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ΤΤΧ著 未知なる星の異変 - 〜戦慄、霧中の孤島アルカディア〜

📚 目次

1 その他 (1ページ)

無題
└ 〜プロローグ〜
1

2 第1章 異変 (17ページ)

3 第2章 現実 (6ページ)

▶ 〜道程〜
└ 第1話
19
▶ 〜S.A.C.B.〜
└ 第2話
20
21
▶ 〜参戦〜
└ 第4話
22
▶ 〜終焉〜
└ 第5話
23

4 第3章 束の間の休息 (3ページ)

▶ 〜準備〜
└ 第1話
25
26
27

6 第5章 剿滅へのオーペルデューレ (3ページ)

📍 〜戦慄、霧中の孤島アルカディア〜
└ 第1話
39
▶ 〜出撃〜
└ 第3話
41

〜戦慄、霧中の孤島アルカディア〜

第5章 剿滅へのオーペルデューレ / 第1話
39/41 ページ

 朝霧が未だ濃い海上。

 ブースターから発せられる光により機体を鈍く光らせながら1機のロケットと5機の異様な飛行物体は一路目的地へと向かっていた。

 コスモがガイアへ到達してから早5日。状況は目まぐるしく変わっていった。

 初日の【樹海のヘソ】、二日目の【S.A.C.B.】。以後は【S.A.C.B.】の整備などを行っていたが、他の地域ではその間も戦闘が継続されており、新たに【大樹林】、【帰らずの森】、【デュアルクレイター】、【ロディニア】を含む16地域がここの三日間の内に原住生物たちの手にわたり、残りの【希望】、【望みの大地】、【パンゲア】などを代表する諸地域も時間の問題だ。


『あと10海里ほどで【アルカディア】上空です』

「結構早かったね」

 コスモは寝ぼけ眼を擦りつつコックピットに座りなおした。

 【S.A.C.B.】にて連日連夜働き詰めだったコスモは【S.A.C.B.】を飛び立ち、水平線上から姿を消すよりも早く強い睡魔に襲われ掠れゆく意識の中、操縦を断念、自動操縦に切り替えそのまま眠りについていた。

『ちょっと働きすぎなんじゃないですか?』

「時間がないと思うとつい我を忘れ…」

『コスモさーん!』

「あぁ!ごめんごめん」

『もうじき5海里を切るので身支度を整えては?せめて目を覚まさないと』

「5海里?じゃあ島影が見える頃か」

『どうでしょうね。朝霧がかなり濃いので2、3海里を切っても見えないかもしれませんよ?もしくは本当に影しか見えないか』

「まあそれはそれで軍に機影を捕捉されずに済むから良いけどね。ステルスは?」

『してあります。充電も【S.A.C.B.】にて済ませてあるので暫くはもつでしょう』

「ステルスは電力を結構食うのが難点だなあ」

『そうですねえ。これから多用すると思われるだけに心配です』

「んー眠気覚ましにコーヒーでも一杯飲もうかな」

『それは降りてからの方がいいんじゃないですか?あと3海里です』

「そうしよう。て、本当に見えないなあ」

 コックピット前面に広がるモニターに目を凝らしたものの寝ぼけ眼が悪いのか霧が濃すぎるのか島の影すら望めなかった。

「お!見えた見えた」

 残り1海里に差し掛かったころ、ようやく島影がモニターに現れた。目前というだけあって島を覆う木の細部まではいかないものの大まかな形まで分かりそうな勢いだ。

『【アルカディア】上空に到着。島を一周します』

 そう告げ終わるや否やスター・ドルフィンは少し高度を上げ、速度を落とし島を大きく一周し始めた。

 未だに濃い朝霧が覆っているだけに細部までは確認できないが、島の7、8割を覆う木々に長い砂浜、程よい高台に開けた平野。軍が欲しがるのも納得の地形だった。

「ところで…」

 コスモの脳裏にあることが掠めた。

『なんですか?』

「原住生物たちは僕たちを敵だと思ってるんじゃないか?」

『…』

 調度その直後だった。


 ヒュン!


 スター・ドルフィンのすぐ傍らをなにかが高速で掠めていった。直後、それはあたりをせしめていた静寂を一気に引き裂き橙色の閃光と爆炎を煌めかせ炸裂した。

『左舷後方に至近弾!!』

「言わんこっちゃない…オニヨンは!」

『なんとか回避したようです。第二波来ます!』

「緊急回避!これなら援護する必要ないんじゃないか?…」


 ドォン!ドォン!ドォン!


 今さっき飛んでいた航路に耳を劈くような三発の爆音が響いた。

『11時の方向、高エネルギー反応!』

「まさか原住生物がレーザー砲を?」

『きます!』

「面舵一杯!!」

 スター・ドルフィンの船体が急速に右へと傾き反転した。刹那、巻末入れずに赤色の光線が朝霧を吹き飛ばし右舷を掠めた。

『右舷被弾。ダメージ1、3%』

「まさか本当に撃ってくるとは…直撃を受けたらたまったもんじゃないな。進路戻せ!」

 再び機体が右へ大きく傾く。

『オニヨンが混乱を始めています!』

「撃墜されたら元も子もない。一旦降りよう」

『ダメです!12時、2時、10時の方向より対空砲火。8時、3時より再び高エネルギー反応!』

「挟まれたか…!取舵45!完了後急速降下!!」

 前方からの砲火をなんとか掻い潜りつつ、直角に左折した機体は一気に急降下を始めた。それを追うかのように先ほどとは比べ物にならないほどの砲撃とレーザー砲火が殺到した。

『赤オニヨンに異常振動!!』

 背筋が冷えるのがわかった。

「まさか…!?モニターに出せ!」

 確率的には十分あり得た事態だが、いざ起きてしまうと冷静さなど微塵も保てなかった。

 モニターには必死に砲火を掻い潜る5機5色のオニヨンが投影された。その中の一機、赤オニヨンからはもうもうと白煙が立ち上っていた。

「被弾したか…。火に強い赤ピクミンのことだから大事には至らないとは思うが他のオニヨン、ピクミンも危険だ」

『12時の方向より飛行変体多数接近!!』

「道はただ一つ…か…。音響マイク作動停止。モニターに遮光掛けろ」

『了解』

 ブチッという音を最後に外部の音は一切遮断され、モニターは心なしか黒味を帯びた。

 この状態となればとるべき措置はただ一つだった。

「前方へMR2音響閃光弾発射用意。発射弾数6発!」

 前方から発射管が開く起動音が響く。

『発射用意良し!』

「MR2発射!!」

 機体に立て続けて微震が走った。

 数秒後、霧に包まれていてもわかるほど強力な閃光が前方から吹き荒れた。

『変体崩壊!』

「取舵30!エンジン出力最大!空域から離脱しろ!!」

 スター・ドルフィンのブースターが放出する青白い炎の火力は数段跳ね上がり未だ止まぬ砲火の中、オニヨン共々一路海上へと撤退、程なくして朝霧の中に没していった。