簡単無料小説

novelmania CHAOS ZONE - ゲーム開始、阿仁一ターン

ゲーム開始、阿仁一ターン

10/12 ページ

 メモを読み終え、あまりのことにしばし呆然としているのは蒼井阿仁一、高校教師だ。傍らの落花も横から覗き込んで唖然としている。

 「こ…これは、なんだか今までにない深刻さを持ち合わせていますね」

 メモを懐にしまいこむ阿仁一。顔面蒼白とさせながらも辺りを見渡して状況の把握に努める。無機質なコンクリの部屋に畳が敷いてあるだけだったが、片隅にぽつんと妙な端末が置いてあった。

 「説明書も付いていますね。…NBMS-P、ですか。どうやら私たちの現在地が表示されるみたいです」

 右手に端末、左手に付属の小さな説明書を持ちながら阿仁一が言う。一方の落花は現状に嫌気が差しているせいか頭に手をやって軽くうつむいたままである。何か考え事をしているのかもしれない。

 「…なにやら大変なことに巻き込んでしまったようで、全く、申し訳ありませんね」

 その様子を見て阿仁一が陳謝すると、間髪入れず落花が返してきた。

 「こうなれば我が家の意地、落花の名にかけて必ずやこの戦いを制して見せます!」

 (エ?)

 「さあ行きましょう!勝利は後世の誉れ、敗北は七代の恥です!」

 流石は武士の娘、落花はさっさと拳と志を固めて乗り気のようだった。そしてさらに、阿仁一の生徒が扉を開けて入ってきた。

 「先生!やはりいらしていたのですね!」

 「は、羽津さん…。それに他の方々も…」

 「さあ行くわよみんな!先生に続いて我らが御旗をこの地に立てるのよ!」

 えいえいおーと拳骨を振り上げる1-E生徒、そして落花若菜。もはや阿仁一の意向など微塵も気にかける様子はない。

 (絶望した!逆らえない多数決の原理に絶望した!!)

 平和的に、出来る限り穏便に事を進めようと考えていた阿仁一だったが、近畿、福井方面に配属されたことは平和路線の無理を露骨に彼の前に示していた。