新天地、S.A.C.B.ではもうすでに黄、紫の2種のピクミンに出会い合わせて4種類となった。
「それにしても食物連鎖の枠を超え、天敵同士で破壊者に立ち向かうとは…自然とは奥深いものだ」
と、道中、だんだん父や祖父に似てきた自分に少し笑った。
暫くするとピクミンたちの隠れ家というほうが相応しい基地に辿り着いた。中は外から見るより遥かに広く、まさに野戦病院といった感じだった。
「白ピクミンが治療するとはな…毒を以て毒を制すか…」
そんな感慨もそこらにピクミン達は久々の再開に大喜びしていた。
やはり、原住生物と共同戦線を引いているせいか傷ついたチャッピーをはじめとする原住生物が休んでいたがオリマー日誌に書かれていない生物が予想以上に多かった。
奇襲を仕掛けてこれだけの被害を被っている。ホコタテが本気で攻め込んできたらとてもじゃないが勝ち目はない…。もし、新式の武器、特に?超兵器?と呼ばれるジェノサイド兵器が投入されればそれこそ文字通りの虐殺が始まってしまう。
宇宙通信機の連絡によると各地で勃発した戦闘はホコタテ星人の撤退や玉砕で徐々に終結し原住生物たちが白星を飾ってこそいるが燻った火種がそう簡単に収まるはずもない。
ここに来る途中にヘビガラスの亜種と思われる個体が戦車を破壊していたが、戦車を始めとする機甲車輛に対し大型原住生物なしで戦うのは半ば無謀というものだ…。
それにこの基地もいつ上空を旋回するヘリに見つかるか分からない。もし見つかれば戦車隊。もしくは戦闘ヘリの餌食となり戦況が一変するのは目に見えていた。
「戦争とは常に悲しいものだな…」
お爺さんがいつか言っていた言葉をふと口にしていた。いつもは自分に関係のない出来事だった。だが、今は違う。大切な?友?がすぐそばで大切なものを守るために命をかけて戦っているのだ。
「やはり僕が止めるしかないんだ」
そう何度目かの言葉を自分に言い聞かせていると再び爆発音が轟いた。また戦闘が始まったのだ。
早速足の速い白ピクミンの中でも数少ない花を咲かせているピクミンを呼び、待機している赤、青のオニヨンを呼んで来てもらうとこの基地に待機させ各40匹を率い出撃した。
懲りもせずまだホコタテ星人は増援のために大型輸送ヘリを寄越してきている。同じ人間として悲しくなる。
だが、コスモは同時にある事に気がついた。長距離飛行ができない筈のヘリが海の方角から飛来してくるのだ。ここに向かってくる途中にそのような前線基地もなかったしまして陸地に基地があるならば態々海からくる必要はない。空母艦隊がいるのか?それならばヘリではなくとっくに航空機が来ている筈だ。だが、そんな推測をしていても何も始まらない。暗い影を落とした疑問を振り払い腹部に嫌な感覚を残したままコスモは先を急いだ。
「先頭にいるのはフタクチドックリの成虫か…ホコタテ星人の砲火にも全く怯みもしないな…こうやって見ると天敵も今となっては頼もしい味方だ」
ミヤビフタクチの成虫と思われるくすんだ金色の装甲をもつ個体が中心となり岩を吐き出して兵たちを一掃している。金属を追尾するあの岩を兵士たちが逃れるすべはまずないだろう。
そのほかにもサクレウラメが上空から爆撃を仕掛け、フーセンドックリが突風を吹き掛け荷物を降ろそうとし無防備な輸送ヘリを荷物ごと叩きつけ、サライムシが兵士を攫い地面に投げつけヘルメットを粉砕、有毒な気体が気管に入りこみ悶え苦しみ息絶えていく…まさに地獄絵図だ。
だが、ここの戦闘がこれほどまでに激しい理由は強靭な原住生物が多いのと発火性の高い岩(爆弾岩)が多いため。それに異常なまでに増援が速いためだろう。やはり3番目の理由はコスモになにか引っかかるものがあった。
「僕たちも行こう」
見たところ謎のヘリ部隊以外に増援してくるものはなく周辺の陸上基地は既に陥落しているか全て出払っているようだった。つまり全てを空に頼っているのだ。
「このまま行っても意味がない。各色で分担しよう」
まず水がないので青は傷ついた味方の運搬、紫・赤は陸戦、黄はヘリの迎撃、白は応急処置という分担とし、紫・赤・黄には先ほどの鎧を着させた(赤は待機している黄の分を)。
「これでひとまず…」
その時だった。コスモの眼にあるものが写った。それは突き出した岩に正面衝突している高機動装甲車だった。ただそれだけならどうでもいいのだが屋根に簡易だがレーダーが備え付けられている。おそらく司令部から受け取った指令を前線の各隊に伝令していたのだろう。つまりあの車輛の大型無線機は多くの車輛、ヘリにつながっているのだ。もし、それに以前?兄?から受け取った軍用コンピュータウィルスの改造版を流せばつながっている、特に防衛手段のない最前線の車輛、ヘリのメインシステムを破壊させられ、この戦闘を早期終結に持ち込める。そう考えついた。
「いける…!」
後ろ髪を引かれる思いを感じつつその場をピクミンたちに任せコスモは高機動装甲車の大型無線機を取り出しスター・ドルフィンのもとへと駆け出した。
「ピクミンたちは大丈夫だろうか…」
スター・ドルフィンについてからもそのような不安に駆られたが、ウィルスプログラムの構築に専念した。