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タイトル未設定 - 8話:戻ってきた妻

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8話:戻ってきた妻

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『――ヘルハウンド、いるんでしょう』



廃墟で、誰もいないはずの場所に向かってそう言ったのはメデューサだ。

フェニックスは「何言ってるんだこいつ」みたいな様子であったが、そんな彼の影から、一人のファントムが現れる…

炎と影を司る、ヘルハウンド。

突然現れたヘルハウンドにフェニックスは驚くが、メデューサは至って冷静。


『お呼びでしょうか、メデューサ様』

『おわっ!?…テメ、いつの間に俺の後ろに立って…』

『ヘルハウンドは影の中に自由に入り込める、それを利用すれば相手の背後を取るのも簡単よ。それよりも、あなたに絶望させてもらいたいゲートがいるの』

『分かりました。それで、ターゲットは』

『今回のゲートは、――』




その頃、【雪花屋】。

消灯時間で殆どの部屋の電気は消え、明かりが点いているのはオニゴーリの部屋ぐらいだ。

彼は戸棚に入っている物を暫く見た後、静かにそれを閉め、ふと写真立てにある写真を辛そうに見ていた。

そうしていると、部屋の明かりが点いていることに気付いたコータスがやってきて、声を掛けていた。


「オニゴーリさん。まだ起きていたのですか?」

「!……コータスか」

「…明日も早いですよ。オニゴーリさん、ただでさえ朝弱いんですから…早く寝ないと、ゆっくり休めるものも休めませんよ」

「…ああ、もうじきしたら寝る」

「それでは、お休みなさい」


理由は分かっているのか、問い詰めることはなく、コータスは静かに戸を閉める。

オニゴーリは彼女の気遣いに感謝しつつ、写真に視線を向けたまま、静かに電気を消していた。






〜〜〜






翌日。



「はいはーい!今日も朝ですよー、新しい一日の始まりでーすよー!!」




底抜けに明るいムードメーカー・オオタチがそう叫びながらジュプトルとピカチュウの部屋の戸を開ける。

彼女の毎朝の日課が、【雪花屋】に泊まっているポケモンや部屋を借りているポケモンへのモーニングコール(大音量)だ。

かなりの寝ぼすけでもオオタチのモーニングコールでは起きるのだが、ピカチュウは相当レベルなのかなかなか起きない……ちなみにジュプトルは、最初の『は』で起きている。


「むぅ、やっぱり起きないー。そろそろ、ハイパーボイス覚えようかなー」

「…やめろ…今でさえ、俺の鼓膜にライジングストライクなんだ……ハイパーボイスを覚えようものなら、……俺の鼓膜がヴォルカニックアタックだ」

「はいはい、戦隊ネタしない。…ところで、昨日消灯時間過ぎてから帰ってきたって聞いたけど、何してたの?」

「昨日、ヤミラミが作った新作の指輪のテストをしていたんだ。………が、」


ジュプトルは一回欠伸をした後、再び頭を抱え、オオタチに説明する。

昨日、探検隊活動の帰りに立ち寄った【ヤミラミ宝石店】で…ジュプトルは新しいリングを受け取っていた。

1つは“ドレスアップ”。これを使った瞬間、何故かジュプトルが白いタキシードを着用するおかしな事態に。

2つ目は“スメル”。使用者から強烈な臭いが放たれ、テスト場所から2km離れた【浅瀬の洞穴】に生息する野生のズバットが20体ほど卒倒していたほど。

そして……3つ目は。



「フレイム・ハリケーン・ランドで試したがまったく使えなかった。何回やっても、<エラー>ばかり言いやがる」

「エラーってことは、使えないリング?」

「ああ。…やっぱこいつも、前にヤミラミから貰ったやつ同様…青い魔宝石のスタイルで使えるタイプみたいだ」

「また青なんだ」

「ああ、また青だ」


ジュプトルが頭を悩ませているのは、青の魔宝石を使ったリングの所在…

ヤミラミの話では『先延ばしにしていた結婚指輪を作ってほしい』という依頼で作ったリングだそうで、持ち主を見つけたとしても、「ください」と言えるはずがない。

しかし、ウィザードの戦力上昇はこれから出てくる強敵ファントムとの戦いでも必要になってくる。


「ちなみに、ここ数日のテストで分かったことがある」

「何?」

「ランドのディフェンドは………壊されるためにある!」

「うん、必要ない情報ありがとう。いいからピカチュウ起こすの手伝って」

「任せろ。こいつなら、ピカチュウでも一発だ」

<スメル、プリーズ>





―――ぎゃああああああああああああああああああああ

――くっさああああああああああああああああ

――むおおおおおおおおおおおおおおおおおおお



「…朝から煩いな、あいつら…」

「オニゴーリさん、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」

「……まあそこそこ。ジュプトルは…建物を破壊する馬鹿だが、物音を一切立てないで部屋まで戻れる技量に関しては、褒められる」

「それって…褒めてませんよね?」


コータスはそう言いながら、緑茶を飲んでいた。

そうしていると、ヘイガニがやってくる……鼻栓つきで。

ちなみにヘイガニの鼻がどことかは、聞いてはいけない。


「おっはよー。……なぁ、2階からスゲェ悪臭するんだけど」

「おはようございます。…声からして、犯人はジュプトルさんかと」

「おはようさん。…ヘイガニ、お前さ、悪臭騒ぎの根源ここに連れて来い。凍らせる」

「やっぱジュプトルかあの臭い……でも原因の3割は、ピカチュウにある気がするんだよな」

「ピカチュウさんですか…オオタチさんの大声でも、起きませんからね……」

「ピカチュウでもジュプトルでも電気でも草でもネズミでもトカゲでもランドでもハリケーンでもいいから、原因連れて来い。とにかく凍らせる」


「ランドとハリケーンっていうか、むしろ黄色と緑だと思うぜ館長」…と思いながらも、ヘイガニは早朝から【ブレイブス】の面倒を見る羽目に。

ちなみにランドとハリケーンで例えたら、…どっちもジュプトルなので何気に成立しなかったりする。

コータスが苦笑していると、何かの視線に気付き、窓の向こうを見る。

その先にいたのは、一匹のブーバーン…

ブーバーンはコータスと視線が合うと、慌てるように逃げてしまう。


「?」

「どうした、コータス」

「いえ…さっき、こちらをブーバーンさんが見ていたような」

「ブーバーン?この辺じゃ珍しいな、知り合いか」

「いいえ。私、ブビィ系列の友人はいませんから」

「ふーん…」




「―――おっはよー!!!」




オオタチ級の騒がしい万年ポジティブ燕・オオスバメまでもが雪花屋に押し入る。

その後ろには、もはや準レギュラーを張ってもいい気がするムクホークの姿…

「朝から騒がしくして申し訳ないです」と礼儀正しく謝る彼の横で、オオスバメはオニゴーリに話していた。


「そうだ、館長。さっきそこで、館長を探していた人を見つけたんだけど」

「俺を?どんな奴だった」

「いや、実はもう中に入れてる」

「おいコラ勝手に…」

「―――あなた…?」


どういったポケモンか分からないのに勝手に上げたオオスバメに、オニゴーリは注意しようとしていたが…

オオスバメの背後から聞こえた言葉に反応し、そっちに目を向ける。

そこにいたのは、一匹のユキメノコ…

ユキワラシから分岐進化するポケモンで、どこか儚げな雰囲気を漂わせている。

ヘイガニに無理やり連れて来られたジュプトル達も、朝食を食べに来たセレビィもその現場に居合わせ、誰もが「誰だろう」という目でユキメノコを見ている。

コータスは暫くオニゴーリとユキメノコを交互に見た後、空気を察したか、ジュプトル達にここから出るよう話していた。


「…。……あの、すみません、暫く二人きりにさせてあげてくれませんか」

「どうした?」

「ねえ、あのユキメノコ…誰?」

「綺麗な人だなぁ…」

「うん。雪美人」

「……」

「え、何?どうしたの??」

「コータス、館長とあのユキメノコさん…知り合い?」


ヘイガニだけは薄々と事情を分かってくれたみたいだが、ジュプトル・セレビィ・ピカチュウ・オオタチ・オオスバメ・ムクホークは分かっていないようだ。

コータスが説明に困っていると、オニゴーリ本人が複雑そうな顔をしながら、話していた。


「…嫁だよ」

「あー、奥さんかー」

「成程、あの鬼館長にも嫁が」




「「「―――ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!?」」」






〜〜〜






【ヤミラミ宝石店】。

コータスとヘイガニによって強制的に連れて来られたジュプトル達であったが、「どういうことだ」「あの館長に嫁さんがいたのか」「鬼なのに」と騒ぎは止まらない。

ヤミラミも、朝早くから大人数で押しかけられ、心から迷惑している…

彼は静かに眠れる場所を求め、近くに住んでいる別の仲間の家に避難し、代表してオオタチがコータスに訊ねていた。


「……館長って、結婚していたの?」

「はい…式は挙げていないみたいですが、手続きはしてあるみたいなので……正真正銘の夫婦です」

「え…私、今まで知らなかったんだけど」

「オオタチさんが知らないのも、無理はないかと……オオタチさん、【雪花屋】でバイトを始めたのは1ヶ月前じゃないですか」

「俺はあの館長とは…2年の付き合いだから、大体分かるんだけど。つか、コータスってオオスバメさんと同じ半年前からの付き合い組だろ。何で知ってるんだよ」

「掃除のために部屋に入った際、偶然…写真を見てしまって。聞くつもりはなかったのですが、……オニゴーリさん本人が話してくれて」


コータスとヘイガニの話によれば…

オニゴーリとユキメノコは3年ほど前から夫婦の契りを結んでおり、式を挙げることはなかったが、仲睦まじい夫婦だったようだ。

この【雪花屋】も、『探検隊活動をしているポケモン達や、長旅で疲れているポケモン達が体を休められる場所にしたい』というユキメノコの夢で…オニゴーリ自身もそれを応援していた。

【雪花屋】を建てるためにも、ユキメノコは商店街で売り子として働き、オニゴーリ自身はヨノワール以外では初となる単独の探検家として活動していた。

そういう理由もあってか、オニゴーリがゴールドランクの探検家というのもピカチュウやジュプトルは納得する……その一方で、2話で盛大にハリケーンがぶっ壊した【雪花屋】(一部分)について、盛大に申し訳なく思っていたそうな。

それはともかく、費用は結婚して2年後に貯まり、夫婦共同での新しい生活が始まるかに思われた…



「ですが、――ユキメノコさんが突然失踪してしまったらしいんです」

「失踪?」

「夫婦喧嘩でもしたの?」

「愛想を尽かして出て行ったとか」

「館長、鬼だもんね」

「…不謹慎だろーがッ!!」


余計なことを言うピカチュウ・ジュプトル・オオタチのトリプルバカキリバは、ヘイガニのクラブハンマーツッコミを食らい。

コータスも頭を軽く抑えつつ、話を続けていた。


「オニゴーリさんはそういう人じゃありません。……理由は特に告げなかったらしいので、私も失踪した理由はよく分からないんです…ヘイガニさんは」

「俺もあまり…でも、その時は各地で失踪事件が相次いでいた時期でもあったから、それに巻き込まれたんじゃないかって俺は思ってる」

「…館長に殺される覚悟でやってんのかな、犯人」

「さあ…相当度胸があるのは確かですよね、誘拐犯」

「命知らずよね。その窃盗犯…」

「――お前達もかーッ!そしてセレビィは何か違う!!」


今度はオオスバメ・ムクホーク・セレビィのトリプルアホラーターがヘイガニのツッコミクラブハンマーを食らっていた。

…常識人はヘイガニさんしかいないんですか、そうですか…

コータスは三馬鹿・三阿呆を抱えるこの状況にひたすら頭を抱えながらも、複雑そうな顔で話していた。




「……でも、良かったです。奥さんが無事に戻ってきたんですから」


そうは言うコータスだが、その表情はどこか辛そうにも見える。

こればかりは、ヘイガニ以外でも流石に分かったようだ。

そして…

6人揃って、壮絶な質問攻めを展開していた。


「もしかしてコータスさ、……館長のこと…好きだったり?」

「えっちょ、コータス早まっちゃ駄目だよ!死んじゃうよ!!」

「あの鬼館長のどこがいいんだ!!?」

「決め手は一体!?制裁!!?」

「悪いことは言わない、目を覚ませ!」

「所謂オニコーですかそうですか!!!」

「―――お前らは他人の色恋への興味よりも、まず常識と自分の発言への責任を持てェェェェェ!!!」


オオタチ・ピカチュウ・ジュプトル・セレビィ・ムクホーク・オオスバメのセクスタプル押すーゾに、ヘイガニ懇親のスライディングクラブハンマーツッコミが決まる。

全員が全員頭を抑えて悶絶し、オオタチやピカチュウ・セレビィのような女子へのダメージを見る限り…手加減は一切なかった模様。

彼らの暴走に深い溜息をつきながらも、コータスは首を横に振りながら話を続けていた。


「そういうのでは…ありませんよ。私、オニゴーリさんには昔、助けられているから」

「そうなの?」

「はい。私、半年前に【雪花屋】の前で倒れていたところを…オニゴーリさんに助けられているんです」






〜〜〜






半年前だった。

各地でポケモンの失踪が相次ぎ、ポケモンタウンでも失踪者が後を絶たなかった。

当然、ユキメノコもその1人だった…

日食の日を境に、失踪事件はぱったりと途絶え、失踪したポケモンも数日後にはケロリとした顔で戻ってきたそうだ。

しかしユキメノコだけは帰ってくることがなく、オニゴーリも彼女の生存は難しいと半ば諦めていた節がある。


「…本当にごめんなさい。私、実は暫く記憶がなかったの」

「記憶喪失?」

「ええ。――私も失踪事件に巻き込まれそうになって、必死で抵抗した…その際ちょっとした事故が起きて、気がついたら……何も覚えていなかった」


ユキメノコの話では…

彼女は買い物に向かった帰り、何者かに襲われ、捕まるまいと抵抗…何とか逃げ出せた。

しかし、相手はそれでも諦める様子はなく、相手の目を欺くために海に身投げした…

ユキメノコはゴーストタイプを持っているため、物理的なダメージでは死なない。

だがその日は予想以上に波が強く、彼女は波に浚われ、気付いたときにはどこかの島に流れ着いていたそうだ…それも、記憶を失って。

いきなりどこかに連れて行かれそうになり、その上で、海へと飛び込んだのだ……事故のショックで記憶を失っても仕方がない。

オニゴーリも苦そうな顔をしつつも、自分に言い聞かせるように呟いていた。


「……そうか。…そういう…ことか」

「今まで心配を掛けさせてごめんなさい。これからは、あなたとずっと一緒にいられるわ」

「…そうだな。……二人の大事な思い出の、【雪花屋】だからな」

「ええ。……ところで、さっきまでいたあのコータスの女の子は?」

「お前がいなくなった後、雇った。行く場所もなかったみたいだし、俺1人じゃ経営が行き届かないのも事実だったんでな」





ユキメノコがいなくなった後の【雪花屋】は、当然オニゴーリ1人で経営するしかなかった。

しかし、1人で【雪花屋】に住まうポケモン達の相手をできないのも事実で、どうしたものか頭を悩ませていた。

だが…

ある晩の日、その日は非常に強い大雨で…雷もゴロゴロと鳴っていた。

こりゃ森に住む奴らは大変だな、とオニゴーリが思っていながら雨の中を突っ切りながら【雪花屋】に戻ろうとしていると……玄関前で倒れているポケモンに気付き、とりあえず自分の部屋まで運んで介抱する。

その翌日には意識を取り戻し、何かあったのかそのポケモン…コータスに話を聞くと

『私は…総てを失いました。家も、家族も、何もかも』

『私にはもう、居場所なんてどこにもないんです』

…と話していたそうだ。


「それで…館長さんはなんて言ったの?」

「……『だったらもう一度居場所を作ればいい』『お前さえ良ければ、ここで働いてくれないか』と、言ってくれました。それが私には嬉しくて、…また頑張ろうという希望が出てきたんです」

「へえぇ…そうなんだ。なんか感動的だなぁ」


コータスの話を聞いていたピカチュウは、キラキラした目で溜息混じりに話していた。

そんな彼女を横目で見ながら、ジュプトルは何かを考えている…

ヘイガニもそれが気になったのか、ジュプトルに訊ねる。


「どうした?」

「いや。――コータス…お前、家族を失ったと言っていたが…一体何があったんだ?」

「……」

「おいジュプトル…」

「あぁすまん、言いたくないなら言わなくていいんだ。ただ、……半年前、というのが引っかかって」



ジュプトルはコータスの話を聞き、ある推測を立てていた。

【コータスはもしかすればゲートで、彼女を狙い、絶望させるためにファントムが仕組んだ事故ではないのか】……と。

相手を確実に絶望させるには、家族を殺したりするのが有効。

コロトックの件も間接的ではあるが、絶望してファントムを生み出しかけた…

しかし、家族を失って…絶望的な状況にいながらも、コータスがファントムを生み出さなかった理由は……彼女に居場所を提供した、オニゴーリだ。

彼の存在がコータスにとっての希望となり、ファントムを生み出す一歩手前で阻止することができたのだろう。


(そうなると…近いうちに、コータスを絶望し損ねたファントムが現れる可能性だってある。そうなると…)

「……なあ、ちょっと気になったこと言っていい?」

「オオスバメさんもかよ…あんまりプライバシーに関わることは、訊ねないようにな…」

「うんヘイガニ、それは大丈夫。――ただ…さっきからみょーに、視線を感じるんだよ。何でか知らないけど」

「「「…視線?」」」


オオスバメの言葉に、ヘイガニを筆頭とした誰もが声を上げていた。

セレビィとオオタチも薄々気配を感じていたのか、キョロキョロと周囲を眺める…

すると、セレビィが…窓の外からこちらを見ているブーバーンに気付き、声を上げていた。

ブーバーンもセレビィに見つかったと知るや否や、慌てて逃げ出す。


「あっ、皆、あそこに怪しいポケモンが…!」

「「「え!?」」」

「あの人は確か…今朝も【雪花屋】を覗いていた……?」

「…まさかっ!」




コータスの話を聞いたジュプトルは、自分の予感が的中したのではないかという不安に駆られていた。

ジュプトルはすぐさま外に飛び出すと、ピカチュウとヘイガニもオオスバメの背に乗って追いかけ、単なるストーカーでも一人にはしておけないだろうというムクホークが、コータスを【雪花屋】まで送る。

少なくとも、この中にいる者達よりは…オニゴーリのいる【雪花屋】のほうが安全だと、判断したのだろう。

実際あの館長、強いし。


「くそっ…セレビィ達は待っていろ!」

「あ、ちょっとジュプトル!?待ってってばー!」

「オオスバメさん、あいつ追いかけてくれねーか!?人違いならぬポケモン違いだった時、謝り倒すポジションは必須だ!」

「ヘイガニ苦労してるなー」

「も、もしかしてストーカー…なのかな…?とりあえずコータス、【雪花屋】に戻ってる…??」

「あ…はい」


ぎゃあぎゃあと宝石店の内部は大騒ぎ。…いつものことだが。

オオタチも「え、あれストーカーなの?」と野次馬根性丸出しで追いかけ…

1人残されたセレビィは、相変わらずせっかちなジュプトルとおっちょこちょいなピカチュウに溜息をつきつつも、溜息をついていた。


「はあ、まったくもう…」






〜〜〜






ヘルハウンドはうまく人目を盗み、森の中に来ていた。

すると…

そこにメデューサが現れ、くすりと笑みを見せる。


『どう?ゲートは絶望できそうかしら』

『お任せください。今さっき、ゲートを絶望の底に叩き落せる方法を思いついたばかりですから』

『あなたには期待しているわ。その漆黒の炎で、ゲートの身も心も…絶望で燃やし尽くしなさい?』


メデューサはそう言うと、厄介ごとが起こる前にその場から立ち去る。

しかし、そんな彼女を呼び止めたのは…フェニックスだ。


『よぉメデューサ。仕事は順調のようだな?』

『…邪魔さえ入らなければね』

『いいのか?ウィザードは既に3つの属性を手に入れている、そろそろ潰しちまったほうがいいんじゃないのか?』

『まだよ。ウィザードには、まだ仕事がある…そのためにはもっと強くなってもらって、自分の中にあるファントムの力をもっと高めてもらわないと困るわ』

『――押さえ込んでいるファントムの力がウィザードの希望を上回って、最強最悪のファントムでも生み出すってか。でも、そんなことができるか?』

『できるわ。…私なら絶対に、ね』




その頃…

オニゴーリは深い溜息をつきながら、ある物を見ていた。

ずっと大事にしまってきた物。

何度も捨てようと思ったが、捨てきれず、戸棚の奥にしまってあった物。

彼はそれを取り出すことはせず、静かに戸棚の戸を閉め、一息ついていた。

…その目は、どこか辛そうでもある。


「………ユキメノコ…」

「――どうしたの、あなた?」


はっと背後を振り返ると、そこにいたのはユキメノコ。

彼女は「建物の中を見たい」と言って、部屋を出ていた…

彼女がこのポケモンタウンを離れ、これまでのことを忘れていた期間は長い。

正直、今も完全には思い出しておらず、少しでも思い出すために……と自分から頼んでいたのだ。

オニゴーリが「案内しようか」と言っても、迷子になる広さでもないから大丈夫、とやんわりと断っていた。


「いや、何でも。…つか、いきなり声掛けるなよ」

「ごめんなさい…そうだわ、あなた、今度は一緒に街を見に行きたいわ。それから」

「待て。……何か、焦げ臭くないか」

「え?」



【雪花屋】の玄関前では、一匹のニドキングが目頭を押さえながら中に入ろうとしていた。

探検隊【キングース】の一員であるニドキングは、【雪花屋】で部屋を借りている探検隊の1人。

昨日も夜遅くまで探検隊活動をしていたため、彼の心境としては、このまま部屋で寝たいというもの…

そんな彼の寝ぼけた頭も、ある“臭い”によって完全に醒めることになる。


「んー、ねむ…。……ん?この、木が焼けたような臭いは…まさか!」


ニドキングは慌てて臭いのする場所に向かうと、そこで、信じられないような光景を目にする。

そんな彼の姿を、偶然にも何人かのポケモン――それも、【雪花屋】を活動の拠点にしている探検隊――も見ており、何があったのだろうと野次馬根性丸出しでその後を追いかける。

すると…

……その先にあったのは、【雪花屋】の南棟が燃えている光景だった。






***




この館長…

25歳でしかも嫁持ちだった、だと…?

ウソダドンドコドーン!!←


スメルで事故るジュプトルw

巻き込まれるオオタチww

いや、でもこれ、さっさと起きないピカチュウが悪い空気ですよ…ジュプトルにも非はありますが。

っていうか、「ランドのディフェンドは〜」ってジュプトルお前w

そりゃ確かに、他よりは一番派手に壊れそうな印象があるけど!!←



トリプルバカキリバw

トリプルアホラーターww

セクスタプル押すーゾwww

…まともなのはヘイガニしかいませんか、そうですか…

これはヘイガニ、最後まで一般人・苦労人・常識人ポジションフラグだな……←


今回のゲートはオニゴーリとコータスどっちなんでしょうねー。

予想の斜め右で、ブーバーンとかユキメノコとか、いっそニドキングとかw(待て

しかし、メデューサもですが…現状、フェニックスも身バレしてないんですよね。

そろそろしそうな勢いですけど。

ヘルハウンド?それは次回出ます。




ところで敵がヘルハウンドですが、ウォーター、お前いつ出るんだ←トドメ