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タイトル未設定 - 19話:紅蓮の獣

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その日、バンギラスはある人物と会っていた。

そして…

彼は深い溜息をつきながら、そのポケモンに話す。


「――いい話と悪い話がある、どっちから聞きたい?」

「そりゃあお前、いい話に決まってるだろ」

「…。分かった、じゃあ俺としてはいい話……フェニックスはウィザードに倒された。2度もな」

「……なんだと!?おいっ、話がまったく違…」

「俺にとっての悪い話!……フェニックスは生きている、現に俺の目の前で…復活しやがった」

「…ってことは、何度でも復活するのか?」


ああ、とバンギラスは悪態をつくように呟く。

何度でも復活し、そのたび強くなるファントムなど、厄介であることこの上ない。

しかし…

その話を聞いたポケモンは、「上等だ」と笑う。


「……それでこそ倒しがいがある」

「まあ、“お前なら”フェニックスを完全に倒すこともできるわけだしな。――だが、何度でも復活するファントムを倒した所で…」

「分かってる。俺はフェニックスさえ倒せればそれでいい、そのために……俺はこいつを受け入れた」



その手にあったのは…

ビーストのベルト、ビーストドライバー。

それを忌々しげに見ながら、バンギラスはそのポケモンに話す。


「…復讐のために、か」

「それ以外に俺が戦う理由なんてねぇよ」

「……前にも言ったが、お前が魔法使いとして戦うと言うことは…」

「……分かってる。“あいつ”のファントムを止めることも、俺の戦う理由の一つだ。…お前は前のライブの時のように、バックアップ頼むぜ」






〜〜〜






「――私が思うに、ビーストの正体って……ポケモン通信社のバンギラスだと思うの」




こんなセレビィの意見で始まった、ポケモン通信社での潜入調査。

彼女の意見には思うところもあったのか、ピカチュウとジュプトル、ヘイガニも確かにバンギラスには色々と聞いてみるべきだと考える。

だが、ヘイガニもギャラドスも今日は仕事なので、同行不可…

オオスバメもスピデリがあるし、コータスやオニゴーリも今日は用事があるので無理だと言い張る。

そんなわけで、今日はジュプトル・ピカチュウ・セレビィ・オオタチという、――バンギラスが可哀想でしかないメンバーで行くことになっていた。

ポケモン通信社は、【ポケモン通信】という探検隊用の新聞を始めとした、様々な情報が集まる場所。

仮にバンギラスがビーストでなかったとしても、目撃情報ぐらいは集まるはずだ。

いきなりやって来て入れるのか、とピカチュウは不安に思うが…セレビィに抜かりはない。

事前に入社許可証をここで働く受付のゴクリンから貰っていたこともあり、難なく入れていた。


「……で、バンギラスって何処にいるんだ?」

「さあ…もしかしたら、取材かもね」

「えー…オオタチさんそれフラg………あっ!」


ピカチュウがある写真を見て立ち止まり、叫ぶ。

「一体どうしたの」とセレビィが声を掛けると、そこにあったのは…表彰を受ける、リザードンとゴウカザルの姿。

どうやら、ゴールドランクの授与式の様子のようだが…

ピカチュウは首を傾げるジュプトル達に、必死で説明していた。


「多分ジュプトルたちのことだから知らないだろうけど!この人達……【Bバースト】は、すっごく有名な探検隊なんだよ!?」

「そうなのか?」

「そうなの!……館長も異例の速さでゴールドランクに上り詰めたことで有名だけど、【Bバースト】は探検隊制度始まって初のゴールドランク到達を果たした探検隊なんだよ!!」



ピカチュウの話では…

【Bバースト】はゴウカザル・リザードンの2人だけで結成された探検隊で、炎タイプのみだがその燃え上がるような勢いで以来を次々こなし、初のゴールドランク認定を受けた探検隊。

ちなみに、ヤドキング・ニドキング・コイキングの【キングース】は3番目にゴールドランクとなった探検隊。

オニゴーリは単独の探検家だが、それでもゴールドランクになるまでのスピードが【Bバースト】より速く、更に探険家では初めてということなので、かなり有名なのだ。

そうしていると、バンギラスと……ついでにPPCのフーディンがやって来て、声を掛けていた。


「――よぉ、可愛い女の子を3匹も連れて何してんだ。指輪の魔法使いさん」

「君達は、以前世話になった…【ブレイブス】か」

「「「バンギラスさん!」」」

「ちょうどよかった、お前に話があったんだ。お前…」

「悪いが、俺、これから取材なんだよ。隣にいる人のな」

「PPCの特別取材と言うことで、代表して私が受けることになったのだ。私はルージュラ会長がいいといったのだが、その会長の頼みでな」


ああ、だからフーディンがここに…とピカチュウとセレビィは納得。

一方で、フーディンは壁に掛けられた写真に気付き、バンギラスも目を細めてそれを見ている。

そうしていると、記者であるウソッキーが書類を持って通路を通り、その際バンギラスに声を掛けていた。


「あ、バンギラス!お前、PPCの取材終わったら局長室来いってさ。……まーた危ない橋渡ってんだって?」

「しょうがないだろ。真実を知らせるのが、俺達ジャーナリストの仕事だ」

「だからって、ファントムの取材はやめたほうがいいって。命狙われてもしらねーぞー」

「ご忠告どうも」




本当に分かってんのかー?とウソッキーが呟くと…

【Bバースト】の写真に気付き、「そういえば」とバンギラスに尋ねる。


「そういや、【Bバースト】ってプラチナランク目前で突然姿を消したんだって?」

「えっ…それ、本当なの!?」


ウソッキーの言葉に、ピカチュウが食いつく。

彼女に戸惑いつつも、ウソッキーは何も知らない彼女のために説明。


「あ、ああ。…4ヶ月前、突然…活動停止して姿を晦ましたって。……噂じゃあ、最後に行った【灼熱火山】の探検に失敗してそのまま…失踪したとか」

「不確定な情報は易々と流すもんじゃないだろ、ウソッキー」

「だけどお前、心配じゃないのか?――特にお前、【Bバースト】のリザードンと仲良かったじゃんか」

「仲いいっていうか…単に同郷だったというか……FLB繋がりと言うか」

「「「…FLB?」」」

「あ、悪い、異世界の救助隊ネタだった」

「……あぁ…通りで、デジャヴを感じると思ったよ…」


バンギラスの発言にジュプトル達が戸惑い、フーディンが遠い目をする。

…リザードン不在が痛いほど…FLBだった。

ウソッキーは書類を届けにその場を去り、バンギラスもフーディンの取材のため別室に移動。

その後、局長の所にも行かないといけないらしく、この調子では話を聞けそうにない…

ピカチュウはそう思っていたが、いつの間にかオオタチが自由に動いていなくなっているのに気付き、セレビィ共々叫ぶ。



「……あれ、オオタチさんは!?」

「あの人…なんであんなフリーダムなのー!?」

「ほっとけ、飽きたら自分で【雪花屋】に帰るだろ。それよりも……少し気になるな」


そう言いながら、ジュプトルは【Bバースト】の話を思い出す。

ゴールドランクほどの探検隊が、4ヶ月前に失踪…

もしかすれば、ファントム絡みで起こった事故なのでは…

そんな考えが、ジュプトルの中に浮かぶ。

しかし、彼らの失踪の謎を解くにも、やはりバンギラスとは何としても話をしなければならないだろう。


「…こうなったら、フーディンとの取材を終えたと同時に部屋に突入して……話を聞くぞ」

「流石ジュプトル…せっかち……」

「取材が終わるまで待つだけマシだと思え。セレビィは?」

「長くなりそうだから、ジュース買ってくるわ。先に行って待ってて」




ジュプトルとピカチュウが、取材部屋に向かったと同時刻…

メデューサは受付のマルノームと接触していた。

マルノームは姿を変え、マンティコアとなる。

メデューサは不敵な笑みを見せながら、マンティコアに話していた。


『さて、仕事よ…マンティコア』

『ふふふっ。指輪の魔法使いもその仲間も、まさか自分達がここに入れたのが罠とは予想外でしょう』

『そうね。……あなたの猛毒は、草タイプである指輪の魔法使いには効果がある…この期に乗じて、確実に仕留めるのよ……バンギラスはその次で構わない』

『いいのですか?確か、あのバンギラスを優先して殺せとワイズマンは』

『指輪の魔法使いを殺したほうが得策なのは、あなたも分かっているでしょう?…物事は臨機応変よ、マンティコア』

『……確かに』






〜〜〜






セレビィが、ジュプトルとピカチュウの分のジュースを持ってやってくる。

オオタチはやはり何処にいるのか分からないようで、彼女の分は買うだけ無駄だと思ったのだろう…

事実、その頃のオオタチは…給湯室のお茶を勝手に飲んでいたのだが。

取材が終わるまで暫く待とうと近くの椅子に座り、ピカチュウは気まずくなったのか、できるだけセレビィとジュプトルから距離を取る。


『俺の勘だと、セレビィは元より、ジュプトルもセレビィに好意持ってそうだよねー』

『まあ、草タイプ同士ではありますし…』

『話が本当なら、ミライって奴らと一緒にこの世界を救った仲だしな。まあ、憶測に過ぎないわけだが』

『ウィィ…実際、結構仲いいぞ?ヨノワール様の話じゃあ、デキてるって噂が…』


ある日、ある時のオオスバメ・コータス・オニゴーリ・ヤミラミの会話が鮮明に蘇る。

ヘイガニや、彼に誘われてその日は【雪花屋】で夕飯を食べることになったギャラドスが、色々と文句を言っていたが…それは覚えていない。

オオタチが「恋愛話ならまーぜてー」と喚いていたのは覚えているが、皆がそれをスルーしていたのも覚えている。

…ピカチュウだって女の子だ、恋愛の一つや二つは気になる年頃。



(……ジュプトルとセレビィが付き合ってるかもしれないぐらい、仲がいいのは事実だもん。でも…)


(でもジュプトルは、後先考えないで突っ走る所もあるし、現にそれでこの間借金が増えたし、世間にメチャクチャ疎いし、何処がいいのかまったく分かんないよ!)


(――だけど、強いのは事実なんだよね。それに、誰よりもこの世界のことを真剣に考えているのも…そのために魔法使いとして、常にリスクを背負いながら戦っているのも……)




そうしていると、彼らの前にマルノームが現れる。

それを見たセレビィは、入社許可証をくれたことに関して改めてお礼を言っていた。


「あ、マルノームさん!急なお願いだったのに、許可証を出してくれてありがとう」

「いやいや、いいのですよ。お陰で…指輪の魔法使いを仕留められる、チャンスが生まれたのですから」

「え…?」

「!――セレビィ、逃げろ!!」


ジュプトルの言葉で我に返ったセレビィは、慌ててマルノームから離れる。

すると、マルノームの姿は変わり…

マンティコアと呼ばれるファントムの姿へと、変貌していた。

それを見たジュプトルはすかさずウィザードライバーを取り出し、ピカチュウはセレビィを連れてこの場から離れようとする。


「…ファントムか!」

『ええ、そうです。……しかし、罠に気付かずノコノコやって来るとは…少しは警戒心と言うものを持ったほうがいいのでは?』

「一般人ならぬ一般ポケモンに入社許可証を出してくれる時点で怪しいとは思っていたが、そういうことだったか。――変身!」

<ハリケーン、プリーズ フー、フー、フーフーフフー!>

<コネクト、プリーズ>

<コピー、プリーズ>



ウィザード・ハリケーンスタイルは、2本のウィザーソードガンを構える。

対するマンティコアは、鋭い爪での接近戦に持ち込もうとしていた。

能力が未知数である以上、相手の有利な戦いは避けたい所。

2つのウィザーソードガンをガンモードに移行させ、相手の出方を覗いながら遠距離から戦うウィザードHS。

だが…


『『『『ギャギャギャッ!』』』』

「きゃあっ!?」

「ぐ…グールッ!」

「しまった!」

『おっと…余所見をしていて、いいのですか?』


背後にいたピカチュウとセレビィの前にいたのは、グールの軍団。

しかもその数は、かなりのもの…

ウィザードHSは背後を振り返るが、その一瞬の隙を見せたのがまずかった。

「隙あり」とばかりにマンティコアは蛇の尾を伸ばし、ウィザードHSの足に噛み付かせる。

その毒が回るスピードは想像以上で、ジュプトルは耐え切れず変身解除してしまう。


「ぐ…が…ッ!」

「ジュプトル!ど、どうしよう、こういう時は普通ならモモンの実なんだけど…道具は置いてきちゃったし……!!」

「そうだわ、私の“アロマテラピー”で…」

『無駄ですよ。私の毒は、木の実やポケモンの技では治せません。――しかし、即死級の毒だと言うのにまだ息があるとは…魔法使いとはしぶとい生き物ですね』




この騒ぎは、近くの部屋にいたフーディンやバンギラスにも伝わっていた。

そして、少なくともマンティコアの能力でジュプトルがやられ…かなりまずい状況なのは目に見えている。

チッと舌打ちしながらも、どうするべきか頭を悩ませているバンギラスの元へ…

荷物を届けに来たオオスバメが、バシバシと翼で窓を叩いていた。

それを見たバンギラスはすかさず窓を開けると、オオスバメが一言喋る前に先手を打っていた。


「おt」

「ちょうどいい!俺の家に行って、呼んで来てほしい奴がいるんだ!!」

「え、それはいいけどおとd」

「荷物は家に置いとけ!――指輪の魔法使いを助けるためだと思え、早くしろ!!」


「これ速達の上に生ものなんだけどな」と思いつつも、バンギラスがあそこまで必死になる以上、何かがあったというのは分かる。

その上、ジュプトルのピンチと言われれば…それに従うしかない。

実際、オオスバメがバンギラスの家に行くまでに、時間はそこまで掛からない。

その際、荷物を冷蔵庫にでも入れておけばいいか…という考えで、オオスバメはバンギラスの家に向かって全速力で飛んでいた。

一方のフーディンは、部屋の外がただならぬ様子であることは既に分かっているようで、バンギラスにこの場から逃げたほうがいいのではと進言する。

現に彼はテレポートが使え、他のポケモンも一緒に運べるほど…


「…どうするのだ?外は危険だ、それに、助けを呼んだところで…」

「大丈夫だ。むしろ、俺が残ってやんないと…あいつ基本、馬鹿なんでね」

「……?」

「それよりも、局長含めた一般ポケモンの避難だ。…あんたにそれを任せたい!」

「…分かった」



マンティコアが、ジュプトルにトドメを刺そうとゆっくりやって来る。

ピカチュウとセレビィが何とか彼を護ろうとするが、グールに囲まれどうにもならない。

こうしている間にも、ジュプトルの体に毒が回り、このままでは死んでしまう…


『ここで消してさしあげます。指輪の魔法使い』

「ぐ…!」

「ジュプトル!」

「ジュプトルさんっ!」


万事休すかと思われていたその時、壁に大きな穴が開く。

ちょうどグールが密集していた場所だったため、グール達は瓦礫の下敷きになってしまう…

が、その上にドスンと何かが乗り、グールは押し潰されてしまう。

――現れたのは、1匹のリザードンだ。

ついでに空気ブレイカー兼ファントムの絶望フラグ・オオスバメも。

オオスバメはともかく、リザードンを見たピカチュウは…「あ」と声を上げる。


「も、もしかして、……【Bバースト】のリザードン!?」

「まあな。…尤も、今は探検隊辞めちまってるが」

「えっ、辞めたってどういう…」

「――リザードン!そのファントムは尻尾に毒を持っている、油断するな!!」


部屋を強引に開け放ちながら現れたのは、バンギラス。

…フーディンは近くにいなかったが、どうやらバンギラスの頼みで他のポケモン達を避難させに行った様だ。

しかし、ただのポケモンではファントムに太刀打ちできない。

その上、どんな木の実や技も効かない毒を持つ相手なのだ…いくら元ゴールドランクの探検隊でも、勝ち目がない。





しかし…

リザードンはあるベルトを取り出すと、それを巻き、変身を行う。

そして、1つの指輪を取り出し、変身ポーズを取り始めていた。


「…変身!」

<L・I・O・N、ライオーン!>


そこに現れたのは、黄金の獅子。

――前にヘイガニ達がPURIN-cesのライブ会場で見かけたと言う、もう一人の魔法使い…

仮面ライダー・ビーストだった。

今までバンギラスがそれとばかり思っていただけに、ピカチュウもセレビィも驚きを隠せない。当然、ジュプトルもだろう。

マンティコアもまさかリザードンがビーストだったとは思わず、動揺。


『なっ…そこのバンギラスが、古の魔法使いではなかったのですか!?』

「あぁ…そのことか。確かにベルトを受け取ったのはバンギラスだ、だが、――ちょいと事情があってな。俺が使わせてもらっている」

『くっ…まあいいでしょう、ここで古の魔法使いも仕留めることができれば、障害は何一つなくなる!』

「そう上手くいくかね!」



ビーストはダイスサーベルを取り出すと、マンティコアと戦い始める。

徒手空拳で戦うマンティコアと、ダイスサーベルや蹴りを主体として戦うビースト。

やはり接近戦では、ビーストのほうが優位…

マンティコアはこのままでは勝ち目がないと思ったか、尾の蛇で相手の左足を噛む。

途端にビーストの動きが鈍り、「ああっ」とピカチュウが叫ぶ。

だが…

そこへバンギラスが叫び、ビーストは思い出したかのようにイルカの意匠を持った青いリングを取り出す。


「やっべ…!」

「――お前もお前で、なんで最初から“ドルフィ”出さないで戦ってんだ!」

「…あっ、そうだった」

<ドルフィ、Go! ドッドッドドッ、ドルフィー!!>


ビーストの右肩に蒼いマントが現れ、更にそのマントから放たれた水飛沫でビーストは毒状態を回復させる。

まさか自分の毒を簡単に治されるとは思わず、マンティコアは呆然…

一方で、そのままジュプトルをスルーして戦い始めるビーストに、――他でもないバンギラスが蹴りを入れていた。

しかも巨体に見合わぬスピードで。


「よし、これd」

「――指輪の魔法使い助けてやれよォォォォォ!」

「ぐぼっ!?」

「何やってんの!?ねぇ仲間割れ、仲間割れ!!?」

「…」

「ああっ…ジュプトルが!ジュプトルが真っ白に燃え尽きたー!!」

「ジュプトルー、ここで死なないでー!死ぬにはまだ早すぎる話数だよー!?」




毒がほぼ完全に回りつつあり、危険な状態であるジュプトル…

ピカチュウとオオスバメが必死に叫び、バンギラスはビーストの胸倉を掴みながら「さっさと助けろよ」と何度も揺さぶる。

――何なのこの状況…

セレビィがやや呆れ気味に見ていると、ビーストは絶大な吐き気を催しながらも、バンギラスを落ち着かせていた。


「わ、わか、わかっ…ラーメン出る逆流する…!」

「さっさとやれ!」

「お願い!主人公が19話で殉職って洒落にならないの…せめて、せめて49話まではー!!」

「49話って…随分と具体的な例だな!?でも確かに洒落にはならん!」

「……ったく…ほらよ」


ピカチュウとバンギラスの説得に折れたのか、ビーストはジュプトルの毒も治癒していた。

治癒はしてもらったが、流石にダメージが大きすぎて暫くは立てそうにもない…

ジュプトルはバンギラスが安全な場所まで運び、ビーストとマンティコアは戦いを続ける。

毒を治癒できる能力を有している以上、マンティコアに勝ち目はなかった。

ビーストは止めを刺すべく、ダイスサーベルを回し…5の目で止まる。


<ファイブ! ドルフィ、セイバーストラーイク!!>

「――おらああっ!」

『そんな…まさかっ、……ぐあああああああああッ!?』



5体のイルカが召喚され、マンティコアに体当たりしていく。

そして最後の1体がぶつかってくる頃には、…マンティコアは撃破されていた。

倒された後のマンティコアの魔力は、ビーストドライバーによって吸収。

――その様子を、影で見ていたのは…ベルゼバブ。


『…あれが古の魔法使いの力、か』


それだけ呟くと、ベルゼバブはその場から姿を消す。

…彼も、バンギラスがビーストなのではないかと思って暫く様子を見ていた

…しかし、まさか全く別の、第三者だったとは

だが、リザードンを見てベルゼバブは少しばかり考え、「もしかして」と考え始める。


(まさか……、…ふっ…面白いことになりそうだ)






〜〜〜






リザードンが壊した壁は、通信局の他のポケモンに知られる前に、バンギラスと…頭にでかいタンコブを作ったリザードンが修復していた。

それを見ていたピカチュウは、何故だかライダーの状態で頭にタンコブを作っていたジュプトルのことを思い出す…

というか、バンギラスの過激なツッコミ自体がオニゴーリを髣髴とさせていた。


(バンギラスさんって、誰かに似てると思ったら…そうだ館長だ……ボケに対するツッコミへの容赦なさは、館長だ……!)

「しかし…まさかビーストが、あいつだったとはな」

「ええ、そうね…てっきりバンギラスさんかと」

「…そうだ…そうだよ。バンギラスさんにもリザードンさんにも、聞きたいこと山のようにあるの!お願い、本当のことを教えて!!」


ジュプトルとセレビィの言葉に、ピカチュウは自分達の目的を思い出したか2匹に尋ねていた。

…どうしてリザードンが探検隊活動を辞めてまで、ビーストになったのか

…相棒のゴウカザルはどうしたのか

…何故、バンギラスがビーストドライバーを持っていたのか

…そもそも、どうしてファントムについて取材しているのか

彼女の言うように、聞きたいことは山のようにある。

しかし、ここで話すことではないと思ったバンギラスは…どこかゆっくり話のできる場所はないか尋ねていた。

すると…今まで影も形もなかったオオタチが、オオスバメの足に空中ブランコ状態で捕まりながらやって来ていた。簡単に言うと、オオスバメがオオタチの尻尾を掴んでスバッと登場。



「――【雪花屋】なんてどーでーすかー!!」

「「「今更来たよこのオオタチ!」」」

「…でも、確かにあそこなら大丈夫なんじゃないかしら…?」

「日中は殆どの探検隊が、探検活動をしているからな。問題は……食卓に全員入りきれるかどうか」

「大丈夫…じゃない?ギャラドスさんとかもたまに…食事食べに来るから……」


全員の意見が一致し、【雪花屋】に向かう。

その際、セレビィはヤミラミにも聞かせたほうがいいだろうと、彼の宝石店に行くため別行動。

また…オオタチも「長話になりそうだから、おやつ買いに行く」というなんともアレな理由で別れていたが…

誰も特に気にすることなく、むしろ「オオタチだから」という理由で納得していた。




そして…

廃墟では、メデューサ・ベルゼバブ・フェニックスがワイズマンの前に集まっていた。

今回の作戦の失敗を既に知っていたであろうワイズマンは、メデューサに言及する。


『メデューサよ…私はバンギラスを仕留めろ、と言ったはずだ。……何故指輪の魔法使いを先に?』

『…このまま生かしていては、計画の障害になると判断したからです』

『それで失敗してりゃ、意味ねーんじゃねぇの?』

『……黙りなさい!フェニックス』

『不毛な争いはここまでにしよう。――ワイズマンの御前ですからね』


ベルゼバブは一触即発の空気を見せていたフェニックスとメデューサを、止めに入る。

そんな彼に、フェニックスやメデューサは舌打ちしていたが…

ワイズマンは次のゲートを絶望させる準備に取り掛かるべきと思ったか、メデューサに尋ねる。


『……まあいい。メデューサ、次に狙うゲートは誰だ』

『はっ。――モデルの…ミロカロスです』

『ならば、“奴” …リヴァイアサンが使えるな。ゲートを追い詰めるための手筈は、ベルゼバブに任せる』

『なっ…!』

『了解しました、ワイズマン』



ベルゼバブに今回の作戦を一任する、と言うワイズマンの発言に…メデューサは驚きを隠せない。

だが、ベルゼバブは礼儀正しくお辞儀をし、早速どこかへと向かう。

「納得いかない」

そう言いたそうにしているのが、顔に現れていたのだろうか。

フェニックスはケラケラ笑いながら、メデューサの肩を気軽に叩く。


『やっぱいけ好かないだろ、あいつ。ワイズマンのお前への信頼を落とす一方で、自分は少しずつ信頼を上げているんだからよぉ』

『…フェニックス、黙らないと……殺すわよ?』

『図星なんだろ?お前も、うかうかしてると大変なことになっちまうぜぇ??』

『――私はゲートを見極められ…尚且つ、指輪の魔法使いを倒す最後の切札よ。ワイズマンもそう簡単に、切り捨てることはないわ……それより自分の心配をしたらどうなの?』


メデューサはそう言い、フェニックスの手を払いながら去っていく。

そんな彼女に、フェニックスは不満げに舌打ちをするが…

「まあいい」とばかりに、踵を返していた。


(自分の心配ね…その言葉、そっくりそのまま返してやるぜ……メデューサ。いや…)






***




ビースト=リザードンでした。

バンギラスはどっちかと言うと、ブラフ要因兼協力者。

前にどっかのスピンオフとかでビースト【組】と一纏めにしていましたが…FLBのLとBが組んでりゃ【組】=チームだよなっていう。

ちなみに、ウィザード組をあえて作るなら…やっぱサトシAGパになっちゃいますw

セレビィ・ヤミラミ・ムクホーク・ギャラドスは…若干、出番が足りない…!

オオタチは自由すぎてアウト。


ある意味で常識人のいない今回。

…ピカチュウが割と常識人っぽく見えるのは、残りがジュプトル・セレビィ・オオタチだからですね…!←

BバーストのBは、【バーニング】です。

由来に関しては、炎タイプだからっていうのと…後は多分、リザードンがカッコいい名前をつけようとしてバーニングとバーストで悩み、その結果どっちもくっつけたという。

【“ブレイブ”ス】に【B“バースト”】…あれ、何かこれバトスピ辺りで既視感。



バンギラスとフーディンから元ネタのFLBネタw

本当にこのとき、リザードンがいなかったのが悔やまれる…

後で合流した時、フーディンが逆に不在だったからなぁ……とはいえ、実は今回フラグを立てたミロカロスのお話でカオスな邂逅を果たす予定です。

ミロカロス回に関しては…ウィザード組の中で若干薄いピカチュウ回ともなるんでしょうけど、ここでもヘイガニが出てきそうな気がするw


スルーされたり扱いの酷いオオタチw

…この子…2話までは結構まともだったのに……

回を追うごとに暴走していくなw オオスバメは元々ああだからどうでもいいけど。←

リザードン→肉体労働専門、バンギラス→頭脳労働(+力ずくツッコミ)専門

ところで、オオスバメのフリーダム発言をする余地を与えないバンギラスさんマジツッコミ。

ビーストに蹴りを入れるバンギラスさんマジ館長。




次回はビースト組の過去回でもあります。