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タイトル未設定 - 21話:綺麗な花には謎がある

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21話:綺麗な花には謎がある

Episode3 さらば不死鳥
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この日は、有名モデルのミロカロスがポケモンタウンに来訪していた。




その美しさに殆どのポケモンはメロメロで、男も女も関係なく見惚れるほど。

…と言っても、そういうのに無頓着な某ジュプトルとか某リザードンのようなポケモンがいるのも事実なのだが…

ミロカロスの人気はかなりのもので、ポケモンタウン中のポケモン達が見に来るほど。

護衛を勤めているダンバルやメタング達は、詰め寄るポケモン達をミロカロスに近づけないようにするので必死だった。


「「「ミロカロス様ー!」」」

「「「きゃーっ、綺麗〜っ!!」」」

「「「抱いてー!」」」

「ゴルァオマエタチ、オシヨセンジャネェッテイッテンデアリマスダロボケェ!」

「オチツケ、オチツケダンボー!」

「オコルキモチハワカル…デモオマエダケ、オマエダケコセイダサナイデ!タノムカラ!?」


なにやら、暴言を吐くダンバルや、そんな彼(?)に対する必死な陳情が一匹のダンバルから聞こえてきたが…

それは華麗に無視して、ジュプトル達サイドへ。

ミロカロスの美しさにはピカチュウも完全に目を輝かせており、セレビィと大盛り上がりで話していた。

…ちなみに、オオタチはスルー。


「ねぇねぇセレビィ!すっごく綺麗だよね、ミロカロスさん…!!」

「よく分からないけど…確かに、ああいう綺麗な女性に憧れるわね…」

「綺麗な薔薇にーはトゲがあるー♪」

「ううっ、ミロカロスさんってなんであんなに綺麗なのかな…気になるよ〜!!」

「そうよねぇ…」

「ミロカロスさんって美しいだけじゃないんだってー。なんでも、シルバーランクの探検家としても活動してるんだよー」

「いいなぁ…私もあんなふうに綺麗になりたいなぁ…」

「ああいう綺麗な女性って、ジュプトルさんも好みだったりするのかしら…」

「…あのー無視しないでー?オオタチ寂しいと死んじゃうよー??」



「あのオオタチなら、寂しいぐらいじゃ死なないだろ」

「「「今更」」」


遠巻きに様子を見ていたリザードンが、オオタチに対してツッコミを浴びせる。

更に、近くにいたバンギラス・ジュプトル・オニゴーリ・ヘイガニ・オオスバメからの凄まじい肯定。

それを聞いていたオオタチは、「なんでー!?」と泣き叫びながらコータスに引っ付く。

その際、「コータス困らせんな館長切れるぞ」とバンギラスがコータスからオオタチを引っぺがし、暴れる彼女をオオスバメに投げつけていた。

…そうしていると、ヤミラミがいないことに気付いたジュプトルが周囲を見回す。


「おい、そういえばヤミラミは何処行った?あいつも来ていたんだが」

「あ、そういえば」

「…おい、あそこ」

「――はぁぁ…ミロカロス様……美しすぎるうぅぅぅ……」

「……あいつも虜になってるのか」


ヤミラミがいないことに気付き、ヘイガニやリザードンなども周囲を探し始める。

すると、オニゴーリの視線の先に、他のポケモン達に混じってミロカロスを直接見に行くヤミラミの姿があった。

すっかりメロメロなのか、目がハートマークになっているヤミラミを見て、ジュプトルは溜息をつく。

しかも…

このヤミラミ、昨日完成したばかりのランドドラゴンリングをミロカロスに渡そうとするものだから、そこは全力でジュプトルとヘイガニが止めに入っていた。


「ミロカロス様…こっ、これを是非〜!」

「って、――それは俺のだろォォォォォ!?」

「早まるなヤミラミーッ!カムバック自制心ー!!」

「ウイィッ!?邪魔するな、ジュプトル…ヘイガニ……俺はミロカロス様に指輪を渡したいんだーッ!」

「「やめんかぁぁぁぁぁ!?」」




ぎゃあぎゃあと揉み合いになりながら、ヤミラミからランドドラゴンリングを奪い返そうとするジュプトルとヘイガニ。

だが…

ヤミラミの手から指輪は離れ、人混みの合間を縫ってミロカロスの元に転がっていく。

ミロカロスは首を傾げながらも、綺麗な指輪だと思ったのか、そのまま尻尾に填めてしまう。

「あ」とジュプトルとヘイガニは声を上げ、ヤミラミは目をハートにしたまま指輪をつけたミロカロスの美しさに惚れ惚れとしていたようだが…

そんな彼にヘイガニのツッコミチョップが放たれたのは、言うまでもなかった。


「「あーっ!?」」

「ああっ、ミロカロス様が俺の作った指輪を〜…感激……!」

「って…そんなこと言ってる場合かーッ!?」

「ぶげらっ!?」

「おい、何とかして取り返すぞ!」

「無理無理、あの警備の合間を掻い潜るなんて無理に決まってるって!?ただでさえ俺、前の放火事件の件でめっちゃ怒られてるんだから!」


あまりの展開に、ジュプトルとヘイガニは人混みの前のほうで大騒ぎ。

とにかく一度引き離そうとオニゴーリやコータスなども向かおうとするが、人混みの中では思うように動けない。

セレビィも空を飛んで移動しようとしていたが、人混みで揉みくちゃになり、正直コータスにしがみ付くので精一杯。

……オオタチは…暢気に人混みの波を泳いで遊んでいる。

そうしていると、オオスバメがピカチュウを背中に乗せて飛び、渋滞を抜けていく。


「うへぁ!?」

「空から行ったほうが早いでしょ。しっかり捕まって!」

「待ってオオスバメさん、オオスバメさんの背中にはトラウマが!」

「距離近いからスピード出さないって」

「それなら…いいけど……オオタチさんどうするの?」

「オオタチだから大丈夫じゃない?」






〜〜〜






集まってくるポケモン達の騒がしさに、ミロカロスは嫌気を感じながらも…

それだけ今の自分は人気なのだということを実感し、尻尾につけたランドドラゴンリングを見る。


(あの血の滲むような努力の日々があったからこそ、私はこうして美しさを手に入れた…もう、醜い私の過去を知るポケモンなんていないわ……)


そう思いながら前に進んでいると、人混みの中でも一際目立つ騒がしい声が聞こえてくる。

ダンバルやメタングが注意しようとするも、ミロカロスから離れればそれだけ彼女に危険が及ぶ。

仕方なく、先頭のメタングが「そこの2匹静かにしなさい」と注意し、ミロカロスからはよく見えなかったが、赤い何かが必死で頭を下げている。

――なんだろうと思い、ミロカロスが目を凝らして見ると…

そこにいたのは、ヘイガニとジュプトルの姿。特にヘイガニを見て、ミロカロスは激しく動揺する。


「へっ、…ヘイガニ!?」

「へ?あんた、俺のこと知ってるのか??」

「知り合いなのか、ヘイガニ」

「いや…どうなんだろう。確かに俺の住処って、たまにヒンバスやミロカロスを見ることはあるけど…あそこまで別嬪さんのミロカロスは知らねーよ」

「しかし、あっちは知ってるみたいなんだが…」

「……い、いえ、どうやら人違いみたいだわ。私ったら、疲れてるのかしら…」


ミロカロスは尻尾で頭を抑え、警備のダンバル達やファンのポケモンらが心配する。

だが、ジュプトルはミロカロスのそれが演技であると見抜いていた。

人混みが多くて疲れたというのは本心だろうが、ヘイガニを見て明らかに動揺していたのも確か。

…ヘイガニは覚えていないが、ミロカロスは彼を覚えている可能性がある…

となると、ヘイガニが近くにいればランドドラゴンリングを取り返すことが難しくなる。そう思ったジュプトルはヘイガニを担ぐと、素早く人混みの中を抜けていった。

その身のこなしは、過去の世界で(時の停止を防ぐためとはいえ、盗賊という誤解を受けられつつも)役に立っていただけある。



ミロカロスの様子を見て、PPCのアズマオウは「大丈夫?」と声を掛ける。

彼女は、ミロカロスのことを親身になって支えてくれている。

PPCだから、と言われればそれまでだが…自分の面倒をずっと見てくれた彼女だからこそ、心を許せる部分があるのだろう。


「ミロカロス、大丈夫?仕事まで、まだ時間があるし…少し休んだらどうなの」

「大丈夫よ。…それに、この辺りに休める場所なんてないでしょう」

「あら。それだったら、【雪花屋】があるわ。あそこの館長さんに頼めば、ファンが押しかけないよう睨みを利かせてくれるでしょうし」

「そうね。じゃあ、そこで一休み…」

「――すみませーん!」


上空から聞こえる、賑やかな声。

ミロカロスやアズマオウが上を見上げると、そこにはピカチュウを背中に乗せたオオスバメ。

「あいつ何やってんだ」

バンギラスやリザードンはおろか、ジュプトルやオニゴーリもそう思っており、ピカチュウも「駄目だよ」と必死で説得するが…

オオスバメはそれらに構うことなく、マイペースで話していた。


「な、何なの?あなた」

「【スピード・デリバリー】のオオスバメでーす。……実は、この子が大事な指輪を落としちゃったみたいで、ミロカロスさん…見てませんかね?」

「ちょっ、オオスバメさん!?」

「指輪…って、もしかして、これのことかしら」

「あっ、はい!……私の…(というか、本当はジュプトルのなんだけど)……大事な…物なんです」




…嘘はついてない。

ランドドラゴンリングは、ウィザードの強化変身に必要なもので…それは結果的にピカチュウ達のためにも、ミロカロスや他のポケモン達のためにもなる。

ミロカロスも、指輪を見て暫く考えていたが…

ピカチュウの持ち物なのだと分かると、すぐに返していた。


「……そうなの?」

「はっ、はい!」

「…そう…だったら、肌身離さず身につけていないとね。そこのオオスバメ、高度下げなさい」

「スバッと了解しました」


オオスバメはミロカロスの要求に応じ、高度を下げる。

すると、ミロカロスが直接ピカチュウの耳に指輪をつけ始めたのだ。

ピカチュウは緊張した面持ちで、されるがままの状態。

その際ミロカロスの尻尾がピカチュウに触れ、周囲のファン達は「いいな」「何だあのピカチュウ」「スピデリのオオスバメさん何してんの」「ミロカロス様優しい!」と口々に言う。

未だ固まっているピカチュウを初々しく思ったのか、ミロカロスはくすりと笑いながら彼女に言う。


「明日、【Cafe アゲハント】にその綺麗な指輪をつけて来なさい。取材や親睦会も兼ねた、【女子会】をする予定なの」

「は、は、は、…はいっ!?」

「女の子のお友達がいるなら、誰でもいいわ。たくさん呼んで来てくれると私も楽しいもの…それじゃあね」



ミロカロスはそう言いながら、アズマオウやダンバル達と共に去っていく。

ぽかーん、とピカチュウが見とれていると…

自分がどんな状況に陥っているのか冷静に思い出し、オオスバメの背中の上で慌てていた。


「――はっ!?どっ、どどど、どうしよう…みろっ、ミロカロス…ミロカロスさんに招待されちゃったぁぁぁぁ!!?」

「それ、凄いことなんだ」

「凄いことだよ!?…しかも、ミロカロスさんの開く【女子会】って…彼女と同じぐらい有名なモデルさんが集まるの!……それに私が呼ばれるって…はうああああああああああああああああ」

「えーと…でもそれって、ジュプトルのその指輪を借りて行かないといけないんだよね?さっきの話からするに」

「あ」


オオスバメの言葉に、ピカチュウは冷静さを取り戻す。

ミロカロスは確かに、『その綺麗な指輪をつけて』と言っていた…

つまり、――これを明日までジュプトルから借りなくてはいけないのだ。

あのジュプトルがそれを許してくれるはずがない。ヤミラミがミロカロスに渡そうとしただけでも、大騒ぎだったと言うのに。

「俺からも頼んでみるよ!」とオオスバメが言うが、……正直…ジュプトル相手だとヘイガニかバンギラスかオニゴーリでないと頼りにならない。

しかし…


「――きゃああああああっ!?」


ミロカロスの悲鳴が聞こえてくる。

何が起こった、と他のポケモン達は騒ぎ立て、ジュプトルは大体の察しがついたのか走り出す。

そうしていると…

ミロカロスやアズマオウの前には、何者かにやられてボロボロなダンバルやメタング達。

更には、以前出会ったベルゼバブの姿。


「お前は!」

『おや、指輪の魔法使い…私の邪魔をしないで頂きたいものだ』

「と言うことは、ミロカロスかアズマオウのどちらかがゲートか…だったら阻止しないとな。変身!」

<フレイム、プリーズ ヒー、ヒー、ヒーヒーヒー!>





ジュプトルはウィザード・フレイムスタイルに変身すると、ウィザーソードガンでベルゼバブに切りかかる。

対するベルゼバブも剣で何もない場所を突いたかと思えば、空間を湾曲させ、ウィザードFS背中から攻撃していた。

突然の背中からの攻撃には、ウィザードFSも戸惑うばかり。

…“コネクト”を使えば似たような攻撃ができる。

しかし、ウィザードの場合は毎回コネクトをするための指輪をバックルに翳さなくてはいけないので、その分の余計な動作がタイムロスとなり、ベルゼバブの攻撃より遅れてしまうのだ。

ならば相手が空間を歪ませて自由自在な攻撃をできなくさせるよう、接近戦を挑む他ない。

リザードンやバンギラスもようやくその場に到着し、リザードンは変身を始めていた。


「ファントムか!ちょうどいい!!」

「気をつけろ、見たところあいつは攻撃の場所を選ばない…つまり」

「ぶっ飛ばせって事だろ!変身!!」

<L・I・O・N、ライオーン!>

「…って、ちょっと待てこの暴走ケンタロスーッ!?」


バンギラスが言い切る前に、突っ込んでいくビースト。

…ああ、あいつ、終わったらストーンエッジ…

そんな物騒なことを考えていたバンギラスの目は、物凄く冷めていた。

ビーストはダイスサーベルを使って、ベルゼバブに背後から斬りかかる。

だが…



『フッ。…その攻撃、貰った』

「何!?」

「…ぐあああっ!?」

「なっ、ジュプトル……ええっ!!?」


なんと、ビーストの目の前の空間が歪み、ダイスサーベルを持った腕が捉えたのは…ウィザードFSの背中。

ウィザードFSも舌打ちしながら銃弾をベルゼバブに放つも、その銃弾はビーストの頭に当たる。

味方同士の潰し合いに発展し、間に合ったオオスバメやコータスなどもこの状況に首を傾げていた。


「あれ?何かおかしなことになってない?」

「ええ…ジュプトルさんとリザードンさんの攻撃が、総て自分達に当たっているような…」

「…あれは、むしろリザードン来なかったほうがよかったかもな…いや、……いずれジュプトルも自分で自分の攻撃に当たってた可能性も考えると…あまり変わらないか」

「だから止めたんだよ俺…『つまり』の後に、『ヘタをすればジュプトルとの同士討ちの可能性もある』って言おうとしたんだよ……」

「っていうか、――ちょっと待って…あの二人今度は本気で自分達同士で戦ってない!?ライダー同士の対立がこれでいいの!!?」


ピカチュウの叫びの意味…

それは、先程から味方であるはずの者に攻撃され、短気なウィザードFSとビーストは互いに斬りかかっていた。

「何故俺を攻撃している」「それはこっちのセリフだ」と言う、幼稚な争い。

ミロカロスとアズマオウはちゃっかりとオオタチが避難させ、オニゴーリはそれを確認した後

――ベルゼバブが既にいなくなっているにも関わらず、ライダーバトルを続行する馬鹿2匹に…“氷の礫”をぶつけていた。

しかもビーストに関しては、バンギラスの“ストーンエッジ”つき。




「……馬鹿かお前らァァァァァー!?」

「お前は…あれほど人の話を聞けとぉぉぉぉぉ!!」

「「えーすしょっとっ!?」」






〜〜〜






所変わって、【雪花屋】。

オオタチはここに避難させていたようで、今はコータスがお茶を出しながら話を聞いている最中。

そして…

廊下では、リザードンとジュプトルがオニゴーリによって座禅を組まされていた。


「「…すいませんでした…」」

「すまんで済んだら保安官も探検隊も要らないんだよ…!」

「だけど、どうするんだ?あのミロカロスかアズマオウが、今回のゲートっぽいし…」

「やっぱり近くで護衛するほうがいいんじゃないかな?…と言っても、護らせてくれるか分からないけど」

「どういうことだ、オオタチ」


オオタチの言葉に、バンギラスが尋ねる。

彼女の話だと…

ミロカロスは大変気難しいことで有名で、特にオスのポケモンは毛嫌いしているとの事。

だからこそ、ポケモン通信の記者も女性が必ず来るよう要求するし、スタイリストやメイクもメスのポケモンスタッフばかり。

いくらジュプトルやリザードンが魔法使いと言えども、オスのポケモンを近くに置くことはないだろう。

特に、常識人でツッコミでもあるヘイガニは…絶対に近寄らせてもらえないだろう。

偶然話を聞いていたギャラドスは、首を傾げながらヘイガニに尋ねていた。


「お前、昔ミロカロスに何かしたんじゃないのか?…いや、お前に限ってそれはないんだろうけどよ」

「何かしたって言われても…身に覚えが全くないんだよな……俺、ヒンバスやミロカロスにちょっかい出したことないし。でも、あのミロカロスって【煌く川】出身だっけ?」

「そうだと思うけど。どうしたの?」

「ますます身に覚えがねーよ。ああいう別嬪さんのミロカロスなんて、一度見たら忘れるもんか……あ、フィルターの強い館長は『一般客』で済ませるだろうけどさ」

「ヘイガニ…お前、後で冷凍保存な」



そうしていると…

ミロカロスと話をしていたコータスが、面目なさそうな顔でやって来る。

どうやら、ジュプトルとリザードンの護衛は無理そうらしい。


「…申し訳ありません。何とか分かってもらえるよう、説得したのですが…」

「無理だった、と言うことか…」

「はい。……ただ、」

「「「ただ?」」」

「ピカチュウさんを明日の女子会に招待しているそうなので、ピカチュウさんと…それから、彼女の友達として私やセレビィさん、オオタチさんが来るのは許してくれるそうなんです」

「…こりゃまた随分と根深いオス嫌いだな。本格的に、昔何かあったんじゃないか?ヘイガニ絡みで」

「だから…俺、何もしてないって!?」


必死で弁解しようとするヘイガニに、「分かってるって」と彼を宥めようとするリザードン。

ちなみに…

【雪花屋】にいる間は、仕事の都合上ずっとコータスやオオタチがついているわけにも行かないので、オニゴーリの護衛をつけることは渋々了解してくれた。

…オニゴーリはよかった辺り、コータスのその辺りでの努力が垣間見える。

殆ど休業中とはいえ、現役のゴールドランクと言うのが大きかったのだろうか。

しかし、ピカチュウ達だけではいざと言う時のファントムとの戦闘がどうにもならない…

ジュプトルとリザードンは暫く考え、そして、――同時に妙案を思いついていた。




そして。

オニゴーリ以外のオス全員を引き連れてやって来た先は、PPCの本部。

何とかフーディンを呼び出すことに成功すると、控え室で『その案』を聞いたフーディンは……

正直、目を丸くしていた。


「……女子会に行っても違和感のない…女装を教えて欲しい?」

「ああ。――俺も正直どうかと思ったが、メスポケモンしか許してくれない以上は…恥を忍んででも、こうする他ない!」

「確かに。…俺は復讐のためなら、どんなプライドでも豪快に投げ捨ててやる覚悟だ…頼む!女装のコツを教えてくれ!!」

「「「何を訊いてるんだお前らはぁぁぁぁぁ!?」」」


ジュプトルとリザードンの暴走に、バンギラス・ヘイガニ・ギャラドスが叫ぶ。

一方のオオスバメは、頭にリボンをつけたジュプトルやリザードンを想像していた。

フーディンも、ジュプトルとリザードンの突拍子もない頼みには、呆然とするばかり…

何気にフーディン・リザードン・バンギラスのFLB組の初邂逅なのに…その理由が【女装のコツを教えてくれ】とは何たることだろう。

かなり動揺しながらも、フーディンは念のために女装を教えてもらいたい面子の確認をする。


「…と、ところで……誰が指南してもらいたいのだ?…いや、流石に私も専門外のことだが…」

「俺とリザードンだ」

「ついでに、オオスバメとヘイガニとバンギラスとギャラドスだ!」

「巻き込むな!俺達まで巻き込むな!!」

「俺行けないから、メスだとしてもヘイガニ族多分無理だから!!」

「俺のこの顔で女装って…公開処刑ってレベルじゃないだろうがぁぁぁぁぁ!?」

「やってみたいのはやまやまだけど…俺も、明日配達あるしなー……ごめん!」



勝手に自分達を巻き込む魔法使い2人の横暴ぶりに、バンギラスが突っ込み…

ヘイガニが必死で訴え…

ギャラドスが叫び…

オオスバメは意外とノリノリだったのだが、明日は仕事なので断っていた。

フーディンも、理由はどうあれ流石に自分が女装を教えるわけにも行かず、申し訳ないと思いながらもPPCのトップでもあるルージュラに相談していた。

そして…

15分後、フーディンから話を聞いたルージュラが現れる。


「成程ねぇ…理由は大体分かったわ。とにかく、最近変な事件が多い中での女子会で…女の子達が心配だから、見守ってやりたいと」

「ああ。自分でも女装するのは流石にどうかと思うが、これも偏に人助けのためだ」

「そうだな。俺はゴウカザルを失ったあの日、一度死んだも同然…もう俺に恐れるものなんてねぇ。――館長以外…だから、女装でも何でもしてやらぁ!」

(((『館長』って言わなけりゃ締まってたのに…)))


リザードンを“頭の可哀想な奴”認識しながらも、冷静に突っ込みを入れるギャラドスとバンギラス、そしてヘイガニ。

オオスバメは…頭の中がお花畑なので、却下。

フーディンもちらちらとルージュラの様子を覗うが、話を聞いていたルージュラは

…目から滝のような涙を流しながら、ジュプトル達に言っていた。


「――任せなさい!あたしはね、目標のためならどんなことでもやれる…頑張り屋で、一途なポケモンが大好きなんだよ!!」

「頑張り屋…?」

「…一途ぅ?」

「どれも2匹と縁遠いと思うんだが」

「どっちかと言うと、ピカチュウとかコータスだよね?」




「……あぁ、会長の悪い癖が始まったな」


フーディンは頭を抱えながら、小さく呟く。

ルージュラは感動屋で情に脆く、『ピカチュウ達が心配だから女子会に潜入できるよう、女装をしたい』と言ってきたジュプトルとリザードンを評価していた。

…ピカチュウとコータス、ついでにセレビィいなくてよかったー…

オオスバメとフーディンの発言を聞いた後のヘイガニは、純粋にそんなことを考えていた。

この時点でオオタチはスルーである。


「その女子会は明日なのよね?だったら、今夜一晩ここに泊まるといいわ。そしてあたしが女子会のイロハを教えてやるわよ!」

「頼んだ、ルージュラ会長」

「そういうわけだ、バンギラス。俺とジュプトルは今日飯いらないって、館長に言っておいてくれ!」

「…はいよ…好きなようにしな……」

「ところで館長って、【雪花屋】のオニゴーリ館長?」

「以外にいないと思うが…どうしたんだ?」


館長、と言う言葉にルージュラは尋ねる。

ギャラドスも、雪花屋でそれらしいポケモンがオニゴーリしかいないのは分かっていたので、ルージュラに尋ね返すと…

ルージュラは超ハイテンションで、話し始めていた。


「あらやだ、やっぱり?あたし、あそこの館長好きだったのよー!ユキメノコと結婚するって聞いたときはショックで、1日ほど米粒一つ口にできなかったぐらいよー!!」

「「「立ち直り早ッ!」」」

「そしてあの館長、モテるんだな…」

「…まあ、名前どおりの鬼であることを除けば、実力的にも……な」

「だから…半年前にユキメノコがいなくなって、つい最近死んだって知った時は、不謹慎だけど再アタックのチャンスが巡ってきたと喜んだわー。だけど館長、ユキメノコがいなくなった時期ぐらいに来たコータスの子と仲いいでしょ。だから、入り込む隙間がないって分かって身を引いたわけよ」



あの子、うちに誘いたいぐらい純朴でいい子だしねー、とルージュラは話す。

女と言うのは、恋愛話をしたがる宿命なのか…

そして、そのことで無駄に長話をしてしまう運命なのか…

とにかくジュプトルとリザードンは、ルージュラの直接指導で女装のコツを一晩みっちり仕込まれることになった。

ヘイガニやギャラドスは「ひたすら疲れた」と頭を抱えて帰っていき、バンギラスも、激しい頭痛を感じたせいか町外れにあるフシギソウの薬屋に言って頭痛薬を処方してもらおうと考えていた。

そして…


「……ギャラドスさん、あいつらどうなると思う…?」

「…考えたくねぇ…ヘイガニ、俺…明日保育所に行くから……バンギラス共々、…任せた…」

「あぁ…なんで明日、俺、大工の仕事休みなんだろう…!」

「……頑張れ…ヘイガニ……」


ギャラドスとヘイガニは、ただひたすらに【明日】と言う日が来ないよう願っていたのだった。






***




問い:ジュプトルとリザードンの女装を知った後のオニゴーリの反応は、どうなるでしょう

1.(絶対零度ぶちかますほど)怒る

2.(雪花屋から締め出しするぐらいに)泣く

3.(腹筋崩壊する勢いで)笑う

4.(救いのない馬鹿を見るような目で)呆れる

5.(あまりにもアレすぎて)絶望する


オオタチの扱いw

最近皆さん、オオタチに手厳しすぎやしませんかね…

いくらオオタチ回がないからって!

でもまぁ、オオタチだからしょうがないのか…

そしてヤミラミおまw

ランドドラゴンリングって、どうしてこう…扱いが……

ウォドラリングも負けてませんが。



ミロカロスとヘイガニは過去に何かある…?

本当にこっちのヘイガニと知り合いなのか、と言うのは謎です。

本当に別固体、という可能性も捨て切れませんし。

「スピデリのオオスバメさん何してんの」w誰だ言ったのww

そして、ベルゼバブとの戦闘で言いようにあしらわれた魔法使いコンビェ…


ミロカロスはオスのポケモンと何かあったんでしょうか。

フィルター強い館長wヘイガニお前ww

しかしコータスも頑張って説得したんですよね…

事実、リザードンとジュプトルと館長、誰に守られたいかと聞かれたら……どう答えます…?←

そして女装www

どうしてこう発想の病気に行き着くのお前らwwwww




次回は…

魔法使い2人の女装を知ったオニゴーリの反応が、めっちゃ気になる。