H署の八尾俊徳、前橋浩史、上磯繁雄、浜原昌人、国分誠刑事は先ほどから人質事件の立てこもり犯と粘り強く交渉している。
「くそぅ…あの爆弾野郎、俺らがこんなに譲歩してやってるのに解放しないとは」
八尾が舌打ちした。
「機動隊は十分揃ってるだろ?もう突撃しかないな」
「なら最後通告だ」
上磯がマイクを握り、野太い声で立てこもり犯に呼びかけた。
「現在このビルはすでに包囲されている!貴様の力ではもはや抵抗は出来ない!おとなしく投降すれば命は助ける。抵抗するなら命は無い!!!」
辺りが沈黙し、報道のヘリコプターの音だけが支配していた。その時、銃声が一発した。
「突撃!」
機動隊員が一気にビルに突撃した。それと同時に、ビルが爆発した。
「しまった!!」
浜原が叫んだが時既に遅し。爆風と破片は浜原たちの居る場所にまで及び、辺りが埃で見る見る視界が悪くなっていく。
「うわぁぁぁ…!」
「うぅ…痛ぇ…あれ?ここは何処なんだ?」
八尾が辺りを見回す。コンクリート打ちっぱなしの無機質な建物の中に居るようだ。
「何なんすか。この空間は」
「カラシニコフ銃がこんな所に。鉄兜も手榴弾もロケットランチャーもある」
この無機質な部屋には明らかに戦闘を目的とした道具が無造作に置かれていた。
「これ使えるのか?」
前橋が手榴弾を手にとった。
「待て、やめろ!」
国分が前橋に飛び掛ったが、すでに手榴弾のピンを抜き、窓の外に放り投げていた。ドドーンと、手榴弾の爆ぜる音がし土煙が舞い上がっているのが見えた。
「本物らしいな。このカラシ何とかってのも使えるのか」
上磯が銃を構え、外にあるドラム缶めがけて何発かぶっ放した。銃は大量の弾丸を放ち、石油の入ったドラム缶が大爆発した。
「何やっているんですか上磯さん!おや?このメモは…」
八尾が折りたたまれたメモを開いた。
「お仕事中に失礼します。戦闘系仮想空間『中之島』にようこそ」
八尾が最後まで読み終えたとき、その手は震えていた。
「お、俺たち、異次元の空間にワープしたみたいだ。それに戦争をやらなければいけないらしい…」
「何…だと」
5人は息を飲んだ。