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タイトル未設定 - 34話:手紙の真相

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「――白い魔法使いが、日食の日の儀式を起こした可能性がある?」




ある日、オニゴーリから話を聞いていたジュプトルが…そんな声を上げていた。

その言葉には、ヘイガニやコータス、ピカチュウにギャラドス、ミロカロスが驚くように反応。

オニゴーリは小さく頷きつつも、「ああ」と答える。


「断定できる要素はないが…あいつがこの間お前を操れたのと、セイレーンの行方をあいつが握っていることを考慮すれば……ありえる話だ」

「…確かに」

「でもでも!…どうしてそんなことをしたの?わざわざファントムを生み出すよう名前してまで、やる必要あったの!?」

「あいつ自身の話じゃ、魔法使いを生み出すためとか何とか…しかし、もしそれが本当だとしても……ジュプトルのような奴が、あの儀式の場にいるという保障はないだろ」


ファントムを大量に生み出してまで、魔法使いを増やしたかった理由…

しかも、白い魔法使いはジュプトルだけでは心もとなかったのか、多大なリスクを承知の上でビーストドライバーをバンギラスに渡していた。

メイジもいる以上は、魔法使いを増やして何かをしたいのか…それとも、ただファントムに対抗できる者を増やしたいだけなのか分からない。

そうしていると…

バンギラスはメモ帳に話を纏めながら、自分の憶測を話していた。



「――考えられるのは2つ。まず1つ目は、魔法使いを生み出して何かの儀式を行いたいのか…それも、ファントムじゃなくて魔法使いだからこそできることを」

「「「儀式?」」」

「と言っても、断定できる要素がないからはっきりとそうだとは言えないんだが。そして2つ目は、…白い魔法使い自身に時間が残されていないか」

「時間が…」

「…残されていないって、どういうことだ」

「それは俺にも分からない…ただの憶測だからな。だが、ファントムを生み出すリスクを背負ってまで、自分以外の魔法使いを生み出す必要があった……と考えると、最初のよりはこっちのほうが納得行くんだ。個人的にな」


成程な、と牛乳を飲みながらリザードンが呟く。

バンギラスの出した2つの意見は、どれも辻褄が合うものばかり。

1番目に関しては、魔法使いを生み出してどうしたいのかと言うことに疑問を感じるが…

2番目は割と身近な話なので、こちらのほうが納得できる。

しかし、いずれにしてもジュプトルよりも絶望耐性の強そうなオニゴーリを儀式の場に連れて行かなかったことに疑問が残る。

そこはオニゴーリ自身も疑問に思っており、うーんとピカチュウ達は考えるが…

考えても仕方ないことだと思ったのか、ミロカロスは話の方向を切り替えていた。


「…今、彼が魔法使いを欲しがっている目的について話し合っても、どうせ分からないわ。だったら……もっとシンプルにしましょう」

「「「シンプル?」」」

「って、……つまりどういうことなの?ミロカロスさん」

「【白い魔法使いは敵か味方か】…これに尽きるわ」




白い魔法使いは味方なのか、それとも敵なのか。

ピカチュウやコータスにとっては、どちらとも言えないが…これまでにジュプトル達の助けになってきたことから、やや味方よりなのではないかと思える。

ヘイガニとオニゴーリは白い魔法使いを胡散臭く感じているのか、本当は敵じゃないかと疑い始めていた。

ギャラドスとミロカロスは、彼の本心が分からないことにはどうすることも出来ないと…中立を貫き。

残るリザードンとジュプトル、バンギラスだが…

バンギラスは「ファントムの魔力を食い続けなければ命を失う」と言うリスクの高いベルトを預けてきた以上は、ヘイガニとオニゴーリに同意している。

リザードンに関してはそれに納得しつつも、ビーストドライバーがなければフェニックスを倒せなかったことを考えると、やはり味方なのかと思い…結果的に中立になっていた。


「…で、ジュプトルはどうなの?」

「味方…だとは思いたいな。やっていることといい、『仮面ライダー○○○』で表現できないことといい、確かに胡散臭いが……それでも同じ、ファントムを倒す魔法使いだ。それに偽りはないと信じたい」

「――見事に意見が真っ二つだな」

「オオスバメは馬鹿だから味方派として、セレビィはあれでやや冷静な部分もあるから敵派だろうし…オオタチはどう足掻いてもあれ、『カオスを提供!』とか言って中立にしそうだしな……」

「「「オオタチ(さん)は……ねぇ」」」


リザードンの意見に、ジュプトル達は納得した様子で頷く。

…というか、納得しないはずがない。

しかし、いずれにしても意見が半分ずつに分かれてしまい、尚更頭を抱える。

そうしていると…

ムクホークが雪花屋にやって来て、バンギラスに手紙を届けてきていた。



「――バンギラスさん、郵便です」

「俺に?」

「差出人の名前は書いていないんですけど…皆さん、差出人不明の届け物が多いですよね?……オオスバメ先輩、そのことに一切疑問を持ってなくて、スピデリ内じゃ『怪しい奴に騙されているんじゃ』って噂になってて」

「「「…あぁー…」」」

「…あのバカアホ押すパンツ××もふツバメは、事実、騙されやすいからな…」


【スピード・デリバリー】のポケモン達は、そろそろ不安に思ってきていたのだろう…

オオスバメの、“差出人不明の届け物を名指しで指名される”率の凄まじいことを。

しかし当人はそのことに一切疑問を持っておらず、「依頼だし」と言う理由で届けに行っていた。

オオスバメがフェニックスとベルゼバブに騙され、翼を傷つけられた上に誘拐までされた事件があったせいか…所長のヨルノズクを含め、オオスバメ以外のスピデリ所属のポケモン全員が危機感を覚えていたのだ。


「しかもこの手紙、オオスバメ先輩がいないからなのかは知りませんけど…配達分の荷物の中に紛れていて。誰も気味悪がって渡しに行かないものだから…その、」

「俺達とある程度関わりのあった、お前が来たってか」

「…そういうことです…」

「ごめんねムクホークさん、貴重な常識人かつ普通の人なのに、ごめんね…!」

「いや、俺も別にいいんだけどね。――それじゃあ」


ムクホークは礼儀正しくお辞儀をすると、次の配達に向かう。

バンギラスはその手紙を怪しそうに眺めた後、封を切り、手紙の中身を見る…

その後ろからリザードンが覗き込もうとするが、そんな彼の顔面に裏拳を浴びせ、その内容に驚いていた。




『ベルゼバブの正体を教える』

『奴は今日の午前10時に、探検隊立ち寄り所を襲う』

『興味があれば来るがいい』


――普通に考えて、罠だ。

こんな手紙を、一体誰が出したというのか…

しかも「立ち寄り所を襲う」とだけ書いて、どんな目的で襲うのかは書かれていない…ファントムなので、どうせゲートを狙うのだろうが、それでも引っかかる。

そうしていると、ギャラドスが時計を見て「あ」と声を上げていた。

どうやら用事があったらしく、慌てて雪花屋から出て行こうとする。


「あ、――悪いけど俺、今日は探検隊活動無理だ」

「えっ、どうしたの?」

「サーナイト保育所のチビ達を連れて、ポケモンタウンの南にある海のほうに行くんだ。海に行くっつっても、砂浜で遊ぶぐらいなんだが」

「そうなんだ…私達のことは気にせずに行っていいよ!こっちは何とかなるし」

「恩に着る」


ピカチュウに頭を下げた後、ギャラドスは急いで雪花屋を出る。

「あいつも大変だな」とジュプトルが思っていると、彼らもそろそろ探検隊の活動に行くべきだと雪花屋を出ようとしていた…

その時だった。

罠だった時のために、魔法使いであるジュプトルが行ったほうがいいだろうと思ったバンギラスが、ジュプトルに話をしていたのは。



「…ジュプトル、さっきの手紙に、『午前10時にベルゼバブが探検隊立ち寄り所を襲う』とあったんだ」

「何?犯行予告にしても、何でお前に…」

「まあ、9割9分罠と見て間違いないんだが。それでも、一応伝えておきたくてな」

「確かに…万が一に備えて、魔法使いである俺が行くのは当然といえば当然だな。分かった、警戒はしておく」

「任せた」

「――それなら俺も行くぜ。1人より2人いたほうがいいだろ」


リザードンが挙手した瞬間、

…バンギラスの鉄拳制裁が顔面ストレートで入り、その威力にピカチュウとヘイガニとオオタチは顔を両手で覆っていた。

リザードンを行かせたがらない理由は分かる。

彼は一応ゴールドランクの探検隊として有名だった、【Bバースト】の1人…

今はもう探検隊を辞めたとはいえ、そんな彼が気軽に立ち寄り所に行けば、大騒ぎは間違いないからだ。

「でも口で言った方がよかったんじゃ」とコータスが呟くが、牛乳効果か何とか顔が*印のようになっただけで済んだリザードン曰く


「……こいつ、口より先に手が出るんだよ…昔っから……」


らしい。

「ああ成程」と殆どの者は納得し、特にピカチュウは賛同するかのように大きく頷いていた。

そしてこの時、ジュプトルが思ったのは…

『牛乳スゲェ』だった。






〜〜〜






探検隊立ち寄り所。

結局リザードンは(顔を何とか戻しつつも)行かないことになり、ピカチュウ・ジュプトル・ヘイガニが周囲に気を配る。

しかし、これといって変わった様子はなく、やはりただの悪戯だったのでは…と誰もが思っていた。


「…もう10時、何も起きないな」

「やっぱり、悪戯だったのかな…?」

「もしこれが罠だとしても、こんな手紙で何したかったんだか。手紙を出したファントムの頭が大丈夫か知りたいよ、俺…」

「「あぁー」」


ヘイガニの意見には、ピカチュウもジュプトルも納得したように頷く。

だが、何もないに越したことはない。

とりあえず探検隊としての仕事を優先させようとピカチュウが依頼掲示板に向かう途中で…

誰かの悲鳴が聞こえ、その声に聞き覚えがあるジュプトルが真っ先に走る。

声がしたのは、人気のない建物の裏。

そこではセレビィが横たわっており、ジュプトルは即座に「おい」と声をかけていた。


「…セレビィ!どうしたっ!?」

「じゅ、ジュプトルさん…今、さっき……そこで、襲われて…」

「誰にだ!」

「姿はよく見えなかったけど、たぶん、ファントムに…」

「…なんだと…?じゃあ、あの手紙は本当だったのか…それで、奴はどこに!」

「……分からないわ…私を襲って、すぐにいなくなったの…」



くそ、とジュプトルは舌打ちするが…

ふと、セレビィが倒れている場所の近くに小さな紙のようなものが落ちていることに気付き、それを拾い上げる。

そうしていると、その紙に書かれていた名前を見て驚いていた。


「!…こいつは、しかし、……何故…」

「ジュプトルさん…?」

「――おーい、ジュプトルー!」

「ちょうどいい、ピカチュウ!セレビィがベルゼバブに襲われたらしい、保護してやってくれ」

「ジュプトルは!?」

「…ベルゼバブの元に向かう。安心しろ、セレビィ……お前をこんな目に遭わせたベルゼバブは、俺が倒す」


そう言うと、ジュプトルは“コネクト”でマシンウィンガーを呼び出し…

その上に跨ると、紙に書かれていた場所まで向かっていた。

そんな彼の後姿を見て、セレビィは小さく笑みを見せ…ピカチュウは、そんな彼女を心配していた。


「…ジュプトルさん」

「セレビィ、大丈夫?とにかく、病院のほうで診てもらおう?」

「私は…大丈夫。そんなに酷い怪我じゃないし…それよりも、ピカチュウ、あなたもジュプトルさんの後を追って」

「だけど…」

「大丈夫だから。今はあなたがパートナーなんでしょう?」


その言葉に、ピカチュウは少し困ったような顔をしながらも…

マシンウィンガーのタイヤの跡を頼りに、ジュプトルの跡を追いかけていった。





その頃…【ポケモン・プロデュース・カンパニー】、通称PPC本部。

ここでは、様々な分野で活躍するポケモン達を支援するプロデューサーを多く有しており、所長のルージュラは日々人員育成を心がけている。

そんなPPCに、『ちょっとした取材がしたい』と…バンギラスとリザードン、ついでにオオタチが訪れる。

オオタチに関しては勝手について来ただけだが、バンギラス達はそれを背景として扱い、目的の相手のいる部屋まで向かう。

…ノックを3回して部屋に入り、そこには、フーディンが待っていた。


「おや。取材をしたいという記者がいると聞いてはいたが、君達だったか」

「この間はありがとよ!」

「私は何もしていないさ。…所長の悪い癖が出ただけだ…」

「あ、もしかして、この間の女装ってもがぶ」

「――言うな!あの事を思い出させるな!!」


余計なことを言いかけるオオタチの口を、バンギラスが塞ぐ。

あの事件に関しては、オニゴーリは当然として、バンギラスやギャラドスといったポケモン達の黒歴史だろう…

ただし、当の本人達はその自覚がない様子。

とりあえずオオタチを菓子で黙らせると、バンギラスは椅子に座り、話を始めていた。


「取材…って言うのは、実は口実のひとつで。実はちょっと、耳に挟んでもらいたいことがあるんだ」

「ほう?それは一体、どういうことだろうか。しかし、私も仕事があるから、あまり長い話はできないのだが」

「大丈夫だ、すぐに終わる。――実は俺の元に、こんな手紙を出した奴がいるんだ」



そう言って、バンギラスが渡したのは…差出人不明の手紙。

その内容を見て、フーディンは目を細めながらも…

これを見せて一体どうしようというのか、訊ねていた。


「…この手紙は?」

「今朝、俺に渡された手紙だ。陳腐な内容だろ?」

「確かに。悪戯としか思えない内容だな…それで、これをどうして私に?」

「……その理由は、今からする話を聞けば分かると思うがな」


次にバンギラスが取り出したのは、ある記事の切り抜き。

それは5ヶ月前に起きた、【ビリビリ山岳】での落石事故についての記事。

この事件はフーディンも知っており、2名が行方不明、3名が重軽傷を負ったとのことだった。

どうしてそんな記事を、とリザードンが思っていると…

バンギラスはある一文を指差しながら、言い放っていた。


「この事故は、ファントムにとっては凄く美味しい事故だっただろうな。行方不明者は2人ともゲートで、2人とも絶望してファントムを生み出してくれたんだから」

「……何?」

「えっ、どういうことなんだよ!?」

「行方不明になったのは、アズマオウと…フーディン。あんただ。最初は単なる偶然じゃないのかと疑ったんだが、――オオスバメの件ではっきりとした…お前は、ファントム……ベルゼバブだ」




フーディンが、ベルゼバブ。

その話を聞いたリザードンは「まさか」と言おうとしていたが、

――彼がもしもベルゼバブだとしたら、これまでの事件のいくつかが納得できるのだ。

最初のピクシー・ノート…エキドナファントム。

スタジオでのグールの襲撃でピクシー・ノートを安全な場所に隠す……と見せかけて、スタジオのすぐ外に出してファントムの姿にさせ、襲わせる。そうすればまず、ピクシー=エキドナとは誰も思わないだろう。

PURIN-cesのコンサートで操られたジュプトル達と一緒にいたのも、演技。

そして…

最近の記憶にも新しい、オオスバメがフェニックスに襲われたときの事件。

オオスバメにピジョットの居場所を教えたのは、フーディン…その時点でバンギラスの中には、【フーディン=ベルゼバブ】の図式が出来上がっていたのだ。


「仮にそうだとして、この手紙と私に何の関係が?」

「たぶん、この手紙はお前を嵌めようとしているファントムの策略だろう。誰でもいいから、ベルゼバブのことを知っているポケモンにこの手紙を読ませ…適当にその辺のポケモンを襲い、お前の名刺を落としていく……そうすれば、大抵はお前がベルゼバブだと思ってここに来る」

「…」

「正直言って、無駄足だけどな。むしろ、オオスバメという尊い犠牲が出る前にやってもらいたかったもんだ」

「ちょ、バンギラス、オオスバメ死んでねぇって。……それより…今の話は、」

「――ふ、ははは。ははははははは!」


フーディンは高らかにそう笑うと、姿を変え…

ベルゼバブとしての姿を見せていた。

「本当だったのかよ!?」とリザードンは叫び、そんな彼の顎をアッパーで殴りながらも、バンギラスは変身準備をしろと言い放つ。

リザードンは慌ててビーストドライバーをまくと、ビーストに変身…

ダイスサーベルを構えながら、ベルゼバブに向かって挑発していた。



「よくも今まで騙しやがったな!覚悟しとけ」

『…ふう。しかし、メデューサも堕ちたものだ…その程度の策で完全調和を乱そうとするなど』

「かん……………まあ何でもいい、食ってやる!」

「リザードン、お前ちょっと脳みそに国語辞典の内容詰めて来い!」

「脳みそにどうやって時点を詰めるんだよ!」

「…お前は、ボケポジションの一端を担っているオオスバメに感謝すべきだな…アレがいないせいでしわ寄せが凄い来てるぞ」

『――まあいいだろう。手紙ついでに…お前達に話しておきたいことがある』


…今更、何を話すというのか

ビーストもバンギラスもそう思っていたが、次のベルゼバブの一言に…思考が停止していた。


『今から4〜5ヶ月前だったかな?厳密に言えば、日食の日から2ヵ月後…君達の元に、【Bバースト】宛の依頼の手紙が来たのは』

「…何?」

「何でそれを、お前が知って…」

『当然だ。――あの手紙を書いたのは………私だ』

「「…え?」」


手紙、と聞いて思い当たるのは…

ゴウカザルを呼び出すためにフェニックスが仕組んだ、あの忌々しい手紙しか思いつかない。

しかし、それをベルゼバブが書いたというのはどういうことだ。

ビーストが尋ねる前に、…バンギラスは気付いてしまった。

フーディンが絶望してベルゼバブを生み出したのは、日食の儀式の日からおよそ1ヵ月後…

それならば、あの手紙を書いてもおかしくはない。

しかし、どうしてフェニックスと手を組んであんなことをしたのか…そう考えていると、ベルゼバブのほうから話し始めていた。


『――その頃、フェニックスが暴れ足りなくて荒れていたのと…メデューサが新しいゲートを見つけたのがほぼ同じでな。フェニックスは自分に行かせろと言って聞かなかった』






〜〜〜






フェニックスはこの頃から血の気が多く、手加減ができない。

危うくゲートを殺しかけたこともあり、結果としてその時のゲートだったパラスは今も意識不明の重体で、絶望させる云々ではない状態…

そんな彼の見張り役としてメデューサはついており、いざとなればフェニックスの魔力を吸い上げて何もさせないようにしていた。

しかし、その間にも彼の不満や怒りは積もりに積もり、それが爆発してメデューサと事を起こしかけていた所へ……ワイズマンがテディスを向かわせ、フェニックスの記憶を消去させていたという。

それでもやはり疑問に思う部分はあったのか、フェニックスは頭を抱えながらも、どうしようもないイライラに近くの壁を蹴り崩していた…そこへ、私が顔を見せたのだ。


『…何だテメェは』

『これはこれは。つい1ヶ月ほど前に誕生した、ベルゼバブと申します。以後、お見知りおきを』

『チッ…そんなことどうだっていいんだよ。そこを退きやがれ!』

『――いつまで経ってもゲートを絶望させられない、暴れるだけが能の【出来損ない】のファントム』

『あぁ!?』

『お心の広いワイズマンはともかく、メデューサ様はそのような認識のようですね。……彼女を見返したくはありませんか?あなたの気性の荒さでも、いえ、そんなあなただからこそできる作戦を…私が指揮<プロデュース>してあげましょう』





『…メデューサに、フェニックスに行かせろと説得するのは骨が折れましたよ。結果的にワイズマンが了承してくれたので、彼女もやむを得ず従ったようですが』

「つまり、…テメェも…ゴウカザルの死に関わっていた。……そういうことか…」

「…あの手紙、あのフェニックスが書いたにしては……と思っていたが、――貴様…!」

『使えるものは何でも使う。それが指揮者というものだ』

「――テッメェェェェェェッ!!!」

<ハイパー、ゴーッ! ハイハイ、ハイ、ハイパー!!>


ビーストはハイパービーストに変身すると、そのままダイスサーベルで斬りかかる。

しかし、ベルゼバブはそれを軽くかわすと…嘲笑うかのように別の場所に移動しようとしていた。

「待て」とその後をハイパービーストが追いかけ、出た先にあったのは…PPCの外。

“戦いをするなら広い場所で”ということだろう。

確かに、狭い空間ではベルゼバブの能力を十分に生かしきれない…だからこそ移動をしたのだ。“わざと”ハイパービーストまでついて来られるように。

そうしていると、マシンウィンガーに乗ってジュプトルが登場し、今日は最初からランドドラゴンの指輪を嵌めて変身体勢を整える。


「フーディン…いや、ベルゼバブ!これ以上、お前の好きにはさせない……変身!!」

<ランド、ドラゴン ダンデンドンズドゴン、ダンデンドゴン!>

<チョーイイネ! スペシャル、サイコー!!>

「――おおおおおおおおっ!」

「ベルゼバブーッ!」

『おやおや、これは随分と賑やかに…ん?』



<エクスプロージョン、ナウ>



その音声が鳴ったと同時に、周囲に爆発が広がる。

ベルゼバブだけでなく、自分達をも巻き込みかねないその威力に、ハイパービーストとランドドラゴンはたじろぐ。

だが…

次の瞬間、姿を見せたのは…白い魔法使い。

ゆっくりと歩きながらハーメルンケインを構え、ピカチュウやヘイガニ、バンギラスも追いつく。


「「白い魔法使い!?」」

『…』

『これはこれは…魔法使いが3人、少し厳しいな』

「ちょうどいい、あいつを一緒に倒してくれ!」

「トドメは俺にさせろよ…キマイラに魔力を食わせる以前に、……あいつだけはゴウカザルのためにも、オオスバメのためにも許せねぇッ!」

「何、どういうことだ!?」

「それは…」

『安心しろ、古の魔法使い。お前の邪魔はしない…』


そう言いながら、白い魔法使いはゆっくりと歩き…

ハーメルンケインを、ある人物の喉元に突き立てる。

それを見たハイパービーストも、バンギラスも、ピカチュウも、ヘイガニも、ベルゼバブも…何が起こったのか、理解できずにいる。

当然それは、切っ先を向けられている人物…ランドドラゴンもそうだろう。


「なっ…、……何を!」

『予定より遥かに早く、活性化されてきている。――お前の中のファントムが誕生する前に、始末をつける』

「どういうこ…ぐあっ!?」

「「「ジュプトルッ!」」」




ハーメルンケインによって切り裂かれ、ランドドラゴンは爪を構える。

そして、そのままドラゴヘルクローとハーメルンケインがぶつかり合い…

ランドドラゴンは、どうして自分を襲うのか白い魔法使いに叫んでいた。


「…何故だ!どうして、魔法使い同士で戦う必要がある!?」

『お前が、ファントムに侵食されつつあるからだ』

「何…ッ」

『絶望を溜め込んだ分だけ、強大な力を持ったファントムが生まれる…そうなってしまえば、ワイズマンをも超えかねないファントムが生まれてしまうだろう。だから消す、それまでだ』

「――ちょっと待てよッ!お前が儀式を起こして魔法使いを作ろうとしたなら、それを消そうとするのは…あまりにも身勝手じゃねーかっ!?」

「ヘイガニの言うとおりだよ!それに、そもそも一体どうして魔法使いを…」

『それを答えるつもりは……ない』

<イエス サンダー、アンダースタン>


白い魔法使いは声の抑揚を変えずに、ただ冷たく言い放ち…

ランドドラゴンに強力な雷を浴びせる。

ベルゼバブもいるというのに、白い魔法使いを相手に戦うのは不利でしかない。

ハイパービーストも、ベルゼバブを攻撃しようにもランドドラゴンを見捨てられず、どうすることもできない。

その様子を見ていたベルゼバブは、その場から姿を消し…

ハイパービーストはランドドラゴンを庇うようにして、ミラージュマグナムの銃口を白い魔法使いに向けていた。


『…何故あのファントムを倒さなかった?キマイラにファントムを食べさせなければ、まずい状態のはずだが』

「リザードン…お前」

「…ベルゼバブはいつでも倒せるからいい、だがな、……仲間を見捨てるわけにはいかないだろ!」

『……ビーストの装着者は、なるべく一人で済むようにしたかったが…いいだろう』

<エクスプロージョン、ナウ>

「「!」」



ハイパービーストとランドドラゴンを襲うように、白い魔法使いの“エクスプロージョン”が炸裂…

あまりの威力に、2人は川まで吹き飛ばされ、バシャン!と勢いよく落ちる。

一応流されてはいないようで、ピカチュウとヘイガニが慌てて駆け寄ろうにも、白い魔法使いは静かに追撃を放とうとする。

流石に、あの攻撃を受け続ければ…いくらオニゴーリの制裁に慣れているジュプトルや牛乳を一日1本飲んでいるリザードンでも命はない。

バンギラスが慌てて止めに入ろうとするが…その前に白い魔法使いの間に割って入った者がいた。

――買い出しのために商店街に向かっていたところ、偶然この騒ぎを聞きつけてやってきた…コータスだ。

近くには、(オオタチがいないせいで)荷物持ちに着いてきたオニゴーリもいる。


「コータスさん!?」

「……やめてくださいッ!……どうして魔法使い同士で、不易な戦いをするんですか…!?」

「それについては同感だ。あと、ジュプトルにはまだ借金6200ポケ残ってるんでな…勝手に殺さないでもらおうか」


それを見た白い魔法使いは、暫くだんまりを続けながらも…

すっと踵を返し、“テレポート”の指輪を指に嵌める。

戦う気をなくした、というところだろうか。


『…。……今日のところは、君達に免じて立ち去ろう。だが…いずれ【そうなる】可能性を、頭に入れておくのだな』

<テレポート、ナウ>

「あっ、逃げた!」

「…一体何だったんだ、あいつは」

「それよりも…ジュプトル!リザードンさーん!!」




ヘイガニとバンギラスは白い魔法使いへの不信感を募らせ、ピカチュウは川に落とされた魔法使い2人の元へ向かう。

コータスとオニゴーリも、どうしてこんな状況になったのかは理解していない様子だったが…ただならぬことが起こっていたというのは、分かっている。

その一方で…

その様子をPPC本部の影から見ていたペガサスは、くすりと笑っていた。


『撤退しちゃったか…ま、そうなっちゃうよねぇ』






***




白魔は何をしたいんだw

いや、でも、冒頭辺りに実は答えが出ているのかも…

基本、ピーヒョロ白魔よりはビーストに理解がありますし。

だからってどうとは言えないんだけど。


メデューサの作戦…

残念だったな!バンギラス、既にベルゼバブの正体に気付いて経ってよ!!←

というか、フラグは立ってましたしね〜

むしろその結論に至ったのがバンギラスだけで、他は言われるかメデューサの作戦に引っかかるかしないと分からなかったって…

頭脳ポジションがツッコミより少ないって!



明かされる真実…

ベルゼバブううううううううううう!

お前のせいかあああああああああ!!

でも、悔しいけどそれで成功しちゃってるというのが…ベルゼバブ仕事できるってことなんでしょうね。

むしろ…今までのファントムって、ちゃんと仕事して……ゲフン。

いや、仕事してるのは多いけどね?絶望総数凄いけどね??


白魔は何をしたいんだああああああああ!!(大事なことなので2回言いました)

でも、裏を返せば最強最悪のファントム誕生を食い止めようとしているって事ですよね…

ドラゴタイマーを送ったのも、使わせる自体を作っているのも、ワイズマン側だから尚更。

仮に絶望度という概念があるとして…

絶望度はMAX200、それを超えると強制的にファントム排出・通常スタイル系の指輪を使って、絶望度が+1される前提で話しましょう。

・ドラゴン系の指輪だと通常より+2されるだけ(通常→通常なら1+1=2、通常→ドラゴン系なら1+2=3)

・ドラゴタイマーを使ったら+3に加えて使った時間分(10秒毎に+1とか)加算される

・オールドラゴンになったら+5に加え使った時間分(10秒ごとに+2とか)加算される

……と考えれば、そりゃあ危険視しますよ!




余談ですけど、今のところ

ジュプトル、リザードン→お前

オニゴーリ、バンギラス、ブイゼル→君

コータス→単独で話していないからまだ分からないけど、きっと君

…って感じの呼び方なんですよね。白魔。

これが他のポケモン…ピカチュウやヘイガニ、オオスバメならどうなるんでしょうね?