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タイトル未設定 - 22話:潜入、女子会

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22話:潜入、女子会

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翌日。

ミロカロスとアズマオウは一足早く、【雪花屋】を出ていた。

やはり化粧直しや舞台のセッティングなど、色々あるのだろう。

ピカチュウやセレビィ、コータスにオオタチはミロカロスとアズマオウを警護するべく、準備を始めていた。

その際に役に立ってくれたのは、ユキメノコが昔使っていたという髪飾りや化粧道具を快く貸してくれたオニゴーリ。

それ以外の…バンギラスとヘイガニ、ギャラドスは……

申し訳なさそうに、頭を垂らしていた。


「「「…」」」

「何だよ。お前らじゃ化粧道具とか、どうやっても準備できないだろ…ファントムのせいで死んだユキメノコも、喜んでくれるはずだ」

「いや、そうじゃなくてですね…」

「なんと言いますか…」

「…申し訳ない気分になりまして…」


バンギラスやヘイガニはともかく、ギャラドスすら敬語を話す異常事態。

オニゴーリは首を傾げ、そういえば昨日からジュプトルとリザードンが戻らないことを思い出す。

…リザードンは基本、バンギラスの家に住んではいるが…夕飯は雪花屋で食べることが多い。

彼曰く、「バンギラスは夜遅いから一人で適当に食うのも面倒」とのこと。

そして…



「――お待たせしましたわね!」

「さあ、行きますわよ!」



…来てはならない馬鹿が2匹、現れていた。

ルージュラに仕立ててもらったドレスや髪飾りをつけて現れた、ジュプトルとリザードン…

しかも、化粧がノーメイク派のコータスを除き…セレビィやピカチュウ、オオタチのそれより何気に上手いのが腹立つ(by.ギャラドス)

あまりの事態にオニゴーリはその場で固まったかのように動かなくなり、ヘイガニとギャラドスは何度も彼のほうを見ながらジュプトル達に尋ねる。


「…マジで…やっちまったな……」

「せめて、館長がいない時に来いよ…」

「細かいことは気にするな。行くぞ、ピカチュウ。セレビィ」

「復讐だけじゃなく、ゲートを守るのも俺の仕事だからな。コータス、オオタチ」

「………何やってんの、2人とも…?」

「…しかもジュプトルさん達の化粧が…私達の誰よりも上手いし……!」

「いや私スッピンですから。…何故…黒歴史を増やすようなことを……?」

「うわーやっちゃったアルねー、最悪アルよー」


当然、ピカチュウ達も氷付けになったかのように体が固まる。

…オオタチが平常運行なのは…オオタチだからに他ならない。

一応、バンギラスとヘイガニも、「俺達がいないとツッコミの危機」「コータス一人じゃ荷が重過ぎる」と、ファントムが出るまで外で待機するためついてくる。

そして…

彼らがいなくなった後、ギャラドスは未だ固まったまま動かないオニゴーリに…同情の眼差しを向けていた。




その頃…

ベルゼバブは、あるポケモンと話をしていた。


『遂に絶望させる日が来たようだな』

「えぇ、もう…3ヶ月間ずっと待ちましたよ。……ですが、どうしてすぐ絶望させずにこんな手の込んだことを?」

『時間をかけたからこそ、だ。幸せの絶頂期とも言える状態からの、地獄への転落…それは簡単には立ち直れない絶望となるだろう。故に…』

「ファントムの誕生スピードが速まる、と。流石ベルゼバブ様」


くすくす、と笑いながらそのポケモンはある封筒を見る。

…そこには、今回のゲートの重大な【秘密】が隠されていた…

これを使えば、ゲートは深い絶望の淵に叩き落されるだろう。

これでやっと報われる。

そう思いながら、そのポケモンは“舞台”へと向かう…






〜〜〜






【Cafe アゲハント】。

ここはマスターのアゲハントが営む、小さなカフェ。

しかしオープンカフェテラスもあり、綺麗な花をいつも見られるなど、メスポケモンの人気が高い店なのだ。

セレビィやピカチュウは前から一度ここに行きたかったらしく、こんな形で来る事になったのは彼女たちにとっても嬉しいことだろう。

…ただ一つ、女装をしているジュプトルとリザードンを除けば…


「ここが例のカフェですの?」

「確かに…雑誌にあったとおり、可愛らしくていいお店ですこと」

「…ねぇヘイガニ…せめて、せめてオープンテラスにいて…!?撮影、中みたいだから…!」

「分かってるよ…ミロカロスさんの視界に入らないよう、バンギラスさん盾にするから……」

「お願いしますバンギラスさん…そして、どうして止めなかったんですかバンギラスさん…!?」

「…心底申し訳ない…」


ピカチュウとコータスは、それぞれヘイガニとバンギラスに必死で頼み込んでいた。

…コータスは軽く責めていたみたいだが。

しかし他のスタッフやミロカロス達は特に気付いていないようで、ジュプトルとリザードンを見て首を傾げつつも、快く迎え入れていた。


「あ、あの!私達、…ミロカロスさんに呼ばれてきました…!!」

「あぁ、話は聞いてますよ。……そこのジュプトルやリザードンもそうなんですか…?」

「ええ。私達も、ピカチュウのお友達ですわ」

「そうですことよ」

「そうですか。それじゃあ皆さん、お入りください」

((バレてねぇのかよ…いっそ、ばれて追い出されればよかったのに……))





ヘイガニとバンギラスは、予定通りオープンテラスのほうで様子を見守ることになり。

この日は撮影のために貸切だったのか、中にいるのはスタッフとミロカロス、アズマオウ…

そして他のモデルの、ミミロップにネオラント・キュウコンにカフェのマスターであるアゲハント。

見事にメスのポケモンばかりだ。

撮影スタッフまでメスなんだ、とピカチュウは思いながらも、所定の席に座る。

ミロカロスは周囲のメンバーを見回した後、「それでは」と話をし始めていた。


「これより、私ミロカロスが主催する…他のモデルやファンを交えての女子会を行いたいと思います」

「うふふ、楽しみね」

「それじゃあまずは、コーヒーでも頼みましょう」

「そうですね。マスター、モカのブラックで」

(((くっ、空気が違いすぎる…)))


煌びやかなモデル達に囲まれ、ピカチュウやセレビィ、コータスは押され気味になってしまう。

ミロカロスは「何でも頼んでいいのよ」と言うが、恐れ多くてできない。

だが…

フリーダムの権化であるオオタチとジュプトル、そしてリザードンが平然と注文をしていた。


「それじゃあ…私ココアで、残り全員果汁100%のオボンジュースで」

「選ぶのも面倒でしょう。店員さん、このメニュー表にあるケーキを上から順に1品ずつお願いできますかしら」

「ついでに、取り皿もいくつか持ってきて頂けませんこと?」

「「「フリーダァァァーム!!?」」」

「そしてジュプトル、無駄にイケメンな頼み方…!と言うかそれって、普通ミロカロスさんがやること…!!」


こんな場所でも自由なハートを忘れない3匹。

…ここにオオスバメがいたら、もっとカオスだっただろう…

ピカチュウとコータスは心底「オオスバメさん不在でよかった」と思いつつ、出されたオボンジュースを飲む。

そして、オオタチは「女子会だから」と言うことで、話題を振っていた。当事者じゃないのに。



「質問でーす。皆さん、どうしてモデルになったんですかー?」

「「「オオタチさん度胸ありすぎっ!?」」」

「あら、いいのよ。私達のことを、ファン達にもっと身近に知ってもらいたいための女子会ですもの」

「ええ。…私は最初、スカウトされてこの業界に…」

「私もそうなのよ。でもね、美貌を保つのって大変で…」

「そうそう。私なんて尻尾が9つもあるでしょう、だから毛づくろいも大変で…」


ミミロップやネオラント、キュウコンはケーキを食べながら楽しく談笑する。

彼女達の意外な苦労話も聞け、ピカチュウは感心していたが…

ふと、ミロカロスが水しか飲んでいないことに気がつく。

デザートは多すぎるわけではない。縦長のメニュー表に9品あるぐらいで、1皿はケーキ1ホールの1/8。

この女子会のメンバーは10人…ケーキの数が1人分足りないが、それはリザードンが(ルージュラに習ったであろう)綺麗な取り分け方で分けているので皆に行き渡るはず。

それなのに、どうして他の飲み物も頼まず、ケーキも食べようとしないのか…

ピカチュウがそう疑問に思っていると、セレビィが尋ねていた。


「ミロカロスさん、ケーキ食べないんですか?」

「え?あ、えぇ…私、実は今日…食欲がなくて。あなた達で食べなさいな」

「そんな。代金も払ってもらっているのに、申し訳ないです」

「いいのよ、気にしなくて」



この異変は、ジュプトルも気付きつつあった。

ピカチュウとジュプトルは互いに目配せし、ミロカロスを見つめる。

そうしていると…

オオタチがテーブルクロスの下に写真のようなものが裏返されていることに気付き、それを抜き取る。


「あれ?これ…」

「どうしたの、オオタチ」

「あ、ううん、なんでもないよー」

「何その写真?――えっ、これって…」


セレビィはオオタチから写真を奪い取り、声を失う。

そこにいたのは、ミロカロスの写真。

しかし、写っているのは細くて美しい彼女の姿ではなく…通常のミロカロスより2倍近く胴回りの大きいもの。

流石に別人だろうとセレビィは思ったのか、写真を隠そうとする。

だが、急いでいたのか間違えて彼女の手から写真が離れてしまい、ミミロップの席の下に落ちてしまう。

ミミロップはそれを拾い上げてセレビィに返そうとするが、その際に写真を見てしまい、それとミロカロスを見比べた後……


「……っぷ」


小さく噴き出していた。

「どうしたのよ」とネオラントが声を掛けると、ミミロップは腹を抱えながら写真を渡す。

するとネオラントと、興味深げに覗き込んだキュウコンもくすりと笑い始め、ミロカロスを直視できない。

一体、どうしたと言うのか…

ミロカロスがそう思っていると、アズマオウがやって来て、ミミロップ達にあるものを渡していた。


「アズマオウ…?今は撮影中よ、戻って」

「撮影中だからです。……興味があるなら、もっと見てみませんか?」

「何?…っぷぷ、何これ!」

「くすくす…」

「あらまぁ…」




――それは、醜く肥え太ったヒンバスの写真や、通常よりも大きな腹回りで“体当たり”をダンジョンのポケモンに放つミロカロスの姿…

どれも、彼女の評判を落としかねない、悪質な写真だった。

しかもそれはピカチュウやコータス、リザードンにジュプトル、オオタチにも渡され…

最終的にアズマオウは、1枚の写真をミロカロスのテーブルの前に叩きつけるように置く。

それを見たミロカロスは、驚愕の顔を見せながらアズマオウに話していた。


「あっ、あなた…どうして、これを……これは…」

「あなたがモデルとして有名になったのは1年前から。それまでの、太陽が戻ってからモデルになるまでの空白の2年間…その真実の姿がそれ、なのよね?」

「…どうしてこんなものをあなたが持っているの!?」

「ある情報筋から手に入れたのよ。――驚いたわ、まさか、人気モデルの過去が…こんなに醜く太った姿だっただなんて!」


そう言いながら、アズマオウはその当時の写真をばら撒く。

ミミロップやネオラントなどは笑いを堪えきれなくなり、近くにいたスタッフ達も、ミロカロスの真相を知って笑う者や幻滅したりする者ばかり。

――その瞬間、ジュプトルとリザードンは理解した。

ゲートはミロカロスで、そのファントムは…彼女に付き従っていた、アズマオウだったのだ。

しかし口調からして、ベルゼバブとは思えない。だとすれば、別のファントム?

アズマオウは狂ったような笑みを浮かべながら、周囲のポケモンに訴えていた。


「【有名人気モデルの正体!今の美貌は偽り?ブクブクに太った衝撃的な姿!!】…明日の新聞の一面間違いなしねぇ」

「アズマオウ…あなた、どうして……どうしてこんな…」

「ずっとあなたを絶望させる機会を待っていたのよ。それにしても、――何なのよこの姿!ミロカロスっていうより、ブーピッグの胴体が長くなっただけじゃない!!」

「本当よねぇ…」

「探検隊をやってる理由が分からなかったけど、……まさか痩せるためだなんて」

「そういえば、探検隊をしていたのもランクが低くて他の探検隊もあまり行かない【森の溜池】だって言うし…そこなら出現する野生のポケモンも少ないしポケモンタウンからかなり離れているから、誰も知らなくて当然です……ふふっ」

「何これ…」

「うわぁ…私、ファンだったのに…」



ミミロップ達やスタッフの反応に、ミロカロスの体に大きな亀裂が走る。

それを見たアズマオウは、リヴァイアサンとしての本当の姿を見せ…

その場にいたミミロップ達は慌てて逃げ出し、入れ替わりにヘイガニとバンギラスがやって来る。

そして、ヘイガニは醜く肥えたヒンバスの写真を見て…「あ」と声を上げていた。

勝利を確信したリヴァイアサンが笑っていると、背中から銀の銃弾。

――背後を振り返ればそこには、ベルトを装着するジュプトルとリザードンの姿。


『なっ!あんた達、まさか…指輪の魔法使いに、古の魔法使い!?』

「えぇ、そうですわ。――それにしても、女心を踏み躙る卑怯なやり口…許せませんわ!」

「まさしく、ファントムらしい陰湿な手口ですわね!」

『…いや、あんたら…何してんの……?』

「あなたに言われたくございませんことよ!」

「そうですわね。行きますわよ、ジュプトル!」

「「「お願いだから喋り方は直してェェェェェ!!?」」」


女性口調の直らないジュプトルとリザードン。

…それほどまでに、ルージュラの教えは凄かったのだろう…

しかしそれを気にすることなく、ピカチュウ達にミロカロスのことを任せると、同時に変身を始めていた。


「「…変身!」」

<ランド、プリーズ ドッドッドドドドン、ドッドッドドン!>

<セット、オープン! L・I・O・N、ライオーン!!>




ウィザード・ランドスタイルと、ビーストが同時にリヴァイアサンを攻撃する。

リヴァイアサンは銛で二人の攻撃を受け止め、力に任せた戦い方で圧倒…

その間に、ヘイガニはピカチュウ達と合流し、「やっぱり」と写真のヒンバスとミロカロスを何度も見ながら話していた。


「この人、多分、【煌く川】に住んでいた…ヒンバスの1匹だ」

「そ、そうなの?」

「でも…ヒンバスって厳しい環境で生きてきて、ボロボロの風貌で痩せ細っているって聞いたけど…」

「そうなんだけど…3年前に時間が動き出して、美味しい木の実もたくさんできるようになっただろ。それで……」


ヘイガニの話では…

時間停止から開放された世界は、これまで成長が止まっていた木からたくさんの木の実が生り、美味しいものもたくさん増えていった。それはピカチュウ達も知っている。

その恩恵は【煌く川】も同様で、特に1匹のヒンバスは今までひもじい思いをしてきたからか、美味しい木の実をたくさん食べ続け、木の実のなる樹の多い川に居座って泳ぐことがなくなり、見る見るうちに他の仲間よりも大きく丸々と肥えていった。

ヘイガニはその当時の彼女を見たことがあり、「運動もしないであまり食いすぎると、大変なことになるぞ」と1回注意したことがある。彼女に会ったのはそれが最後だったそうだ。

それを聞いたバンギラスは、「成程」と写真とヘイガニの話を照合し、ミロカロスの過去について推測を立てていた。


「――【煌く川】のヒンバス達は、満月の昇る日に“みかづき池”に行って満月の光を浴びることで、ミロカロスに進化する……と、伝承好きのカビゴン爺さんが言ってたことがある」

「あの、昔話の好きな方ですか」

「それで…」

「ヘイガニの言う丸々肥えたヒンバスも満月の日に進化した。だが、他の仲間は美しいミロカロスの姿になったのに、自分は仲間の倍以上に太っていて…それを他のポケモン、特にオスのポケモンに笑われでもしたんだろう」

「……えぇ、そうよ…それが私の本当の姿。醜く、肥え太った姿……川に入ってもお腹がつっかえるし、オスのポケモンには『ミロカロスじゃなくてホエルオーの間違いじゃないのか』と笑われ…それが嫌で、【煌く川】を出て行った」



ミロカロスが、涙を流しながら話す。

…彼女自身、知られたくない過去だったのだろう。

ヘイガニの言葉に耳を貸さなかった当時の自分を殴りたいぐらいに、醜い過去の自分。

それだけはどうしても知られたくなかった。それなのに。

コータスやヘイガニが声を掛けようとした瞬間、ピカチュウはミロカロスに言い放っていた。


「…だけど、ミロカロスさんは努力して痩せたじゃない。痩せて、皆を見返したいから探検隊になって…たくさん運動して……大好きな食べ物も我慢して、こうしてモデルになるまでになったんでしょ?」

「えぇ…だけど、もうどうでもいいの…醜い姿を知られた以上、モデルはやっていけない……あなただって幻滅したでしょう…?」

「しないよ!絶対しない、だってミロカロスさんは…誰よりも努力して、美しくなろうとした。凄く努力家で、頑張り屋で、……私は一層ミロカロスさんが好きになったよ!!」

「…ピカチュウ……」


ピカチュウの言葉に嬉しくなったミロカロスは、必死で声を振り絞っていた。

亀裂は進んでおり、このままではミロカロスの中のファントムが生まれてしまう…

そう思ったピカチュウは、耳につけていたランドドラゴンの指輪をウィザードRSに投げ渡し、叫んでいた。


「ジュプトル!リザードン!…分担して戦ってっ!!」

「「何?」」

「ジュプトルはリヴァイアサン、リザードンはミロカロスさんのファントムを倒すの!――そうしないと、このままじゃミロカロスさんが!!」

「…だ、そうだが……倒せるか?」

「舐めんなよ。アンダーワールド戦は初めてだが…キマイラがいれば何とかならぁ!」

「だったら…ゲートは任せたッ!」

<ランド、ドラゴン ダンデンドンズドゴン、ダンデンドンゴン!>




ウィザードRSは姿を変え、ランドドラゴンスタイルへと変わる。

その変化に、リヴァイアサンは動揺しながらも、銛で一突きにしようとする…

しかしウィザードRDはそれを片手で受け止めると、もう片方の手に持ったウィザーソードガンで切り伏せる。

その間にビーストはミロカロスの元に走り、彼女の尻尾にエンゲージリングを填める。

そしてアンダーワールドに行く際、ビーストはこんなことを話していた。


「まあ何だ、モデルが駄目になっても…あんた探検家だろ。なら食い扶持には困らねぇさ、ランクは嘘つかないからな」

「…」

「とにかく、自分らしく生きてみるってのもいいと思うぜ。…正直、モデルって疲れるだろ?色々気ィ遣うし」

「……そうね…遣い過ぎて、大変なぐらい」

<エンゲージ>


ビーストはミロカロスのアンダーワールドに入り、戦闘を開始する。

それを見届けたウィザードRDは、暴れようとするリヴァイアサンに“グラビティ”リングを使う…

重力を操る、グラビティリング。

リヴァイアサンはそれに何とか耐えながらも、溶解泡攻撃をしようとするが…それらも総て、重力波で叩き落されてしまう。

その間にランドドラゴンはウィザーソードガンで固い鱗を攻撃し、それらを剥がしていく。

鱗を剥ぎ落とすことで、体の柔らかい部分が露見し…


「他人の過去を笑うとはいい度胸だ。……だからファントムになるんだろうが」

『なっ…に!?』

「ポケモンは誰しも、過去に折り合いをつけて生きている…中には隠したくなるほど辛い過去を持ったポケモンもいる。だが、――それを笑う権利は…誰にもない!」

<チョーイイネ! スペシャル、サイコー!!>


スペシャルリングでドラゴンの爪を呼び出す、ウィザードRD。

そして…

その鋭い一撃がリヴァイアサンの腹を突き破り、撃破していた。



――その一方で…

アンダーワールドの戦いも、佳境に入っていた。

ビーストはキマイラに乗りながら、ミロカロスの中のファントム・アギラウスと戦っていた。

鮫のようなそれはアンダーワールドを自在に泳ぎまわりながら破壊し、ビーストキマイラはそれを上空から追う。

しかし、このままでは埒が明かない…

少しでも相手の動きを止めなければ。そう思ったビーストは、ダイスサーベルをアギラウス目掛けて投げていた。


「これでも食らって…大人しくしやがれっ!」

『ギャアアアアッ!?』

「今だキマイラ、思いっきり齧り付いてやれ!!」

『グオォォォン!』


ビーストキマイラは咆哮を上げ、アギラウスに噛み付く。

そして、そのままその肉を豪快に引き千切り、アギラウスの肉体は爆発…

その魔力は総てビーストキマイラが吸収し、ビーストは「ごっそさん!」と手を合わせながらミロカロスのアンダーワールドを見る。

――彼女が心の支えにしていたのは、【自分のことを思って注意してくれたヘイガニと話していた情景】

かつての自分を戒める意味でも、自分のことを心配して話しかけてくれたヘイガニのためにも、そして「痩せたい」と奮起するきっかけという意味でも…


「何だ、あのミロカロス、別にあのヘイガニのことが嫌で避けてたんじゃなかったのか。……いや、むしろ心配してくれていたからこそ申し訳なかった、ってことか」


帰ったらヘイガニに伝えてやらねーとな。

そんなことを思いつつ、ビーストはアンダーワールドを後にしていた…






〜〜〜






その後日。

【雪花屋】にいたピカチュウの元に、ミロカロスがやって来ていた。

…心なしか、前よりむっちりしている気がする。


「ミロカロスさん!……あれ、失礼だけど…ちょっと、っていうかだいぶ太った…?」

「うふふ。実は私、本格的に探検家として活動することにしたの。元々モデルになったのは、アズマオウにスカウトされたからだし……今は探検家の仕事待ちだから、少し体重増えたの」

「じゃあ、アズマオウさん…リヴァイアサンは、ミロカロスさんを絶望させたいためにモデルの仕事を紹介したんだ…」

「そういうことね。…それに、モデルって食事とか凄く気を遣うしストレス溜まるから大変なの。そんな仕事から解放されたんだもの、幸せ太りってやつかしら?」


あぁ、でも太りすぎには気をつけるわ。リバウンドして、前より太りたくないもの

…そう話すミロカロスは、今の体系と同じぐらい柔らかく、幸せな笑顔に満ち溢れていた。

ちなみにモデル時代よりも…20kgぐらい太ったらしい。

影で話を聞いていたヘイガニやギャラドスは思った、――彼女が一番太っていた時期は一般のミロカロスよりどんだけ太っていたんだ、と。

でも口に出さない辺り紳士。

そんな話はさておき、ミロカロスはうふふと笑いながら、ピカチュウに話していた。


「ちなみに私、単独の探検家としてはもう活動しないわ」

「えっ、でもさっき、探検家として本格的にって…」

「あなた達【ブレイブス】の仲間になりに来たのよ。ジュプトルは魔法使い、ヘイガニとギャラドスは大工。どっちも探検隊との並行が難しいじゃない」

「ええっ!?…そりゃあ確かに、そうなんだけど…ミロカロスさん……いいの?私達、ブロンズランクだから、今のランクから下がっちゃうことに…」

「いいのよ、その代わり私がバンバン活躍して、すぐシルバーランクにさせてあげるから。そ・れ・に、――私達の強さについていけるよう、あなたもビシバシ鍛える予定だから…覚悟してね?」

「――えええー!!?」



…いや、嬉しいんですけど

…嬉しいんですけどね…!仲間が増えるのは!!

ピカチュウはそう思いつつも、これから先どうなるのか不安に満ちていた…

そんな時だった。

ミロカロスはふと気になったのか、ピカチュウに尋ねていたのは。


「――ところで、……あの2匹は雪花屋の前で何してるの?」

「あー…」


【あの2匹】というのは、……ジュプトルとリザードン。

2匹は雪花屋の前で全力で土下座しており、扉の隙間から見えるオニゴーリは…怖いというよりは、完全にジュプトルとリザードンを拒絶しまくっている。

それもそのはず。

女子回に潜入する方法として、女装を取ったのだ…しかも、ヒラヒラのスカート着用で。

それを見たオニゴーリは当然ドン引き。

そして、戻ってきた2匹に対する扱いは…『暫く顔見せんな』と完全に【知り合いだと思われたくないですオーラ】満載。


「…すいませんでした館長、でも、アレしか方法がなかったんです!」

「俺達の頭じゃ、女装という発想が限界でして…!」

「―――煩い黙れ暫くその顔見せんなぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!」

「ああっ、オニゴーリさん…泣かないでください、……オニゴーリさーんっ!?」

「「館長ううううううううううううう!!」」

「だから…暫くどっか行っててくれぇぇぇぇぇ!?」

「お願いしますジュプトルさん、リザードンさん…オニゴーリさんが泣くって相当ですから!それほどショッキングな映像でしたから、お二人の女装!?頼みますから、オニゴーリさんが落ち着くまで…本当に……!!」




最終的にはオニゴーリに泣かれ、コータスが必死でジュプトルとリザードンを締め出す大カオス状態。

…あの館長でも泣くことあるのか

…ユキメノコさんの時でも泣いてなかったのにな

ギャラドスやヘイガニはそんなことを思いながら、溜息をつく。

正直言って、今回ばかりはオニゴーリとコータスが正解だ。自分達ですら、知人と思われたくない。


「だがよぉ、リザードンってバンギラスの家で住んでるんだろ。……別に雪花屋に行かなくても」

「正体バレ以降、あの人ここで夕飯食べてんだよ…バンギラスさん、夜遅いから」

「あー…」

「まあ、次回までには元鞘に収まってるだろーな……さ、仕事仕事…」


それもそうだな、と言いながら…

ギャラドスはヘイガニの後を追って、仕事場に向かっていった。






***




正解は、2の【泣く】でしたー!

…うん、泣いていいよあれ…

追い出していいよ、あれ…

(しかし、次回はちゃんと戻ってきている模様)


女言葉使いまくる魔法使いw

オオスバメがいたら、もっと酷いことになっていたかもしれない…

ルージュラさんパネェ。

アゲハントは…セリフなくてごめんよ……!

アギラウスとリヴァイアサンも、しょうがないよ…2話に詰め込んじゃったし……



ミロカロスの元ネタって、【ちゃもちゃもプリティー】のミロカロスなんですよね。

ハルカがヒンバスにポロック上げすぎて、普通のミロカロスよりむっちむちになったっていう…

ちゃもプリって、羽マニアのキモリやらその姉のジュカイン・ジュプトルやら、そんなキモリに恋するチルットやら、顔厳ついけどポチエナを気に入った女の子なオニゴーリとか

…まぁ色々ある少女向けポケモン漫画です! ちなみに作者は、PiPiPiアドベンチャーの先生。

ちなみにメスのオニゴーリは割と大丈夫。むしろ過去2回ほどメスをオニゴーリに進化させたことがある。


でも、まさかミロカロス仲間になるなんてw

ピカチュウを気に入って仲間になってくれたみたいでよかったです

…しかし、ピカチュウ回と言い切れないピカチュウ回だった…

女装か、女装のせいなのか。

ただ、【ブレイブス】の編成ってピカチュウとジュプトル以外が水タイプ…

しかも最近の加入者(ミロカロスとギャラドス)は、ヘイガニと関係性があるというw

まあ

ヘイガニ→ピカチュウとジュプトルを気に入った(と同時にこいつら放っておくと危ない、という危機感を持った)

ギャラドス→オニゴーリへの借金返済(+ヘイガニと心を交わした)

ミロカロス→ピカチュウの言葉に多少元気付けられた(過去にヘイガニと会ったことあり)

…って感じですけどね。




次回は…

リザードマンといえば、なお話。

ところで、フリーダムの権化・オオタチが出たのにオオスバメェ…



【余談】

通常のミロカロスの重さ→162.0kg

今回のミロカロスの一番太っていた時期→230.5kg

ミロカロスの一番痩せていた時期→140.0kg

ラストのミロカロスの体重→164.8kg


24.8kg太ってますがな…ミロカロスさん。充分リバウンドしてます。

これから探検隊として活動して、痩せるんでしょうが。

でも体重戻したのにはちゃんと理由があるんですが、それは次回で。