【ヤミラミ宝石店】に移動したジュプトル達。
オオタチとセレビィはここに来るのは初めてだったせいか、置かれている石に興味を示す。
ちなみに、この宝石店には他のヤミラミ達が集めてきた“進化の石”も売られている。
石を使って進化したいポケモン、その石でアクセサリーを作ってもらいたいポケモン、そういった一部のニーズに応えている“隠れた名店”とも言えるだろう。
当然、アクセサリーにする石は客が直接持ち込んでも構わないようになっている。…それで過去に一度、偶然にも水の魔宝石を持ってきてそれを指輪にしたいというポケモンもいた。
「ところでヤミラミって、進化の石で魔法の指輪は作れないの?」
「おいおい…魔法の指輪は、魔力の込められた石でしかできないんだ。だから、ウィザードが使えるのは魔宝石の指輪だけ。……ちなみに、進化の石は加工したら、それを使って進化することはできないから」
「えっ、そうなの!?」
「本来なら加工するような物じゃないからなぁ。加工時に進化に必要なエネルギーも分散されちゃって、ただの石同然になる」
へぇ、とピカチュウはショーケースに飾られた雷の石を見ながら、呟いていた。
その間に、オオタチは勝手にコーヒーを人数分注ぎ、あたかも「この店のお手伝いさん」みたいな空気を醸し出している。
…本当は【雪花屋】のバイトなのに。
それはともかく、ジュプトルはまず、セレビィの前でどこから話すべきか迷っている…
それもそうだ。
暫くの間音信普通だったかと思いきや、指輪の“魔法使い”として新たな戦いに身を投じているなど、到底信じられない話。
しかもどうしてそんなことになったのか話すには、やはり、半年前の日食に起きた事件から話す必要があるだろう…
そうしていると、ヤミラミはジュプトルの苦悩を無視し、話を進めていた。
「セレビィ。実はジュプトルは今、指輪の魔法使い…ウィザードとして戦っているんだ」
「ウィザード…?」
「おいっ、ヤミラミ!」
「ウイィ…とりあえず説明しないことには、今さっきのことも話すに話せないだろ。とにかく、話を続けるよ」
ヤミラミはセレビィに、総てを打ち明けた。
…ジュプトルが半年前、何者かによってある儀式の場に連れてこられたこと
…その儀式で大量のファントムが誕生したが、ジュプトルだけは生き残っていたこと
…そこで白い魔法使いに出会い、ファントムに対抗するためのベルトと指輪を手に入れたこと
…ジュプトルはこれまでにも、ファントムと戦い、ピカチュウを含めた“ゲート”を絶望から救ってきたこと
セレビィも最初のうちは信じられなかったが、先程街中で出会った怪物は見たこともないもの…
それがファントムだというのなら、納得せざるを得ない。
「事情は大体分かったわ。…でも、それじゃあさっき、あの人がジュプトルさんに言ったことは…?」
「それは…恐らく、俺が過去に倒した……ファントムのことだろう」
「「「え?」」」
「『妹のコロボーシを殺した』…そうあのコロトックは言っていた。だが、あれは奴の妹じゃない……妹の姿や命を奪い取った、ファントムだ」
それは、半年前のこと。
ジュプトルは別のヤミラミからの情報で「新しい指輪が完成した」という知らせを聞き、ポケモンタウンに来ていたことがあった。
そして指輪…“スモール”を入手した帰りに、偶然、ファントムによる事件が起こった。
既にゲートは絶望し、ジュプトルが来た時にはそのゲートからファントムが誕生した後。
間に合わなかったか、と悔しがりながらも…新しいファントムを野放しにはできない。
目の前の生まれたばかりのファントム…ワータイガーは手当たり次第に暴れ始め、ジュプトルは躊躇いなく変身していた。
俊敏性に優れるワータイガーだが、生まれた手でファントムとしての戦い方をまだ身に着けていないのか、ウィザードHSの敵ではなかったそうだ。
「これでトドメだ!」
<チョーイイネ! キックストライク、サイコー!!>
『くうぅ…このままじゃ、……そうだ!』
ワータイガーは何を思ったか、その場でファントムの姿ではなく、ポケモンの姿になる。
それは先程、自分を生み出して死んだばかりのゲート…コロボーシの姿。
どうやらワータイガーは、元・ゲートの姿を使うことによって、ウィザードHSの戦意を削ごうとしていたのだ。
「!」
「どう?流石に同じポケモンは殺せないでしょ…あははははっ!」
「…悪いが…ファントムとなったポケモンは、既にポケモンじゃない。まったく別の…違った種だ、しかも、他のポケモンを絶望させて仲間を増やそうとする……タチの悪い奴らだ」
「何ですって?」
「今ここで情に任せてお前を取り逃がせば、お前は自分を生み出したゲートの居場所を利用して中に溶け込み、別のゲートを絶望させ、仲間を増やす…これ以上の被害を広げさせるわけには、行かないんだ!」
ウィザードHSはそう言い放つと、キックストライクを発動させ、コロボーシを倒そうとする。
コロボーシは「まずい」と思い再びワータイガーの姿になるが、相手の攻撃を避けられず爆発…
ワータイガーは倒され、ウィザードHSは暫くの間犠牲となったゲートに黙祷を捧げた後、空を飛んでポケモンタウンを後にする。
しかし…
「――その現場を、偶然にもさっきのゲート…コロトックさんが見ていた、ってこと?」
オオタチの言葉に、ジュプトルは小さく頷く。
偶然とはいえ、ゲートの姿になったファントムをウィザード・ハリケーンスタイルが倒した現場を見ていたコロトック。
彼の言い分からして、妹が既にファントムになった後とは思わなかったのだろう。
「だと思う。…ワータイガーがゲートの姿に戻って、倒されるまでの間に……現場を目撃していたんだろう」
「そんな!だったら、ジュプトルのせいじゃないじゃない…」
「そうよ、今すぐにでも事情を説明して…」
「…それができると思うか?ヘタをすればあのコロトックも絶望してファントムを生みかねないし、それに……俺があいつの妹を救えなかったことに、殺したことに間違いはない」
「「あ…」」
ジュプトルの言葉に、セレビィもピカチュウも、ようやく納得したのだ。
あの時、事情を説明したとしても…大抵の場合は分かってくれない。
妹が化け物になって死んで、あの時の妹は妹の姿を借りたただの化け物だったなど…到底信じられないだろう。
だがもしも、真実を話して彼がそれで絶望しようものなら…新しいファントムが生まれる危険性を孕んでいる。
だとすれば、ジュプトルとしては『説明せず、自分を恨んでいてもらったままのほうがいい』ことになる。
ジュプトルがウィザードHSと知って即座に殺そうとしていたほどの恨みぶりだ、自分に恨みを向けているうちは、絶望することはないだろう。
ピカチュウとセレビィが辛そうな顔をしていると、ヤミラミは何かを思い出したかのようにジュプトルに小さな箱を渡す。
それを受け取り、中を開けると…
そこにあったのは、魔宝石で作られた赤い指輪だった。
「――そうだ、ジュプトル。こんな時に言うのもなんだが、この間貰った魔宝石の指輪。お前の読み通り、エレメント変化系だ」
「そうか…」
「これで火・風・土の3つの属性が使えると考えると、…残りのエレメント変化形は四大元素から考えて“水”が妥当だな」
「その水属性の指輪はないんだろ?」
「ああ。…ところでジュプトル、“アレ”って使えるようになったのか?」
「全然だ。…色から考えて、水属性の指輪なら使えると思うんだが…また別の魔宝石が見つかるのを待つか」
ジュプトルはそう言いながら、1つのリングを取り出す。
それは中央にドラゴンと氷を意味する意匠が組み込まれており、これまでのオレンジ色の魔法リングと違って青色の魔宝石で作られている。
以前、ヤミラミがある依頼で作った青の魔宝石の指輪…ウォーターウィザードリング。
実はそれと一緒に、まったく形の異なるリングをヤミラミは作っていた。
彼のミスで依頼人に渡し忘れていたそうだが、それ以来その依頼人はこの店に来ることはなく、とりあえずこの魔法リングだけでもとジュプトルに渡していたそうだ。
「とにかく、――ファントムがお前の力を狙う可能性もある以上、早いところ帰ったほうがいい」
ジュプトルはそうセレビィに告げると、店から出て行く。
そんな彼を、セレビィは不安そうな目で見ていたが…
ピカチュウは複雑そうな顔をしつつ、セレビィに話していた。
「あのね、セレビィ。……ジュプトルは多分、誰よりも、あなたを大事に思っているから…ファントムの件に関わらせたくないみたいなの」
「ジュプトルさんが…?」
「私は…色々あってジュプトルと自然と組まざるを得なくなったというか、なんというか……とりあえずジュプトルとは長い付き合いじゃないんだけど、…ちょっと不器用なだけなの」
「それはあるな。女心を分かっていない以前に、結構鈍感で…せっかちで…その上かなり人付き合いが不器用なんだよ」
「いちいち館長を怒らせるしねー」
ピカチュウ・ヤミラミ・オオタチの話を聞き、セレビィはちょっと判るような気がしていた。
とにかく、ジュプトルはどこか不器用だ。
説明が足りない以前に、人の扱いが苦手でヤミラミやセレビィほど社交的でもない。
ジュプトルが自分のことを心配してくれている一方で、セレビィは何か思うことがあるのか、暫く考えていた…
その夜。
ケットシーはある森で、エネコロロの姿で眠っていた。
だが…そこに現れたのは、メデューサ。
相当な魔力に反応し、ケットシーは飛び起き…意外と早く起きた彼を褒めながら、メデューサは話し始める。
「メ、メメ、メデューサ様!?こんな夜遅くに、何なんスかぁ…」
『あのゲートに関するいい情報が入ったわ。これを使えば、奴は簡単に絶望してくれる…』
「…そんなに上手くいきますかねぇ。あいつ、なかなか絶望しそうにない感じだったッスけど…」
『自分を支えていたものを崩されれば、どんな屈強な精神を持ったゲートだって絶望する。……それにあのゲート、バイオリンを大事に持っていたじゃない』
「あ、確かに。でもバイオリニストなら当然じゃ?」
エネコロロはそういうが、メデューサは「馬鹿ね」と一蹴する。
『コロトックはそもそも、手の鎌を使って身近にある硬いものを楽器にする種族よ。切れ味の鋭い彼の鎌に、あんな木のバイオリンが切れないで済むと思う?』
「あ、…確かに」
『それにあのバイオリン、彼が使うには小さすぎるもの。……私の勘が正しければ…』
〜〜〜
翌日。
コロトックは眠れなかったのか、頭を抱えている。
…やっと見つけた妹の仇
…あんなに優しくて、いい妹だったのに
彼はバイオリンの入ったケースを大事そうに抱え、メタグロス保安官に頼んでジュプトルを逮捕してもらおうと考えていた…その時だった。
自分の目の前に、一匹のエネコロロが現れたのは。
「あなた、バイオリニストのコロトックさんですよね?」
「…そうだが…今私は忙しいんだ、話なら後に」
「あぁすんません、紹介がまだでしたね。まあ、あまり紹介する必要もないんスけど」
「何?」
「自分、こういうものッス」
エネコロロはそう言うと、ケットシーの姿に変わる。
それを見たコロトックは驚き、バイオリンの入ったケースを落としてしまう。
「しまった」と彼が拾い上げようとするその前に、ケットシーの足がケースに乗せられ、コロトックは舌打ちしながら鎌を構える。
「貴様…昨日の!」
『物騒ッスね〜まあ、ポケモンじゃ俺達ファントムには傷ひとつ付けられないから意味ないッスけど』
「どうでもいい、足を…どけろ!」
『そんなに必死になるってことは、やっぱりこれ、妹の形見のバイオリンッスか』
何故それを、とコロトックが小さく呟くのがケットシーの耳にはっきり聞こえてきた。
それを聞いたケットシーはニヤリと笑うと、ケースに乗せた足に体重をかけながら、説明していた。
『昨日、人から聞いたんスよ』
「人から…?まさか、あのジュプトルから…!」
『そのことで話があるんスけど、多分あんた、妹が何で死んだか分かってないッスよね?』
「知っている!あの変な緑の姿の奴が…妹を、目の前で」
『あーあー、違う違う。あんたの妹、俺と同じファントムになって死んだんッスよ』
――目の前の化け物と同じ姿になって、死んだ
その話にコロトックは信じられないような顔を見せ、絶望の色が次第に現れる。
ケットシーはケースにかける体重を徐々に増やし、ケースから小さく「ミシ」という音が聞こえてくる。
「なん、だと…?嘘だ、妹はお前のような化け物じゃない!現に、妹はコロボーシだ…俺は妹が殺された現場を見ている!」
『その現場って、まさかウィザードが手にかけている瞬間ッスか?』
「そうだ!」
『あー、それ、本当の現場見てないッスよ。っていうか、ウィザードが手に掛ける前からあんたの妹…死んでますから』
「な、に…?」
『俺達ファントムは、魔力を持ったポケモン…通称【ゲート】を絶望させることによって、仲間を生み出すんス。その際、ファントムを生み出したゲートは………粉々になって死んじゃいますけど』
ファントム誕生の真実を知ったコロトックの表情は、後もう一押しすれば完全に絶望するレベルまできている…
ケットシーはくすくすと笑いながら、話を続けていた。
『当然、あんたの妹だって例外じゃない…あんたが見た妹はただのファントムの仮の姿、まったく別物。本物の妹は………こんな感じで死んだんスよ!』
「や、やめ…」
ケットシーは足を大きく上げ、バイオリンをケースごと踏み壊す。
その瞬間、コロトックの体に異変が起こり、紫の罅割れを起こしながら倒れる。
…近くに邪魔者はいない
…これでノルマは達成、暫くはのんびり寝られる
そう安心しきっていたケットシーの背に、弾丸が命中していた。
『ぐほっ!?』
「――朝早くからお仕事とは、ファントムも大変だな」
『お、お前は…指輪の魔法使い!』
「と、スピードなら【スピード・デリバリー】1番…オオスバメでーす☆」
攻撃してきたのはウィザードHS、…とついでにオオスバメも一緒にいる。
どうやらケットシーがコロトックに詰め寄っているところを偶然オオスバメが見つけ、すぐにジュプトルを叩き起こしに行き(しかも燕返しで)、連れて来たようだ。
時間もないということで、変身は部屋の中で行い…ハリケーンスタイルで空を飛んできたジュプトル。
ちなみに、オオスバメが現場を目撃して戻ってくるまで、わずか2分の出来事だったりする。
「いや、やっぱうちで働いてもらいたいな〜…少しでもオニゴーリ館長からの借金、返しといたほうがいいだろ?」
「………それは…相当後がなくなった時に、考える」
「えー」
『今更来ても、こいつはもう終わりッス!俺の貴重なお昼寝タイムのためにも、大人しくしていてほしいッスよ』
「残念ながらそうは行かないッス。……昨日手に入れたばかりの指輪、試させてもらうッス!」
<フレイム、プリーズ ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!>
若干ケットシーの訛りが伝染していたものの…
ウィザードHSは指輪を変え、赤い魔方陣を潜る。
するとその姿は緑から赤に変わり、火の属性・フレイムスタイルへと変化する…
……ちなみに、ウィザードの基本スタイルは通常これなのだが、ジュプトルはハリケーンが基本スタイル。これ豆知識。
『す、姿が変わった!?』
「お昼寝したいなら今すぐそうさせてやる。…永遠にな!」
『それ、死ねってことじゃないッスか!それは流石に嫌ッス!!』
ケットシーはそう叫ぶと、俊敏な動きでウィザードFSに襲い掛かる。
しかし、身軽さなら種族:ジュプトルのウィザードFSも負けてはいない。
相手の攻撃を難なくかわしつつ、ウィザーソードガンで的確なダメージを与えていく…その姿はまるで、舞を踊っているよう。
火力もハリケーンよりは期待できるほうらしく、スピードはランドよりある。いわゆるバランス型か…
ウィザードFSはそう言いながら、右手のリングを変える。
「ちなみに……普通ならお前相手にはスピードで勝るハリケーンが一番なんだが、お前の動きを止めるなら、ランドでもフレイムでもできる方法があるんだよ」
<バインド、プリーズ>
『あぐっ!?』
突然地面から鎖が複数伸びてきたかと思えば、ケットシーの体を捕縛し、完全に動けなくなる。
足だけでなく腕も自由に動かせなくなり、こうなってしまえば、当然ケットシーには成す術がなくなってしまう…
そんな彼にウィザードFSは容赦なくトドメのシューティングストライクの態勢に入る。
銃口からは巨大な炎の弾丸が発射され、ケットシーは爆散…彼を捕まえていた鎖も、そのまま消えてしまった。
ウィザードFSは急いでコロトックの元に駆け寄ると、エンゲージリングを取り出す。
その際、どこにリングを付けるか一瞬戸惑うが、右の鎌の先端に何とか嵌め込む。
コロトックのアンダーワールドに行って中のファントムを倒そうとするジュプトルだが、コロトックは弱った声で、「やめろ」と呟く。
「…もう、いい…。これ以上、生きていたっていいことなんか…何一つない」
「何?」
「妹が死んだ後、俺は、満足のいく演奏ができなくなった…心に大きな穴が、ぽっかり開いたかのように……もういっそ、化け物になるってのもアリだって思ってるんだよ…」
「…本当にそれでいいと思ってるのか?」
「ああ…妹は化け物になって死んだんだろ、だったら俺…死ぬよ。妹のいない世界なんて、生きていたってしょうがないし……」
「――そんなの人生損してるって」
そう言ったのは、コロトックの話を聞いていたオオスバメだった。
ウィザードFSは「おい」とオオスバメを止めようとするが、それで黙る性格ではなく…
むしろネガティブなコロトックとは正反対の、ポジティブぶりで話していた。
「せっかくこの世界に生まれた命なんだ。自分の思うとおり、楽しく生きなきゃ損だ。死にたいとか簡単に言うのは……人生を心から楽しんでない証拠だよ」
「「…」」
「そんなお兄さんの姿見たら、天国の妹さんも心配してるって。暗い考えはスバッとやめて、明るく生きよう!」
「そうだな……こいつほど明るく生きろとは言わないが、せっかく世界に太陽が戻って、時も動き出して、それぞれの生きる希望も芽生え始めたばかりなのに…それを自分から枯らすのは、馬鹿のすることだ」
ウィザードFSも、オオスバメも、このコロトックも。
3年ほど前まで時の停止の影響で…太陽もなく、水も草木も動を失い、野性のポケモンの殆どの心が荒みきっていた暗黒世界を生き抜き……今、こうして光のある世界で新しい一歩を踏み出したポケモンだ。
深い絶望の闇の世界に射した、光という名の希望の中で生きている。
オオスバメはむしろあの暗黒世界世代の割にはぶち抜けて明るいが、恐らく今のように、前向きに生きてきた結果なのだろう。
「生きるための希望がないなら、それを探していけばいい。世界は動き始めたばかりなんだ、…時間は充分にある」
「……生きるための、希望…」
「約束する…俺が、お前の希望を繋ぐ」
<エンゲージ、プリーズ>
〜〜〜
ウィザードFSがコロトックのアンダーワールドに突入すると、そこにあったのは、まだ妹のコロボーシが生きていた頃。
光に溢れた世界で、まだ進化できない妹のために作ったバイオリンを渡し、一緒に演奏するコロトックの姿…
しかしそんな彼のアンダーワールドに大きな亀裂が走り、そこからワイバーンが現れる。
蛇に巨大な翼をつけたような姿のファントムは、大空を中心に猛スピードでコロトックのアンダーワールドを破壊していく。
“ドラゴライズ”でウィザードラゴンを呼び出したウィザードFSは、相変わらず言うことを聞く気のないウィザードラゴンを何とか乗りこなしながら、ワイバーンを追う。
『グギャァァァァァ!』
「くっ、スピードが速すぎる!…ドラゴンがちゃんと言うことを聞けばまだマシなんだろうが!!」
ウィザードFSはそう叫びながらも、ワイバーンの突進攻撃を何とか避けようとする。
しかしそれはウィザードラゴンには直撃してしまい、それが原因で闘争本能に火がついたか、ウィザードラゴンはワイバーンに負けないスピードでそれを追いかける。
シューティングストライクの射程圏内に入り、ウィザードHSはウィザーソードガンを構える。
「流石にやられっぱなしじゃいられないってか。……だが、これでっ!」
<シューティングストライク、ヒーヒーヒー!ヒーヒーヒー!>
『……グギャァァァァッ!!?』
炎の弾丸がワイバーンの背後を捉え、それに怯んだワイバーンにウィザードラゴンが突進する。
それがダメ押しとなったのか、ワイバーンは空中で大爆発…
ウィザードFSはウィザードラゴンの背に足を組んで座りながら、「ふぅ」とひと息ついていた。
コロトックのアンダーワールドから帰還し、ジュプトルは彼の容態を気に掛ける。
しかし、コロトックの表情は少し明るく、もう一度バイオリニストとして頑張ってみるとのことだった。
妹のことはショックだっただろうが、それに変わるほどの生きる希望を見つけてくれれば…とジュプトルは思っていた。
オオスバメもそろそろ勤務時間ということで、一旦お別れ……と思われていたが。
「そうだ、ジュプトル知ってる?」
「何がだ」
「昨日の女の子、探検隊立ち寄り所の受付として働くってさ」
「……は!?」
オオスバメから話を聞いたジュプトルは、猛ダッシュで立ち寄り所に行く。
そこでは、初日から受付で笑顔を見せている、セレビィの姿…
ピカチュウとヘイガニ、オオタチにコータスもそこにはおり、ジュプトルは彼らに目もくれずセレビィに尋ねていた。
「――セレビィー!!!」
「あ、ジュプトルさん」
「どういうことだ、昨日、帰れって言ったはずだぞ!?」
「そのことなんだけど………ジュプトルさんがそんな危険なことをしているって知ったら、放っておけるわけないじゃない!だから私、ここで【ブレイブス】のサポートをするって決めたの」
勿論ジュプトルさん達の探検隊ばかり贔屓はできないけど…と言うセレビィだが、ジュプトルは激しい頭痛を感じ、頭を抑えていた。
…絶対こうなるから、話したくなかったんだ…!
そんなことを思いながらも、ヘイガニから「本当は【ブレイブス】に入ろうとしてたけど、それ止めるの苦労したんだぜ」と言う話を聞き、一層頭痛が酷くなる。
しかし、セレビィが【ブレイブス】に正式所属をすれば、それだけファントムとの戦いに巻き込まれる危険性が増えるだけでなく…それ以上に危ない目に遭うことも多いだろう。
VSオオタチ&ピカチュウ&セレビィという、3対1という不利な状況でありつつも逆転勝利したヘイガニに心の片隅で感謝しつつも、これから先について真剣に悩み始めていた。
***
結論:オオスバメは絶対絶望しない。
大方の予想通り(?)、コロボーシは既にファントムになっていたわけです。
で、偶然それをコロトックに見られた…と。
ちなみに冒頭部分では、以前にあった「進化の石でオリジナルの指輪ができるのでは〜」と言うのについての解答を出しています。
とりあえずヤミラミ、苦労人。
メデューサがなかなかに外道w
彼女の入れ知恵を得たケットシーも外道ww
ウィザダンはウィザブレよりもファントムと絡む回数が爆発的に多いので、そのぶん絶望するポケモンの数も多いです。
でもその分、敵側が外道になりやすいと言うw
この先、本家のミノタウロスとか、ガーゴイルとか、フェニックス(2戦目)とか、ヒドラが可愛く思えてくる外道が出てくるかと思うとww
フレイムスタイルの初陣回なので、アンダーワールド突入もフレイム
…いや…これが普通なんですけどね!?
ちなみにお気付きでしょうが、ウィザダンではアンダーワールド突入回数も多くなるので…
突入する際のスタイルも、フレイムに拘らずランド・ハリケーン・ウォーターでやったりします。
後はウォーターなんだけど………果たしてウォータースタイルでアンダーワールドに突入する回は、あるんだろうか…
ポケモン達のメンタルが超・絶・豆・腐なら機会はあるでしょうけどね!
次回と次々回はオニゴーリ館長がメインの予定だったりします。後コータス。