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タイトル未設定 - 33話:絶対に忘れない

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33話:絶対に忘れない

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ポケモンタウンに住む、殆どのポケモンの記憶を喰い…

テディスはベルゼバブの元に向かっていた。


『どうだった、テディス』

『目ぼしいポケモンの記憶は総て喰い、指輪の魔法使いを追い詰めるようにはしました。……しかし、作戦とはいえ、こんなに大量の記憶を食べたのは初めてです』

『確かに。…腹でもきついのか?』

『そこは問題ありません。それよりも…“あの件”についてですが』

『何か問題でも?』

『…少し気になりまして。……あれには何の意味が?』


テディスの言う、“あの件”。

それは、ピカチュウやヘイガニといった者達の、ジュプトルに関する記憶を消し…逆に彼を追い詰めるのに都合のいい嘘の記憶を書き込んだ際。

それに紛れ込ませる形で、ほんの僅かに仕込んだ…【セイレーンの姿】の情報。

テディスはセイレーンの姿を見たことはなかったが、ベルゼバブは大体の特徴をワイズマンから聞いたことがあるらしく、その情報を元に作った…謂わばモンタージュ写真のようなもの。


『確かに、普通のポケモンにとっては…先程仕込んだセイレーンの情報は、すぐさま忘れてしまうものだろう。……だがもし仮に、あの中に…セイレーンがいるとしたら?』

『…何ですって?』

『思うのだよ。かつて、ファントムもポケモンも関係なく絶望させ、廃人同然にしたという悪名高い噂を持つセイレーンが…どうして突然姿を消したのか』

『確かに…それに、そんな力があるとしたら、自分がワイズマンに取って代わることも可能だったはず…』

『それをしなかったのは、ワイズマンに恐怖を覚え自ら逃げたか…セイレーン自身が何らかの事情で、記憶を失くしているのか……いずれにしろ、お前の書き込んだ情報にセイレーンは強く反応するはず』



その話を聞いたテディスも、「成程」といった様子で感服していた。

セイレーンの行方が分からないのならば、逆に、セイレーンの情報を記憶に紛れ込ませて反応を見ればいい…

非の打ち所のない作戦に、テディスは頭を下げながら、話していた。


『…そういうわけでしたか。流石です、ベルゼバブ様』

『まあ、成功する確率が低いことに変わりはないが…当てずっぽうで探すよりはいいだろう』

『本当に、どうしてベルゼバブ様にゲートを見極められる能力がなかったのか…。メデューサ様ではなく、あなたにその能力があったなら、きっと今頃ワイズマンの悲願も達成できたというのに』

『そう言うな。メデューサは確かに知性は私に劣るが、強力な力の持ち主である上に、対ウィザードの切札。ワイズマンが重宝するのは当然のこと』

『…』

『それに、一人にばかり才能が偏っていては…完全調和は成り立たない。一人ひとりに、そのファントムそれぞれの特別な能力があり…それがあるからこそ、我々の調和は成り立っているのだ』


そんな話を、物陰で聞いていたのは…

ぎり、と歯軋りするメデューサ。

この場でテディスとベルゼバブを石にし、砕いてやろうとも思っていたが…まずやるべきことは、決まっている。

それに…

彼女は自分のことを遠回しに「頭が悪い」と罵ったベルゼバブに報復するべく、別の作戦を立て始めていた。


(あいつら…!……いいわ、ベルゼバブ…それなら私にも、考えがある)




その頃…

友人のチャーレムの結婚式に向かうべく向かっていた、オニゴーリ。

だが、そんな彼の前に白い影が現れる。

――白い魔法使い。

突然現れたそれに驚きながらも、通算5回目もの邂逅となる白い魔法使いに、呆れ気味に尋ねていた。


「…あんたも相当暇なんだな。ちょうどいい、こっちは聞きたいことが…」

『――今すぐポケモンタウンに戻れ』

「何?」

『君にとって大事な人物が、ファントムに襲われている。…そういうことだ』

「…ッ!」


白い魔法使いの言葉に、瞬時にコータスのことを思い出す。

急いできた道を戻ろうとするオニゴーリだが、ピタリと止まり、背後にいる白い魔法使いに尋ねていた。


「…この間、ジュプトルを操り、リザードンと戦わせたのは……お前だな?」

『もし、そうだとしたら?』

「……一つ聞かせろ。…お前……セイレーンというファントムと、何か関係があるんだろう」

『…何故、そう思う』

「リザードマンに自分で手を下したからだ。…何か知られるとまずいことがあった、だから、お前はセイレーンの情報を持つあいつを……殺した。違うか」


ずっと抱いてきた、疑問。

…白い魔法使いは、セイレーンと何らかの繋がりがあるのではないのか

…そしてそれは、半年前の儀式にも関わるのではないか

もしそれが当たっているとしたら、…白い魔法使いは半年前の儀式を……自分の妻であったユキメノコをファントムにしたあの忌まわしい儀式を、自分の手で起こした事になる。

それも、セイレーンを“アパレイト”リングで操って…



『…もしそうだとして、どうだと言うのだ』

「ジュプトルもリザードンも、話に聞いているメイジも馬鹿だが…お前はそれとは別ベクトルで、……救いようのない馬鹿だ…どうして自分の手でファントムを増やす真似をした!お前は魔法使いなんじゃないのか、ファントムを倒すのが使命なんじゃないのか!!」

『……その魔法使いを生み出す行為。そう言ったら?』

「…本気で馬鹿じゃねぇのか、お前…。実力だけ見れば、ジュプトルやリザードン…メイジにしたポケモンよりお前のほうが圧倒的に強い!どうして自分でファントムを、ワイズマンって奴を倒さない!!」

『一つ、と言っておきながら質問が多すぎるぞ。…それ以上は答えられない、現に君も、私に構っている暇はないはずだ』


白い魔法使いに言われ、オニゴーリは後ろを振り返り、彼を睨みつける。

――魔法使いを生み出すために、あの儀式を起こしたとしたら

――何のためにそんなことを

――ファントムが余計に増殖する危険性を持っていたのに、どうしてそんな真似を


「…最後に一つだけ、この質問には有無を言わさず答えてもらう。――俺がゲートと分かっておきながら、どうして儀式の場に連れて行かなかった?」

『……』

「答えろ。オオスバメはどう足掻いても無理だし…自分で言うのもなんだが、俺はユキメノコよりは魔法使いになる可能性はあった……それなのに!」

『…魔法使いとは別に、君が必要だった。それ以外に理由はない』

「……何だと…?」


『魔法使いとは別に』

その言葉に、オニゴーリは疑問を持つしかできなかった。

だが、その間に白い魔法使いは姿を消し…

肝心な所でいなくなったそれに舌打ちをしながらも、自分がいない間のポケモンタウンに何が起こったのか。

それを確かめるためにも、急いでポケモンタウンに戻っていた。






〜〜〜






その頃、ポケモンタウンでは。

――ジュプトルから総ての説明を聞いていたオオスバメは、「へー」と頷いていた。

ちなみに、現在彼らが潜伏しているのは、ポケモンタウンの外れの森にあるオオスバメの家。

所謂ツリーハウスというもので、中は意外と広い。…が、物の整理整頓は全くできていない。

これがもし雪花屋の一室だったら、オニゴーリが怒り狂っていただろうというぐらいに。


「とりあえず、そのテディスって言うファントムが、ピカチュウ達をおかしくさせたんだ」

「まあ、そんなところだ…。しかしお前、よく無事だったな」

「窓から脱走したしね!」

「…それは威張る所じゃない。というか、後でラッキー達に説教という名の雷を落とされろ」

「えええー!?」


それだけは嫌だ、と言いたそうに首を横に振るオオスバメ。

…恐らくジュプトルに、「一緒に言い訳考えて」と言いたいのだろう。

つくづく世話の焼ける馬鹿だと思いつつ、これからどうするべきか考えていた。

テディスは、ジュプトル一人では倒せないほど強力なファントム。

となれば、やはりドラゴタイマーに頼らなければならない部分も出てくるだろう…

しかし、もしそれでも倒せなければ。

……今度こそ、完全に終わりだ。しかも、オオスバメが【記憶喰い】を受けていないことを知れば、彼の記憶も食われかねない。



ただ、オオスバメの場合、恨み辛みは二の次なので…もしも『翼を傷つけた原因』と記憶を書き換えられても、スバッと気にせず流すだろう。

子供のためとはいえ嘘をついたヨルノズク…復讐のあまり自分を放置して危機に晒したリザードンはともかく、自分の翼を傷つけたフェニックスや、誘拐したベルゼバブですら恨んでいない。

――それほどまでに突き抜けた馬鹿。

どうしようもなく馬鹿。

果て無き馬鹿。


「それよりも、…どうやって奴を倒すか……下手すれば、ドラゴタイマーを使って勝てるかどうか」

「えーと、ご飯ご飯…」

「…。……奴の狙いが俺の孤立だとすると、最終的に狙われるのは…」

「あ!ジュプトル、キーの実あったけど食べれる?」

「お前は人の話を聞いてるのかーッ!?」

「へ?」


…駄目だこのオオスバメ全然聞いてない

がっくりと頭を垂らすジュプトルだが、オオスバメは本当に話を聞いていない。

右から聞こえた言葉が左から出て行く…そんな例えが、一番正しい。

完全に呆れ返っているジュプトルをよそに、オオスバメは買い物袋を咥え、「じゃ」と敬礼しながら飛んでいく。


「ちょっと足りなかったから買い足しに行って来るね!」

「あぁ好きにしろ………って、――ちょっと待て狙われてるのは俺じゃなくてお前だ馬鹿ああああああッ!?あっもう姿が見えない!」


気付いた時には、オオスバメの姿は既になく。

「あいつ自分の状況全然分かってない」と再認識しながらも、ジュプトルは急いで商店街のほうへと向かっていた。




商店街は、いつもどおり活気に満ちている。

しかし、…そこにいるポケモン達は総て、ジュプトルに関する記憶を書き換えられた状態…

オオスバメはフラワー商店から木の実を買うと、「入院してたんじゃなかったの」というラフレシアの問いを適当にはぐらかし、ツリーハウスに戻っていた。


「ブリーの実とズリの実、ナナの実とパイルの実…それからセシナの実。これぐらいあれば何とかなるかもなー。……俺もジュプトルも料理できないけど…」

「……そこの君、」


まあそのままで食べればいいか、という軽い考えで戻ろうとするオオスバメ。

だが…

そんな彼を呼び止めたのは、一匹のフライゴンだ。

その姿を見て、オオスバメは「解散した【フライーズ】のリーダーに似ているような」と首を傾げながら思っており、フライゴンはそんなオオスバメの様子を知ってか知らずか、問いかけを続けていた。


「あ、はーい?」

「…ジュプトル、と言うポケモンを知っているそうだが」

「そうですけど…何か?」

「……そういえば、まだ君の記憶は食い損ねたままでしたね…丁度いい、君の記憶を食べて……終わりにしましょう」


そう言い放つと、――フライゴンの姿はテディスとなる。

突然街中にファントムが現れ、ポケモン達は急いで逃げる…

一方のオオスバメは、逃げるよりも先にツッコんでいた。



「あ!ファントム!!」

『私を見ても物怖じしないその態度、肝が据わっているほうのようですが……記憶を喰ってしまえば同じこと』

「悪いけど、夕飯の支度とかあるから!じゃあね!!」

『逃がしはしませんよ』


テディスは猛スピードで逃げる…というより帰ろうとするオオスバメを、追いかける。

オオスバメもスピードには自信のあるほうだが、何分翼を傷めているため、いつもより速度が出ない。

何とか振り切ろうにも、テディスのほうが次第に距離を縮め…

オオスバメの尻尾を捕まえていた。


「わー!抜ける抜ける、そこ掴んだら抜けるー!!」

『大丈夫、その前にあなたの記憶を食べますから』

「俺の記憶って美味しくないよー!?」

『美味かどうかは私が決めること。――はッ!』


テディスはオオスバメの頭の中から緑の靄を出し、それに食らいつく。

マシンウィンガーに乗ってようやく追いついたジュプトルも、その光景を見て叫んでいた。


「…オオスバメッ!!」





だが。

オオスバメに【記憶喰い】を行った瞬間、彼の中にあるジュプトルの記憶が垣間見える。

しかしその量は、ピカチュウやヘイガニよりも少しばかり多い。

そして、そんな少しばかり多い記憶の中に見えたのは…



闇だった。

総てが深い暗闇、時が完全に止まったかのような時間の中。

時間停止の影響で、どんどんおかしくなってくるポケモン達。

それは彼の肉親も同様で、兄は発狂しておかしくなり、頭を何度もぶつけ…最終的に同じようにおかしくなったエアームドに食われ。

両親もその2年後に狂ってしまい、二人揃って崖から落ち…上昇することなく頭からグチャグチャになって死んでいた。

闇しかなかった。

どうしようもなく真っ暗で、一筋の光も見えなかった。

“彼”も生きているのがやっとで、自分も肉親のように狂って死んでしまうのかと思っていた。そうなる運命なのだと諦めていた。

…そんな時、何かから逃げてきたらしいジュプトルが、自分の住んでいた穴倉に「少しばかり匿ってほしい」と言ってきた。

心底どうでもいいと思い切っていた“彼”は、適当に頷き、ジュプトルを入れる。

どうやら追っ手から逃げているうちに仲間とはぐれたようで、一応、その仲間とは【黒の森】と呼ばれる場所で落ち合うことになっていたそうだ。


『どうして、お前はそんな諦めたような目をしている』


そう問いかけられて、“彼”は答えられなかった。

諦めるしかなかった。

時間停止の影響で、ポケモン達の心は荒みきり、僅かに残った正しい心もどんどん濁っていく。

だからこそ、兄も、父も、母も死んだ。

他のポケモン達も頭がおかしくなって、正常を保てなくなり、希望も何もないまま…絶望の中で死んでいく。

…そんな“彼”の心情は、すぐに読み取れたのだろう。

ジュプトルは軽く溜息をついた後、“彼”に言い放っていた。


『     』





『――っぐ、…何だこの記憶は、……喰いきれない…ッ!?』


テディスはオオスバメから奪った記憶を吐き出し、オオスバメは正気に戻る。

…その際、「尻尾ー!尻尾抜けるー!!」といつもの調子で叫んで。

記憶が食いきれないと分かると、テディスはオオスバメを強引に振り落とし、ジュプトルがそれを受け止める

――前に体勢を立て直し、オオスバメは地面に降りていた。


「あー…尻尾抜けるかと思った…」

「…お前は、とことん人の好意を無駄にするのが趣味みたいだな…?バカアホ押すパンツ××バメ」

「なんか増えたっ!?」

『何故だ…どうして君の記憶だけ、【記憶喰い】が効かない…何故……!!』


テディスの言葉を聞いたジュプトルは、先程の様子といい、オオスバメからは記憶を食べることができなかったことを理解する。

…しかし、一体どうして

…ピカチュウ達はともかく、ヤミラミやセレビィまで忘れていたのに

そう思っていると、オオスバメは豪快にぶちまけた買い物袋の中身を戻しつつ、テディスに言っていた。


「……忘れないよ、絶対忘れない」

『何…?』

「ジュプトルは…俺が変わるきっかけをくれた、俺に希望をくれた。――今でも俺の心の中に、その“言葉”は生きてる……だから、…俺が死なない限り俺の希望は消えないッ!!」

『くっ…まさか、……こんなに意志の強いポケモンがいたとは…!』



ジュプトルは、「俺本当にこのオオスバメと会ったことあるんだろうか」と思いつつも…

今はその場合ではないと思い、ウィザードライバーを装備する。

今回は速めに決着をつけるべく、ハリケーンドラゴンリングを指に填め。

…更に、なるべく使用を控えていたドラゴタイマーを、“コネクト”で取り出す。


「オオスバメ、下がっていろ!……変身!!」

「スバッと退散しまっす!」

<ハリケーン、ドラゴン ビュー、ビュー、ビュービュービュビュー!>

<コネクト、プリーズ>

「なるべくこれを使いたくはなかったが…状況が状況だ。速めに蹴りをつけるッ!」

<セットアップ! …ランドドラゴン!!>


ドラゴタイマーをセットし、最初に現れたのはランドドラゴン。

“グラビティ”の魔法でテディスを叩き落し、その間にハリケーンドラゴンが攻撃するも、テディスは重力を振り切って再上昇。

更に上空から大風を起こして攻撃し、そうしている間にテディスの背後からフレイムドラゴンが出てきて、ウィザーソードガンで背中を切りつける。

そのすぐ後にウォータードラゴンが空中からテディスを狙撃し、更に“スペシャル”リングを使って尻尾による攻撃を行う。

テディスによってそれは受け止められるものの、その間にハリケーンドラゴンがランドドラゴン・フレイムドラゴンを掴んで上昇し、それぞれの“キックストライク”や“スペシャル”による攻撃を受けていた。

だが、テディスはランドドラゴンのストライクウィザードを受け止め、フレイムドラゴンの“スペシャル”はランドドラゴンを盾にして防御する。

更にそのまま2人をウォータードラゴンのほうに投げつけ、残ったハリケーンドラゴンが“サンダー”で攻撃するも…テディスの蹴りのほうが早く、彼もまた地面に叩きつけられてしまう。


「がっ…!」

「つ、強い…」

「なんて強さだ…ッ」

「この数を相手にしても、戦えるとは…」

『あなたもそこそこ頑張りましたが、所詮一人…どう足掻いても勝てませんよ』


4体のドラゴンスタイルを相手に、全く怯まないテディス。

…数の戦いじゃ勝てない

…しかし、これ以上どうすれば

ハリケーンドラゴンがそう思っていると、ふと、妙案を思いつく。

この方法を取れば、体の負担は大きなものとなるだろう…

しかし、一つ一つの力を単独で使うよりは、遥かに勝機がある。

ハリケーンドラゴンはドラゴタイマーのスイッチをもう一度押し、“最後の切札”とも言えるものを発動させていた。


<ファイナルタイム!>

「だが、俺もここで諦めるわけには行かない…!」

『あなたのことを簡単に忘れてしまうようなポケモン達のことを守って、どうしようと言うのですか』

「…確かにな。だが、例え皆に忘れられたとしても…俺は……ミライやポッチャマが守ったこの世界を守り抜く。それが……俺の戦う理由だ!」

<オールドラゴン、プリーズ>




ウォータードラゴン・フレイムドラゴン・ランドドラゴンの3体が、ハリケーンドラゴンのほうに集約される。

そして…

集約されたドラゴン達の持つ尻尾や爪、胸部のドラゴンカウルがハリケーンドラゴンと合体し、その背からはドラゴンの翼が生える。

“仮面ライダーウィザード・オールドラゴン”

総てのドラゴンの力を一つに集めたその形態は、存在感に溢れる。

テディスも一瞬あまりの力に戸惑うが、「見掛け倒しだ」と思い、オールドラゴンに向かっていく。

しかしテディスの動きは既に見切られており、オールドラゴンの裏拳がテディスの顔面にクリーンヒット。


「…遅い!」

『ぐっ!?』

「お前が喰らったポケモン達の記憶、返させてもらうぞ」

『…くうっ!』


テディスは大きく上昇し、オールドラゴンもそれを追いかける。

そのまま空中で激しいぶつかり合いが繰り広げられるが、オールドラゴンは翼から雷を纏った突風をテディスにぶつけ、テディスの体勢が大きく崩れてしまう。

それを狙ってか、今度は激しい水流を纏った尻尾の一撃がテディスの腹に決まり、勢いよく地面に叩きつけられる。

…そんな圧倒的な力を、白い魔法使いは1本の木の上から見ながら…危惧していた。


『……ドラゴンの力を完全に表に出している。…奴は既に危険だな』


オールドラゴンは急降下からのドラゴヘルクローの一撃を地面に叩きつけ、その際巻き起こった地割れにテディスは巻き込まれてしまう。

地面から巻き起こる石礫の攻撃を何度も受けた後、背後にいつの間にか回っていたオールドラゴンが容赦なく炎を浴びせる。

更に、その状態から再び竜巻を発生させ、炎と風が合わさった渦がテディスを襲う。

そして…

オールドラゴンは炎の渦の中心を突っ切るようにして、トドメのキックを浴びせていた。


「――これで…終わりだああああああッ!」

『そ、そんな、……ぐああああああああああーっ!!?』




大きな爆発が起こり、オオスバメもそれに飛ばされかけるが…

何とか近くの木にしがみ付き、吹き飛ばされることはなかった。

その一方で、オールドラゴンは地面に降りた直後に変身を解除し、そのまま倒れていた。

どうやら、相当負担が掛かっているようで、汗の量も凄い。


「ジュプトル!?」

「…っそ、……予想はしていたが…力が強すぎる、…ドラゴンの本当の力、………確かに…これを使うのは諸刃の剣だな…」

「――あっ!ジュプトル…オオスバメさんっ!!」

「今さっきの炎の渦は、何なんだ!?」

「っていうか、…なんでオオスバメさん脱走してんだよ!」


テディスを倒したことで記憶が戻ったのか、ピカチュウやリザードン、ヘイガニはジュプトルのことを正しい形で思い出したそうだ。

その後から、オオタチやセレビィ、コータスにバンギラスもやって来て…

更には、白い魔法使いから話を聞いてポケモンタウンに戻ってきたオニゴーリも、その場に訪れていた。


「……大丈夫か、コータスッ!」

「お、オニゴーリさん?先程、結婚式に行ったのでは…」

「…ちょっと嫌な予感がしてな。それより、ジュプトルは大丈夫なのか?」

「……一応は。しかし、…本当に危険だな……この力」



ジュプトルはそう言いながら、ドラゴタイマーを眺める。

オオスバメはとりあえずジュプトルから聞いていた話を、ピカチュウ達に説明し…

今まで自分たちがジュプトルのことを忘れていただけでなく、間違った記憶を植えつけられていたことに非常に驚きながらも、ジュプトルに必死で謝っていた。

そうしていると…

セレビィが急に頭を抱え、ヘイガニが心配する。


「…っ、」

「どうしたんだよ、セレビィ」

「あ…なんでもないわ。ただちょっと、疲れただけ……心配しなくていいわ」

「それならいいんだけど…ジュプトルも疲れているみたいだし、雪花屋で休んだらどうだ?……オオスバメさんは、病院に強制送還!」

「うえー!入院やだー!!」


わあああん、と逃げ出すオオスバメだが、その尻尾をバンギラスが掴み。

そのままバタバタするオオスバメを連れ、バンギラスは病院に向かっていた…

そんな彼らを見ながら、ピカチュウやオオタチは笑っており、

…コータスは青い顔で、下を見ていた。

それにはオニゴーリが気付いており、彼女に声を掛ける。


「……本当に大丈夫か?」

「は、はい。…大丈夫です…」

「…リザードン、ちょっと隣の町に行って、チャーレムって奴に伝えてきてくれないか。『【雪花屋】のことで急に抜けられなくなった』って」

「別にいいが…いいのか?俺があんたを乗せていくこともできるんだが…」

「……体調の悪いコータスを放っておくわけにも行かないだろ。オオタチ1匹じゃどうなるかも分からないし、チャーレムも分かってくれる」

「確かにオオタチじゃ不安すぎるな。…分かった、ひとっ飛びして伝えてくるぜ」





そう言って、大空を雄大に飛ぶリザードン。

ピカチュウ達もコータスやセレビィを気遣い、――その際頭を抱えて「ひーどーいー」と泣くオオタチを誰もがスルーしつつ、【雪花屋】に向かっていた。

だが…

そんな彼らを見ていたのは、…ベルゼバブ。

彼の今回の目的は二つ、1つはジュプトルにドラゴタイマーの更なる力を使わせること。

そしてもう一つは…セイレーンの正体に、目星をつけることだ。


『フッ…まさか、あいつがセイレーンだったとは。……しかもあの様子だと…』






***




オールドラゴンキタァァァー!

…まあ、この1回で終わりそうですけどね。

ジュプトル、「もうやらない」と言ったら(相当の極限状態じゃなければ)やりません。


どうやら今回のベルゼバブの作戦は、セイレーンの確定とジュプトルにドラゴタイマーの更なる力を使わせることにあったみたいですね。

しかし…

次回でメデューサがベルゼバブの首を全力で絞めに来るフラグがw

でも、ここで殺すと今後が面倒だと思うんだが…メデューサ。

そして相変わらずのオオスバメw

お前本当に人の話聞かないなww

ちなみにテディスの記憶改変は、記憶喰いで先に記憶を食べてから…というのが絶対条件。



新事実:白い魔法使いが儀式を起こした可能性が大

曖昧な答えなので、確定じゃないっぽいですが…

本当にオニゴーリとよく会うなw

本当に、別ベクトルで馬鹿ですね…でも、魔法使いを増やすそれなりの理由はあるみたいですけど。

それにしても…オールドラゴンを見て「既に危険」とは?

そして、魔法使いとは別にオニゴーリが必要だった理由とは…


テディスの記憶喰いが効かなかった…だと…!?

と言うか、オオスバメのはほぼ食中りに近い気がしてきたぞw

っていうか、オオスバメの過去が予想以上に重い…

だけどここでジュプトルに何を言われたのか判明しない辺り、…後半で明らかになる感じ…?

でも、「俺が死なない限り俺の希望は消えない」………確かにな!←

オールドラゴンの反動も、かなりのものですねぇ…

そして

――誰がセイレーンなんだーっ!!!




冷静に考えると、ヘイガニって色んな意味で貧乏くじ引いてると思う。

非ゲート確定で、ツッコミで、バンギラスのように魔法使いに特に協力する理由がないっていうのが尚更…

バンギラスはリザードン同様の因縁があるんでいいんですが。

もしかしたら、ウィザダンの中で一番無関係なポケモンなのかもしれないw