《観察対象:薬屋大助》
大助の通学路にそのゲーセンはあった。
駅前にあるせいか、人通りが多いのにもかかわらず、ガシャポンやUFOキャッチャーなどが店頭に置いてある。
その一角。
ガシャポンコーナーで、人目も憚らず無心にカプセルを出し続ける男がいる。
その姿はまるで、海亀の産卵に似ていた。
(見たまんまだけど。てか何で、んな所にハルキヨがいんだよ。特環は何やってんだ?)
駅前に出た所で、大助はハルキヨらしき影に気付いていた。
何故か学生服を着ていたが、間違いないだろう。
出来れば近寄りたくはなかったが、大助のマンションは、ゲーセンの前を通って行った方が近い。
しかし、今日の大助は自慢の大型自動拳銃は、さくらにメンテナンスに出していて、持ってきておらず、出来る事なら余計な面倒は避けたかった。
仕方なく、
「はぁ、まぁ俺の気のせいだ。こんな所にハルキヨがいるわけない、いるわけない…」
気付いていない振りをして、その男の横を通り過ぎようとした。
大助はなるべく、人混みの多い所を選んで、尚且つ、気配も人並み以下に抑えていた。
のにもかかわらず、
「おい、そこのガキ、100円出しやがれ」
ハルキヨは公衆の面前で、堂々とカツアゲしてきた。(なんで、ピンポイントで声かけんだよ、ったく)
仕方なく、大助は振り返って、
「すみません、俺、お金持ってないです、」
表面上はあくまで、気弱で人畜無害な薬屋大助として振る舞った。
だがその裏では、
「ガキじゃねぇよ、バカキヨ」
かっこうとして振る舞う。同化型の虫憑きの特徴である、裏表のある大助だからこそ、出来る荒技だった。「あん? てめーはかっこうじゃねぇか! 何でんなとこいんだぁ?!」
「うるせーよ。それはこっちのセリフだ! てかお前は知ってて、やったんじゃないのかよ?」
「いや、変わった気配のヤツがいるなー、てな。それより顔と言ってる事が、あってねぇぞ!?」
「お前に言われたくねーよ!」
「まあいい。早く100円だしやがれ。あと最後の1個なんだ。これでコンプリート出来んだよ」
「知るか! 誰が、お前なんかにやるかよ! 大体…」
大&ハル「ギャースギャース」
結論:1号指定同士の低レベルな言い争いが延々と続く。
結果↓↓
100円くらい渡せばいい物を大助はそれを拒み続け、結局、ハルキヨは本当の子供にガシャポンの最後の1個をとられる。