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タイトル未設定 - 27話:暴走、突撃、古代遺跡

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27話:暴走、突撃、古代遺跡

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遺跡。

…それは太古の遺産が眠る場所


遺跡。

…それはかつての文明を知る貴重な場所


遺跡。

…それは謎に包まれた神秘的な場所


遺跡。

…それは男のロマン




今回のポケモン通信の一面を飾ったのは、この世界で新たに見つかった…古代文明の遺跡。

しかも、そこには財宝が山のように眠っているとの噂で…

当然、どの探検隊もそれにチャレンジしようとしていた。

しかし総ての探検隊が行ってしまったら、探検隊立ち寄り所に届けられた依頼の手紙が総て手付かずになってしまう。

そこで、その遺跡の調査には考古学者であるサンドパンとその助手数名・そしてゴールドランクの探検隊である【キングース】による、発掘隊を結成し…彼らだけで向かうことになった。

そして…

探検隊じゃないが古代のロマンには興味のあるオオタチが、ぶーたれていた。


「……行きたかったー、古代遺跡に行きたかったー…」

「やれやれ。こいつは、相変わらずこんな感じか」


【雪花屋】での仕事を一通り終えた後は、ポケモン通信社で適当に寝転がることが多いオオタチ。

「自分の部屋でごろ寝しろよ」とバンギラスは思うが…

彼女はただごろ寝しているだけではなく、意外と仕事はしている。

その仕事というのは…ポケモン通信社設立以来からの新聞を見て、ファントムに関わりのありそうな失踪者を探すというもの。

バンギラスは外回りの仕事が多いため、個人的なものを調べられる機会は少なく、そういった意味でオオタチは重宝していた。ヘタすればオオスバメ以上のフリーダムだが。


「行きたかったーよー古代遺跡ールララー」

「しょうがないだろ。発掘隊のメンバーに選ばれるには、それなりの実力がないと無理なんだから。……お前は勘こそ鋭いが、非力だしそもそも探検隊じゃないだろ」

「そうは言いますけーどー、遺跡ってロマン感じません?なんて言ったって遺跡ですよ!遺跡!!」

「…つってもなぁ……」


古代遺跡、と聞いてバンギラスはオオタチのように盛り上がる気にはなれない。

大体、何処がいいんだ何処が…

そんな悪態をつくように呟いていたら、同僚のウソッキーやポポッコに「夢がない」とまで言われる始末。

しかし、分からないものは分からない。同調できないものは同調できない。

更にその話をリザードンにすると、「お前本当に記者か」と呆れられる始末…



「ロマンでもマロンでもいいから、こっちはこっちの仕事だ。……『探検隊【フライーズ】のリーダー、フライゴンが謎の失踪』…これは……半年前の儀式の3日前か……」

「こっちにもありますよー。儀式から2ヵ月後ですけど、『清掃員のベトベトン、ベトベター、マタドガスの3名が行方不明』って」

「…関係性がある、とは言い切れないが……候補には入れておくか。失踪者の手がかりを探す、って名目なら編集長も納得するだろうし…え?」

「どーしまーしたー?」


オオタチが床の上でうねうねしながら尋ねるが、バンギラスは慌ててその記事を隠す。

…見てしまったのだ。

日付は…現在から5ヶ月も前。

『【ビリビリ山岳】で落石事故勃発 この事故で2名が行方不明、3名が重軽傷』

しかし、その記事に小さく写っていたのは…


(どうして、“あいつ”が…じゃあ、もしかしてあいつは……)

「うねうねーうねうねー……ピコーン!」

「…何やってんだ、そこのシリアスブレイカー」

「事件の匂いがするよー、なんか大事件だよー」


いやいや、とバンギラスが手を横に振っていた…その時だった。

ウソッキーが資料室にやってきたかと思えば、息を切らした様子で、バンギラスに話していた。


「ば、ばばば…バンギラス!大変だ!!」

「何だ?」

「は…発掘隊が、発掘隊が正体不明の化け物に……襲われたんだ!」

「……何だと!?」





『発掘隊が正体不明の化け物に襲われた』

そのニュースはポケモン通信の号外という形で広く知れ回る結果となり、しかも【キングース】までやられたとあっては他の探検隊も尻込みしてしまう。

そして…

病院に向かったバンギラスは、被害に遭った【キングース】のメンバーであるヤドキング・ニドキング・コイキングに話を聞いていた。


「…それが、私達にも分からないのだ……ワケも分からないまま、いきなり襲われて…」

「ああ…体中が突然、石のように動かなくなったかと思ったら…いつの間にかやられていた……」

「ううっ…面目ない。依頼してくれたサンドパンさんに、悪いことをした…」

「誰も…その怪物の姿は、見ていないのか?」

「私達も、依頼人を守るので手一杯だったからな…一人だったのは覚えているが……ぐうっ!」

「しかし…本当になんだったんだ、あいつは…うぐぐ」

「ヒントになるかどうかは分からないが…バサバサ、という羽音が聞こえてきた。……それ以上は…うううっ」


【キングース】から話を聞き終えたバンギラスは、メモを見ながら考える。

…石のように体が動かなくなる

…バサバサという羽の音

最初はメデューサとフェニックスかと思ったが、「1体だけだった」というヤドキングの言葉を信じるのなら、ないだろう。

そもそも、仲が険悪なあの2人が手を組むとも思えない。

こう言うのは物知りそうなカビゴン爺さんに聞いてみるか、と思って病院を出ると……

彼の目の前には、ペガサスが現れていた。


『ハローエブリバディ!』

「…お前は……ファントム!?」

『イエス、フォーリンラブ!…という冗談はさておき、あの遺跡は早いところ行っておいたほうがいいんじゃないかな?』

「どういうことだ?」

『あそこには…ビーストが新しい力を得るための、重大なモノがある。フェニックスと戦うんだったら、行ってみるのもいいんじゃないかな?――尤も…早くしないと、無くなっちゃうかもしれないけれど』



それだけ言うと、ペガサスは白い翼で飛び立っていく。

…白い魔法使いもそうだが、あいつも大概謎だな…

ジュプトル経由でペガサスの事を聞いていたバンギラスは、その考えの読めなさに頭を抱える。

しかし、ビーストの新しい力を得るためのアイテムがあるとしたら…やはり、行ってみるしかないのだろう。

溜息混じりにそう思っていると、今度はオオタチがスライディングしながら登場。


「――スライディングたっちー!」

「…なんだその掛け声は。タッチできてねぇし」

「まあそう言わず。……実はですねー、遺跡には一切興味のないバンギラスさんにも一応教えておいたほうがいいと思いましてですね!遺跡には一切興味のないバンギラスさんにも!!」

「2回も言うな!…で?」

「実は…サンドパンさんが遺跡に向かうための発掘隊を再編成するんですって!今のところ、力自慢のドンファンさんとー、ドダイトスさんとー、ケンタロスさんとー、どうでもいい【ドクドーク】がメンバーにいるみたいなんですよー」


ドクドークのどうでもよさはさておき。

オオタチの話によれば、前回の発掘隊のメンバーは、サンドパンとゴローニャ以外は全滅…

しかし、どうしても諦めきれないサンドパンは、すぐさま発掘隊を再編成して遺跡の調査に乗り出したそうだ。

探検隊のランクは問わない…と言われても、殆どの探検隊は怖がって行くことを拒否していたが、何人かは「もしかしたら凄いお宝があるかもしれない」と考え、危険を冒してついてくると言う。


「後、リザードンさんもいたよ」

「…何してんだあいつ!?」

「『宝に興味はないけど、ファントムがいるならキマイラ維持のためにも行かないとな』だって」

「……まあ、そういうことなら仕方がないんだろうが」

「バンギラスさんも行く?私は行くー!遺跡に行けるチャンスって、そうそうないもんねー!!」

「お前ホント物好きだよな…、……俺はちょっと調べ物してから行くわ。ファントムの件で、ちょっと調べたいことがあるんだ」

「じゃ、またねー」



…ここでふと、バンギラスは考える。

「怪物騒ぎ」があった以上、サンドパンは【ブレイブス】にも何かしら依頼をするはずだ。

と言うか、しないとおかしい。

リザードンよりもジュプトルのほうが、魔法使いとして戦っていることを認識されているのなら、尚更だ。

それに、オニゴーリも休業中だがゴールドランクの探検家。

呼ばないはずはないのだが……何故だろう、バンギラスはこの時点で、嫌な予感しかできなかった。






〜〜〜






サンドパンとゴローニャがやって来たのは、【雪花屋】。

そして…

サンドパンからの依頼を聞いたピカチュウが、首を傾げていた。


「ええと、それってつまり…私達【ブレイブス】に、遺跡の調査団に加わって欲しいって依頼…だよね?」

「…そうだ!ポケだったらいくらでも出す、出発は今すぐだ」

「ちょっちょちょちょ…待ってください!今すぐ出発って、そんな準備できるはず…」

「そうこうしているうちに、他の考古学者があの遺跡を調べるかもしれない!私は、何としても彼らより先にあの遺跡の謎を解き明かさなければならないんだ!!」

「――ジュプトル以上にせっかちだな、あの依頼人…」

「せっかちというか、怒りっぽいだけだろ。あれは」


サンドパンの対応に追われるピカチュウを横目に、オニゴーリとジュプトルが互いに話す。

ちなみに、ヘイガニとギャラドスは大工の仕事。

オオスバメはスピデリの仕事。

セレビィは受付嬢の仕事。

ミロカロスはフラワー商店での売り出し物を見ており。

コータスは買出し…といった理由で、殆どが出払っている。

オオタチは言わずもがな。


「君達は怪物退治専門の探検隊だろう、だったらどうにかしてくれ!」

「で、でも、いくらなんでも急すぎるし…せめて出発を明日に…」

「無理だ!」

「っていうか、怪物…もといファントム退治はジュプトルしかできませんからっ!【ブレイブス】は基本、普通の探検隊と同じ、常識的範囲内の依頼しか受け取れませーんっ!!」



遂には、ピカチュウも投げてしまうほどのサンドパンの強引ぶり。

なお、「常識的範囲内」に…サンドパンの急すぎる頼みは入っていない。

まあ誰だって、今日すぐ出発すると言われれば…「無理なものは無理」と叫びたくなるのだが。

しかし、これで今度はジュプトルが犠牲になる羽目に…

サンドパンはすぐさまジュプトルのほうを見ると、わあわあと騒ぐように依頼をしていた。


「――だったら君に直接頼もうじゃないか!今すぐ遺跡に行って、化け物を退治してくれ!!」

「いや、そう言われても…俺もせっかちとはよく言われるが、『今すぐ』と言われると『無理だ』と答えるしかない。あくまで生身のポケモンなんだ、まともな準備がないと行けるわけがない」

「ポケならいくらでも出すと言っているだろう!…聞いているぞ、このボロ屋敷の借金を返済したいんだろう。私が残っている借金総てを返済してやる、だから今すぐ一緒に来てくれ!!」


最終的には、オニゴーリを完全に敵に回しかねない発言。

ピカチュウは青ざめ、偶然帰ってきたコータスも…氷点下に突入した空気を察して、「あーあ」と困り顔を見せてしまう。

今すぐにでもサンドパンに“絶対零度”をしかねないオニゴーリが出てくる前に、ジュプトルが断っていた。


「……悪いが、あんたの依頼は受けない」

「何だと!?」

「あんたが【雪花屋】に対するあの発言をしなかったら、行ってやろうとは思っていたが…気が変わった。あんたの依頼を受けたポケを館長が受け取るはずもないし、俺も受け取る気はない」

「…あの、ピカチュウさん、一体何が」

「私に聞かないで!?……一応要約すると、…雪花屋をボロ屋敷って…」

「――それは酷すぎます!ジュプトルさん、その依頼は受けなくて結構です。サンドパンさんもお帰りください!!」



【雪花屋】は、オニゴーリにとって大事な場所…

そして、コータスにとっても。ここで暮らす、探検隊達にとっても。

それを「ボロ屋敷」と言われ、珍しくコータスも激昂してしまう。

ジュプトルもそれを(痛感するレベルで)分かっているからこそ、サンドパンの物言いには腹が立ったのだろう。

ピカチュウも流石にフォローすることができず、最終的にはサンドパンのほうから出て行ってしまう。


「えーと……い、いいの?」

「構わん」

「構いません」

「GJジュプトル…コータス、……お前らがいなかったら…俺は犯罪者になってまでも、あのサンドパンを冷凍処刑しているところだった……」





その頃…

バンギラスは、ポケモンタウンで一番物知りだと言うカビゴンの元に行っていた。

カビゴンは古い伝承などに詳しく、よく子供達に昔話をしているとか。

そして、カビゴンはバンギラスの話を聞くと…

昔、人間が使っていた古い建物の中から拝借してきた本を取り出し、「おぉ」と声を上げていた。


「これじゃな。鳥の羽音、体を石のように動かなくさせる……となれば、人間の本にある【コカトリス】じゃ」

「コカトリス…コイツは石にする能力を持っているのか?」

「とも言われておる。雄鶏の体に蛇の尾、奴と目が合えば最後…体を石に変えられてしまう。だが、【キングース】が石になっていない所を見るに、その怪物は『石にする』のではなく、『石の様に動きを固めてしまう』が正しいのじゃろう」


石のように動きを固めてしまうファントム、コカトリス…

実際に対峙するとなれば、ジュプトルやリザードンは不利でしかないだろう。

どうにかして、動きを止められないようにはできないものか。

そう考えつつも、このような人間の本をどうやって彼が手に入れてきたのか、疑問に思ったバンギラスは尋ねていた。


「…ところであんた、よくこんなにたくさんの本を集めたな」

「まだこの世界が暗闇ばかりだった頃、私の元にある女の子が人間の本を持ってきて、『読んで』と言ってきてな。その子は次から次へと本を持ってきて、気付けば……この穴倉いっぱいに本が詰められていた」

「……」

「私も、人間の遺した本を読むのが楽しくてな。そうしているうちに、光が上り始め…女の子も来なくなった。大方、光溢れる世界で…他のポケモン達と遊んでいるのじゃろうな」


それはそれでいいのだが、とカビゴンは少し寂しげに言う。

バンギラスも、山のように詰め込まれた本を見ながら…

「よくこれだけのものを集めたもんだ」と、感心していた。



カビゴンの家を後にし、ポケモンタウンに戻ってきたバンギラスが広場に向かっていると…

そこでは、サンドパンが再編した発掘隊メンバーが顔を揃えていた。

ドダイトス、ケンタロス、ドンファンと言った屈強なメンバーだけでなく、エイパムやワカシャモといった可愛らしい実力者達もいる。

…その中で、やっぱり浮いているのが…【ドクドーク】の3匹。

ドクケイル・ドガース・アーボで編成されるトリオなのだが、正直、…あまり役に立たない気がする。

先に集まっていたリザードンやオオタチもそう思っていたらしく、「あんまり期待できそうにない」と思っていると…

小さな荷袋を持ったブイゼルが、慌ててやって来ていた。


「――悪い!古代の遺跡に向かう発掘隊の徴集場所って、ここか?」

「そうらしいが…お前は?」

「俺はブイゼル。しがない旅人さ。……偶然ポケモンタウンに立ち寄ったら、古代遺跡の話で盛り上がってるそうじゃないか。俺もちょっと、探しものをしていてね…一緒に行きたいんだけどいいか?」

「…それを俺らに言われても、なぁ?」

「判断するのはあっちのサンドパンだ。…まあ、多く人手が要るのも事実だろうから…構わないんじゃないか?」


決まり、と指をぱちんと鳴らすブイゼル。

彼は他のメンバーとは違い、身軽な一人旅と言った風貌。

すぐさま遺跡に向かいたいサンドパンは、既に準備ができている彼なら連れて行きたいところだろう。実力は二の次として。

しかし…

オオタチは首を傾げながら、ブイゼルに訊ねていた。


「その袋の中には、何があるんですかー?」

「あ、これか?俺にとって大事なものが入ってるんだ」

「見せて!」

「駄目」

「…ケチー」

「ケチで結構。じゃ、俺、サンドパンと話つけてくるよ」


オオタチを軽くあしらいつつ、サンドパンの元に向かうブイゼル。

何か騒がしい奴が来たな…

そんなことを思いながらも、リザードンとバンギラスは今のうちにフラワー商店で買い物を済ませていた。





その夜。

夕食の席で話を聞いていたヘイガニは、「あー」と納得した様子で頷いていた。


「そりゃ、断って正解だな…。むしろ館長を切れさせる発言をする、その度胸が怖いよ…」

「コータスさんも珍しく怒ってたもん…うう、……泣きたかった…私泣きたかった…!」

「お前は頑張った、頑張ったぜピカチュウ…」

「うわあああああああん、ヘイガニありがとおおおおおおおおおお」


氷点下にまで達した空気が、とても怖かったのだろう。

ピカチュウは一気に泣き喚き、ヘイガニは仕方ないような顔でその頭を撫でる。

その一方で…

今日はオオスバメに誘われて夕飯を一緒に食べることになったムクホークが、話していた。


「でも、焦るのも無理ないと思いますけどね」

「どゆこと?」

「先輩は興味なさそうだから知らないと思いますけど…サンドパン先生、自分がずっと研究していた発掘調査結果を盗まれて……それを部下だったゴルダックさんが発表して、彼の研究成果として世に広まったんです」

「それは私も知っているわ。でも、こう言うのって経緯はどうあれ…先に発表したもの勝ちってものだから」

「そうそう。一回警察沙汰になったけど、証拠不十分で終わったって聞いてるぜ。……そーゆーのがあったからこそ、誰かに奪われるより先に今度こそ自分の発表として世に広めたいんだろうなぁ」


ムクホークの後に、ミロカロスやギャラドスが続き…

気持ちは分からなくもないのか、ピカチュウは「悪いことしたかな」と言いたげな顔で俯く。



だが。

それでもオニゴーリとコータスの周囲から感じられる、氷点下マイナス10度レベルの冷気は…留まる所を知らない。

ジュプトルは時間が経てば普通の温度のほうに戻ってきてくれたが、…あれはどうしようもない。

だからこそ、ピカチュウがヘイガニに泣き喚くわけで。


「それでも言っていい事と悪いことがあるだろ。――コータス、醤油」

「はい、オニゴーリさん…」

「……怖い、普通の日常的な会話なのに…寒気がするほど怖いぃぃぃ…!」

「まあ…雪花屋を『ボロ屋敷』って、……なぁ…?」

「ちょっギャラドス何言ってるの、…ああっ館長が!館長がこっちを睨みつけてる…!!」

「館長だけじゃないですミロカロスさん、何か今日、コータスも怖い…!」

「お味噌汁ー、お味噌汁ー」


余計なことを言ったギャラドス。

ミロカロスやムクホークはそれを諌めるが、…オニゴーリとコータスが怖すぎて寒気しかしない。

その一方で、「何か今日寒いなー」ぐらいにしか思っていないオオスバメは、不在のオオタチに変わって空気ブレイクを発動。

でも、それが霞むほど怖い。

ピカチュウは……未だにヘイガニに泣きついている。

ジュプトルは溜息交じりに味噌汁を啜りながら、考え事をしていた。


(というか、――連絡があったセレビィや、いつも来るわけじゃないバンギラスとリザードンはともかく…オオタチがいないってどういうことだ?)






〜〜〜






サンドパンは先陣を切って、険しい山岳地帯の奥にある古代遺跡へと向かう。

しかし、その道のりは険しく…大型のポケモンは通るのも困難。

当然、重量級であるドダイトスやバンギラスなどは辛い所だろう。

……ただし、空を飛んでいるリザードンと、その上に乗っているオオタチは別だが。

エイパムやワカシャモといった小柄で身軽なポケモンは余裕綽々と言った様子で進み、サンドパンは後続の遅れに苛立ちつつも、先に向かえるものだけで進んでいた。

その際、リザードンはバンギラスが背中に背負っている大きな板みたいなものを見て、訊ねていた。


「おいバンギラス、お前、何持ってきたんだよ?」

「ファントムに会った時に役立つと思ってな。まあ、戦いが始まってからのお楽しみだ」

「ふーん…つか、あのサンドパン歩くの早いな」

「それだけ今回の遺跡の調査に全力を注いでいるんだろ。…というか、ジュプトル達……来ないのか」

「何かあったんでしょうかねー?」


…彼らは知らない。

…昨日、【雪花屋】で何が起こったのかを

…そのせいで、その日の夕食は約2名が凄く恐ろしかったことを…

小柄で身軽ではあるが、何故かバンギラス達に合わせているブイゼルは「おっ」と声を上げ、指を刺していた。


「見ろ。…アレが噂の、古代遺跡だ」

「「「え?」」」



その先にあったのは…

かなり昔から作られているかのように、古い建造物。

その殆どが石で作られており、確かに“遺跡”と呼ぶに相応しい姿だ。

既にサンドパンは何体かを率いて先に進んでいるようで、リザードン達も急ぐが…

中に入ってすぐ、入口で立ち往生するサンドパン達と合流する羽目になっていた。


「よっ、どうかしたのか?」

「…どうしたも何も、遺跡の入口が……塞がっているんだ!前はこんなもの、なかったのに…!!」

「うわー、本当だー」

「しかも、見事に入口を隠さんとする大きさの岩だな」


苛立つサンドパンをよそに、マイペースを崩さないオオタチとブイゼル。

ブイゼルの言うとおり、入口は隙間風も吹かないほど大きな岩によって塞がれており、これでは入るには入れない…

ドダイトスやドンファンが破壊しようと試みるが、このような古い遺跡だ…強い衝撃を与えれば、壊れかねない。


「こりゃ、別の入り口を探すしかねーな」

「あるとしても、できれば大きめの入り口だと助かるんだが。…って……オオタチとブイゼルがいないっ!?」

「あのフリーダムコンビ、何処行ったんだよ…!」

「――リザードンさーん、バンギラスさーん。こーっちー」


きゃー、と大はしゃぎで声を上げるオオタチ。

「一体何してんだ」と思いながら向かうと…

そこには、オオタチぐらいの細長さなら余裕で通れるだけの入り口があり、オオタチはそこから顔を出して遊んでいた。

ブイゼルはギリギリで首の浮き輪がつっかえて入れないらしく、諦めて別の入り口を探していたそうだ。


「でも、俺らもこんな場所入れないしなぁ。――あー、PPCのフーディンでも誘拐してくるんだった」

「あいつは……無理だろう。それよりも…しょうがない、RPGの禁じ手だが……俺は遺跡に興味もないしロマンも感じない夢のないバンギラスだからな。遠慮なく」

「おい、ちょっとバンギラス…何する気だ。……バンギラス…バンギラスさーん!!?」




バンギラスの言う禁じ手。

それは…直接穴を掘って遺跡に侵入するという、RPGの掟破りもいいところな戦法だった。

だが、――ジュプトルも絶対この発想しをただろうと言うのは…言ってはいけない。

“穴を掘る”を覚えているわけではないバンギラスは、その辺の大きな岩を蹴り飛ばして割り、先端が鋭くなったほうを下にして遺跡を直接壊さないようガンガンと穴を掘り始めていた。

後からドンファンやドダイトスも協力し、1時間後…

何とか全員入れるだけの大きさの穴が完成し、遺跡に入ることができていた。


「…まさかジュプトルみたいなことをやらかすとは思わなかったぜ、バンギラス…」

「遺跡に興味も夢も持たない奴なら誰でもするだろ」

「それでいいのかお前は。――それにしても…オオタチとブイゼル…ついでに、助手のゴローニャは何処に行ったんだ?」

「さあ…オオタチの奴、先に入ったみたいだからな。ブイゼルも多分、別の道を探しているんだろうし…ゴローニャは……俺も知らない。むしろあいつ、ちゃんとついて来てたのか?」

「――こ、これは…!」


サンドパンが、信じられないような顔で叫ぶ。

一体どうしたんだ、と誰もが思っていると、ようやくこの遺跡に入ってからの違和感に気付く。

…普通、遺跡と言うのは明かりが点っていない暗い密室…

入口を塞がれていたのなら、尚更日の光は入ってこないはずだ。

だが、入った部屋の先にある通路は…何故か光が点っており、しかもそれは人工的な松明だ。

サンドパンは脇目も振らずに走り出し、他のポケモン達も、慌ててその後を追いかける。

バンギラスとリザードンもその一つだったのだが、ふと、何かの尻尾がぴこぴこ動いていることに気付き、その部屋に入っていった。

ここは明かりが点いておらず、リザードンの炎を頼りに歩くことになるが…



――ガコンッ


「「…ん?」」


重く軋むような音が聞こえたかと思えば、次の瞬間…

リザードンとバンギラスは、同時に地下へと落ちていた。

勿論、突然の事態と重力に従っての落下のためか、それとも展開的に空気を呼んだのか、空を飛べるはずのリザードンも一緒になって落ちていく。


「ぎゃあああああああああああ!?」

「――だから来たくなかったんだあああああああああああ!!」



絶叫しながら落ちていく2匹。

そんな彼らを、穴の上から覗き込むようにして見ていたのは……ペガサス。


『あーらら、落ちちゃったよ。……成程、重量を掛ければ開く仕組みだったのか…だったら、あのバンギラスにビーストドライバーを渡した理由も納得いくか』






***




今回はビースト組+オオタチメインで話が進む

…かと思いきや、新キャラ出たよ…

このブイゼル、出オチにならなければいいんだが……

今回である程度サトシのポケモンは名前が出てくれた、はず…

まあ中には既に進化した状態(メガニウム、オーダイル、ガバイトなど)がいたりするけどな!

ラプラスは本家ポケダンで重要な役回りだったから出せないんですけど、その他はまだ誰か出ていないのがいたっけ…

ヒノアラシ系列は出てないのははっきり覚えてる。

BW側はそもそも出せない。 これ、マグナゲートじゃないしな!


オオタチとオオスバメ→フリーダム空気ブレイカーコンビ

バンギラスとオオタチ→ボケとツッコミの成り立つ情報収集コンビ

…何なんだ、この差は…

バンギラスはそもそも木崎さんのように情報収集するのが主なポジションなので、今回はそういった彼のポジション掘り下げ回ですかね。

オオタチは知らん。

なお、【ドクドーク】のメンバーは…17話で再登場したばかりなのに、メンバーを確認しなければならないほど陰が薄いようです。



今回ウィザードメンバーが同行できない理由w

まあ、ジュプトルも流石にアレは怒りますよねぇ…

オニゴーリとコータスはもはや、しょうがないレベルだ。だってオニゴーリは言わずもがなだし、コータスは恩人の提供してくれた居場所なんだぜ……

オオタチとブイゼルは…なんだこれ、考えが読めないコンビ?

オオスバメの空気ブレイクも、流石に今日のオニゴーリとコータス相手じゃ霞むか…オオタチの不在が本当に痛い……


バンギラスw

本当にそれRPGじゃやっちゃいけないからなww

…ジュプトルがいたら、即座にやっていたというのは否定できないんだけどさ。

というか、今回の場合、結構悩んだのが「ドラゴタイマーとミラージュマグナム、どっちを先にするか」なんですよね。

だってタイトルの都合上、29〜30話でフェニックスと決着ですし。

そうなると、27〜30話もの間ビースト主軸で話が進むことになってしまうわけですよ。

でも…

この後の展開を考えると、もうそれでもいいかなって思うようになりましたw




次回は!

…穴に落ちた二人の生死が気になるばかり。