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タイトル未設定 - 32話:万能の魔法使い

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32話:万能の魔法使い

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突如テディスによって、ジュプトルに関する記憶を消されたビースト…

それだけではなく、彼は記憶を書き換えられ、【ウィザードがゴウカザルを絶望させた】と思い込み彼に攻撃を仕掛けていた。

放たれるミラージュマグナムの一撃。

それはウィザード・ハリケーンスタイルの背後にあった壁をも豪快に壊し、辺りには砂塵が舞う…

しかし、それらが晴れた後、ビーストハイパーやテディスの目の前にあったのは

――1匹分なら余裕で入り込める、穴。


「…なっ…!」

『成程…形勢を立て直すために、撤退したと言うわけですか…』


あの直前、ウィザードHSはランドスタイルへと変身していた。

そして、そのまま地面に穴を掘って逃走…

流石にディフェンドで守りきれるわけもなく、ドラゴンの力を借りた形態になって“スペシャル”や“グラビティ”と言った魔法を使えば時間が足りなくなる。

そういう意味で、咄嗟にランドスタイルを選んだのだろう。ジュプトルの変身するそれは、彼自身が“穴を掘る”を覚えている影響からか……魔法を使わずとも穴を開け、地中を移動できる。


『しかし…もう逃げ場はありませんよ、指輪の魔法使い…』




何とかジュプトルはポケモン通信社から逃げ出し、探検隊立ち寄り所に避難していた。

…まさか、あんな能力を持ったファントムがいるなんて

…もしかすれば他の仲間も

どうにかしてテディスを倒さなければ、リザードン達の記憶は奪われたまま。

それどころか、自分に襲い掛かってくる可能性もありえるわけだ。

そうしていると…

セレビィが近くを通りかかり、ジュプトルは彼女に声を掛けていた。


「……セレビィ!」

「きゃっ!?ちょっと、いきなり何なのよ…驚かさないでよねっ」

(やはり、俺のことを覚えていない…か)

「あら、あなた…もしかして」


セレビィはジュプトルの顔を見て、顔を顰める。

そして…

偶然ミロカロスがやって来たかと思えば、大声で叫び始めていた。


「あれは…!皆、大変よ…さっきお尋ね者板に更新されたばかりの、大盗賊ジュプトルが……この立ち寄り所に来たわっ!!」

「ああっ、思い出した…あなた、狙った獲物は逃さない百戦錬磨の凶悪大盗賊の…!」

「本当か!?」

「よおし、俺達が捕まえるぜ!」

「いいや、僕達だ!」

「覚悟しろ、盗賊め!」

「なんとも懐かしい言われ様!…とか言ってる場合じゃないか…!!」


盗賊扱いを受けていることに、過去の世界でのことを思い出しつつも…

ジュプトルは急いでその場から逃走し、それを他の探検隊達が一斉に追いかける。

そんな彼の様子を見ながら…

セレビィは静かに、立ち寄り所の受付嬢としての仕事に戻っていた。






〜〜〜






【神の頂】を探すべく、高い山を登るヨノワール。

そんな彼の後を、ブイゼルは身軽な身のこなしでついてくる…

ヨノワールとしては彼がこのまま付いてくることに危険を感じていたが、どんなに引き離そうとしても(種族値の差か)引き離すどころか距離を縮めており、無駄な体力を使う前にヨノワールが折れていた。

ようやく話ができる、と喜ぶブイゼルだが、ヨノワールとしてはあまり自分のことを話すつもりがない。

しかし…

会話がないのもあれだと思ったのか、ブイゼルのほうが勝手に話し始めていた。


「【神の頂】にさ、俺の命の恩人がいるって話をしただろ」

「…そういえばそうだったな」

「今から2年前、だったかなー。俺さあ、ちょっとした事故に遭ったんだよな」

「…事故?」

「そう、落石事故。ありゃあ不運だったよ、足も折れるし体も動かない。もう駄目だ終わる俺の人生終わった……って思ったね、流石に」

「それを、命の恩人とやらに助けられたのか?」

「…のかもしれないな。俺、その時のことよく覚えてないんだよ……でも、その時こんなことを言ってたな。『時が来れば【神の頂】に来い』って」


ブイゼルの話を、半信半疑で聞くヨノワール。

…本人もその時のことを覚えていないらしく、やはりファントムなのではという疑問が彼の中で高まっていた。

そうしていると、ヨノワールとブイゼルの前にふらりと一匹のモルフォンがやって来て、その場に倒れる。

モルフォンはかなり弱っているようで、ヨノワールはすぐにオレンの実を食べさせようとしているが…

ブイゼルは、眉を寄せながらモルフォンを見ていた。


「…大丈夫か?」

「え、えぇ…ありがとうございます。じ、実は、凶暴なポケモンに襲われて…」

「この辺りに住む凶暴なポケモン…このような岩山ならば、ゴローニャやトリデプスと言ったところだろうか……」

「でも、親切な人に見つかってよかった…申し訳ありませんが、このまま仲間の住む場所まで連れて行ってもらえないでしょうか……?」



「――演技力だけは高いよな、ファントムって」



ぽつり、どころか、盛大に爆弾発言を投下するブイゼル。

そんな彼の言葉に、ヨノワールは目を見開き、モルフォンも驚いた様子で彼を見ていた。

…まさか、知られた?

…そんなはずはない。ファントムを見分ける手段など、あるはずが!

モルフォンは何としてもこの場を切り抜けることに必死だったが、それが逆にヨノワールにも疑問を募らせる。


「そ、そんな。僕がファントムだなんて…何かの間違いです。怪物なんかと一緒に…」

「……あのブイゼルは、ファントムを怪物とは言っていないぞ」

「!…そ、そりゃあ、ファントムと言えば最近有名じゃないですか。この世界を騒がせている怪物で、それを倒しているのが指輪の魔法使いや古の魔法使い、それに万能の魔法使いだって……」

「あれ。いつからメイジって、そんな有名になったっけ?そんな派手にやってるつもりはなかったんだけど」

「…貴様、正体を現せ」

「―――くそーッ!“超音波”で狂わせて、そのまま崖から落として命を落とすかもしれない恐怖で絶望させようって魂胆だったのに……余計な邪魔が入りやがった!!」


モルフォンは、先程までの弱々しい態度から一転…

突如怒り出すと、スフィンクスとしての本性を露にしていた。

それにはヨノワールも驚き、同時に、どうしてブイゼルがファントムを見切ったのか訊ねていた。


「ファントム…!しかし、どうしてお前は奴がファントムだと」

「2年前の事故のショックなのかはともかく…俺は、ファントムであるポケモンとそうでないポケモンの見分けがつくようになったんだ。知ってるか、ファントムってなんかこう…体中からぼわーっと紫色のオーラが」

『そんなことはどうでもいいッ!そこのヨノワールが余計なことをする前に、絶望させてファントムを生み出せとメデューサ様から言われて、こんな辺境の地にまで来たんだ……何としても!ここで!!…絶望させてやるッ!!!』

「――そうは問屋が卸さないってな!」




ブイゼルはそう言い放つと、持っていた肩掛け鞄を広げ…

取り出したのは、白い魔法使いが使うものと酷似したドライバー。

…いや、よく見れば、ベルトの黒い部分が濃い灰色。

それを見たヨノワールやスフィンクスは目を見開き、ブイゼルはそれを腰に巻きつける。


「!…まさか、そのベルトは……」

『まさかっ、――魔法使いの仲間か!?』

「まさか魔法使いの仲間か!…と声がする、光の速さでやってくる……」

「『…は?』」

「風よ、海よ、大空よ!…世界に伝えよデンジャラス、宇宙に伝えよクライシス…天使か悪魔かその名を呼べば、誰もが震える魅惑の響き!!」

<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン! シャバドゥビタッチ、ヘンシーン!>

『ちょっと待て、――おいちょっと待て!そこまで口上言わなくちゃいけないのか?そこまでしなくちゃいけないのかお前はーッ!?』


あまりの口上の長さに、スフィンクスもツッコミを入れることしかできない。

ヨノワールは既に、放置していた。

…しかも、変身待機音も相俟って、壮絶なカオス…

しかしその間にブイゼルはメイジリングをドライバー(白い魔法使いのものと同型だが、色が多少異なるため“メイジドライバー”と名付けるべきだろう)に翳し、変身を開始していた。

右肩には鮮やかなオレンジのマント。

左手には鋭き爪。

――万能の魔法使い・仮面ライダーメイジが、そこに立っていた。


「万能の魔法使い、仮面ライダーメイジ……天怒りて悪を斬る!荒れるぜ〜…止めてみなッ!!」

『…今すぐにでも30分前に帰って、キョウリュウゴールドとキョウリュウレッドに土下座してきやがれぇぇぇぇぇぇー!!?』

「あんまり叫ぶと喉潰れるぞ?」

『お前のせいだお前のおおおおおおお!!』

「まあいいや。お前ら放っておくと面倒だし…覚悟しな!」

<コネクト、プリーズ>



メイジは万能の指輪“コモン”を使い、“コネクト”を発動。

そこからライドスクレイパーを呼び出すと、それを構え、スフィンクスと戦い始める。

スフィンクスは爆発するトランプカードを投げて攻撃するが、メイジは持ち前の身のこなしでそれをかわすと、もう一度コモンリングで“サンダー”を発動させる。


<イエス! サンダー、アンダースタン!!>

「あらよっと!」

『ぐあああああああっ!?』

「同じ指輪で、異なる魔法だと…?そんなことが、可能なのか」

「できるから、できてるんだろ?はい次!」

<イエス! ブリザード、アンダースタン!!>


今度は“ブリザード”による冷気がスフィンクスを襲い、その体を氷漬けにしていく。

それを見ていたヨノワールは、この山に来るまでの途中に出会った、かつての部下のヤミラミ(D)から得た魔法使いの情報とはどれも異なるものだと思いつつ、メイジを見ている…

と同時に、彼の持つ過去に強い興味を持った。

ジュプトルは半年前の儀式の日から、白い魔法使いにウィザードライバーを渡されウィザードとなった。

リザードンも、それから暫くしてバンギラス経由でビーストドライバーを手に入れ、ビーストの変身者になった。

しかし、メイジは違う。

その時はまだファントムが数多く誕生していなかったであろう、2年前から魔法使いの資格を得ていたのだ。

もしかしたら白い魔法使いと言う、謎の魔法使いと関わりがあるのではないか?

そんなことを思いながら、スフィンクスにトドメを刺そうとするメイジの姿を…見ていた。


「さーてと。そろそろ終わりにしてやるか!」

<イエス! キックストライク、アンダースタン!!>

『なっ…こ、こんな奴に……メデューサ様ぁぁぁぁぁーッッッ!?』



激しい水流を纏った、“キックストライク”の魔法。

それにより、スフィンクスは完全に倒され…

その爆発を背景に、メイジは念願(?)だった決め台詞を言っていた。


「――決まったなっ!」

「…」

「あんた、大丈夫か?…つか、あんた、ゲートだったんだな……俺、実際ゲートを見るのって初めてかも」

「何?」

「ほら、さっきも言ったとおり、俺はファントムを見極められるから…特に悪さする様子のない奴以外は、誰かに危害を与える前に倒してたんだ」


と言っても、悪さする気がなかったのは過去に2匹だけだったけど…と呟きながら、ブイゼルは変身を解除。

その一方で、ヨノワールは少しばかり考えた後…

ブイゼルに、魔法使いになった時のことを詳しく訊ねていた。


「……お前が魔法使いになったときのことを、詳しく話してくれないか」

「何だって?…それを聞いて、どうするんだよ」

「…私の知人も、魔法使いだ。だから少しばかり、興味がある」

「へー。あんたもやっと、まともに話を聞いてくれる気になったってわけか。だったら教えるよ」


ブイゼル自身も、ヨノワールが本気で自分の話を聞く気がないと分かっていたのか…

先程は、重要な情報を曖昧に伝えていた。

しかし今はそうではないと分かった以上、正直に、ヨノワールの問いに答えていた。


「――さっきも言ったとおり、俺は2年前…落石事故に遭ったんだ」





――きっかけは、本当に不運な事故だった。

その頃からブイゼルは、探検隊に所属することなく、自由気ままに旅を続けていた…

太陽が戻って以降、誰もが探検隊を志したり…夢を見つけて色々な活動をしているのに対し、ブイゼルには特に何かをしたいと思うことはなかった。

自分は何をすればいいのか…

自分がやりたいことは何なのか…

それを探すために、ブイゼルは一人で旅に出た。

しかし、【竜巻山脈】を登っていたその時、突如落石が発生し、ブイゼルはその下敷きとなったのだ。

運よく一命は取り留めたものの、体が全く動かず、生きているのもやっとの状態。


“俺、こんな所で死ぬのか”


ブイゼルは死を覚悟し、その瞬間、……体に紫の亀裂が入った。

その瞬間、体が突然苦しくなり、自分の体から別の何かが出てこようとしているのがよく分かる。

このまま本当に死んでしまうのか。

ブイゼルが生きることを諦めかけていたその時、彼はふと、考え直す。


(…このまま、死んでいいのか?)

(俺、自分で何をしたいのか分からなくて、それで旅に出た)

(それなのに、やりたいことを見つけられないまま死ぬなんて…そんなの…)

(――犬死にも、同じじゃないか!)



…気付けば、胸を突くような痛みは消え…

自分の中から出てこようとしていた“何か”は、沈静化していた。

しかし、体は思うように動かない。

どの道これ死んじゃうんじゃないか、とブイゼルが思いつつあった、その時だった。

いつの間にか自分の目の前に、白い魔法使いが現れ…体の傷を、治していたのは。


<ヒーリング、ナウ>

「…あんたは…」

『君は、魔法使いとしての資格を手に入れた。……私と共に、ワイズマンを倒すつもりはないか』

「…ハンズマン…?それ、何なんだよ……」

『……ワイズマン。この世界に住む総てのポケモンを、ファントムにしようと目論む…ファントムだ。このまま奴を放っておけば、いずれ賢者の石を手にいれ…ファントムが蔓延る世界となってしまう』


白い魔法使いの言葉に、ブイゼルは困惑する。

…ただでさえ、事故の直後だというのに。

すぐに答えを出すことができず、白い魔法使いの誘いを断っていた。


「…そんなこと、いきなり言われても……よく、分からないし。俺のやりたいことは、…俺が決めたい……だから」

『……いいだろう。だが、君は魔法使いの資格を手にした…いずれ、ファントムと戦う未来は避けられなくなる。身を守る術は、手にしていたほうがいい』

「…何?」

『そして、――もしも君が自分で考えて…ワイズマンと戦う決意を決めたのなら、【神の頂】を探せ。……しかし時間は残り少ない、…それを忘れるな』



そう言いながら、ブイゼルにメイジドライバーを託し…

白い魔法使いは、その場から姿を消していた。

ブイゼル自身も、この時のことは夢だったのではないのかと思っていた。

しかし、偶然立ち寄った集落で、スフィンクスと同じような紫のオーラを放ったニドリーナがおり…彼女はガーゴイルとなって目の前にいたバタフリーに襲い掛かる。

何とかバタフリーを助けるためにブイゼルは近くに落ちていた棒で追い払おうとするが、勝てるはずもなく。

だがバタフリーを逃がす時間は稼げたようで、ガーゴイルは舌打ちしながらブイゼルに言い放っていた。


『…まったく!あんたのせいで、予定が台無しよ……ワイズマンのために、仲間を増やす使命を任されたって言うのに』

「ワイズマン…?じゃあ、あの時のことは、……夢じゃなかったのか…」

『あらぁ?あんたの中にも、ファントムがいるのね…だったら絶望させて、仲間を増やしてあげるわぁ!』


ガーゴイルはそう言い放つと、ブイゼルに対象を切り替え、攻撃を行う。

ブイゼルは何度も攻撃をかわしながら、「どうすればいい」と頭の中で何度も叫んでいた。

…そして…

白い魔法使いから渡されたベルトと指輪の存在を思い出し、それを身につけていた。

『いずれ、ファントムと戦う未来は避けられなくなる』

『身を守る術は、手にしていたほうがいい』

その言葉通り、ファントムと戦う事態が起こった。そして、今、自分の身を守れる希望があるとすれば。


「とりあえず…変身ッ!」

<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン! …メイジ、ナウ>





総ての話を聞き終えていたヨノワールは、考えていた。

…【賢者の石】と言う、新たなキーワード

…そして、ブイゼルが絶望してファントムを生み出していた時の状況

ブイゼルの話では、ファントムらしい陰がその周辺にあったわけではなく、尚のことおかしいとヨノワールは思っていた。

だが…

薄々“その可能性”は予感していたのか、小さな声で呟く。


「……ファントムの大将とも言える、ワイズマン…彼はいつ、どうやって生まれたのか……。彼を生み出すにも、ファントムの力が必要だとは思っていたが……どうやら…」

「え、何?どういうこと?」

「考えてもみろ。ファントムは、ファントムが絶望させることでゲートから生み出される…では、最初のファントムとも言えるワイズマンはどうやって誕生した?」

「それは、……分かんないや」

「私が思うに、ファントムが絶望させなくても…ゲート自身が勝手に絶望して、ファントムを生み出すケースが僅かながらにあると言うこと」


ヨノワールの推測では…

恐らく、ワイズマンは最低でもこの世界に太陽の光や時間の流れが戻った3年前から、ファントムとして誕生した。

他に自分を生み出す同胞が存在しなかった以上、考えられる可能性は…1つ。

ワイズマンは、ファントムが関わることなく絶望し…誕生したファントム。

仮にゲートとなるポケモンを、“絶望の因子”を持っていることにしよう。

絶望の因子を持っているポケモンは、同じ絶望の因子を持ったファントムが絶望を突きつけることによってそれを活性化させ、ファントムを生み出す…

それとは別に、ファントムとは別の…何らかの要因で絶望の因子が活性化され、それが自分の心を支えている希望を上回った瞬間に、ファントムを生み出す。

――恐らくブイゼルやワイズマンは、後に挙げたパターンだ。

しかし、ブイゼルのように希望を持ち直せば魔法使いの資格を手に入れ…ワイズマンのようにそれが手遅れとなれば、ファントムとなる。


「ええと、つまり、……ゲートが自分で勝手に絶望の因子を活性化させて、自分で勝手にファントムを生み出すってことか?」

「ああ。だが、それで生まれるのは本当に稀なパターンなのだろう。何分、前例が少なすぎる」

「…あー、よく分からない。やっぱ【神の頂】に行ったほうがいいのか」

「それなのだが、どうしてお前はそこに行きたがっている?……ワイズマンと戦う覚悟を、決めたと言うことか」



ヨノワールからの質問に…

ブイゼルは、手を横に振りながら笑顔で否定していた。


「ないない、それはない」

「は?」

「というか、ワイズマンのこと…ファントムのこと…魔法使いのこと。全部分からないのに、ワイズマンと戦えるかって聞かれたら…普通はノーだろ」

「…確かに、それも一理あるな」

「だから…俺はもう一度白い魔法使いに会って、総ての真実を聞く。それから、どうしたいのか決めるさ。……その話を聞いて、俺が何をどうしたいのかな」


その言葉を聞いたヨノワールは、フッと笑う。

…派手に突き抜ける馬鹿だと思っていたが、そうでもないようだ

それにヨノワールにとっても、メイジでもあるブイゼルが同行するのは心強い。

その上、互いの目的が一致している以上、断る理由もないだろう。


「…私も、この世界に起こっている総てのことを知るために…旅をしている。要は、お前と目的が一緒と言うわけだ」

「え、そうなんだ」

「そこで提案なのだが、――私と共に【神の頂】を探そう。とはいえ、先程『不要だ』と言った手前、図々しいとは思うが…」

「――いや、俺は別に構わないぜ!何しろ、伝承でしか伝わっていない場所を探すんだ。2人のほうが何倍も速く見つかるしな!!」




どうやらブイゼルも乗り気なようで、ヨノワールとブイゼルと言う奇妙な二人旅が始まろうとしていた。

だが…

鼻歌を歌うブイゼルの横で、ヨノワールは少し気になったのか、彼に尋ねていた。


「思い出〜今は〜しまっておこう〜♪」

「…。……ところでブイゼル、お前が過去に会った…害のないファントムと言うのは」

「え?あぁ、そのこと。……1匹は魔法使いとして戦ってた奴の中にいたな、ええと確か…リザードンだっけ」

「もう1匹は?」

「あー、それなら…」






〜〜〜






――ポケモンタウンに住まうポケモン達は、既にテディスの手の内に落ちていた。



ヤミラミと合流しようにも、彼は『以前自分から大事な魔宝石を盗んだ極悪人』として記憶を書き換えられているらしく、追い出され…

ヘイガニとギャラドスには、『雪花屋を始めとした連続放火犯』と認識されているのか、容赦なく冷凍ビームや火炎放射を打たれ…

雪花屋に戻ったところで、コータスやオオタチには『オニゴーリが大事に持っていたユキメノコとの婚約指輪を盗んだ』とされており…肝心のオニゴーリはいない。

いや、いたらいたでジュプトルの命が危なかっただろうが。

そして…最悪だったのは、ピカチュウ。

彼女の場合は、『【ブレイブス】のパートナーだったミズゴロウを殺した犯人』となっており、邂逅した時の罵声はかなりのもの…


「……くそっ、一体どうしたら…」


ポケモンタウン中のポケモンから疎まれ、追いかけられ、…流石のジュプトルも精神的に参っていた。

無実を証明しようにも、誰もが聴く耳を持たずにいる状況では逆効果。

テディスを倒そうにも…自分とビーストが協力して戦ってもなかなか勝てなかった相手なのだ、ジュプトル一人ではとてもではないが不利だろう。

どうしたものか、と空を見上げていると…空中から飛来する、一つの影。

「ファントムか」と思ったジュプトルは“リーフブレード”で迎撃しようとしていたが、カウンターを仕掛けるよりも早く、その影はジュプトルにぶつかって来ていた。



「―――ジュープートーるげるふぉれあっ!?」

「そげぶっ!?」


…ぶつかって来たのは、全治3週間なのに空を飛んで脱走してきたオオスバメ。

治っていない翼で飛行するのはかなり危険のため…当然、体勢を崩してぶつかってしまった、というわけだ。

ただ、“燕返し”でなかった分まだまとも。

精神的だけでなく肉体的にもダメージを受けたジュプトルは、何とか起き上がりながらも、オオスバメにチョップをしていた。


「…お前は何をしとるかぁぁぁ!?」

「えるもっ!?……だ、だって、入院生活飽きた…」

「まだ4日しか経ってないだろ…!」

「4日でも飽きたーッ!ジュプトルなんて、せっかちだから2日で飽きるくせにー!!」

「ふざけるな、長くて3日だ!……って、お前…俺のことを覚えているのか……!?」

「へ?いや何言ってんの??…あ、そうだジュプトル…ピカチュウと一体どんな喧嘩したのさ。ジュプトルのこと、知らないとか言ってたけど」


――いや、お前それ、『知らない』の意味を間違えてないか…?

そんなことを思いながらも、オオスバメだけがテディスの【記憶喰い】や記憶改変能力の効果外にいるのは明らか。

…一体どうしてこいつだけ

…病院にいたラッキー婦長達も、俺を見て“タマゴ爆弾”をしてきたのに

そんなことを思いつつも、今は1匹だけでも自分のことを覚えてくれているポケモンがいたことに、ほっと胸を撫で下ろしていた。

『せめてオオスバメじゃなくて館長がよかった』と言う我侭は、言ってもいられないし。






***




メイジの正体発覚!

…というか、バレバレだったでしょうねw

そうですブイゼルです。

ブイゼルのメイジの特徴は、オレンジ色のマントが右肩にあることなんですよねー。


ジュプトルのランドの特異性が脱出に役立つとは…

あの状況じゃ、逃げるが勝ちですよね〜

ただ、テディスの記憶改変能力も本当に鬼畜。

それでもジュプトルを盗賊として認識させるな、それは本家ポケダンネタだw



コヨミのように、ファントムを感知できるポジション…

って…

ブイゼルお前かよおおおおおお!←

ちなみに彼のこの能力、本当に事故の後に備わった能力みたいです。

これに関しては白魔は関わってません。

しかし、…ジュプトル側のシリアスを破壊するブイゼルマジブイゼルw

しかも口上長い!ww

そしてスフィンクスは…別の形で出会えていたら、分かり合えていただろうな(ヘイガニやバンギラスと)……


地味に明かされるヨノワールもゲートと言う真実w

…あんた、「自分はゲートじゃない」とか言ってた自信は何処から来ていたんだよ…

女言葉のガーゴイルに違和感…w

まあ、ヨノワールとブイゼル(メイジ)が一緒に旅をすることになったようで。

……メイジがウィザード・ビーストと共闘できる日は、いつなんだろうか…

少なくとも、Episode4〜5では合流しませんね。

そもそもEpisode4→リザードンの因縁決着中心、Episode5→セイレーン・ペガサス・メデューサの正体発覚&ジュプトルとオニゴーリ中心気味……なので。

と言うか、オオスバメも本当にシリアスブレイカーw




次回は…

速度を上げた時間の中でー♪