に、巣穴の近くにある岩盤に攻撃をいくつか与え…いつ崩れてもおかしくないぐらい、大きな皹ができている。


「……晴人!ここは元々岩盤が緩かったようだ、大きな一撃を入れれば大きな土砂崩れになる!!」

「OK!」

<キャモナスラッシュ、シェイクハンズ! ウォーター…スィースィースィー!スィースィースィー!!>

『しまっ…』

「――遅いんだよっ!」

「…凱凛刃(がいりんは)!」


イフリートが逃げ出す前に、ウィザードWSのスラッシュストライクとザウバーの凱凛刃が岩盤に入る。

その攻撃で岩盤の亀裂は深まり、一気に土砂崩れが発生。

それらは容赦なくイフリートに降りかかり、そのまま押し込められる形でモンスターの巣穴の底に落ちていった…

それを見たウィザードWSは「ふぃー」と一息つき、ザウバーは考えるような仕草をしていた。


「…まあ、何とかなったか。相手が馬鹿なのが助かったって所だな」

「……このファントム、俺達を知っていた。それだけならまだ、オリジンから聞いたと思われるが…」

「なんか、許せないみたいなこと言ってたよな。…もしかして、俺達が会ったことのあるファントムなのか…まあ、いずれにしろ今はミカ達と合流するべきだな」

「確かに。それに聖海騎士団も来ていると言う話だ、早いところサブルムに戻ったほうが懸命だな」


ウィザードWSは大きく頷くと、ハリケーンドラゴンとスペシャルのリングを指に填める。

移動ならばハリケーンでもいいのだが、特に急いでいる場合はハリケーンドラゴンのほうが速い。

しかし炭鉱の中を飛んで移動するわけにも行かず、とりあえずはウォータースタイルのまま炭鉱から脱出することを優先していた。






〜〜〜






サブルムでは、コヨミと凛子がタフィーと一緒にボール遊びをしている。

更には近所の子供達もやって来て、皆で一緒にボールを蹴って遊んでいた。


「そーれ、マッハウインドー!」

「なんの!ゼロマグナムでシュートブロックだー!!」

「止めてー!勝負師ダイスマン!!」

「…凛子、これ、ただの球蹴りじゃなかった?」

「そうなんだけど…まあ、子供の遊びだし……いいんじゃないかしら?」

「いっくぞー!デスドロップー!!」


タフィーも一緒になって、思いっきりボールを蹴る。

子供なので蹴る力は弱いし、当然叫んでいるだけなので必殺技は出ないが…

その際彼のズボンのポケットから何かが零れ落ち、それに気付いたポポが拾い上げる。



「ポ?ポポッ、ポー!」

「あ、やばっ」

「これ…JMみたいだけど、どうしたの?」

「それにこの輝き、まるでミカちゃんの持ってる形見のJMみたい…」

「それは…前に父ちゃんから貰った、宝物なんだ。家にも、まだ何個かあるんだよ」


炭鉱が帝国軍によって管理される前だろうか。

ババックはタフィーにJMをいくつか持って帰っており、タフィーはそれを「宝物」として大事に保管していたようだ。

彼の家には何かが入っているかのような箱が置いてあり、恐らくその中にJMが入っているのだろう。


「……そうだ、父ちゃん戻ってきたら…あげてもいいか聞いてみる!」

「えっ、駄目よ。タフィー君の宝物なんでしょ?」

「いいんだよ、お姉ちゃん達には凄くお世話になったから…こうして、皆と遊んでくれてるし。あっ、でも、一番お気に入りのコレは駄目だよ。父ちゃんが最初にくれたものなんだから!」

「分かった。後でミカちゃん達やババックさんにも話を聞いて…」




「――ほう、それは…JMですね?それもその輝き、オリジナルJMと見て間違いない」




ガシャン、と鎧の音が聞こえてくる。

何人かの子供達は散るように隠れ、凛子とコヨミ、タフィーにポポがその場に残っている。

…フリオとアルテマス、フォスター…

彼らはバーガーが所属していた、聖海騎士団の人間だ。

タフィーに声を掛けた男…アルテマスは、ゆっくりとタフィーに近寄り、彼の持つJMを奪い取ろうとする。


「そのJMに限らず、総てのJMは聖海騎士団の下にあるべきもの。それを渡してくれませんか」

「何を言ってるのよ!これはタフィー君の大事な宝物なんだから!!」

「そうやって…子供から何もかも奪い取って、それが大人のすることなの?それが神に仕える人間のすることなの!?」

「ポーポ、ポポポー!」

「反逆者であるあなた方は黙っていてもらおうか。……そもそも、リーリエリヒト国内にいるはずのあなた方が何故ここにいるのか…捕まえて、ゆっくりと聞かせてもらいましょうか」


アルテマスの後に、フリオが続く。

一方で、フォスターだけは凛子達を捕まえることに躊躇いを感じていたが…

そんな彼らの前に、炭鉱の混乱を利用してサブルムに戻ってきたミカ達が叫ぶ。


「…ちょっと待ちなさいよッ!」

「アルテマス、フリオ、…やめるんだっ!」

「あっ、今度はおじちゃん達の元部下だぁ!」

「も…元部下って、ルル……それ、ある意味【村人A】で片付けるのと一緒だよ…?」

「凛子さーん!コヨミちゃーん!!」

「…これは一体…!」

「ミカ、バーガーさん!」

「ルルちゃん、ソウセイ君!」

「「あれっ僕らは!?僕らはスルー!!?」」

「……タフィー!」

「父ちゃん…本当に、父ちゃんだっ!」



哀れユーテキと瞬平、ルルとソウセイの間に挟まれて会話していたのに。

それはともかく、ババックもタフィーの元に走り出し、親子は感動の再会を果たす。

だが…

それを邪魔する無粋な輩がもう一組、――ミッドノクスのメンバー…ライムント・マクシミリアン・デュラの3人だ。


「ちっ、お前ら聖海騎士団も来てやがったのか!」

「いいか!そいつらは俺達の獲物だ、お前らは引っ込んでいろ!!」

「教徒崩れと、戦闘訓練を受けてきた俺達…まともに戦って勝つのは、どちらか……分かっているだろうな」

「おやおや。戦うことしか脳にないミッドノクスの方々が…何を言っても、獣の遠吠えにしかなりませんよ」

「尤も、――我々があなた方に負けることなどありはしませんがね」

「……あの人達、仲悪いんですね…」

「前にイヴさんとザウバーが話してなかった?皇帝イシュトヴァーンがどっちの兵力も保有しているからややこしいけど、ミッドノクスと帝国軍・聖海騎士団・それから特務機関Gはまったくの別組織って」

「それに…なんかミッドノクスって、瞬平の作戦に騙される人達だし…聖海騎士団は頭が固すぎるし、まさしく【犬猿の仲】なんじゃないの?」


ミカ達を挟む形で勝手に火花を散らす5人に、瞬平や凛子、コヨミが話す。

特にコヨミの言葉には、バーガーもあまり否定できない様子…

事実、聖海騎士団とミッドノクスは仲が悪い。

そのリーダーでもあるルーク枢機卿とヴィルギニア元帥もそうだが、その対立関係は下の者達にも影響しているそうだ。

「あぁ成程」と納得する瞬平の横で、ミカは拳を握り締めながら言い放っていた。




「――あんな小さい子供から父親を引き離して、無理やり働かせて、子供から大事な宝物を奪おうとして!……それが帝国のやること?あんた達はただ、自分達の立場を利用して…弱いもの虐めをしているだけじゃない!!」

「何だと?貴様、イシュトヴァーン猊下のやり方に文句を言うのか!」

「この世の総ては、ラディス教にある。ラディス教によって統一された世界こそ、平和そのもの…その使命を遂行することの、何処が悪いのです」

「やり方全部が悪いのよ!……あんた達の身勝手で、私だけじゃない、大事な家族を奪われた人達がいる…大事なものを奪われて、悲しんでいる人達がいる……あんた達の崇拝する皇帝が!ラディス教が!!――皆を悲しませているって…なんで気付かないのよッ!!!」


その時だった。

ミカの持つオリジナルJMが緑色の輝きを放ち、彼女の周囲を暴風が包み込む。

ユーテキ達は慌てて近くのものにしがみつくが、アルテマスとフォスターは吹き飛ばされ…近くの民家に叩きつけられ、そのまま気絶する。

ちょうど上空を飛んでいたウィザード・ハリケーンドラゴンとザウバーも風に巻き込まれそうになるが、何とか持ち堪えると、ミカに叫ぶ。


「ミカ!……一体何が…」

「…!晴人、お前の指輪…緑の奴が発光している」

「緑…ハリケーンとハリケーンドラゴン?――まさか!」



「……暴風よ…激しく産声を上げろッ!【ツァターン】!!」



風の勢いが強くなり、瞬平は軽く吹き飛ばされるが…慌ててその手を握った者がいる。

…フォスターだ。

敵であるこの人がどうして、と思いながらも、フォスターに支えられた状態で見た“その姿”。

周囲には荒々しい風を纏っており、額には鋭い角。

例えるならば風神、と呼ぶべきか…【ツァターン】と呼ばれる新たな聖獣が、そこにいた。

その姿を、風に飛ばされない場所で見ながら…サウルは興味深げに見ている。


「四大元素を扱う者との干渉で、もしかすれば…とは思っていたけど、――やはり……進化したか」


一方で、ミッドノクスの3人は状況が飲み込めずにいる。

…報告には聞いていたが

…だが、水の獣ではなかったのか

…あれは人間じゃないのか

タフィーは素直に「かっこいー!」とルルと一緒に盛り上がっており、バーガーもサウルの話を思い出しながらミカ……もといツァターンに尋ねていた。


「サウルが確か、『風が荒れている』って言っていたが…この事だったのか…?……まあいい、ミカ!正気はあるよな!?」

「……うん、ちゃんと残ってる!」

「くっ…姿が変わったからといって、何だって言うんだ!」

「捕まえて隊長達に引き渡せ!」



マクシミリアンとライムントが、剣を構えて走り出す。

だが、聖獣を相手にただの人間が勝てるはずがない…

ツァターンの風の範囲に入った瞬間、鎧も体も一瞬にして傷付き、触れることすらできないのだ。

「戻れ」とデュラが叫ぶが、もはや二人は退くことも進むこともできない。

更にツァターンは風の力を強め、これはもう駄目だと思ったマクシミリアンは…唯一残っているデュラに叫ぶ。


「デュラ、隊長達に報告を…!――この娘は、……化けm」


総てを言い切る前に、マクシミリアンはライムントと共に上空に吹き飛ばされる。

あの高さ、あのダメージの量、…落ちる方向はエレス山脈。

あのまま地面に墜落すれば、まず生存は難しいだろう。

デュラは「くっ」と舌打ちしながら、サブルムの町から撤退する。

ミカはゆっくりと元の姿に戻りつつ、息をついていた。

その姿に軽く畏怖しながらも、いつものミカに戻ったのを見て晴人達は安堵する。

その一方で…

唯一残っているフォスターに視線が向けられ、瞬平は慌てて彼をフォローする。


「ところで、――お前…瞬平を盾にする気か!」

「そうよ!瞬平君を盾にして、そのまま逃亡する気でしょ!?」

「そして、私達について吐かせようと拷問するのね!」

「あの、晴人さん達…わざとそうするよう仕向けてません!?大丈夫です、この人、さっき僕を助けてくれたんですよ!」

「……俺も、…俺も正直…今の教団のやり方には納得できません。だけど、――バーガーさん!どうしても、戻るわけには行かないんですか!?」


フォスターの叫びに、晴人達はバーガーを見る。

聖海騎士団の一員であることから、彼とは当然知り合いだとは思っていたが…

まさか、彼と同じ、今のラディス教に疑問を持つものだったとは、思いもしなかったのだろう。

バーガーは頭を掻きながら、申し訳なさそうにフォスターに言う。



「…悪いな、フォスター。俺は、俺が正しいと思ったことをしたい…ただそれだけだ」

「……あなたがいなくなってから、セデギウス様が隊長になってから…聖海騎士団の行動は、かなり激しくなってきている。それでも、戻ることはできないんですか」

「…」

「そう、ですか。――あなたは何を言っても、簡単に自分の意見を曲げる人じゃない…だから、俺に言えることは何もないです。ただ、」

「ただ?」

「セデギウス様のこと、何か知りませんか?……思えばあの人が隊長になるどころか、聖海騎士団になった経緯も…誰も分からないんです」


フォスターの話では…

セデギウスは元々聖海騎士団に所属してはおらず、バーガーが抜けた後、すぐに隊長として就任したのだそうだ。

誰もが次の隊長は、副隊長のガルシアと思っていただけに騒然。

しかし、セデギウスは『ルーク枢機卿直々の推薦あって就任した』と告げ、ルーク枢機卿の推薦とあってか異を唱えるものはいなくなっていった。

その時はちょうど、ラディウスの聖窟から逃げたバーガーによって深手を負わされ、その治療のためルーク枢機卿が同席することはなかったから、すぐに真意を尋ねることはできなかったが…

後々手当てを終えた枢機卿本人から「それは真実だ」と言われたことで、ガルシアを始めとする誰もが渋々ながらも納得せざるを得なくなった。


「……ルーク枢機卿が決めたのなら、そうであることに違いはないんじゃないのか?」

「そうなんですが、どうしても気になって。あなたのことも知っていたみたいですし…」

「…」

「それじゃあ、俺、アルテマスさん達の手当てがあるので…宿屋の周辺には近づかないで、すぐ町から出てください」

「あの…あなたはラディス教を抜けないんですか?」

「そうよ、聖海騎士団のやり方が間違っているって分かっているなら、私達と一緒に…!」


フォスターを味方に引き入れようと、瞬平と凛子が説得する。

だが…

彼はその首を横に振っていた。

自分までラディスの神に背いてしまえば、ラディス教はますます暴走していく…

自分と尊敬する隊長の信じたラディス教のためにも、それだけはできない…

そう言って、フォスターはフリオとアルテマスを肩に担いで宿屋に向かっていった。

その際、タフィーの持っていたJMに関しては、「JMに似たただの石ころだった」と嘘の報告をして奪われることがないよう、約束して。






〜〜〜






「――炭鉱に戻る!?」

「ああ。…さっきも言ったが、他の仲間に迷惑は掛けられない……それに、さっきの奴らを倒したところで、また新しい奴らがやってくるだけだ」


ババックの言葉に、声を上げた晴人も苦虫を噛み潰すような顔をしていた。

彼の言うとおり、マクシミリアンとライムントは帰らぬ人となったも同然…

だが、彼らを倒したところで、今のリーリエリヒト帝国がある限り何も変わらないのだ。

ババックはタフィーの頭を優しく撫で、目に涙を溜める息子に別れを告げる。


「タフィー、お前は男の子なんだ。……一人でも、我慢できるな?」

「…うん…父ちゃんも、いつか絶対帰ってきて!それから…」

「?」

「父ちゃんから貰ったJM、この人達にいくつかあげてもいい?父ちゃん言ってたよね、僕が待っている間…お世話になった人達がいたら、渡してあげなさいって」

「ああ…そうだな。俺も、久々にお前の顔が見れて嬉しかった……どうか、受け取ってやってくれ」


そう言うと、ババックはアキドゥム炭鉱に戻っていく。

そんな彼の背中を見ながら、ミカや凛子、ユーテキなどは納得いかなさそうな顔をする…

それはそうだ。

せっかく親子が再会できたのに、もう一度引き離されるなど…ミカ達の望んだ結末ではない。

ウェルテクス一族の真相を知るための旅だったが、ここに来て、それと同じかそれ以上の想いがミカの中に芽生えつつあった…



そうしている間にも、タフィーはルルにJMの入った箱を渡し、ついでにポポも返す。


「はい、これ!それから…ポポ、貸してくれてありがとう!!」

「ううん、ルル達こそ…大事に使うね!」

「ポポー!」

「…問題は、JMによっては使える人間が限られてくることだな。誰でも使える物ならいいが、そうでない物は……宝の持ち腐れになる」

「もー…そういうこと言わないでよ、ザウバー…」

「空気を読む努力をしないユーテキに言われると、ちょっとアレだぞー」


相変わらず皮肉めいた言い方をするザウバーに、ユーテキが呆れるが…

即座に返された晴人の言葉に、W平川(中の人的メタ)が「一緒にするな」だの「僕のことそう思ってたの」だの、ツッコミを返していた。

しかし、ザウバーのいうことにも一理ある。

特にミカは構造上1つのJMしかセットできないようになっている上、形見のJM自体が強い力を持っているので必要ないだろう。


「とりあえず…5個あるなら、1人につき1つ配ればいいんじゃないか?残った1個は、いずれ戻ってくるイヴに渡すってことで」

「そうだね。じゃあ僕は…」

「ルルこれがいい〜!」

「お、じゃあ俺、この赤い奴!」

「俺はこっちを貰おうか」

「イヴはこれがいいわね。ってなわけで、ユーテキは余り物で」

「……あのー皆さーん!?酷くない、僕の扱い最近酷くなーい!!?」




わあわあと大騒ぎするユーテキ達。

「何やってんだか」と呆れるコヨミだが…

自分達に視線が向けられていることに気付き、「ちょっと黙って」とユーテキを制止する。

そこにいたのは、橙色の髪に緑色の綺麗な瞳を持った女性。

その後ろにはレザーの鎧を装備した、複数の男達。

敵か、と警戒する晴人達であったが…次の瞬間、女性は晴人達に驚くべき言葉を掛けていた。


「あなた達…もしかして、リーリエリヒトと戦っている方々ですか」

「そうだと言えば?」

「申し送れました、私、リーリエリヒト帝国と対立する組織…【ルーキス】の代表を務めている、カルラです」

「「「対立組織?」」」

「…つっても、聞いたことない名前だな。フライハウト団は何度か耳にしているが…」

「――我々ルーキスは、ツァールハイト国が中立を掲げているせいで、表立って行動できないのが現状なのです。ですが…いつかは国王を説得し、国を挙げてリーリエリヒト帝国と戦おうと思っています」


カルラの話によれば…

ミカ達も先程の戦いで、リーリエリヒト帝国と敵対している立場だと知り、力を貸してもらえないか直接頼みに来たそうだ。

だが、初めて会ったばかりの相手にいきなり交渉を持ちかけても、すぐには納得してくれない。

それはカルラ自身分かっていることのようで、晴人達に別の場所で…とりあえず詳しい話だけでも聞かないか提案していた。


「とにかく、先程の会話の様子から…すぐさまここを出ないといけないはずです。話は、別の場所でゆっくりとしましょう」

「別の場所って、…どこ?」



「――ツァールハイト国の城下町にある、私達のアジトです」






***




よっしゃあ詰め込めた!

聖海騎士団とミッドノクスの影の薄さに救われた←

まあ、聖海騎士団・ミッドノクス・特務機関Gで覚えていて損じゃないのって

・ヴィルギニア

・オフレッサー

・セデギウス

・ルーク枢機卿

・フォスター

・ユディーヌ

・グラント

…ぐらいですからねぇー…特にグラント、漫画に出てるからあんまり必要ないんじゃないかってぐらい。


イフリートw

お前なんでそんな馬鹿なんだよww

まあ、当初はザウバー穴にわざと落ちる→イフリート追いかける→ウォーターがエクステンドで助ける→相手だけ巣穴に落ちる→岩盤壊して土砂崩れ…でした。

色んな意味で可哀想なので、相手の突進を利用して地面に…あれ、これも駄目か?

ちなみにイフリートのデザイン、いつか公開したいですが………映像化しないのをいいことに、浮いてますw



来たよツァターン!

シャザーンじゃないよ!!(←指輪関係だが知ってる人いないだろ by.晴人)

今回は運よく詰め込めたので、サウルのフラグも速めに回収できましたねー。

そうです、ミカの聖獣の覚醒フラグですw

ちなみに画面奥に追い詰めてのツァターンは鬼畜…らしい。


フォスターめっさいい人です。

まあ、原典はバーガーさんの家族の話をしたりしてましたが…後々やるためにカット。

「結局あなたも自分勝手なんですね」的なセリフも、何故かカット。

そして登場した新キャラクター…

カルラさんは女の人です。で、ルーキスのリーダー。

ちなみに彼女達の行動を支援している人もいるらしいですが、それは次回で。




ところで…

今回はある意味で、一番得したのウェルテクス社にいるギリオンとシラスなんじゃw

なお、ここから先は作者本人の記憶力との勝負です。

某スマイリングムービーに…動画がないので…!

一応あらすじをまとめたサイトはあったので、それを利用しつつ書けることは書けます。

で、時々オリジナル混ぜたりして収集つかなk(ry