皇国軍の2人と別れた王国軍の2人は暇なのでワインでも開けようと自室へと歩みを進めていた。
シャリシャリ…
後方から何か固めだが潤いのある物を齧っているような音が聞こえた。特に関心もなかったのだが少し首を動かし後方へ眼をやるとどこから取り出したのか呑気に後ろをついてくるダルクが外を眺めながら真っ赤な林檎を齧っていた。
「(超兵士としての自覚はあるのかしら)」
ダルクが王国の超兵士部隊であるローゼンクルセイドに入隊したのは狙撃の名手ブリッツ・ヘイム中佐が戦死したあの【エルドラド戦争】が終戦して間もなくのことだった。そんなわけで入隊してから今日までの期間が短いが故、未だに自覚が芽生えていないのかもしれない。それともこの隊に居ることが不本意なのかもしれない。なぜなら、見る人間が見ればわかることだがあの特徴的な銀髪は純血エルドラド人の一部のみがもつ髪質であると同時に彼女は元エルドラド帝国軍人であるがためだ。通常、超兵士ともなると純粋な自国民のみしか入隊が禁じられているのだが他国民の彼女が入隊した背景には?ある?理由がある。それは…
「ねえスカーレット」
スカーレットがダルクについて思い起こしているとモソモソと食べながらダルクが話しかけてきた。
「食べるか話すかどっちかにしなさい」
「じゃあちょっと待って」
そういうと口に含んでいたものを急いで胃へと誘いまたどこへやら林檎をしまった。
「(天然?)」
「これでいいでしょ」
「で?」
「もともとあなたは無名の兵士だったんでしょ?」
「そうだったわね」
「で、そのうち敵対していた国から脅威の象徴としてナイトメアという暗号名をつけられ、それ以後他の国からもナイトメアと呼ばれるようになった」
「たまたま暗号電文を傍受したから解読したら私のことをナイトメアと読んでいるようだったから暗号電文はもうばれているという警告ついでにナイトメアと名乗ったまでよ」
「スカーレット・ナイトメアになったのはいつ?」
「超兵士計画が発足して就任した時にね」
「なんで紅?」
「机に赤ワインがあったから」
「なんて適当な」
「私にとって名前は意味を成さないから適当で良いの」
「あなたにだって本名はあるでしょう?」
「さてね。以前の私は死んでしまったわ」
「軍の極秘データベースにならあるかしら?」
「国家機密レベルだからないでしょうね」
「あたしのときとずいぶん扱いが違うじゃない」
「あたりまえじゃない」
「いつか昔の名前を暴いてやる」
「まあ頑張んなさい」
用件は済んだのかダルクは再び林檎を取り出しシャリシャリと齧り出した。
「(あんなところに入れてたのか…)」