〜要塞都市樹海のヘソ〜
「こちらガンマ小隊。これより本隊の援護へ向かう」
そう無線に吹き込んだパイソン上等陸兵は肩から提げている「GKDラグナロクアサルトライフル」を握りなおすと部下5名を引き連れ重厚なシャッターが開かれた門を抜け外へと駆け抜けた。
外はまるで別世界のような喧騒と怒号に包まれ時折空気を引き裂くような爆発音が響いた。
「本隊は・・・第4ブロックの外か・・・第4ブロックへ向かおう」
パイソンは部下を引き連れ第3ブロックから第4ブロックへと向かった。
道中、戦車や装甲車が通れるよう広く作られた要壁内側の通路は運ばれていく重軽傷者や増援に向かう部隊、外地から来た救援部隊のヘリや輸送車などでごった返していた。
「いったい何が起きているんだ」
実はパイソンをはじめ殆どの戦闘要員はスクランブルで半ば追い出された形になっており敵への攻撃方法や有効兵装はおろか敵がなんなのかすらわからないという状況であった。
そのときであった。ホバリングを行い、物資を下ろしていた大型輸送ヘリ「ヒューガ」が突如機体を拉げ、金属の軋む悲鳴のような音を立て炸裂。周囲に凄まじい爆風とともに?肉片?をぶちまけた。
「ふせろ!」
絶叫にも近いパイソンの命令を聞いてか聞かずか5名の隊員は反射的に身を伏せた。刹那、火の玉と化した輸送ヘリは下の隊員と輸送物資を押しつぶし、輸送物資であった弾薬に引火。とどめとも言わんばかりの大爆発を巻き起こし周囲の隊員や物資、トラックを薙ぎ倒した。
「隊長!救助活動に当たりますか?」
「我々は援護要請を受けて出撃したんだ。任務は全うしなくてはならない」
駆けつけた救護班に後を任せパイソンは本隊と合流するため、一層混雑し始めた通路を駆け抜けていった。
第4ブロック外装についたときだった。
『第4ブロック内に居る全部隊に通達する。これより可変式砲塔及び特殊機関砲塔による砲撃を敢行する。付近にいる部隊は即刻移動せよ。また、D?型多脚砲台を戦線に投入する。その際に第4ブロック大門が開く。敵が侵入せぬよう敵の進行を食い止めよ』
との通達だった。
「砲塔が起動する上に多脚砲台まで・・・これでは防衛ではなくまるで戦争だ・・・」
『隊長、可変式三連砲塔が起動しています。早く先を急がねば衝撃波の餌食です』
そういわれ重低音のするほうへ目を向けると、低い唸りを上げながら太い金属製の支柱の上部が開き、鉄の塊とも言える砲塔が姿を見せ、3つ開いた穴から長い砲身が伸びていった。
この一基を皮切りに各所でも砲塔が出現し、第4ブロック外部へ向けて砲身を伸ばしていった。
そのとき基地全体に響き渡るようなサイレンが鳴り響いた。
「砲撃準備の合図だ。急いでいこう」
重厚な金属音を立てながら大門が開き始めたのを見たパイソンは急いで大門へ向かった。後方からは多脚砲台が置かれている格納庫のシャッターが上がり中から多脚砲台が一歩一歩地面を踏みしめて向かってくるのが分かった。振り向いて見るとその巨大さが分かった。
パイソン自身起動した状態を見るのは初めてで皆もそうらしく言葉を失った。地上兵器としてはあまりにも巨大で脚がはえた砲台は見るもの全てを圧倒した。
そのとき、けたたましくなっていたサイレンが鳴り止んだ。砲撃開始一分前の合図だ。次のサイレンがなった瞬間砲撃が開始される。
大門を抜けたパイソンは隊長格と思われる男に駆け寄った。
「ガンマ小隊パイソン上等陸兵以下6名です。援護に来ました」
「調度良いところに来たな。これから敵の本隊が来る。一兵でも多くほしいところだった」
「ところで敵というのは・・・」
「知らされていないのか?」
その隊長格が6人を見たが知っている風の者はいなかった。
「本部は麻痺しているようだな・・・敵は「原住生物」だ」