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タイトル未設定 - 30話:鏡銃

📚 目次

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【雪花屋】に戻ったウィザード・ハリケーンドラゴン達。

そこでは、【ゴロゴロ山】での探検活動を終えたばかりのピカチュウとミロカロス、大工の仕事を終えてきたヘイガニとギャラドスも揃っている。

そして…

代表してセレビィが、今の状況を尋ねていた。


「ジュプトルさん!…どうだったの?」

「最悪な状況のままだ。フェニックスが、オオスバメの身柄を確保したままだ…ファントムを生み出すことは絶対ないとしても、最悪、命の危険がある」

「そんな…」

「どうにかならないの!?」

「…そう言っても、相手の居場所も分からない以上はどうすることもできない。相手の出方を待つしかないのが現状だ」


ふう、と溜息交じりに話すジュプトル。

それを聞いたセレビィとピカチュウは、心配そうな顔で互いを見ている…

一方で、リザードンは頭を下に向けたままで、気になったバンギラスが弁慶の泣き所に蹴りを入れていた。


「――しっかりしろ!」

「うごっ!?…お、お前のキック痛い…骨折れる、今絶対折れた……!」

「毎日牛乳飲んでカルシウム摂取してりゃ、そう簡単に折れないだろ。…ジュプトルから『フェニックス』という名前を聞いた時点で、大体理解はできた」

「……」

「お前はどうしてこう、周りが見えないかな…。……まあ、俺も言えた話じゃないとは思うが」


敵を目の前にして、平常心で居られる者はいない…

それはバンギラスもそうだし、ピカチュウももし同じ状況に立たされれば、敵を倒すことを優先しかねないだろう。

ヘイガニやギャラドス、ミロカロスも分からなくはないのか、小さく頷く。

だがバンギラスは、リザードンの背中を(背骨を折りかねない勢いで)力強く叩くと、叱咤していた。



「…過ぎたことはしょうがないんだ、いつまでも根に持つんじゃない!」

「あだっ!?…ぜ、絶対砕けた、背骨絶対砕けた…!」

「一日1本牛乳飲んでる奴の骨が簡単に折れるかっての!――救えなかったことを落ち込むよりも、今度こそオオスバメを助けることを念頭に入れろ。後ろ向きになるな、前を向け」

「バンギラス…」

「……しかし、オオスバメさんを人質にするなんて…あのフェニックスからは考えられないな」

「あ、それは私も思った」


バンギラスの言葉に、元気を取り戻すリザードン。

その横で、ヘイガニはフェニックスの性格からして、人質を取るような面倒なことを好むとは思えないと指摘。

ピカチュウも同意しており、ギャラドスも以前会ったフェニックスの残虐な性格から、むしろオオスバメをゲートである・なしに関わらず直接殺すほうが納得できる。

そうしていると…

セレビィが何かを言う前に、バンギラスが「もしかすれば」と呟く。


「――ひょっとしたら、フェニックスの後ろに…ベルゼバブがいるのかもしれないな」

「「「ベルゼバブ?」」」

「というと…ピクシー・ノートの事件の時に、姿を現した?」

「それから、確か…この前のドワーフを指揮していたのも…ベルゼバブだったよね?」

「ああ。――あいつは恐らく、ファントム側の頭脳労働者(ブレーン)だ…これまであったいくつかの作戦も、奴が関わっているかもしれないな」

「そうね…フェニックスのあの頭の悪さで、あんな作戦が思いつくとは思えないもの」


バンギラス、そしてセレビィの言葉に、ピカチュウ達は納得していた。

だが…

その一方で、ジュプトルは少しばかり疑問に思う部分がある。

――確かに、バンギラスやセレビィの言うように、フェニックスだけで今回の作戦が立てられたとは思えない

――だが、そうなると、もしかすれば…




ジュプトルがバンギラスとリザードンに声を掛けようとした瞬間、ガコン、と何かが投函される音が聞こえる。

…こんな時間に、何の郵便だろうか

そう思ったコータスは手紙を取りに行き、すぐさま戻ってくる。

手紙に貼り付けられていたのは、血のついた紺青の羽根…明らかにこれは、オオスバメのものだ。

ジュプトルはすぐさま手紙を破ると、その内容を読み始めていた。


「……『魔法使い共へ』」



大切な仲間を預かっている

どうしても取り戻したければ、【ビリビリ平原】にある一本の大きな木の前に…18時までに来い

ただし、来るのは古の魔法使いただ一人だ

それ以外の者が姿を見せた場合、人質の命はないと思え


『ゲートだから命の安全は保障される』と思っているだろうが、俺は生憎と気が短くてな

もしも、約束の時間を少しでも過ぎれば…お前たちが約束を破った場合は…その場で殺すかもな?

それじゃあ待ってるぜ  フェニックス



「…明らかに罠ね」

「罠、だな」

「手紙自体、フェニックスのものじゃないね」

「ああ。罠だな」

「罠だと思いまーす」

「明らかな罠だろ」

「罠すぎる」

「いくら馬鹿でも分かる。罠だしこれ、絶対フェニックスの手紙じゃねぇ」

「頭が冷えると冷静なツッコミできるんだな、お前。気持ちは分からなくもないが」


ミロカロス・ギャラドス・ピカチュウ・ジュプトル・オオタチ・オニゴーリ・ヘイガニ・リザードン・バンギラスの冷静なツッコミが、容赦なく放たれる。

しかし、コータスやセレビィも同意できる部分があるのか、何度も頷く始末…

問題は罠と分かった所で、どうすればいいのか。

馬鹿正直に手紙の通り向かえば、ベルゼバブの策が展開される。

だがもしもジュプトル達の同行がばれて、オオスバメが殺されることになれば…それはそれで、問題だ。

しかも、フェニックスと戦おうにも相手に再生スピードは速くなっており、総ての魔力をビーストキマイラが食べきる前に復活し、更に強くなる危険性が高い。


「……勝てる見込みがあるとすれば、この間見つけた“これ”だが…未だに、使い方が分からないんだよな。指輪のほうも、何故かエラーになるし」


リザードンが取り出したのは、古代遺跡で見つけた石(鈍器として使用済み)と新しい指輪。

白い魔法使いでも来てくれれば、使い方が分かるのだが…

うーん、と誰もが頭を悩ませていると、ジュプトルが自分の経験を話し始めていた。




「…俺の場合、ハリケーンドラゴンの力を覚醒させる際、急に意識が遠のいて……そうしたら、自分のアンダーワールドにいた」

「「「アンダーワールドに?」」」

「ああ。……そこで、主にオオスバメが絶対ありえない幻覚を見せられたり…かと思えば、周囲が空になったり密林になったり…とにかく言えることは、ウィザードラゴンが……俺がその力を使うに足る器かどうか、試していた」

「「「…」」」


その話は初めて聞くのか、ピカチュウ達も驚いた様子で聞き入る。

…中のファントムが、魔法使いを試す…

そんな事例もあるのか、と誰もが驚いていたが、より強い力を引き出すというのだからそのようなことがあってもおかしくはない。

早速リザードンも試してみようとするが、……やはりエラーと鳴るばかり。

相当の極限状態でなければ、ビーストキマイラとの対話は不可能なのだろう。

そうしていると、コンコンと強いノックの音が聞こえ、一体誰なのだろうとコータスがドアを開けようとする。


「?誰でしょう…」

「待てコータス、この状況での来客は…」

「ああ。ベルゼバブの危険が高い…ジュプトル、リザードン。お前らが一応出ろ」

「「分かった」」


ベルゼバブの罠かもしれないとヘイガニとオニゴーリがそれを止め、ジュプトルとリザードンが代わりに出て行く。

魔法使いを顎で使える館長何者、とピカチュウが思いつつも…

2匹は扉を開け、周囲を探す。

しかしノックをした相手の姿はなく、ただの悪戯かとリザードンが思っていた。

だが…



<アパレイト、ナウ>

「ん、何だ、今の音…」


リザードンがそんな暢気なことを言っていると、

…突如ジュプトルが自分にウィザーソードガンを向け、銃弾を放っていた。

当然、リザードンは反応しきれず、まともに3発浴びてしまう。

突然の銃声に誰もが驚いて外に出ると、ジュプトルがリザードンを相手に変身している。


「…変身」

<ウォーター、プリーズ スィ〜スィ〜スィ〜スィ〜♪>

「おいっ…ジュプトル!お前、いきなり何を…」

「ジュプトル!一体どうしたの!?」

「もしかして、操られているんじゃ…」

「操られてるって、まさか、…ベルゼバブ!?」


ウィザードWSの行動に、誰もが驚くが…

セレビィの言葉に、「まさか」と誰もが見ている。

しかし、ベルゼバブならばやってもおかしくはないのだ…リザードンも、舌打ちしながら変身体勢を整える。


「…ファントムが約束を守るはずねぇしな!変身!!」

<L・I・O・N、ライオーン!>

<ファルコ、ゴーッ! ファ・ファ・ファ・ファルコ!!>

「……」

<コピー、プリーズ>



空中で、ダイスサーベルとウィザーソードガンがぶつかり合う。

ビーストはすぐさま間合いを取ると、ファルコマントの機動性を生かしてもう一度接近戦を挑む。

だが、即座にウィザードWSは“リキッド”で相手の攻撃を無力化した上で、“バインド”によって拘束する。

こうすればファルコマントの機動性は失われてしまい、一気にビーストが不利になる。

更に、ウィザードWSはウォータードラゴンへと姿を変え、2本のウィザーソードガンでビーストを切りつけていた。

流れるような連続攻撃。

ビーストは勢いよく吹き飛ばされ、ウィザードWDは立ち上がろうとするビーストに厳しい言葉を言い放つ。


「…その程度で、今のフェニックスを倒せると思うか」

「なん、だと…!?」

「今のお前には、迷いがある…心に迷いがある状態では、俺に勝つことすらできない。……キマイラと対話したければ、迷いを…振り切って見せろ!!」

「――言われなくても…やってやるよッ!」

<カメレオ、ゴーッ! カカッカカッ、カメレオ!!>


ビーストはカメレオマントに切り替え、姿を消しながらウィザードWDに接近する。

しかし、ウィザードWDはビーストの居場所を正確に把握しているのか、背後に向けてウィザーソードガンを2本向け、銃弾で狙撃する。

見事にビーストに当たり、またもや弾き飛ばされるが、それでもビーストは立ち向かう。

…この戦いの行く末を、ピカチュウやヘイガニらはハラハラした様子で見守っていたが…

オニゴーリは違和感を覚えたのか、周囲を見渡す。

――そして、何度目かのぶつかり合いで…ビーストにウィザードWDの2連続スラッシュストライクが、直撃していた。



<ウォーター、スラッシュストライク ザバザババシャーン、ザバザババシャーン!>

「――ぐああああああああっ!?」

「「「リザードン!」」」

「…」

「……まだ、だ…。……まだ、終わってねぇ…」

「まだ諦めないか。…どうしてそこまで立ち上がる、復讐のためか」


ウィザードWDの言葉に、ビーストは首を横に振る。

…復讐したい気持ちはある

…だが、それだけじゃ駄目なんだ

…復讐だけに囚われていたら、別の何かを失う


「違う!――いや、違わないけどよ…確かに俺は、フェニックスが憎い。何としても、この手で倒してやりたい……だが、それだけじゃ駄目なんだ」

「……」

「俺があの時、憎しみに囚われずにオオスバメを助け出せていれば!あいつが人質になることもなかった、こうして状況が悪くなったりしなかった!!」

「…」

「俺は何としてでも、オオスバメを助け出す…罠でも構わない!俺のせいでこんなことになったのは事実なんだ、だから、――何としてでも助け出さなくちゃいけないんだよ!!」


そう言って、ビーストは例の指輪を取り出す。

まだ、一度も変身を成功させたことのないものを、ここで。

ピカチュウやギャラドスは無茶だと叫ぶが、それでもビーストは退かない。

ここで退けば、ウィザードWDすら操られたままだ。それでは何も変わらない、何も守れない。


「オオスバメを助けだす…ジュプトルの洗脳を解く……それができるのが、今、俺だけなら…キマイラ……お前の力ッ!俺に貸せぇぇぇぇぇッ!!」





指輪を差し込んだ瞬間、ビーストの意識が遠のく。

…そして、気がついた時には…

真っ暗な空間で、リザードンの姿に戻っており、更に目の前には……ビーストキマイラが立っていた。


「お前…キマイラ!」

『極限状態を経て、ようやくここまで来れたか』

「ようやく試してくれる気になった、ってか。…こっちはいつでも戦えるぜ」

『ほっほっほ。気の強い奴だ、しかしワシとしてはあまり面倒なことはしたくないのだ。時間もないしな』

「…お前、それ、結構メタだぞ…?字数的な意味で」


――つか、魔力がなくなれば俺の命を食うくせに、のんびりした奴だな…

そんなことを思っていたリザードンだが、ビーストキマイラは目を細めながら、彼に尋ねていた。


『お前さんと話すのは初めてだから、一応聞いておくとするかの。……後悔はしていないのか?』

「何?」

『説明はあったはずだ。ワシの力を使えば、ファントムを食べ続けなければ自分の命が食われる…』

「ああ、バンギラスから聞いた」

『…お前さん達のしていることは、ファントムを減らす行為。それが何を意味するのか…そう、ファントムを最後の1匹まで倒せば、自然発生しない限りファントムはいなくなり…お前が死ぬのだぞ』


更に、ビーストキマイラは…

生と死を繰り返すフェニックスを倒して、その魔力を食べたとしても、その魔力が永遠にキマイラの中で循環し続けるわけではない。

復活能力を持ったファントム1匹を食べた所で、所詮、“1匹分の魔力”でしかない。

結局のところ、ファントムを倒し続けることでしかリザードンの命を繋げないのだ。



『フェニックスを倒したとして、永遠の魔力を手に入れられるはずはない。復活するのは、フェニックス個人の能力…ワシに食われて魔力だけ吸収されて、その中で復活できるはずがないのだ』

「……だろうな。そして、だから“ビースト”は作られた」

『お前はファントムを食べ続けなければ生きられない、だが、今しているのはファントムを減らす行為で、自分の命のことを考えるのならば……本当は、増やすほうに加担するべきではないのか?』

「――はっ!まさかお前、俺がいつ命を落とすか怯えてるんじゃないか…とか思ってないよな」

『ほう』

「見くびるなよ。俺は既に一度…ゴウカザルを失ったあの日に、死んだも同然なんだ。今更、死を恐れるはずがない」


それに、とリザードンは拳を握り締め、言い放つ。


「それに、俺は元々探検隊。どんな危険に晒されたとしても、命を懸けて…困っているポケモンのために戦う」

『…』

「そんな俺が、他のポケモンを困らせるようなファントムを放っておくわけねーだろ。……俺は戦い続けるぜ、自分の命が尽き果てるまで…それが俺の覚悟だ!」

『―――ほっほっほ!本当に面白い…ならば、お前の覚悟を見守るとしよう……そして、いつかお前のその強靭な命を食える日が来るのを…口を開けて待っておるわ』





――次の瞬間、光がビーストを包み込み…新たな姿になる。

それと同時に、ウィザードWDに掛かっていた洗脳が解除され…周囲を見渡す。


「……俺は、…一体何が…?」

「ジュプトル!…覚えてないの…?」

「で、でもよかったー…操られていたとはいえ、お前らが戦い続けるのって心臓に悪いよ…」

「ああ、…しかし、あのビーストの姿は…まさか……」


ジュプトルはワケが分からないながらも変身を解除し、ビーストの新しい姿を見ていた。

本人も、その姿とジュプトルの洗脳が突然解けたことに戸惑っていたようで、何度もきょろきょろしていたが…

これでフェニックスと戦えると、変身を解除し…リザードンは翼を広げる。


「…約束どおり、俺が一人で行く。時間も少ないしな」

「……頼んだぞ、リザードン」

「おうよ!」



【ビリビリ平原】に向け、空を飛ぶリザードン…

そんな彼の姿を見送りながらも、オニゴーリは「まさか」と思っていた。

そして。

――雪花屋の屋根の上には、白い魔法使いが立っていた。

その右手には、先程ジュプトルを操った“アパレイト”リングを指に填めた状態で。


『…眠れる獅子が、ようやく目覚めたか』






〜〜〜






【ビリビリ平原】…

約束の場所では、一本だけある大きな木にオオスバメが縛り付けられている。

周辺に住む野良ポケモンは、フェニックスのオーラに気圧されたのか、怯えて半径3km以内に近寄ってこない。

そうしていると、空を切り裂くように一つの影が現れる。

――リザードンだ。


『よぉ、約束どおり来たか』

「ああ…お前との決着をつけてやる。そして、……オオスバメは俺が助ける!」

<L・I・O・N、ライオーン!>


リザードンはビーストへと変身し、フェニックスもカタストロフを構える。

更に…

リザードンは例の指輪を取り出し、左手に填める。


『…その指輪は!』

「俺の…新しい力、――誰かを守るための力だああああああッ!」

<ハイパー、ゴーッ! ハイハイ、ハイ、ハイパー!!>



ビーストにビーストキマイラのオーラが重なったかと思えば、体は青く変色し、両腕には金色のフリンジが出現する。

――仮面ライダービースト・ハイパー

体内のビーストキマイラの力を現実世界でも引き出せるようになり、戦闘能力が向上する姿だ。

更に、ビーストハイパーが構えた石のような物は変化し、その外面が剥がれていく。

露になったのは、鏡を備えた黄金の銃。

これこそが鏡面獣銃“ミラージュマグナム”の、本当の姿だ。


『新しい姿、だと…!?姿が変わったからって、どうだって言うんだ!』

「そっちこそ。何度も復活した所で、頭までよくなるわけじゃねぇんだな!」

『何だと!?』

「来い!徹底的に…相手してやるよ!!」


ビーストハイパーの挑発に乗ったフェニックスは、カタストロフを構え、接近戦に持ち込む。

だが、間合いに入られる前に、ビーストハイパーはミラージュマグナムを使っての遠距離戦を行う。

銃を使うのは初めてだが、ウィザードがよく使っている姿は見ているので、大体の扱いは分かる。

「くそっ」とフェニックスは舌打ちしながら、炎の弾丸を放つが…ビーストハイパーはフリンジフリンガーを巧みに使い、炎を完全に振り払う。

そのまま左手にダイスサーベルを構えた状態で、剣と銃の遠近に対応できる戦いを始める。

――その様子を高台から眺めていたベルゼバブは、「ふむ」と呟いていた。


『このままフェニックスに死なれるのは惜しいからな。…少し手助けをしてやるか』


そう言って、ベルゼバブが目を向けたのは…巨大な大岩。

彼の転移能力を応用すれば、これをビーストハイパーの頭上に落とすことが可能。

流石に目の前で仲間が死ねば、オオスバメも絶望してくれるだろう…

そう思いベルゼバブが岩を落とそうとした次の瞬間、――その動きを止める者がいた。



<チェイン、ナウ>

『…なっ!?一体、何が…』

「一体何がと言われたら…答えてあげるが世の情け」

『貴様は!』

「通りすがりの仮面ライダーメイジ、シュシュッと参上!」


そう言ってベルゼバブの前に現れたのは、――4人目の魔法使い…メイジ。

想定外の相手の登場に「何故ここに」とベルゼバブは驚いたように叫ぶが、メイジは暫く考えた後…

ライドスクレイパーを呼び出しながら、ベルゼバブに言い放っていた。


「何故って言われても…あんたが偶然、こっちの通る道にいたからなあ」

『…ふざけた真似を。まあいい、この場で問おう…お前はウィザードやビーストの仲間か?』

「確かに似てはいるけど…最初に魔法使いになったのは、……別にいるとして…世界で二番目に魔法使いになったのはこっちが先だから」

『……何?』


“二番目に魔法使いになったのは自分”

そう言い放つメイジに、ベルゼバブは疑問が尽きない。

…白い魔法使いが最初だというのは分かる

…だが、二番目に魔法使いになったのは、ウィザードではないのか?

…だとすれば、奴はいつから魔法使いに

ベルゼバブは即座に転移術で鎖から逃げ出すと、光の弾でメイジを攻撃。

対するメイジも、ライドスクレイパーで攻撃を受け流した後、その鋭い切っ先をベルゼバブに突き立てていた。




――ビーストハイパーとフェニックスの戦いは、佳境に入っていた。

フェニックスはダメージ覚悟で相手の銃弾の中を突っ切り、大振りに剣を振るう。

だが、ビーストハイパーはその攻撃をフリンジフリンガーで防御し、もう一方のそれでフェニックスの体を拘束する。

そして…

そのままミラージュマグナムをフェニックスの胸に当て、至近距離からの攻撃を試みるつもりだ。


『なっ…!?テメェ、何を…』

「この間、頭を使えって白い奴から言われてな。……俺なりに考えてみたんだよ…どうすれば、お前が再生する前に先にキマイラが魔力を総て食いきれるか」

『あぁ!?そんなこと、できるはずが』

「出来るんだよ!……距離が開けば開くほど、魔力を食べきるのに時間が掛かる…だったらいっそ、お前に接近できるギリギリで倒せばいいってな!!」


…距離が開けば、フェニックスのほうが先に復活する

相手の再生より早く魔力を吸収するには、自らのダメージをも厭わず、トドメを刺すしかないのだ。

白い魔法使いはかつて、ビーストにこう言っていた。

『奴を倒したいのなら、力を求め、知恵を振り絞り、勇気を持って困難に立ち向かうこと』

力とは…ビーストを新たに進化させるもの。ハイパーリングと、ミラージュマグナム。

知恵とは…何度でも再生する相手を、どうすれば自分が先に吸収できるか考えること。

そして勇気とは。――考えた末の結論を、自らの危険を冒してまでもその引き金を引く…決断力。


『そっ、…そんなことできるわけがねぇ!デカイ一発を叩き込めば、どうなるか自分で…』

「悪いけど、まだ最大の攻撃がどんなもんか知らなくてな!――押して知るべし、ってやつだ!!」

<マグナムストラーイク!>

『そんな…馬鹿なッ!?』


ビーストハイパーは左手に填めた指輪を開き、ミラージュマグナムに差し込む。

そして、鏡からビーストキマイラの幻影が現れたかと思えば、フェニックスにその巨大な幻影がぶつかり…大爆発を起こす。

自らへのダメージを覚悟しての、超至近距離からの一撃。

ベルトはフェニックスの魔力をその場で総て食らい尽くし、――フェニックスは完全に食われた。



『…!まさか、フェニックスが完全にやれれるとは……!!』

「あっ、逃げた!…まあいっか、去る者追わずってね」


フェニックスの完全な死を知ったベルゼバブは、姿を消す。

メイジは「あっ」と叫んだものの、逃げた相手の深追いはしない性分なのだろう…

自らもライドスクレイパーに跨り、どこかへと向かっていた。

その間に、ビーストハイパーはオオスバメの元に向かい、彼を助け出そうとする。

だが


「………ぐぅ…ぐぅ」

「こ、こいつ、……寝てやがる…!」


どんだけ能天気なんだよ…!

そんなことを思いながらも、ビーストハイパーは変身を解除し、ポケモンタウンに戻っていた…






〜〜〜






フェニックスによって大怪我をしたオオスバメは元より、0距離射撃という某ギャレンのようなことを仕出かしたリザードンも、当然酷い怪我。

戻ってきて早々コータスとピカチュウに叫ばれ、ヘイガニによって2匹纏めて病院に叩き込まれた始末。

オオスバメの翼に関しては、刺された場所がよかったのか、全治3週間で済み…治り次第、スピード・デリバリーの仕事に復帰できるらしい。

ちなみに、リザードンは退院に3日掛かるぐらいで済んだ。



この日、オオスバメの見舞いにヨルノズクとムクホークが訪れ…

ヨルノズクは、脅されていたとはいえ危険な目に遭わせたことを、謝罪していた。

そもそも、オオスバメの治療費もヨルノズクが出してくれたそうで、オオスバメは「そんな」と怪我していない方の翼を横に振っていた。


「――すまなかった。私がもっと、後のことを考えていれば、こんな…」

「いやいや、元々は俺が自分で招いた結果ですし。それにヨルノズクさんが俺の治療費を出してくれたって、この間館長から聞いて…むしろこっちが申し訳ないですよ」

「だが、私は嘘を」

「何言ってんですか、子供のためを思うなら…間違ってないです!でも嘘でよかったですよ。本当にフェニックスがヨルノズクさんの知り合いだったら、どう話していいのか俺も分かんなかったし」


あはは、と暢気に笑うオオスバメに、ヨルノズクはもう何も言わなかった。

『責任を負う必要はない』

『だから、自分を責めないでほしい』

そう言ってくれているのだと理解し、その優しさに…救われていた。

ムクホークもそんな彼らを見て微笑み、ちゃっかり病室に忍び込んでちゃっかり桃を食べていたオオタチの頭を、軽くぺしっと叩いていた。


「はいそこ、勝手に食べないの」

「たちぇーぃ…−ε−」





その頃、【雪花屋】。

オニゴーリは古いポケモン通信を読みながら、考えていた。

…この間ジュプトルを操ったのが、白い魔法使いだとしたら

…まさかとは思うが、ありえない話でもない

…だがそうなると、“あれ”を仕組んだのは


「……もしそうだとしたら、…どうして……!」


彼が見ていたポケモン通信は、1年ほど前のもの。

そして、その内容とは…

『【灼熱火山】にある炎ポケモンの集落地で、大量の自殺者が出た模様』

『原因不明の事態で、生き残ったポケモンもその殆どが廃人化している状態』

『また、この事件で行方不明者が出ており』――






***




遂にビーストハイパーの登場です!

…しかし…

ジュプトルのハリケーンドラゴン回でも、ウィザードラゴンにその殆どを奪われ…

ビーストハイパー回に至っては、覚醒自体はジュプトルとの戦闘(※原因は白魔)で覚醒し…

フェニックスって結構踏んだり蹴ったりだな。

自分の戦闘に尺が裂かれない、という意味で…


骨と牛乳コントw

フェニックスの扱い酷いなwまあ確かに、あいつの頭じゃ普通考え付かないんだけどww

そして、手紙を読む係はジュプトルなんですか…

まあ、あのせっかちだからしょうがないか…

しかもフェニックスに対して容赦ないな、お前らw ミロカロスやギャラドスまでww



ジュプトル操られやがってw

…でもこれ、何かの伏線っぽいですよね。

ちなみに、ハンドル(操る)とアパレイト(操作)…どっちにしようか迷ったんですが、文字の流れが一番よさそうだったのを選びました。

ビーストキマイラは……爺ちゃん臭いw

実際爺ちゃんですが。

でもキマイラ爺ちゃんの言ったことって、ビーストにとっては現在進行形で考えなければならないことなんですよね。

最終的にファントムの殲滅を目的とする以上、キマイラ爺ちゃんに食べさせる餌が必然的になくなり、リザードンの命が食われるしかない…

最後に残る魔法使いの中に、ジュプトルorメイジがいれば、キマイラを食べてリザードンを解放することも可能なんですが。


メイジw

色々混ざってるんじゃねぇかよww

ロケット団かディケイドかハリケンジャーか、どっちかにしてくれ!www

そして、0距離射撃…キター!

そりゃそうですよね。距離が離れていればいるほど、吸収するのに時間も掛かるわけなんですから。

しかし、メイジが2番目に魔法使いになったということは…

当然白魔が最初の魔法使いだとして、メイジ>ウィザード>ビースト…になるんですね。

あれ?ビーストのほうが4人目の魔法使いなんじゃないかよ!

なんだ、このスイートプリキュア方式!!(本編の流れじゃメロディ&リズム>ミューズ(黒)>ビート>ミューズ(黄)だけど、実際の時系列じゃミューズ>メロディ&リズム>ビート)




次回は…

地味に鬼畜な能力が出てきます。

……あ、ちなみに今回のタイトル、【ミラージュ】と読みます。