「――火事だー!」
ポケモンタウンにある、一軒の家。
そこが突然…音を上げて燃え始めていたのだ。
付近の住人はすぐさま避難し、水ポケモン達が連携して消火活動を勤めている。
その一方で…
「…ダンバル達!お尋ね者は、見つかったか!?」
「イエ…コチラニハ、イマセンデシタ」
「シカシ…コレデナンケンメナンダッツーハナシデスヨネ、コノホウカジケンハ」
「確かに……だが、犯人は分かっている。これ以上被害が広まる前に、依頼を出すのも手段の一つか…」
その一方で…
何かから必死に逃げている、ギャラドスがいた。
彼は何かに気付くと、近くにあった茂みに隠れ、保安官補佐であるメタング2匹をやり過ごすと、溜息をついていた。
しかし…
「…イタゾ!オタズネモノダ!!」
「コッチダ、コッチダー!」
「し…しまったっ!?」
別の方向から来ていたダンバル達に見つかってしまい、ギャラドスは必死に逃げる。
――どうして、こんなことに
――俺は、何もしていないのに
――いったい、どうなっているんだ…!
〜〜〜
翌日、探検隊立ち寄り所には…
仕事復帰したムクホークが、【お尋ね者板】に大きく張り紙を貼っていた。
そこに書かれていたのは
『連続放火魔、ギャラドス!』
『最近ポケモンタウンで頻発している、連続放火事件の犯人です』
『捕まえてくれた探検隊には、報奨金を与えます 事件解決にご協力を!!』
…という、内容だった。
ジュプトルとピカチュウはその張り紙を見ながら、ムクホークと話していた。
「…こいつが、最近起きている連続放火事件の……お尋ね者か?」
「むむむ、確かに、見るからに怖そう…」
「普通、こういう放火事件だと、水タイプのポケモンは真っ先に除外されるんだけど…ギャラドスは火炎放射を覚えるって話だし、実際に目撃者もいるからね」
「ホント困ったものよね!昨日なんて、ワタッコさんの家が焼けたらしいのよ」
セレビィも話に割って入り、張り紙に描かれたギャラドスの人相画を見る。
――確かに、館長に負けず劣らず怖い顔だ…
ジュプトルはそんなことを思いながらも、この依頼に関してムクホークに尋ねる。
しかし…
「悪いけど、この前ブロンズランクになったばかりのジュプトル達は受けられないかな…ギャラドス自体、かなりの力の持ち主らしくて……シルバーランクかゴールドランクじゃないと依頼は受けられないらしいんだ」
「そ、そんなぁ…」
「…まあ、予想はできていたがな」
「でも、捜査に協力することはできると思うよ。目撃情報を提供するなりね」
そんな話をしていると…
2話ぶりの登場となるオオスバメが張り紙を見て、「えーっ」と叫んでいた。
「――うっそ、何でギャラドスさん指名手配されてんのー!?」
「…出たなシリアスブレイカー!」
「オオスバメと呼んでー。それはさておき、こんなのありえないよ!絶対ありえない!!」
「せ、先輩。どういうことなんですか?」
「ありえない」を連呼するオオスバメに、ムクホークが尋ねる。
すると…
オオスバメはやや不満げに張り紙を見ながら、話していた。
「…指名手配されてるギャラドスさん、俺の知り合いなんだ」
「「「えっそれマジ?」」」
「マジでーす。…だけど、すっごくいい人なんだよ!荷物が重くて困っているお年寄りのスリーパーさんを背中に乗せてあげたり、サーナイト保育所に来て子供達と一緒に遊んでくれたり…だから絶対ぜーったいありえない!!」
「……どう思う、ジュプトル…セレビィ……?」
「どう、と言われても。…オオスバメの証言って、結構信頼性に欠けるからなぁ…」
「そうよねー…だけど、無実ならそれを証明すればいいじゃない。どうして逃げる必要があるの?」
セレビィの言葉には、ジュプトル達も同意する。
彼女の言うとおり、無実ならそれを証言すればいいのだ。逃げる理由は、何処にもないはず。
それなのに逃げると言うことは…疚しいことがあるから。
オオスバメは「そんなことない」と叫ぶが、そんな彼らの元へ、1話以来の登場となる【ドクドーク】が現れていた。
1話以来の登場なのでメンバー編成を改めて説明すると…リーダーのドクケイルと、子分のドガース・アーボで構成される毒のプロフェッショナルで気性が荒い(と言う設定)。
「…よぉ、お前、あの時のピカチュウじゃんか」
「もしかしてお前達も、このお尋ね者を捕まえようって?」
「ムリムリ。俺達【ドクドーク】のように、シルバーランクになってから出直しな」
「………誰だっけ、ジュプトル」
「俺知らんがな」
「あ、この間やっとシルバーランクになったばかりの【ドクドーク】…だっけ?」
「あー…いましたね、そんなの」
「「「お前ら酷くね!?」」」
ピカチュウには盛大に忘れられ、ジュプトルにははっきり「知らん」と言われ。
オオスバメとムクホークにすら、酷い扱いを受けるドクケイル達。
スピデリの2匹にすら忘れられているのは相当だぞ、お前ら。
とにかく、彼らはふん!と得意げに鼻息を荒くすると、ピカチュウに詰め寄る。
「…いいか、お前らみたいな弱小探検隊は、ザコ相手に地味に稼いでな!」
「そうそう。俺達【ドクドーク】が、このお尋ね者は捕まえてやるんだからよぉ」
「怖いか?だったら、おうちに帰ってママのおっぱいでも飲んでな」
「……どうしようジュプトル、オニゴーリ館長に慣れたせいで、この人達全然怖くなくなった。っていうか、ただのチンピラに怯えていた過去の自分が恥ずかしくなった」
「まあ、事実、ザコだしな。館長は元より、ヘイガニでも余裕で勝てるんじゃないか?」
「館長と一緒にいると、その辺の耐性つくよねー。ジュプトルも大概だけど」
「「「お前らあああああ!?」」」
そうしていると…
ヤミラミが突如やって来て、ジュプトル達に声を掛けていた。
「ウイィッ!お前達、ここにいたのか!!」
「どうした、ヤミラミ」
「何かあったの?」
「何かあったも何も…大変なんだよ!今さっき、建設途中の【雪花屋】の南棟で立て篭もり事件があって……それも、ヘイガニが巻き込まれてるって話だ!」
「「ヘイガニが!?」」
ヤミラミの話では…
ヘイガニは今日、【雪花屋】南棟の修復工事のために一足早く現場に来ていた。
だが、その際追われていたギャラドスと鉢合わせ、そのまま人質として連行。
現在、【雪花屋】南棟で立て篭もり事件に発展しているということだ。
「あいつ運なさすぎだろ」と思うジュプトルの横で、ヤミラミの話を聞いたシルバーランク以上の探検隊達はすぐさま現場に向かっていた。
当然、【ドクドーク】もその一つだ。
「どうしよう!ヘイガニを助けないと!!」
「ああ…しっかし、立て篭もるにしても、何で雪花屋なんだよ…館長に殺されるぞ」
「うあー、それは絶対阻止したいーっ!そういうわけでムクホーク、今日来れないから!!」
「え、いや、先輩元々今日休み…まあいっか」
〜〜〜
雪花屋の南棟前では…
たくさんの探検隊と、メタグロス保安官らが取り囲んでいた。
そして…
一体のメタングから渡された拡声器を使って、メタグロス保安官が呼びかける。
「――『犯人に告ぐ!人質を解放して、今すぐそこを出るんだ!!』」
「うわー、なんかドラマみたい」
「…出てきたところを凍らせて…OK……?」
「オニゴーリさん、落ち着いてください…!」
(((保安官達より先に、館長のほうが突入しそうだなぁ…)))
暢気なことを言うオオタチの横で、オニゴーリが突撃体勢に入る。
そんな彼をコータスが必死で抑え、ニドキングやパチリスといった住人らもそれに力を貸す。
しかし、犯人は断固として要求に応じない…
「これは突入も止むなしか」と思っているところへ、ジュプトルとピカチュウ、オオスバメもやって来る。
「おい、オオタチ…は期待できない。コータス、状況は?」
「犯人は未だに、メタグロス保安官の要求に応じません。……どうしましょう…このままだと、ヘイガニさんが…」
「……よし、俺が“スモール”の指輪で小さくなって…侵入する。そして中から、ギャラドスを取り押さえる」
「駄目だって!?ギャラドスさんは悪い人じゃないんだってば!」
「分かった、分かったから離せ馬鹿!…一応、話はしてみる。最優先はヘイガニの救助だ」
「だーめー、ジュプトル絶対手加減しない!本気でぶっ飛ばす、ウィザードになってまで雪花屋ごとぶっ飛ばす!!1000ポケ賭けてもいい!!!」
わあわあと漫才をするオオスバメとジュプトル…
だが、その頃【雪花屋】南棟では…
「…まあ、大したもん持ってねーけど…食べるか……?」
「……ああ。ここ数日、ろくに食べてないんだ」
ヘイガニとギャラドスが、なんか仲良くやっていた。
煎餅とオレンジュースを貰ったギャラドスは、すぐさまそれにがっつき、少ないながらも腹を満たす。
これを見る限り、悪いポケモンには到底思えない…
ヘイガニも煎餅を食べながら、ギャラドスに尋ねていた。
「で、あんた…放火犯として追われているんだって?」
「…違う!俺は何もしちゃいない!!第一俺は」
「わーわーわーわー、落ち着いて、落ち着いて!…違うとしても、何でその場から逃げたんだ?違うなら、正直に無実を証明すればいいじゃんか」
「……俺は見ての通り厳つい顔だ、昔から何もしていないのに疑われてきた…悟ったんだよ。言うだけ無駄だってな」
「でも、言わなきゃ分かんねーことだってあるわけだろ?……現に、世間じゃ皆あんたを連続放火犯だって思ってるし…あ、俺は違うとは思ってるよ。だってあんた、悪いことしそうに思えないし」
不機嫌な顔をするギャラドスに、ヘイガニは慌てて弁解する。
…人質に取られた際、ギャラドスはこんなことをヘイガニに言っていた…
『悪く思うな、できるだけ時間を稼ぎたいだけなんだ』
時間を稼ぎたい、とわざわざヘイガニに言う辺り、ギャラドスの狙いは人質を取って立て篭もることではなく…別のことが狙いであるようにも思えた。
そして、ギャラドスの狙いとは…
「…こうやって俺が人質になっている間に、放火事件が起これば無実が証明される…って思ってるんじゃないよな?」
「……それしかないんだよ!それぐらいしか、無実を証明できる方法なんてないんだ…!!」
「馬鹿言うなよ!余計事態を悪化させてんじゃねーか!!…もし無実が証明されたとしても、こんなことしたら結局捕まえられるんだぞ!?」
「だったら、どうしろっていうんだ…保安官達もまともに取り合っちゃくれない、誰も味方になっちゃくれない!……どうすればいいってんだよ…」
ギャラドスは悔しそうに外を見ながら、叫んでいた。
…ヘイガニも、何とか力になってやりたいが、この状況ではどうしようもない…
他にギャラドスのことを信じてくれそうなポケモンがいればいいが、そんなポケモンなど限られる。
――その時、ヘイガニの中にある人物が思い浮かんでいた。
「……オオスバメさん!あの人だったら、絶対信じてくれる!!」
「オオスバメ…って、スピデリの…極端に底抜け前向き馬鹿のほうか?」
「そう、その馬鹿のほう!それに、俺の考えだとファントムが一枚噛んでる可能性が高い…だとしたら、ジュプトルも力になってくれるはず!!あと、――ここの館長も…話せば分かってくれる人……コータス味方にすれば、分かってくれる…と思う……」
「おい一部不安要素丸出しだぞ」
「しょうがねーよ…館長怖いんだもん……顔以前に色んな意味で怖いんだ…!」
「…あー、だからお前、俺の顔見てもあんまり怯えないのか…」
そもそも、ヘイガニはオニゴーリとオーダイルという【二大厳つい顔コンビ】を知っているためか、ギャラドスぐらい怖いとは思わない。
…それ以前に、オニゴーリ(※雪花屋の館長限定)以外を「怖い」と思うことすらできないほど…
とにかく、何とか電話でジュプトル達に連絡を取り、詳しい話をしようとしていた……その時だった。
「……おい、何か焦げ臭くないか?」
「え?…まさか」
ヘイガニとギャラドスが気付いた時には、――近くの壁が燃え始めていた。
その瞬間、ヘイガニは顔を青ざめ…ギャラドスは慌てて“ハイドロポンプ”で消化しようとする。
しかし、それでも火が消える気配がない。
……この様子は、外からでも見えていた。
事もあろうに【雪花屋】で放火事件がおき、もしかすればギャラドスがヘイガニごと心中する気なのではという見方が強まる。
この事態にオニゴーリの怒りがフルスロットルブレイクし、コータスとオオタチ、ピカチュウにオオスバメが必死で止めていた…その一方で、ピカチュウはジュプトルに叫ぶ。
「……怨怒霊(オンドレ)ェェェェェー!!!」
「お…オニゴーリさん!オニゴーリさん落ち着いてー!!」
「館長だめー!オニゴーリを超えた鬼ゴーリ的な何か…っていうかもはや本物の鬼になってる!『悪い子はいねがー!』を飛び越えてるうううううううう!!?」
「ギャラドスさんじゃない、あれ絶対ギャラドスさんじゃない…かんちょおおおおおおおお正気に戻ってえええええええええ!」
「じゅ…ジュプトル!火を消して…館長が犯人を殺す前に、ヘイガニ助けてきてーっ!?」
「――あ、ああ…分かっている、変身!」
<ウォーター、プリーズ スィ〜スィ〜スィ〜スィ〜♪>
<コネクト、プリーズ>
ジュプトルはウィザード・ウォータースタイルに変身すると、マシンウィンガーを呼び出す。
そして誰よりも早く、南棟に向かって走らせると…
――事もあろうに、そのままドアをライダーブレイクしていた。お前は何処の筑波。
「「「……ジュプトル(さん)の馬鹿あああああああああああああああああああああああああああああ!!!」」」
「…あいつの借金、2000ポケ追加…それに加えて、……焼けた壁の修繕費も+α…!」
「……ジュプトル!せめて、せめて炎の被害は抑えて…ヘタすれば元の借金より増えるーッ!?」
ウィザードWSがギャラドスとヘイガニを探し、走り回る。
すると…
台所のほうに二人はおり、ギャラドスは「なんだあいつ」と叫ぶばかり。
一方のヘイガニは、必死になってウィザードWSに説明する。
「…いたっ!」
「な…何だあいつ!?」
「ジュプトル!……この人は犯人じゃない、現に、今起きてる火事は…この人は何もしてない!壁が燃えた時には、俺と話していたんだ…間違いない!!」
「何だと?だが、そう言っても…館長が、館長が既に怒り狂って……いや、それ以前にまずは消火d」
ウィザードWSが消火をしようと、ウィザーソードガンを呼び出す。
だが…
その前にギャラドスは火元の壁を破壊するように、【雪花屋】から逃げていた。
ヘイガニも、慌ててその尻尾を挟み…ウィザードWSは「おい」と叫ぶ。
「――悪いジュプトル、どうにかして調べてくれ…俺はギャラドスさん何とかするからー!」
「ヘイガニ!つか……ああああああああ、壁がああああああああー!?」
雪花屋に点けられた火は、ギャラドスが壁を破壊したお陰で…そこまで火の手が回らずに済んだ。
だが…
その分の借金は、ジュプトル達【ブレイブス】の借金に回されていた。
残りの返済額が1万ポケまで来ていたのが、+5500ポケの追加…地味にこれは痛い。
むしろ、絶望しかけてしまうレベルだ。
メタグロス保安官達や、他の探検隊達も、ギャラドスの捜索をするため散り散りに探し始める…
その一方で、ジュプトルの証言を元に、ギャラドス無実の線が濃くなったと同時に…彼のゲート疑惑が浮上していた。
「でも、…少し考えればその可能性もあるわけですよね。ファントムがギャラドスさんを犯罪者に仕立て上げて、絶望させるというのも……」
「だから言ったじゃん!ギャラドスさんは悪くないって!!」
「…しかし、仮にギャラドスがゲートで連続放火犯がファントムだとしても…だ。どうやってそれを探すんだ?それに、探したとしても器物損壊にヘイガニの拉致・監禁……どう足掻いても実刑は免れないぞ」
「……館長、ジュプトルのこと器物損壊で訴えなかったんだからね…感謝して、凄まじく反省して、借金返済頑張ってねジュプトル……!」
「……すいませんでした…っていうか、……3500ポケ分の返済額は俺のせいじゃねぇぇぇ…!orz」
土下座をするピカチュウとジュプトルはさておき。
…確かにオニゴーリの言うように、ギャラドスは余程のことがなければ、実刑は免れないだろう…
流石にこればかりは、ただ犯人を捕まえて無実を証明させるだけではどうにもならない。
そうしていると…
現場を取材しに来たバンギラスが、ジュプトルに声を掛けていた。
「――なんか、凄まじく大変なことになってるな」
「お前は確か…この間のバンギラスか」
「事件の様子を取材しに来たの?」
「それもあるんだが…今回の件、俺はファントムの仕業だと踏んでいる。……それっぽいポケモンに、心当たりはないかと思ってな」
どうやらバンギラスも、この県はファントムの仕業として調査しているらしい。
その一方で、前も彼がファントムについて調べていたことを思い出し…
ジュプトルは、目つきを鋭くしながら彼に尋ねていた。
「いや…だが、お前は何でそこまでファントムの事件に首を突っ込む?」
「興味本位、ってやつかね。世間を騒がせている、ファントム…そいつらは一体どうして突然現れたのか、半年前の日食の日と関係があるのか、ファントムが生まれた理由には何かあるんじゃないか……ってね」
「「「…」」」
「疑問に思ったことはないか?日食の後で仮に急激に増えたとしても…それ以前に生まれたファントムは、どんな要因で生まれてしまったのか。魔法使いとは誰が作り出し、どうして魔法使いでなければファントムを倒せないのか……そしてジュプトル」
「俺?」
「…お前は“その時”の事を、全部覚えているか?……本当はお前も知らないような、大きな謎があるはずだ」
…確かに。
言われてみれば、バンギラスの言うとおり、どうしてファントムが生まれてしまったのか…一度も疑問に思ったことはなかったように思える。
そして、ジュプトルも…半年前の儀式のことは、総て覚えているわけではない。
記憶が曖昧で、ファントムを生み出す直前と…それを押さえ込んだ直後の記憶しか、ない。
それと同時に、オニゴーリも気になったことがあったのか、前に出会った3人目の魔法使いについて尋ねる。
「こっちもお前に聞きたいことがある。……この間、PURIN-cesのライブ会場に現れた、3人目の魔法使い…お前、そいつに心当たりは?」
「……あぁ、古の魔法使い…ビーストのことか」
「「「ビースト?」」」
「少なくとも俺はそう呼んでる。……あいつを知ってどうするんだ?」
「いや、ちょっと気になったものでな。…もしかすれば、ジュプトル同様、あいつの……白い魔法使いの手引きで変身する力を手に入れたんじゃないかと」
白い魔法使い…
そのことを聞いたジュプトルも、ようやく疑問に思う。
――あいつはそもそも、どうしてあの場に現れた?
――まるで、あの日食の日で俺のような奴が生まれると知っていたかのように…
――それにこのウィザードライバーは、一体どうやって作られたんだ
バンギラスも、白い魔法使いの名前を聞いて訝しげな顔を見せる。
「…あの白い魔法使いはあまり信用しないほうがいい。何を考えているのか、その正体すらサッパリだ」
「あいつに会ったことがあるのか!?」
「一応、な。……だが、別に話すほどのことでもないだろ。話してもあまり意味がないわけだし」
「意味がないってどういうこと?」
「…それは、……まあ要するに、会ったと言ってもそれほど大した用事じゃないってこと。とにかく、真犯人探し頑張れよ」
バンギラスはそう言うと、手を振ってその場から去っていく。
そんな彼に、ジュプトルやオニゴーリは首を傾げながらも…当面の問題は、ギャラドスをどうするかだ。
ピカチュウは「んー」と難しそうな顔をしながら、オオタチと話していた。
「……これまでのパターンから言って、ギャラドスさんは本当にファントムで、ゲートはむしろヘイガニ……ってこともありえるんじゃないかな…?」
「どうだろうねー。オオスバメさんの証言だと」
「――だからギャラドスさんは違うって!?半年前に突然いなくなったわけでもないし、子供達に対するあの人は本当に優しい人なんだってば!」
「…とのことですが、ピカチュウ弁護人。どう思われますか?」
「……もう分かんないでぇぇぇす…!orz」
ピカチュウはがくりと膝を突くが、可能性としてありえないわけではないのだ。
ファントムはゲートの記憶を利用して、日常生活に溶け込む…
オオスバメの知っている『ギャラドス』の姿を借りて…ゲートを絶望させる使命が来る日まで、過ごしていることだって、ありえる。
その上、ワータイガーを生み出して死んだコロボーシの例もあるのだ。半年前に行方不明にならなかったからとはいえ、ファントムでないとも限らない。
「とりあえず」とジュプトルは手を叩き、ピカチュウ達に話していた。
「――俺達がやるべきことは、放火事件の真相を調べることだ。まずは、それぞれ火災の起こった現場に行こう」
「何で?もう全部燃えちゃってるし、証拠とかもないんじゃ…」
「それでも、現場には何かしらの手がかりが残されているものだ。行って損はないはずだ」
〜〜〜
『――あーっ!イライラする…なんで俺が、こんな地味な真似をしなくちゃいけねぇんだ!!』
気に入らない、と言いたげなフェニックスが、近くの壁に当り散らす。
しかし、そんな彼にメデューサは、溜息混じりに言い放つ。
…その頭部の蛇で、睨みを利かせながら。
『少しは頭を使うことと、慎重に物事を運ぶことを覚えなさい。……あなたのその血気盛んな性格は、ファントムを増やす意味でも損でしかないわ』
『煩せぇ!俺に指図すんな!!』
『…どうやら、お仕置きが足りないみたいね?』
フェニックスは大剣カタストロフを、メデューサは杖を構え、戦う準備ができている。
…一触即発の空気
しかし、そんな二人の前に現れたのは、ベルゼバブ。
二人の仲を取り持つようにやって来た彼は、余裕の表情でフェニックスを窘めていた。
『……このような場所で互いに争っていては、完全調和が崩れてしまう。フェニックスも、少しは落ち着くことを覚えたらどうだ?』
『テメェまで俺に指図するってのか!?』
『指図ではない、忠告だ。怒りに身を任せている今の君では、もう一度指輪の魔法使いに倒されてしまうだろうな…新しい姿を手に入れたのなら、尚更』
『今度は負けねぇよ!……くそっ、腹が立つ……どいつもこいつも…!!』
そんな捨てセリフを吐きながら、フェニックスは再度、ゲートを絶望させに向かう。
「やれやれ」とベルゼバブも溜息をついた後、どこかへと消え去っていく…
一方のメデューサは、部屋の奥のほうに向かい、ワイズマンと謁見する。
紫色のカーテンの奥。
ワイズマンは、そこからゆっくりと姿を現しながら…クックと笑っていた。
『フェニックスには相当手を焼いているようだな』
『えぇ。…あれだけじゃなく、ベルゼバブも何をしているか…誰かと会っているのは確かなのですが』
『放っておけ。方法はどうあれ、奴は純粋にファントムを増やすために知恵を使っている』
『…だと、いいのですが』
『それよりもメデューサ、あのバンギラスの始末だが、……マンティコアに任せよう』
『奴に、ですか?』
マンティコア、と聞いてメデューサは考える。
…確かにマンティコアの能力ならば、確実に仕留めることはできるだろう…
だが、ウィザードの新たな形態が増えつつある今、果たしてそう上手くいくのだろうかという不安もある。
しかし…
ワイズマンはくすりと笑いながら、話を続ける。
『指輪の魔法使いや、古の魔法使いの邪魔はあるだろうが…成功するようサポートするのが、お前の仕事だ…メデューサ』
『……分かっております』
その頃…
ヤミラミ宝石店に、一人の客が訪れていた。
はいはい、とヤミラミが店の奥から顔を出すと、――その人物の顔を見て驚きを隠せずにいる。
かつての自分の上司であり、現在は単独でファントムを調べているという…ヨノワール。
「ヨ…ヨノワール様!?」
「久し振りだな、ヤミラミ(B)。他のヤミラミ(A、C〜F)はどうだ?」
「ウイィ。あいつらも、魔宝石を捜しているんですが…なかなか見つからなくて。俺も探しに行ったほうが早いんじゃないかと思うぐらい……」
「いいや、指輪を作れるのはお前だけだ。お前は、魔宝石が届くのを待てばいい…こういう風にな」
そう言って、ヨノワールが取り出したのは…黄色い魔宝石。
それを見たヤミラミは酷く驚き、魔宝石とヨノワールを交互に見る。
…確かに、ファントムについて調べるための旅をしているヨノワールならば、魔宝石を見つけることもあるだろう…
しかし、ヨノワール自身も腕組みをしながら、ヤミラミに話す。
「…実はこの魔宝石は、私の夢の中に現れたファントムが場所を教えてくれたのだ」
「夢の中に出てくる…ファントム?」
「そういう能力を持ったファントムなのだろう。ペガサス…だったか、とにかく、これでウィザードに新たな形態が生まれることだろう。……」
「どうしたんですか、ヨノワール様?」
「いや、…何でもない。頼んだぞ、ヤミラミ」
そう言って、ヨノワールは宝石店を後にする。
ヤミラミは「ジュプトルやセレビィには会わないんですか」と叫ぶが…
ヨノワールは少し振り返ると、ジュプトルに言伝を伝えるよう告げていた。
「……ヤミラミ。ジュプトルに会ったら、こう言ってくれ…『私は【神の頂】を探しに行く、暫くお前のサポートはしてやれない』とな」
「神の…頂?って、それ、伝承でしか確認されない…御伽噺の場所なんじゃ!……ヨノワール様!?」
しかし、ヨノワールはそのまま静かに立ち去っていく。
そんな彼の姿を見て、ヤミラミは一抹の不安を感じつつも…渡された魔宝石に、目を移していた。
***
ギャグとシリアスの落差ヒデェ。
いつものことなんですが。
ドクドークw
1話以来の登場なのに、扱いヒデェww
しかしまぁ、ピカチュウも逞しくなりましたねー…
ファントムとか館長とか館長とかジュプトルとかファントムとかオオスバメとか館長とか館長とか館長とかジュプトルとかオオタチとかオオタチとかオオスバメとか館長とかジュプトルとか館長のせいですね!
でも実際、ドクドークって…ザコです。
館長>>>ジュプトル>>ヘイガニ>ドクドークの3匹>ピカチュウってぐらいに。
ヘイガニは探検隊の知識面はかなりあるので、シルバーランクのポケモンが行けそうな場所に割と平気で突っ込んでいけるんですよねー。
探検隊においてヘイガニが習得するスキル:社交家
オーダイル棟梁も「社交的」って言うほど、対人関係に強いんですよねー。
逆がピカチュウ。
ヘイガニ(とオオスバメ)はギャラドスのことを信じているみたいですね。
そして…
遂に起きてしまった、借金増額w でも最初のライダーブレイクはお前が悪いぞせっかち。
バンギラスがいることで、ようやくファントムの存在や白い魔法使いに関して疑問を持つように
………って遅せぇよ!
色んな意味で遅せぇよ!!
むしろ、バンギラスが来なかったら今まで誰も疑問に思わなかったって…ある意味凄いぞ……?
そして、ヨノワールもフラグ立ててきましたしね。
オーダイル棟梁の時も思ったんですけど、ヘイガニって水タイプとの接点多いですね…
ちなみに、本当はギャラドスじゃなくてハスブレロの予定で、逃走にはジュプトルのマシンウィンガー窃盗の予定でしたw