簡単無料小説

タイトル未設定 - 18話:無実の証明

📚 目次

18/60 ページ





ジュプトル達はいくつかに分かれ、放火の現場を探していた。

放火された建物の数はかなり広範囲…それも不規則的なので、共通点を見つけることも難しいだろう…

むしろ、それだからこそメタグロス保安官らは頭を悩ませているわけなのだが。

しかし、数の多さはさほど問題ではない。

スピードのあるオオスバメと、その上に乗れる上に目ざといオオタチのコンビなら複数の場所を短時間で回れるからだ。

そして残ったピカチュウ・ジュプトル・コータス・オニゴーリ・セレビィは、放火された場所の中でも怪しそうな場所を探すことになった。

――ジュプトルとピカチュウがまず向かったのは、昨日被害が起きたという、ワタッコの家だ。


「うわぁ、全焼だよぉ…」

「…確かに、手がかりを探すほうが難しいな…だが、ヘイガニとついでにオオスバメがああ言うんだ。調べてみないとな」


建物は殆ど炭となっており、手がかりを探すのは困難に思えていた。

だが…

ジュプトルはここに来て、疑問に思うことがあった。

『そもそも、何故ギャラドスが疑われる結果になったのか』

ギャラドスが放火犯として疑われている以上、目撃者がいるはずだ。そう思って周辺の家を訪ねてみると、偶然【フラワー商店】のラフレシアに出会っていた。


「あら、あなた達。どうかしたの?」

「ラフレシアさんだ!」

「ちょうどいい、俺達は今、連続放火事件について調べているんだ。……いつのことでもいい、火事の現場を見ていないか?」

「そう言われても……あぁ、そうだわ。妹のキレイハナが、3日ほど前のペルシアンさんのお宅の火事の現場を見たって」

「本当ですか!?」



ラフレシアの話を聞いたピカチュウとジュプトルは、【フラワー商店】のキレイハナの元へ。

そして…

彼女は暗い顔をしながら、小さく頷いていた。


「…はい、確かに」

「それで…どんな様子だった?」

「私も、最初のうちはパニックになって…どうしたらいいのか分からなかったの。そしたら、建物の近くで一匹のギャラドスが狼狽えているのが見えて……そのまま、逃げ出していたわ」

「……火をつけた現場は見ていないんですか?」

「見ていなかったわ。……そうそう、ペルシアンさんのお宅は、【キングース】のヤドキングさんが偶然近くにいたお陰で…あまり焼けずに済んだみたい」


【キングース】はゴールドランクの探検隊、今回のギャラドスを捕まえる側でもあるのは間違いない。

…現に、今朝メンバーの一人であるニドキングが「今日こそお尋ね者を捕まえてやる」と意気込んでいたし。

彼らに直接接触するより、ペルシアンの家に行ったほうがいいだろう…

そう思ったジュプトルとピカチュウはマシンウィンガーに再び乗り、ペルシアンの家を捜索し始める。

焼けたのは家の裏らしく、ドアのある正面部分は無傷。


「……これといって、特に怪しいことはない…よね?」

「ああ…ん?」

「――やっほー!」

「――合流でーすよー!」




…オオスバメとオオタチのお騒がせ空気ブレイカーコンビ、突撃。

「何この馬鹿到来」

≡ω≡と言うような顔をしながらも、ピカチュウは2匹に尋ねていた。


「で、他はどうだった?」

「んー…成果なしー…」

「2人はこんな所で何してたの?ペルシアンさんの家だよね、ここ」

「ああ。ここでギャラドスが狼狽えていたと言う目撃情報をキレイハナから聞いたんだが…これといったものは、特に」

「ふーん……だったら、キレイハナさんを連れてきたら分かるんじゃない?本人の証言を元に、改めて気付くことだってあるかもしれないし」


成程、それは確かに正論だ。

ジュプトルもピカチュウも納得するが、……オオタチの意見というのが納得いかない。

しかしそこをなんとか「ヘイガニのため」と言い聞かせ、ジュプトルはマシンウィンガーでキレイハナを連れて来る。

そして、事件の詳細について話し始めていた。


「私はあの日…そう、ちょうどあのピカチュウが立っている場所から、後ろに4歩ぐらい離れた場所に立っていたの」

「それで、ギャラドスは?」

「そうね…ペルシアンさんの家のある場所を北とすると、そこからやや左より…そうね…西北西ぐらいの場所に」

「――ここでーすかー?」


オオタチがキレイハナの指示通りに動き、「ええ」と頷く。

だが…

ここでジュプトルは、あることに気付いていた。



「……待て、ギャラドスは今オオタチのいる場所で狼狽えていたんだろう?」

「ええ、そうだけど…」

「そこは火元の反対側だ。周囲に目撃者がいないか探しているにしても、それなら火元付近で確認を行ったほうが早いはずだ。火を点けた後なら、尚更な」

「「「あ!」」」

「それに…ただの火じゃないみたいだよ」


家の裏側にいたオオスバメに言われ、ジュプトルが確認しにいくと…

そこにあったのは、火元の部分から壁が崩れている後。

普通なら火事の際に焼け落ちたのだろうと思い、気にしないのだが、何かで斬ったような鋭い亀裂が見える。

それを聞いたピカチュウは、キレイハナに改めて尋ねていた。


「あの、もしかして、火事騒ぎになる前、音みたいなものが聞こえたり…」

「私はよく知らないけど…ペルシアンさんが、『いきなり凄い音がしたと思ったら、家が燃えていた』って」

「――これではっきりしたな。この火事は…ファントムによるものだ、それに、この傷は…」


ジュプトルはそう言いながら、「そんなはずはない」と思っていた。

――“あいつ”は確かに、俺が倒したはずだ

――それはピカチュウ達も証明できるはず、だが…

――そんなこと、ありえるのか…?


「どうしたの、ジュプトル?」

「ピカチュウ。…この事件の犯人は、お前もよく知っているファントムだ」

「え?どういうこと??」

「……フェニックスだ」

「えっ。………えええええええええええー!!?」





その頃…




オニゴーリとコータス、セレビィは、最初の被害者であるルンパッパの家へ。

彼の家も半分ほど焼け、今はオーダイル棟梁ら大工達のお陰で完全に修復されている…

「手がかりは何も見つからないんじゃ」というセレビィだが、オニゴーリはむしろ、ルンパッパのほうに用があったらしい。


「ルンパッパ、話を聞かせてくれ。…放火犯の姿を目撃しては、いないのか?」

「うーん…ミーは直接見てないNe。ぐっすり眠ってたら、急に何か壊れるような音が聞こえて、そうしたら家が燃えてたのSa」

「壊れるような音?」

「そうSa。…音がしたと同時に燃えた、って感じかNa?ミーは慌てて外に出て、暫く呆然としていたら、周辺に住むポケモン達も皆やって来て……そうしたら突然、誰かが『あのギャラドスが犯人だ!』と言ったのSa」

「…やっぱり、あのギャラドスなんじゃないの?」

「いいや…そう考えるのは早計だ。もしかしたら、ファントムの流した嘘…という可能性もある」


そうかしら、と顔を顰めながら首を傾げるセレビィ。

ルンパッパから更に詳しい話を聞くと…

その場にいたのは、自分とギャラドスを除いて……ピジョット、スピアー、ココドラ、チェリンボ、ノクタス、ポッポ、ヤミカラス、キノココだったそうだ。

ギャラドス以外、誰もが“火炎放射”を覚えることができないポケモンで、周囲にいたポケモン達は誰かの声を聞いて一斉にギャラドスを疑った。

ギャラドスは何度も「違う」と叫んでいたそうだが、そこへメタグロス保安官達がやって来て…一目散に逃げ出していたと言う。



「…もしかして、他にいたポケモン達の中に…炎を扱えるファントムがいたんじゃないでしょうか」

「ありえるな。他に、何か気付いたことは?」

「うーむ…そうは言ってもNa……Oh、そういえば、そのギャラドスが逃げた後…残っていたミー達全員、取調べを受けることになったんDa。だけど…その時、さっきまでいたはずのピジョットがいなかったんだYo」

「ということは…」

「そのピジョットがファントム、と言う可能性はありえますね」


オニゴーリとコータスは何度か頷き、セレビィも「本当はいたけど別の場所にいて気付かなかったんじゃ」と言いながらも…

ルンパッパがそれはないと言い切り、今回の連続放火犯の正体が大体掴めて来ていた。

一方で、一体どんなファントムがギャラドスを絶望させようとしているのか、気になり始めていたが…

今はそれよりも、ファントムが犯人と言うことで、どうやってメタグロス保安官達を納得させるか。

そもそも、雪花屋の南棟に対する器物損壊はオニゴーリが訴えなければ何とかなるとはいえ…ヘイガニの拉致・監禁は重い罪になるだろう。


「…で、問題はどうやってファントムの仕業と証明させるか、だな」

「どうしましょうか…?」

「まあ、本当にギャラドス狙いなら、あっちから派手に騒ぎを起こすかもしれないな。回りくどいことを嫌う奴なら、尚更だ。俺達は、メタグロス保安官達に連絡取るぞ」

「はい」

「…」






〜〜〜






ギャラドスとヘイガニが向かったのは、【煌く川】にあるヘイガニの自宅。

ポケモンタウンからそこまで離れてはいないものの、身を隠すにはうってつけだろう…だって、まさか誘拐犯が誘拐した相手の案で、誘拐相手の家に隠れているとは思わないだろうし。

そもそも、ギャラドスは飛び出していったはいいものの、逃げ隠れる場所の検討がないまま飛び出したのだ。

ヘイガニはネコブ茶を出しながら、呆れ気味に尋ねていた。


「ギャラドスさん…もうちょっと、後先考えよーぜ…?ジュプトルほどとは言わないけど、結構せっかちだよな、あんた……すぐテンパるというか」

「す、すまん」

「それに消火するんだったら、ハイドロポンプなりで消したほうがいいだろ」

「…あの建物の中に俺がいて、しかも仮面をつけた変な奴が突入してきたんだ。火を点けたと疑われるのも無理はないし、……あれしかなかったんだ」


だからってさー…と、ヘイガニは溜息混じりに呟く。

オニゴーリの恐ろしさを知っている彼にしてみれば、【雪花屋】の壁を破壊する行為のほうが大問題。

――今頃館長、怒り狂ってジュプトル凍らせてんのかなー…

当たらずも遠からずなことを考えながらも、ヘイガニは家にある木の実で何を作ろうか頭を悩ませる。

その際、ギャラドスは家を見て…少し疑問に思ったのか、尋ねていた。


「……お前の家の床、木の素材がバラバラだな。そういう趣向なのか?」

「んー、大威張りで『そういうデザインだ!』って言えればいいんだけど…本当は、適当なダンジョンから素材を調達してきて、建てた家なんだ」

「建てた…って、自分でか?」

「一応これでも大工だしな。オーダイル棟梁に出会う前は、適当な洞穴に住んでたけど…棟梁たちの仕事に触発されて大工になってからは、自分の家でも建ててみようかなーって思ったんだ」



まあ、結構な継ぎ接ぎだらけだけど…と語るヘイガニだが、ギャラドスは感心して見ていた。

建てたのはヘイガニがオーダイル棟梁に弟子入りして1週間後らしく、まだまだ腕が未熟な彼は練習も兼ねて自分ひとりの力で自分の家を作ろうとしていたのは見て分かる…

現在はそれに補強を加えているらしく、地震などが来て倒壊、と言うことはないそうだ。

――規格外の揺れ…例えるならば、グラードンの起こす地揺れなどを相手にすれば、あっけなく壊れてしまうらしいが。


「…スゲェな、お前まだガキだろ」

「一応17なんだけど…」

「俺にしてみればまだまだガキだろ。だけど、それでこんな立派な家を建てられる…自分のやりたいことを見つけている。……羨ましい、って思ってな」

「ギャラドスさんには夢とかないのか?」

「全然ねぇよ。…子供が好きで、サーナイト保育所のチビどもと遊んでやることもあるんだが…まあ他のポケモンから見れば、冷や冷やする思いだろうなァ」


こんな面だしな、と自嘲気味に言うギャラドス。

…彼は昔から、この凶悪な顔で散々損をしてきたと言うのだ。

純粋な子供達は、最初の頃は彼を怖がりながらも、悪いポケモンじゃないと知ると無邪気にその背中に上ったり髭を引っ張ったりして遊んでいる。

一方で、オオスバメのように顔が多少怖くても気にしない奴は、物怖じしないで突っ込んでくる。


「でも、そのお陰で救われているのも事実なんだよな。……俺が保育所のチビ達に懐かれてるのも、オオスバメが取り持ってくれたお陰だし」

「あの人は…色んな意味で馬鹿だけど、お人よしでいい人だからさ。想像するのは簡単だな」

「ああ。――だが、こんなことになって…これからどうすりゃいいんだ」

「ジュプトル達を信じようぜ。大丈夫、普段ちょっとアレな奴らだけど…皆いい奴だし、ギャラドスさんの無実を証明できるようにしてくれる!……っと、問題は俺が誘拐されているという現状だけど」




ヘイガニが何かを言いかけた、その時だった。

突然、家の壁が吹き飛んだかと思えば、そこからゆっくりと何かがやってくる…

そこにいたのは一匹のピジョット。

そして…その姿は次第にファントムとなり、現れたのは、――フェニックス。

フェニックスの姿を見たヘイガニは、驚いたような顔で叫ぶ。


「フェニックス!…お前、ジュプトルにやられたはずじゃあ!?」

『はん。俺様は不死身だ…何度やられても、何度でも生き返る…より強くなってな!』

「お、おい、あいつは…」

「…ファントムっつー化け物。多分、あいつがあんたに濡れ衣を着せた張本人だ!」

『ああ。――ったく…ワイズマンの命令だか何だか知らないが、俺は納得できねーッ!ゲートを絶望させるには、このボロっちぃ家ごとそいつを殺して、更に死の恐怖で追い詰めればいいんだってのに!!』


そういって、フェニックスが大剣カタストロフで指し示した“そいつ”は…ヘイガニ。

その言葉を聞いたヘイガニは、やはりギャラドスがゲートであると確信。

その一方で、ジュプトル達がいないこの状況での遭遇は非常に厄介で、この場は逃げるしかないのも事実。

だが…

『ヘイガニを殺して家も壊す』と言う言葉を聞いたギャラドスは、“ギガインパクト”でフェニックスを押し出していた。


「……おおおおおおおーっ!」

「ギャラドスさん!?」

『ぐおっ!?テメェ…!』

「ふざけんな…俺に濡れ衣を着せるだけならまだしも、無関係な奴を殺して…ヘイガニが一生懸命作った家を壊す!?それだけじゃねぇ!他のポケモンの住む場所を焼いて…不安を煽らせて……許されると思ってんのか!!」

『チッ、煩せぇゲートだ…許されるも何も、俺は自分さえよけりゃそれでいい。そもそも、ファントムを増やすのはワイズマンの自己満足に過ぎねぇ……俺には関係ねぇことなんだよ!』



そう言って、フェニックスは口から火炎放射を吐く。

ギャラドスもハイドロポンプで応戦するが、火の勢いが強い…

「ヤバイ」とヘイガニもバブル光線で援護するが、フェニックスの勢いのほうが強く、このままでは家ごと焼き尽くされると思っていた……その時だった。


<ディフェンド、プリーズ>


突如、ギャラドス達とフェニックスの間に水の壁が発生したかと思えば、フェニックスの炎を掻き消す。

「誰だ」とフェニックスが周囲を探すと、――その先にいたのはウィザード・ウォータースタイル。

更にはピカチュウやオオタチ達、バンギラスにメタグロス保安官らも現れる。

バンギラスはフェニックスの姿を見て、目を見開くが…

メタグロス保安官や部下のダンバル達は、ギャラドスを逮捕しようとするが、その前にピカチュウとオオタチが止めに入る。


「待って!…今回の事件は、全部あのフェニックスって奴の仕業なの!!」

「ペルシアンさんの家、焼け落ちたりしただけじゃ絶対つかないような傷がついてたよー。もしかしたら、あのファントムの持つ剣で斬られたと同時に、燃えたとかじゃ?」

「しかし…」

「お願い、信じてくださいっ!」

「今、あそこで起こってるのが現実だと思うよ。本当にあのギャラドスが放火犯なら…ヘイガニを庇うと思う?」


ピカチュウとオオタチの説得に、メタグロス保安官達は戸惑う。

他の探検家達に関しても、ギャラドスを捕まえようとしていた者達をコータスやオオスバメが必死に説得して、留まらせていた

――まあ、【ドクドーク】のように聞き分けが悪い者は、オニゴーリが容赦なく凍らせていたので誰も逆らえなかったのが事実なのだが。




一方のフェニックスは、ウィザードWSと再会し、クックと笑う。

まさかとは思っていたが、実際に生き返っているのを見るに…再生能力があるのだろう。

それにフェニックスも同じ手が通用するほど馬鹿ではない、ウィザードWSはウォータードラゴンリングを取り出し、スタイルチェンジを行っていた。


「…まさか、本当に生きていたとはな」

『ああ、そうだ。俺様は不死身…そして、蘇るほどに強くなるんだからなぁ!』

「知っているか。お前は何度でも蘇ると言っていたが、そういうのはただ単純に、スーツ代を浮かせるための方便に過ぎない…初代仮面ライダーから使われている手法だ。――現に某ガタキリバも、1回の登場で5000万近く予算を食うせいで…出番は少なかったからな!」

「「「ジュプトルそれメタ過ぎッ!?」」」

<ウォーター、ドラゴン ザバザババシャーン、ザブンザブーン!>


メタ発言はさておき…

ウィザードWSはウォータードラゴンへと変化し、更にウィザーソードガンを“コピー”で2つにする。

「あいつ二刀流スタイル気に入ったな」とぼやくオニゴーリ、「ジュプトルだからね…」と失笑するピカチュウ。

その間にオオスバメがヘイガニとギャラドスを保護し、ギャラドスは突然の事態に混乱気味。

そんな彼らをよそに、フェニックスとウィザードWDは激しい剣戟を繰り広げ、その合間にウィザードWDは足払いをかける。

フェニックスは態勢を大きく崩し、次の一撃の踏み込みが甘くなる。


「…はっ!」

『くっ!……この野郎ッ!!』

「(やはりこいつは頭に血が上りやすい。…それに力こそ強くなってはいるが、戦い方はなんら変わってはいない!)……だったら!!」

<チョーイイネ! ブリザード、サイコー!!>

『!!』



ウィザードWDはブリザードの魔法でフェニックスに冷気を放ち、体が凍りつく。

その状態で1本目のウィザーソードガンに手を触れ、スラッシュストライクを放つ…

それだけではない。

すぐに2本目も同じようにすると、強大な水流の斬戟が交差するようにフェニックスに向かい…そのまま撃破する。

「やった」とピカチュウとオオタチは喜ぶが、セレビィが「まだよ」とすかさず叫ぶ。

――すると、フェニックスはその場で復活を始め、現れたのは一匹のピジョット。


「「「!」」」

「…やっぱりな。ルンパッパの目撃情報どおり、ピジョットがフェニックスの正体だったのか」

「ちっ…今日のところは素直に退かせてもらうぜ。――だからメデューサがやれっつったんだ、こんな面倒な作戦…!」

「待てッ!」


ウィザードWDが叫ぶが、ピジョットは飛び去った後。

その姿に、オオスバメは首を傾げるが…

放火犯=ギャラドスの疑いは晴れてくれたとはいえ、ヘイガニを誘拐・監禁した挙句【雪花屋】を壊したことに代わりはない。

その件でメタグロス保安官はダンバル・メタングと共にギャラドスを逮捕しようとし、ギャラドスも諦めたようにそれを受け入れようとしていたが……

――その時ヘイガニが、手(と言うか鋏)を合わせながら、メタグロス保安官達に謝っていた。




「……皆、ごめん!」

「「「ヘイガニ?」」」

「え、ごめんって…何が?」

「いや、実は…俺が誘拐されたのって、そう……演技だったんだよ!本当の放火犯を誘き出すための!!」

「「「…えええええ!?」」」


ヘイガニの話では…

偶然、フェニックスに襲われているギャラドスを見つけ、彼がゲートだと思ったヘイガニは保護すると同時に真犯人のファントムを白日の下に晒すための作戦を立てるべく、『わざと』大きな騒ぎになるようにギャラドスに誘拐された“フリ”をしていたとのこと。

ただ、この作戦はどういう経緯でばれるか分からないから、【ブレイブス】の仲間であるジュプトルやピカチュウ…【雪花屋】のオニゴーリ達には内緒でやっていたので、悪いのは自分だと言い張る。

……これが明らかな嘘であることは、ギャラドスは勿論、ジュプトル達もそうだが…メタグロス保安官も分かっていた。

事実隠蔽としてヘイガニも罪に問わなければならなくなるところだが、それではギャラドスを護ろうとしているヘイガニの思いが無駄になる。

しょうがない、とばかりに溜息をつくと、メタグロス保安官はギャラドスとヘイガニに言っていた。


「――分かった。真犯人はどうやら我々で捕まえることは不可能のようだし、そういうことならば今回の件は不問にしよう。勿論、ギャラドスの指名手配も撤回しよう」

「「「メタグロス保安官!?」」」

「ショ、ショウキデスカ?」

「……ただし!そこのヘイガニは厳重注意、他もそうだが、また同じことをする際はどんな形でもいいから我々保安局に連絡を入れること。そして…ギャラドスは、【雪花屋】を壊したのは事実なのだ。どういう形でもいいからオニゴーリ館長に償うこと。以上だ」



そう言って、メタグロス保安官はダンバル達を連れ、帰っていく。

他の探検隊達も、残念そうにしつつも、ファントムならば仕方がないと帰っていった…

そんな彼らを見て「よかった」と安堵するピカチュウとオオスバメ。

セレビィも、怪訝そうな顔をしながら、ギャラドスに尋ねていた。


「……で、あなた…これからどうするの?」

「だったら、私達の【ブレイブス】に入ろうよ!仲間は多いほうがいいもん!!」

「いや…ありがたい申し出だが、断らせてもらう。ちょっと…考えていることがあるもんでな」

「そっかぁ…でもそういえば、ギャラドスさんは絶望していないから、フェニックス達にしてみれば…いつでも絶望させてファントムを生み出すこともできる……ってことなんだよね?」

「そうでもないだろう。館長やオオスバメにも言えるが…同じ相手に固執するだけ時間の無駄だ、俺なら同じゲートは狙わないで次の奴を狙う。それに…」


ジュプトルはそう言いながら、ギャラドスを見る。

…最初に会った時は荒んだ目をしていた彼だったが、ヘイガニと触れ合ううちに少しずつ変わってきたのだろう。

今はしっかりと、何かを決めたような目をしていた。

これなら何が会っても大丈夫だろうと言う確信もあり、今日のところはヘイガニの家を全員で修理して終わっていた。






翌日…

雪花屋の南棟では、オーダイル棟梁の大工衆達と一緒に働く、ギャラドスの姿があった。

メタグロス保安官に言われた「オニゴーリへの償い」と、「ギャラドスが見つけたやりたいこと」が一致した結果、こうなったのだという。

オーダイル棟梁も、最初は腕も足もないギャラドスを大工とするのもどうかと思っていたが…

ゴールドランクでも苦戦するほどの力の持ち主で、更にその長い体でたくさんの資材を運べると言う点では重宝すると思ったか、許可していた。

――その際、【実力はあっても不思議のダンジョンはよく知らないだろうから、ヘイガニのように知識のある奴との同行ならよし】ということで。


「じゃあ、実質…【ブレイブス】の一員になったってことなんだ」

「仮、だけどな。ピカチュウも、ギャラドスが本当に加入するかどうかはあっちの意志に任せているみたいだし…ギャラドスも、オーダイル棟梁の元で働きながらゆっくり考えるってな」


本日が休みのムクホークが、作業の様子を見ながらジュプトルと話している。

雪花屋の借金は【ブレイブス】持ちだし、ヘイガニもそこに所属しているのなら、その扱いでもなんら間違っていないのだが。

ピカチュウも、一応「仮入隊」ということで許可申請を貰ってくるべく、今日は朝早くからコータスに起こしてもらって探検隊立ち寄り所に向かったそうだ。

そして…

そんなギャラドスの仕事の様子を、サーナイトが連れて来た保育所の子供達が見に来る。

彼らはキラキラと眩しいような笑顔で、ギャラドスに声を掛けていた。



「ギャラドスのおじちゃーん!」

「おじちゃん、“むじつ”だったって、せんせーからきいたよー!」

「やっぱり、おじちゃんいいひとだったんだね!」

「お前ら…ああ、――それにおじちゃんな…やっと分かったんだ。……顔の怖さとか関係なく、俺に面と向かって接して怒ったり庇ったりしてくれる奴は、ちゃんといるってな。それに、まだ漠然とだが…俺のやりたいことも、そいつのお陰で見つかった」


そう言って、ギャラドスが見た先にいたのは…

キングラーやカイリキーらと一緒に作業に取り組む、ヘイガニ。

その視線はヘイガニも気付いていたのか、元気に鋏を振る。

そんな彼らの姿を見て、ジュプトルやムクホークは暖かな気分になっているのだった。






***




16話までのヘイガニの印象→苦労人で常識人

18話終了後のヘイガニの印象→お人よしどころか善人すぎんだろお前…

でもまあ、基本苦労人ですがねw

ちなみにギャラドスの年齢は、28歳と高め。まあ、「おじちゃん」ですしね。

…それでも、館長の貫禄がスゲェと思える謎。


前半は無罪を証明するために色々と、って感じです。

そしてオオタチさん頭いい…

普段フリーダムほど頭が回りますね。自由すぎるから頭の回転がいいのかそうなのか。

しかし、ピカチュウに「何この馬鹿到来…≡ω≡」と思われるってw

ちなみにオオタチってヘイガニと同い年ぐらいです。



館長も隠蔽工作に付き合う当たり、割といい人w

ヘイガニとギャラドスはやっぱ仲良くなりましたねー。

…これが、「社交家」スキルの底力…!←

(ちなみに館長は、拾ったポケの金額が上がるスキルを習得できるという…だから雪花屋建てられたのか、館長……)


メタグロス保安官も、隠蔽工作分かってて乗ってくれるいい人w

しかし、これでフェニックス=ピジョットと広まったわけですね。

問題は、フェニックスを見たバンギラス・ピジョットを見たオオスバメがそれぞれ何らかの反応を出しているわけですが…

オオスバメ、お前フラグ建築士か。

バンギラスはビーストや前回の白魔との関連性を近々明かされるとはいえ。

とりあえず確定したこと→ヘイガニはゲートではない、ムクホークはゲートじゃないけど巻き込まれポジション




次回は…

ビースト前後編!