五郎は、目を覚ました。
周りには、紫ピクがいて、五郎を中心に、円を描いていた。
「おう・・・。お前らどうした。」
五郎は、無理に立ち上がり、なるべく元気なようにみせた。
「聞きたいのはこちらですぜ若旦那!何でこんな所で倒れてたんですか?あっし達が心配になって、探しに行ったら、ここで倒れていたわけです。」
「そうか。」
五郎は、辺りを見回し、言った。
「それで、何があったんですか?教えて下さい。」
「ん?貧血だよ。さあ、次の階に行くぞ!」
五郎は、ここで、あの謎の声の事を話すのはやめようと思った。ここで話したら、皆はここの洞窟を探検する事を拒むだろう。せっかく洞窟を見つけたのに、ここでお宝を取らずに帰ったら、自分達は、いつかホコタテ人に殺されるであろう。だから、五郎は本当のことを言わなかった。
「・・・へい・・・。」
子分達は、疑ったように見えたが、五郎の後に、無言でついていった。と、その時、五郎は、何か金縛りに会ったように、動けなくなってしまった。
あの声が聞こえてきたのだ・・・。
『血の臭いだ・・・。へへ・・。獲物はまだいるぞ。今度は、多くの血の臭いがする・・。大勢だ!いっぱいの獲物がいるぞ・・・。へへへ・・・。』
五郎が、その場で突っ立っていると、後ろから子分達に押された。
「うわっ!若旦那ぁ、どうしやしたか!」
それに正気づいた五郎は、皆の顔を見て驚いた。皆、普通の顔をしている。まるで、さっきの声が聞こえなかったように・・・。
五郎は、驚きを隠せない顔で、近くの子分に聞いた。
「さっき、変な声がしなかったか?」
しかし、その子分は、
「いいえ。何にも・・・。」
と、答えた。恐らく皆そうだろう・・・。
では、あの声は自分しか聞こえないのだろうか・・。五郎の額に、冷汗が垂れる。
「若旦那ぁ!やっぱ、なんかあったでしょう!何言われても、俺達は若旦那に着いていきますぜ!」
五郎の異変に気付いたのか、一人の紫ピクが聞いてきた。五郎は、話そうか迷った。これを話すべきだろうか・・・。こいつらは付いてくるっていってるからな・・・。
五郎は、思い切って子分達に、謎の声のことを話した。皆驚いたようだが、逃げようとはしなかった。
「さすがはオイの子分達だ。さあ、二階へと行くぞ!」
紫ピク達は、地下二階へと続く洞窟へと入っていった。........