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タイトル未設定 - 3話:魔法使い、その過去

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3話:魔法使い、その過去

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ジュプトルは夢を見ていた。

空には太陽と月が同時に浮かんでおり、次第に二つは空の頂点で交わろうとしている。

周囲には紫色にヒビ割れながら、倒れているポケモン達。

目の前には…見たこともない、ファントムの姿。


『――さあ、これより…儀式を行おう。そして、我らが同胞となるのだ!』


次々と生まれてくるファントム。

ジュプトルはそれを止めようとするが、一度始まったサバトは止められない。

そして…

気付けばジュプトル自身の手も、別のものになろうとしていた。

更に、何故だか息苦しくなり、地面にうつ伏せになって倒れる。

ウィザードに変身しようにも、ウィザードライバーを取り出せないどころか、身動き一つ取れない状況。






「―――ぐ、うう、…負けて…たまるかぁぁぁ!」


そう言いながら、ジュプトルが起き上がる。

その瞬間、彼の上に乗っていた“何か”がゴロンと1回転しながら落ちていく。

…ジュプトルが周囲を見渡すと、そこは【雪花屋】にある一室。

更にジュプトルの横には、…頭をぶつけたのか、頭を抑えているピカチュウの姿。


「…は?」

「あ、あいたたた…うーん、せっかく探検隊になって険しい崖をよじ登っていた夢を見ていたのに…」

「おい、ちょっと待て。じゃあ俺が夢の中で金縛りに遭ったのは…お前のせいか!?」

「えぇ?あれ、じゃあ崖から落っこちた夢の原因って…ジュプトルのせい!?」


どうやらピカチュウは、寝相が悪いのか…夢の中で崖に上っていたのと同時に、現実でも(寝相で)ジュプトルの上によじ登っていたらしい。

そして、ジュプトルが急に起き上がったものだから、崖から急に転落した最悪の夢に変わり…

ジュプトルにとっても、ピカチュウが上ってきたせいで…夢の中でも金縛りになったかのような感覚に陥り、負けじと起き上がった…

――二人して相当変な夢を見ていたらしく、呼びに来たオオタチは呆れていた。


「…あららー、なんか楽しそうね」

「「楽しくない!」」

「朝食できてるけど、いる?今日は木の実サラダに、ミクルの実パン、デザートにモモンたっぷりヨーグルトだけど」

「「いる!」」


……気が合うのは確かなんだけどねー。

オオタチはそんなことを思いつつ、「そうだ」とピカチュウに尋ねていた。



「そういえば昨日、ハピナスさんがうちに来たわよー。『手続きの際、探検隊の名前を登録し忘れていたから立ち寄り所に来てね』って」

「え?あ、そうだった…忘れてた…」

「…それからジュプトルさんも、ハピナスさんからの伝言忘れてたでしょ。あなたに伝言を頼んだから、昨日のうちに来てくれるって思ってたのにーって愚痴ってたよ?」

「…すっかり記憶の底から消していた…」


どちらも抜けているのか、そこも含めて中のいい人達だ…とオオタチは思っていた。

ピカチュウはすぐに朝食を食べ終え、探検隊立ち寄り所に行こうとするが…その前にオオタチはストップをかけ、同時に窓から行こうとするジュプトルにゴローンの石と呼ばれる投擲道具を投げていた。


「あ、ちょっと二人とも待って!…ほらそこ、窓から出ない!!」

「あだっ!?」

「どうしたの、オオタチさん?」

「私…思ったんだけど、ピカチュウはまだ一人じゃ危なっかしいところがあると思うの。だから、ジュプトルさん…ピカチュウの探検隊活動、手伝ってあげたらどう?」

「「え!?」」


オオタチの提案には、ピカチュウとジュプトルは同時に顔を見合わせる。

――なんでこの人と

――なんでこいつと

互いにそう言いたげな顔をしていたが、オオタチは「だって」と呆れ気味にジュプトル達に言い放つ。




「ジュプトルさん、どうせ館長からの借金もあるでしょ。返済しないと、館長怖いよー」

「うぐっ」

「それに、ジュプトルさんが強いのは事実なんだから、ピカチュウも一緒にいれば強くなれるだろうし。そうやって経験を積んでいったら、ピカチュウの目標にもっと近づけると思わない?」

「ううっ」


オオタチに的確なことを言われ、ジュプトルとピカチュウは顔を顰める。

確かに、ジュプトルにはオニゴーリからの借金を返済する手段はないし、ピカチュウはまだまだ探検隊として弱いのも事実…

ならば一匹は借金返済のため、一匹は強くなるため同じ探検隊として行動すればいいのではないか?

そのオオタチの案は、――部屋にやってきたオニゴーリも同意していた。


「確かに。――特のそこのジュプトル、テメェ借金踏み倒そうと考えんなよ?」

「…イイエメッソウモナイ、ソノヨウナコトハダンジテゴザイマセンデスワ」

「ジュプトル、なんか言葉がおかしい。…でもそうなると、探検隊として依頼を成功させても…」

「まあ、取り分は減るだろうな。だけど、Eランクでも成功させれば1000ポケ…その9割を徴収、はピカチュウが可哀想だから8割にしておくとして、残りの2割はピカチュウ個人の小遣いにしな。あ、ジュプトル、お前返済するまで取り分0だから」

「なんだその横暴!?」

「探検隊をやっている奴も、この雪花屋で部屋を借りている奴は結構いるし…一月に2000ポケ納めてくれさえすれば、この部屋を使ってもいい」



まあ、ツケは3か月分までだけどな…といいつつ、ピカチュウに説明を続けるオニゴーリ。

基本的に、この近くで探検隊活動をしているポケモンは、【雪花屋】で世話になっているも同じ…

部屋代も割と良心的なほうで、ランクさえ上がれば(そして間違って部屋の壁さえ壊さなければ)お金も貯められるので、損は少ない。

…最もピカチュウの場合、ジュプトルの破壊した壁などの費用を依頼の成功報酬から8割取られてしまうので、辛い部分はあるが…


「それに、昨日のうちに俺のほうからピカチュウの探検隊に、ジュプトルの名前も登録しておいたから」

「「え!?」」

「わー、流石館長、手が早ーい」

「ま、名前は勝手に決めるわけに行かなかったから…ジュプトルだけ登録してきたって感じだがな。さて、――これで逃げるわけには行かなくなったな…緑トカゲ…!」


…あ、これ断ったら俺が死ぬ

ジュプトルはそう察したのか、黙って何度も頷く。

ピカチュウも、拒否しようものならとばっちりを受けると思ったのか、急いで頷いていた。






〜〜〜






ポケモンタウン。

朝食を終えたジュプトルとピカチュウは、早速探検隊立ち寄り所に向かっていた。

その途中…

昨日【芽吹きの森】にてピカチュウを助けてくれたヘイガニとクラブに出会い、ピカチュウは挨拶をする。


「あ、昨日助けてくれた!」

「ん?あー、お前あのピカチュウか。あの後大丈夫だったか?」

「うん。…ところで、何の工事をしてるの?」

「これか?これは工事じゃなくて、新しい橋を作っている最中なんだ」

「橋?」


ジュプトルはそう言いながら、彼らとは別のクラブやヘイガニ、その進化系のキングラーやシザリガーが作業している橋を見る。

この橋はポケモンタウンの西側に架けられており、前の橋は2ヶ月前の落雷で焼かれてしまい、西側に行くにはかなりの遠回りを強いられていた。

ポケモンタウンは元々川沿いにある街で、川で二分する形で町を発展させてきた。

特に西側は、探検隊として必要な道具を売っている店があり…そこにすぐに行けないというのは、飛行タイプや水タイプ以外の……特に探検隊の者達が不便を強いられてきていた。


「この橋は、俺らポケモンタウンに住まう奴らにとっての希望なんだ。今度は落雷が落ちてもいいように、石造りの橋になってるんだぜ!」

「へぇ〜…確かに、ここに橋が架かったら、商店街に行くのに便利かも!」

「成程な。…しかし、“希望”……か」


ジュプトルはヘイガニの言葉に引っ掛かりを覚えたのか、少し考えるかのような仕草を見せる。

だが…

次の瞬間、オーダイル棟梁がヘイガニとクラブを大声で呼び、二匹は急いで仕事に戻っていた。


「――おい、お前ら!そこで何喋ってるんだ!!」

「うわっ、棟梁!ごめんなさい、すぐ行きます!!」

「そういうわけだから、じゃあな!…あっ、さっき【スピード・デリバリー】のオオスバメさんに会ったぜ。新しい依頼があるみたいだから、今度はランクに注意して…頑張って行ってこいよ!!」



クラブやヘイガニと別れた後、ピカチュウとジュプトルは探検隊立ち寄り所に辿り着く。

今日の受付はエネコロロのようで、ニコッと優しげな笑みを見せながらピカチュウ達に声を掛けていた。


「あらっ、あなた達ハピナスさんの言っていた探検隊の子達ね!今日の受付は、私、エネコロロが担当しておりまーす!!」

「あ、ど、どうも、こんにちは…」

「ところでお前、探検隊の名前はどうするんだ?ちゃんと考えているんだろうな」

「それは勿論!ずっと前から、暖めていた紙が……あれ、あれれ…?」


ピカチュウは鞄の中から紙を取り出そうとするが、…見つからない。

も し か し て

…おそらく昨日のゴタゴタで、ピカチュウが考えたという探検隊の名前の紙を無くしてしまったらしいのだ。

「名前ぐらい覚えてるだろ」とジュプトルが言うが、ピカチュウは首を横に振る。


「無理!だって、50ぐらい考えてたもん…」

「多ッ!?」

「こ、これでも候補を絞ったほうなんだよ!?……あー、どうしようー、個性的かつ私達っぽい名前〜!!」

「…もう【ポケモンズ】でいいだろ…」

「駄目!それは個性が薄い!!個性って大事なんだよ…名前が個性的なら覚えられやすいし、そしたら色んな人が依頼にきてくれるかもしれないし!!!」

「あら、それは一理あるわね。まあ、個性的過ぎても覚えられにくい名前は覚えてもらえないけど…」


更にはエネコロロにも言われ、ジュプトルは溜息を吐く。

名前が決まらず、慌てているピカチュウを横目で見ながら…

ジュプトルはポツリと、一つの探検隊名を呟いていた。



「……、…【ホープレイ】…」

「「え?」」

「あ、いや、何でもn「【ホープレイ】…なんかいいかも、その名前!希望に満ち溢れている感じで!!」……おいっ!!」

「決めた!私達の探検隊の名前は、【ホープレイ】で!!」

「はいはーい。じゃ、ちょっと待っててねー」

「いや、だから……あぁもう!」


ジュプトルは頭を抑え、立ち寄り所を後にする。

しかし、ピカチュウはまったく気付かず…

改めて探検隊として名前を決め、探検隊として出発することが嬉しかったからだ。

そのまま依頼を見に行こうとするが、――その時になって、やっとジュプトルがいないことに気付く。


「よーし!じゃあジュプトル、早速依頼を……っていない!?」

「ジュプトル?だったらもう出て行ったぞ」

「そうそう。なんか怒ってたみたいだけど」

「ええーっ!?」


近くにいたヤルキモノやサンドパンに言われ、ピカチュウは慌ててジュプトルを連れ戻そうと立ち寄り所を後にしていた。




その際…

ピカチュウがキョロキョロとポケモンタウン中を見回していると、オオスバメが声を掛けていた。

その足には、小さな箱が掴まれている。


「あれ、君、確かジュプトルの友達だったっけ?」

「いや友達じゃないです。…あの、あなたは…?」

「どんな依頼もスバッとお届け、【スピード・デリバリー】のオオスバメでーす」

「あ、そう…ところで、その足に掴んであるのは?」

「この先の【ヤミラミ宝石店】へのお届けもの。うち、依頼だけじゃなくて…こういう届け物もやってるんだよ」


ヤミラミ宝石店、と聞いて、ピカチュウは考える。

…そういえばジュプトルって、変な指輪で変身してたような…

…もしかしたら、その宝石店にいたりして…

我ながらありえないとは思いつつも、少しの可能性に賭けたいと思ったのか、オオスバメに一緒に行ってもいいか尋ねていた。

オオスバメは少し考えるが、この荷物を渡し終えれば30分ほど休憩してもいいと上に言われているので、快く了承。

その際、ピカチュウごと運んだほうが速いだろうと思った彼は、一度地上に降りて彼女に自分の背に乗ってもらう。

そして…


「それじゃ、――振り落とされないようにねー!!」

「え、……いやああああああああああああああああああああああああああああああ!!?」



わずか1分後。

ヤミラミ宝石店のベルを鳴らしたのは、オオスバメと…その背で軽く気を失っているピカチュウ。

何事かとヤミラミは思っていたが、ピカチュウの指にあるエンゲージリングに気付き、彼女に声を掛けていた。


「!…もしかしてお前、ジュプトルの言っていたゲートなのか?」

「あうう…」

「とりあえず、この子…こちらに用があったみたいなんで、一緒にスバッと届けてきました」

「ウイイ…それならスピード考えてくれよ。殆ど死に掛けじゃないか…」


そう言いながらも、ヤミラミはオオスバメから渡された小包を開け、目を疑う。

…それは、金色に輝く魔宝石…

ヤミラミは驚いたような顔でオオスバメを見、意識を取り戻したピカチュウも、その輝きがジュプトルの使っていた緑色のものと似ていることに気付き…ヤミラミに尋ねていた。


「ウイッ!?…これ、魔宝石じゃないか…あんた、これを誰から?」

「人から。まあ、正体は明かさないで欲しいって約束なんで、ここら辺はトップシークレットで」

「……それ、ジュプトルが使っているのに近いような…それ、何なの?」

「これは魔宝石。ウィザードが魔法を使うのに必要な石だ、俺はこれを研磨して、指輪を作っている」

「ウィザード…」

「あの、ヤミラミさんなら知ってますか?ジュプトルがどうして、ウィザードになったのか」


ピカチュウに尋ねられ、ヤミラミは困ったような顔を見せる。

語っていいものかどうか、分からない部分があるのだろう…

しかし、その時店に入ってきたヘイガニによって、ヤミラミは一層不利になってしまう。



「――話す権利はあると思うぜ。俺もピカチュウも、昨日それを目撃したんだ。指輪の魔法使いに、ファントムと呼ばれる怪物…分からないことはたくさんだ」

「「ヘイガニ」」

「ごめん、オオスバメさんがそいつ連れてこの店に入るの見ちゃって。…そしたら、気になる話を始めてるじゃねーか」

「そう…だよ。私も、今…この世界で何が起こっているのかぐらいは知りたい!」

「ヤミラミさん、3対1じゃ勝ち目まったくないですよ」

「……はぁぁ…分かった。分かったから、ジュプトルにこの件について訊ねるのは、やめてくれよ…?バレたら俺が怖い目に遭う」






〜〜〜






――俺も、ジュプトルから聞いただけだから詳しくは知らないが…

――それは、半年前の月食の日だった…




人気が一切ない、空が徐々に暗くなりつつある海岸線。

そこに集められた、面識もないポケモン達。

よく見れば、その中にはこの間ピカチュウを襲ったミノタウロス…ミズゴロウもいるではないか。

…当然、ここにはジュプトルもいた。

空を見上げれば、太陽が徐々に月によって隠されていく…日食だ。

月が完全に日を食らったその瞬間、集められたポケモン達から紫色のヒビが発生する。

勿論ジュプトルも例外ではなく、周囲のポケモン達は絶望に負け、ファントムを続々と生み出している。

そして、ジュプトルもファントムを生み出そうとしていた…その瞬間だった。


かつて自分と共に、時の崩壊を食い止めるべく戦ってくれた…最後の人間。そしてパートナー。

時の回廊を通った際の事故により、ポケモンとなり記憶を失っていたものの…それでも、かけがえのない相棒であることは間違いなかった。

そして、そんな彼女を支えてくれた、気は弱いが芯の強い部分のある一匹のポッチャマ。

時の回廊を開き、過去を変える手助けをしてくれたセレビィ。

敵ではあったものの、この未来の世界に戻った際…一緒に行動するうちに友情が芽生え、闇のディアルガと戦ってくれたヨノワール。

彼らの存在が、ジュプトルを繋ぎとめた。

強制的に絶望させられ、ファントムを生み出すという悲劇から…彼を救ったのだ。



『そうだ、俺は負けられない…』

『こんなところで、死んだらいけないんだ…』

『――俺は…!』




気付けば、ジュプトルはただ一人残されていた。

既に日食は終わっていて、他にいたポケモン達は姿を消していた…

あいつが戸惑っていると、その背後には見慣れない怪物……リザードマンがいた。

リーフブレードで応戦したらしいが、そいつにはポケモンの技が効かず、他のどの技も出すだけ無駄だったそうだ。


『ぐうっ!?』

『諦めな。お前はここで死ぬんだからよォ!』

『まだだ…まだ俺は、希望を捨ててはいない……三年前まで暗黒に支配されていたこの世界が、ようやく光を…時を取り戻したんだ。俺の意思を継いでくれたミライやポッチャマのためにも、……俺は…!』


そんなときだった。

ジュプトルに止めを刺そうとしたリザードマンに、銀の銃弾が放たれたのは。

二匹が同時に見たその先には、…見たこともない白い魔法使いが立っていた。

その魔法使いは、崖の上からひらりと飛び降りると、ジュプトルにウィザードライバーやいくつかのリングを渡してくれたらしい。


『お前は…』

『生存者か。お前は希望によって…自分の中にあるファントムを押さえつけている。つまりそれは、魔法使いとなりえる存在だ』

『…魔法使い…?』

『変身しろ。そして、ファントムと戦うのだ…お前がこの世界の希望だ』


白い魔法使いはそう言うと、そのまま魔方陣を使って姿を消していた。

ジュプトルは戸惑いながらも、ベルトを腰に巻き、渡されたハリケーンウィザードリングを使って、変身し…




なんとかリザードマンを撃退したジュプトルは、その3日後に…この店にやってきた。

どうやら、リザードマンを退けた後で、もう一度白い魔法使いが現れて

「ポケモンタウンの【ヤミラミ宝石店】に行け。そこは、お前の力になってくれる」

…って話をしたらしい。

俺も、ジュプトルの話を聞いて半信半疑だったが…偶然あるポケモンが持ってきた青い石が、俺に何か囁き掛けているかのような気持ちになって、それに耳を傾けて石を研磨していくうちに…見たこともない指輪になったことを思い出した。

ジュプトルも、それと似たような石を白い魔法使いから渡されたみたいで、その石の声を聞いた俺は……あいつの話を信じることにしたんだ。


『ところで、青い石といっていたが…』

『ああ。お前に見せてもらった、ハリケーン…だっけ。それに近い形になった』

『それで、その指輪は今、何処に』

『…それが…依頼を受けたのはお前が来る1週間も前の話だし、先延ばしになっていた婚約指輪だって言っていたから……返してもらうのは難しいと思うぞ?』


その話を聞いたジュプトルは、軽く舌打ちしていたが…とりあえずは諦めてくれたようだ。

とにかく、俺はジュプトルからその魔宝石を受け取り、魔法リングとして生まれ変わったそれを渡していた…

魔法を使うためのリングに関しては、昔一緒につるんでいたヤミラミ仲間から貰うこともあったから、結構見つかってはいるんだが…

ウィザードの属性を変えるための変身リングは、やっぱりその数も希少みたいでな。

だから、ジュプトルはいくつかの魔法リングを持っていても、ハリケーン以外に変身する術はないんだ。






〜〜〜






ヤミラミの話を聞いたピカチュウとヘイガニは、出されたオレンジジュースを飲みながら頷いていた。

ゲートが強制的に絶望させられ、ファントムが大量に生まれてしまった…

だが、そんな中でもジュプトルは絶望せず、ウィザードとなる資格を得た。

……つまり、現段階でファントムと戦えるのは…ジュプトルのみなのだ。

オオスバメは別のことが気になったのか、ヤミラミに訊ねていた。


「――ところで、話の中に出てきたミライとポッチャマって?」

「あいつは一度、過去の世界に行ったことがある。…ポッチャマは、その際知り合った奴で…ミライは、……ジュプトルのパートナーだった元人間だ」

「「人間!?」」


人間、と聞いてピカチュウもヘイガニも驚く。

無理もないだろう…

世界中の時が止まった影響で飲む水を失い、生命力の強いポケモンはそれなりの数が生き残ることはできたが…水がなければ長くは生きられない人間は、最後の1人にまで減っていた。

その1人もある日突然いなくなり、この世界から人間は完全に絶滅したそうだが…

まさか、その唯一の生き残りが過去にいたとは。


「まあ、ちょっとした事故でキモリになったみたいなんだが。…それでも、ジュプトルにとっちゃ今でもあいつらは希望なんだろう。その【ホープレイ】という、探検隊の名前どおりに」

「え?…ヤミラミさん、今、なんて……【ホープレイ】って」

「ミライとポッチャマの、探検隊の名前だよ。『希望』って名前の通り、あいつらは本当に過去のポケモン達や…この世界にいる俺達にとっての、希望になった。……それがどうしたんだ?」



ヤミラミの話を聞いて、ピカチュウは「なんでもない」と首を横に振っていた。

だが…

内心では、先程ジュプトルの静止を聞かないで勝手に【ホープレイ】という名前を使ってしまったことに、反省していたのだ。

しかし、今更名前を申請し直しても、遅いだろう。

ピカチュウがうんうん唸っていると、空気を察したヘイガニとオオスバメが話をしていた。


「……そういや、探検隊の名前って…申請してすぐ登録されるんだっけ?」

「いや。書類手続きのこともあるから、そうだな…今さっき申請したなら、急げば名前だけでも変えてもらえると思うよ」

「急げばって、…どのぐらいで!?」

「名前さえ決めてくれれば、俺がスバッと行ってくるよ?君が行くより、遥かに速」

「――お願いしますッッッ!」


ピカチュウはオオスバメの言葉の途中で、土下座をしていた。

オオスバメは「やれやれ」といった表情をしつつも、ピカチュウがヤミラミから借りたメモ用紙とペンで、再申請する探検隊名を渡し…オオスバメはそれを受け取ると、翼を広げ、窓から神速の如く飛び出していった。






***




文字通りのジュプトル過去話。

しかし…

なんだろう、オオスバメとヘイガニのキャラが濃かったのはw

オオタチはまあ、それなりに。


月に2000ポケは、まあまあ良心的です。

…ただ、ピカチュウとジュプトルの場合は、借金返済がありますけどね…!

そして勝手に探検隊として活動を余儀なくされるウィザードェw

まあ、探検隊やる分にはジュプトルのままなんでしょうが。

普通のポケモンにウィザードの力使うって、…前のドサイドンみたいにオーバーキルになりますよ…?



ホープレイw

多分ミライとポッチャマは、「ホープだけじゃ物足りない」って理由で、「レイ」までつけたんでしょうね。

結果、――何処かの遊戯王モンスターに…

ミライに関しては、由来は「未来」です。

ちなみに…

関係ないですが、自分、ポケダンではキモリを必ず選びますw

吸い取るや電光石火も覚えるし、技マシンを使えばタネマシンガンで無双できるし、高速移動も覚えるから…

パートナーも、時の探検隊以外はピカチュウですね。といっても、時以外だと赤と空しかやってないですが!

ピカチュウは…特に、時や空だと「放電」を覚えるから……モンスターハウスが楽なんですよ、ね…

アイテム集めはミツハニー。


そして今回の本題、ジュプトルの過去…

そして、明らかに立ってしまったランド入手が次回以降フラグ…

フレイムは…この時点で影も形もない時点で……

コータスが持ってきてくれるといいんですが、そう都合よくいきませんしねー。

コータスといえば、結局あの子今回出なかったな……出す予定のなかったオオスバメまで出たのに…




さて。

実は今回の話の中に、次回か次々回で絶望するゲートがいます。

それは誰でしょう!!←