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タイトル未設定 - 53話:凍てつく世界

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53話:凍てつく世界

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ワイズマンの襲撃により、炎上するポケモンタウン。

ギャラドスやミロカロスは消火活動を続け、ポポッコはまだ動けるポケモン達の避難誘導をしている…

建物の殆どは崩れ、その瓦礫の下敷きになっているポケモンも何匹かいるのか、主にオーダイル棟梁の率いる大工衆が救助活動を行っていた。

今現在は建物の下敷きになっていたポケモンをキングラーとカイリキーが救助し、運び出していく姿。

苦手な炎の中で行動し続けるのはポポッコにとっては苦痛ではあるものの、自分が動ける以上は避難誘導に全力を注がなければならない…

そうしていると、「多い」と彼女に声を掛けて来る者がいた。

…同じポケモン通信局で働く、ウソッキーだ。


「おいポポッコ!お前まだこんな所にいたのか…」

「ウソッキー。そうだ、通信局の人達は大丈夫なんですか?」

「俺含め、運よく全員出払っていて無事だったよ。…それにしても、一体何なんだよこれは…まるで世界の終わりじゃないか」

「…、……かなりヤバめのファントムが襲って来たみたいです。目的は分かりませんが、ここまで派手にやる辺り…直接ポケモン達をゲートか否か関係なく絶望させに来たか、もしくは自分の力を見せつけに来たか」

「ま、マジかよ…そんなヤバいファントムが、まだ残ってたって言うのか…!?」

「そんなヤバいファントムだからこそ、他のファントムたちも従っていたし…自分から動くことはしてこなかったんですよ」


ポポッコはぐっと赤く燃えるような空を睨みつけながら、言い放つ。

――自分達の、ポケモン達の住む町

――魔法使い達の拠点でもあるこの町を潰しに来たということは、【賢者の石】の候補となるポケモンを絶望させに来た

――今になってそれをしてきた理由を考えるならば…

ポポッコは様々な可能性を瞬時に考えてはいたが、それらを口に出すことはしない。

この状況で『創造神でもあるアルセウスが死んだのを見計らって来た』だの『ジュプトルをファントムの同法にするため』だの言ってしまえば、逆効果だ。

最悪、ジュプトルが…そして【ブレイブス】がポケモンタウンを追われる事態を作りかねない。

それにアルセウスが死んだ、などと言う話をしても信じてくれるかどうか分からない上に…仮に信じたとしても、余計に混乱を生みかねない。



ポポッコとウソッキーが話し込んでいると、そこへギャラドスがやってくる。

その長い胴体にはサーナイト保育所の子供達を乗せており、どうやら今から彼らを連れて避難するようだ。



「お前ら、まだ避難してなかったのか!保育所のチビ達は全員いる、もうすぐここも火が回るぞ!!」

「ギャラドスさん!」

「確かに、結構ヤバくなってきてるな…ポポッコ、お前草タイプだろ。避難活動はほどほどにして燃える前に逃げとけ」

「言われなくてもそうさせてもらいますよ…自分が死んだら元も子もないですもん」

「うう…こわいよぉ…」

「せんせぇ…」

「大丈夫よ。大丈夫…」


サーナイトはあまりの恐怖に震える小さなピィを優しく抱きかかえながら、他の子供達も一緒に宥めている。

本当なら彼女も、いきなりこんなことになって恐怖を感じているに違いない。

しかし、自分が恐怖を見せてしまえば子供達はそれだけ不安になってしまう。親を持たない孤児達にとってはサーナイトは母でもあり、親を持つ子供達も保育所に預けられている間は彼女がもう一人の母親なのだ。

子供達のためにも、気丈に振る舞うしかない。

そんな彼女の心情を察してはいるものの、ここで言ってしまっては彼女の頑張りが無駄になってしまう。

そう思ったギャラドスはサーナイトに何も言わず、急いで安全な場所まで避難していた。

今現在、安全な場所は雪花屋付近。

殆どの住人達は雪花屋近くの森におり、怪我人は雪花屋の一室を借りてラッキー達が治療している。

コータスも救急箱やオレンの実などを持って来てそれに協力しており、次々と運ばれてくる怪我人にはオニゴーリの代わりに的確に対応していた。


「ありがとうございます、コータスさん」

「いえ、ここにオニゴーリさんがいればきっとそうしたでしょうし、何より怪我人の休める場所は必要ですから」

「…その館長は今、どちらに?」

「あの方は今…援護に向かっています」

「…援護?」






〜〜〜






その頃…

ファントム達の本拠地では、マニューラが苛立ちを見せていた。

彼女の正体は、ファントム・ゲルダ。

強力な力を持った氷のファントムで、ひとたび力を解放すれば周囲を氷漬けにするほどの力を持っている。

その傍にいるニューラは同じく氷のファントムのサイアで、振れたものを氷漬けにし…その力は炎タイプのポケモンの力でも自力で破ることはできないと噂されているほど。

この2体を生み出したゲートは姉妹揃って絶望し、その兼ね合いかコンビを組んで戦うことが多い。

…が、ゲートに血の繋がりはあってもファントムにはないためか、あくまで『仕事上のパートナー』と言う冷めた関係に落ち着いている。


「あら、どうしたのゲルダ?不機嫌そうね」

「サイア…実は先程から、ワイズマンの姿がお見えにならないのだ」

「そういえば…ワイズマンが出歩くなんて、随分と珍しいことがあるものね」

「ああ…」

『――ワイズマンなら戯れに向かったようよ』


そう言いながら闇から現れたのは、メデューサ。

そんな彼女の姿を見て、マニューラもニューラも訝しげな顔を見せる…

メデューサの事をそもそも信用していないどころか、信頼や信用といった言葉などファントムの中には存在しない。

例外があるとすれば、ワイズマンぐらいだろうか。

しかしワイズマンの目的に賛同しているファントムなど少数で、彼に従っている理由など「力が強すぎて逆らえない」「誰かがワイズマンを倒した後でファントムの長として台頭するため」でしかない。

…だがメデューサは知っている。ゲルダがワイズマンに従っている理由が、自分と同じであることを。

だからこそ、何をどうすれば彼女が動くのか…手に取るように分かるのだ。



「それがどうした。貴様の言葉など信用すると思ったか」

『あら…分からない?ワイズマンが戯れに向かったのは、ポケモンタウン…魔法使いたちの本拠地よ』

「ふん。ワイズマンが魔法使いなどにやられるはずがないだろう」

『そう言い切れるかしら。――黄昏の魔法使い…あのデュラハンを圧倒的な力で倒したあの魔法使いが相手でも、ワイズマンなら心配いらない…そう言い切れる?』

「…貴様が何を言ったところで、私達には関係がない。失せろ!」

『そう…分かったわ。私は勝手に動くわけにはいかないから、素直に引いてあげるけど…それでもしワイズマンが倒されでもしたら、あなたはどうするのかしら』


そう言い残すと、メデューサはくすくすと笑いながら去っていく。

彼女が去ったその後で、ゲルダは本来の姿を見せると氷の槍を先程までメデューサが立っていた場所に突き立てる。

――メデューサの言うことなど聞く耳持つだけ無駄

そう言ったゲルダではあるが、黄昏の魔法使い…ソーサラーは相当な力を持っていると聞く。

それこそ、これまでの魔法使い達を圧倒するほどの力はあるという…

となれば、【万が一】が十分にあり得るのだ。

万が一にでもワイズマンを失うようなことがあれば、ファントム達は好き勝手に暴走するだろう。そんなことは、彼の望みではない。

何よりも…彼女自身がワイズマンの死を望んでなどいないのだ。


『…メデューサァ…!』

「あらら、お怒りみたいねゲルダ…どうするの?メデューサの言うことは信用するだけ無駄よ?」

『…あのお方に限ってそのようなことはありえない、だが、――様子を見に行く。場合によっては魔法使い達を始末すべきだろう』

「うふふ…りょ〜かい♪」





ポケモンタウンの中心地では、ワイズマンとソーサラーによる激しい戦いが繰り広げられていた。

ソーサラーはディースハルバードを軽々と振り上げ、ワイズマンに向けて鋭く一閃。

しかしワイズマンは瞬時の判断でそれをかわし、闇の弾をソーサラーに放つ。

それらは総て“リフレクト”によって跳ね返され、続けてソーサラーは“チェイン”による拘束を行う。

氷の戒めがワイズマンの左足を捕え、仕方ないという顔をしながらワイズマンは黒い闇の剣を作り出し…向かってくるソーサラーの攻撃を受け止める。

そのまま激しい鍔迫り合いに発展し、動きを止められているワイズマンの方が不利であるにもかかわらず…ソーサラーと互角の戦いを繰り広げていた。


『クク…言うだけはあるな。他の魔法使い達と違って、簡単にはやられないか』

「借金馬鹿と牛乳馬鹿と正真正銘の馬鹿の三馬鹿トリオに劣るほど、腕は落ちちゃいないんでな」

『だからこそ、勿体ない…ファントムの力を完全に開放すれば、唯一無二の力を手にすることができるというのに!』


そう言い放つと、ワイズマンは禍々しいほどのオーラを纏い、その勢いによって自力で氷の鎖を壊す。

「マジかよ」とリザードンが叫ぶと同時に、ワイズマンは闇の槍を雨のように降らせる…

ソーサラーはそれらを全てディースハルバードで弾くが、その間にワイズマンが接近し鋭い切っ先を突き立てようとしていた。

しかしソーサラーの腹に槍が突き立てられた瞬間、その肉体が花弁となって散る。

刹那、ワイズマンは素早く後ろを振り返り防御の構えを取る。――そこには背後から斧を振り上げるソーサラーがおり、その一撃で闇の剣は真っ二つとなっていた。

――その指には、本来ウィザードが所持している筈の“フラワー”ウィザードリング。

恐らく、先程の戦いで落としたのであろうそれを拾い、使えるかどうかは定かではなかったが…形勢逆転のための手段としたのだろう。


『…成程、ドライバーが違えば同じリングでも効果が異なるのか』

「チッ、その判断力の良さと言い面倒な言い回しといい…エスパータイプか。お前のゲートは」

『ゲート…ゲートか。私にはもはやゲートなど存在しない』

「何?」

「どういう…ことだ…?」

『私はファントムになる前から、“こう”なのだよ』



ファントムになる前からこうだった…

ワイズマンの発言に戸惑うものが多い中、ジュプトルはバンギラスの体を借りて立ち上がりつつ、ワイズマンを睨みながら言い放つ。


「――生前のゲートの自我を持ったまま、ファントムになっている者は自分とワイズマンぐらい…そうオオタチが言っていた。だとしたらこいつも…ゲートの人格や性格、考え方が一致しているんだろう」

「た、確かにそんなこと言ってた気がするが…」

「…ってことはこいつ、ゲートの頃からマッドで猟奇的なゼツボー病症候群だってことか…?」

『そうだな…そうなっても仕方がないほどの長い間、私は人に飼われていた。人の作った人工的なポケモンとして…な』

「「「人工的に…?」」」


人工的にポケモンを作り出す。

そのようなことが本当に可能なのか、とヘイガニたちはジュプトルを見ていた。

基本的な常識に関しては壊滅的なジュプトルだが、人間の常識に関しては人間であるミライと行動していたことから詳しい。

しかし…

そんなジュプトルであっても、人が人工的にポケモンを作り出そうとしていたなど、聞いたことがないのだ。

知らなくとも無理はない、と言わんばかりにワイズマンは静かに語り始める。


『私はミュウという幻のポケモンの睫毛が偶然とある遺跡から採取されたことにより、人工的にミュウを作り出そうという試みの元…産まれた。冷たく暗い、培養液の中でな』

「「「…」」」

『普通のポケモンはタマゴから生まれるのだろう?随分と羨ましいものだよ…卵から生まれるまで貴様達は親に保護され、産まれて来る……しかし私は違う。生まれた時から私は、実験台でしかなかった。ミュウを作るための、ミュウの力を持った最強のポケモンを作り出すためのな!』





しかし…

ワイズマンの話の途中で、ジュプトルは急に体が冷えるような感覚に襲われる。

それはヘイガニやバンギラス、炎タイプであるはずのリザードンも同じ。

だが氷タイプであるソーサラーはこれがただのポケモンによる冷気ではないことを瞬時に察し、ワイズマンは「まさか」と呟く。

そうしていると、――何の前触れもなくオオスバメとヨノワール・リザードンが氷漬けになる。

それを見たブイゼルはライドスクレイパーでヨノワールの氷を砕こうとするが、少しも削ることができない。

バンギラスも強力なストレートパンチをリザードンの氷に放つが、効き目はない。


「くそっ!?なんだこれ…どうなってるんだよ!」

「ぐっ…意外と固いぞ、これ…」

「館長…」

「俺なワケあるかこの借金魔王!」

『この冷気…気配、まさか…』

『――ワイズマンッ!』


その声が聞こえてくると、周囲を包んでいた炎が冷気で掻き消えたかと思えば…ポケモンタウン中が氷の町と化していく。

それは火の勢いよりも遥かに早く、結果として火は鎮火したが代わりに猛烈な吹雪が町を襲う…

その吹雪の奥から現れたのは、ゲルダ。

その後ろからはサイアが現れ、彼女達の姿を見たワイズマンは溜息をついていた。


『…やはり、お前達か。待機していろと言ったはずだが』

『万が一のこともあります。ここは私達にお任せを…魔法使いなどこの場で総て、倒して御覧にいれましょう』

『私は純粋に、戦いたいだけだけどね〜。と言っても、戦えそうな魔法使いは…1人しかいないかぁ』

「次から次へと出て来るんじゃねぇよ…」

「くそっ、全然壊れねぇ…リザードンさん!あんた炎タイプだろ、意地見せろ!!おーい!!!」

『無駄よぉ、ムダムダ。私の氷は一度氷漬けにしちゃったら、簡単には砕けないんだから』



サイアはそう言いながら、今度はヘイガニを凍らせようと目を光らせる。

だがその前にソーサラーが“エクスプロージョン”でサイアを攻撃し、ヘイガニは事なきを得ていた。

もおっ、とサイアは頬を膨らませながら氷の薙刀を構え、ゲルダは鋭い氷の槍を構えながらジュプトル達に言い放つ。

――そして次に彼女が槍で示した先にいたのは、氷漬けになったピカチュウとミロカロス…


「…ピカチュウッ!?」

「ミロカロスさんまで!まさかお前らが…」

『さあ、武器を置け黄昏の魔法使い。貴様とて仲間の命は惜しいだろう!』

『早くしないと…この子たち、粉々に砕けちゃうわよぉ?サイアの能力は凍り付いた相手に干渉し、直接砕いちゃう……流石に大事な仲間を、バラバラになった姿で見たくないでしょ??』


――“それこそ、裏切り者のペガサスみたいに”

サイアのその言葉に、オオタチの最後を思い出したジュプトルが拳を握り締める。

しかしワイズマンとの戦いの傷が、そしてファイナルスタイルに変身した時の反動が大きく、変身することすらできない…

ブイゼルやバンギラス、ヘイガニも手を出すことはできず、ソーサラーはチッと舌打ちをしながらディースハルバードを置く。

ワイズマンはと言うとサイアとゲルダの乱入で興が削がれたのか、テレポートでこの場を既に後にしていた。


「…はあ。これでいいだろ」

『まだだ…今度は変身を解除して、こちらにベルトを投げてもらおうか』

「……館長、変身解除したらベルト投げられないんだが…」

「一応館長、オニゴーリだからな…レジアイスとかフリーザーとかキュレムとか、その類じゃないからな…?」

『揚げ足盗らなくていいのよ、もぉ〜!』

『どうでもいい、さっさとしろ!』

「別にそれでもいいんだがな、――後悔しないんだな?」




ソーサラーはそう言うと変身を解除し、ヘイガニがチェンジリングと白い魔法使いドライバーを回収する。

そしてそのまま、ゲルダ達にドライバーを渡すかに思われた…

が、次の瞬間ヘイガニは“クラブハンマー”で地面を攻撃し、周囲に水飛沫が飛ぶ。

僅かに発生する水飛沫。それだけでオニゴーリには充分だった。

瞬時に飛び散った水飛沫が鎖のようにゲルダとサイアを拘束し、それをチャンスと見たジュプトルとバンギラスがスライディングキックで彼女達を転ばせる。

その間にピカチュウとミロカロスを確保し、ヘイガニは素早くオニゴーリに白い魔法使いドライバーを取り付ける。


『きゃあっ!?』

『ぐうっ!…き、貴様ら…』

「――悪かったな。オニゴーリって種族は、空気中の水分を瞬時に凍らせ自在な形にすることができる…テメェらとは氷を操る年季ってのが違うんだよ!」

「あー、良かった!うちの館長味方でよかった!!ただ館長、生意気なこと言うけど自分でベルト付けられるようになってから言ってくれよな!?」

「ヘイガニ、それは無理。…オラジュプトル、テメェまだ動けるなら気合い入れろ馬鹿魔法使い!」

「ごふっ!?」


続けて、味方に氷の礫を打つ暴挙を行うオニゴーリ。

もはや氷の暴君である。

ジュプトルは後頭部に大きなたんこぶを作りながらも、必死で手に×を作る。

何とかピカチュウ達を助けるために力を振り絞りはしたものの、草タイプにはこの極寒のポケモンタウンは相当堪えているようで、ワイズマンとの戦闘のこともあってか変身まで出来そうにはない。

あの野郎、と悪態をつきながらも最低限のことはしてくれたので良しとし、ヘイガニが頑張ってベルトを動作させている状態で言い放っていた。


<シャバドゥビタッチ、ヘンシーン♪ シャバドゥビタッチ、ヘンシーン♪>

「本物の絶対零度を味わわせてやろうか…変身!」

<チェンジ、ナウ>

「――冥途で…懺悔しな!」

『こっの…別売りのヘイガニ必須の魔法使いの癖に!』



サイアはそう言いながら氷の拘束を解くと、薙刀でソーサラーに斬りかかる。

しかしディースハルバードを瞬時に回収したソーサラーによってその一撃は止められ、腹を蹴られ大きく後退する。

ゲルダも氷の拘束を解くと、氷漬けになっているピカチュウ達を自身の能力で砕こうとしていたが…“ブラスト”の魔法による大きな風圧で飛ばされ、氷漬けになってしまったPPC本部の建物に激突してしまう。

そのままサイアと激しい鍔迫り合いを行うが、力はソーサラーの方が上なのか押し合いに負けたサイアは雪の降り積もった地面に倒れる。

…が、そのまま起き上がることはできなかった。

サイアが見上げた先には長い柄を振り回しながら一回転し、遠心力を味方につけたその一撃を振り下ろすソーサラーの姿…


『…ぎゃあああああああっ!?』

『ぐう…サイアッ!?』


ゲルダがどうにか戻ってくると、その先にいたのは粉々になった同胞…

サイアだった氷の塊はそのまま蒸発するように気化していき、完全に消え失せるには時間も掛からなかった。

…強い

しかしこのまま引いてはファントムの名が廃ると、彼女は槍を構えてソーサラーを攻撃する。

しかしその渾身の一撃は容易くかわされ、ソーサラーの重い拳が容赦なく彼女の腹に入っていた。


『がっ…ぐあッ…!』

「テメェは倒すのは待ってやる。ワイズマンの居所を教えてくれればな」

『あのお方の…居場所を、だと。…ふ、ははは、くはは…!』

「?」

『命乞いで言うと思ったら大間違いだ。――あのお方の足枷になるぐらいならば、私は…貴様らを道連れにするのみッ!』




ゲルダはそう言うと、周囲の冷気を吸収し肥大化していく。

そうして彼女の体が怪しく光り輝き始め、これはまずいとジュプトルは疲労の残る体に鞭を打ちファイナルスタイルへと変身する。

肥大化するゲルダを止めるには、もはやこれしかない…


<ファイナル、プリーズ! エフ・アイ・エヌ・エー・エール、ファーイナールホープ!!>

「「「ジュプトルッ!」」」

「…お前変身しないんじゃなかったのかよ」

「流石にこれは不味すぎるだろ…このまま大爆発を起こせば、氷漬けになっているピカチュウ達は…ポケモンタウンもろとも粉々になるッ!」

「…確かに、お前には借金と言う罪はあるが…ピカチュウに罪はないしな!」


そう言い放つと、ソーサラーは“エクスプロージョン”の魔法で肥大化していくゲルダの真下を爆発させる。

あまりにも重いため少ししか浮かなかったが、そこにディースハルバードを振り上げ“ブリザードストライク”を放つことで、2mほどは浮かせる。

――ファイナルスタイルにとっては、それで充分だ。

身軽な動きでバク転を行い、その反動を利用して両腕をばねのように使い大きく跳び上がり…そのまま風と回転を伴った“ファイナルキックストライク”を放つ。

ファイナルスタイルと巨大な氷の塊は空高くまで跳び上がり、充分な高さまで飛んだところでファイナルスタイルは“グラビティ”で自身の重力を増し急速に落下していく。

そして…

上空で大きな爆発が巻き起こり、それと同時に氷漬けになっていたピカチュウ達やポケモンタウンは元通りになっていた。



「……あ、あれ?私達、確か救助活動を終えて、ジュプトル達の所に行こうとして…」

「そうしたら、ファントムに襲われて…そのまま…」

「…さぶっ!?ずっと氷漬けとか炎タイプでもキツイってーの!?」

「ぐっ…私としたことが。……おい、オオスバメ、生きているか?…おいオオスバメェェェェ!」

「 」

(((ああ、あいつ鳥タイプだからリザードンより効くのか…)))


ヨノワールが絶叫しながらオオスバメを揺らすが、反応はない。

そんな彼を見ながら、ジュプトル達はポケモンタウンの状況を見て考え込む…

ゲルダとサイアのお陰で火事は収まったものの、ポケモンタウンはつい先程までポケモンたちで賑わっていた町とは思えないぐらい崩壊していた。

建物は焼け焦げ、探検隊立ち寄り所も壊され見るも無残な姿になっている…

幸い、ヘイガニたちが【断崖の岩場】から集めた材質で作られた橋だけは、中心地から離れていたこともあってかこの惨劇でも残っているため…大工たちが行き来するための道には困らないだろう。

そうしていると、雪花屋やその周辺に住人達を避難し終えたのを確認したポポッコとヤミラミが、寒さに震えながらやって来ていた。


「――みなさーん!な、なんか凄く寒いんですけどっ…な、何かあったんですか!?」

「ポポッコ、ヤミラミ。…住人は?」

「はい、怪我人もいますが…全員無事ですよ。探検隊も何人か残っていましたから、救助活動も難航しませんでしたし」

「とりあえず、お前達も大変だっただろ…雪花屋に戻って、温かい飲み物でも飲め。な?」


ああ、とジュプトル達は頷き、荒れ果てたポケモンタウンを後にする。

だが…

ヘイガニは少しばかり考え事をしながら、ある人物を見ていた。



(さっきといい、あの時といい…なんであいつはあんなことを…?)


(もしかして、…【賢者の石】の在り処って…)






***




館・長・最・強(今更)

いや、本当にこの人、今回でほぼ(戦闘における)出番終了って…

ただちょこっとは出てくるかもしれないですね。予定は未定ですが

ぶっちゃけ1話足りなくてもいいんじゃないかってぐらい、1話分困っているわけですが。

うーん、予定を変更して1話分をブレイブスの探検隊活動に費やす?

でも今更、日常回かよって状況だしなあ…


ポポッコは割と終盤から出てきたのに、それなりにキャラ立ってるんですよねー。

纏めちゃうとピットの口調のテールorエイジスが妥当

まあイメージしているキャラとしては射命丸なんですけど。真実を追求する記者タイプですし…まあポポッコはかなり柔軟な方ですが

ギャラドスとサーナイト…ありだと思います



ゲルダは純粋にワイズマンを慕って行動しています。

サイアはまあ、暴れられればいいやって感じです。

メデューサはワイズマンに恋をしていて、現状ゲス行為をしていないせいでまともと名高いケルベロス曰く、ワイズマンのためならワイズマンの命令を破ってまで彼に尽くそうとするタイプ。

ぶっちゃけますけどケルベロスって、ゲス行為してないせいでまともに見えるだけで実際は割とゲスなんですよねぇ…ただそれよりも純粋に強い奴と戦いたい、自分の力を見せつけたいってのが強いので、やっぱまともなんですかね?

放っておいても自分からリザードンと戦っていたでしょうし。


館長とワイズマンの実力って拮抗しすぎじゃないかなあ…

他の魔法使いたちはいるのだろうか…あ、ジュプトルは要る。ラストのこともあったから。

ワイズマンの事情については後々。足りない1話分、こっちを中心に取り上げるのもありかなあ…

他6話分は何を書くのかは大雑把に決まっていますし。

ミュウツーの事情は大体分かっている通りです。そっからどうしてそうなったんですか、って言うのはやっぱり後ほど。

オニゴーリと言う種族に関してはウィキで調べてね!マジでそんな感じの図鑑内容です。

しかしやっぱりゲルダとサイアっていらなかったような…館長の『倒すファントムは氷タイプのポケモンがゲート』縛りのノルマクリアのためにいたようなもんじゃ…




次回。

何を書くか決まってないです。

6話分はもう決まってるんだけどなあ…

ジュプトルこの野郎ううううう!とか、ブイゼルううううううう!とかオオスバメwwwとかヨノワールううううううう!とかオオタチぃぃぃぃぃ!!?とか、ピカチュウ…ってなる展開


余談ですが「別売りのヘイガニ」は個人的に笑った台詞

同義語は「付属品のヘイガニ」