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タイトル未設定 - 5話:罠と探検と

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【絶壁の岩場】…

ここは質のいい石材があり、大工仕事には必須の場所でもあるのだが…なにぶんそこに生息するポケモンが強すぎて、近寄れるものは少ない。

オーダイル棟梁の弟子たちは大半がここに住まうポケモン達の弱点を突けるのだが、相性など関係無しに強いのだ。

それに不思議のダンジョンと言うこともあってか、ここに材料を取りに行くのはオーダイル棟梁ぐらいしかいなかったのだが…


「っていうか、――予想以上に断崖絶壁ィー!!!」

「ピカチュウ煩いって!?」

「お前も煩い!」

「…全員揃って煩いんだよお前らはぁぁぁー!!」


僅かほどしかない、断崖絶壁の場所にある足場を通りながら…

上から順にピカチュウ・ヘイガニ・ジュプトル・オニゴーリが叫ぶ。

オニゴーリはほぼ浮いている(アニメ或いはバトレボ参照)ので大丈夫だろうが、ピカチュウ達はそうも行かない。

特に先頭を歩くピカチュウは、後ろが詰まっているというプレッシャーを感じながら歩くので、精神的な負担が半端ない

――が、何故だろうか…

そんな彼女よりも、オニゴーリがすぐ真後ろにいるジュプトルのほうが、危険なように思えるのは。


「それにしても、本当にこんな場所にあるのか?その石材」

「ある!大工情報舐めんなよ!!」

「まあ、この辺の岩場は…ココドラやコドラといった鉄を食うポケモンにとっても、住みやすい環境だからな。だが問題は、どうやってあの橋を作り直せるほどの量の石材を持って帰るんだ?」

「それは………ジュプトルに」

「何で俺なんだ!?」



割とノープランでもなかったのか、ヘイガニはジュプトルを指差しながら言い放つ。

どうやらヘイガニは、ジュプトル…というよりはウィザードの“魔法”を使って、石材を運ぼうとしているようだ。

そういう意味でも、彼は他ならぬ【ブレイブス】に頼むしかなかったのだろう…

行きはともかく、帰りの面で橋を直せる量の石材を持って帰れる方法など、ヘイガニ自身にはない。

だがウィザードの魔法なら。

オニゴーリは不思議そうにジュプトルを見ながら、尋ねる。


「そういうのって、実際可能なのか」

「まあ…コネクトを利用すればできなくもないが。しかし…どれほどの量を持って帰るかは知らないが、未知の領域であるのは確かだ」

「場合によっては持って帰れないことも?」

「なにぶん、腕を通してウィザーソードガンを取り出したり…マシンウィンガーを呼び出したりするぐらいしか使わないからな。どれぐらいの質量を、目的の場所まで持っていけるかは…試さないと分からない」

「ところでお前、何でさっきから震えてるんだ」

「いや、後ろにいる鬼神にいつ凍らされるかと言う不安が」




その直後。

――ジュプトルは後頭部に思いっきり“氷の礫”を食らい、派手に倒れていた。

その頃には狭い道を渡り終えた後だったので、転落→死亡の流れはなかったのだが…むしろ今のほうがある意味で危ない。

南無三、とヘイガニは手を合わせてジュプトルに冥福を祈りつつ、洞窟を指す。

あの洞窟の中から不思議のダンジョンが形成されており、奥地に行くまではどんな構造になっているのかヘイガニにも分からない…

不思議のダンジョンの困ったところは、同じ場所を訪れても、異なる構造に変化していること。

だからこそダンジョンの地図を作っても何の役にも立たないし、ランクが上の探検隊でもダンジョンなイで迷うこともありえる。


「あそこから、不思議のダンジョンになってる。一番奥に、目的の石材があるはずだ」

「…前から思っていたんだが、ダンジョンのある場所を飛び越えて奥地までひとっ飛びとか…海の中なら水ポケモンが潜ってダンジョン素通りとか、そういうのはできないのか?」

「何言ってんのジュプトル!?それルール違反…っていうか、ロマンの欠片もないし…そういうこと言うのは禁忌だから!」

「お前本当に探検隊か!?」

「いや、俺、成り行きでやってるだけだし…」

「それでも言っていいことと悪いことがあるよ!?」


ジュプトルの口にした禁断の一言に、ピカチュウとヘイガニが猛講義。

一方のオニゴーリは、


「――いや、どうでもいいから………行けよ」

「「「はいごめんなさい館長」」」


凄みのある顔で3匹を脅し、ジュプトル達はそんな彼に土下座をすることしかできなかった。

特に、数分前に殺られたばかりのジュプトルは…






〜〜〜






洞窟の中に入ると、入り組んだ迷路のような道が続く。

【芽吹きの森】もそうだが、こういう上級ダンジョンは通常、ノーマルランクの探検隊は行けないようになっている。

理由は一つ、まだ新米である探検隊を危険なダンジョンに送り出すのは、危険でしかないからだ。

だからこそ、いくら実力があったとしても…体裁として、ノーマルランクのポケモンが受けられるような弱い野生ポケモンしかいないダンジョンを受けて少しずつ実績を積んでから、上のランク・もう少し手ごたえのあるダンジョンに挑める。

例外として、オーダイル棟梁の弟子達は自分で材料を取りに行ったり、他の探検隊に同行して難しいランクのダンジョンにある材料を調達してくることを許されている。

オーダイル棟梁はその弟子の実力を分かった上で、その弟子の実力に合ったダンジョンを選んで調達するよう頼む。

…【大工は腕っ節】と言う持論もそうだが、敢えて危険な道を行くことで弟子を鍛え、そうして苦労して持ってきた材料を使って物を作ると…完成した時の感動は2倍にも3倍にもなるそうだ。


「じゃあ……ヘイガニって強いほうなの?」

「いや?そりゃ、お前よりは腕っ節はあるけど…キングラーさん達と比べると、そうでもねーよ」

「だが、【芽吹きの森】はゴールドランクの行けるダンジョンじゃなかったか?」

「そうなのか?俺は普通に、そこで暮らしていたんだが」

「ジュプトルあそこの出身なの!?」

「…言ってなかったか?」

「言ってないよ、ジュプトル自分のこと全然話さないじゃない!」

「ちなみに俺は、【凍てつく大地】出身で…コータスは【灼熱火山】出身、オオスバメは【暴風の谷】出身らしいな。前に二人から聞いた」

「……なんで揃いも揃って、ゴールドランク級の場所から来てるの…?」


ヘイガニの話題から一転、オニゴーリやジュプトルの発言でピカチュウはがっくりと項垂れる。

ちなみに彼女の故郷の周辺に済む野生ポケモンは、どれも低レベルばかり…

つまりは、ノーマルランクのポケモンが依頼を受けるにちょうどいい強さの場所から来ているのだ。

周囲にいるチート達(コータスは知らないが)に自信を失いつつも、ヘイガニはそんなピカチュウを励ましていた。



「なんかもう、自信なくなってきた…」

「し、心配すんなって。俺だって生まれは、ポケモンタウン近くの【煌めく川】なんだ」

「そこって確か…この前掲示板を見に行った時、EやDのランクの依頼が来ていた…?」

「そう、そこ。ポケモンタウンに近いから、よく行くことはあったんだけど…そこで偶然オーダイル棟梁達の仕事を見る機会があってさ。皆で何かを作るってすげぇいいなって思って、弟子入りしたんだ」


ヘイガニの話では…

オーダイル棟梁の方針自体も、元々将来は探検隊にでもなろうかと考えていたヘイガニとは合っていたらしく、何とか頼み込んで弟子にしてもらったそうだ。

探検や不思議のダンジョンに関する知識も、そこらの新米探検隊よりはあるため、彼の実力より少し上のダンジョンに(同行付きで)行くこともあったそうだ。ドサイドン事件の際に向かった【芽吹きの森】も、その一つである。


「俺も最初から強かったわけじゃないし、失敗することもたまにあったんだよ。だから、お前の気持ちはよく分かる」

「ヘイガニも?」

「ああ。でもさ、色んなダンジョンに行くうちに強くなっていくことは事実だから…お前も探検隊続けてれば、きっと強くなれるさ」

「ヘイガニ…ありがt」




ピカチュウがヘイガニに礼を言った、次の瞬間だった。

彼女は足元の“トラップ”を踏んでしまい、勢いよく落とし穴に落ちてしまう。


「―――とおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉー!!?」

「うわっ、ピカチュウ…ピカチュウー!!」

「…そういや、ここら辺のダンジョンはトラップも多かったな…あぁでもピカチュウにはいい経験になったかも」

「ギルドもない以上、ダンジョンについては手探りで学ぶしかないだろうからな。…おいピカチュウ、そこでじっとしてろ!」


ちょうど隣にいたピカチュウが忽然と消え、ヘイガニは穴に向かって叫ぶ。

その一方で、オニゴーリとジュプトルは至って冷静…

しかも何気にピカチュウに酷いことを言っていたような、そうでもないような。

とにかくジュプトルは穴に向かって叫ぶと、近くに次の階層に移動するための階段があるのに気付き、真っ直ぐ進む。

ヘイガニは「待て」と声を掛け、ジュプトルを止めようとする。


「待てジュプトル、一つの空間に罠が1個だけとは限らな…」

「―――のおおおおおおおおおおおおッッッ!?」


しかしヘイガニの助言も空しく、ジュプトル…下の階層に真っ逆さま。

ここまで連続して落ちる【ブレイブス】の二人に、オニゴーリは呆れ気味ではあったものの…

こういう事故はゴールドランクの探検隊でも起こりえるので、再び穴に向かって叫ぶヘイガニに言っていた。


「…ジュプトォォォォォォーッル!!!」

「……迎えに行ってやるぞ、ヘイガニ…」

「いや、まあそうなんだけど…つか、2人揃って落ちるってあいつら……運、相当ないんじゃ…?」

「それはあまり言ってやるな」






その頃…

ワイズマンの潜伏する、廃墟にて。

紫のカーテンの奥から、ワイズマンはメデューサの話を聞いていた。


『ほう、ウィザードは【絶壁の岩場】に向かったか…』

『どうするの?今のうちに、新しいゲートを見つけ…絶望させましょうか』

『ゲートを絶望させる作業はケットシーに任せろ。お前には、ウィザードを直接監視してもらいたい』

『監視?』

『そうだ。一応は泳がせておくが…奴の同行を常に知っておくことは、悪いことではない。――他でもないお前が一番適任だろう、メデューサ』


それはまあ確かに、とメデューサは溜息混じりに呟く。

彼女にはゲートを感知する能力がある。

だからこそ、これまで何人ものゲートを絶望させ、同胞を増やしてきた…

しかしそれはワイズマンも同じで、メデューサを生み出して死んだゲートは、彼が直接絶望させた。


『確かに私は、偶然にも指輪の魔法使いの近くにいられる立場…自然と監視できる立場ではある、か』

『決して悟られることがないようにな』

『…お任せを、ワイズマン』






〜〜〜






ピカチュウとジュプトルは何とかヘイガニ・オニゴーリと合流すると、奥地に進む。

が、




「――きゃうんっ!?」

「【転びスイッチ】か…気をつけr、――うおおおおお!?」

「…お前も【突風スイッチ】押してんじゃねーか…」

「あいつら、オレオレ詐欺に引っかかりそうだな…いつか」


「あーれぇぇぇぇぇー…」

「ピカチュウゥゥゥゥゥゥ!!!」

「また落とし穴か!おい、急いで合流……うおおおおおおおおおおお!?」

「お前もかブルータスぅぅぅ!」

「館長、もう俺達も落ちて追いかけよう…階段近くにないし、そっちのほうが早い!」

「くっそ…見えてる罠に直接落ちる苦痛や屈辱がどんなものか、その身に味わわせてやるぜ………主にジュプトルに」

「やめたげてよぉ!?」



「あれっ、電気ショック使えない!?」

「そりゃ、さっきPPが切れる罠踏んでればそうなるわな」

「ピーピーリカバー、1つだけなら持ってるぜ。おいジュプトル、言っておくけどピカチュウの踏んだ後を踏むなよ」

「もう遅い……穴を掘るが使えなくなった」

「「おい貴重な対鋼要因んんんんん!!!」」


「「 」」

「また落とし穴に…落ちやがった…」

「このまま、氷の礫でも落としてやろうか」

「館長やめたげてよぉ!」



「あうあうっ!?なんか振ってきた、痛いの振ってきたー!?」

「毬栗…って、岩場のダンジョンに毬栗スイッチ!?」

「【芽吹きの森】でもよく見かけたな…そして、昔は毬栗を見つけたら、ミライに投げつけられてたよ……本人は遊んでいるつもりだったんだろうが、下手なゴローンの石より痛かったぜ畜生…」

「ジュプトル……お前の言うミライって、何なの…?」

「とにかく…自由な奴だったよ…!」


「Zzz…」

「ピカチュウ寝るなー!!」

「俺の、俺の、俺の情けにお前が泣いたぁぁぁ〜♪」

「ジュプトル、それ、中の人…」

「ララララーラーラーなんて素敵なー、ララララーラーラー文字の並び〜♪」

「それはサトシのジュカインの中の人……つか、お前完全に混乱してるな…」

「皆の力を一つにするクルぅ!」

「ピカチュウ、起きたのはいいけどグルグル床踏んで混乱すんな!中の人ネタ出てるぞ!!」

「プリキュア…ビューティーブリザード!!」

「それジュンサーさん!」

「それサトシのワニノコ!」



「任せとき!ってDo the Action 動き出せば、ダイナ〜ミック!!」

「うわっ、あぶねっ!リーフブレード当たるところだった!?」

「また床踏んだのかよあいつ…リーフブレードがダイナミックチョップにしか見えなかったぞ、本気で…!」

「ミキシトランス…沖田!」

「ピカチュウそれ関係ない!ネタとして関係ない!!」

「お前“菊一文字”でも打つ気か!」

「シャドーキック!」

「確かにガンバライドではあんたがシャドームーンですがー!!」


「スーパーライダー…梅花二段蹴り!!」

「ピカチュウそれスピアー!スーパー1!!沖さん!!!」

「真空…地獄車ァァァ!」

「ピカチュウ…お前、何やってんだ…?」

「「あ、ジュプトルの混乱直った」」

「ZX…キィィィーック!」

「おぶちっ!?」

「ジュプトォォォォル!」

「さて、次はストロンガーか…それとも予想を裏切ってのカブトか…」




主にピカチュウと、それに釣られる形で罠を踏むジュプトルがこのダンジョンの難易度を、更に跳ね上げていた。

ツッコミはヘイガニ、戦闘はほぼオニゴーリと言う形になっていたので…二匹は頭が上がらない勢い。

…特にオニゴーリには、色んな意味で…

とにかく、何とか罠を切り抜け…グルグルスイッチ+突風スイッチを押したピカチュウが「ライダーブレーイク!」と叫びながらヘイガニとジュプトルにぶつかってきたこともあったが、それでも奥地に辿り着いていた。


「……なんか…予想以上にしんどかったのは、何で…?」

「そりゃあ…後ろで“氷の礫”食らって正座してる奴らのせいだろ…」

「「本当にごめんなさい」」


ピカチュウとジュプトルは頭にタンコブを作り、素人にも分かるほど禍々しいオーラを放出させるオニゴーリに頭を下げていたが…

すぐに周囲を見渡すと、ピカチュウは「うわぁ」と声を上げていた。

見渡す限り、石ばかり。

これだけあれば、橋を作る材料にはなりそうだ。


「これ、どのぐらいあればいいの?」

「大きなのを2つぐらいで足りると思うぜ」

「とりあえず、持ち運びやすいようにある程度砕くか」

<ランド、プリーズ ドッドッドドドドン、ドッドッドドン!>


ジュプトルはそう言いながらウィザードライバーを巻き、ウィザード・ランドスタイルに変身する。

彼は早速ウィザーソードガンを呼び出すと、大きな岩に攻撃を仕掛ける。

連続でやるがなかなか壊れず、チッと舌打ちする。

流石に、「頑丈な橋を作るための石材」だけあってか、感嘆には壊れてくれないようだ。



しかしこの中で岩を砕ける可能性があるのはウィザードだけなので、ピカチュウ達は待っていることしかできない…

ピカチュウはその間に、オニゴーリにずっと聞きたかったことを尋ねようとしていた。

だが、それは寸前のところでヘイガニに止められてしまう。


「あの、オニゴ…」

「ピカチュウ。――あんまり人の過去は、詮索しないほうがいい」

「え、でも…」

「気になる気持ちは分かるけど、…なんか聞いちゃいけないことみたいだからさ。だって、あの館長がああいう辛い顔するって……本人にとっても、あまり蒸し返したくない話だろ」


ヘイガニの言葉にも一理あったのか、ピカチュウは少し納得行かないような顔をしつつも…最終的には引き下がっていた。

オーダイル棟梁に言った、オニゴーリの言葉…

“それに…何度壊れても直せるものなら、直し続ければいいじゃないか”

“世の中には、直したくても…取り戻したくてもそうすることができないことなんて、たくさんあるんだ”

あの言葉の意味は、何だったのだろう。

気にはなるが、ヘイガニの言うように、聞いてはいけないことだと思い…ピカチュウは自粛していた。

一方のオニゴーリは、周囲をキョロキョロと見回し、岩を手ごろな大きさに砕いているウィザードRSに尋ねる。


「……おいジュプトル、そこが終わったら…今いる場所から右に4つの場所にある岩を、砕いてくれないか」

「…おい、あんたの言ってる岩、あの中で一番でかい気がするんだが?」

「探検家の勘ってもんかね。…あの岩の奥から、隙間風のようなものが吹いている。もしかしたら……」

「何かある、か。……どうせ石材は必要なんだ、やってやる」




ウィザードRSは1つ目の大岩を砕くと、今度はオニゴーリの言っていた…一番大きな石材を狙う。

流石に、この大きさではウィザーソードガンでは無理だろう。

「だったら」とウィザードRSは右に指輪を嵌め、キックストライクの体勢に入っていた。


<チョーイイネ! キックストライク、サイコー!!>

「…おおおおおっ!」


ジュプトル自身が“穴を掘る”を覚えているせいか、ランドスタイルでのキックストライクはドリルのように回転しながらのキックとなるらしい。勿論、それで地中を掘り進むことも可能…

ウィザードRSは回転するキックを石材の中央に放ち、ガリガリと削り始める。

次第に石材にヒビが入り、トドメとばかりに全力を注いだウィザードRSのキックは……最も大きな石材を砕く。

「やった」と喜ぶピカチュウとヘイガニであったが、その直後に見たものに…目を見開く。

――なんと、大岩の後ろには…隠し部屋に続く穴がぽっかりと開いていたのだ。


「「え!?」」

「やっぱりな。何か怪しいと思っていたら、こういうことか」

「――!待て、あそこにあるのは!!」


ウィザードRSは何かを見つけたのか、一人先に穴の中を進む。

ピカチュウとヘイガニ、オニゴーリが急いでその後を追いかけると…

なんと、そこにあったのは紅く輝く綺麗な結晶。

その不思議な輝きに見覚えのあったヘイガニとピカチュウは首を傾げ、ウィザードRSは「間違いない」と唸る。



「……魔宝石だ。それもこの輝き、…エレメント系…!」

「そ、そうなの?」

「でも言われて見れば、前に見たのと似ているような…」

「…」

「まさか、こんな思いもよらない収穫があるとはな。探検にも行ってみるものか…」


ウィザードRSはそう呟きながら、大事そうに赤の魔宝石を掘り出す。

その際、魔宝石を右腕に抱えながら、オニゴーリに礼を言う。


「……ありがとう、あんたのお陰だ」

「別に、俺は探検家の勘を働かせただけの話だ」

「あ、でも、オニゴーリさんが見つけたようなものだから、これってオニゴーリさんに渡すべきなんじゃ」

「ピカチュウ…お前余計なことを…」

「いや、それはお前らが貰えよ。どうやらジュプトルはそれが欲しかったみたいだし、……俺は…ちょっと苦手なんだわ、その輝き」


そう呟くオニゴーリの顔は、…数時間ほど前、オーダイル棟梁と話している時に見せたあの辛そうな顔。

ピカチュウは「あ」と声を上げ、ヘイガニも気になっていたが…

ウィザードRSは空気を呼んでいるのかいないのか、ピカチュウ達に言っていた。


「――とりあえず、必要以上の材料は手に入ったんだ。さっさとポケモンタウンに戻るぞ」

「もー…ジュプトルって、せっかちなところあるよね…」

「でもまぁ、急ぎなのは確かだし。早く戻って、棟梁元気付けようぜ!」

「だな。……」


ピカチュウはヘイガニから“探検隊バッジ”の使い方を教えてもらいつつ、オニゴーリも含めた3匹で先にポケモンタウンに戻っていた。

ウィザードRSはコネクトリングによる石材の運び出しもあるし、ハリケーンスタイルになれば自力で帰れる。

その際…

ウィザードRSは手に入れた赤の魔宝石を見ながら、呟いていた。




「……あの鬼館長、…」






〜〜〜






ヘイガニはオーダイル棟梁のいる病院に向かい、石材のことを話していた。

オーダイル棟梁の体に外傷はなかったが、精神的なショックを負ったのも事実で、3日ほど病院で安静にしたほうがいい……というのが、ラッキー婦長からのお言葉だった。

しかし「棟梁と一緒に頑丈な橋を作りたい」「棟梁が元気になってものづくりをすることは、自分達だけじゃなく、ファントムを生み出して死ぬ前のクラブも願ってる」と言うヘイガニの言葉が効いたのか…

オーダイル棟梁は元気になってくれたようで、ヘイガニにこんなことを言っていた。


「そうだ、おめぇもそろそろ、何処かの探検隊に入れてもらったらどうだ」

「俺が?」

「お前だったら探検隊としての知識もあるし、社交的だからうまくやってけるだろ。ただし、大工としての仕事を優先できる場所に限るがな」

「探検隊、ねぇ…」




病院の待合室には、ピカチュウが待っていた。

ジュプトルはまだ戻ってきていなかったが、石材は総て運ばれていたため、そろそろ戻ってくるだろう。


「ヘイガニ!オーダイル棟梁、どうだった?」

「結構元気だった。まあ、元々が気さくな人だからなー」

「そういえばヘイガニ、ヘイガニって依頼人の立場だけど…今回の場合も報酬って払わないといけないの?」

「ん?まあ、それがルールだしな」


ピカチュウの話では、今回はムクホークの事前の手続きもあってか、依頼の成功はオニゴーリのものとなっていたが…

報酬は「ヘイガニが依頼した探検隊は【ブレイブス】だから、お前らに渡してやる」ということで、ピカチュウもとりあえずは納得していた。

しかし、ピカチュウも流石にヘイガニからお金を取ることはできないと思っていたので、断ろうとしていたが…

ヘイガニはむしろ、こんな提案を出してきていた。


「依頼の報酬の中にはな、依頼人が仲間になりたいってケースもあるんだ。主に、その探検隊に惚れ込んだパターンでな」

「え、そうなんだ」

「だーけーど、……お前らは俺が惚れ込む腕って言うより、基本的に危なっかしいし常識ないし…」

「あうう!?そ、それは確かにそうだけどー!」

「――だからお前達の探検隊に入ってやるって言ってんだろ。ま、トラブルは確実だけど…一緒にいて飽きなさそうなのは事実だしな」

「ううー、確かに私は………って、え?」



ヘイガニの言葉に、ピカチュウは一瞬膠着する。

…あれ、今の話の流れでなんでそうなるの…?

…え、こういうのっていいの…?

色々と考えるところはあるが、ピカチュウとしても仲間が増えるのはいいことだと思ったのか…大喜びで迎え入れていた。


「え、今、仲間になりたいって言ったの?」

「そうだけど…なんだよ、嫌なのか?」

「――ううん、全然!むしろ、こっちからお願いしたいぐらいだよ!?」

「それじゃ、決まりだな。まあ、基本的に大工の仕事優先でやらせてもらえれば…何だっていいけど」

「うわーい!やったー!!」

「…そんな舞い上がることなのか?」


元気な奴だなー、とヘイガニは微笑ましそうな顔でピカチュウを見ている。

…その直後、病院の先生に「静かに」と怒られ、耳を垂らしながら頭を下げるピカチュウ…

そんな彼女を見て、声を抑えてヘイガニは笑っていた。





その頃…

ウィザードRSは石材を総てポケモンタウン近くの平原に送り、自分もポケモンタウンに戻るべく指輪を変えていた。

ハリケーンスタイルならば空を移動でき、そのスピードもかなりのもの。


「さて、それじゃあ…俺も帰るとするか」

<ハリケーン、プリーズ フー、フー、フーフーフフー!>


ウィザードHSは風の力で宙に浮き上がると、そのまま全速力で移動する。

だが、その後を静かに追跡する一匹の鳥ポケモン。

――オオスバメだ。


「んー、やっぱ俺の眼に狂いはなかったか。それじゃ、スバッと追いかけますか」






***




やっとの5話。

うん、ウィザブレよりネタが固まりづらかった。

と、とりあえずこの話さえ越えれば…執筆できそう…!

困った時の他世界ライダーネタは偉大(特に沖さん神さんつくばん)


ジュプトルw

お前…本当に、館長刺激するの好きだな…

まあクール系同士(一人は残念、一人は鬼)話の合う時は合うんですが、ね。

日常関係で…



ピカチュウw

ジュプトルww

お前ら…罠、踏みすぎだろ…?

でもこの二人のお陰で、ヘイガニとオニゴーリってあんまり罠に掛からなかったんですよねw

ちなみに戦闘はほぼオニゴーリメイン・ジュプトルとヘイガニがサブ・ピカチュウは何とかついて行くって感じ。

まあ、地面・岩・鋼は前回で確定してましたし…

でもちょっとピカチュウ落ち着けw


ここでフレイムのフラグ…だと…

ウォーター!←

お前本当に最後かよー!!←←

あ、ちなみにドラゴンスタイルの順番は、ある程度決まってます…ウォータードラゴン・ランドドラゴンがちょっと不安定なぐらいで。

そして、何気にヘイガニも仲間になりましたね!

うん、あの二人にはツッコミ必須だわ。




次回は…

たぶんポケダン(探検隊シリーズ)を知っている人なら知っている、“あれ”が出ます!