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タイトル未設定 - 26話:四大元素の竜

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26話:四大元素の竜

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ポケモンタウン中央にある広場。

――そこでは、ジュプトルやリザードン、更にはピカチュウ達が設置された柱に鎖で縛られていた。

しかもそこには…オオタチやオオスバメ、ヤミラミもいる始末。


「……お前らも捕まったのか…」

「てへぺろー♪」

「ヒメグマさんの所に配達してたら、急に襲いかかられて」

「…俺は買い物に行っていたら、仕方なく……ウイィィ…」

「しっかし、どうすんだよこれ。魔法も使えないし、手も足も出ない。流石に鎖じゃ、焼ききるのは難しいときたもんだ」


リザードンは溜息混じりに、状況を客観的に話し始める。

確かに彼の言うとおり、鎖で縛られているこの状態では手も足も出ない…

ギャラドスとミロカロスに至っては、互いの体を絡められて身動き一つ取れない状態。

だが…

オオタチは尻尾をパタパタ振りながら、「あーあ」と話していた。


「美味しいプリン見つけてきたから、館長達と食べようと思ってたのにー」

「「「!」」」

「おい…そういえば、館長とコータスが……」

「…っしゃあ……あの館長が残っていれば、勝てる…!!」

「っていうか、…そりゃ苦戦するはずだろ…館長とコータスしか全体攻撃技持ってねぇんだから……!」



オオタチの言葉で、一筋の希望が見えたヘイガニとバンギラス。

その一方で、ギャラドスは切実な陳情を漏らし、ミロカロスも納得するように頷いていた。

そこへ…

ドワーフ達がやってきたかと思えば、彼らの目の前にある者達を連れてくる。

――サーナイト保育所の、子供達だ。

特にオオスバメとギャラドスが反応し、一匹のドワーフが代表として言い放つ。


「あれってもしかして…もしかしなくても、」

「……サーナイト保育所のチビ達じゃねぇか!?」

『ひっひひ!これから、こいつらを1匹ずつ噛み殺していく!!俺達は力こそ低いが、このガキ達なら体も小さいからなぁ』

「――やめてっ!」

「子供達を人質に取るなんて、卑怯じゃない!」

『人質ぃ?違うな…こいつらは生贄なんだよ。ファントムを生み出すためのなぁ!』


その言葉で、ジュプトルやセレビィ、ヘイガニ達はドワーフの意図が分かった。

…この場で子供達を殺して、ギャラドスやオオスバメを絶望させる気だ。

そして、あわよくばジュプトルを絶望させて、ファントムを生み出すための…

しかし、とドワーフは交換条件を出してくる。


『……だが、4時までにお前達の仲間がこの場に【歌姫】を連れてくるか…その情報を持っている奴を連れて来れたら、こいつらは解放してやるぜぇ?』

「歌姫…?」

「…もしかしなくても、セイレーンのことなんじゃ…」

「だが…あいつの情報を持っているリザードマンは、もう死んだ。他に手がかりは…」

『あるだろぉ?――白いローブの魔法使いがよぉ!』




この騒動を起こした理由、それは……セイレーンの情報を持っているであろう、白い魔法使いを誘き出すこと。

メデューサの話では、白い魔法使いによってリザードマンは倒された。

…つまり、情報をこちら側に漏らさないよう自ら手に掛けた、と言うことだろう。

明らかに何かを隠しているかのような態度。間違いなくあれは、セイレーンの情報を持っている。

それに、もし白い魔法使いが現れなかったとしても…その時は、約束どおり子供達を殺してギャラドスを絶望させればいいだけの話。

元より、この作戦でオオスバメとジュプトルが絶望するとは思っていない。

しかしベルトも指輪も奪われた状態で、ギャラドスがファントムを生み出そうとしてしまえば…それを止めることは不可能になる。


「なっ…む、無理に決まってるだろ!あの白い魔法使いがそう簡単に、姿を出すはずが…」

『だったら子供を殺すまでだなぁ!』

「だ、だったらせめて…せめて私だけでも行かせて!誰かが館長達に伝えていかないと、賭けとしてそもそも成立しないじゃないっ!!」

『だ〜め〜だ〜!そのまま逃げる事だってありえる…既に俺達の仲間が向かったから、それを待ってなぁ〜!!』


「約束を守る気すらねぇな」とバンギラスが舌打ちしながら言い放つ。

ドワーフの仲間が呼びにいくとは言ったが、ジュプトル達にはそれを確認する術はない…

ポケモンタウンの住人達も捕まっており、下手をすれば、あの中にいるゲートが絶望して二次被害が出かねない状況。

自分達は、どうすることもできないと言うのか…

わんわん泣く子供達を見ながら、ヘイガニはただ、時計の針を見ることしかできずにいた。






〜〜〜






その頃。

コータスは昼食の準備を終え、オニゴーリと先にそれを食べるが…

やはり、オオタチはおろか、ジュプトル達ですら戻ってこない。

オオスバメもここで昼食を食べる以上、仕事が忙しいにしても姿一つ見せないのはおかしい。


「…やはり、何かあったのでは?」

「だな。…飯時になってもオオタチが帰ってこないのは、あまりにも不自然すぎる」

「それに、何だか今日は不気味なぐらいに静かですし…」

「様子でも見に行くか?」


――ドゴン!

突如、ドアに何かがぶつかるような音が聞こえ、ジュプトルが何かしたのではとオニゴーリが急ぐ。

だが…

ドアは少し凹んだぐらいで、その下には…ボロボロになったドワーフの姿。

更にその先には、白い魔法使いの姿があった。


「お前は!」

「どうしたんですか、オニゴーリさ……あっ。あの…あなたは…?」

『……少々厄介なことになった。詳しくは、そこのファントムから聞くといい』

『う、げぇぇ…噂をすれば何とやら、……ツイてねぇ…』

「――何の目的でここに来た。そして、修理代払えゴルァ」

「オニゴーリさん…ファントムを相手に脅しても……」



白い魔法使いによって生かさず殺さず痛めつけられ、オニゴーリにはガンを飛ばされ…

すっかり震え上がったドワーフは、正直に話していた。


『ぽ、…ポケモンタウンの中央広場へ…4時までにそこの魔法使いか、セイレーンって言うファントムを連れてこなければ……保育所のガキ共を殺すと…』

「…何だと!?」

『ひぃぃっ!お、俺らはただ、そう命じられただけだ…俺らの頭じゃとてもじゃないが、そんな作戦思いつかねぇ……』

「そんな…酷すぎます。サーナイト保育所の子供達は皆、身寄りのない子達なのに…」

「……“セイレーン”って名前を出してきた辺り、欲しいのはそいつに関する情報。だが…リザードマンを始末したお前のことだ、行く気はないんだろ?」


オニゴーリの言葉の後に、白い魔法使いは頷く。

――セイレーンの情報をみすみす渡しにいくのは、リスクが大きい

そう考えれば仕方のない話だが、それは同時に、子供達を捨て置くと言うことだ。

更にドワーフの話で、ジュプトル達も既に捕まっていることを知り、その中にいるギャラドスが絶望してファントムを生み出す危険性がある以上……尚更放っておくわけにはいかない。

そう思ったコータスは説得を試みるが、白い魔法使いは動かない。


「そんな…!お願いします、情報は渡さなくても…子供達を助ける手助けをすることはできませんか!?……もし子供達が殺されて、ギャラドスさんが絶望したら…」

『……仕方のないことだ。そもそも私がここへ来たのは、人質を助けるためではない』

「では、何のために…?」

『昨日、ジュプトル宛に渡された荷物があるな?……それに関して、釘を刺しに来た』

「釘を…」

「…刺しに?」


ジュプトル宛の荷物と聞いて、オニゴーリもコータスも用途の分からないあのリストウォッチのことを思い出す。

確かに不思議な形状をしてはいたが、あれが何だというのか…

そう思っていると、白い魔法使いはドワーフの頭を踏み潰して完全に消滅させた後、話を始めていた。




『あれは…使えばウィザードの力を更に高められる。それも、今回のような数で攻める敵には非常に有効だろう』

「そう…なんです、か?」

「だが、使うには相応のリスクがある。……違うか?」

『そうだ。――それを使えば、中にあるファントムの力を今以上に引き出せる…即ち、中のファントムの力を高め、彼の希望を上回る危険性が出てくると言うことだ』


その言葉を聞き、2人は考える。

…そもそもジュプトルもリザードンも、今持っている力は諸刃の剣なのだ…

一歩間違えれば、自分が中のファントムに食われかねない力。

しかし、リザードンは自分でその宿命を選んだとはいえ、ジュプトルはそもそも白い魔法使いが直接その力を与えたもの。

結果的に彼もそれを受け入れ、戦ってはいるが…


「じゃあ、あなたは…ジュプトルさんがどうなるか分かっていて、ドラゴンの力をより得られる魔宝石や…昨日の小包を渡したんですか……!?」

『…それに関して、私はそこのオニゴーリに渡した物以外は一度も関与していない。そもそも、力の強い魔宝石を見つけられるのは、潜在魔力の強いゲートだけだ』

「じゃあ、一体誰が…」

「…。……待て、コータス。ドラゴン系の魔宝石の出所を、思い出せ」


緑の魔宝石は、ヨノワールが旅の途中で手に入れ、オオスバメを経由して渡した物。

黄の魔宝石は、ヨノワールが旅立つ前に…夢に現れたペガサスの導きによって見つけ、ヤミラミに直接渡した物。

赤の魔宝石は、オオスバメが“誰か”から頼まれてヤミラミに渡した物。

そして…青の魔宝石の指輪は、ペガサスと言うファントムからオオスバメが受け取っていた。

必ずと言ってもいいほど、『オオスバメ』『ヨノワール』『ペガサス』のいずれかが何らかの形で関わっているのだ。

それにオオスバメは、過去にランドの魔宝石を誰かに頼まれて持ってきたこともある。

オオスバメが基本的に【依頼される側】であることが多い以上…ペガサスかヨノワール、そのどちらかがそうなるように仕組んでいるのだ。



「では、ペガサスと言うファントムか…ヨノワールさんが、ジュプトルさんの中にいるファントムの力を高めようとしている……?」

「ヨノワールは予め危険性を告げてきた辺り、可能性は低いがな。ペガサスもきっと知っている。……問題は、この2人のいずれかでもない場合」

「どういうことですか?」

「この白い魔法使いが直接使用上の注意を促しに来るほど、厄介なものを…『わざと』送りつけた奴がいる。もはや確信犯と言っていいほどにな」

「そして、――あのタイマーを使わなければならないほどの状況を、作り出させている…?」


恐らくは、とオニゴーリは頷く。

もしもそうだとしたら、…ドラゴン系のスタイルへの指輪以上に使わせるのは危険だ。

しかし、無数に蔓延るドワーフを相手に戦うには、あのタイマーを使うしかないのも事実。

…まんまと術中に嵌っていた、と言うわけだ。


「ですが、できる限りその時間を減らすことも…できるわけですよね?」

「…まあな。少しばかり骨が折れるが、できなくもないな」

「私も行きます。熱風は、広い範囲に攻撃できますから」

「……あまり無茶するなよ」

「はい」

「本当に分かってんのか?――まあいい、教えてくれて感謝するぜ。使用上の注意は…しっかりあいつの頭に叩き込ませておくからよ」

『……』



そう言って、すぐさま広場へ向かうオニゴーリとコータス。

しかし、そんな2匹の姿を見た後…

白い魔法使いは“テレポート”の魔法で、どこかへと消えていた。






〜〜〜






中央広場では…

時計の針が、刻一刻とタイムリミットに近づいている。

現在の時刻は、15時24分。

このままでは子供達が目の前で殺され、ギャラドスが絶望してしまいかねない。

リザードンは下にいたドワーフ達を見ながら、叫んでいた。


「――おい、本当に俺らの仲間に報せに言ったんだよな!」

『あーあー、煩いなー、俺達の仲間が向かったって言ってんだろー?』

「そんなの信じられるかってんだ!」

「そうだな。それに…お前達の話には何一つ信憑性を感じない。本当に仲間が呼びに行ったのなら、その証拠を出してみろ」

「今、この場に偶然館長とコータスが来たとしても、お前達の仲間の話を聞いていない可能性だってありえる。もしそうだった場合、お前達の約束は最初から『なかったこと』になる…その場合、……どうなるか分かってるな…?」

『う、う、うるせーっ!どうせその状態じゃ、手も足も出ないんだ…大人しく見てるがいいさ!!はっはーっ』


ドワーフの一匹がそういうと、残りの者達も「そうだそうだ」と言い放つ。

煽り耐性がなく、「手も足も出ないだろ」という在り来たりな言葉を言った以上、彼ら個人の頭はいいほうではない…

むしろ、これまで統率していた者がいなくなって、動揺しているようにも見える。

ジュプトルは一番相手が油断しそうな上にアホっぽく思われそうなオオタチに目配せすると、オオタチは「やっほー」と声を掛けながらドワーフ達に尋ねていた。


「ところで、ドワーフの皆さんを操っていたのってだーれでーすかー?」

『そんなのいるわけねーだろ!』

『そーだそーだ、俺様達の功績だ!』

『操ってるやつなんていねーよ!』

『そいつが勝手にいなくなったんだから、この場は俺様達の天下だ!』

『そうだそうだ、あのベルゼバブって兄ちゃんがいなくなったってことはねーんだ!』

「……やはり、裏で糸を引いていた奴がいたらしいな」

「しかも、この間のベルゼバブって奴かよ…つか急にいなくなるって、どうしたんだ?」

「目的は殆ど果たしたも同然、なんだろう。どういう目的かは知らないが…」



オオタチ以上の馬鹿がいる、と言うような顔でジュプトル・ヘイガニ・バンギラスが話をする。

つい口を滑らせてしまったドワーフ達は、「しまった」と喚くが…もう遅い。

そんな彼らの様子を、オニゴーリとコータスが物陰に隠れながら見ていた。


「…なんか騒ぎが起こってるな。大方、指揮官がいなくなったのを突かれて弁解してるって所か?」

「そうですね。周囲に見張りがいる様子もないですし…あそこ」


コータスが示した先には…

乱雑に置かれたウィザードライバーやビーストドライバー、魔法の指輪。

そして、見張りの体を成していないほど酔い潰れ、眠っているドワーフ達。

近くに酒瓶が転がっていた辺り、勝利の美酒に酔いしれていた……というところだろう。

幸いにもドワーフ達は誰も気付いておらず、コータスはこっそりとベルトを回収しに行く。

問題は、この後。

鎖をどうやって切ればいいのか、だが…オニゴーリには多少の策があるようだ。


「まあ、大丈夫だろ。……とばっちりを受けるのはジュプトル達だが、簡単に捕まったあいつらのせいってことで」

「そうですね。それでは…いつ、行きますか?」

「今すぐだろ」

「…分かりました!」


――次の瞬間。

柱の裏側からコータスが“熱風”でジュプトル達の鎖を熱し始めたかと思えば、オニゴーリが“絶対零度”で急速に冷やす。

熱しられた鉄は、急速に冷やすことによって壊れやすくなる…

更にオニゴーリは“氷の礫”で脆くなった部分を攻撃し、鎖が壊れていた。

「げげっ」と驚くドワーフ達だが、コータスがジュプトルにウィザードライバーを投げ、ジュプトルはそれを受け取る。


「ジュプトルさん!」

「…すまん!さて、逆襲開始と行くか……変身!!」

<ハリケーン、ドラゴン ビュー、ビュー、ビュービュービュビュー!>




現れたウィザード・ハリケーンドラゴン。

その直後に彼は“サンダー”の魔法で一気にドワーフ軍団の一部を蹴散らし、その間にコータス達はリザードンのいる柱の鎖を壊しに行く。

急な事態にドワーフ達はすっかり気が動転し、人質を利用することを忘れていたようだが…

それをチャンスとしたミロカロスが“アクアテール”で攻撃し、ギャラドスがすかさず子供達を連れて逃げる。


「……はっ!」

「お前ら、もう大丈夫だぞ!」

「「「おじちゃん!」」」

『ぐ、ぐぐーっ…よくも俺らのパーペキな作戦を……!』

「その作戦は、ベルゼバブから与えられたものだろう。他人の威を借りている奴が、いつまでも好き勝手できると思うな!!」


ウィザードHDはそう言うと、もう一度“サンダー”の魔法でドワーフ達を攻撃。

更に、リザードンもビーストに変身し、オオタチによって解放されたポケモンタウンの住人達も含めた全員で一斉にドワーフ達に襲い掛かる。

ドワーフは数こそ多いが、ただのポケモンの攻撃でも倒されるほど弱い…

ベルゼバブの策がなければ、ただの増えるだけしか能のない雑魚なのだ。

その上…

ピカチュウはもっと威力の高い攻撃でないと完全に倒せないと知った以上、“アイアンテール”を打ち付ける。


「――それーっ!」

『ぎゃぷっ!?』

「あ!……できた、ミロカロスさんっ…アイアンテールができたー!!」

「よくやったわピカチュウ、だけど大事なのはそれを安定して出せること!……今の感覚を忘れないうちに、ドワーフ達を倒していきなさい。フォローは私とヘイガニでやるわ!!」



ミロカロスの言葉に、「はい!」と元気よく返事するピカチュウ。

最初のうちは不安だったが、何だかんだで仲良くやっている様子。

ウィザードHDはそう思いながらも、やはり一度に100匹倒しただけでは総てを倒せるわけではないドワーフのしぶとさに舌打ちをしていた。

そこへオニゴーリとコータスがやって来て、周囲のドワーフを倒しながら話をしていた。


「ジュプトル!……昨日貰ったやつを使えば、この状況を打破できる!!」

「本当か!?」

「はい。ですが…ドラゴンの力を引き出す魔宝石以上に、負担が掛かってしまいます……最悪、ジュプトルさんの希望よりも中のドラゴンの魔力が上回って…ファントムを生み出してしまう可能性も」

「…。……そのリスクは、元より承知の上だ。とにかく、時間を掛けすぎなければいいんだろう?」

「まあな。――ったく、俺がお前の尻拭いをしなくちゃならないって、今日は厄日か!」

「そう言わずに。…来ますっ!」


ドワーフの大群が押し寄せる。

しかし、大半は“吹雪”や“熱風”によって蹴散らされ、その間にウィザードHDは“コネクト”でドラゴタイマーを取り出す。

だが…

何体かのドワーフは柱に齧りついており、ある程度削った所へ一点に集中して捕まり、そのまま数を増やす。

――狙いは、作戦を台無しにしたコータスとオニゴーリ…そしてウィザードHD。

唯一気付いたピカチュウが「危ない」と叫び、ウィザードHDは振り返るが




<エクスプロージョン、ナウ>

『『『ぎゃっひーっ!?』』』

「きゃあっ!」

「今のは…!」


……突如、空中で爆発が起き…ドワーフごと柱が木っ端微塵になっていた。

あのような魔法を使えるのは、白い魔法使いしかいない。

しかし、どうして自分達を助けたのか…

そう思いながらも、ウィザードHDはドラゴタイマーを右手にセットし、起動し始めていた。

そして地中から現れたのは…ランドドラゴン。


<セットアップ …ランドドラゴン!>

「うおっ、増えた!?」

「え、俺?」

「…ど、どうなっているんですか…?」

「コピーの上位互換、と言うべきなのか…とにかく意思を持った分身ってやつだな」

「――そうか、これを利用すれば!」

<…フレイムドラゴン! …ウォータードラゴン!>

「「はっ!」」


続けて、別の魔方陣からフレイムドラゴン・ウォータードラゴンが現れ…

この場には、4体のドラゴンスタイルが現れていた。

更に、この状態でフレイムドラゴンは“スペシャル”リングを、

ウォータードラゴンは“ブリザード”リングを、

ハリケーンドラゴンは“サンダー”リングを、

ランドドラゴンはスラッシュストライクの体勢に入り、周囲のドワーフ達を一掃しに掛かっていた。


<チョーイイネ! スペシャル、サイコー!!>

<チョーイイネ! ブリザード、サイコー!!>

<チョーイイネ! サンダー、サイコー!!>

<キャモナスラッシュ、シェイクハンズ! ランド、スラッシュストライク…ダンデンドン!ダンデンドン!!>

「「「――はああああーッッッ!!」」」

『『『ぎゃああああああーっ!?』』』



現れた4体のドラゴンスタイルによって、跡形もなく消し飛ばされるドワーフ達。

残った200体も、ビーストとバンギラスによって既に潰され…

ポケモンタウンは、平穏を取り戻していた。

ポケモン達は互いに喜び合い、窮地を救ってくれたウィザードHD達に感謝している。

ピカチュウは顔を赤らめて照れている様子だったが、…ウィザードHDは違う。


「どうしたの、ジュプトル?」

「いや。……何か、こうなるように仕組まれていたような気がするんだ…。それに、どうしてあいつはあの時…」





中央広場を一望できる、高い木の上で…

白い魔法使いは、何かを見ていた。



『…ドラゴタイマーを渡したのが“奴”だとしたら、……こちらも早急に手を打つか』


『このような場所で、ポケモン達の希望を消されるわけにはいかないからな…』






〜〜〜






廃墟にて。

メデューサはイライラしながら、その場に現れていた。

一方のベルゼバブは、涼しい顔。

その顔を見てメデューサは余計に苛立ちながらも、皮肉でも言ってやろうかと思ったか、ベルゼバブに言い放っていた。


『……いい気味ね?あんな弱いファントムを使うからよ』

『おやおや。そのファントムにまんまとやられた君が、言うことなのかな?』

『ベルゼバブ…!』

『それに今回の作戦は、“あの方”のためなのだ。――そうですよね、ワイズマン?』


そう言って、ベルゼバブが尋ねたのは…

紫のカーテンの奥から表れた、ワイズマンそのもの。

メデューサは慌てて膝をつくが、ワイズマンは構わず話し始めていた。


『…指輪の魔法使いに、あの魔法具を渡したのは……この私だ』

『なっ…!?何故、そのようなことを』

『どのような形であれ、奴の手元にファントムの力を引き出せる魔宝石の指輪が4つも集まったからだ。……あの魔法具は更にファントムの力を引き出させ、上手く使えば…ファントムと一体化するほどの力を得られる』

『……では、あなたが敵に塩を送ったと…!?』

『塩を送ったのではない。――更なる絶望を送ってやったのだよ』



ワイズマンの言葉に、メデューサは寒気を感じる。

ジュプトルの中にいるウィザードラゴンの力を高めるということは、最悪それが生み出された場合、ワイズマンをも超越するファントムが生まれかねないということ…

もしそんなものを生み出させれば、……自分の手に負えるかも分からない。

メデューサはそう思いながらも、それとベルゼバブの作戦に何の関係があるのか、ベルゼバブに尋ねていた。


『…それでも!ベルゼバブ、あなたの策は結局失敗に終わったも同然よ。白い魔法使いからセイレーンの情報を聞き出すか、交渉決裂した場合は、子供を殺してギャラドスを絶望させる…』

『あぁ、その話か。――悪いがそれは、嘘だ』

『嘘…!?』

『最初はそのつもりだったのだが、一応魔法使い達を殺してしまう危険性もあっただろう。念のためにワイズマンに相談しに行き……主がドラゴタイマーを送ったと知って、この策を決行した』

『一体、どんな目的で…』

『どんな形であれ、ドラゴタイマーを使わせる。無数に増えてくれるドワーフは、その最低限のノルマを果たしてくれたよ。……これでよろしかったのですよね、ワイズマン?』


ベルゼバブの問いに、ワイズマンは頷く。

――途中からドワーフの指揮をやめたのが分からなかったが

――まさか、あの段階で策が「終わっていた」とは

――自分にも、奴らにも「失敗」だったと思わせておいて…本当の作戦は既に決行されていた

――そしてその引き金を引いたのは、経緯はどうあれ指輪の魔法使い自身

メデューサはベルゼバブの作戦に、舌打ちしていた。

ドラゴタイマーの利便性を知った今、リスクを犯してでも世界を守るという使命を持ったジュプトルならば、使う機会は少なくとも…『状況に応じて使うことになる』だろう。




(まさか、最初から踊らされていたなんて…指輪の魔法使いだけではない、この私ですら……!)






***




ベルゼバブ、策士。

そんな回でした。

白い魔法使いはそこまで見越してはいたものの、それに乗らざるを得なかったということでしょうか。

なんにせよ、ファントムが蔓延るのを是としない人ですし。

セイレーンに関しては…いつでも始末ができるから、ってことですかね…?


オニゴーリ館長が(捕まった奴らの)最後の希望過ぎるw

そしてギャラドス…

うん、それは仕方ないよ……うん。

しかし、ブラフとはいえ子供達を人質にとって尚且つ目の前で殺してギャラドスを絶望させると言う鬼畜な作戦…

ベルゼバブって…本編では僅か2話だけの出番、だったよね……?



ジュプトル本人がいないところで話が進むw

そしてイチャついているように見えなくもない館長とコータスェ。

というか…

ヨノワールとペガサスはまだ納得行くけど、オオスバメ…お前なんで名前挙がったんだ……

オオスバメだからとでも言うのかぁぁぁ…!←


そしてドラゴタイマー作動!

…したら一掃されるって分かりきってますよねー!

ピカチュウですら倒せるドワーフですもん!ちなみに、ミロカロスとの会話は楽しい。

白魔の謎のちょっかい…

ベルゼバブとワイズマンに踊らされていた一同…

これは……ベルゼバブの死亡フラグ!(策士過ぎる的な意味で)




次回は、放置されていたミラージュマグナム。