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タイトル未設定 - 41話:絶望の歌声

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41話:絶望の歌声

Episode5 失った先にあるのは
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コータスは思いつめた表情で、頭を抱えていた。

…グレムリンに襲われて、彼が目の前で消滅するまでの間の記憶が、ないのだ。

しかし…

どうやら自分の中に得体の知れない“何か”がいるのは分かっているようで、それが尚更彼女の不安を増していく。

――そもそも、コータス自身…記憶に曖昧な部分が多いのだ。


そもそも、オニゴーリに拾われる前の記憶も非情に曖昧で…

ただ漠然と、『自分がとんでもないことをしでかした』という罪悪感だけは残っている。

どうしてそんな気持ちを抱いていたのか、それを確かめたくても…実際に確かめに行く勇気はなかった。

欠けた記憶の手掛かりは【灼熱火山】にあると知っていながらも、確かめに行こうとは思わなかった。

いや…

真実を知ってしまえば、自分の存在が否定されそうな気がして、行けなかったのだ。

そうして真実を知ろうとする気持ちを押し込め、忘れかけていた頃に……思い出される。


(私は、一体…何者なんでしょうか…)



自分の中にいる“何か”は、今の自分を否定している。

本当の自分ではないと、訴えかけている。

…どうしてそんなことを感じるのか

…自分が一体何者だと言うのか

そんなことを考えている彼女であったが、扉の僅かな隙間から一通の手紙を通されていたことに気付く。

オオスバメならもっと騒がしく届けに来るはずだろうし、ムクホークは今【雪花屋】で仕事を(渋々)しているオオタチに渡すよう頼むはずなので、オオタチの喧しい声が聞こえてくるはずだ。

とにかく扉を開けて確認しようとするが、相手は既に姿を消しており…コータスは何なのだろうと思いながらも、手紙を開いていた。


「えっと……、…!?」




――拝啓、コータス様

私はあなたの正体を、本当の姿を知っている

どうやらあなたには、抜け落ちた記憶があるようだけど…

恐らくそれは、覚えてもらっていては都合が悪いと思った白い魔法使いが忘れさせたもの

私としては、同胞が自らの使命を忘れて安穏と暮らしていることは、不幸だと思っている

だってそうでしょう?

ワイズマンの命を遂行できないまま、ただのポケモンのふりをして生きていくなんて、不幸でしかないわ

…さて、前置きが少し長くなったけれど、用件を手短に言うわ

【灼熱火山】に来なさい、そこであなたの本当の姿を教えてあげる

来なければ来ないで構わない。その場合はあなたの目の前で、あなたの大事な人を殺すまでだから

――心優しい同胞より




「…なん、ですか、これは…。……ワイズマン、って…」


この手紙を読んだコータスは、大体の察しがついてしまう。

…自分は、ファントムなのか…?

そんなことはない、と言いながらも、夢の光景とも合点がいくためか完全に否定することができない。

それに…

『来なければ自分の大事な人を殺す』

その内容にコータスは暫く考えた後、意を決して【灼熱火山】に向かうことを決めた。

だが、一人で勝手に行ってしまえばそれだけ皆が…オニゴーリが心配するだろう。

そうしているとセレビィと鉢合わせ、コータスは彼女に言付けを頼んでいた。


「あ、セレビィさん…」

「コータスさん?どうしたの、顔色悪いようだけど…」

「あの、実はちょっと…里帰りしたいな、と思っていまして。【灼熱火山】のほうに…」

「えぇ?随分と急すぎるじゃない、どうかしたの?」

「……と、とにかく…お願いします」

「あ、ちょっと!……行っちゃった…どうしたのかしら?」



コータスはそれだけ言うと、足早に去っていく。

きょとん、とした顔で首を傾げた後、セレビィは何事もなかったかのように言伝を伝えようと近くにいそうな人物を探しに行く。

…恐らくオオタチは当てにならないせいでノーカンなのだろう…

しかしそのオオタチはというと、

――近くにあった花瓶置き用の小棚を開け、登場していた。


「……ちょいっと面倒なことになりそうだなぁ」






〜〜〜






【神の頂】へ向かうべく、共に旅を続けていたブイゼル・ヨノワール。

しかし…

現在彼らは、【凍てつく大地】付近で迷子になっていた。

迷子になっていたと言うべきか、行く先々にファントムと遭遇し、それの相手をしているうちにこうなったと言うべきか…

その上、運の悪いことに悪天候による吹雪で視界が悪く、このまま【極寒の霊峰】に進むのは難しいだろう。

ブイゼルは「寒ッ!」と声を上げながら、肩掛け鞄の中に入っていたブランケットを羽織る。

その一方で、ヨノワールは地図を広げながら、「ふむ」と考える。


「……どうやらこの近くに、集落があるようだな」

「そ、そこでややや、やややすむか…!」

「…天気もそうだが…お前がその調子では、先に進みようがないからな。ところでこの風で、ライドスクレイパーは飛ばせるか?」

「う、ううううう…む、難しいんじゃないか?……寒い…いや、風もどんどん強くなってるし、…さぶぶぶぶ…強風に煽られて、飛ばされるるるるるのがオチチチチチチチt」

「落ち着け。……とりあえず、今以上に視界が悪くなる前に集落に着くぞ。こっちだ」




ヨノワールの案内でやって来たのは、かまくらと呼ばれる、雪を固めてドーム状になるよう中を掘ったもの。

雪でできたとは思えないほど暖かく、ここに済むウリムー達も快く2匹を受け入れていた。

そして…

ブイゼルは母ウリムーから暖かい飲み物を貰い、体を温めていた。


「はい、どうぞ」

「う〜…やっとあったかいものにありつけた…!」

「それにしても、寒かったでしょう。あなた方も、探検隊ですか?」

「いや。我々は、個人的な用で【極寒の霊峰】に向かおうとしていたのだ……ところで、この吹雪はいつぐらいに止むか分からないだろうか?」


ヨノワールも母ウリムーから飲み物を受け取りながら、尋ねる。

すると、父ウリムーと母ウリムーは顔を見合わせ…

「無理なんじゃないか」と言うような顔をしながら、話していた。


「……うーむ。それはちょっと厳しいんじゃないですかね…この吹雪はいつ止むか分かったもんじゃありませんし、無理に進むと霊峰の地理に詳しいポケモンぐらいしかまともに進むことができませんよ」

「ええ…私達はこの【凍てつく大地】ぐらいなら案内できますが、強いポケモンが多く存在する【極寒の霊峰】ともなると……」

「そう、か…。あなた方以外で、他に案内のできそうなポケモンは?」

「…それも厳しいですね。この辺りのポケモンで、霊峰まで行きたがるポケモンなんていませんから…」

「1匹だけいるにはいますが、そのポケモンは今、ポケモンタウンで暮らしていますからねぇ…。吹雪が止むのを待って、進むのが一番よろしいかと思いますよ?」



父ウリムーと母ウリムーの言葉に、ヨノワールは頭を抱える。

…この吹雪だ、無理に行くと遭難しかねないのは目に見えている…

だが、このままここで足踏みしているわけにもいかない。

なんとしても白い魔法使いと接触し、全ての真相を聞き出さねば…

ブイゼルは肩にブランケット、腹には子ウリムーを抱えた状態で、外を眺める。

吹雪は一行に止む様子がなく、止んだとしても雪が大量に積もって進みにくくなってしまうだろう。

ライドスクレイパーがあるなら空から移動すればいい話だが、【神の頂】に通じる道に行くには、どの道途中で【極寒の霊峰】の内部を進まなくてはならなくなる。


「……ま、焦っていたってしょうがないだろ。ここで無理に行くよりも、体を充分に休ませて…一気に登山する!これが一番だ」

「一気に登山できればいいのだがな。……まあ、仕方あるまい。無理に進むよりはそちらのほうがいいのは、事実だ」

「それにしても、――やっぱ毛皮あったかいなぁぁぁ…ぬくぬくぅぅぅ…!!」

「うりー」

「……ほどほどにしてやれ。相手は子供だぞ」




その頃…

【神の頂】には、ヨノワール・ブイゼルよりも先に……思いも寄らぬ人物が顔を見せていた。

――ペガサスファントムだ。

「誰かいませんかねー」と勝手に入り込んだ上、階段を上るペガサスであったが、その首元に剣が突きつけられる。

そこにいたのは、白い魔法使い。

彼は殺気を隠すことなく、ペガサスに言い放つ。


『……何の用だ。ここは、貴様がそう易々と訪れていい場所ではないぞ。そもそも、どうやってこの空間に…』

『いやー、こっちは【他人のアンダーワールドに入り込める】っていう凄く便利な能力があるわけですよ。例えば……誰かのアンダーワールドを介して、あなたのアンダーワールドに行く事だって可能』

『何?……だが、それをやるにしても、私に繋がる人物のアンダーワールドでない限り』

『だからこそ!…ちょい面倒な手順を踏んでここに来たわけですよ。ヨルノズク→オオスバメ→ジュプトル→白魔……て感じにね?』


ペガサスの言葉に、白い魔法使いは舌打ちする。

ハーメルケインを持つ手を緩めることはなく、いつでも相手の首を切れるよう準備している彼…

しかし、追い詰められていてもペガサスは尚、余裕の表情。

何故なら、…ペガサスにはこの状況を脱せる手段があったからだ。


『殆ど命が尽き掛けのところ恐縮ですが、――あるファントムがセイレーンの正体に気付いちゃったんですよねぇ』

『なん、だと…!?まさか、貴様!』

『おっとっと。自分はそんな無粋な真似しませんって、だって、どっちかというとあなたを焦らしたり、ファントムと協力する場合…ワイズマンに取り入るために売るために温存してた情報ですし』

『……何処まで本当だかな』

『いやー、こっちだって生活あるんだからしょうがないんだって。……あ、ウィザードと協力する場合にはばらすことはしませんでしたよ?ヘタすりゃ最強最悪のファントムなんて、生み出したくないですしおすし』



それほどまでに怖いんですよねー、とペガサスは苦笑しながら言い放つ。

…ペガサスの言う【最強最悪のファントム】とは、間違いなくオニゴーリの中にいるファントムのことだ。

ジュプトルの中にいるドラゴンも、日に日にその力を増してきている…いつ、ジュプトルの中の希望を上回って生み出されるか分からないほどに。

だが、そのドラゴンよりも…初期の段階で高い魔力を持っている。それがオニゴーリの中のファントムだ。

だからこそ……オニゴーリを魔法使いにする、と言う選択肢はなかった。

少なからず万全ではない自分が相手にするには、いささか厄介すぎるから…彼にしてみればワイズマンを2体、相手にするようなものだ。


『……』

『とにかく、早く行ったほうがいいんじゃないですかね?』

『言われなくても、そのつもりだ。……ッ』


白い魔法使いは体の限界が来たのか、その場に膝をつく。

あらら、とペガサスはその様子を眺めると、白い魔法使いから離れる。

息遣いは荒く、すぐにその場所まで向かうことはできないだろう。

しかし彼はそれでも何とか現場まで向かおうと、立ち上がろうとしている…

見かねたペガサスは、白い魔法使いに尋ねていた。


『――どうしてそこまでして、ただのファントムに肩入れを?』

『…』

『確かにセイレーンを利用して、魔法使いを生み出したのは事実。だけど、それ以上セイレーンに肩入れする理由はないですよね?そもそも、役目を終えればすぐ殺すこともできたはず』

『……』

『ずっと気になってたんだ。【ファントムに対する切り札】…それはどういう意味なのかな、って』




『――最悪、今居る魔法使いが全滅した際に…ワイズマン達を即座に倒せるのは、彼女の能力のみだ。だからこそ……生かす必要があった』


暫く沈黙していた白い魔法使いが、口を開く。

その言葉はまるで、ジュプトルやリザードン、ブイゼルがファントム達に全滅される前提で言っているかのよう。

…いや、その前提も考えなくてはならないのだ。

ワイズマンの力はかなりのもの、魔法使いが束になっても勝てるかどうか分からない…ならば、念のための保険も備えておく必要がある。


『…彼女を操るにも難しいとは思うけどねぇ。ワイズマンにセイレーンの能力が通用するのか、と』

『…』

『ん、まあでも、自分の考える最終手段じゃなくてよかったッスよ。――セイレーンをわざと殺して、あのオニゴーリをブチ切れさせて魔法使いにさせるっていう……ね?』

『……そう上手く絶望を乗り越えられればいいのだがな』

『え、あれ、もしかしてその可能性も考えてた?…おーい白ちゃーん??』


ペガサスが何度も呼びかけるも、白い魔法使いは階段を静かに下りていくばかり。

そんな彼に、ペガサスは軽く溜息をつくと…

何事もなかったかのように、その空間を後にしていた。






〜〜〜






オニゴーリが戻ってくると、オオタチはともかくコータスの姿がどこにもないことに気付く。

オオタチだけなら「あいつまたサボりやがって」と怒るだけで済む(後、帰ってきたら氷の礫)のだが…

コータスまでいないとなると、考え物だ。

自分に黙ってどこか勝手に行くような性格ではない、と分かっているからこそ、書置きもなしにいなくなったのが不安でならない。

…そうしていると、タイミングがいいのか悪いのか…

オオスバメがやって来て、オニゴーリに手紙を渡す。


「はーい、スピード・デリバリーでぇーす!」

「今お前の相手してる暇はないんだ、オオタチと遊んでろ!…あ、そのオオタチもいなかったな…じゃ息止めてろ」

「えっそれ酷くない?そんなことはさておき、館長宛に手紙だよ」

「手紙?」

「ただ、差出人が不明なんだよね」

「……!?」


『差出人が不明』

その言葉を聞き、嫌な予感が頭を過ぎったのか…オニゴーリは「手紙を貸せ」とオオスバメに言い放つ。

オオスバメは「貸すも何も館長宛だし」、と文句を言いつつも、手紙を渡す。

そして…

手紙の内容を読んだオニゴーリは、何も言わず飛び出していく。

残されたオオスバメは戸惑うばかりだが、その際オニゴーリが落としていった手紙に目を落とし、驚く。


「えっ、え、これ…えええ!?」




お前の希望は私の手中にある

返して欲しければ、【灼熱火山】に一人で向かえ

魔法使い達を連れてくれば、即座に奴は殺す

――メデューサ




大変だ、と何度も狼狽えながらも、オオスバメはこのことをジュプトル達に相談しようと彼らを探しに行く。

…が、生憎と【ブレイブス】は今日も依頼で忙しく、バンギラスやリザードンも「ファントムの尻尾を掴みに行く」と言って今日はポケモンタウンにいない。

ヘイガニとギャラドスに関しては、建築用の素材を取りに行くため【彩の森】に向かっていると聞く。

どうしよう、とオオスバメが頭を悩ませていると…


「――あ、そうだ、ポポッコさん。あの人、今日ルージュラさんに取材って言ってた!」


何とか思い出した『今一番早くコンタクトが取れそうな人物』が、ポポッコ。

まあオオスバメにしてみれば皆早く接触できることに変わりないのだが、雪花屋から一番早く行けるのがPPC(ポケモン・プロデュース・カンパニー)だったためか…

オオスバメは全速力でPPCに向かい、更にそこからジュプトル達の依頼先である【オボンの森】に向かっていた。






その頃…




【灼熱火山】の奥地に、コータスは一人でやってきていた。

ここまで野生のポケモンに襲われる様子はなく、むしろ、奥に行けば行くほどポケモン達の状態は悪い。

まるで、心がここにあらずと言ったような…

そうしていると、奥のほうに一体のファントムが見えてくる。

――そこにいたのは、メデューサだ。


『フフ…ちゃんと来たのね』

「……あなたが、手紙を送ったんですか?」

『そうよ。ちゃんと書いていたじゃない、【心優しき同胞】って』

「どういう、意味なんですか。私が…あなたの、同胞って……」

『あなただってもう気付いているんでしょう?自分が、ただのポケモンじゃないってことに……いい加減目を覚ましたらどうなの、セイレーン?』


……セイレーン

その名前を聞いた瞬間、コータスはどこか懐かしい響きを覚える。

だが、即座にその名前のファントムが…白い魔法使いと共におおkのポケモン達を絶望させ、大量のファントムを生み出した存在と同じ名前だと言うことに気付く。


「セイレーン…って、そんな、私は」

『本当に演技が上手くなったものね。あんな残酷なことを自分でしておきながら…いえ、むしろ、……本当に覚えていないの?』

「え…?」

『テディスがいてくれたらやりやすかったんだけれど…いないものはしょうがない、今からじっくりと思い出させてあげるわ。本当のあなたを』



本当の、自分。

メデューサの言葉にコータスは戸惑い、ズキリと頭が痛むのを感じる。

…そして流れ込む、失われた記憶。

そこではポケモン達に対して残虐無比な仕打ちをする、“自分”の視点が映し出され…

それが夢の中で見続けてきた“自分”の姿と重なり、セイレーンとしての人格と心が表に出てこようとする。


「……やめっ、私…私は……ッ!」

『今のあなたは偽者。私の推測だけど…白い魔法使いが用事が住んだ後のあなたの、セイレーンとしての記憶を消して……食らったゲートの記憶を頼りにそのゲートとして生きることしかできなかった』

「違、」

『いい加減認めなさい。――セイレーンはあなたが思っているほど優しくはない。今のあなたは偽りの存在で、本当はファントム一残酷な女…道中、様子のおかしいポケモン達には会ったでしょう?……あれは、あなたがやったのよ』

「……え?」

『ゲートから生まれたばかりのあなたは、その歌声で…沢山のポケモン達を!止めに入ったファントムごと、その心を壊した!!……【絶望の歌姫】とはよく言ったものね』


メデューサの言葉に、ビシリ、と心にヒビが入るような音が聞こえる。

そして…

全て思い出したのだ。

セイレーンとしてやってきた、所業の数々を。

白い魔法使いと遭遇し、それ以降の記憶はまったくなかったが……彼と邂逅するより前の記憶は、全て鮮明に思い出されていた。

……残酷なまでに、おぞましい記憶を。




「――あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」






オオスバメから徴集を受け、ジュプトルとピカチュウは依頼をミロカロスに任せてポケモンタウンに戻ってくる。

更には、ポポッコやヘイガニ、リザードンにバンギラス、そしてギャラドス…

全員が全員、PPCにある空き部屋に集まってきていた。

ヘイガニとギャラドスに関しては、資材をちょうど調達し終えたところだったためか、運ぶのをカイリキー達に任せてすっ飛んで来てくれたようだ。


「わーん、どうしようジュプトル、これどうしようー!?」

「落ち着け馬鹿鳥!……敵の狙いは、館長を絶望させることだ…」

「だったら、早いところ【灼熱火山】に向かわないとな!」

「…いいんですか?リザードンさんはともかく、【ブレイブス】はゴールドランクじゃない…ランクの基準値に達していないのに、現在のランク以上の場所に向かうのは禁止されてるんですよ?」


リザードンが意気込んでいるところへ、ポポッコが釘を刺す。

…確かに、ジュプトル達【ブレイブス】はシルバーランク…

【灼熱火山】の手前にある【紅蓮の大地】までならば依頼や探検で行くことは可能なのだが、そこから先に進もうとすると……規約違反と見なされ、罰則が与えられる。

違約金を払うか、暫く拘置所に入れられるか、はたまた暫くの機関の探検隊活動を自粛と罰則は様々だが…場合によっては、探検隊を除名することにすらなる。

…例えどんな理由があったとしても、だ。

流石にそんなことをしてしまえば、ピカチュウの夢は叶わなくなってしまう。

ジュプトル達が頭を悩ませていると…部屋にルージュラがやって来て、「あら」と声を掛けていた。



「あなた達、【灼熱火山】に行きたいの?……だったら依頼として、私を【紅蓮の大地】まで連れて行ってくれないかしら?一度あそこの温泉、入りたかったのよね〜」

「……へ?」

「いや、すまないが、今それどころじゃあ」

「私としては、そうねぇ、そこのピカチュウやポポッコは女の子同士話したいこともあるし…念のための護衛として、そこのヘイガニ君が来てくれると嬉しいわ〜」

「いや、だから!?」

「待て、お前ら。――そうか、そういうことか」

「分かった。だったらこの依頼、俺とピカチュウとポポッコで受けるぜ……あ、それからルージュラさん、あそこの温泉宿で一泊する気はないか?それだったら荷造りする必要もあるわけだけど」

「あら、それいいわね〜。最近肩の凝りも酷いし、いっそ一泊ぐらいしちゃおうかしら?」


ルージュラの素っ頓狂な申し出を、ピカチュウとジュプトル、リザードンは断ろうとするが…

バンギラスはその意図が分かり、ヘイガニは勝手に話を進める。

「何でそんな勝手に」とピカチュウは叫ぼうとするが、その口をポポッコが止めていた。


「……成程。依頼は【私とピカチュウさんとヘイガニさん】で受けます。【バンギラスは温泉宿の取材】ってことで同行させてもいいですか?どうせ【荷物持ちも必要ですし】」

「え…え?えぇ??」

「あ、…そういうことか……会長、あんた」

「さあて、そうと決まったら早速準備よ。……あぁ、そうだ、急だし下見も必要よね。というわけで、ヨルノズクさんに頼んでオオスバメを借りていくわ、【灼熱火山辺りの状況も気になるし】ね?」

「…!」




ポポッコやルージュラに言われ、ピカチュウはようやくルージュラの意図を汲み取ったのだ。

――そもそも、ギャラドスは保留という形で【ブレイブス】に所属している。

更にジュプトルも、雪花屋の借金を返済するまでの間、【ブレイブス】に仮所属している形だ…

そのギャラドスとジュプトルが、『ルージュラの持っていく荷物に紛れ込んで』行く分には何の問題もない。

万が一他の探検隊と出くわすようなことがあったとしても、【キングース】が【灼熱火山】での依頼を請け負っていない限りはその可能性は限りなく低い…

更に、ゴールドランクである【Bバースト】のリザードンは『取材に行くバンギラスの護衛』という口実でついて行くことができる。

【キングース】とギャラドス・ジュプトルが鉢合わせたとしても、リザードンの依頼に同行していると言えばどうにでもなるのだ…というより、そもそもオニゴーリとコータスの一大事となれば、世話になっているニドキングはどうにか口裏を合わせてくれるだろう。


「ルージュラさん…」

「…まあ、あの館長に惚れてたのは事実だし。あのコータスも結構いい子だから、何とかしてあげたいのよねぇ」

「恩に着る。――よしギャラドス、あんたの入る寝袋を探しに行くぞ!」

「いや、ちょっとそれ不自然じゃねぇか?……おい話聞けジュプトル!」

「……まあ、ちょーっと…あの2匹とオオスバメが行く、ってのに不安を感じるけどね。ついでにリザードン」

「…そこは俺が殴ってでも統率する」


バンギラスは拳に力を入れながら、ルージュラに約束する。

「そいつはいいね」とルージュラは大笑いし、バンギラスは暴走するジュプトルを拳骨で殴った後、準備を始めていた。



だが…

その際ヘイガニは、疑問を覚えていた。


(――あれ、そういえば、……どうしてオオタチとセレビィは来てないんだ?オオスバメさん、あの2人と会えなかったのか……??)






***




この辺から最悪な状況に向かって一直線。

多分、40話までにあった無駄ギャグ回(パニック!ポケモンタウン・風邪を引いた魔法使いなど)の類は無くなると思います。

そして、そのギャグが恋しくなるぐらいには…暗くしていきたいなぁと。

オオスバメが唯一の救いになる、って言うのは割とありえるかもしれない。


そもそも

1〜10話→主要メンバー6人のキャラを固める

11〜20話→主要メンバーの補足・ビースト加入

21〜30話→いまいち目立たないピカチュウの活躍+ビーストに関する話

31〜40話→白魔・コータス・オオタチ辺りのフラグを明らかにしていく

…という内訳になるように進んでいたんですよね。

尚、41話以降は

41〜50話→セイレーン・ペガサス・メデューサ関係+オオスバメとジュプトル関係

51〜60話→白魔関係+最終決戦? 死人は多分出るか出ないか

……と、なって行く予定ではいます。

後はNOVEL大戦INFINITELY関係ですかねー…



館長はどんだけ強かったんや…(困惑)

どう足掻いても絶望ってこの事ですね、分かりました。

少なくとも、白魔はもう戦うことはなさそうな感じですねー…

ところで、映画のこよみんはどうして白魔になったのだろうか。笛木関係だから?

それとも3色メイジが出るのに白魔出ないのは…って理由から?←


ルージュラさんええ人。

間違いなくええ人。

ヘイガニは結構頭、いいほうなんですよねー…

まあ、【ブレイブス】の頭脳担当としてポポッコが来てくれるまでは…本当に、うん……

いや、ミロカロスさんも常識人として凄く優秀なんですよ?

むしろジュプトルの常識のなさと、ピカチュウのストッパー力の低さが致命的なんだ…!!




………

ヒロインは…ピカチュウ、なんですよ……?(今更)