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IS〜深緑の狙撃姫〜 - あたしはあんたを本気で見損なったわ・・!byロックオン

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あたしはあんたを本気で見損なったわ・・!byロックオン

第三章 臨海学校/対話するIS
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翌朝


この日は実習で空は青く、太陽はサンサンと輝いている。

浜辺では各グループに別れてそれぞれの担当者の元に集まっていた。

こちらは専用機持ちのグループで担当者は千冬で補助は真耶。

一夏たちお馴染みのメンツがいるが何故か専用機を持っていない箒がいた。


「あの、なぜ篠ノ乃さんはこちらのグループに?彼女は専用機を持っていないはずでは?」

「それは・・来たか。」


セシリアの疑問に千冬が答えようとした瞬間、崖の上からドドドド・・と物凄い地響きを立てながら何かがやって来た。

千冬は頭を抱え、一夏はわずかに顔を歪ませ、ロックオンは表面上は冷静さを保っているが心の中は穏やかではなかった。


(胸騒ぎの正体はこれ?だけど何かが違う・・。もっと別の何かが起こるというの・・?)


ロックオンがそんなことを考えていると、ウサミミを着けた女性はアイアンクローをかまされていた。

どうやら千冬の胸を揉もうとしていたらしく、飛びかかった所をガッチリホールドしてギリギリと力を加える。

しばらくして千冬は手を離す。


「いだだだ、相変わらずちーちゃんの愛は痛いね。・・やぁ、お久しぶりだね。」


女性は箒の方に向き直りあいさつをする。


「・・お久しぶりです。」

「大きくなったね。特に胸が。」


ゴチン!


「殴りますよ。」

「殴ってからいうのって酷くない!?」


コントみたいなやり取りをしている箒と女性に一夏が声をかける。


「・・どうも。束さん。」

「いっくんもお久だね〜。元気してた?」


一夏が束の名前を言った瞬間、ざわめきが起こる。

ISの産みの親が目の前にいるのだ。

無理はない。


「・・何しにきたんですか?(小声で)世界を変えた罪から逃げている天災。」

「ん〜いっくん何か言った?」

「いや・・。」

「まあいいや。それではお空をご覧アレ!」


束のその言葉に一同が空を見る。

空からコンテナがズドンと落下。

中が開かれ、そこにあったのは赤のIS。


「これが箒ちゃん専用機の紅椿!現行ISを大きく上回る最新鋭機だよ!」


箒専用と聞き、ざわめき始める。

あちこちから・・。


「身内っていうことだけで専用機が貰えるの?」

「ずるいよ。私も代表候補生なのに・・。」


と言った批判の声があちこちから上がる中、箒は目を輝かせて紅椿を見ていた。

そんな中、ロックオンは箒に近付き・・。


「箒。」


パァン!


ロックオンは振り向いた箒に平手打ちを食らわせた。

千冬たちが唖然とする中、箒は頬を押さえながらロックオンを睨む。


「何をする!ロックオン!」

「箒・・あたしはあなたを本気で見損なったわ。こんな事をしないと信じていたのに・・。」


そう言ってロックオンはセシリアの元へ向かう。


(ロックオンさん・・?)


セシリアはロックオンが平手打ちをした事に驚いた。


(何なのだ、嫉妬なのか・・?)


箒はなぜ叩かれたのかわからなかった。

入れ違いに一夏が箒に近付き言う。


「箒、大丈夫か?」

「一夏・・!」


箒は一夏が慰めてくれると思っていた。

だが・・。


「この場にいる同級生や学園の先輩を始め、努力した人たちを全て否定して身内や俺の隣に立ちたいという理由だけで簡単に専用機を手に入れたんだ。嬉しさや感動もひとしおだろう。」

「一夏・・何を・・。(だけど一夏が専用機を持つ理由を知っていたのは嬉しいぞ!)」


一夏の言葉の言っている意味が全く理解出来ていないが専用機を手に入れた真意を悟ってくれた事を喜ぶ箒。

そんな箒を他所に一夏はさらに言う。


「もう俺が訓練を見なくてもいいだろ。というか必要ない。」

「どういう意味だ!?訓練を見る必要がないとは!?」

「だって開発者自らが製作した専用機を貰えるということはお前にはそれだけの実力があるということだ。だからもう訓練はいらないだろ?」


そう言って一夏は箒から離れる。


(何なのだ、二人して。私が専用機を持つ事がいけない事なのか?)


箒は一夏がなぜあんなことを言うのかわからなかった。


「ああ、そうそう。お前がそれを手にしたって事は・・お前が目の前にいる嫌って嫌って仕方ない人と長く付き合わないといけないということを・・理解しているのか?」

「・・・?」


一夏の言葉に?を浮かべる箒。

そんな箒を知り目に一夏はさらに話し続ける。


「紅椿・・だったか?そいつはどこの企業にも作れない。もし破損なんかしたら・・誰が予備パーツを作るんだ?」

「・・何を言っているのだ?」

「ま、ここにいる間はともかく・・卒業すればどうなるか・・少しは理解するべきだと思うし、お前は何も考えずにこれを要求したことを・・いずれ後悔することになる。」


一夏はそう言ってロックオンたちの元へ戻る。

自分がノーナンバーのコアを手中に納めていることと周囲の努力を否定した事を・・。

束は平手打ちをしたロックオンに眼差しを向け声をかける。


「ねえ、君はなぜ箒ちゃんに平手打ちをしたのかな?」

「あら、この場に469(・・・)のコアと各国が第三世代で四苦八苦してる中、まだどこの国も到達していない第四世代のISを持ってきた人がそんなことを言えますか?」


ロックオンの言葉に束のウサミミがピクッと動く。


「ふふ、君面白いね。名前は?」

「ロックオン・ストラトス。一夏の彼女よ。」

「なるほどね。君がウワサの狙撃姫でいっくんの彼女なんだ。いっくんのダブルオーと君のケルディムに興味があるんだけど見せてくれないかな?(らーくんの娘さんか。ふふ、いい目をしてる)」


束の言葉にロックオンは笑顔で答える。


「お断りします。」


ピシッ


ロックオンの断りに空気が凍りつきざわめき始める。

開発者である束を前に断ったのだ。


「ふぅん、何でかな?」

「父さんと母さんが長い年月と財産をかけて作ったアレをあなたに見せられませんよ。特にあなたみたいに他人や世界をマトモに見ようとしない人にはね。」

「それはどういう事かな?」


ロックオンの言い分に束は視線を鋭くする。


「そうですね、仮に・・セシリアがISを見てほしいと言っても冷たくあしらってはいサヨナラでしょ?」

「そうだね、私の知り合いにパツキンなんかいないから。」

「そういう風に他人をマトモに見ようとしないで誰かが傷ついても知らない顔をする人にあたしの大事なISやアレを見せられませんよ。」

「そっか。まあいいや。箒ちゃん、フィッティングと一次移行を済ませるから来てくれるかな?」


束は箒を呼んであっという間に一次移行を済ませる。

その腕はさすがというものだった。


(他人嫌いでも開発者は開発者ね。ティアナもいい刺激になるでしょう。)


次は性能テスト。

多くのミサイルが放たれるが箒は全て落とした。


(テストにしては緩いわね。それにしても・・。)


ロックオンは周囲を見渡す。

紅椿の性能を見てあちこちから声が上がる。


「何で篠ノ乃さんだけ博士直々に専用機を貰うことが許されるの?」

「おかしいよね。祖国で頑張ってきた私達は何なの?」

「それにあれ、第四世代らしいよ。」

「ウソッ!博士の妹ということだけで最新鋭の専用機が貰えるのってずるいよね。」


あちこちから不満の声が上がる。

特に代表候補生は自分の努力が否定された様に思えた。


(やれる!私とこの紅椿なら・・一夏の隣で戦える!)

(予想はしていたけど、やっぱり箒は浮かれているわ。周りが今どんな目であなたを見ているか気づいていないなんておめでたいわね。)


箒は自身のその姿を見て周りが今どんな目で見ているのか知らず、新しいオモチャを手に入れた子供の様に浮かれている。

その時、真耶が慌ただしく走って向かってくる。


「お、織斑先生!これを・・!」


千冬は真耶から何かが書かれた紙に目を通す。

千冬の目が鋭いものに変わる。


「・・全員、注目!」


真耶が他の教師に連絡するために走り去った後、千冬は手を叩いて生徒全員を振り向かせる。


「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へと 移る。今日のテスト稼動は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各員室内待機だ。」


生徒たちは訳がわからないまま片付けを行い、部屋に戻る。


「専用機持ちは全員集合しろ! 織斑、ストラトス姉妹、オルコット、更識、凰、ボーデヴィッヒ! ・・それと、篠ノ之も来い!」

「はい!」


妙に気合の入った返事をしたのは、一夏の隣に降りてきた箒だった。


「織斑先生、あなた正気ですか!?箒は外すべきです!」

「一夏!?」


一夏は千冬に反論、箒は自身の作戦参加に反対した一夏に驚いた。

一夏とロックオンはたった数十分しか動かしていない箒を参加させるその神経がわからなかった。


「そうね。一夏の言う通り、箒は外すべきだと思います。」

「私もそう思います。箒はここにいる全員と比べて経験が圧倒的に不足してるわ。」

「ロックオン、それに鳳まで何を!?」


ロックオンと鈴の賛同に千冬は異論は許さないとばかりに語気を強くする。


「使える戦力は使う。異論は認めん。」

「・・チッ。」


有無を言わせない千冬に一夏は思わず舌打ちをした。

そんなやり取りを見ていた束は笑っていた。