<前編>
はじめましてなのニャ!
ボクの名前は、コタローだニャ。
ハッカ色の毛並のオトモアイルーなんだニャ。
ボクの旦那さんは、世界を旅しながらハンターを生業にしているのニャ。
あっちこっちで暴れてるモンスターを退治してまわってるのニャ。
かっこいいのニャ~~。
ボクの自慢の旦那さんなのニャ。
そんな旦那さんを影ながらサポートするのがボクの役目なんだニャ。
ボクはこの仕事に誇りを持ってるニャ。
ある日、森丘へ行くために立ち寄った樹海でボクと旦那さんは、あの凶暴なナルガクルガに襲われてしまったのニャ!
「危ないっ! コタローっ!!」
「だ、旦那さーーーーんっ!」
その時旦那さんはボクをかばってケガをしてしまったのニャ。
「旦那さん、大丈夫かニャ?」
「あぁ、すぐ治るさ」
そう言って旦那さんはボクの顎を撫でてくれたニャ。
とっさに致命傷を避けた旦那さんは、すごいニャ。
だけど、ボクのためにケガをして欲しくないのニャ。
ボクだって旦那さんと一緒にいっぱい戦ってきたのニャ。
旦那さんにとってそんなにボクは頼りにならないかニャ…?
ブンブン、
違うニャ! こういう時こそ、ボクがしっかりしないといけないニャ!
「旦那さん、お腹すいてないかニャ? 何か食べれるものとってくるニャ!」
旦那さんが動けないから、今夜はきっとここで野宿だニャ。
食べ物いっぱいとってきて、旦那さんをビックリさせるニャ!
ボクは張り切って出発したのニャ。
行けども行けども、草木が覆い茂る樹海の中を経験と勘を頼りに突き進んでいたのニャ。
すると…、
「ニャっ? ここは…?」
突然、開いた場所に出たのニャ。
なんと! その場所は、野生のアイルー達の棲みかだったんだニャ!
ボクは早速立ち寄ったのニャ。
ボク達アイルーの情報網はハンターさん達に負けないくらい、すごいのニャ。
だからもしかしたら、近くの村の方角を知ってるかも知れないニャ。
集落の長老に聞いたら、快く教えてくれたのニャ。
これで旦那さんにゆっくり休んで貰えるニャ。
ボクはすぐに旦那さんの所に戻ることにしたニャ。
もうすぐ日が暮れて、真っ暗になってしまうのニャ。
夜になってしまうと、モンスター達が活発になって、危ないのニャ。
またナルガクルガに襲われてしまったら、大変なのニャ。
ボクは長老にお礼を言って旦那さんの所に戻ろうとしたら、
「少し待つのニャ」
引き止められてしまったのニャ。
すると、長老はこんな事を教えてくれたニャ。
「ナルガクルガは音に敏感なモンスターニャ。草根を分ける音さえも聞き付けてやって来るニャろう」
なるほど、だから旦那さんも気付くのが遅れてしまったんだニャ。
続けて長老は、ナルガクルガの弱点も教えてくれたのニャ。
やっぱり歳を経たアイルーは海千山千だニャ。
尊敬するニャ。
「ありがとうございますニャ。」
「最後にもう一つだけ、良いことを教えてニャろう」
「まだ何かあるニャ?」
「ここらには、幻のドスマタタビが生えてておってニャ、それにはアイルーの願い事を一つだけかニャえるという伝説がある。困った時に思い出すといいニャろう」
「? わかったニャ」
何でこの地に伝わる伝説をボクに教えてくれたのか、疑問だったニャ。
だけど、アイルーの長老は立派な猫だニャ。
何か意味があるかも知れないニャ。
だけど今はとにかく、旦那さんの所に急いで戻るニャ!
「旦那さ?ん、今戻りましたニャ」
ボクは旦那さんに近くの村の方角を教えたニャ。
「よくやった、コタロー。もう日が暮れる。急ぐぞ」
旦那さんとボクはすぐに立ったのニャ。
ナルガクルガに警戒しながら、一時間ほど歩いたニャ。
すると前方に、闇に紛れて赤くギラつく二つの眼が!
「だ、旦那さん!」
「ああ、やつだ。気をつけろ!」
先手必勝ニャ! ボクと旦那さんは二手に分かれて掻乱する作戦に出たニャ。
だけど、ナルガクルガの素早い動きに、逆にこっちが掻乱されてしまったのニャ。
「ぐるぐるニャ~~…」
「しっかりしろ、コタロー!」
「ハッ? ごめんなさいニャ」
そうだったニャ。
怪我をした旦那さんの代わりにボクが頑張らなきゃいけないニャ!
今こそ、長老に教えて貰った方法を実践する時ニャ!
「旦那さん、見ててくださいニャーッ!」
「コタローっ? 何をするつもりだ、無茶はよせ!」
大丈夫ですのニャ、旦那さん。
ボクは今に飛びかからんとするナルガクルガに向かって、アイルー特製の小タル爆弾を投げつけてやったのニャ!
「ヒィィィィゥン…ッ」
「やったニャ!」
ボクは見事、ナルガクルガを怯ませることに成功したのニャ。
やつは狙いを研ぎ澄ましているところを邪魔されて、しばらく動けないはずニャ。
「旦那さん! 今のうちに早く逃げるニャ!」
「ああ、こっちだ! コタローッ!」
ボクと旦那さんは急いで走ったニャ。
でも、あと少しのところで、ナルガクルガが立ち直ってしまったのニャ。
やつは頭を振って覚醒させると、赤い眼を走らせ、
「ブェワオア゙アァァッ!!」
怒りの砲哮を上げて、さっきよりも更に素早い動きで、ボク達を襲ってきたのニャ!
「だ、旦那さんっ!」
「慌てるな、コタロー。ここの崖を降りれば、やつは追ってこれまい」
ボクと旦那さんが降りるのが先か、ナルガクルガに追いつかれるのが先か、なのニャ。
時は一刻を争ったニャ。
早く降りれそうな蔦を探すニャ!
「どこかにないかニャ??」
ボクは辺りを見回したニャ。すると、大樹に絡みついた蔦の根が岩壁を割って伸びているのを発見したのニャ!
やったニャ! これで下に降りれるニャ。
「旦那さん! こっちニャ!」
「でかした、コタロー! 急いで降りるぞ!」
ボクと旦那さんは蔦に手をかけたのニャ。
そして、岩壁に足をおいた瞬間…、
「ナルガクルガだニャ!」
こちらへ猛然と突進してくるナルガクルガの姿が見えたのニャ。
ボクと旦那さんはとにかく、ナルガクルガの手が届かない下へ、下へ降りて行ったニャ。
「ここまで来れば…、」
「た、助かったニャ?」
間一髪だったのニャ。
ボクと旦那さんは、ナルガクルガの姿が見えないところまで、逃げて安心してたんだニャ。
ところが、やつはとんでもない手段に出たのニャ!
ボクと旦那さんが下から見たのは、ナルガクルガが大きくジャンプして、尻尾を叩きつける攻撃だったんだニャ。
まさか、あの一撃で、
「ニャッ?!」
がっ岩壁に亀裂が入ったニャ!
その亀裂はどんどん深くなっていったのニャ。
そして…
「崩れる…っ!」
「ニ゙ャーーーーッ!」
ボクと旦那さんは、崩れて支えのなくなった蔦と一緒に、崖下へ真っ逆さまに落ちてしまったんだニャ。