翌日…
ピカチュウは朝起床し、昨日貰ったばかりの探検隊セットの中身を確認する。
――今日は初めての探検隊の仕事
――あの人みたいな探検隊になるため、頑張らないと
そう思い、ピカチュウは鞄の中を整理するが…何度探しても、写真が見つからない。
「えっ、あれ!?…うそ、どうして…」
「おはよう、ピカチュウ。…あれ、どうしたの?」
「ミズゴロウ!……私の写真、見てない…?」
「写真?さあ…僕は依頼を取りに行っただけだから、見てないけど」
そう…とピカチュウは俯きがちに呟きながら、考える。
もしかしたら、この部屋のどこかにあるのかも…
そんな希望を見出していたが、昨日は写真を取り出した後すぐに鞄の中に入れたため、それ以降はあけていないのだ。
勿論、部屋に置かれているタンスなどにも手をつけていないのだ。
――昨日、探検隊立ち寄り所から出る時には、確かに持って逃げたのに
――だとしたらどこに落としたんだろう…
思案に耽っていると、ミズゴロウが大声で自分の名前を呼んだため…ビックリして肩を弾ませる。
「ピカチュウ!」
「うひゃあ!?…あ、ミ、ミズゴロウ…」
「とりあえず、明日の昼まではこの部屋を貸してもらえるみたいだし…きっと見つかるよ。それより、探検隊の仕事をしないと!ピカチュウの夢のためにも!!」
「…うん、そうだね…それで、どんな依頼なの?」
「僕達はまだノーマルランクだから、EかDの依頼しか貰えないけど…ちょうどいいお尋ね者の依頼があったんだ。度胸をつけるためにも、挑戦してみる価値はあると思うんだけど…」
その頃。
探検隊立ち寄り所の前で、…ジュプトルが派手に倒れていた。
他の探検隊達は「なんだこいつ…?」「行き倒れか?」「いや、死んでるんじゃね?」と好き勝手に話をしていたが…
依頼を更新しに来た【スピード・デリバリー】のオオスバメとムクホークがやってきた上に、オオスバメは足で起こそうとしていた。
翼だと、“翼で打つ”とか“燕返し”になって効果抜群→それこそ死亡確定になりかねないし。
「おーい、大丈夫かー」
「せ、先輩、足ですか…足でやるんですか!?」
「だって、翼だと効果抜群じゃん?」
「それもそうですけど!」
「……ゲートが…見つからん……」
「「あ、生きてた」」
とりあえず、この場に倒れられても邪魔だと思ったのか…
探検隊の一人であるハスブレロが、水の波動でジュプトルを叩き起こしていた。
ようやく意識を完全に取り戻したジュプトルは、周囲をキョロキョロと見…ムクホークとオオスバメの視線に気付き、頭を下げていた。
「冷たッ!?…おい、お前らか水をかけたのは!?」
「いや…俺達無実だし、そもそも、こんな場所で倒れている君のほうが…」
「それよりも、何か探していたみたいだけど…俺達の知っている範囲でなら、スバッとお答えするよ?」
オオスバメからの質問に、ジュプトルは顔を顰めつつも…
ゲートであるピカチュウが、探検隊キットを持っていたことを思い出し、ピカチュウの居る探検隊が居ないか尋ねていた。
そうしていると…
今日の受付を担当していたハピナスが、「あら」と声を上げながらジュプトルに尋ねていた。
「そういえば、昨日、メガニウムさんから連絡があったわ。『怪物騒ぎのせいで、昨日探検隊になったばかりの子にチーム名を聞いていない』って」
「チーム名?」
「そうよ、名前を登録しないと色々不都合があるもの。あなた、知り合いなら連れてきてくれないかしら?女の子のピカチュウはこの辺りじゃ見かけないし…昨日は旅館に泊まったみたいだから、すぐ分かると思うけど」
いつの間にか、ピカチュウの知り合い扱いされてしまったが…
ジュプトルはゲートに会えるチャンスと割り切り、すぐに旅館に移動しようとしていた。
だが…
すぐさま戻ってきた彼は、息を荒げながらハピナス達に尋ねていた。
「……旅館って、どこにある…!?」
「…このポケモンタウンの旅館は、【雪花屋】ぐらいしかないわよ…?」
「なんか…随分と、そそっかしいんだな…君」
「というか、クールに見せかけた極度のせっかち?」
「気にしていることを言うな!!」
ハピナスとムクホークには飽きられ、オオスバメにはからかわれ…
ジュプトルは特にオオスバメの発言に怒りながら、旅館に向かおうとしていた。
だが…
その時、オオスバメとムクホークに、探検隊【キングーズ】のリーダーであるニドキングが声をかけていた。
「――なあ、あんたら【スピード・デリバリー】だろ。S級の依頼はないのか?」
「ん?それだったら、今朝俺が1つだけ掲示板に貼っておいたんだけど。お尋ね者用のほうに、スバッと素早く」
「なんだって?さっき見てみたが、BやCばかりで…S級の依頼は1つもなかったぞ」
「それだったら…もう、他の人に取られたんじゃないですか?この先輩、依頼を届けるの本当に速いですから…」
ニドキングやムクホークの会話を背中で聞きつつ、ジュプトルは旅館に行こうとしていたが…
その直後のハピナスの発言に、足を止めていた。
「それはおかしいわ。基本的に、SやA級の依頼を受けられるようになるのはゴールドランク以上って決まっているもの。シルバーはB〜E、ブロンズはDとEしか受けられないように」
「そう。この辺りでゴールドランク以上のの探検隊なんて、この制度を導入したヨノワールさん以外だと…俺達【キングーズ】や探検隊【ラブリーズ】ぐらいなのに」
「え、それじゃあ、誰かが間違えて持っていったとか…?」
「間違えて持って行ったにしても、あの依頼は結構ヤバめだからスバッと雰囲気で分かるはずなんだけど…新人でもやらないミスだし、受理するにしても受付に見せないと正式に受けたことにはならないのに」
ハピナス・ニドキング・ムクホーク・オオスバメ…
彼らの言葉に、ジュプトルは嫌な予感を感じていた。
――ゲートのピカチュウは探検隊
――ミノタウロスは、それを知っている
――もしも、ミノタウロスがゲートにS級の依頼を渡していたとしたら…
ジュプトルはオオスバメに大声で、依頼の場所がどこなのか尋ねていた。
「――おい、そこのオオスバメ!依頼の場所はどこだ!?」
「【芽吹きの森】だよ。場所は」
「そこなら分かる!…が、間に合うか……!!」
ジュプトルは真剣そうな顔でそう言いながら、今度こそ立ち寄り所を完全に後にしていた。
だが…
ムクホークは困り顔でジュプトルが立ち去った後を眺めつつ、オオスバメと話していた。
「……先輩だと30分も掛からないですけど、あの人…どのぐらい掛かると思います?」
「うーん、【スピード・デリバリー】にスカウトしたいぐらいの早さであるのは認めるけど、――往復2時間かな。一番の近道でも、地上からのルートじゃどう頑張ってもそれぐらい掛かるから」
〜〜〜
【芽吹きの森】
そこでは、ピカチュウとミズゴロウが初めての探検で胸を躍らせながらも、緊張したような顔で進んでいた。
――初めての探検、しかもお尋ね者…
――ここでつまずいたら、あの人みたいな探検隊になる夢が遠のいちゃう
――頑張らないと!
肩に力が入りすぎるピカチュウを見て、ミズゴロウは心配そうに見ていたが……
そんな彼らの目の前に、いきなり本命のお尋ね者であるドサイドンが現れる。
「貴様…見かけない顔だが、まさか探検隊かッ!?」
「そ、そうよ!お尋ね者のドサイドン…絶対倒すんだからっ!!」
「何?…ははは、たった一人で威勢のいいことだな」
「一人?」
ピカチュウはドサイドンの言葉に疑問を感じ、背後を振り返る。
すると…
さっきまで後ろに居たはずのミズゴロウが、どこにも居ないのだ。
――どうして!?
――もしかして、はぐれた…!?
相手が地面・岩ということで、頼りにしていたミズゴロウがいないのは、流石のピカチュウでも不安になるしかない。
しかし、EかDのお尋ね者なら、凶悪そうな顔でも大したことはないはず!
そう思いながら、ピカチュウは一人でドサイドンに立ち向かおうとしていた。
その頃…
別の場所では、オーダイル棟梁の弟子の一人でもあるヘイガニが、同じく弟子の一人であるクラブと一緒に家を建てるための材料を集めていた。
オーダイルの持論では、『質のいい材料は凶暴なポケモンの住処にこそある』『だからこそ大工には腕っ節も必要』らしく…弟子の殆どが仕事のない時にオーダイル棟梁に組み手をやらされ、物好きの中には大工と兼用で探検隊をやっている者もいる。
ヘイガニはどこかの探検隊に所属する、ということはなかったのだが、その気はあるらしくそのうち探検家になろうかと思っていた…
そして、興味はあるためか朝一で掲示板に目を通し、探検隊の知識もある程度なら覚えているためか、目の前でお尋ね者に襲われているピカチュウを見た時は、「おい」と声を上げていた。
「ちょ、待てって…あのピカチュウ、ブロンズのバッジなのに何やってんだよ!?」
「――きゃああーっ!」
「ははは!弱すぎて話にならん…ん?お前、そのバッジ…ブロンズランク!?」
「ううっ…何で、EかDのお尋ね者なら…私達と変わらないって思ってたのに…」
「まさか、この俺を低級の奴らと一緒にしていたとは…笑わせてくれる!」
ドサイドンは止めの“岩石砲”の体勢に入り、ピカチュウは目を瞑っていた。
だが…
ヘイガニがもしもの時のためにと拾っていたワープの種を投げ、ドサイドンを移動させる。
ピカチュウは突然の事態に目を丸めていたが、クラブはピカチュウの尻尾を掴み、ここから逃がそうとしていた。
「き、君!速く逃げないと!!」
「で…でも、依頼…」
「馬鹿野郎!ブロンズランクで、S級のお尋ね者に敵うと思ってんのか!?」
「え…?え、Sランク……??」
――そんな
――ミズゴロウが持ってきた依頼が、Sランク級だった…?
ピカチュウはあまりのことに放心状態となり、クラブもわたわたとしていたが…
ヘイガニは“穴抜けの玉”でピカチュウとクラブを連れ、【芽吹きの森】から脱出していた。
ドサイドンは、ワケも分からず別の場所に飛ばされ…
ブロンズランクの探検隊が挑んできたこともあってか、不機嫌になっていた。
このまま、手当たり次第に周囲を破壊してやろうか。
そう思っていた彼の前に…ウィザード・ハリケーンスタイルが鬼の形相(仮面を被っているのでそうは見えないだろうが、背後のオーラがそう語っている)で仁王立ちしながら、尋ねていた。
「おい…この森にピカチュウが居るはずだが、そいつはどこだ…?」
「知るか!あんな弱っちい探検隊、尻尾を巻いて逃げ出したんじゃねーのか」
「……ということは、…くっそ、また街に逆戻りかよ…!」
「それより…俺は今腹が立ってしょうがねぇんだ!お前を殴らせやがれ!!」
ドサイドンはそう言って、ウィザードHSに“アームハンマー”を浴びせようとするが
――次の瞬間、ウィザードHSは邪魔だとばかりに、容赦なくビッグリングを使ってのパンチを浴びせていた。
「……お前の都合なんて知るか!むしろお前が殴られろッ!?」
<ビッグ、プリーズ>
「え、ちょ、腕が巨大化って…あっちょんぶりけーっ!!?」
ドサイドンはそのまま殴り飛ばされ、【芽吹きの森】から強制脱出(物理)。
一方のウィザードHSも、派手に舌打ちしつつ、空を飛んでポケモンタウンへと戻っていった…
ピカチュウはクラブとヘイガニに連れられ、何とかポケモンタウンにある旅館【雪花屋】に辿り着いていた。
そこで働いているオオタチやコータスは驚いた様子で、声をかける…
ピカチュウは到底説明できる様子ではなく、クラブもパニックになっていることから、答えていたのはヘイガニだった。
「うわ、一体どうしたの!?特にそのピカチュウ、ボロボロじゃない!」
「ヘイガニさん、何かあったのですか?」
「俺だって説明してほしいぐらいだぜ。…お前、なんだってS級の依頼なんて取ってきちまったんだよ。つか、気付かないで取ったにしても……受付に見せれば分かるはずなのに!」
「……私じゃ、ない…この依頼を持ってきたのは……」
「――俺だよ」
ピカチュウの言葉の後にそう答えたのは、…ミズゴロウ。
ミズゴロウ、とピカチュウは顔を上げるが
次の瞬間…ミズゴロウの姿は、昨日彼女を襲ってきたミノタウロスになっていた。
突然現れた怪物に、クラブは泡を吹いて倒れ…オオタチとコータスはヘイガニを盾にしている。
一方のヘイガニは、「いや、お前らの館長呼べよ」と盾にするメス2匹に叫びつつも、ミノタウロスを見ていた。
「ブクブクブク…」
「きゃーっ!?」
「な、何なんですか!?あの人!」
「いや、待て。お前ら館長呼べよ、俺を盾にしても囮にしてもいいけど、最強の館長呼んでこいよ!?」
「ミズ、ゴロウ…?」
『本物のミズゴロウは…半年前の儀式の日に、俺を生み出して死んだ。どうだ?信じていた仲間に裏切られた気分は』
ミノタウロスはそう言いながら、ピカチュウにある物を見せる。
それは…無くしたと思っていたはずの、写真。
自分の憧れである人に、無理を言って一緒に撮って貰った写真だ。
ピカチュウは返してもらうように叫ぶが、ミノタウロスはそれを聞くつもりは無く、写真に手を掛ける。
「その、写真は…返して!それは…それは、私の憧れの……」
『写真の奴に憧れて探検隊になったんだろ、お前?…ファントムである俺でも知ってるぜ、こいつは有名な探険家だ……Sランクの依頼すらこなせない弱いお前に、そもそも探険家になるなんて無理な話だったんだよ!』
そう吐き捨てるように言い放ちながら、…ミノタウロスは…ピカチュウが大切にしていた写真を、勢いよく引き裂いた。
それを見た瞬間、ピカチュウの心の支えにしていたものに紫の亀裂が走る…
ピカチュウはそのままがっくりと項垂れ、オオタチが駆け寄るが
――ピカチュウの体には、少しずつ紫の亀裂が走り始めていた。
「えっ、何これ…」
「……」
『ゲートが絶望した証拠だ。ゲートを絶望させ、ファントムを生み出すのが俺達の仕事…俺達のボス、ワイズマンが再びサバトを行うためにも必要なことだ!』
「そんな!その…ファントムって言うのを、この子が生み出したら…どうなっちゃうの!?」
『ファントムを生んだゲートは死ぬ。俺を生み出した、ミズゴロウのようにな!』
ミノタウロスの答えを聞いたオオタチは、「そんな…」と呟きながらピカチュウを見る。
亀裂は少しずつではあるが増えていき、ファントムが生まれるのも時間の問題かに思われていた…
だが。
突然空から銀の銃弾がミノタウロスを襲い、ヘイガニ達は上空を見上げる。
…そこに居たのは、ウィザードHS…
ドサイドンをぶっ飛ばした後、彼は全速力でポケモンタウンに戻ってきていた。
ウィザードHSは地上に降り立ち、引き裂かれた写真の一部を拾い上げ、呟く。
「…こいつは…」
『また貴様か、指輪の魔法使い!…だが、もうゲートは絶望した…お前の負けだ!!』
「お前と賭けをした覚えはない。それに、…お前にスバッと勝ってゲートを救えばいいだけの話だ」
『何!?』
ウィザードHSに「お前どこのオオスバメさんだよ…」とヘイガニは静かにツッコミを入れつつ、ある程度危険だと感じたか片手にクラブ・片手にピカチュウを抱えて退く。
コータスとオオタチも安全圏まで素早く後ろ足で後退し、邪魔がなくなったところでウィザードHSはコネクトでウィザーソードガンを呼び出す。
「さあ、ショータイムだ」
『くうっ…前は不意を突かれたが、今度はそう簡単にはいかんぞぉぉぉ!』
旅館【雪花屋】にある一室。
そこでは、1匹のオニゴーリが茶を飲んでいた。
低いタンスの上には、伏せられた写真立てがあり、それにちらりと目を向けながらも、再び茶を飲もうとしていた
――次の瞬間、壁が豪快に破壊され、勢いよく茶を噴出してしまう。
『…ぐあああああっ!?』
「ブッフーッ!!?なっ、なんだ今のは!?」
『くそぉぉぉ!』
<ビッグ、プリーズ>
壁を突き破ってやってきたミノタウロスは、部屋を飛び出そうとするが…その前にウィザードHSがビッグリングを使い、巨大パンチで追撃。
当然壁は余計に破壊され、大型のポケモンでも潜り抜けられそうな穴ができてしまう。
ミノタウロスは直線状の壁を貫通して吹き飛ばされ、ウィザードHSも突風を纏いながら追いかけていくため、部屋が荒れに荒れる。
しかも、弾丸が放たれる音や激しい突進音が聞こえ、オニゴーリの顔は次第に恐ろしいものになっていく…
貫通した穴から様子を除いたコータスとヘイガニであったが、顔を見なくても怒っているのは明らかだったのか、声を掛けることなく退散していった。
一方でウィザードHSとミノタウロスの戦いは実に一方的で、ウィザードHSは完全にミノタウロスを追い詰め、必殺技の体勢に入っていた。
<ルパッチマジック、タッチゴー!>
<チョーイイネ! キックストライク、サイコー!!>
「――おおおおおおおッ!」
『ぐっ、…があああああっ!?』
ウィザードHSの、風を纏った必殺キックが決まり…ミノタウロスは爆発。
…その際、やはり【雪花屋】の一部を巻き込んでいたが…
ウィザードHSはお構いなしに、ピカチュウ達の元に戻る。
ピカチュウの皹の進行はかなり進んでおり、いつファントムが生まれてもおかしくない。
ウィザードHSはあるリングを取り出しながら、ピカチュウに声を掛ける。
「…お前、探検隊だったな。どうして、探検隊に」
「……憧れてたの…私を救ってくれた、探険家の人に……だから、私もあの人みたいに強くなって…一人前になって……素敵な探検家を作りたいって。……でも…頑張ったって、もう意味がないよ…」
「諦めるな!――確かに、こいつは強い…俺でさえ何度こいつに苦しめられてきたことか。だがな、……どんなに弱い奴でも、今の弱い自分から強くなることはできる」
「…今の、自分より…強く……」
「そして、仲間が居れば自分ひとりのちっぽけな力よりも、もっと強く…それこそお前の憧れる……ヨノワールより強くなることができる!少なくとも俺はそうだった」
そう言いながら、ウィザードHSはピカチュウの指にあるリングを嵌める。
“エンゲージリング”
ゲートの精神世界…アンダーワールドに行くために必要なリングだ。
「だから、生きてそういう仲間を作るんだ。……それが、お前に必要な希望だ」
「希望…」
「俺に任せろ。俺がお前の希望を繋ぐ」
<エンゲージ、プリーズ>
エンゲージリングを使い、ウィザードHSはピカチュウの上に現れた魔方陣を潜り抜け、彼女のアンダーワールドに移動する。
突然の事態に、オオタチやヘイガニらは錯乱しつつも
……静かに現れるオニゴーリを見て、青ざめた顔で固まっていた。
〜〜〜
ピカチュウのアンダーワールドは、『ヨノワールに命を救われ、彼に無理を言って写真を一緒に撮って貰った時のこと』。
まさか今回のゲートがヨノワールの知り合いという奇妙な偶然に頭を抱えつつも、ウィザードHSはその支えを食い千切るかのように現れたヒュードラと応戦するため、リングを使う。
“ドラゴンライズ”
アンダーワールドでのみ可能なリングで、自分の内にあるドラゴンファントムを呼び出すためのもの。
……しかし相当のじゃじゃ馬で、言うことを聞かず暴れ回る。
『グオォォン!』
「ったく、相変わらず人の言うことを聞く気は無しか…だったら、無理やりにでも言うことを聞かせてやる!」
<コネクト、プリーズ>
そう言いながら、ウィザードHSはコネクトの魔法でマシンウィンガーを呼び出す。
そして、そのままバイクに跨って近くの壁を駆け上がり…ドラゴンの背に無理やりドッキングさせる。
尚も暴れるドラゴンを、バイクの操縦桿で操りながらピカチュウのアンダーワールドを破壊しようとしているヒュードラを火炎弾で攻撃。
毒液を撒き散らすような攻撃を避けながら、ドラゴンの頭上に移動し、ウィザーソードガンを構える。
<シャモナスラッシュ、シェイクハンズ!>
<チョーイイネ!スラッシュストライク フーフーフー!フーフーフー!!>
「―――おおおおおおおおッ!」
『ガギゴ…!』
ヒュードラは風の刃を交わそうにも、ドラゴンごと向かって来ているため何処に逃げても…どの道ドラゴンの突撃をまともに食らってしまう。
呆然と立ち尽くしたそれ相手に攻撃を決めるなど、ウィザードHSには造作もないことだった。
ピカチュウのアンダーワールドに居たファントムを撃破し、ウィザードHSはバイクに乗った状態で現実世界に帰還する。
そして、その状態で変身を解除し…
正気に戻ったピカチュウは、ジュプトルを見上げていた。
「あの…私、」
「安心しろ。お前の中のファントムは倒した、これでお前が狙われることはなくなった」
「それもあるけど、…ありがとう。あなたの言葉のお陰で、大事なことが分かった気がする」
「?」
「『今の弱い自分から強く』…なればいいんだよね。今は無理でも、いつか、S級のお尋ね者を倒せるぐらいには……強くなれるよね!」
「…ああ。自分のペースで、強くなっていけばいい…今無理をしたって、何にもならないからな」
ジュプトルはそう言いながら、ポケモンタウンを立ち去ろうとする。
…ファントムの動きが活発化してきた以上、一人でも多くのゲートを救わなければ
そう決意を新たに、旅立とうとしていた
――ジュプトルの頭部に、氷の礫がクリティカルヒットしていた。
「それじゃあ、またどこk……おんどぅるっ!!?」
「「「ジュプトォォォル!!?」」」
「…おいテメェ、人の旅館をあれだけ派手に壊しておいて…修理代も払わないとは、どういう了見だコラ…?」
そう告げながらジュプトルの前に立ちはだかったのは、【雪花屋】の館長でもあるオニゴーリ…
気がついたクラブもオニゴーリの恐ろしさに卒倒し、コータスは何とか宥めようとするも、それで彼の怒りが収まるはずもなく。
ヘイガニは、ウィザードHSとミノタウロスが暴れたせいで破壊された部分を、自分なりの目測で計算しながら……修理代をジュプトルに告げていた。
「……たぶん、あの壊れ方だと…25000ポケは掛かるぜ。いや、もしかしたら、それ以上行くかも分からん」
「そんな大金…持ってるわけないだろ……」
「「「えーっ!?」」」
「ははは…はは、―――そんな道理が通るほど人生甘くはないんだよボケェェェェェ!!!」
「あっ、Xライダー…鬼神Xライd……アッー!?」
「「「Xライダーって何!?」」」
ピカチュウ達の突っ込みも空しく、オニゴーリの絶対零度がジュプトルに直撃。
…と同時に、借金返済に勤しむ仮面ライダーが誕生した瞬間だった。
***
ラストw
いや、うん、これやりたいがために詰め込みました。
結果、…DCDRWやフォゼブラと変わらない長さだよ畜生…!
ミノタウロスの正体は、分かっていたとおりミズゴロウです。
…本当ケンタロスにしようと思いました、……あの性格のままで…
でも、いくらなんでもバレバレすぎるというのと、ミズゴロウの(本性出したとき以外の)あの性格を…ケンタロスでやるのは、……どキツイ何かがありました……
神さんがつくばんの皮を被っているようなもんだよ、あれ。
ジュプトルお前破壊しすぎw
それ以前に、登場キャラが多すぎるww
まあ、ニドキングは忘れても覚えていてもどっちでもいいです。
メガニウムとハピナスも。
オオスバメとムクホークは…まあ、それなりに覚えておいてください。
オニゴーリはたぶん、この先絶対忘れないと思うのでどうでもいいです。
ヘイガニは…まあどうでもいいですが、オーダイル棟梁は頭の片隅にでも。でもクラブは忘れても可←
コータス・オオタチは………まあ、そこそこで。
【ドクドーク】は…この先出番があるかも分からんです←
ところで、オニゴーリとドサイドン、どっちが強いと思いますか?←
…あ、ちなみにあのドサイドン、結果的にポケモンタウンまで殴り飛ばされた挙句…メタグロス保安官によってお縄につきましたとさ。
当然、一匹だけおかしいダンバルに「キゼツシテヤガルゼ、コノザコヤロウ」とか言われてます。
次回は…まあ、ジュプトルがウィザードになった経緯でも。