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タイトル未設定 - 12話:竜の咆哮

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『――おらおら、出て来い!』




【雪花屋】周辺にて、大暴れするフェニックス。

目的は二つある。

一つは、ゲートと発覚したオオスバメを絶望させること…

もう一つは、ウィザードであるジュプトルを完膚なきまでに倒すこと。

周辺に住むポケモン達は既に避難しており、【雪花屋】に残っているのもジュプトル達ぐらいだろう。

そこへ…


「……待て…俺なら、ここにいるッ!」


腕の包帯を取りながら、ジュプトルがやって来ていた。

心配のあまりピカチュウとヘイガニが様子を見に来ており、更にその後からコータスやオニゴーリ、オオスバメも来る。

それを見たフェニックスは、獲物がノコノコやって来たことに笑いを隠せない。


『は!揃って出てきたか…まあいい。指輪の魔法使い…お前も倒せて、そこのオオスバメも絶望させられる。まさに一石二鳥だ』

「え?」

「オオスバメさんが…ゲートだって言うの!?」

(あれ、何だろ、無理ゲーな気がしてきた)

『――いや、そこのオニゴーリも色々と因縁があるからなぁ。一石三鳥、ってか』

「おいジュプトル、あの焼き鳥倒せよ…もし【雪花屋】に少しでも被害が出たら、奴より先にお前殺すぞ」

「お、オニゴーリさん…抑えて……」

「…とりあえず、敵が増える前に……フェニックス、お前を倒す!変身!!」

<ハリケーン、プリーズ フー、フー、フーフーフフー!>



ジュプトルはウィザード・ハリケーンスタイルに変身し、更にコネクトでウィザーソードガンを取り寄せる。

…正直、フェニックスを倒すには…心もとない魔力しかない。

しかしそれでも、これ以上フェニックスを好きにさせるわけにはいかないのだ。

ウィザードHSは“コピー”でウィザーソードガンを2つに増やし、連続で斬りつける。

フェニックスはその攻撃を大剣で受け止めると、相手に叩きつけるようにしてそれを振るう。


『剣ってのはな、斬らなきゃ意味ねぇんだよ!』

「ぐっ!?」


ウィザードHSは片方のウィザーソードガンでそれを受け止めるが、威力が桁違いに重い。

派手に地面に叩きつけられ、フェニックスはそのまま相手の頭を踏みつけにしようとするが、ウィザードHSはその前に体を翻して避ける。

更に身軽に飛び起きながら2つのウィザーソードガンを地面に突き刺し、まずは一本目のウィザーソードガンにハリケーンリングを翳す。

すぐに二本目のウィザーソードガンにも同じようにハリケーンリングを翳し、風を纏った剣を抜きとフェニックスの懐に入り込み、二段スラッシュストライクを行う。

ただでさえ強力なスラッシュストライクを、しかも2発も食らえばフェニックスもただでは済まされないだろう…

ピカチュウやヘイガニはそう思っていたし、ウィザードHS自体これは効いただろうと思っていた。

だが……


「…!」

『いっつ…今のは効いたぜ。だが……それじゃあ俺を倒せないなぁ!』

「そ、そんな…」

「今ので効いてないのかよ…!?」


フェニックスはすぐに立ち上がり、ピカチュウとヘイガニは絶望する。

――正直ウィザードHSも、ここまで効き目がないと逆に心が折れかける…

だが、ここで負ければ、ピカチュウ達が危ない。

特にゲートだと分かった、オニゴーリ……は心配要らないとして、オオスバメ………はもっと心配要らなかった。

むしろ、ピカチュウとコータスとヘイガニと…【雪花屋】に残ったヤミラミとセレビィが心配だ。

ゲート2匹が心配要らないってのも逆にアレだな、と思いながらも、ウィザードHSはある指輪を取り出す。




―――ヤミラミが持ってきた、ハリケーンドラゴンリング。

…これを使えば、後戻りは出来ないだろう

…しかし、俺は太陽を取り戻したこの世界を守ると決めた

…ミライとポッチャマが救ったこの未来世界を、守ると決めた以上、ファントムに好き勝手にさせるわけにはいかない

ウィザードHSはウィザードライバーのバックル部分に、ハリケーンドラゴンリングを翳すが


<エラー>


非情な音声が、聞こえてきた。

「また使えない魔法か」と鼻で笑うフェニックスだが、ウィザードHSは何度も指輪を翳す。

しかし結果は変わらず、拳を握り締める。


「…何故だ…俺の魔力が、足りないって言うのか…!?」

「ジュプトル…頑張ってっ!」

「気合いと根性だ! “気合い溜め”も覚えられる“根性”持ちの…ピカチュウと雷を浴びて黄金聖戦士になったポケモンと同じ人がいるから!!」

「絶対絶望しそうにない、ドンファンを足で投げ飛ばしたポケモンもいるんだから…頑張って!」

「そうだ…お前だって、負けられない理由があるんだろ!?……ハリテヤマをほぼ一撃で葬り、ドンファンを投げ飛ばし、破壊光線ぶっぱのナマズンをも張り飛ばし、防御極振りのメタグロスを倒すための逆転の一打を与えたど根性の鳥並みに…頑張れっ!!」

「……あのー…すみません、ピカチュウさん…ヘイガニさん。――それは…」

「ジュプトルへの声援って言うか…オオスバメへの、……メタ発言…」



必死にウィザードHSを応援しようとするピカチュウとヘイガニ、

…しかし、コータスとオニゴーリは至極冷静にツッコミを返していた。

「まあ気持ちは分からなくもない」とばかりに、心のどこかで思っているのも事実なのだが。

しかも言われているオオスバメ本人など、暢気に「頑張れー」と応援する始末。お前のことを言われてるんだぞオオスバメ。

ヘイガニすらボケに回る事態に、「あいつ相当焦ってるんだな」など暢気なことを思いながらも、ウィザードHSは自分を信じてくれている彼らのためにも負けられないと、もう一度指輪を翳す。


「ドラゴン…俺は、この世界を…あいつらを守りたい。だから……いい加減に………力を貸せぇぇぇぇぇッ!!」






〜〜〜






ジュプトルの意識は、いつの間にか自分のアンダーワールドに飛ばされていた。

…ここは

…フェニックスはどうなったんだ

そんなことを思いながら周囲を見渡すと、目の前にあったのはフェニックスによって燃やされた大地。

倒れているポケモン達、――そこにはセレビィやヤミラミ…ピカチュウといった、彼と親しいポケモン達もいる。


「なんだ、これは…どうなって…」

『――どうやら、間に合わなかったようだぞ』


そんな声が聞こえ、ジュプトルが振り返る。

そこにいたのは…ウィザードラゴン。

……こいつがいるということは、ここは俺のアンダーワールドか?

ジュプトルは最初、そう思っていた。だが、吹きぬける熱風は現実のように熱い。

焼け焦げた臭いも、リアルに感じられる。

不測の事態に戸惑うジュプトルだが、そんな彼にウィザードラゴンは言い放つ。


『お前は負けたのだ、フェニックスに。そして…見ろ』

「…あれは…」



ウィザードラゴンが、鼻で指し示す先。

そこにあったのは、――横一列に並びながら更新する、ファントムの大群。

彼の話によれば…

ジュプトルがやられたことでこの世界はファントムの横行する世界となり、ゲート達は残らず絶望させられ…ファントムを生み出した。

ジュプトル自身もまた、大事な仲間を目の前でやられて絶望し、ファントムを生み出して死んだという…


「それじゃあ、俺は」

『この俺を生み出して、死んだ。お前がフェニックスに勝てなかったがばかりにな』

「…そんな…」

『見てみるがいい。もう一匹、ファントムを生み出そうとしているポケモンがいるようだぞ』


そう言われ、ジュプトルが振り返ると…

そこにいたのは、フェニックスによって首を絞められているオオスバメ。

それを見たジュプトルは顔色を変え、目の前にいるオオスバメは総てを諦めたような顔で、声を漏らしていた。


「……希望なんて、最初から…何処にもなかったんだ……」


その瞬間、彼から紫のヒビが発生し…

“バンダースナッチ”というファントムを生み出し、今まで存在していた肉体も破壊される。

ウィザードラゴンはジュプトルの様子を覗うが、




「――っ、ははは…」




逆に彼は、笑い声を漏らしていた。

絶望的な状況。それなのに、何故?

ウィザードラゴンがそう思っていると、ジュプトルは笑いを抑えながら、言い放つ。


「…この程度のまやかしで、俺を絶望させられると思ったか?随分と低く評価されたものだな」

『まやかしだと?』

「あのオオスバメが、あんな簡単に希望を捨てるものか。……それに、セレビィやピカチュウ達も…簡単にファントムには屈しない。俺の仲間は…お前が思っているほど弱くはない!」

『……成程、確かにこの程度ではお前を試すには至らないか。ならば…俺の一番得意な方法を取らせてもらおう』


そう言い放つと、アンダーワールドの光景が変わる。

見渡す限り、空、空、空…

空しかない不思議な光景を見た瞬間、――ジュプトルの体は垂直に落ち始めていた。

ウィザードラゴンは360度空しかない世界を飛び回りながら、ジュプトルに言い放つ。


『この俺の力を借りたければ、実力で捻じ伏せるがいい。弱いポケモンに力を貸すなど、負け戦も同然だからな!』

「って、――お前ずるいだろ…自分の有利な空間で挑みやがって!」

『この程度で音を上げるか?ならば、貴様に俺の力を分け与えるわけには行かないな!』


ウィザードラゴンはそう言いながら、ジュプトルに炎を放つ。

何とか空中で体勢を変えることで避けることはできたが、移動は不可能…

いっそ両腕の葉っぱで滑空してみるか、とジュプトルが思っていると



『ハローエブリバディ?』

「ぶっ!?」



白い翼を広げ、ペガサスファントムが声を掛けていた。

想定外の人物の登場に、ジュプトルは咳き噎せ…ウィザードラゴンなど首を傾げている。

しかし、ペガサスは自由に空を飛び回りながら、ジュプトルとウィザードラゴンに言う。


『自分は、他人のアンダーワールドを覗くことが出来る。まあ、とどのつまり、色んなゲートのアンダーワールドに入って…【心の支え】を見ることだって可能なんだよね』

「何?ということは…」

『あのオニゴーリ館長の【心の支え】も知ってる。まあ、特に教えなくても分かることだから他のファントムに伝える気はないし…そもそも、自分は君とファントム、どっちが自分の利益になるのか悩んでる最中なんだよね』

「御託はいい、あの館長もどうせ絶望しないし…したとしても持ち堪える!それよりも……お前の“翼”、俺に貸せッ!!」


そう言い放つと、ジュプトルはペガサスの尻尾を掴む。

「痛い」と叫ぶペガサスだが、ジュプトルは「あのクソドラゴンの上を取るまでだ」と切り返す。

ペガサスは訝しげな様子ではあったが、翼を大きく広げ、飛び回るウィザードラゴンの真上を取る。


『ここでいい?いい加減離してよー』

「ああ、――後は自力で何とか…するッ!」


そう言い放つと、ジュプトルはペガサスファントムを踏み台に…

“電光石火”で一気に加速し、ウィザードラゴンの真上を取る。

ウィザードラゴンはそれを見て旋回しようとするが、電光石火でスピードをつけたジュプトルのほうが僅かに速い。

更に、落下の勢いを利用し…ウィザードラゴンに“リーフブレード”を叩きつけていた。




また、アンダーワールドの景色が変わる。

今度は前2つとは打って変わって、真っ暗な光景…

そうしていると、ジュプトルの目の前にはウィザードラゴン。

ウィザードラゴンは次第にその姿を変え、ウィザード・ハリケーンスタイルとなる。

だが、そこから更に姿を変え……ハリケーンドラゴンと呼ばれる姿に変化していた。

「あれが新しいウィザードの姿か」と驚くジュプトルに、ハリケーンドラゴンは尋ねていた。


『お前がこの力を使えば、あのフェニックスには勝てるだろう。だが…それは同時に、俺の力と同化すること』

「……つまり、ファントムを生み出すリスクが増える、と」

『生み出すというよりは、ファントムになる…が正しいな。それでも貴様は、この力を使うのか?』

「愚問だな。…俺の力は…大事なものを守るためにある、俺はミライとポッチャマが救ったこの世界を…光を取り戻した世界で暮らすポケモン達を、ファントムから守りたい」

『…』

「そのためなら、例えファントム化するリスクがあろうとも…お前の力を借りる。いや、――俺のためにその力を使ってもらうぞ…ドラゴン!」


ジュプトルの決意は、変わらない。

そんな彼に、ハリケーンドラゴンは苦笑しながら…ウィザーソードガンを構える。

…最後の力試し、と言ったところだろうか。

今度はジュプトルにも分がある、地面のある場所での戦い。

ジュプトルもリーフブレードを構え、ハリケーンドラゴンを見据える。

するとアンダーワールドの闇が晴れ、周囲の光景は彼の生まれ故郷…【芽吹きの森】になっていく。



『言ったはずだ。この俺の力を使いたければ、実力で示せと。……今度は貴様の要望どおり、有利な地上…そして地形だ』

「どうだかな。その大きな翼で空に逃げるつもりだろう」

『ふっ…怖気づいたか?』

「……上等だ。完膚なきまでに、殴り倒す…お前の要望どおりにな!」


互いに挑発しあうと、次の瞬間、ウィザーソードガンとリーフブレードがぶつかり合う。

一撃はハリケーンドラゴンのほうが強く、ジュプトルは森での戦いに切り替える。

ハリケーンドラゴンは大きな翼を広げると、狭い森の中だというのに身軽に木々をかわしながらジュプトルを追う。

更に追いかけながら銀の銃弾で狙撃するが、森の中を移動するジュプトルには掠りもしない。

ジュプトルは木の枝を踏み台にハリケーンドラゴンの上を捉えようとするが、二度も同じ手は食わないということだろう…ハリケーンドラゴンは急上昇し、ジュプトルをかわす。


「くっ!」

『同じ手は効かんぞ!』


そのまま急降下でキックを放ち、ジュプトルに直撃

…したかと思いきや、“穴を掘る”でかわされ、ハリケーンドラゴンは上空から様子を覗う。

しかし一番高い大樹を全速力で駆け上がり、ハリケーンドラゴンの背を取る一つの影。

ハリケーンドラゴンはそれに気付いて振り返るが、その直後に、ジュプトル懇親の“リーフブレード”が決まっていた。

地面に叩きつけられるハリケーンドラゴン。

ジュプトルは大樹近くの地面に降り立ちながら、相手の様子を覗う。




だが、次の瞬間暴風が周囲を包み込み…

アンダーワールドの光景が、次第に遠のいていく。

ジュプトルは「何があった」と周囲を見回すが、そんな彼に、何処からともなくウィザードラゴンの声が聞こえてきていた。




『――成程…力はあるようだな』


『ならば、使うといい…この俺の力を』



『同時に、……俺の力を借りて腑抜けた戦いをすれば…その時は貴様を容赦なく喰らってやるがな』






〜〜〜






<――ハリケーン、ドラゴン>


<ビュー、ビュー、ビュービュービュビュー!>




ウィザードHSの体を竜巻が包み込み、更に風はドラゴンの形のエネルギーとなって、ウィザードHSの中に入っていく。

すると、ウィザードHSの姿は変わり…

そこにいたのは、……ハリケーンドラゴンスタイルとなった、ウィザードの姿だった。

彼のアンダーワールドから出ていたペガサスファントムは、くすくす笑いながら木の上で様子を確認している。

一方で、姿の変わったウィザードHDに、ピカチュウ達は呆気に取られていた。


「…凄い、あれが…」

「ドラゴンの力をフルに使った、ウィザードの姿…」

「なんか速そう!」

「…オオスバメさん…?」

「お前、本当に馬鹿だろ。――ジュプトル、とりあえず生きてるんだろうな!」

「……ああ、アンダーワールドの中で危ない橋を渡ったがな」


オニゴーリの問いにそう答えながら、ウィザードHDは“スペシャルウィザードリング”を右手の指に填め、バックルに翳す。

すると、ウィザードHDの背中にドラゴンの雄大な翼が広がり…

それを見たフェニックスは、舌打ちをしながら言い放つ。


『姿が変わったところで、俺に勝てるわけねぇんだよ!』

「…どうだかな!」



フェニックスの攻撃を、ウィザードHDは軽く受け止める。

更に、そのまま翼で突風を起こすと…フェニックスを近くにあった木まで吹き飛ばす。

木に叩きつけられたフェニックスは、憤りながら向かってくるが…

ウィザードHDは新しい指輪を填め、魔法を発動させていた。


<チョーイイネ! サンダー、サイコー!!>

『ぐおおおおおおっ!?』

「お前の動きは単発なんだよ。…まだ俺のドラゴンのほうが…強かった!」


ウィザードHDはそのまま上空に飛び上がると、急降下しながらウィザーソードガンで斬り払う。

フェニックスも大剣で受け止めるが、勢いはウィザードHDにある。

…この俺が押される一方だと

…おかしい、さっきまであんなに弱かったのに

…あの一瞬で、何があった…!

ウィザードHDに防戦一方でやられっ放しなことに苛立ちを覚えたフェニックスは、翼を広げ、そこから炎の渦を放つ。

しかしウィザードHDは雄大に大空を飛び回りながらそれをかわし、もう一度ウィザーソードガンを“コピー”の魔法で2つにする。

上空で同時にウィザーソードガンを持つ手を離し、その場で回転するかのように指輪を翳す。


<スラッシュストライク ビュービュービュー!ビュービュービュー!>

<シューティングストライク ビュービュービュー!ビュービュービュー!>

「――おおおおおおおおおおおッ!」


ウィザードHDはウィザーソードガンをキャッチすると、急降下して地面スレスレの低空飛行をしながら、まずはスラッシュストライクをフェニックスに放つ。

先程の、ハリケーンスタイルでの2本同時スラッシュストライクでも出せなかったほどの威力。

…何処にこんな力が

フェニックスがそう思っていると、彼の胸元にもう1本のウィザーソードガンの銃口が突きつけられ、強力な風の弾丸を超至近距離で浴びる。




『この、俺様が…ぐおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?』




フェニックスは風の銃弾に弾き飛ばされつつ、爆発…

ウィザードHDは大地に降り立つと、ふうと一息。

そのまま変身を解除すると、――ピカチュウとヘイガニが彼に抱きついていた。


「……やったぁぁぁ〜!ジュプトル、ジュプトルが勝ったぁぁぁー!!」

「一時はどうなることかと思ったけど…信じてたぜジュプトルー!」

「ぐふっ!?」


背後から強烈な体当たりを喰らい、ダメージの残っていたジュプトルは地面に倒れる。

オオスバメは「俺も混じろうかな」と言うが、オオスバメまでやって着たらジュプトルにトドメを刺す結果になる…

流石にそれはやめたほうが、とコータスはオオスバメを説得し、オニゴーリは声を漏らしながら笑っていた。



しかし…

そんな彼らの様子を、一匹のバンギラスが見ていた。

彼はカメラに写した写真を確認しながら、呟く。


「……あれが噂の、指輪の魔法使いか…しかし、フェニックスを倒すなんて……」






〜〜〜






――フェニックスが倒された。



その話はメデューサ・ベルゼバブ・そしてワイズマンの耳に入る。

情報を持ってきたヴァルキリーも、まさかフェニックスが倒されるとは思わず、かなり動揺しているようだ。

ベルゼバブは指揮棒を振りながら、メデューサに尋ねていた。


『まさか、指輪の魔法使いがフェニックスを倒すとはな。……メデューサ、君が何か仕組んだのでは?』

『あら、何処にそんな証拠が?』

『協調性を乱すようなことをしてもらっては困る。何事もまず、調和(ハーモニー)が大切なのだ』

『…その言葉、あなたにそっくりそのまま返すわ。あなたが、フェニックスを嗾けた本人じゃなくて?』

『……ふっ、その証拠は何処にあると?』

『でしょうね』


フェニックスが倒されたというのに、ベルゼバブとメデューサは未だに余裕を崩さない。

一体何故?

ヴァルキリーは戸惑っていたが、そんな彼に、メデューサが指示を出す。


『フェニックスも暫くは、大人しくしてくれるでしょう。……あなたは、あのオオスバメを絶望させてきなさい』

『えっ?…お言葉ですがメデューサ様、フェニックス様は…』

『あら、あなたは知らないんだったわね。フェニックスは死と再生を繰り返すファントム、倒されても何度でも復活し……そのたび力を増す』




「――くっそぉ!あの指輪の魔法使いめ、調子乗りやがって……腹正しいッ!!」




大声で叫びながらやってくる、一匹のピジョット。

…フェニックスだ。

フェニックスが生きていたと知ったヴァルキリーは驚きを隠せず、メデューサとベルゼバブは苦笑し続ける。

暫くの間は復活するために使った魔力を回復させるため、前線に出ることは不可能。

ベルゼバブは協調性を乱しかねないフェニックスに一度痛い目を見せるため…メデューサは粋がっているフェニックスを懲らしめるためという、それぞれの目的を達成したわけだ。

前にも増して荒々しい気もするが、怒りが収まれば少しは落ち着くだろう。


『さて、ワイズマン?これで指輪の魔法使いは、新たな力を手に入れたわけですが…』

『ウィザードをそろそろ潰すべきでは?この私が、完璧な調和の戦いで奴を叩き伏せてあげましょう』

『…いや、ウィザードは放っておけ。お前たちは今までどおり、ゲートを絶望させるのだ』

『『……』』

『しかしゲートも場合によっては、――例えばフェニックスに命の危機に晒されても絶望しなかった、そのオオスバメも放っておいたほうがいいかもしれないな。ヴァルキリーの仕事次第で、捨て置くかどうかを判断しよう』


……要するに俺、捨て駒なんですね…

ヴァルキリーはそんなことを思いながらも、ようはオオスバメを絶望させればいいのだ。

配達員、という仕事も絶望させるための要素はそれなりに揃っている。

「このまま捨て駒では終われない」

そんなことを思いながら、ヴァルキリーはワイズマン達に頭を下げ…オオスバメを絶望させるための策を練っていた。





「へー、そんなことになってたんだー」




【雪花屋】では、夕飯を食べながら暢気にそう話すオオタチがいた。

彼女は、ずっと商店街で【フラワー商店】のラフレシアと井戸端会議をしており、フェニックスのことはまったく知らなかったとか。

…オオスバメもそうだが、こいつも大概だな…

ジュプトルはそんなことを思いながらも、ピカチュウやオニゴーリとこれからについて考えていた。


「…とりあえずフェニックスは倒せたが、これから先…強力なファントムはまだ出てくるだろうな。そうなると、やはり残りの水・火・土の強化用の指輪は手に入れておきたいところだが」

「うーん…魔宝石って、そう簡単に見つからないもんね。館長…ありそうな場所って分かる?」

「さあ、な。こういうのは指輪屋やってるヤミラミの知り合いのヤミラミのほうが、見つけやすいだろ。ヤミラミってのは、宝石を見つけてそれを食べる種族だからな」

「あいつも、かつての仲間とのネットワークを使って魔宝石を捜してくれてはいるんだが…やはり俺達も、探検隊活動をしながら探していくべきだろうな」

「…それも大事だけど、依頼にも集中してよ。私達は、あくまでも【探検隊】なんだから」

「借金を返してもらわないといけないしな」


借金、という言葉に…ジュプトルはダメージを受ける。

ついでにピカチュウも。

未だにオニゴーリからの借金は返せていない、【ブレイブス】…

コータスも多少困り顔をしながらも、「でも」と心配事を話していた。


「それよりも、【スピード・デリバリー】の皆さんも暫くは安静みたいですし…オオスバメさんと所長のヨルノズクさんだけでは、立ち行かないのではないでしょうか…」

「……まあ、あのオオスバメの仕事量は他の奴らの3倍らしいからな…それを定時までにこなせるあいつなら、残業すれば大丈夫なんじゃないか?」

「オニゴーリさん…それは流石に、オオスバメさんが死にますから……いくらあのオオスバメさんでも、過労で死んでしまいますから」

「…まあ、一応明日ヨルノズク所長に聞いてみるか。無理そうだったら、ジュプトル貸し出せばいいし」

「待て、なんか今サラッと巻き込まれたぞ、俺」



――オオスバメより、俺のほうが過労で死ぬんじゃね…?

ジュプトルはそんなことを思いながらも、オニゴーリに逆らえないのは事実なので、諦めたかのように静かに味噌汁を啜っていた…






***




本家とは違う覚醒にしたかった。

そして…

その結果が、フェニックス戦よりもウィザードラゴン戦のほうが長いってどういうことだw

でもハリドラVSジュプトルはやってて楽しい。

ペガサスは…予定ではいなかったんだけど、なぁ。尺稼ぎ要因?←


二段スラッシュストライクや、ウィザーソードガン2つ使ってのスラッシュ&シューティングストライクは、本編ではやっていなかったはず…!

小説だからこそ、好き勝手できるってやつですねw

VSハリケーンドラゴンなんかも、まさにそれ。

CGの都合なんて小説には関係ないしね…←

それ以前に、ピカチュウとヘイガニの応援wそれサトシのオオスバメやww

そしてジュプトル、確かにオオスバメと館長はあまり心配しなくてもいいけどwww



確定事項:オオスバメが絶望するはずない

ジュプトル…間違ってはいない。

間違ってはいないよ!あのオオスバメが、絶望するはずないもんな…!!←

第一試練の乗り越え方が『あのオオスバメが絶望するはずあるか』って…それも正直どうなんだって感じですが。

むしろ、ワイズマンや指輪の魔法使いも「こいつ絶望しねぇな」って思えるポケモンって一体www


フェニックスもそうですが、ヴァルキリーも大概扱いが酷いですね。

そしてベルゼバブ…お前何処の矢車ザビー。

何でだろう…ヴァルキリーが捨て駒どころか、凄い惨めな終わり方をするような気がしたのは…

オオスバメのせいですかそうですか。

むしろ、前々回と今回に続いて次回もある意味でのオオスバメ回って何それファントムが絶望するw




ウィザダン世界の既定概念:オニゴーリ館長には誰も勝てない