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IS〜深緑の狙撃姫〜 - 言葉にしないと伝わらない事が意外とある・・by氷河

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言葉にしないと伝わらない事が意外とある・・by氷河

第五章 学園祭/千冬の罪・月と氷の来訪者
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ロックオンの部屋


部屋に残るあの甘い匂い。

そして部屋に閃羅はいない。

となれば・・。


「やはりラビットハッチへ・・!」

「うん、行こう!」

「匂い対策も忘れるな!」


三人はラビットハッチへと向かう。

その頃セシリアはサイレント・ゼフィルス相手に善戦を喫していた。


「しつこい・・!」

「ロックオンさんの期待に答えるためにも・・負けられませんの!」


セシリアは偏向射撃とノーマル射撃を織り混ぜて翻弄、さらにティアーズを飛ばしなから動いているので相手はセシリアを捉えられない。

AIはケルディムの物を使用しているのでビットの精度も大きく上がり、飛ばしながらでも動けるようになった。

そしてセシリア自身も鍛練を怠らなかった。

その結果が今、サイレント・ゼフィルスと互角以上に戦っている。


(話が違う・・!あいつはビットを飛ばしている間は動けないし、ましてや偏向射撃も出来ないって言っていたのに・・!)

(ロックオンさんの教えを生かし、ブルーティアーズの名前の意味を理解した今・・サイレント・ゼフィルスは敵じゃない・・!)


セシリアの技量を見誤った相手の動きが僅かに鈍った。

セシリアはそれを見逃さなかった。


「ティアーズ!」

「・・!しまった!」


相手の全方位にティアーズを展開、セシリアはケルディムのスナイパーライフルを参考に改良したスターライトを構える。

銃口にエネルギーが溜まっていく。

そして尊敬している女性の言葉を言う。


「セシリア・オルコット!狙い撃ちますわ!」

「うわぁぁ!」


ティアーズから放たれた全方位レーザー、そしてスターライトから放たれた強烈なレーザーがサイレント・ゼフィルスを飲み込む。

煙が晴れるとそこには何も残っていなかった。


「やりましたの・・ロックオンさん・・。」


戦いを終え、疲れはてたセシリアは地上に降り立ちISが解除、ゆっくりと倒れる。


「スゥ、スゥ・・。」


そして眠ってしまった。

その顔は満足感でいっぱいだった。


「さすがロックオンの弟子ね。大した物よ。」


笑うレベッカがセシリアを保健室へと運ぶ。


一夏は氷河と話をしていた。

手には氷河の奢りのジュースがあり、地面には回収したガンブレードがあった。


「なあ、この前のお前の話を聞いてるとさ、世界が変わったから嫌な事が増えたって言ってたよな?」

「・・そうだな。白騎士事件以降、俺は俺として見てくれる人はいなくなった。変わりに織斑千冬の弟だから出来て当たり前っていうレッテルが貼られた。」


一夏はその事を思い出したのか手を強く握る。

氷河はため息を一つ吐き、こう言った。


「世界が変わったっていうのもさ、そんな悪い事ばかりじゃないと俺は思うんだよな。」

「・・何が言いたい?」


一夏は氷河を睨み付ける。

まるでお前に何がわかると言わんばかりに。


「じゃないとさ、お前の彼女のロックオン・・だったか、会う事はなかったと思うし、ライダーの力も手に入らなかったわけだろ?」

「・・・。」


一夏はその事を聞いて考える。


もし篠ノ乃束が人見知りではなく、他人と普通に笑いあったり、ISを開発していなければ、ロックオンや鈴たちと出会う事はなかっただろうし、箒も引っ越す事もなかった。

もしかしたら箒と付き合っていたかもしれない。


「・・そうかもしれないな。」

「だろ?そしてお前の大切な人は近くにいるかもしれないぜ?」

「・・・?」


一夏は氷河が何を言ってるかわからなかった。


「たとえば・・ホッキーとか。」

「・・あいつは大切じゃない、俺はあいつに失望したんだ。」

「そりゃまたどうして?」


一夏は氷河に向き直る。

そして箒の事を話始める。


「俺さ、昔剣道やってたんだ。あいつとはいい勝負が出来た。俺があいつを見ていたのも、あいつがじっくり努力して自力で専用機を勝ち取って、いつか同じ舞台で戦いたかったんだ。」


それは一夏の箒に対する期待と夢。

氷河は何も言わずに話を聞いていた。


「だけどあいつはやってはいけない事を平然とやった・・。俺の隣で戦いたいっていう理由だけで篠ノ乃束直々に製作した世界で唯一の第四世代ISを手に入れた事・・。それは俺にとって裏切られたと思った。専用機があるかないかじゃない。ただ俺はあいつに努力して専用機を手に入れて欲しかったんだ・・!」


一夏の箒に対する思い。

それは自分が前に進みすぎてしまったから少しでも追い付いてもらいたいという思いから。

そしてゆくゆくは同じ舞台で戦いをしたかった。

氷河は一夏の思いを知り、やれやれと頭を振ったあと一夏を見る。


「誰が言ったか知らないがこんな言葉がある。」

「・・・?」

「・・言葉にしないと伝わらない事が意外とある・・ってな。」

「あ・・!?」


一夏はその言葉に衝撃を受けた。

自分は何も言わず、ただ単に自身の勝手な希望を押し付けていただけではないか・・と。


「(これでホッキーは大丈夫かな。)あとは織斑先生もだな。」

「・・あいつは世界を変えた事を自覚してない!あいつは自分が犯した罪を全く自覚してないんだ!」


千冬の名前を出した途端、箒とは違った怒りを露にする一夏。


「織斑先生の罪って何だよ?」

「あいつは世界を変えた事を重く見てない!さらにあいつは白騎士事件で女の子の家族を殺したんだ!」


女の子の家族とはクレアの家族である。


「日本政府はISの有効性を証明するためだけに!クレアの両親や他に死んだ人がいた事実を金と権力でもみ消し!あまつさえあいつには建物の倒壊だけで済んで死傷者はいないと言ったんだ!あいつはそれを鵜呑みにして死んだ人がいないって安心したんだ!」


声を張り上げる一夏。

その声は怒りを多く含んでいる。


「・・そうか。こっちの白騎士事件はそんな事があったのか・・。だけどな、身近な人とわかり会わないと、世界を変えるなんて・・夢のまた夢だ・・。」

「わかってる・・!俺も今のままではダメだということも・・!・・あいつが罪を認めたら、ダブルオーを手に入れた経緯も、俺がエターナルである事も・・全て話すつもりだ。」

「・・そうか。そんな日が早く来るといいな。」


氷河の言葉に一夏は少し笑う。


「そうだな・・。・・サンキューな、氷河。お前が言ってくれなきゃ・・ずっと溜め込んでたままだった・・。」

「いやいや、おかしいと思ったから指摘しただけさ。」

「それでもだ。」


そう言って笑い会う二人。

心なしか一夏の笑顔は晴れやかだった。

そこへ冷たい風が一夏に襲いかかる。


「うわっ冷たい!・・ソフトーニャ?」


風が吹いた方向を見るとそこにいたのはソフトーニャだった。


「まさか、ロックオンたちに何かあったのか!?」

「・・・!(コクッ)」


一夏の問いにソフトーニャは頷いて答える。


「案内してくれ!氷河、手を貸してもらってもいいか?」

「勿論。さあ行こうぜ!」


二人はソフトーニャの案内を受け、ラビットハッチへと向かう。


ラビットハッチ


「ま、まだ・・。」

「く・・うう・・。」


地面に倒れるロックオンとマドカ。

一応二人は学んだ相手が違えどそう簡単に倒れはしない。

ならなぜ倒れているか?

それは閃羅の放つ甘い匂い・月光闇にあった。


月光闇とは、氷河の世界にある彼女の家系・月姫家の女性だけが持つと言われている幻の成分。

その効果は同性の者の脳に作用して、心と体を両方リラックスさせ、安心感や穏やかな気持ちを抱かせるという物。

だが彼女だけはどういう訳か、その体内に他の月姫家の女性達以上に濃く月光闇が行き渡っているため、強力な媚薬どころか更に強力な媚毒となってしまっているのだ。


「おや?まだあなたの意思が残っているのですか?ならもっと上げましょう・・月光闇を・・。」

「む、むむー!」


閃羅は甘い匂いをさらに放出しながらマドカに口付けを行い、月光闇を送り込む。


「チュッ、はぁ。」

「こんな気持ちは・・初めて・・だ・・。」


とうとうマドカも堕ちてしまう。

虚ろな目で天井を見上げる。


「ふふ、さて、あなたは私の一番のお気に入りなので・・じっくりと・・念入りに月光闇を与えましょう・・。」

「あたしは・・堕ちない・・!・・んむ!?」


ロックオンも与えられる匂いに抗っていたが閃羅に顔を掴まれ、月光闇を送り込むと同時に舌を差し込んできた。


「んむ・・チュル・・ズズ・・。ふふ・・。」

「うむ、んん・・んむ!?んんー!」


何と閃羅はロックオンのドレス越しに隠された胸を触り始めた。

閃羅が離れると二人の間には銀色の橋が出来ていた。


「大きくて美しい胸ですね・・。身も心も私に委ねれば・・もっと気持ちいいことをしてあげますよ・・。(モミモミ)」

「あぅ・・んん・・!(もう・・ダメ・・もっと・・してもらいたい・・。)」


閃羅は月光闇を出しつつロックオンの耳元で囁くように喋りながら胸を愛撫する。


「もっと・・触って・・!あたしを・・感じさせて・・!お姉さま・・!」

(堕ちた・・!さて、可愛がって上げましょうか・・。)


ついにロックオンも堕ちてしまう。

閃羅はそれを見て勝ったと思った。


「そこまでだ!」


一夏たちがラビットハッチに到着。

氷河の肩にはこっそりと脱出していたクレアがいた。


「あなた・・!いないと思って放置していたのですがそれが裏目に出ましたか・・!」

「私も・・レベッカさんの訓練を受けた一人です・・!・・うっ!」


再び月光闇の蔓延しているラビットハッチへ戻ったのでクレアの焦点が合わなくなってきた。

クレアはラビットハッチを脱出後、力を振り絞ってソフトーニャに指示を送り、ロックオンの部屋の鍵を開けたのだ。


「氷河、これって一体・・。」

「これは・・。」


氷河は一夏に閃羅の特異体質と月光闇の事と効力を説明。


「ロックオンたちを今すぐ元に戻せ!さもなくば・・!」


一夏はガンブレードの切っ先を閃羅に向ける。

だが正気を失っているマドカ、鈴、ロックオンが閃羅の前に立つ。


「うう・・。」

「お姉さまは私たちを愛してくれてる・・。」

「邪魔をするなら・・一夏でも許さない・・。」

「・・チッ!」


仲間に手を出せない一夏はガンブレードを下ろす。


「それにしても、またあなたですか。」

「お前・・!対抗戦が終わって改心したと思ったが・・全然懲りてないようだな・・!」

「ここは退きましょう。鈴、任せましたよ。特にあの方をしっかりと足止めしてくださいね。(ふふ、月光暗は解除するか低温環境ではない限り操り人形のまま・・。どうすることも出来ません・・♪)」

「はい、お姉さま・・♪」

「くぅ!」


鈴は手に持ったフラシェキーでフラッシュを連続でたく。

目を開けると閃羅は既に姿を消していた。


「氷河、解除方法何か知らないか!」

「・・あいつめ!俺が低温環境作れるからって・・!」


氷河の手足に鈴やマドカたちが張り付き動けなくなっていた。


「解除方法はあいつが指を鳴らすか・・低温環境を作って粒子を凍らせれば・・!」

「くそっ!・・シャル!」


一夏は目を虚ろにして倒れているシャルの元へ向かう。


「えへへ、気持ちいいや・・。」

「・・あった!」


一夏はシャルの服からフォーゼドライバーを取り出して腰に当てる。


「何をする気だ!」

「あいつの月光闇は個人の力・・!なら宇宙の力で毒を打ち消す!」


一夏はシャルを立たせ、支えながらドライバーのトランスイッチをオンにする。


(3・・2・・1・・)


「変身!」


一夏はドライバーのレバーを入れるとシャルがスチームに身を包まれフォーゼに変身。


「おとと。・・あれ?何で僕変身してるの?」

「よし!」


試みは成功したようだ。

シャルは普通に立っており、言葉も普通になっていた。


「シャル、実は・・。」


一夏はフォーゼに月光闇の効果と解除方法を聞く。


「オッケー。それなら、これだね!」


フォーゼはレーダーを外してメディカルを差し込んでオンにする。


(メディカル)

(メディカル・オン)


左手に救急箱が装着。

中を開いてアンプルを取り出す。


「はい、これ。」

「それは?」

「コズミックエナジーが凝縮した解毒剤。幸い人数分あるからこれをみんなに飲ませれば助けられる。」


一夏たちは手分けしてアンプルを飲ませる。

全員目に光が戻りつつある。


「よっしゃ、あとは俺に任せろ。少し寒くなるが勘弁な。」


氷河は自身のIS・メビウスを纏い、ラビットハッチを冷気で包み込む。

しばらくして甘い匂いが完全に消滅。


「とりあえずあの部屋もやっておく。」

「わかった。終わったらここへ戻ってくれ。作戦会議を開く。」


氷河はロックオンの部屋へ向かう。

しばらくしてISを解除した氷河が戻ってくる。

崩壊の危機を脱した仮面ライダー部。

しかしまだ閃羅との戦いが残っていて人質同然の観客もいる。

どうやって救出するのだろうか・・?