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タイトル未設定 - 31話:奪われた記憶

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31話:奪われた記憶

Episode4 友よ
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『――テディス、いるのでしょう』



メデューサの静かな声が、響く。

周囲には、テディスと呼ばれたフライゴンぐらいしかおらず、フライゴンは暫くした後…

テディスという蒼い竜のファントムの姿へ変化していた。


『如何致しましたか、メデューサ様』

『あなただって気付いているのでしょう?指輪の魔法使いは、力をつけてきている…ワイズマンは奴の中のファントムを生み出そうとしているけれど、諸刃の剣だわ』

『確かに。しかし、ワイズマンが泳がせると言っているのならば…それに従うのが普通なのでは?』

『魔法使いが4人もいる現状であったとしても?』


指輪の魔法使い、ウィザード。

古の魔法使い、ビースト。

万能の魔法使い、メイジ。

そして…未だ謎に包まれている、白い魔法使い。

確かに想定していたよりも、魔法使いが増えすぎている。

その上、ベルゼバブからの情報によれば、フェニックスは新たな力を手に入れたビーストに倒され…メイジはウィザードよりも前に魔法使いになったという。

このまま魔法使いが増えるような事態になれば、厄介なことになりかねない。


『…確かに、面倒なことにはなっていますね』

『こうなった以上、魔法使いの数を減らさなければ…私達のほうが危険になる。あなたの能力で、指輪の魔法使いを孤立させるのよ』

『いいのですか?私などよりも、メデューサ様が直接手を下したほうがいいのでは』

『あなたは黙って私の言うことを聞きなさい。……それに、あなたの能力なら…もしかすれば、こちらに有益な情報を手に入れられる』

『有益な情報?』

『例えば、……セイレーンの居場所とかね』



魔法使い4人に対して、残っているファントムの数ではいずれ足りなくなるだろう。

そうなった場合、自分達の状況を逆転させるには…

やはり、歌を聞いた相手を情緒不安定にさせるセイレーンの存在が、重要になってくる。

彼女のファントムの増やし方は、非常に効率がいいのだ。ゲートさえ集めて、歌を聞かせれば、すぐに絶望してくれる…

しかもセイレーンの恐ろしい所は、特性の“防音”を持つポケモンにもその効果を与えること。

音は空気を伝って振動として伝わり、その振動は耳に直接入らずとも障害物…つまり対象の肉体に当たる事は可能。

セイレーンの歌によって伝わる振動で、ゲートの内部にある“絶望の因子”を活性化させ、結果的に耳を塞いでも絶望してしまう…


『魔法使いとその仲間は以前、リザードマンと接触している。何らかの方法で情報を得ている…という可能性もあるでしょうが、それでも可能性は低いですよ。それこそ、一番情報を持ち得ている白い魔法使いの記憶でもない限りは』

『いいからやるのよ。……それとも、今すぐにでも石になりたいの?』

『いえ。…では、命令どおりに』


テディスはメデューサの横暴な意見に文句を言うことなく、去っていく。

そして…

そんな彼の目の前にいたのは、ベルゼバブ。

ベルゼバブはくくっと失笑した後、同情的な目でテディスに訊ねていた。


『どうやら、無理難題を吹っかけられたようだな』

『いえ、できなくはありません。ただ、…成功する確率の低すぎる作戦だとは思っています』

『…だろうな』

『ベルゼバブ様はどう思われますか、メデューサ様の作戦は』

『成功する確率は薄いだろうな。……指輪の魔法使い達は、リザードマンから大した情報を得ていない…セイレーンを見つける確率は、1割にも満たないだろう』



でしょうね、と呟くのはテディス。

…そもそもテディスも、ベルゼバブも、メデューサの作戦は成功するはずがないと思っている。

【ジュプトルを孤立させる】ということは可能なのだが、それならばテディスが言うように、メデューサ自身が直接絶望させたほうが早いし確実。

しかし【セイレーンを見つける】と言う目的も、セイレーンの情報を持ちえていないであろうジュプトル達ではテディスの能力の使い損というもの…


『どうします。流石に私も、石にはなりたくないから従うつもりですが』

『ふむ。時に君は…記憶の書き換えは可能か?』

『ベルゼバブ様の操作能力ほどではありませんが、少々ならば』

『戦闘能力は』

『…魔法使い2人“だけ”を同時に相手にする前提ならば、自信はあります』

『そうか。……指輪の魔法使いを狙うのなら、効率よく相手を追い詰めて…最終的に“アレ”に頼らざるを得ない状況を作るのもいいか』

『ベルゼバブ様?』

『いや、――分かった。だったら、簡単ではあるが作戦を与えよう。……』




その頃…

ポケモンタウンから遥か遠く離れた、山岳地帯。

そこでヨノワールは、【神の頂】を探すべく、山を登っていた。

しかし、この山は随分と高い。

ここならばもしかすれば…と言う希望を持ってきたのだが、その前に高山病になりかねないだろう。

そうしていると、下のほうから元気に声を掛けてくるポケモンがいた。

…それは、以前リザードンやバンギラス、ついでにオオタチと一緒にサンドパンの発掘隊に同行していた……ブイゼルだ。


「――い、…おーい!」

「?…あれは……ブイゼルか。こんな場所で見るのは、珍しいな…」

「おーいっ、あんたも旅の人かー!?」

「如何にも。その口ぶりと荷物からすると、君もそうらしいな」

「ああ。そうだ、あんたも旅人なら知らないか?【神の頂】って場所!」

「!」


予想だにしない相手から、予想だにしない地名が出され…

ヨノワールは冷静さを一瞬忘れ、ブイゼルの肩を掴んでいた。

しかし、自分が取り乱していることに気付いたヨノワールはすぐさまブイゼルから手を離すと、暫く深呼吸をしてから改めて訊ねる。


「……なぜ、【神の頂】を探しているんだ?」

「そこに、俺の恩人がいるかもしれないんだ。命の恩人が」

「命の恩人?」

「もしかして、あんたも【神の頂】を探してる系か?」

「…、……ああ。個人的に、気になることがあってな」



ヨノワールは、もしかすればブイゼルが敵が差し向けたファントムである可能性を考え…

最低限の情報しか流さなかった。

彼が【神の頂】を探す理由は、ただ一つ。

――時が戻ったと同時にファントムが誕生しはじめた、その理由を…隠されている真実を探るため。

ヨノワールは過去を変えたことによる未来世界の修正…そして、その修正に巻き込まれて消えるはずだった自分達を救ったポケモンに、大体の見当をつけていた。

……総ての命を作ったとされる神、アルセウス……

アルセウスならばファントムが誕生したその理由を知っているのではないか、ファントムとは、魔法使いとは何なのか知っているのではないか。

そんな希望を持って、【神の頂】を探している。

…そういう事情を知ってか知らずか、ブイゼルは「へー」と返すのみ。


「あんたも探しものか?ちょうどいい!」

「何?」

「旅は道連れ世は情け、ってよく言うだろ。【神の頂】は伝承でしか存在が確認されていない場所なんだ…一人で探すより、二人で探したほうがいいだろってな!」

「……すまないが、君の助けは不要だ」

「そうそう、不要…って……ええっ!?ちょ、待ってくれってば!おーい!!」


ヨノワールはブイゼルを信用しきっていない様子で、先に山を登り始める。

そんな彼の態度に「何だよ」と思いながらも、ブイゼルは荷物袋を肩に担ぎ、ヨノワールの後を追いかけていた。

だが…

そんな彼らの後姿を岩陰から眺めていたのは、1匹のモルフォンだった。


「…やっと見つけたぜ、ゲート…!」






〜〜〜






【雪花屋】では、オニゴーリがポケモン通信を読んで考え事をしていた。

半年前以前のポケモン通信は既に捨てられているため、バンギラスに頼み、儀式のあった日の前に発行されていたポケモン通信を借りているのだ。

そして…

彼は暫く考えた後、深い溜息をつく。

そうしていると、コータスが茶を持ってやって来ており、おざなりな返事を返す。


「オニゴーリさん?考え事ですか」

「…ん、まあ」

「調べ物も大事ですが、ちゃんと体を休めてくださいね。特に何かを読んでいると、目は疲れてしまいますから」

「…ああ」

「…それから、先程スピデリのムクホークさんが、オニゴーリさん宛ての手紙を持ってきてくれたんです」

「……何?」


コータスから手紙を受け取ると、オニゴーリはその内容を読み始める。

そして、暫く読み進めた後…

「あぁ」と驚いたように声を上げ、コータスに説明する。


「なんだ、あいつ結婚するのか」

「あいつ…とは?」

「以前、和菓子職人のチャーレムと知り合いだって言ってただろ。そいつが、同じ店で働くサワムラーと結婚するんだと」

「……女性の方だったんですね、そのチャーレムさん…」



オスしかいないサワムラーと結婚する、と言う以上、チャーレムはメスで確定。

そのチャーレムとオニゴーリが知り合いだと言うのは、多少複雑な気持ちがあるのだろう…

ユキメノコという亡くなった妻や、ルージュラのように好意を持っている者がいれば尚更。

彼女が妙な誤解をしているのだと感付いたオニゴーリは、チャーレムについて話し始める。


「あいつはユキメノコの親友だったんだよ。そうなると、当然あいつの夢についても知ってるわけだろ」

「……」

「その夢を応援する代わりに、自分の作った和菓子を置いてくれって言っててな。…ユキメノコがいなくなった後も、あいつの夢の旅館に自分の和菓子を置くのは自分の夢でもあるからって、送ってくれてんだ」

「そう、だったんですか…それで、その手紙……他には何と?」

「仲人やってほしいって手紙。――まあ、あいつとしても本当はユキメノコにやってもらいたいんだろうが…もう死んでしまった以上は、俺がユキメノコの代わりに見届けてやらないとな」


チャーレムには、ヘルハウンド撃破後…『ユキメノコは半年前の誘拐事件で命を落とした』と説明してある。

…ファントム云々の話をしても、すぐには信じてもらえないと思ったからだ。

話を聞いた当初のチャーレムは、それは激しく泣いていたそうだが、サワムラーに支えてもらいつつ何とか立ち直ったらしい。

それがきっかけでサワムラーと交際することになったらしく、2日後に式を控えるほどのスピード結婚。

その話を聞いていたコータスは、チャーレムが立ち直ってよかったと思う反面…

結婚はしていても、結局式を挙げることのできなかったオニゴーリの胸中を察したのか、声を掛けていた。


「…あの、……私もついていきましょうか…?」

「大丈夫だろ。式の会場はそれほど遠くもないし、…オオタチだけで【雪花屋】が成り立つと思うか…?」

「思いません」

「だろ?俺がいない間の事は、任せたぞ」

「…分かりました」




オニゴーリは支度を済ませると、【雪花屋】を出て行く。

そんな彼を屋根の上から見ながら…

テディスとベルゼバブが、話をしていた。


『…面倒そうなのが、どこか行くみたいですね。ベルゼバブ様の作戦ですか?』

『いや。しかし、あのオニゴーリがいないのは何かと好都合だろう。……どうもアレの近くには、白い魔法使いがうろついているからな』

『その情報は…どこから?』

『ある程度は信頼できる情報筋からだ。とにかく、奴がここを離れるのならば…潜入して【仕込み】をするのは容易いということと同義だ』


成程、と納得するテディスの横で…

ベルゼバブはペガサスによる話の内容を、思い出していた。

“白い魔法使いと遭遇する確率が高いのは、指輪の魔法使いでも古の魔法使いでもない”

“【雪花屋】を営んでいるオニゴーリ館長が、一番多くアレと接触している”

“白い魔法使いと繋がりがあるかどうかは不明だけど、一応頭の中には入れておいてもいいんじゃないかな?”

しかも、話を聞く限りではジュプトルよりも先に接触しているようで、白い魔法使いとの関連性を疑い始めるベルゼバブ。

だが今は、作戦を遂行するべきだと考え直し、テディスに指示を出していた。


『では、頼むぞ。テディス』

『了解しました』




ピカチュウは相変わらず、大きな欠伸をしながら遅れて起きてくる。

ミロカロスが「特訓をする」と前日に言えば、その翌日は早く起きるのだが、それがなければやはりいつもの寝ぼすけ…

そんな彼女にコータスは失笑しつつ、目覚めのホットココアを出していた。


「おそようございます」

「…おそよう…ジュプトル達は?」

「ヘイガニさんとギャラドスさんは大工の仕事で、ミロカロスさんは探検隊立ち寄り所に行って依頼を見てきています。オニゴーリさんは、用事があって暫く【雪花屋】自体を空けるのですが」

「用事?どんな用事なの??」

「以前お話したチャーレムさんが結婚なさるようで、その仲人として出席するそうです」

「へぇー…で、ジュプトルは?」

「リザードンさんやバンギラスさんと一緒に、ポケモン通信社で調べ物をしています。依頼が決まればミロカロスさんが呼びに行くそうなので、合流するつもりならそっちに行ってはどうですか?」


成程、と呟きながらココアを飲むピカチュウ。

皆が色々としているのに、自分だけ何もしていないと言うのは複雑だったのだろう…

「何かできることはないかな」と考え始め、それが表情に出ていたのか、コータスは苦笑しながら話す。


「ピカチュウさんは、今のままでいいと思いますよ」

「へあ?」

「ピカチュウさんは今のまま、まっすぐに前を見て…夢のために歩き続けてください。あなたの頑張りや笑顔は、少なからず皆の支えになりますから」

「……そうかなぁ」

「それでも何かしたいのでしたら、まずは早起きすることから、ですね」

「…うぐっ」

「冗談ですよ。…そうだ、ポケモン通信社に行くつもりでしたら、その途中で病院に寄ってもらえませんか?オオスバメさんへのお見舞いの品が、机の上に置いてありますので」



机の上、と聞いてピカチュウが見たのは…

2つもぽっかりと不自然な空間が開いた、木の実籠。

……あ、これ、オオタチとリザードンさんの仕業だ…

ピカチュウははっきりと犯人を断定させ、コータスもその2匹だと分かっているのか、困り顔。

仕方ないと思いつつ、オオスバメだからある程度少なくても気付かないだろうと思ったピカチュウは、空白を埋めるように籠の中の木の実を詰め直す。

そうしていると、ドンドンと荒いノックが聞こえ、オニゴーリが忘れ物でもしたのかと思ったコータスが、玄関のほうに向かう。

だが…


「――きゃああああっ!?」

「こっ、コータスさん!?一体何が…ッ!」

『ちょうどいい。君のも頂こうか』


叫び声を聞いて、ピカチュウが走り出すと、目の前にはテディス。

そして、テディスはギラリと金の瞳を光らせ…






〜〜〜






病院。

そこでは、オオスバメが完全に暇を持て余し、リハビリがてらに空でもひとっ飛びしてこようかと考えていた。

…これがもしオニゴーリ辺りにばれれば、氷の礫制裁は確実である。

そうしていると、ラッキー婦長がやってきて、「お見舞いですよ」という。

やってきたのは、木の実籠を持ったピカチュウだった。


「オオスバメさん!お見舞いに来たよ」

「ピカチュウ〜、よかった、ちょうど暇だったんだよー」

「もしかして…病院を抜け出そうとか、思ってた?」

「うん」

「はっきりと言うね!?」


嘘偽りなく、はっきりと「うん」と肯定するオオスバメ…

流石に、ここまでバカ正直だとはピカチュウも思っていなかった。

多少は呆れながらも木の実籠を机の上に置き、ピカチュウはオオスバメに軽く挨拶を済ませて部屋を出ようとする。


「それじゃ、また来るからね」

「えっ、もう帰るの!?」

「私だって忙しいの!ミロカロスさんが依頼を見つけた後、ポケモン通信社に行くみたいだから…ほら、リザードンさんとバンギラスさんが今、色々探し物してるみたいだから」

「へぇー…いいなー、俺も外に出たいなー……出ようかな」

「駄目だってば!?絶対安静!」

「冗談だって。そういえばジュプトルは?お見舞いに来ないのジュプトルだけなんだよねー…」



嫌われてるのかなー、と気楽に言うオオスバメ。

だが…

その名前を聞いた瞬間、ピカチュウはキョトンとした顔を見せていた。


「……ジュプトル?それ、誰?」

「え?誰って…ジュプトルはジュプトルじゃん。魔法使いその1」

「魔法使いって…オオスバメさん、魔法使いはリザードンさんだけでしょ?あ、でも、白い魔法使いやメイジって魔法使いもいるみたいだし…」

「えぇ?ちょっピカチュウ、ジュプトルはどうしたの?喧嘩でもした??」

「オオスバメさんこそ、何言ってるのか全然分からないよ。もしかして昨日、館長に氷の礫を頭に当てられたショックで、おかしくなったんじゃ…とにかく安静にね!」


ジュプトルのことを訊ねても、「知らない」といった様子のピカチュウ。

最終的には、オオスバメが頭に氷の礫を受けたショックで、変なことを言ってるのではと言う始末…

流石にこれは怪しい。

今すぐジュプトルに尋ねるべきかな、と思い部屋を飛び出そうとするが…オオスバメの前には、ラッキー婦長。

脱走の常習犯や、その兆候がありそうなポケモンの部屋の前には、必ず婦長か看護師が待機するこの病院のルール。

流石に婦長を吹き飛ばしてまで行くわけにも行かず、オオスバメはすごすごと部屋の中に戻っていった…

なお、窓から脱走すればいいのだとオオスバメが気付いたのは、これから2時間後のことだった。




ピカチュウに異変が起こった後の、ポケモン通信社。

そこでは、ジュプトルとリザードンがバンギラスの手伝いで、過去の新聞に目を通していた。

紙面から得られる情報は意外と馬鹿にできず、小さな記事に、ファントムとなった可能性の高いポケモンもいることだろう。

…中には、本当に不運な事故に巻き込まれた者もいるだろうが…

リザードンは首を掻きながら、ジュプトルに訊ねる。


「……これを調べたところで、何のファントムか分かるってわけでもないんだろ?」

「ああ。だが、警戒することは可能だ。こっちはファントムを見分ける術がない以上、怪しそうな行方不明者に目星を付けて…未然に阻止しなければ」

「それに、怪しいといえばこいつも相当だ」

「「ん?」」

「――フライゴン。探検隊【フライーズ】のリーダーで、半年前の儀式の3日ほど前からいなくなっている」


バンギラスはそう言いつつ、ジュプトルとリザードンに記事を見せる。

フライーズはブロンズランクの探検隊で、チームメイトにナックラー・ビブラーバを有している。

しかし、フライゴンの謎の失踪でフライーズは探検隊活動が立ち行かなくなり、解散…現在はそれぞれ別の探検隊に入れてもらっているそうだ。

儀式の3日前の失踪、というのは一番怪しむべきポケモン。

そうしているとウソッキーがやって来て、バンギラスに声を掛ける。


「おおい、バンギラス。お前に会いたいって奴がいるんだが」

「俺に?…何の用なんだ」

「さあな。……つか、勝手に部外者入れるなよ。また例のファントム絡みか?」

「まあ、そんなところだ。…とりあえず、行ってくるか」



バンギラスは一息つきながらも、資料置き場を後にする。

しかしジュプトルは、先程ウソッキーが自分を見て「部外者」と言っていた事が気になる。

確かにポケモン通信社で働くポケモンにとって、ジュプトルは部外者でしかないだろうが…それはリザードンも同じはず。

一体どうしたのだろうかと思っていると、バンギラスが戻ってきて…

驚いたような顔で、ジュプトルを見ていた。


「…おい、リザードン。いくらこう言うのは向かないからって、赤の他人を呼んできて手伝わせるのはどうなんだ?」

「……は?」

「いや、バンギラス。…話が全然見えないっての……赤の他人?ジュプトルがか??」

「それ以外に誰がいるんだ。いいから、余計な奴を巻き込むな…お前も、もういいからとっとと帰れ」


数分前まで親しかったはずのバンギラスが、いきなり人が変わったかのようにジュプトルを知らない人扱いする…

この異様な事態にリザードンとジュプトルは互いに目配せし、同時に走り出していく。

リザードンまで急に出て行き、「おい」とバンギラスは叫ぶが、そんなことを言っている場合ではない。

そうしていると、彼らの目の前には、ポケモン通信社に所属する他の記者達から“何か”を食べている……テディスの姿がそこにあった。


「……ファントム!?」

「成程、バンギラスのあの態度はあいつの仕業ってか…しかし何食ってんだ、あいつ?」

『指輪の魔法使いと、古の魔法使いですか…ターゲットは後者だけのつもりでしたが、そう上手く行くはずありませんしね』

「当然だ。…どのゲートを絶望させようとしているかは知らないが…」

「俺らの前に現れたこと、後悔するんだな!」

<ハリケーン、プリーズ フー、フー、フーフーフフー!>

<セット、オープン! L・I・O・N、ライオーン!!>




ウィザード・ハリケーンスタイルと、ビーストが同時にテディスに切りかかる。

しかし、テディスは大きな薙刀を取り出すと、二人の攻撃を受け止め、返す刀で切る。

すかさずウィザードHSは“バインド”で相手の動きを制限しようとしていたが、テディスは背中の翼で大きく上昇すると、地面から伸びる鎖を切り払う。

そこへファルコマントを装着したビーストが物凄いスピードで向かい、ダイスサーベルを振るうが、やはり受け止められてしまい…更に相手の蹴りが顔面に浴びせられる。


「ぐあっ!?」

「このファントム…強い!」

『あなた方だけを相手にするのなら、私でも勝機はあります。ですが……面倒くさい手順を踏まねばならないのはファントムの常、と言うべきでしょうか』

「…何?」

『折角ですから、見せて差し上げますよ…私の能力』


テディスは地面に落とされたビーストを片手で持ち上げると、…彼の頭から緑色の靄のようなものがふよふよと出てくる。

そして、テディスはそれを容赦なく食らうと…更に、吐き出した青色の靄をビーストの中に入れる。

…あれは一体

ウィザードHSがそう思っていると、ビーストは正気に戻り、ダイスサーベルを構えていた。


「…はっ!お、お前、今俺に何したッ!?」

『さあ、何をしたでしょうか』

「リザードン!何か異常はないか!?」


気が付き、何をされたか問い詰めるビースト。

くすくすと笑うテディス。

ウィザードHSは急いでビーストの元に向かうが、…彼の異変はすぐにウィザードHSの知るところとなった。



「――なんだお前、一体誰だ?」

「…な、に…?」

「その姿からして、まさかとは思うが……俺や白い魔法使い、メイジ以外の…魔法使いか!?」

「何を言っている…リザードン!」


先程まで一緒に戦っていたのに、急に『誰だ』と言い放つビースト。

…バンギラスの身に起こった異変と、同じだ。

となれば、一番怪しいのはテディスの行為。緑の靄を食べ、別の靄をビーストに吹き付けていたあの行動。

テディスはくっくと笑うと、突然の事態に戸惑っているウィザードHSに言い放つ。


『これが私の能力。…私は他人の記憶を食べることができる、【記憶喰い】でしてね……』

「記憶、喰い…だと?」

『彼の中から、あなたに関する記憶を食べました。彼だけではない、ポケモンタウンにいるほぼ総てのポケモンの記憶を』

「なん、だと!?そんなこと、できるはずが…」

『できます。――そうでなければ、急に今まで共に戦っていた者のことを忘れたりしますか?』


【記憶喰い】

そう告げたテディスの顔は、笑っている。

ウィザードHSは突然の事態に困惑しながらも、ゆっくりとではあるが理解した。

――奴は、俺を孤立させるためにリザードンの記憶を食べたのか

しかし、それだけで終わらないのがテディスの力。

彼は記憶を食べた相手の個人情報を読み取ることが可能で、更に、食べるのより時間は掛かるが…相手に別の記憶を吹き込むことも可能。

そして…



「!……思い出したぞ、お前…」

「リザードン!正気に戻っ」

「…テメェ…テメェが、ゴウカザルを……!うおおおおおおッ!!」

<ハイパー、ゴーッ! ハイハイ、ハイ、ハイパー!!>


“ゴウカザルを絶望させ、グレムリンにした原因”

その記憶を微妙に書き換えられたビーストは、目の前にいるウィザードHSを仇だと思い込む。

ビーストハイパーとなった彼は、ミラージュマグナムでウィザードHSを追い詰め、ウィザードHSは“ディフェンド”で攻撃を防御しながら叫ぶ。


「リザードンッ!?……どういうことだ、お前の仇のフェニックスは…お前自身が倒したはず。それ以前に、……どうして俺を!?」

『あなたに関する記憶を食べたついでに、あなたを仇だと思い込むようしておきました。説得するのもいいですが、彼がそれを許しますかね?』

「…ッ!貴様…!!」

「覚悟しろ!」

<マグナムストラーイク!>


怒りに震えるビーストハイパーが、ミラージュマグナムを構える。

…いつの間にか壁まで追い詰められ、逃げ場がない。

ウィザードHSは咄嗟に左手の指輪を変え、そして…

ビーストハイパー最大の一撃が、放たれていた。






***




今回の鍵となるのは…

オオスバメなのか、それとも、オニゴーリ館長なのかw

……前者だと、完全にファントムの絶望(作戦失敗的な意味で)ですね……


ゲートを見分けられる能力はあるが、基本的に他人任せで力で支配する上司…

再生能力に優れるが、脳筋で粗暴で短気で手に余る上司…

何か企んでいることは明白だが、きちんと作戦を立てて必要に応じて自分もフォローに入る上司…

隠し事ばかりで何を考えているのか分からない上司…

さて、皆さんなら誰についていきますかw

どう足掻いてもファントムの上司って碌なのいないな…

でもドワーフやテディスの、メデューサとベルゼバブに対する態度の差を見るからに、ベルゼバブのほうが部下からの信頼も厚いんでしょうね。

まあ、仕事もできて有能な上にフォローにも回ってくれるんですから、ベルゼバブのほうがマシか…



オニゴーリとコータスは着々とフラグ立ててるなw

しかし館長、結構ユキメノコの話題するなぁ…そっち関係の知り合いが多いからなんでしょうが。

(例:プクリンことRIN-RINの話題、女子会潜入時ピカチュウ達に貸した化粧道具、今回のチャーレム関係の話)

でもオニゴーリ自身の知り合いって、碌なのいない(ルージュラ、白い魔法使い)ようなw オーダイル棟梁は別ですが。

ちなみに、館長とジュプトルの遭遇率って、1つ差なんですよねぇ。

だけどたった1回の差でも、魔法使いより会ってるって…


オオスバメw

相変わらず馬鹿だろお前ww

…でも、オオタチとリザードンも大概だと思うんだ…

お見舞いの品勝手に食べるし。

しかし、対象の記憶を食べる上に一部分だけ記憶を書き換えられるテディス……

ビースト・ウィザードを相手にしても大丈夫みたいですし、これは本当に、白魔来ないと危ないんじゃあ…?

メイジ?

多分あいつは役に立たない←




次回!

オオタチとオオスバメとブイゼルとオニゴーリとヘイガニとヤミラミとヨノワール、さあ誰がメイジでしょう。