黄昏色を思わせるローブを纏った、魔法使い…
彼の乱入は、ジュプトル達にとってもメデューサ達にとっても、想定外だった。
――まさか、5人目の魔法使いが存在していたとは
黄金を纏う魔法使いは長柄の斧――ディースハルバードを構え、メデューサとデュラハンを見る。
彼からは異様な殺気が感じられ、背筋が凍りつくような感覚をメデューサは覚えていた。
『…ッ!貴様、……魔法使い!?』
「――ああ、そうだ。敢えて名乗るとしたら……仮面ライダー、ソーサラー」
「「「ソーサラー…」」」
『ふん。誰だって構わないぜ…俺を楽しませてくれるならな!』
デュラハンはそう言い放つと、目を緑色に輝かせる。
目を光らせている間、一定の範囲内にいる相手の魔力を奪い取るデュラハンの能力…
流石にこれをまともに食らえば、ソーサラーも魔力が枯渇してしまう。
しかし…
それをもろともせず接近したかと思えば、デュラハンにディースハルバードの一撃を叩き込む。
そのまま間髪を入れずに腰の白い魔法使いドライバーに手を触れ、菱形の魔方陣を発生させ…その中心から強力な雷を放つ。
『がッは…!?』
「…遅いんだよ!」
<イエス! ライトニング、アンダースタン!!>
『ぐがぁぁぁぁ!?』
雷をまともに浴び、デュラハンは大きく吹き飛ばされる。
そのまま【雪花屋】の壁にぶつかるかと思いきや、ソーサラーは瞬時に“テレポート”でデュラハンの進行方向まで移動すると、ディースハルバードで地面に叩き落す。
メデューサも相手の動きを止めようとするが、逆に“チェイン”の魔法によって生み出された魔力の鎖――しかもそれは、氷を思わせるほど冷たい――によって自身の動きを遮られてしまう。
なんとしても抜け出そうと力を入れるメデューサだが、もがけばもがくほど鎖はきつく締まっていく。
だが、そうやって彼女がもがいているうちに、デュラハンもろとも広範囲の爆発に見舞われていた。
<エクスプロージョン、ナウ>
『がああああっ!?』
『きゃああああああああっ!』
…あまりにも、圧倒的。
恐らく、これまで出会った魔法使いの誰よりも強いそれは、まるで鬼神の如き雰囲気を漂わせる。
ジュプトル達は「どこかで会ったことがあるような」と思いながらも、目の前の魔法使いに自分達の知り合いの鬼神を不意に連想してしまった。
無言の攻撃を続けるソーサラーに、デュラハンは血反吐を吐きそうになりながらも、相手の魔力切れを待つ。
…そう、持久戦になればどの道デュラハンが勝利する。
それは誰の目にも明らかで、メデューサも自分達の勝利を確信していた。
“この猛攻を耐え切れば”
だが、そんなファントム側の希望を、目の前の魔法使いは打ち砕く。
「――何としても生き延びればいいって顔だな?大方、援軍が来るのを待つか…いや、お前らに仲間意識なんてなかったな。こっちの魔力切れを狙っているんだろ」
『そうだ…!魔力さえ尽きれば、後はこっちの』
「お前らに希望を与えないのが魔法使いの仕事なんでな、お前の番は永遠に来ない」
<ドレイン、ナウ>
そう言い放つと、ソーサラーが右の手の平をデュラハンに向ける。
すると、そこから菱形の魔方陣が展開したかと思えば、デュラハンの体に蓄積された魔力が奪い取られていく…
【目には目を、吸収には吸収を】
その言葉通りデュラハンの中の魔力の大半を奪い取り、魔力の塊はソーサラーにそのまま吸収されるわけでもなく空中に留まっていた。
ソーサラーはリザードンのほうを見、顎で魔力の塊を示す。――恐らく、アレをキマイラに食わせろと言っているのだろう。
「――食っとけ。まだ魔力に余裕はあるし、あの状態なら誰かの所有物ってわけじゃない…キマイラも食ってくれるだろ」
「あ、ああ…」
「それと、さっきからその目…邪魔だ」
<エクスプロージョン、ナウ>
――次の瞬間、デュラハンの頭部に強烈な爆発が放たれる。
その攻撃により、デュラハンは両目を潰され…魔力の吸収が不可能となった。
確かに、相手の魔力吸収を封じるには、これが最善の策だろう。
…実際に、しかも声の抑揚もなく言い放ちながら作業の如く行うそのえげつなさには、敵も味方も顔を青ざめさせていたが。
『…うがああああああああああっ!?目が、目がァァァ…!』
『ぐっ…あなたは一体何者なの!?』
「二度は言わん、二度聞くぐらいならいっそ死ね」
「「「駄目だあの人、ファントムにめっちゃえげつない!?」」」
「確かに充分すぎる死亡フラグは立てたが…館長を超覚醒させるに足る死亡フラグを立てまくっていたが!」
「こいつらに手加減したところで、また調子に乗って他人の希望を踏み躙るだけだろ。…まあ、中にはそういうことをしないファントムがいるのも、事実だがな」
<ブラスト、ナウ>
ソーサラーは一瞬だけコータスのほうを見た後、風の魔法でデュラハンを吹き飛ばす。
その先にはメデューサがおり、氷の鎖で身動きが取れなかった彼女は避けることができず、デュラハンに衝突してしまう。
だが、その衝撃で鎖が解け、メデューサは撤退…
デュラハンは何度もメデューサに叫ぶが、そのまま戻ってくるはずもない。
『おい、メデューサ…逃げるな!おい!?……メデューサァァァァ!!』
「諦めろ、一緒に組んでるのが“あいつ”の時点で、お前は終わってんだよ」
『くっそ…お前は、お前本当に魔法使いなのか…!?死神か、何かか…!』
「死神?――あぁ、確かにそうかもな…お前らファントムにとってはな。だがお前らは、人の心を踏み躙りすぎた。【雪花屋】を壊した挙句、人の女に手を出した……死んで償うには足りなすぎるぐらいに」
『なっ…』
「――冥途で懺悔しな」
<イエス! フィンブル、アンダースタン!!>
直後、氷の魔法が一瞬でデュラハンの肉体を凍らせ…
ソーサラーは何も言わず、ただ黙々とディースハルバードの一撃で氷の塊を砕いていた。
終始ファントムも自分達も圧倒し続けたソーサラーに、ジュプトル達は息を呑む。
そして、ソーサラーが自分達のほうに近づいていることに気付き、「コータスを狙っているのでは」と思ったジュプトルやヘイガニが彼女を守ろうとする。
が…
意外にも、コータス本人がそれを止めていた。
「待ってください。この方は、敵ではありません」
「いや、しかし、…館長と匹敵するか、それ以上の鬼だぞ…?」
「おいジュプトルそれなんか色々失礼。……だけど、白い魔法使いの事もあるし」
「大丈夫です。――助けてくださってありがとうございます、…オニゴーリさん」
「「「えっ!!?」」」
コータスの言葉に、ピカチュウは驚いてソーサラーを見る。
すると、ソーサラーは変身をそのまま解除すると…
現れたのは、白い魔法使いドライバーを巻いたオニゴーリだった。
「……最初からお見通しだった、と言うわけか」
「「「…ええええええええええ!!?」」」
〜〜〜
【雪花屋】。
デュラハンの襲撃によっていくつか壁が壊されてしまっているが、そんなことは気にせず、彼らは集まっていた。
オオスバメやヤミラミも集まり、全員で机を囲むようにしてオニゴーリの話を聞いている。
そして…
机の上に白い魔法使いドライバーを置いた状態で、こう切り出した。
「――このドライバーは、“ある奴”から受け取ったものだ」
「ある奴…?」
「ああ。…知ってのとおり、俺は【極寒の霊峰】に行って白い魔法使いに会いに行こうとした。……そして…」
猛烈な吹雪ではあったものの、氷タイプであり、地の利があるオニゴーリが【極寒の霊峰】まで進むには苦がなかった。
そして、【神の頂】に続くと言われる道のある場所…ラディエラの花が咲く場所へと辿り着く。
前に見た時と変わらない、氷と赤い花しか存在しない場所。
オニゴーリは以前、サンドパンが話していたことを思い出しながら、不自然に大きな氷の塊の前に立つ。
「『天界の笛を授けられし奇跡を求める者、ラディエラの花を探せ さすれば、【神の頂】への道が開けるだろう』…か。その話が本当なら…」
そう呟きながら、以前白い魔法使いから受け取ったハーメルケインを取り出す。
そのまま口を当て息を吹きかけると、澄み切った笛の音色が辺りに響き渡る。
音色に反応するかのように、目の前の不自然な氷塊が縦に裂け始め…
現れたのは、光。
そして、その光へ伸びていくかのように続いている、階段だった。
恐らくそれが、【神の頂】への道のりなのだろう。
オニゴーリは躊躇いなく扉を潜り、光の中へ入っていく。
――その空間は、どこか懐かしさを感じる不思議な雰囲気を漂わせていた。
まるで、母の腕の中に抱かれた時の温もりのような…
階段の続く先へと向かっていくと、その先にいたのは想定外の者だった。
4つの足が地に付いてはいたものの、思わず見上げてしまうほどの巨大な体躯。
光の輪に近い美しい尾の近くには、氷のような冷たさを感じる、見たこともない結晶が浮かんでいる。
【アルセウス】
伝承でしか伝えられていない存在ではあるものの、アレがきっとそうなのだろう。オニゴーリは直感した。
「…アルセウス!?」
『そう不思議がることでもあるまい。――ここは、私の住まう庭だ』
「……そうか、【神の頂】はそもそも、アルセウスがいると言われる場所…確かに、ここにいても何の問題もないというわけか。ところで、白い魔法使いは?」
『その者から預かっている物がある。……その状態から、北北西を見るがいい』
アルセウスに言われるまま、北北西を見るオニゴーリ。
すると…
その視線の先にあったのは、氷のミニテーブルに置かれた白い魔法使いドライバー。
一体何故ここに、とオニゴーリが近づくと、白い魔法使いドライバーから光が放たれる。
――その後、どうなったのかは覚えていない。
覚えているのは、いつの間にかこのドライバーが装着され…自らの姿が変化している、という事実だった。
しかしその色は、黒に黄金。
まるで黄昏時を連想させるかのように、美しい金を見ながら…ソーサラーはアルセウスに尋ねる。
「これは…、……どういうことだ?白い魔法使いのドライバーを使えば、あいつと同じ白い魔法使いになるんじゃないのか」
『白い魔法使いに変身用の指輪は存在しない。――それに…君には既に、自らの意思で手に入れた指輪があった。違うか』
……実は【灼熱火山】の一件で、絶望から乗り越えたオニゴーリのすぐ近くには、見たこともない指輪が転がり落ちていた。
ジュプトルやリザードンが持っていた記憶がないことから、白い魔法使いのものなのだろうかと思い拾っていたのだが…
どこかこの指輪に、自分と近しい何かを感じ…また、自分の中に生まれたファントム・フェンリルと惹かれあっているように思えてならなかった。
オオタチに調べてもらえば大丈夫だろうと思って放置していたのだが、彼女が死んだ今、白い魔法使いに聞く他ない。
この指輪の件もあって、彼は【神の頂】に訪れていたのだ。
『そもそも、君は魔法を扱う術を手に入れるべく、ここまで来た…違うか?』
「…ああ。だが、少なくともジュプトルが使い物にならなくなったからじゃあない。俺はあくまで、あいつが魔法使いとして復帰するまでの【代打】だ」
『ほう?…だが奴は、もう魔法を使うことはできない。ドラゴンが奴の希望を食い破り生まれる危険性はなくなった…それなのに、まだ戦わせようと言うのか?』
「あいつは自分でその道を選ぶ。あいつなら自力で、希望を甦らせられる。――まだ借金も残っているし、メデューサ如きにムッコロされて…あのドラゴンが、輪廻転生の理を覆して復活しないわけでもないしな」
『……ふっ、そうか…』
ドラゴンが戻ってくる確証は、あった。
それは、ピカチュウやヘイガニが話してくれた、オオタチの最期の言葉…
恐らく彼女は、自分の力抜きでもファントムを甦らせる手段を知っているのだろう。
それも、魔法使いの使役するファントムの甦らせ方を。
その方法はまだ分からない。が、絶望の底から誰かを救うのは…自分に手を差し伸べてくれる希望だ。
ジュプトルが希望を取り戻せば、ドラゴンも甦る可能性は充分に…ある。
プライドの高いドラゴンのことだ。このまま、メデューサやレギオンにやられっぱなしでいるはずがないのだから。
アルセウスは苦笑すると、ソーサラーの近くにあった氷のミニテーブルにある物を呼び出す。
…それは、見てくれはジュプトルの使う、ウィザードライバーそのもの。
しかし、よく見てみるとどこか機械的なものを感じさせる造りで、自分の知っているそれとはやや違うと感じさせる。
『それは、つい先日…この【神の頂】に発生した時空間の捩れから齎された、異世界のベルトだ』
「異世界のベルト?」
『ああ。だがそれは、奴らの使うドライバーと違いファントムの魔力を制御し、扱うための“機関”がない。……尤も、そういったものの必要が無い世界なのだろうがな』
「機関?…で、これをどうしろと?ジュプトルのは壊れているわけじゃないし、正直、ベルトの過剰供給なんだが」
『――待っていろ』
アルセウスの横に一枚だけ浮いていた結晶が、見る見るうちに小さくなっていく。
そして、それはほんの小さな光の珠となり、ウィザードライバーの中に入っていった。
『恐らくこの異世界からの落し物…そして、いずれこのウィザードライバーを使う者は、君の中のファントムより遥かに強大な魔力を持っていることだろう。――それこそ、それ1つで【賢者の石】に匹敵するほどのな』
「…【賢者の石】…そうだ、賢者の石は今、どこに」
『それを君が知る必要はない。…君が今成すべきことは、そのベルトを持ち主に渡すこと……そして、自らの希望のために戦うこと。違うか?』
「……コータス達に何かあったのか!?」
『さあな。…だが、いずれにしても、残っているファントムは手強い者ばかり。そのベルトを戻しに行くついでに、魔法使いとしての実戦がどんなものか…確かめるがいい。……異世界へは私が送るが、帰還する際は“テレポート”リングで直接この世界に戻ってくれ』
アルセウスの言葉に、ソーサラーは違和感を覚える。
だが、それを確かめるよりも前に、空間が捩れ…異なる空間が、映し出される。
下品な見てくれの花の怪物が、ウォータードラゴンに尻尾でしばかれ。
巨大な蟹がジュプトルとは違う、フレイムスタイル主体のオールドラゴンが天変地異を引き起こしながら敵の鋏を左ストレートで粉砕し。
……今、自分達の世界で起こっている状況とは待ったく真逆の空気が漂う、まさしく“異世界”と呼ぶに相応しい状況だった。
「……………俺、本当にこの世界に行かないと駄目なのかよ…」
『…。……運命がそう告げているのだ』
「運命って言葉を免罪符のように使うな…!」
<ライトニング、ナウ>
『ぐうううっ!?』
「今の魔法は…?」
「――おい、あそこ、誰かいるぞ…!」
「…あれって…」
ソーマが声を上げ、エイジ達は魔法の放たれた場所を見る。
その先にいたのは…
黄金の魔法使い、仮面ライダー・ソーサラー。
新しい魔法使いの登場に、映司達は混乱し…タナトスは構わず蛇を向かわせる。
しかし、出現した蛇の殆どはディースハルバードという斧に切り裂かれ、更に“フィンブル”の魔法で氷漬けにされてしまう。
<イエス! フィンブル、アンダースタン!>
『ぐっ……貴様は、何者だッ!』
「通りすがりの…仮面ライダーだ!どうせ死ぬなら覚えなくていい!!」
<デュープ、ナウ>
ソーサラーは“デュープ”の魔法で姿を4つに分けると、同時にディースハルバードを振るう。
更に、そのまま華麗な連携攻撃でタナトスを蹴りつけ…
4体同時の“ブラスト”で、タナトスを吹き飛ばす。
あまりにも圧倒的な実力。「もうこいつ一人でいいんじゃないか」状態に思えるほどの戦いぶり。
誰もがぽかんとしていると、ソーサラーはエイジスに気付き、ある物を渡す。
……まだ使った形跡のない、ウィザードライバーだ。
「これは…!何故これを、お前が」
「どういう理由なのかは知らないが…このドライバーを譲ってもらう条件に、お前への“届け物”を任された。それだけだ」
「…?シスがそうさせたのか??」
「シス?――まあいい、そういうことにしとけ…俺は頼まれただけだし」
「一緒に戦わないのか」
「俺には俺の、やるべきこと…守るべきものがある。後は自分たちで頑張りな、自分達の世界だろ」
<テレポート、ナウ>
〜〜〜
「――ただまあ、直接【雪花屋】に戻ってみれば、建物は壊れているわリザードン使えないわ、コータス殺されかかってるわで…どうなってんだろうなぁ?ヘイガニ……」
「……誠に申し訳ございませんでしたッッッ!orz」
45話の時点で「ヒビ一つでも入っていたらどうなるか分かってるな」と脅されていたヘイガニは、全身全霊の土下座を披露する。
リザードンも、直接的には関係がなかったものの、なんか謝らなきゃいけない気がしたので謝っていた。
…そして、それに倣うかのようにジュプトルやピカチュウ、ヤミラミと土下座が続き…
結果的に頭を下げていなかったのは、蜜柑を食べていたオオスバメぐらいだった。勿論、彼がこの後どんな氷の塊を、頭のどこに食らったのかは語られることがない。
――なんか謝らないと、死ぬ
ソーサラーとしての彼の戦闘を間近で見ていた面々は、そんな考えしか頭の中に浮かばない。
話でしか聞いていないが、『逆らったら死ぬ』と直感的に察したヤミラミもだ。
オオスバメはでかいタンコブを頭に作りながら、オニゴーリに尋ねる。
「それで……ヘイガニの話じゃメイジも連れてくる、って話じゃ?」
「いや、どうやらアルセウスはメイジにも用があるらしくてな…『いずれ来るだろうから、扉をそのままにしておいてくれ』と言っていたんだ」
「大丈夫なのかな?扉が開けっ放しってことは、ファントムが攻めたりしたら…」
「いや、それはないだろう。……目的の【賢者の石】はアルセウスの元には、もうないんだからな」
「確かに。当面は、ファントムを撃退しつつ【賢者の石】探し…のほうがいいと思いますよ」
ピカチュウはファントムによる【神の頂】襲撃を懸念するが、否定したのはバンギラスとポポッコ。
確かにバンギラスの言うように、ワイズマンの目的である【賢者の石】はアルセウスの手元にはない…
これ以上、【神の頂】に拘る必要がないのだ。
いや、そもそも彼らの場合、アルセウスにすらもはや拘っていないだろう…
それでも気になることがあるのか、ジュプトルはオニゴーリに質問していた。
「……アルセウスから、【賢者の石】の場所は聞けなかったのか?」
「今、この場にワイズマン側のスパイか、コソコソと聞き耳立ててるファントムがいるかもしれないという可能性を考えろ。…話すはずがないだろ」
「「「…確かに」」」
「…それよりも、何で“白い魔法使いドライバーを”館長に渡したのかな…」
ピカチュウが、ポツリと呟く。
…確かに、ベルトが2つあったのならどちらを渡しても問題ないはず。
それなのにどうして、使用者がいると分かりきっている白い魔法使いドライバーなのか。
これに関しては、リザードンとギャラドスが思い思いに言い合う。
「そりゃ、もう白い魔法使いがそれを使えないからだろ?あいつ、ここ最近ずっと体調が悪かっただろ」
「そうか?むしろ俺は、白い魔法使いがもう既に死んでいるから…とも思ったんだが」
「…なんか飛躍しすぎじゃねぇか?それ」
「だがこう考えれば自然だろ。使い手のいなくなったベルトをアルセウスが持っていても、殆ど意味は無いんだからよ」
「――どちらかと言うと、私の意見はこうね。【白い魔法使いの正体がアルセウス】」
ミロカロスの意見には、誰もが驚く。
ヤミラミは「そんなまさか」と手を横に振るが、――ジュプトル達はどこか納得できるような気がしていた。
そもそも、『白い魔法使いはアルセウスの護衛』という前提は、あくまで自分達が立てた前提…ただの憶測に過ぎない。
アルセウス=白い魔法使いであっても、何の問題はないのだ。
ポポッコもこれまでの情報はバンギラスから聞き出していたのか、「確かに」と納得したかのように何度も頷く。
「……ミロカロスさんの意見、実は真理を突いているのかもしれませんよ?でなければ、コータスさんからセイレーンの人格を消すことはできませんし」
「だけど、そうなるとアルセウスの中にもファントムがいるってことだよね!?」
「そうとは限らないぞ。アルセウスの力の源はプレート、その力を行使すれば魔力の代替はいくらでも可能だ」
「しっかし…じゃあ何で尚更、自分でワイズマンを始末しなかったんだ?」
「それもそうですよね…」
ポポッコやピカチュウ、バンギラス・ヤミラミ・コータス…
皆思い思いに意見を言うが、止めに入ったのは想定外のオオスバメ。
全員の注目を集めるような大声で、スバッと意見を出していた。
「ちゅうもーっく!」
「煩い馬鹿」
「ジュプトル酷ッ!?……まあいいや。とにかくアルセウスのことに関しては、ヨノワールさんが元々突き止めようとしていたことじゃないか。出番的にも、彼の仕事を奪ったらダメくない?」
「ダメくない……って、何語だ、おい」
「でも、確かにそうよね。アルセウスが白い魔法使いだったからと言って、私達の現状に変化はないわけだし…」
「そっちはヨノワールさん…とオマケのブイゼルに任せて、俺達はポポッコさんが言ったようにファントムの撃退をしつつの【賢者の石】の手掛かり探し。これが、当面の目標だな」
いちいちオオスバメに突っ込みを入れるジュプトルはさておき。
ミロカロスとヘイガニは納得したように話し、誰もがそれに賛成する。
総ての真相は、ヨノワールとブイゼルに託すしかない。
そこで、総てのことが分かるだろう…本当に白い魔法使いとアルセウスが同一人物なのか、どうして魔法使いを生み出したのかが。
今日はもう遅いため、全員【雪花屋】で夕飯を食べることになり。
…ヘイガニはずっと気になっていたことを、オオスバメに尋ねていた。
「オオスバメさん。――オオタチさんに何を頼まれたんだ?」
「え…何をって?」
「あの人、最期に言ってただろ。『後は任せた』って…」
「いや、それに関しては俺もまったく身に覚えがないんだけど…いやホントに。多分、ジュプトルとかピカチュウのことを任せたーとかじゃないかなぁ……?」
「にしても、それでもオオスバメさんを指定するってのがなんか気になるんだよなぁ………いや、あの人の性格を思い起こすと、完全にオオスバメさんをとばっちりに巻き込もうとしてる気がするんだけどな」
「え、それどゆこと?」
「………オオスバメさんという、絶対絶望しない人に何かしらのフラグがあるって、ブラフを撒くとか」
「えー!?それ、死ぬ直前にやることじゃないよー!!?」
俺だってそう思うよ、とヘイガニは頭を抱えながら言う。
…事実、オオタチはペガサスとしてどちらの陣営も壮絶に引っ掻き回し、超絶に掻き乱していた。
最後の最後で、何か余計なことをするようにも思えてくるのだ…
オオタチにとってのオオスバメは、『トップシークレットは腹を割かれても絶対に言わない人』であり、『気の合う友人』であり、『自分の暴走に付き合わせてもさほど問題ない人』であり、『絶対絶望しない人』。
別の意味で最悪の可能性は、充分に考えられるのだ。
「それだったら俺はヘイガニって言うね!だって一番無関係だもん」
「いやまあ確かにな!?俺ゲートじゃないし、魔法使いじゃないし、ファントムじゃないし、記者じゃないし、ファントムと因縁なんてこれっぽっちもないけどさ!今更『無関係』とか普通言うか!!?」
「ごめん!」
「真顔で爽やかに言うなあああああ!」
――オオタチの真意もまた、闇の中…
***
結論:ファントム逃げて超逃げて
ソーサラーさん…
どんだけ、強いんですか……
いや、それ以前に、どんだけえげつねぇんだあんた………
この人ぐらいじゃないか?現状で、ワイズマン倒せそうなの。
とりあえず爆発で目潰しは、どの魔法使いもやっていない凶悪的なえげつなさw
ソーサラー→ラスボス
そう言われても仕方ないほどの圧倒的戦闘能力ですね!
この人、本気出せばこの回でメデューサ倒せたんじゃ…
とはいえ、ソーサラーもとい館長がメデューサを倒すかどうかは……正直、30%ですかね?
残りはジュプトルの予定ではいます。
むしろ、メデューサぐらい幹部撃破しとかないと、ジュプトルとファントムの因縁がリザードンより薄いという、本編と逆展開に…
逆に館長は幹部撃破しなくていいです。【代打】ですんで。
INFINITELYのソーサラーこの人です。
いや、しかし、
…タナトスお前よかったな…その程度で済んで。
接待試合というか、完全に小手調べ程度で済まされて!
……この後エイジスに圧倒的火力を以ってしてぶっ倒されるけどな!!←
ちなみにこっちの世界のドライバーの設定は、中にいるファントムの魔力をある程度制御するための“力”があるという感じですね。
アルセウスが何かしたのも、エイジスの中のユグドラシルの魔力が強すぎるからそうしたって感じです。
というか【賢者の石】レベルって何なんだ、ユグドラシル。
基本的にこのサイトでは、物語の途中にそれっぽい伏線を挟んで、明かす回になったら「どうだ驚いただろデデドーン!(絶望)」みたいな感じにしてるんですが…
やっぱバレバレなのか、(大抵の場合余計なもの詰めたせいで)物語の途中で気付かれることも多いんですよねw
――なので今回はもういっそ諦めて、はっきりと1つの答えを提示しました。
そのためか、51話か52話で予定しているヨノブイ回で語ることがそんなになくなったというww
紙ディケなんて、現時点でかなり心配なのはシスタのことですかね…次点でウィッチ。
別作品のことなんであまりぶっちゃけるのもあれなんですが、その回のライダー覚醒者が恐ろしく分かりやすいキャラがいたりします。
あ、クリオとカメキは論外です。
元々この二人は伏線も何もなく、ダブルだと大っぴらにしてましたんで…
逆に、自分でも分からなくなったのはウィザードw
次回!
…まあ次回はそんな重くない予定です。
次々回はどうなるのか分かりませんが。よりにもよって、テディス回の回収回ですし…