「これはいったい…」
調度丘の下の平地からは死角となっている壁際に着陸し丘の下に広がる要塞都市を見たコスモは言葉がそれ以上でなかった。
強大な軍事力の象徴であり防衛軍の要所であるはずの要塞都市樹海のヘソはもうそこにはなく燃え盛る業火に包まれたまさに「地獄」がそこには広がっており、炎に包まれ傾き始めた中央指令塔が物悲しかった。だが、完全にホコタテ防衛隊は沈黙したわけではなく各地で銃声や爆音が響いていた。
「これが自分たちホコタテ人の犯した罪の代償…」
燃え盛る火の海を前にコスモが一人ごちていると
『コスモさん。この下に微かですが生命反応が感知できます。おそらくピクミンたちはオニヨンに入っているものとおもわれます』
「下…というと?」
『この地面の真下、地下水流の中です。が、幸い流れは穏やかでこの度の戦闘の被害も殆どありません』
(これが機械の強みか…)
歴史が変わるかもしれない出来事が眼前で繰り広げられているのに冷静且つ、的確に行うべき提案を上げてくるスター・ドルフィンに少しの尊敬と憤りを覚えたコスモはとりあえず待っていても危険なだけなので下へと向かう穴を探すことにした。
「さがすっていっても防衛隊が気づいていないとするとそう簡単に見つかるものでもないか…」
コスモはぶつぶつ言いつつ辺りを隈なく探した。
そして、水辺の跡とおもわれる乾いた地面に降り立ったときのことだった。突然地面が揺れだし脇の岩が突如として砕け散り、なかから硬そうな鱗状の土とも鉄板ともつかないものを纏った通常のものより一回り大きい茶色のチャッピーが現れた。
「まだここにも原住生物が生息していたのか…」
と、安堵の息を漏らしたが対するチャッピーの表情は険しく目からは殺気が溢れていた。
「どうやら見過ごしてはくれないようだ…」
コスモは炎と黒煙を噴出しながら倒壊していく砲塔を横目にチャッピーへ身構えた。すると、こちらの覚悟が出来たと悟ったのか相手を気圧させるが如く咆哮を轟かせ勢いよく突進を開始した。
いざ身構えたコスモだったが猛進するチャッピーに到底敵うはずもなく十分ひきつけた後、間一髪のところで脇へ飛び、回避した。案の定速度が出ていたチャッピーはとまることができずそのまま岩壁に衝突、上部の岩を崩落させた。すると、その中の一つがたまたま地盤のやわらかい箇所に命中、そこを崩壊させた。
「お、これは…」
幸運にも崩壊により生じた穴は地下水流に通じており、冷たそうな穏やかな水流が確認できた。
「スター・ドルフィンの話だとこの水脈にピクミンがいるんだったな…」
コスモは体勢を立て直そうとしているチャッピーを確認するとそのまま水流に身を投じた。