『石楠花物語小1時代』
○宮川長峰小学校・体育館(午後)
1996年4月8日。入学式。柳平麻衣、岩波健司、田中磨子、吉岡末子、横井哲仁。健司、泣きべそ顔。
○同・教室(午後)
一年三組。林牧子(25)、新一年生。一年生、話を聞いている。
終わる。
児童、父親と共に教室を出る。麻衣、少し後ろに磨子。
泉平先生「麻衣ちゃんと磨子ちゃんね。」
麻衣「先生!」
泉平先生「二人の服、ピンク…そっくりね。」
麻衣、磨子、顔を会わせて微笑む。
泉平先生「仲良くなれそう。明日から一緒に頑張りましょうね。」
麻衣、磨子「はいっ!!」
泉平先生、退場。
麻衣「磨子、叉一緒になれたわね。」
磨子「麻衣ちゃん!これからも宜しくな。」
二人、微笑み会う。
麻衣「外で明日から近所になる友達が集まるんだって、いこ。」
磨子「うんっ!!」
○河原町こざくら小学校(午後)
同期日、入学式。小口千里(7)、浮かない顔で泣きそう。
***
小口懐仁(31)に手を引かれて帰宅。
○アパート“白妙” (夕)
小口珠子(29)、小口千草(11)、千里、懐仁
珠子、千里の姿を撮影している
小口「千里、立派だったぞ。遂にお前も一年生か。」
珠子「ママの王子様、格好いいわ。」
千里、浮かない顔
千里「僕、前のお友達と一緒の学校に入りたかったのに…」
千草「僕も、前のお友達と離れたくなかったよ…」
小口「仕方ないよ。お婆ちゃんが死んじゃってお祖父ちゃん一人っきり京都にいるのは寂しいだろう。だから、君たちに来て欲しいって。」
千里、千草、下を向く
珠子「そんな顔しないで、すぐに慣れるしお友達も出来るわよ。」
千里、千草、しかめ面。
千里「オッパぁ、僕宮川に戻りたいよぉ。」
千草「僕だって…」
二人、溜め息。
***
数日後。目覚まし時計がなる
千里「んー・・・」
止める
***
珠子の声「せんちゃん?せんちゃん?まさかまだ寝ているんじゃないでしょうね?」
部屋に入る
千草の声「いってきまぁーす。」
珠子「はーい、いってらっしゃーい。」
千里、寝ている
珠子「これっ、千里!!(フライパンを叩く)あーさーでーすーよ!起きなさい、今何時だと思っているの!?」
千里「だってまだ目覚まし時計・・・」
珠子「特区になりました。時間をご覧なさい!お兄ちゃんはもう出掛けましたよ。」
千里、時計を見る
千里「うおっ・・・」
飛び起きて着替えをする
千里「あぁ・・・」
珠子「もぉ、またパジャマ濡らしてぇ!洗濯入れにいれなさい。宿題は?勿論やってあるのでしょうねぇ!?」
千里「あぁ!!」
珠子「千里っ!!」
千里「ごめんなさぁぁぁい!!」
ランドセルを背負う
千里「いってきまぁす!!」
珠子、ため息。
○河原町こざくら小学校
チャイム。
千里「もう始まっちゃう!!」
1年2部教室。熊井仁子先生(25)が入室
熊井先生「みなさん、おはようございます。」
児童「おはようございます。」
熊井先生「それでは出席をとります。田夢美代さん、」
田夢美代(7)「はい。」
熊井先生「園原宗一郎くん、」
園原宗一郎(7)「はい、」
熊井先生「清原元助くん、」
清原元助(7)「はい、」
呼ばれる度に、手を挙げて返事
熊井先生「小口千里君。・・・小口千里君?は、また遅刻なの?」
千里、飛び込んでくる
千里「お・・・はようございます。」
熊井先生「千里君っ!」
千里「はいーっ、ごめんなさい!廊下に」
熊井先生「本日は立たなくてもよろしい。座りなさい。」
千里「はい・・・(しゅん)」
***
熊井先生「それでは昨日の宿題の提出をしてください。」
児童、ノートを熊井先生に提出
熊井先生「はい、ありがとう。千里君、君は?」
千里「ごめんなさい・・・忘れました。」
熊井先生「千里君・・・君って子は入学以来毎日毎日・・・(金切り声)廊下に立ってなさい!!」
千里「廊下に立ってまぁぁぁす!!」
千里、飛び出ていく。他児童、震え上がる。
***
下校チャイム。千里トボトボ。
千里M「どうせまた家に帰れば怒られるんだろうなぁ・・・。嫌だな。」
千草「千里。」
千里「千草オッパ、」
千草「なんだ?その顔は叉一騒動やらかしたな?」
千里「いつものことさ、遅刻と宿題で廊下に立たされたんだよ。熊井先生怖すぎる・・・。」
千草「や、悪さこきゃどこの教師だってみんなそうさ。」
にやり
千草「だから、今日もお前、家に帰ってもママに怒られるから帰りたくないってんだろ。」
千里「そいこと。」
後ろに美代
美代「千里ちゃーん!!」
千里「ん?あ、美代ちゃん!!(笑う)」
千草「(にやりとして演技)あーっと、僕学校からずっとトイレ我慢してるんだった!千里悪い、先帰るよ!」
千里「あ、うん。」
美代「千里ちゃん、今日も怒られちゃったわね。」
千里「うん・・・(しょんぼり)」
美代「元気だして。明日から頑張ればいいのよ。」
千里「美代ちゃん・・・ありがとう。」
美代「今のお兄ちゃん?千里ちゃんってお兄ちゃんいるのね。」
千里「うん、千草オッパって言うの。」
美代「千草オッパ?面白い名前。(笑う)ねぇ、この後美代と遊ばない?」
千里「わあ!!(暗くなる)でもだめだ・・・今日はきっと帰ったらお説教だもの・・・バイバイ。」
しょんぼり
美代「千里ちゃん・・・」
○小口家
珠子、玄関で待ち構えている
千里「ただい・・・ひぃっママ・・・」
珠子「千里・・・(ジェスチャー)奥間に行きなさい。お話があります。」
千里「はい・・・」
***
千里、ビクビク座布団に座る
珠子「せんちゃん?入学してからこれまでの一ヶ月間、あなたは一度も遅刻をしない日がありません、宿題をきちんとやった日がありません。これは一体どう言うこと!?」
千里「それは・・・」
珠子、ガミガミ。千里、シュン。
1時間後。
珠子「と言うわけです。来週は初めてのテストですね。もしこれで赤点でもとった日にはママ、許しませんからね。その時には覚悟なさい。」
千里「はいぃぃ・・・(固まる)」
珠子「以上です。」
珠子、退室。千里、力が抜けてのびる。
千草、入室
千草「たっぷり絞られたな千里。」
千里「何で小学校に上がってからこんなに怒られなくちゃいけないの?幼稚園の頃はあんなに優しかったのに・・・。」
千草「ママは勉強とか学校には昔からとっても厳しいんだ。僕だってお前くらいの頃はママに怒られたもん。」
千里「千草オッパも?」
千草「あぁ。まぁ、寝坊はしないで宿題はちゃんとやることだな。そうすりゃママも怒らないよ。」
千里「うーん・・・」
***
翌朝。千里、飛び起きる。
千里「うあぁぁ!!」
8:30
千里「うそっ!?」
着替えと支度をする
千里「いってきまぁぁす!!」
珠子「全く、あの子は今日も遅刻なのね。」
○河原町こざくら小学校
1年2部、静か。千里、そろそろ入室。
熊井先生「千里君!!」
千里「は・・・い、」
熊井先生「今何時だと思っているの!?早く席につきなさい。授業を始めます。」
1時間目チャイム
千里「はい。」
美代「起立、礼、着席。」
熊井先生「はい、それでは1時間目は国語の授業を始めます。みんな教科書を開いて。」
千里M「どうしよう・・・僕、急いでたら おしっこしてくるの忘れちゃった。(もじもじ)」
きょろきょろ。千里、お腹を押さえる。
***
千里、泣きそう。美代が隣の席
美代「(小声)千里ちゃん、大丈夫?」
千里「美代ちゃん・・・」
美代「(心配そう)先生に言おうか?」
千里「大丈夫・・・(もじもじ)」
***
数分後、クラス全員、キョロキョロ
千里「・・・。」
美代「熊井先生、千里ちゃんが・・・」
千里、お漏らしをしてしまう。座ったまま泣きそうに俯く
熊井先生「あらあら、千里君ちょっとこっちへおいで。」
千里を連れていく
熊井先生「みんなは今やったひらがなの自習をなさい。」
児童「はい。」
***
廊下。
千里、ズボンとパンツを脱がされ着替えてもらう。泣いたり者繰り上げる。
熊井先生「ほらほら千里君、泣かないの。おしっこしたかったら今度からは授業中でももらしちゃう前に先生にちゃんと言おうね。」
***
宗一郎「千里君、ずっとおしっこしたかったんだ。」
元助「先生に言えばよかったのに。」
***
千里、給食も食べずしょんぼり
掃除の時間もしょんぼり
***
下校後。美代、千里
美代「千里ちゃん、元気だして。」
励ます
美代「きっと千里ちゃんだけじゃないわ。」
千里「美代ちゃん・・・ありがとう。(しょんぼり)でも叉ママに怒られるんだ。」
美代「それくらいで千里ちゃんのママ、怒らないわ。」
千里「絶対怒られるよ。普段から僕が宿題忘れたりお寝坊ばっかりだからイライラしてるんだよ。」
分かれ道
千里「じゃあ僕こっちだから・・・じゃあね。」
美代「バイバイ・・・(心配そうに手を振る)」
○小口家
千里「ただいま。」
珠子「せんちゃん、おかえりなさい。あら?どうしたの、元気ないわね。」
微笑む
珠子「ははーん、分かったわ。今日のお寝坊の事でママに叉怒られると思っているんでしょ。」
千里「・・・。」
珠子「毎度の事で、もう怒る気もなくなったわ。」
千里「ママ・・・」
泣き出す
千里「ごめんなさい!!」
珠子「いきなりどうしたの!?」
千里「僕実は今日・・・(ビニール袋を差し出す)」
珠子「なあにこれ?」
千里「学校でおしっこ漏らしちゃったの・・・」
声をあげてなく
千里「ママごめんなさい!!」
珠子「なんだ、そんなことを気にしていたの?(微笑んで千里を抱き締める)大丈夫よ。ママそれくらいで怒ったりしません、我慢できなかったんだよね。まだ一年生だもんね。」
千里「ママぁ・・・」
珠子「お風呂沸かすわ、入りなさい。そしたらおやつにしましょう。」
千里「(泣き笑い)うん!ママ、ありがとう。」
千草、帰宅
千草「ただいま。」
千里「あ、千草オッパだ。ねぇ、一緒にお風呂はいろ。」
千草「は?(時計を見る)お風呂!?」
○同・浴室
千里、千草
千草「アハハハ、何だそんな事か!漏らしたくらいでくよくよすんなよ。そんなのまだお前くらいの年なら誰にだってあることなんだからさ。」
千里「本当?」
千草「あぁ。僕だってそうだったもん。」
千里「千草オッパも?」
千草「うん。(小声で)でも今のは誰にも内緒だぞ。」
千里「分かった。(笑う)」
千草「じゃあ千里、背中洗ってやる。出な。」
千里「はーい!!」
***
お風呂上がり。千草、千里の髪を乾かしている。
千草「よし出来た!千里、おやつ食べよ。」
千里「うんっ!!」
二人、台所に走る。珠子、幸せそうに笑う。
***
初夏、6月の終わり。
○宮川長峰小学校・教室
横井「あれ、そういや麻衣のやつまだ来てないよな?」
磨子「そう言われれば・・・」
横井「なぁタケ、お前あいつの家近くだろ?」
健司「うん・・・そうだけど、僕も今日は会ってないよ。」
磨子「どうしたのかしら?」
末子「あ、そう言えば・・・」
磨子「何?みんこ何か知ってるの?」
○河原町こざくら小学校・教室
美代「あら、千里ちゃんは?」
清原「さぁ?」
園原「僕も今日は見ていないよ…」
熊井先生が入ってくる。
熊井先生「はいっ、みんな席について。」
熊井先生「本日小口千里君は、」
泉平先生「柳平麻衣ちゃんは、」
熊井先生、泉平先生「水疱瘡にかかってしまい入院をしてしまいました。」
児童たち、驚く。
○柳平家
麻衣、ぐったり。
紅葉「麻衣、少しは何か食べなくちゃ」
柳平「ジュース飲むか?」
麻衣「いらない…」
柳平「これは病院に連れていった方がいいかもな…」
紅葉「そうね…」
軈て、救急車が来て、麻衣が運ばれていく。
一方、小口家。千里、珠子の車で連れて行かれる。
○諏訪石楠花平病院
麻衣、治療室でぐったり。柳平紅葉(37)
紅葉「麻衣?ちょっと麻衣っ?」
麻衣「母さん…」
吐く。看護婦たち、驚いて処置をする。
○京都病院
ぐったりとした千里、珠子に抱かれている。
珠子「せんちゃん、せんちゃん?大丈夫?」
近くには幼女
女の子「お姉ちゃん?大丈夫?」
千里「僕は…お姉ちゃん…じゃなくて…お兄ちゃん…だよ。」
珠子、クスクスしながら絵本を読んでいる。
女の子のお母さん「本当に、申し訳ありません。」
珠子「いいえ、いいんです。大丈夫ですよ。」
本を閉じる
珠子「はいっ、おしまい。せんちゃん、次の本なんか読む?」
千里「うん…」
ぐったりしながら体を動かしてばかり
千里「ママ…気持ち悪いよ…」
直後、吐く。
麻衣、千里。治療を受けて点滴をされる。二人とも、二人部屋に入っている。
○同・病室
ベッドに横たわる千里、珠子、小口、源洲子(24)、源夕子(27)
夕子「千里は、一体どうしたんだい?」
洲子「千里ちゃん、分かるかい?どうしたの、洲子おばさんですよ。」
○諏訪石楠花平病院・病室
麻衣、ベッドに横たわる。紅葉、柳平けいと(41)
麻衣「ほんねに心配せんでよ…母さん、父さん」
弱々しく微笑む
麻衣「私は大丈夫だに。」
○京都病院・病室
千里「ねぇママ、パパ、僕の病気ってそんなに悪いの?僕、もう死んじゃうの?」
夕子「バカだねぇ、死ぬわけないだろう!!まぁ、病院にも来ないで放っておきゃ危なかったかも知れないけどね。」
千里、不安げに聞いている。
夕子「安心をおし、ちゃんとお医者さんの言うことを聞いていいこにしてりゃあすぐに治るさ。点滴をすりゃよくなるってお医者さんも言ってたろ。」
千里「本当に…?」
夕子「あぁ。」
千里「良かった…」
微笑んで目を閉じるが、またすぐに目を開く
珠子「どうしたのせんちゃん、眠いのなら寝ていいのよ。」
千里「うん…でも、」
もぞもぞ
千里「僕、何だかおしっこしたくなっちゃった。」
夕子、珠子、ゆっくり千里を起こす。
珠子「おトイレまで歩いて行かれる?」
夕子「あ、その必要は無さそうだよ。さっき看護婦さんがあれを置いていってくれたからね。」
がさごそ
○諏訪石楠花平病院・病室
麻衣、起き上がっている。
紅葉「麻衣、どう?」
柳平八重子(13)「麻衣、」
麻衣「姉さん…」
八重子「心配したわよ!学校から戻ったらあんたが入院したなんて聞かされてさ。」
柳平正三(12)「俺もだよ。ん、」
柳平紡(7)、柳平糸織(7)、顔を出す。
麻衣「つむっ、しおっ!!」
紡「私もうんと心配しただに。」
糸織「学校でも先生が柳平麻衣は入院したって…」
紡「今度、泉平先生がお見舞いに来るってよ。」
麻衣「ふんとぉー?」
微笑む
麻衣「ううっ、」
紡「麻衣っ!?」
背を擦る。麻衣、吐く。
麻衣「ふうっ…」
***
一週間後。麻衣、食事中。磨子、健司、岩波悟(9)が入室。
麻衣「あ!!」
磨子「麻衣ちゃん!!」
健司「大丈夫かよ。」
麻衣「ありがとう。もう元気よ。」
健司「お兄ちゃんも来てるよ。」
悟を見る。
麻衣「悟ちゃんっ!!」
悟「麻衣ちゃん、大丈夫か?少し良くなった?」
麻衣「えぇ。」
磨子「これ、」
千羽鶴と手紙を渡す。
磨子「麻衣ちゃんに。みんなで書いたんよ。」
麻衣「うわぁー、ありがとう!!」
読み出す。
健司「ほれと、これ。」
麻衣「何?」
健司「今日は大人になってからの夢を書いて教室に飾ったんだ。だで、麻衣の分。」
麻衣「へぇ、みんなは何て書いただ?」
磨子「私は、看護婦さんか女優さん。」
健司「僕は岩波の会社。お父さんの後を継ぐんだ。」
麻衣「へぇ…」
磨子「麻衣ちゃんは?へー決まってる?」
麻衣「私はねぇ?父さんの様な警察官がいいわ。ほして、」
悟を見る
麻衣「私は悟ちゃんのお嫁さんになるの。」
悟「僕の?」
麻衣「うんっ!!私、悟ちゃんのこん大好き!!悟ちゃんがお見舞いに来てくれてとっても嬉しい!!」
磨子「あ、いいな。ずるーいっ!!磨子も悟ちゃんのお嫁さんになりたい!!慣れなかったら最悪健司…」
健司「おいっ!!人を余りもんみたいに言うんじゃねぇーやい!!」
悟、微笑む。
磨子「でも麻衣ちゃん、へーご飯も食べれるようになったんね。」
麻衣「えぇ、お陰様で。へー何でも食べれるに。」
○京都病院
千里、ストレッチャーで運ばれている。
千里「ねぇ、今日退院なんでしょ?僕もう元気だよ。何でまた検査するの?」
珠子「せんちゃんの体がもう本当に悪くないかもう一回調べるのよ。」
千里「そんなのもういいよ!」
珠子「いけません!」
千里「ちぇ・・・」
珠子「その態度は7000年前とも1000年前ともちっともお変わりありませんね。」
珠子、微笑む。千里、検査室に入室。
***
千里、体に沢山ついた吸盤に夢中。
千里「ねぇ、これなあに?」
担当医「千里君、ちゃんといい子にしててちょうだい。」
千里、吸盤を弄っている。
***
千里、珠子、帰宅準備。
珠子「せんちゃん、やっと退院。良かったわね。」
千里「うんっ。」
担当医、お手上げといった顔。疲れきっている。
珠子「それでは…行きましょうか?」
千里「うんっ。」
珠子・千里「色々お世話になりました。」
二人、病院を出る。
○宮川長峰小学校
麻衣、登校する。クラスの児童、駆け寄る。
末子「あっ、麻衣ちゃんが来た!!」
横井「本当だ!!」
磨子「元気になったんだ!!」
健司「麻衣、お帰り!!」
末子「見てみて、私チューリップの球根見つけたんだよ!!麻衣ちゃんにあげるね。」
麻衣「わぁ!!ありがとう!!」
○小口家
千里、布団に潜る
珠子「せんちゃん、せんちゃん。今日はもう元気になったのですから、学校に行きなさい。」
千里「嫌だ・・・」
珠子「千里っ!!」
千草「(珠子に耳打ち)きっとこいつ、お漏らしの事気にしてるんじゃないかな?」
珠子「え?」
千草「じゃあな千里、僕先に行くから。お前も必ず来いよ。」
出ていく。
珠子「せんちゃん、あなたもしかしてお漏らししちゃった事を気にしているの?」
千里「みんな、きっと僕の事笑うんだ・・・千里はお勉強中におしっこしちゃったって・・・」
珠子「大丈夫、みんな笑わないわよ。きっと、みんなせんちゃんの事心配しているわ。ママも一緒に行ってあげるから、ね。いきましょうせんちゃん。」
○河原町こざくら小学校・教室
千里、入り口で躊躇う。熊井先生が出てくる
熊井先生「あら、千里君。おはよう。」
千里「おはようございます、先生・・・」
熊井先生「みんな、千里君が来たわよ!!」
児童、教室から出てくる。千里に駆け寄る。
宗一郎「千里君、治ったんだ!」
元助「叉僕らといっぱい遊ぼうぜ!」
美代「美代、千里ちゃんがいなくてとっても寂しかった。」
珠子、微笑む
千里「みんな、ありがとう!本当にありがとう。」
珠子に微笑んで教室に入っていく。
○同・校庭
かけっこの練習
美代「千里ちゃん、頑張って!!」
千里、転ぶ
美代「千里ちゃん!!」
千里、走るがビリになって泣き出す
熊井先生「千里君、泣かないの。ほら、立って。」
千里を立たす
***
終了。藤本みゆき(7)、嫌みっぽくツンっと笑う。
みゆき「お前、一学期に教室で小便漏らしたって言う千里だろ。いっつも遅刻ばっかりで宿題忘れて廊下に立たされてるって、1年生ならみんな知ってらぁ。」
千里「君は?」
みゆき「あれ俺を知らない?1部の藤本みゆき。」
ツンっとして帰っていく
宗一郎「叉あいつか・・・」
千里「え?」
宗一郎「最近あいつ、弱いものいじめばっかりしてるんだ。気を付けろよ、今度は千里君がやられるかもしれないから。」
千里「えー・・・」
元助「大丈夫、僕たちが君を守ってあげるから。」
美代「美代もお守りいたす!!」
千里「みんな。」
宗一郎「だから、運動会もがんばろう。転んでもビリでもいいじゃん。」
元助「そうだよ、みんな応援してるからさ。」
美代「一緒に走ろう。」
千里、肩を落とす
○小口家
夕食中。
珠子「せんちゃん、どうしたの?」
小口懐仁(31)「何かあったか?しっかり食べんと、明日は運動会じゃないか。」
千里「運動会なんて、出ないもん・・・。」
珠子「まぁ、どうして?前までせんちゃんあんなに楽しみにしていたじゃないの!」
千里「嫌だ、運動会出ない!」
千草「千里、何か嫌なことがあるのか?いじめっ子がいるとか・・・」
千里、泣き出す
千里「嫌だ、嫌だの!!」
***
珠子、千里を寝かしつける
小口「千里は、寝たか?」
珠子「えぇ・・・一体何があったのかしら?」
○河原町こざくら小学校・校庭
元助「千里君、まだ来てないの?」
宗一郎「大丈夫なのに・・・」
みゆき、鼻で笑う
宗一郎「何だよ!」
みゆき「来るわけないだろ、あの弱虫が!」
元助「千里君は弱虫なんかじゃない!」
みゆき「だったら何で来ないんだよ!?あいついつもかけっこじゃあ転ぶしビリなんだろ!?そんな奴がわざわざ笑われに来るかよ。」
美代「来るもん!!千里ちゃんは絶対にくるんだもん。」
みゆき「ふーん。」
開幕の鐘
みゆき「ほれ、もう始まるぜ。」
千里の声「先生、遅刻しました。ごめんなさい。」
みゆき「来たのかよ・・・」
席につく
元助「千里君、おはよう。やっぱり来てくれたね。」
千里「へ?」
宗一郎「まってたよ。」
美代「美代、千里ちゃんが来てくれて嬉しい!」
千里「いやぁ・・・(でれでれ)」
***
客席
珠子「まぁ、せんちゃんったら女の子にでれでれしちゃって。」
小口「千里もやっぱり男だな。千草は?」
千草、女子学生に砂を払ってもらっている
珠子「嫌だ、あの子まで!」
小口「兄弟はやっぱり似るな。」
珠子「あの子は私たちや千里とも血が繋がっていないのよ!」
小口「ま、まあそうだけどさ。」
開幕。
競技が始まる。
アナウンス「続きまして、1年生のかけっこです。」
珠子「いよいよだわ。(大声で)せんちゃーん、頑張って!!」
千里、気がついて手を振る
小口「珠子、恥ずかしいからよせ!」
アナウンス「それでは位置について、よーい・・・」
走っていく
珠子「あ、せんちゃんはこの次だわ。」
小口「よしっ。(八ミリカメラを回す)」
アナウンス「位置について、」
千里、不安げ
アナウンス「よーい」
バンッ
5人、走り出す。千里、三位になる。
珠子「せんちゃん、その調子!頑張れ!」
宗一郎「千里君!!」
美代「千里ちゃん、頑張って!」
元助、一緒に走っている
元助「千里君、頑張って。」
千里「うん、ありがとう。」
みゆき、四位
みゆき「くそっ・・・」
ペースあげる、抜かしながら千里に足を引っ掻ける
千里「あっ!!(転ぶ)」
元助「千里君っ!!」
戻ってくる
千里「元助くん・・・先行って。」
元助「いいよ、一緒に行こう。立てる?」
珠子「せんちゃん!!」
小口「千里!!」
美代「千里ちゃん!!」
宗一郎「千里君!」
熊井先生「千里君、」
千草「千里!」
千里、泣きそうになるが立ち上がる
元助「さぁ!」
千里の手をとる
千里「うん。」
走り出す。声援。
ゴール。大拍手が起きる。千里、大声で泣き出す。熊井先生、千里を励ます。
閉会式後。
元助、熊井先生と話をする。その後熊井先生、みゆきにお説教をしている。
○小口家
千里をベッドに寝かす珠子。千里、泣き寝入り。
珠子「せんちゃん、偉かったわよ。今日は本当によく頑張ったね。」
小口「泣き寝入りいてるよこいつ。ゆっくり寝かしてあげよう・・・」
二人、退室。
***
珠子、台所。千里の椅子の前にショートケーキを置く。
***
一ヶ月後。リュックサックを背負った千里、リュックサックをチェックする珠子。
珠子「よし、これでいいわせんちゃん。完璧よ。」
千里「ありがとうママ、行ってきます。」
珠子「はい、いってらっしゃい。危ないところには決していってはダメよ。」
千里「わかった。」
珠子「およたをして先生を困らしてはいけませんからね。」
千里「そんなこと分かってるよ。」
珠子「この、(マッチ箱を取り出す)箱の中に、キャンディーとチョコレートを入れてありますからね。こっそりお食べなさい。」
千里「わあ、やったあ!ママ、ありがとう。」
千里、飛び出ていく。
○京都・嵐山
千里の学年。
熊井先生「それでは、今日は秋の遠足です。これからお昼までの間は自由時間となりますがみんな、あまり遠くに行ってはいけませんよ。お昼の鐘がなったらこの駅の前に集まってくださいね。」
児童たち「はいっ!」
自由行動始まる
美代「ねえ千里ちゃん、美代と遊びに行こう。」
千里「いいよ。」
熊井先生、微笑む
熊井先生「美代ちゃんと千里君は仲がいいわね。あんまり遠くに行ってはいけませんよ。」
美代・千里「はーい。」
二人、手を繋いで走っていく
***
深い山の中
千里「ねえ美代ちゃん、何処行くの?」
美代「美代、素敵な場所知っているのよ・・・こっちよ、もうちょっと」
千里「あんまり奥へいかない方がいいよ。」
美代「大丈夫よ。美代、お母さんたちとよく遊びに来るもん。道知ってるわ。」
千里「本当?美代ちゃんだけが頼りなんだからね。僕、ここ全然知らないからね。」
美代「任せておいてよ。」
林の奥へ進む。
***
渓谷。竹林、紅葉で彩りに染まっている
千里「うわあ!!」
美代「でしょ。ここ、秋になるとみんなで紅葉狩りのピクニックに来るのよ。(むくれる)でもね、今年はお父さんのお仕事の都合で来れないのよ。」
千里「そうなんだ・・・。でも。いいじゃない!これたんだから。」
美代「うん!(千里に抱きつく)千里ちゃんと一緒だから最高」
千里、でれでれ
お昼の鐘がなる
美代「あ、もうお昼だ。千里ちゃん、戻ろう。」
千里「うんっ!!」
二人、手を繋いで歩き出す
児童たち、駅前に集まりだしている
千里「ねえ美代ちゃん・・・まだ?」
美代「もうすぐ・・・」
千里「この林ってこんなに長かった?」
美代「帰りだから長く感じるのよ。」
千里「美代ちゃん!!」
児童たち、整列している
千里、不安げ。
千里「僕ら、迷子になっていないよねえ?ちゃんと帰れるんだよねえ」
美代「帰れるわよ、だって美代・・・」
立ち止まる
千里「美代ちゃん?どうしたの?」
美代「ない・・・」
千里「え?」
美代「母さんといつも目印にしてる木のお家がないの。」
千里「木のお家?」
美代「そうよ。いつも、小さな木のお家を目印に帰ってくるの。それがみえればすぐ嵐山の駅なのよ。なのに・・・」
千里「それって美代ちゃん・・・つまり僕らは迷子になっちゃったってこと?」
美代「かも・・・」
千里「酷いよ美代ちゃん、酷いよ!!僕、美代ちゃんが知ってるって言うからついてきたのに!(泣き出す)」
美代「千里ちゃん、泣かないで。大丈夫だから、ね、泣かないで。」
千里「ママぁ!!」
美代、千里を励ます
***
熊井先生、時計を見る
熊井先生「おかしいわね・・・」
数裏琢磨先生(28)「先生、どうなさいましたか?」
熊井先生「数裏先生、うちの生徒があと二名帰ってこないんです。」
数裏先生「えぇ!?」
熊井先生「先生、児童たちをお願いします!」
かけていく
数裏先生「あ、あ・・・熊井先生!?ちょっと!!」
***
雨が降りだす。遠くで雷
美代「千里ちゃん・・・本当にごめんね。美代のせいで。」
千里「謝らないで。」
千里、首飾りに見せかけて方位磁針をつけている
美代「ねえ千里ちゃん、おくびにつけているものなあに?」
千里「ママが迷子になっちゃったり(しゃくりあげる)いざというときに使いなさいって持たせてくれたの。」
美代「どうやって!?」
千里「僕だって使い方知らないだもん・・・(涙を堪える)教えてもらってないの。」
熊井先生、二人を呼んで探し回っている。
雷と雨、激しくなる。
美代「美代、怖い・・・お家に帰りたい・・・(しくしく)」
千里、涙を堪えて美代を慰める。
千里「美代ちゃん、大丈夫だよ。帰れるよ。」
***
夕方。他児童、親の迎えと共に家に帰る。教師たち、残る。
警察、捜索隊、消防と小口
小口「消防です。先生、どうなされたんですか?息子は?」
熊井先生「申し訳ございません、お父様・・・」
話をする
小口「いえ、先生のせいではありません・・・全くうちのバカ息子め。」
捜索が始まる
○洞窟の中
美代、千里。千里、マッチを摩って焚き火を炊く
美代「ありがとう、千里ちゃん。」
千里「いや・・・」
二人、お腹が鳴る
千里「お腹空いた・・・」
美代「美代も・・・。」
千里「ここって何処なんだろう。」
思い出す
千里「あ!(リュックをがさごそ)あった!」
チョコレートとキャンディ
千里「ママがね、こっそり食べなさいって持たせてくれたの。」
美代「わあ!」
千里「美代ちゃん、チョコと飴とどっちがいい?」
美代「千里ちゃんは?」
千里「僕はどっちでもいいよ。」
美代「ならね、美代は・・・飴!!」
千里「わかった。食べよ。」
美代「ありがとう。(嘗める)美味しい・・・」
千里「(チョコレートを口に入れる)美味しい!」
大雨。
千里「もしこのまま誰も来なかったら、僕たちどうなるのかな。このままここで死んじゃうのかな・・・」
美代「千里ちゃん、変なこと言わないでよ。」
千里「ごめん・・・。」
○藤本家
行方不明のニュースがやっている。
藤本母「あら嫌だ、小口さんの千里君の田夢さん家の美代ちゃんが行方不明で見つからないですって!?大丈夫かしら・・・」
藤本父「まだ1年生なんだぞ、そりゃ心配だなぁ。」
みゆき、鼻を鳴らす
みゆき「ちぇ、先生の言うこと聞かないあいつらが悪いんだ。あんなやつ、このまま見つからないでどっかいっちまえばいいんだ。」
藤本父「こら、みゆき!お前はどうして友達にそんなことを言うんだ」
藤本母「そんな恐ろしいこと、どうして簡単に口に出来るの!?」
みゆき、悪態をつく
***
深夜12時、嵐山。
警察「今日はもう無理です。明日、早朝から再捜索を再開します。」
珠子、田夢風(38)
珠子「そうですか、」
二人「よろしくお願いします・・・」
珠子、泣く美代の母を慰める。
珠子「大丈夫ですわ。美代ちゃんはきっと無事に見つかります。」
風「ありがとう、小口さん。ごめんなさいね、千里君をこんな目に会わせてしまって。」
珠子「いえ、謝るのはこちらの方ですわ。うちのバカ息子が美代ちゃんを・・・本当に申し訳ありません。」
二人、励まし合う
○洞窟の中
美代、千里、レジャーシートの上でカッパをかけて震えながら眠っている。
美代「寒いよ、千里ちゃん。」
千里「僕もとっても寒いよ・・・。」
二人、起きて火に当たる
うとうと。
二人、やがてそのまま眠る
***
翌朝。千里、美代、目を覚ます。
千里「おはよう美代ちゃん、僕ら寝ちゃったんだね。」
美代「本当だ。」
外を見る
美代「気持ちのいい朝ね!(延びをする)」
ラジオ体操を歌いながらやり出す
千里「ちょっと美代ちゃん、こんな時になにやってるの!?」
美代「だって、じっとしててもしょうがないもん。何かしていなくちゃ余計に怖いだけでしょ。」
千里「美代ちゃん・・・そうか、そうだよね。」
千里、一緒にやり出す
○嵐山
風「まさか・・・あの子、」
珠子「え?」
風「私、心当たりがありますの。」
小口「分かりました。では、私たちがそちらの方に行って参りますので、奥さんと珠子はここで。」
珠子「わかったわ、お気を付けて。」
***
小口、消防、警察、捜索隊、林の中に入っていく。
千里、美代、大声で歌っている。
千里「大きな声で歌っていればきっと誰かが気がついてくれるかも。」
美代「そうね、千里ちゃん頭いい!!」
千里「じゃあまずは僕からね。(歌い出す)」
美代、吹き出す
美代「千里ちゃん、一体それ何の歌よ!?」
千里「ん、縄文時代の歌だよ。」
美代、歌に合わせて踊り出す。
***
小口「ここかぁ、田夢さんのいっていたところとは・・・確かに素晴らしいところだ。」
消防1「しかし、本当にこんなところへ子供だけで来るとは思えぬ。」
消防2「確かにそうだ。それに夕べは大雨で雷も凄かったんだ。こんなところにいたら死んでしまうぞ。」
消防3「何処かに洞窟でも見つけて入り込んだのか?」
小口「洞窟か・・・もう少し探してみよう・・・。」
千里、美代、交代に歌っては踊っている。
***
1時間後、息を切らす二人。
美代「もう無理よ千里ちゃん、やめましょう・・・」
千里「僕も・・・でも、あと一回だけ。これでダメなら・・・」
気槍を歌い出す。
千里「これ、パパが長野県茅野のお家だからさ、パパに教わったの。」
美代「千里ちゃんって・・・いい声。」
***
小口「(止まる)ん?」
消防1「小口くん、どうした。」
小口「今何かが聞こえたような・・・」
消防1「えぇ?(耳を済ます)何も聞こえないよ。気のせいじゃないか?」
小口「そうかなぁ?ん・・・ほら叉だ。あれは・・・(思い出す)千里だ!間違いない。」
大声で
小口「おーい!千里なのか、いたら返事をしろーっ!」
千里、息を切らす
千里「もう無理だ・・・(泣きそう)パパ、ママ・・・もう会えないの?」
小口「おーい、千里!!」
千里「!?」
美代「どうしたの、千里ちゃん。」
千里「パパの声だ。今パパの声が聞こえたんだ。」
美代「え?」
千里「(大声)おーい!!千里はここだよー、僕はここだ!助けに来てよ!!」
気槍を歌う
美代「美代もここよー!!助けて!!」
小口「千里!!おーい!!」
気槍を歌う
消防1「小口くん、こんな時に何をやっているのかね!?」
千里「パパだ、やっぱりパパだよ。パパの気槍だ!!ん?」
千里、狼煙の記憶
千里「狼煙・・・?」
美代「何?」
千里、マッチで火を炊く。湿気っていてなかなかつかない
千里「ん、ん、」
着火
千里「やったぁ!これで気がついてくれればいいんだけど・・・。」
草原ガサガサ
千里「ひっ・・・」
美代「きゃ・・・」
小口、顔を出す。
小口「千里!!美代ちゃん!!」
美代「千里ちゃんの、お父さん?」
千里「パパ?パパぁ!!」
泣きつく
千里「ごめんなさい、ごめんなさい。」
小口「二人とも怪我はなかったかい?ばか野郎、心配かけやがって。」
○嵐山駅
小口、二人を抱いて戻る
珠子「懐仁さん、千里!!」
風「美代!!」
美代「お母さん!!」
千里「ママ!!」
珠子、千里をビンタ
珠子「どれだけ心配したと思っているんですか!!」
千里「ごめんなさい!!(大泣き)」
珠子、千里を抱き締める
美代「千里ちゃんを怒らないで。(泣きながら)美代が悪いの。美代が、美代が千里ちゃんに行こうって誘ったの。千里ちゃんに見せてあげたかったの。」
熊井先生「二人とも、先生余り遠くに行ってはいけませんっていいましたね。どうして守れないの!?」
美代・千里「先生、ごめんなさい。」
熊井先生「でも二人が無事に戻ってくれてよかったわ。先生も嬉しい」
全員、泣く。
消防、警察、捜索隊、小口、微笑む。
***
テレビ、二人が見つかったとニュースがやっている。
みゆき、フッと笑う。
○茅野市宮川商店街
三学期の始め。麻衣、健司、磨子、横井、末子。下校中。
横井「俺、テスト最悪だ…また母ちゃんに怒られるよ。」
悪戯っぽく
横井「俺ここ一年ずっと、母ちゃんにテストで誉められたことねぇーんだ。」
末子「それ自慢するこんじゃないらに!!」
磨子「ほーよほーよ。」
健司「僕もだ…」
しょんぼり
健司「いつもテストでお母さんに怒られてばっかりなんだ…また今日もきっと帰ったらお説教だ…」
麻衣「ほりゃ、私もだに。」
健司「お前も?麻衣、何点だったんだ?」
麻衣「私?」
ため息をついて答案を見せる。他四人、目を丸くする。99点。
健司「お前…これで怒られるって…」
横井「一体どんだけなんだよ?」
末子「すげっ…」
磨子「何かいつも麻衣ちゃんの家は格式あるってか…厳しくて凄いよね。」
麻衣「えぇ、何か昔からの仕来たりとか人間として生きていく上のこんでは昔からとても厳しいんよ。私の生まれるずっと前…まだ母さんが子供の頃からお婆様、お爺様がほーみたい。」
他四人「ほー…?」
○小口家・奥間
珠子の声「これっ千里っ!!」
千里の声「ひぃーっ!!!」
珠子の声「ちょっとここへお座りなさいっ。お話があります。」
千里、ビクビクしながら座布団に座る。珠子、相向かいに座って怖い顔で千里を睨み付ける。
珠子「千里っ…あなたって子は…小学校に入って以来、」
テストを突きつける
珠子「この点数はなんですかっ!!お勉強ちゃんとするってママとパパとも約束したわよね。」
千里「はい…」
珠子「それなのに…ちゃんと名前も書いてあって…いつも0点ってどう言うことっ!?」
千里「それはぁ…」
珠子「一応答案は全部埋めてあるようですけど?それが全て間違っていて、ばつになるって言うことはどう言うことか分かりますね?あ、な、た、が、ちゃんとお勉強をやらないからよ!!」
ガミガミとしたお説教が永遠と続いている。千里、下を向いている。
○同・居間
夕食後。千里、猛勉強をしている。小口が教えている。
小口「違うっ!!何度言ったら分かるんだ!?そこはそうじゃないだろうに!!」
千里「だって分からないものは分からないんだもん、しょうがないじゃんかぁ!!」
泣き出す。
小口「泣いたっていけんぞ。ほら、終わるまでやるぞ、いいか?分かったな?」
千里「うぇーんっ…」
しごかれている。珠子、同情のため息して微笑む
⚪同・トイレ
数時間後。千里、疲れたように入ってきて用を足し始める。
千里「はぁ…」
やれやれ
千里「何で僕って…男の子に生まれちゃったのかな…。もし僕が女の子だったら、パパやママは僕にもっと優しくしてくれたのかな。」
用を足し終わる。流すと小粋に踊る。
千里「一度でもいいから女の子になってみたいわんっ!かわいいお洋服なんて着ちゃってさ、なんちゃって。あいたっ・・・」
体をぶつけるがルンルンとトイレを出る。
(トイレの外)
千草がいる。
千里「あ、千草オッパ。」
千草「千里、お前トイレで何やってたんだ?物凄い音したけど・・・」
千里「あ、そう?ごめんごめん。」
小粋にウインクと投げキッス。鼻唄混じりに手を洗い出す。
千草「何だあいつは?気持ち悪っ…。」
首をかしげながらトイレへ入る。
千草「ん?」
蓋の閉まった便座を見る。
千草「あいつ…急に…どうした?何があったんだ?」
トイレットロールの端、三角に折られている。千草、身震い。
○同・浴室
千里、千草。
千里「ねぇ、千草オッパぁ。」
千草「何?」
千里「僕ってさ…どうしたらぁ…」
もじもじ
千里「どうしたら、」
意を決して
千里「女の子になれるの?」
千草、吹き出す。
千草「な、な、な、何言い出すんだよ、お前いきなり!!」
千里「女の子に生まれていれば僕の人生どうなっていたのかなぁって思ってさ。」
千草「は…はぁ…?」
○宮川公園
麻衣、鉄棒に足だけでぶる下がっている。
健司「麻衣…何やってるの?」
麻衣「私の来年の目標…」
健司「え?」
麻衣「よいしょっと、」
鉄棒から降りる
麻衣「鉄棒が出来るようになるんよ。ほいだってほれ、」
顔をしかめる
麻衣「来年は鉄棒のテストがあるし…」
健司「まぁな…でもさ、」
ポカーンとする。
健司「ほれって、必要以上に出来てると思うんだけど。なぁ磨子…って、磨子?」
磨子、鉄棒に豚の丸焼きをしている。
健司「お前は…何やってるの?」
磨子「見ればわかるらに?」
そのまま手だけ話してブリッジ状態になり、足だけ鉄棒に引っ掛けている
磨子「イナバウワーをしたイベリコ豚の丸焼きごっこ…。」
健司「分かんねぇーよ!!ってか何じゃほりゃ?」
肩を竦める。麻衣と磨子、謎の鉄棒続けている。健司、ポカーンと見つめる。
健司「ってか又やるのか?いつまでやってるつもりだよ。」
○河原町こざくら小学校・体育館
卒業式。転任発表、熊井先生が紹介される。1年2部の児童号泣。
○同・教室
熊井先生、児童。
熊井先生「みんな、一年間という短い間でしたが本当にありがとう。入学した時に比べて君達はとても立派になったわね。先生も嬉しいわ。」
微笑む。
熊井先生「みんなとお別れするのは寂しいけど、いつか又大きくなったみんなに、立派になったみんなに会えることをとても楽しみにしています。では最後にみんなの将来の夢、先生に聞かせて。」
一人ずつ語る。
美代「美代は大人になったら王妃様になります。千里ちゃんが殿下です。私は、千里ちゃんの王妃様になって二人で太平の世を作るのだ。」
熊井先生「まぁ素敵ね。でも美代ちゃん、太平の世なんてよくそんな難しい言葉を知っているのね。」
千里「僕は、ピアノが大好きです。バレエが大好きです。だから大きくなったらピアノとバレエが上手になって沢山踊りたい!!」
涙を拭う
千里「殿下にもなるよ。僕も、美代ちゃんと一緒に太平の世を作るんだ!」
熊井先生「ありがとう。期待しているわ。強くなった千里君ならきっとなんでも出来るわよ頑張ろうと思えばできないことはないわ。」
児童と熊井先生、泣きながら歌っている。
○小口家・千里の部屋
千里、泣いている。
珠子「せんちゃん、いつまで泣いてるの?」
千里「だって、だって熊井先生が行っちゃったんだもん。」
珠子「いい先生だったものね…でもきっと又会えるわよ、ね。」
千里「うん…」
珠子「ほら千里、」
落雁とお赤飯まんじゅうを取り出す。
珠子「貰って来た落雁とお赤飯まんじゅう、一緒に食べましょう。」
千里「うんっ。」
千里、泣きながら珠子と共に退室。
***
新学期。
宮川長峰小学校荷は麻衣、河原町こざくら小学校には千里、微笑んで登校。
二人、それぞれ校門を入る。